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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H01L
審判 全部申し立て 発明同一  H01L
管理番号 1068867
異議申立番号 異議2000-74617  
総通号数 37 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1999-07-21 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-12-29 
確定日 2002-10-15 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3058409号「半導体チップの実装方法および実装構造」の請求項1〜10に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3058409号の請求項1〜8に係る特許を維持する。 
理由 [1]手続の経緯
本件特許第3058409号(平成10年1月5日出願、平成12年4月21日設定登録)は、異議申立人渡辺紀子により特許異議の申立てがなされ、取消理由が通知され、その指定期間内である平成13年12月10日に訂正請求がなされ、さらに再度の取消理由が通知され、その指定期間内である平成14年4月2日に上記訂正請求を取り下げるとともに、新たな訂正請求がなされたものである。

[2]訂正の適否について
(1)訂正事項
(1-1)訂正事項の概要
本件特許に係る出願の願書に添付した明細書(以下、「特許明細書」という。)の特許請求の範囲の請求項1〜10において、請求項1、6を削除し、以下項数を繰り上げる。
したがって、請求項2〜5、7〜1 0が、それぞれ請求項1〜8になる。訂正後の請求項1は、訂正前の請求項1と請求項2の構成を含む独立項になる。訂正後の請求項2は、訂正前の請求項1と請求項3の構成を含む独立項になる。訂正後の請求項5は、訂正前の請求項6と請求項7の構成を含む独立項になる。訂正後の請求項6は、訂正前の請求項6と請求項8の構成を含む独立項になる。
具体的には以下に示すとおりである。

(1-2)訂正事項(a)〜(t)
(a)特許明細書の請求項2を請求項1として、「【請求項1】半導体チップの表面に設けられた第1電極と実装対象物の表面に設けられた第2電極とを導電性バンプを介して接合する半導体チップの実装方法において、前記第1電極およひ前記第2電極の少なくとも一方と、前記半導体チップおよひ前記実装対象物の少なくとも一方の対応する表面との間に空隙を形成することにより、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方に対して、前記導電性バンプが接触する箇所に加圧により塑性変形可能な凸部を形成する第1ステップと、前記第1電極と前記第2電極との間に前記導電性バンプを介在させて、前記半導体チップの表面を前記実装対象物の表面に対向させる第2ステップと、前記半導体チップと前記実装対象物との間に圧力を印加して、前記第1電極と前記第2電極とを前記導電性バンプを介して接合する第3ステップとを備え、前記第3ステップで印加される圧力によって、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方に形成された前記凸部がその高さ方向に塑性変形し、もって前記半導体チップに対する過剰な圧力の印加を防止することを特徴とする半導体チップの実装方法。」と訂正する。

(b)特許明細書の請求項3を請求項2として、「【請求項2】半導体チップの表面に設けられた第1電極と実装対象物の表面に設けられた第2電極とを導電性バンプを介して接合する半導体チップの実装方法において、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方を、前記半導体チップおよび前記実装対象物の少なくとも一方の対応する表面に対して屈曲させることにより、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方に対して、前記導電性バンプが接触する箇所に加圧により塑性変形可能な凸部を形成する第1ステップと、前記第1電極と前記第2電極との間に前記導電性バンプを介在させて、前記半導体チップの表面を前記実装対象物の表面に対向させる第2ステップと、前記半導体チップと前記実装対象物との間に圧力を印加して、前記第1電極と前記第2電極とを前記導電性バンプを介して接合する第3ステップとを備え、前記第3ステップて印加される圧力によって、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方に形成された前記凸部がその高さ方向に塑性変形し、もって前記半導体チップに対する過剰な圧力の印加を防止することを特徴とする半導体チップの実装方法。」と訂正する。

(c)特許明細書の請求項4を請求項3として、「【請求項3】前記第2ステップにおいて、前記半導体チップの表面を前記実装対象物の表面に対向させる前に、前記導電性バンプが前記第1電極および前記第2電極のいずれか一方に固着される請求項1または2記載の半導体チップの実装方法。」と訂正する。

(d)特許明細書の請求項5を請求項4として、「【請求項4】前記第2ステップにおいて、前記半導体チップの表面を前記実装対象物の表面に対向させる前に、前記導電性バンプが前記第1 電極および前記第2電極の双方にそれぞれ固着される請求項1または2記載の半導体チップの実装方法。」と訂正する。

(e)特許明細書の請求項7を請求項5として、「【請求項5】半導体チップの表面に設けられた第1電極と実装対象物の表面に設けられた第2電極とを導電性バンプを介して接合してなる半導体チップの実装構造において、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方が、前記導電性バンプが接触する箇所に加圧により塑性変形可能な凸部を有しており、前記凸部が、その凸部を備えた前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方と、前記半導体チップおよび前記実装対象物の少なくとも一方の対応する表面との間に空隙を有しており、前記半導体チップを前記実装対象物に接合する際に印加される圧力によって前記凸部がその高さ方向に塑性変形し、もって前記半導体チップに対する過剰な圧力の印加を防止することを特徴とする半導体チップの実装構造。」と訂正する。

(f)特許明細書の請求項8を請求項6として、「【請求項6】半導体チップの表面に設けられた第1電極と実装対象物の表面に設けられた第2電極とを導電性バンプを介して接合してなる半導体チップの実装構造において、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方が、前記導電性バンプが接触する箇所に加圧により塑性変形可能な凸部を有しており、前記凸部を備えた前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方が、前記半導体チップおよび前記実装対象物の少なくとも一方の対応する表面に対して屈曲しており、前記半導体チップを前記実装対象物に接合する際に印加される圧力によって前記凸部がその高さ方向に塑性変形し、もって前記半導体チップに対する過剰な圧力の印加を防止することを特徴とする半導体チップの実装構造。」と訂正する。

(g)特許明細書の請求項9を請求項7として、「【請求項7】前記導電性バンプが、前記第1電極および前記第2電極のいずれか一方に固着された単一部分から形成されている請求項5または6記載の半導体チップの実装構造。」と訂正する。

(h)特許明細書の請求項10を請求項8として、「【請求項8】前記導電性バンプが、前記第1電極に固着された第1部分と、前記第2電極に固着された第2部分とから形成されている請求項5または6記載の半導体チップの実装構造。」と訂正する。

(i)特許明細書の段落【0013】を、「【0013】【課題を解決するための手段】(1)請求項1に係る発明の半導体チップの実装方法は、半導体チップの表面に設けられた第1電極と実装対象物の表面に設けられた第2電極とを導電性バンプを介して接合する半導体チップの実装方法において、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方と、前記半導体チップおよび前記実装対象物の少なくとも一方の対応する表面との間に空隙を形成することにより、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方に対して、前記導電性バンプが接触する箇所により塑性変形可能な凸部を形成する第1ステップと、前記第1電極と前記第2電極との間に前記導電性バンプを介在させて、前記半導体チップの表面を前記実装対象物の表面に対向させる第2ステップと、前記半導体チップと前記実装対象物との間に圧力を印加して、前記第1電極と前記第2電極とを前記導電性バンプを介して接合する第3ステップとを備え、前記第3ステップで印加される圧力によって、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方に形成された前記凸部がその高さ方向に塑性変形し、もって前記半導体チップに対する過剰な圧力の印加を防止することを特徴とする。請求項2に係る発明の半導体チップの実装方法は、半導体チップの表面に設けられた第1電極と実装対象物の表面に設けられた第2電極とを導電性バンプを介して接合する半導体チップの実装方法において、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方を、前記半導体チップおよび前記実装対象物の少なくとも一方の対応する表面に対して屈曲させることにより、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方に対して、前記導電性バンプが接触する箇所に加圧により塑性変形可能な凸部を形成する第1ステップと、前記第1電極と前記第2電極との間に前記導電性バンプを介在させて、前記半導体チップの表面を前記実装対象物の表面に対向させる第2ステップと、前記半導体チップと前記実装対象物との間に圧力を印加して、前記第1電極と前記第2電極とを前記導電性バンプを介して接合する第3ステップとを備え、前記第3ステップで印加される圧力によって、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方に形成された前記凸部がその高さ方向に塑性変形し、もって前記半導体チップに対する過剰な圧力の印加を防止することを特徴とする。」と訂正する。

(j)特許明細書の段落【0014】を、「【0014】(2)請求項1、2に係る発明の半導体チップの実装方法では、半導体チップの表面に設けられた第1電極と実装対象物の表面に設けられた第2電極の少なくとも一方に形成された凸部が、第3ステップで印加される圧力によってその高さ方向に塑性変形し、もって半導体チップに対する過剰な圧力の印加が防止される。このため、導電性バンプの高さにバラツキがあっても、印加された圧力をすべての第1電極と第2電極が導電性バンプを介して適正に接合されるように、且つ半導体チップに悪影響を与えないように設定することが可能となる。
よって、導電性バンプの高さにバラツキがあっても接合不良が生じない。」と訂正する。

(k)特許明細書の段落【0016】を、「【0016】(3)請求項1に係る発明の半導体チップの実装方法では、前記第1ステップにおいて、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方と、前記半導体チップおよび前記実装対象物の少なくとも一方の対応する表面との間に空隙を形成することにより、前記凸部が形成される。」と訂正する。

(l)特許明細書の段落【0017】を、「【0017】請求項2に係る発明の半導体チップの実装方法では、前記第1ステップにおいて、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方を、前記半導体チップおよび前記実装対象物の少なくとも一方の対応する表面に対して屈曲させることにより、前記凸部が形成される。」と訂正する。

(m)特許明細書の段落【0018】を、「【0018】請求項1または2に係る発明の半導体チップの実装方法のさらに好ましい例では、前記第2ステップにおいて、前記半導体チップの表面を前記実装対象物の表面に対向させる前に、前記導電性バンプが前記第1電極および前記第2電極のいずれか一方に固着される。」と訂正する。

(n)特許明細書の段落【0019】を、「【0019】請求項1または2に係る発明の半導体チップの実装方法のさらに他の好ましい例では、前記第2ステップにおいて、前記半導体チップの表面を前記実装対象物の表面に対向させる前に、前記導電性バンプが前記第1電極および前記第2電極の双方にそれぞれ固着される。」と訂正する。

(o)特許明細書の段落【0020】を、「【0020】(4)請求項5に係る発明の半導体チップの実装構造は、半導体チップの表面に設けられた第1電極と実装対象物の表面に設けられた第2電極とを導電性バンプを介して接合してなる半導体チップの実装構造において、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方が、前記導電性バンプが接触する箇所に加圧により塑性変形可能な凸部を有しており、前記凸部が、その凸部を備えた前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方と、前記半導体チップおよび前記実装対象物の少なくとも一方の対応する表面との間に空隙を有しており、前記半導体チップを前記実装対象物に接合する際に印加される圧力によって前記凸部がその高さ方向に塑性変形し、もって前記半導体チップに対する過剰な圧力の印加を防止することを特徴とする。請求項6に係る発明の半導体チップの実装構造は、半導体チップの表面に設けられた第1電極と実装対象物の表面に設けられた第2電極とを導電性バンプを介して接合してなる半導体チップの実装構造において、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方が、前記導電性バンプが接触する箇所に加圧により塑性変形可能な凸部を有しており、前記凸部を備えた前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方が、前記半導体チップおよび前記実装対象物の少なくとも一方の対応する表面に対して屈曲しており、前記半導体チップを前記実装対象物に接合する際に印加される圧力によって前記凸部がその高さ方向に塑性変形し、もって前記半導体チップに対する過剰な圧力の印加を防止することを特徴とする。」と訂正する。

(p)特許明細書の段落【0021】を、「【0021】(5)請求項5、6に係る発明の半導体チップの実装構造では、半導体チップの表面に設けられた第1電極と実装対象物の表面に設けられた第2電極の少なくとも一方に形成された凸部が、第3ステップで印加される圧力によってその高さ方向に塑性変形し、もって半導体チップに対する過剰な圧力の印加が防止される。このため、導電性バンプの高さにバラツキがあっても、印加された圧力をすべての第1電極と第2電極が導電性バンプを介して適正に接合されるように、且つ半導体チップに悪影響を与えないように設定することが可能となる。よって、導電性バンプの高さにバラツキがあっても接合不良が生じない。」と訂正する。

(q)特許明細書の段落【0023】を、「【0023】(6)請求項5に係る発明の半導体チップの実装構造では、前記凸部が、その凸部を備えた前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方と、前記半導体チップおよび前記実装対象物の少なくとも一方の対応する表面との間に空隙を有する。」と訂正する。

(r)特許明細書の段落【0024】を、「【0024】請求項6に係る発明の半導体チップの実装構造では、前記凸部を備えた前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方が、前記半導体チップおよび前記実装対象物の少なくとも一方の対応する表面に対して屈曲している。」と訂正する。

(s)特許明細書の段落【0025】を、「【0025】請求項5または6に係る発明の半導体チップの実装構造のさらに好ましい例では、前記導電性バンプが、前記第1電極および前記第2電極のいずれか一方に固着された単一部分から形成される。」と訂正する。

(t)特許明細書の段落【0026】を、「【0026】請求項5または6に係る発明の半導体チップの実装構造の他の好ましい例では、前記導電性バンプが、前記第1電極に固着された第1部分と、前記第2電極に固着された第2部分とから形成される。」と訂正する。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の追加の有無、及び拡張・変更の存否
(2-1)訂正事項(a)〜(h)について
訂正前の請求項1、6を削除して、訂正前の請求項2〜5、7〜10をそれぞれ請求項1〜8にするとともに、訂正後の独立形式の請求項1 、2、5、6において、「加圧により変形可能な凸部を」を「加圧により塑性変形可能な凸部を」に限定し、また「前記凸部がその高さ方向に変形し」を「前記凸部がその高さ方向に塑性変形し」に限定して訂正するものであって、特許請求の範囲の減縮に該当する。
この「塑性変形」の補正の根拠は、本件特許に係る出願の願書に最初に添付した明細書の段落【0050】の「バンプ4および24に印加された過剰な圧力がブリッジ部12および22の塑性変形により吸収される。」の記載、及び段落【0052】の「バンプ4と24の間の全ての間隙40がなくなるように圧力を印加しても、バンプ4と24に加わる圧力はブリッジ部12と32の塑性変形により吸収される。」の記載に基づくものである。

(2-2)訂正事項(i)〜(t)について
訂正後の請求項1〜8の訂正に伴い、段落【0013】、【0014】、【0016】〜【0021】、【0023】〜【0026】の記載を整合させたものであって、明りょうでない記載の釈明に該当する。

そして、上記訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(3)まとめ
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項ただし書き、及び同条第3項で準用する同法第126条第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

[3]異議申立てについて
(1)本件発明
本件特許の訂正後の請求項1〜8に係る発明(以下、「本件発明1〜8」という。)は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1〜8に記載された以下のとおりのものである。
「【請求項1】 半導体チップの表面に設けられた第1電極と実装対象物の表面に設けられた第2電極とを導電性バンプを介して接合する半導体チップの実装方法において、
前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方と、前記半導体チップおよび前記実装対象物の少なくとも一方の対応する表面との間に空隙を形成することにより、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方に対して、前記導電性バンプが接触する箇所に加圧により塑性変形可能な凸部を形成する第1ステップと、
前記第1電極と前記第2電極との間に前記導電性バンプを介在させて、前記半導体チップの表面を前記実装対象物の表面に対向させる第2ステップと、前記半導体チップと前記実装対象物との間に圧力を印加して、前記第1電極と前記第2電極とを前記導電性バンプを介して接合する第3ステップとを備え、
前記第3ステップで印加される圧力によって、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方に形成された前記凸部がその高さ方向に塑性変形し、もって前記半導体チップに対する過剰な圧力の印加を防止することを特徴とする半導体チップの実装方法。
【請求項2】 半導体チップの表面に設けられた第1電極と実装対象物の表面に設けられた第2電極とを導電性バンプを介して接合する半導体チップの実装方法において、
前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方を、前記半導体チップおよび前記実装対象物の少なくとも一方の対応する表面に対して屈曲させることにより、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方に対して、前記導電性バンプが接触する箇所に加圧により塑性変形可能な凸部を形成する第1ステップと、
前記第1電極と前記第2電極との間に前記導電性バンプを介在させて、前記半導体チップの表面を前記実装対象物の表面に対向させる第2ステップと、
前記半導体チップと前記実装対象物との間に圧力を印加して、前記第1電極と前記第2電極とを前記導電性バンプを介して接合する第3ステップとを備え、
前記第3ステップで印加される圧力によって、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方に形成された前記凸部がその高さ方向に塑性変形し、もって前記半導体チップに対する過剰な圧力の印加を防止することを特徴とする半導体チップの実装方法。
【請求項3】 前記第2ステップにおいて、前記半導体チップの表面を前記実装対象物の表面に対向させる前に、前記導電性バンプが前記第1電極および前記第2電極のいずれか一方に固着される請求項1または2記載の半導体チップの実装方法。
【請求項4】 前記第2ステップにおいて、前記半導体チップの表面を前記実装対象物の表面に対向させる前に、前記導電性バンプが前記第1電極および前記第2電極の双方にそれぞれ固着される請求項1または2記載の半導体チップの実装方法。
【請求項5】 半導体チップの表面に設けられた第1電極と実装対象物の表面に設けられた第2電極とを導電性バンプを介して接合してなる半導体チップの実装構造において、
前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方が、前記導電性バンプが接触する箇所に加圧により塑性変形可能な凸部を有しており、
前記凸部が、その凸部を備えた前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方と、前記半導体チップおよび前記実装対象物の少なくとも一方の対応する表面との間に空隙を有しており、
前記半導体チップを前記実装対象物に接合する際に印加される圧力によって前記凸部がその高さ方回に塑性変形し、もって前記半導体チップに対する過剰な圧力の印加を防止することを特徴とする半導体チップの実装構造。
【請求項6】 半導体チップの表面に設けられた第1電極と実装対象物の表面に設けられた第2電極とを導電性バンプを介して接合してなる半導体チップの実装構造において、
前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方が、前記導電性バンプが接触する箇所に加圧により塑性変形可能な凸部を有しており、
前記凸部を備えた前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方が、前記半導体チップおよび前記実装対象物の少なくとも一方の対応する表面に対して屈曲しており、
前記半導体チップを前記実装対象物に接合する際に印加される圧力によって前記凸部がその高さ方向に塑性変形し、もって前記半導体チップに対する過剰な圧力の印加を防止することを特徴とする半導体チップの実装構造。
【請求項7】 前記導電性バンプが、前記第1電極および前記第2電極のいずれか一方に固着された単一部分から形成されている請求項5または6記載の半導体チップの実装構造。
【請求項8】 前記導電性バンプが、前記第1電極に固着された第1部分と、前記第2電極に固着された第2部分とから形成されている請求項5または6記載の半導体チップの実装構造。」

(2)異議申立ての理由の概要
申立人渡辺紀子は、以下に示す甲第1〜4号証を提出して、本件特許の請求項1〜10に係る発明は、甲第1号証に記載された発明と同一であるから、特許法第29条の2の規定に違反してされたものであり、また甲第2〜4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1〜10に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである旨主張している。

甲第1号証:特願平9-17933号の願書に最初に添付した明細書及び図面(特開平10-303345号公報参照)
甲第2号証:特開昭64-1257号公報
甲第3号証:特開平5-29389号公報
甲第4号証:特開平6-37233号公報

(3)甲第1〜4号証の記載事項
<甲第1号証>
甲第1号証の特願平9-17933号の願書に最初に添付した明細書及び図面(以下、「先願明細書」という。)には、半導体チップの基板への実装構造に関する発明が図9〜13とともに開示され、さらに以下の事項が記載されている。
(発明が解決しようとする課題について)
「圧接接続法では、半導体チップの複数の各電極上に形成されたバンプを、それに対応する基板上の複数の各接続端子に確実に電気的に接続するために、一律に研磨等して、それらの複数のバンプの高さを同一に揃える必要があった。そして、それらの複数の各バンプを、それに対応する基板上の同一高さで並ぶ複数の各接続端子に、均等な押圧力で圧接接続する必要があった。
そのため、上記圧接接続法では、その半導体チップの複数の各電極上に形成されたバンプを研磨等して、それらの複数のバンプの高さを同一に揃える作業に、多大な手数と労力とを要した。」(【0008】〜【0009】)
(第5の実装構造について)
「図9の第5の実装構造では、電極72近くの半導体チップ70上に、弾力性のあるポリイミド樹脂等からなるほぼ半球状の突起200を、ポッティグ等により形成している。突起200表面には、金属めっき層等からなる端子210を形成している。端子210の一端は、突起200近くの半導体チップの電極72に一連に接続している。
・・・
突起200、220表面の端子210上には、導電性のAu等からなるバンプ230を形成している。そして、そのバンプ230を基板10上の接続端子50に、突起200、220の持つ弾性力を用いて、圧接接続している。
具体的には、半導体チップ70上の複数の各突起200、220をそれに対応する基板10上の接続端子50に搭載した状態で、半導体チップ70をバネ材(図示せず)等を用いて基板10方向に押圧している。そして、突起200、220表面の端子210上に形成されたバンプ230を、それに対応する基板10上の接続端子50に、突起200、220の持つ弾性力を用いて、圧接接続している。
図9又は図10に示した第5の実装構造は、以上のように構成していて、この第5の実装構造においては、半導体チップ70上の複数の各突起200、220表面の端子210上に形成されたバンプ230に高低差があっても、それらの各バンプ230を、それに対応する基板10上の複数の各接続端子50に押しつけて、半導体チップ70上の複数の各突起200、220を、各バンプ230の高低差に合わせて、その下方に適宜量偏平に押し潰すことができる。そして、それらの高低差のある複数の各バンプ230を、それに対応する基板10上の複数の各接続端子50に、突起200、220の持つ弾性力を用いて、一定の押圧力以上で圧接接続できる。」(【0047】〜【0051】)
(第6の実装構造について)
「図11又は図12の第6の実装構造では、突起200、220表面の端子210上にバンプを形成せずに、基板10上の接続端子50上に導電性のAu等からなるバンプ240を形成している。」(【0053】)
(第7の実装構造について)
「図(図13)の第7の実装構造では、半導体チップ70上に可撓性部材からなる複数の突起250を所定ピッチで縦横に格子状に並べて形成している。突起250内側には、突起250を没入させる空隙260を形成している。
突起250は、可擦性の合成樹脂シートで形成していて、ドーム状をしている。突起250は、可塑性であると共に熱可塑性の合成樹脂シートを加熱して軟化させた状態で、その合成樹脂シートをプレス成形金型で上下に挟み込むことにより、その合成樹脂シートに縦横に並べて形成している。
突起250周囲の合成樹脂シート部分は、電極72が形成された半導体チップ70部分及びそれに続く半導体チップ70部分に熱圧着している。
電極72直上の突起250周縁部分には、スルーホールに導体を充填してなるビア270を、突起250周緑部分を上下に貫通させて形成している。突起250表面には、金属めっき層等からなる端子280を形成している。端子280は、ビア270に連ねている。そして、該端子280を、ビア270を介して、半導体チップの電極72に電気的に接続している。」(【0057】〜【0060】)

<甲第2号証>
甲第2号証の特開昭64-1257号公報には、フリップチップ型の半導体装置に関する発明が第1図とともに開示され、さらに以下の事項が記載されている。
(発明が解決しようとする問題点について)
「実装の際にバンプ7には力Fがかかる。この力Fはパッシべ-ション膜5に直接作用する。・・・この結果、膜5にクラックが生じ、保護が不完全となることがあった。」(2頁左上欄5〜10行)
(実施例について)
「28は配線導体であり、第2図及び第3図に併せて示すように、一端を電極24に接続されて、第1のボリイミド層27上にハンダ形成予定箇所の方向に延出して形成してある。」(2頁左下欄末行〜右下欄3行)、
「バンプ21には、装置20の実装の際に力Fが作用し、及びその後の熱履歴による熱応力σが互いに逆向きに作用する。
この力Fはボリイミド層27をその厚み方向に伝わる間に緩和され、バッシベーション膜26には小さな力しか作用しない。・・・
従って、バッシベーション膜26に作用する力は僅かなものとなり、膜26にクラックは生ぜず、装置本体25の保護が損なわれることはない。」(2頁右下欄下から2行〜3頁左上欄9行)
第1図には、半導体装置本体25(半導体チップ)の表面に設けられた、凸部を有する配線導体28(第1電極)と、基板22(実装対象物)の表面に設けられた電極23(第2電極)とを、バンプ21(導電性バンプ)を介して接合してなる半導体チップの実装構造が記載されている。

<甲第3号証>
甲第3号証の特開平5-29389号公報には、フェイスダウン法によりフリップチップ接続する半導体素子の接続構造に関する発明が第1、3図とともに開示され、さらに以下の事項が記載されている。
(実施例について)
「本発明では、前記した従来の熱ひずみを緩和する手段として、素子の電極部あるいは接続基板のパッド部の少なくとも一方に、片持ち梁構造を有する突起部を設けるとともに、この片持ち梁を弾性変形量の大きい材料を用いて形成することによって、温度変化が生じた場合に発生する熱ひずみを緩和しようとするものである。
図1〜3は本発明による半導体素子の接続構造であり、1は半導体素子、2は接続基板、3 は半田バンプである。11は断面L字状に形成した片持ち梁からなる突起部である。図1においては、素子側に突起部11を設けている。この場合、半導体素子1に予め突起部をめつき若しくは蒸着により形成し、その後半田バンプを片持ち梁先端部に形成する。この素子を接続基板2 に位置合わせした後、リフロー炉に投入し、半田を溶融・凝固させて接続を得るものである。
・・・図3においては、素子、基板それぞれにまず突起部11、21を形成し、この後、素子に半田バンプを形成する。接続を得るための方法は上記方法と同様である。
前記片持ち梁を形成する材料としては、弾性変形量の大きい材料、例えばTi‐Ni 、Cu‐Al‐Ni、Au‐Cd 、Ag-Cd 、Cu‐Zn‐AI、Cu‐Sn 、Fe‐Pt 、Fe‐Pd 、ln‐Ti 、Ni‐AI 等の超弾性材料が望ましいが、図3に示すように、素子および基板双方に突起部を設けた場合に突起部を含む素子および突起部を含む基板間の熱変位量が極力小さくなるように材料を選択することによっても目的は達成される。また、片持ち梁構造の形状は必ずしも長方形断面の単純支持梁である必要はなく、例えば板ばね状にするなど必要に応じた形状にすることが可能である。」(【0007】〜【0010】)
図1、3には、突起部11と半導体素子1との間に空隙が形成された構造が示されている。

<甲第4号証>
甲第4号証の特開平6-37233号公報には、半導体チップを基板に高密度に実装する発明が図20、図21とともに開示され、さらに以下の事項が記載されている。
(実施例2について)
「前記実施例と同様の方法でリード5の一端を半導体チップ2のバンプ電極10上に接合し、リード5の他端側を実装基板1の対応するフットプリント4に重ね合わせる。この時、半導体チップ2のコーナー部と実装基板1との間に紫外線や熱によって硬化する樹脂22を充填し、外部から紫外線あるいは熱を供給して樹脂22を硬化させる。
上記の操作により、半導体チップ2は、樹脂22が硬化するときの収縮応力によって実装基板1の主面方向に付勢され、リード5の一端は、リード5と半導体チップ2との間に介在された突起6を介してフットプリント4に確実に圧接される。
その後、この状態で実装基板1および半導体チップ2を半田12の溶融温度以上の高温雰囲気に曝し、実装基板1の主面上に半導体チップ2をフェイスダウンボンディングする。この時、半導体チップ2に加わる樹脂22の収縮応力は、突起6の変形によって吸収、緩和されるので、この収縮応力による半導体チップ2のダメージを低減することができる。」(【0058】〜【0060】)
図21には、断面台形のリード5と半導体チップ2との間に空隙が形成されたものが記載されている。

(4)対比・判断
(4-1)特許法第29条の2違反について
<本件発明1>
本件発明1は、「第1電極および第2電極の少なくとも一方と、半導体チップおよび実装対象物の少なくとも一方の対応する表面との間に空隙を形成することにより、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方に対して、導電性バンプが接触する箇所に加圧により塑性変形可能な凸部を形成(し)・・・、前記半導体チップと前記実装対象物との間に圧力を印可して、・・・印可される圧力によって、・・・前記凸部がその高さ方向に塑性変形し、もって前記半導体チップに対する過剰な圧力の印加を防止する」点を有している。
これに対し、甲第1号証の図13には、半導体チップ70上に、表面に端子280を形成した可撓性部材からなる複数の突起250が格子状に並べて形成され、この突起250の内側には突起250を没入させる空隙260を形成したものが記載されているが、突起250表面の端子280上に形成されたバンプ300は、基板10上の接続端子50に突起250の弾性力を用いて圧接接続しているものであって、本件発明1のように塑性変形可能な凸部を形成する点については何も記載されていない。
したがって、本件発明1は、甲第1号証に記載された発明と同一であるとすることはできない。

<本件発明2>
本件発明2は、「第1電極および第2電極の少なくとも一方を、半導体チップおよび実装対象物の少なくとも一方の対応する表面に対して屈曲させることにより、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方に対して、導電性バンプが接触する箇所に加圧により塑性変形可能な凸部を形成(し)・・・、前記半導体チップと前記実装対象物との間に圧力を印加して、・・・印加される圧力によって、・・・前記凸部がその高さ方向に変形し、もって前記半導体チップに対する過剰な圧力の印加を防止する」点を有している。
これに対し、甲第1号証の第9、11図には、突起200表面の端子210が半導体チップ70上の電極72から基板10に向かって屈曲され、バンプ230、240を介して基板上の接続端子50に接続したものが記載されているが、端子210と接続端子50とは、バンプ230、250を介して突起200のもつ弾性力を用いて圧接接続しているから、圧接接続する際には、突起200表面の端子210は屈曲するものの、本件発明1のように塑性変形するものではない。
したがって、本件発明2は甲第1号証に記載された発明と同一であるとすることはできない。

<本件発明3、4>
本件発明3、4は本件発明1、2を引用する発明であって、本件発明1、2が甲第1号証に記載された発明と同一であるとすることができない以上、本件発明3、4についても甲第1号証に記載された発明と同一であるとすることはできない。

<本件発明5、6>
本件発明5、6の「塑性変形可能な凸部」については、上記のとおり、甲第1号証には何も記載されていない。
したがって、本件発明5、6は、甲第1号証に記載された発明と同一であるとすることはできない。

<本件発明7、8>
本件発明7、8は本件発明5、6を引用する発明であって、本件発明5、6が甲第1号証に記載された発明と同一であるとすることができない以上、本件発明7、8についても甲第1号証に記載された発明と同一であるとすることはできない。

(4-2)特許法第29条第2項違反について
<本件発明1>
甲第2号証に記載された、一端が半導体装置本体25の電極24に接続された配線導体28は、第1のポリイミド層27上に形成されたものであるから、本件発明1のように、第1、2電極の少なくとも一方と、半導体チップおよび実装対象物の少なくとも一方の対応する表面との間に空隙を形成するものではないし、ましてや、空隙を形成することにより、第1、2電極の少なくとも一方に対して加圧により塑性変形可能な凸部を形成したものでもない。
また、甲第3号証に記載された片持ち梁からなる突起部11は、半導体素子1あるいは接続基板2の少なくとも一方の対応する表面との間に空隙を形成しているが、この片持ち梁からなる突起部11は弾性変形量の大きい材料で形成されているから、本件発明1のように、第1、2電極の少なくとも一方と、半導体チップおよび実装対象物の少なくとも一方の対応する表面との間に空隙を形成することにより、第1、2電極の少なくとも一方に対して加圧により塑性変形可能な凸部を形成したものではない。
さらに、甲第4号証の図20、図21には、半導体チップ2と略同一寸法の絶縁フィルム11の全面に延在するリード5の中央部に凸部を形成することが記載されているものの、半導体チップ2のコーナー部と実装基板1との間に充填した樹脂22の収縮応力は、リード5と半導体チップ2との間に介在した突起6の変形によって吸収、緩和するものであって、本件発明1のように、第1、2電極の少なくとも一方と、半導体チップおよび実装対象物の少なくとも一方の対応する表面との間に空隙を形成することにより、第1、2電極の少なくとも一方に対して加圧により塑性変形可能な凸部を形成したものは記載されていないし示唆もされていない。
してみると、本件発明1は、甲第2〜4号証に記載されのものを如何に組み合わせてみても容易に想到することはできないし、しかも、導電性バンプに印加された過剰な圧力が凸部の塑性変形により吸収されるという顕著な効果を奏するものである。
したがって、本件発明1は、甲第2〜4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

<本件発明2>
甲第2号証に記載された配線導体28は基板22に対して屈曲し、また、甲第3号証に記載された突起部11は、半導体素子1,接続基板2の少なくとも一方に対応する表面に対して屈曲し、さらに、甲第4号証に記載されたリード5は基板1の対応する表面に対して屈曲しているものの、本件発明2のように、第1、2電極の少なくとも一方を、半導体チップおよび実装対象物の少なくとも一方の対応する表面に対して屈曲させることにより、第1、2電極の少なくとも一方に対して加圧により塑性変形可能な凸部を形成したものは記載されていないし示唆もされていない。
してみると、本件発明2は、甲第2〜4号証に記載されのものを如何に組み合わせてみても容易に想到することはできないし、しかも、導電性バンプに印加された過剰な圧力が凸部の塑性変形により吸収されるという顕著な効果を奏するものである。
したがって、本件発明2は、甲第2〜4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

<本件発明3、4>
本件発明3、4は本件発明1、2を引用する発明であって、本件発明1、2が甲第2〜4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができない以上、本件発明3、4についても甲第2〜4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

<本件発明5、6>
本件発明5、6は、本件発明1、2の「半導体チップの実装方法」の発明を「半導体チップの実装構造」の発明に変更したものにすぎず、その内容は本件発明1、2と実質的に相違しないから、本件発明5、6は、本件発明1、2と同様の理由により、甲第2〜4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

<本件発明7、8>
本件発明7、8は本件発明5、6を引用する発明であって、本件発明5、6が甲第2〜4号証に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができない以上、本件発明7、8についても甲第2〜4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

[4]むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件発明1〜8に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1〜8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
半導体チップの実装方法および実装構造
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 半導体チップの表面に設けられた第1電極と実装対象物の表面に設けられた第2電極とを導電性バンプを介して接合する半導体チップの実装方法において、
前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方と、前記半導体チップおよび前記実装対象物の少なくとも一方の対応する表面との間に空隙を形成することにより、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方に対して、前記導電性バンプが接触する箇所に加圧により塑性変形可能な凸部を形成する第1ステップと、
前記第1電極と前記第2電極との間に前記導電性バンプを介在させて、前記半導体チップの表面を前記実装対象物の表面に対向させる第2ステップと、
前記半導体チップと前記実装対象物との間に圧力を印加して、前記第1電極と前記第2電極とを前記導電性バンプを介して接合する第3ステップとを備え、
前記第3ステップで印加される圧力によって、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方に形成された前記凸部がその高さ方向1塑性変形し、もって前記半導体チップに対する過剰な圧力の印加を防止することを特徴とする半導体チップの実装方法。
【請求項2】 半導体チップの表面に設けられた第1電極と実装対象物の表面に設けられた第2電極とを導電性バンプを介して接合する半導体チップの実装方法において、
前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方を、前記半導体チップおよび前記実装対象物の少なくとも一方の対応する表面に対して屈曲させることにより、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方に対して、前記導電性バンプが接触する箇所に加圧により塑性変形可能な凸部を形成する第1ステップと、
前記第1電極と前記第2電極との間に前記導電性バンプを介在させて、前記半導体チップの表面を前記実装対象物の表面に対向させる第2ステップと、
前記半導体チップと前記実装対象物との間に圧力を印加して、前記第1電極と前記第2電極とを前記導電性バンプを介して接合する第3ステップとを備え、
前記第3ステップで印加される圧力によって、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方に形成された前記凸部がその高さ方向に塑性変形し、もって前記半導体チップに対する過剰な圧力の印加を防止することを特徴とする半導体チップの実装方法。
【請求項3】 前記第2ステップにおいて、前記半導体チップの表面を前記実装対象物の表面に対向させる前に、前記導電性バンプが前記第1電極および前記第2電極のいずれか一方に固着される請求項1または2記載の半導体チップの実装方法。
【請求項4】 前記第2ステップにおいて、前記半導体チップの表面を前記実装対象物の表面に対向させる前に、前記導電性バンプが前記第1電極および前記第2電極の双方にそれぞれ固着される請求項1または2記載の半導体チップの実装方法。
【請求項5】 半導体チップの表面に設けられた第1電極と実装対象物の表面に設けられた第2電極とを導電性バンプを介して接合してなる半導体チップの実装構造において、
前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方が、前記導電性バンプが接触する箇所に加圧により塑性変形可能な凸部を有しており、
前記凸部が、その凸部を備えた前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方と、前記半導体チップおよび前記実装対象物の少なくとも一方の対応する表面との間に空隙を有しており、
前記半導体チップを前記実装対象物に接合する際に印加される圧力によって前記凸部がその高さ方向に塑性変形し、もって前記半導体チップに対する過剰な圧力の印加を防止することを特徴とする半導体チップの実装構造。
【請求項6】 半導体チップの表面に設けられた第1電極と実装対象物の表面に設けられた第2電極とを導電性バンプを介して接合してなる半導体チップの実装構造において、
前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方が、前記導電性バンプが接触する箇所に加圧により塑性変形可能な凸部を有しており、
前記凸部を備えた前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方が、前記半導体チップおよび前記実装対象物の少なくとも一方の対応する表面に対して屈曲しており、
前記半導体チップを前記実装対象物に接合する際に印加される圧力によって前記凸部がその高さ方向に塑性変形し、もって前記半導体チップに対する過剰な圧力の印加を防止することを特徴とする半導体チップの実装構造。
【請求項7】 前記導電性バンプが、前記第1電極および前記第2電極のいずれか一方に固着された単一部分から形成されている請求項5または6記載の半導体チップの実装構造。
【請求項8】 前記導電性バンプが、前記第1電極に固着された第1部分と、前記第2電極に固着された第2部分とから形成されている請求項5または6記載の半導体チップの実装構造。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、半導体チップの実装方法および実装構造に関し、さらに言えば、回路基板等の実装対象物に対して導電性バンプを介して半導体チップを接合する、いわゆる「フリップチップ・ボンディング(flip-chip bonding)」型の半導体チップの実装方法および実装構造に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の半導体チップの実装構造の従来例を図8に示す。
【0003】図8において、半導体チップ101の表面101aには、導電性膜からなる複数の電極102が形成されている。それらの電極102の上には、ソルダ材からなる導電性バンプ103がそれぞれ形成されている。一方、回路基板111の表面111aには、導電性膜からなる複数の電極112が形成されている。それらの電極112の上には、ソルダ材からなる導電性バンプ113がそれぞれ形成されている。
【0004】この実装構造は、次のような実装工程により実現される。すなわち、まず、半導体チップ101の表面101aの電極102上にバンプ103を、回路基板111の表面111aの電極112上にバンプ113をそれぞれ固着させる。次に、半導体チップ101のバンプ103の端面103aを、回路基板111のバンプ113の端面113aに対向させる。その後、半導体チップ101と回路基板111の間に圧力を印加し、バンプ103とバンプ113を圧着する。さらに、加熱してバンプ103と113を溶解・凝固させることにより、それらのバンプ103と113とを機械的に接合させる。この機械的接合により、半導体チップ101の電極102と回路基板111の電極112とは電気的にも接続される。こうして、半導体チップ101が回路基板111上に実装される。
【0005】なお、特開平6-5748号公報には、この種の半導体チップの実装構造の他の従来例が開示されている。この公報に記載の実装構造では、半導体チップと回路基板との間に弾性材よりなる伝熱片が配置され、それによって半導体チップで発生する熱の放熱を効果的に行うようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の半導体Zチップの実装構造では、次のような問題点がある。
【0007】半導体チップ101または回路基板111に導電性バンプ103、113をそれぞれ形成または固着する際には、製造工程における種々の要因により、バンプ103、113の高さHとH’にバラツキ(誤差)が生じることが避けられない。このバラツキがあると、図8に示すように、高さHとH’が相対的に大きい領域121において、バンプ103、113の端面103a、113aが接触しても、高さHとH’が相対的に小さい領域122においては、端面103aと端面113aとの間に間隙105が生じてしまう。つまり、端面103aと端面113aとの間に接合不良を起こす。
【0008】この場合に、対向するバンプ103および113を全て圧着させて間隔105が生じないように、半導体チップ101と回路基板121の間の圧力を増加させると、接合不良は解消できる。しかし、こうすると、印加圧力は領域122では適正となるが領域121では過剰となる。この過剰な印加圧力は、半導体チップ101にクラックを発生させたり、印加圧力により発生した応力が半導体チップ101の電気的特性を変化させたりする、といった問題を引き起こす。
【0009】これらの問題は、シリコン(Si)に比べて割れやすく、また応力により電気的特性が変動しやすい化合物半導体(例えばGaAsなど)のチップの場合により顕著となる。すなわち、半導体チップ101が化合物半導体のチップである場合には、間隔105をなくすような十分な加圧が行えないため、対向するバンプ103および113の圧着が不十分となりやすく、接合不良を起こしやすい。
【0010】先に述べた特開平6-5748号公報に開示された半導体チップの実装構造は、半導体チップと回路基板との間に弾性材よりなる伝熱片を配置して放熱効率を改善するものであるから、この実装構造ではこれらの問題を解決することはできない。
【0011】そこで、この発明の目的は、導電性バンプの高さにバラツキがあっても、接合不良が生じない半導体チップの実装方法および実装構造を提供することにある。
【0012】この発明の他の目的は、実装時に半導体チップにクラックの発生や電気的特性の変化が生じる恐れのない半導体チップの実装方法および実装構造を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】(1) 請求項1に係る発明の半導体チップの実装方法は、半導体チップの表面に設けられた第1電極と実装対象物の表面に設けられた第2電極とを導電性バンプを介して接合する半導体チップの実装方法において、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方と、前記半導体チップおよび前記実装対象物の少なくとも一方の対応する表面との間に空隙を形成することにより、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方に対して、前記導電性バンプが接触する箇所に加圧により塑性変形可能な凸部を形成する第1ステップと、前記第1電極と前記第2電極との間に前記導電性バンプを介在させて、前記半導体チップの表面を前記実装対象物の表面に対向させる第2ステップと、前記半導体チップと前記実装対象物との間に圧力を印加して、前記第1電極と前記第2電極とを前記導電性バンプを介して接合する第3ステップとを備え、前記第3ステップで印加される圧力によって、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方に形成された前記凸部がその高さ方向に塑性変形し、もって前記半導体チップに対する過剰な圧力の印加を防止することを特徴とする。
請求項2に係る発明の半導体チップの実装方法は、半導体チップの表面に設けられた第1電極と実装対象物の表面に設けられた第2電極とを導電性バンプを介して接合する半導体チップの実装方法において、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方を、前記半導体チップおよび前記実装対象物の少なくとも一方の対応する表面に対して屈曲させることにより、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方に対して、前記導電性バンプが接触する箇所に加圧により塑性変形可能な凸部を形成する第1ステップと、前記第1電極と前記第2電極との間に前記導電性バンプを介在させて、前記半導体チップの表面を前記実装対象物の表面に対向させる第2ステップと、前記半導体チップと前記実装対象物との間に圧力を印加して、前記第1電極と前記第2電極とを前記導電性バンプを介して接合する第3ステップとを備え、前記第3ステップで印加される圧力によって、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方に形成された前記凸部がその高さ方向に塑性変形し、もって前記半導体チップに対する過剰な圧力の印加を防止することを特徴とする。
【0014】(2) 請求項1、2に係る発明の半導体チップの実装方法では、半導体チップの表面に設けられた第1電極と実装対象物の表面に設けられた第2電極の少なくとも一方に形成された凸部が、第3ステップで印加される圧力によってその高さ方向に塑性変形し、もって半導体チップに対する過剰な圧力の印加が防止される。このため、導電性バンプの高さにバラツキがあっても、印加された圧力をすべての第1電極と第2電極が導電性バンプを介して適正に接合されるように、且つ半導体チップに悪影響を与えないように設定することが可能となる。よって、導電性バンプの高さにバラツキがあっても接合不良が生じない。
【0015】また、印加された圧力は、半導体チップに悪影響を与えないように設定されるので、実装工程において半導体チップにクラックの発生や電気的特性の変化が生じない。
【0016】(3) 請求項1に係る発明の半導体チップの実装方法では、前記第1ステップにおいて、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方と、前記半導体チップおよび前記実装対象物の少なくとも一方の対応する表面との間に空隙を形成することにより、前記凸部が形成される。
【0017】請求項2に係る発明の半導体チップの実装方法では、前記第1ステップにおいて、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方を、前記半導体チップおよび前記実装対象物の少なくとも一方の対応する表面に対して屈曲させることにより、前記凸部が形成される。
【0018】請求項1または2に係る発明の半導体チップの実装方法のさらに好ましい例では、前記第2ステップにおいて、前記半導体チップの表面を前記実装対象物の表面に対向させる前に、前記導電性バンプが前記第1電極および前記第2電極のいずれか一方に固着される。
【0019】請求項1または2に係る発明の半導体チップの実装方法のさらに他の好ましい例では、前記第2ステップにおいて、前記半導体チップの表面を前記実装対象物の表面に対向させる前に、前記導電性バンプが前記第1電極および前記第2電極の双方にそれぞれ固着される。
【0020】(4) 請求項5に係る発明の半導体チップの実装構造は、半導体チップの表面に設けられた第1電極と実装対象物の表面に設けられた第2電極とを導電性バンプを介して接合してなる半導体チップの実装構造において、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方が、前記導電性バンプが接触する箇所に加圧により塑性変形可能な凸部を有しており、前記凸部が、その凸部を備えた前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方と、前記半導体チップおよび前記実装対象物の少なくとも一方の対応する表面との間に空隙を有しており、前記半導体チップを前記実装対象物に接合する際に印加される圧力によって前記凸部がその高さ方向に塑性変形し、もって前記半導体チップに対する過剰な圧力の印加を防止することを特徴とする。
請求項6に係る発明の半導体チップの実装構造は、半導体チップの表面に設けられた第1電極と実装対象物の表面に設けられた第2電極とを導電性バンプを介して接合してなる半導体チップの実装構造において、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方が、前記導電性バンプが接触する箇所に加圧により塑性変形可能な凸部を有しており、前記凸部を備えた前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方が、前記半導体チップおよび前記実装対象物の少なくとも一方の対応する表面に対して屈曲しており、前記半導体チップを前記実装対象物に接合する際に印加される圧力によって前記凸部がその高さ方向に塑性変形し、もって前記半導体チップに対する過剰な圧力の印加を防止することを特徴とする。
【0021】(5) 請求項5、6に係る発明の半導体チップの実装構造では、半導体チップの表面に設けられた第1電極と実装対象物の表面に設けられた第2電極の少なくとも一方に形成された凸部が、第3ステップで印加される圧力によってその高さ方向に塑性変形し、もって半導体チップに対する過剰な圧力の印加が防止される。このため、導電性バンプの高さにバラツキがあっても、印加された圧力をすべての第1電極と第2電極が導電性バンプを介して適正に接合されるように、且つ半導体チップに悪影響を与えないように設定することが可能となる。よって、導電性バンプの高さにバラツキがあっても接合不良が生じない。
【0022】また、印加された圧力は、半導体チップに悪影響を与えないように設定されるので、実装工程において半導体チップにクラックの発生や電気的特性の変化が生じない。
【0023】(6) 請求項5に係る発明の半導体チップの実装構造では、前記凸部が、その凸部を備えた前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方と、前記半導体チップおよび前記実装対象物の少なくとも一方の対応する表面との間に空隙を有する。
【0024】請求項6に係る発明の半導体チップの実装構造では、前記凸部を備えた前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方が、前記半導体チップおよび前記実装対象物の少なくとも一方の対応する表面に対して屈曲している。
【0025】請求項5または6に係る発明の半導体チップの実装構造のさらに好ましい例では、前記導電性バンプが、前記第1電極および前記第2電極のいずれか一方に固着された単一部分から形成される。
【0026】請求項5または6に係る発明の半導体チップの実装構造の他の好ましい例では、前記導電性バンプが、前記第1電極に固着された第1部分と、前記第2電極に固着された第2部分とから形成される。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、この発明の好適な実施の形態を添付図面を参照しながら具体的に説明する。
【0028】(第1実施形態)図1は、この発明の第1実施形態の半導体チップの実装構造に使用される半導体チップ1および回路基板21を示す。
【0029】図1(a)に示すように、この半導体チップ1は、本体部2の表面(電極形成面)3に形成された複数の電極10と、それら電極10上に固着された複数の導電性バンプ4を備えている。
【0030】各電極10は、導電性の膜をパターン化して形成されており、半導体チップ1の本体部2の表面3に沿って延在するリード部11と、表面3から離れて断面が略台形に屈曲したブリッジ部12とを備えて構成されている。ブリッジ部12と表面3との間には、断面が略台形の空隙14が形成されている。空隙14には、大気が封入されている。こうして、ブリッジ部12はエアブリッジ構造をなしている。
【0031】各バンプ4は、略円錐台形状をなし、対応する電極10のブリッジ部12上に固着されている。
【0032】各電極10は、例えば、幅が90±9μm、膜厚が3±0.3μmのストライプ状のAu膜により形成される。半導体チップ1の表面3から電極10のブリッジ部12の内面までの距離(空隙14の高さ)d1は、例えば10±1μmとなるように形成される。ブリッジ部12の平坦部の幅L1は、例えば90±9μmである。各バンプ4は、例えば、最大直径D1が60±6μm、ブリッジ部12の平坦部の外面からの高さT1が30±3μmの円錐台形とされる。各バンプ4は、例えばPb/Snなどのソルダ材で形成される。
【0033】図1(b)に示すように、この回路基板21は、本体部22の表面(チップ実装面)23に形成された複数の電極30と、それら電極30上に固着された複数の導電性バンプ24を備えている。
【0034】各電極30は、導電性の膜をパターン化して形成されており、回路基板21の本体部22の表面23に沿って延在するリード部31と、表面23から離れて断面が略台形に屈曲したブリッジ部32とを備えて構成されている。ブリッジ部32と表面23との間には、断面が略台形の空隙34が形成されている。空隙34には、大気が封入されている。こうして、ブリッジ部32はエアブリッジ構造をなしている。
【0035】各バンプ24は、略円錐台形状をなし、電極30のブリッジ部32上に固着されている。
【0036】各電極30は、例えば、幅が90±9μm、膜厚が3±0.3μmのストライプ状のAu膜により形成される。回路基板21の表面23から電極30のブリッジ部32の内面までの距離(空隙34の高さ)d2は、10±1μmとなるように形成される。ブリッジ部32の平坦部の幅L2は、例えば90±9μmである。各バンプ24は、例えば、最大直径D2が60±6μm、ブリッジ部32の平坦部の外面からの高さT2が30±3μmの円錐台形とされる。各バンプ24は、例えばPb/Snなどのソルダ材で形成される。
【0037】以上の構成を持つ半導体チップ1は、例えば図2(a)〜図2(d)に示すようにして製造される。
【0038】まず、本体部2の表面3の全面に、厚さの均一なポリイミド膜(例えば、厚さ3±0.3μm)を例えばスピンコート法により形成する。その後、このポリイミド膜に対して、公知のフォトレジスト技術を用いてパターニングを行い、図2(a)に示すように、表面3上の所定箇所にスペーサ60を形成する。
【0039】次に、本体部2の表面3上に、スペーサ60と重なるように電極10用の金属膜(例えばAu膜)を形成した後、フォトレジスト技術を用いてその金属膜を所定形状にパターン化する。次いで、このパターン化した金属膜の開口部にAuメッキを施す。こうして、図2(b)に示すように、スペーサ60を被覆する電極10が表面3上に形成される。このとき、スペーサ60により金属膜の一部が盛り上がり、電極10のブリッジ部12が形成される。この金属膜の表面3に接触する部分は、リード部11となる。
【0040】次に、図2(c)に示すように、こうして形成した電極10のブリッジ部12の上に、例えばボール・ボンディング法によりPb/Snソルダからなる導電性バンプ4が形成され、ブリッジ部12に固着される。
【0041】最後に、電極10のブリッジ部12下にあるスペーサ60を、酸素プラズマや適当な溶剤を用いて除去する。こうして、図2(d)に示すように、ブリッジ部12と表面3との間にエアブリッジ構造を形成する空隙14が形成され、図1(a)に示す半導体チップ1が得られる。
【0042】回路基板21は、以上のような半導体チップ1の製法と同じ製法により得られる。
【0043】次に、以上の構成を持つ半導体チップ1を回路基板21に実装する方法について、図3を参照しながら説明する。
【0044】まず、裏面をコレットに吸着させた半導体チップ1の表面2を、上向きの保持した回路基板21の表面22に対向させて配置する。このとき、半導体チップ1のバンプ4とそれらバンプ4と接合される回路基板21のバンプ24とが一対一に対向するように、半導体チップ1の位置合わせがなされる。
【0045】次に、半導体チップ1を回路基板21に向けて下降し、図3(a)に示すように、半導体チップ1のバンプ4の端面4aを回路基板21の対応するバンプ24の端面24aにそれぞれ当接させる。
【0046】ここで、領域51のバンプ4とバンプ24の高さは、領域52のバンプ4とバンプ24の高さよりも大きいと仮定する。また、領域51および領域52におけるバンプ4の端面4aから半導体チップ1の表面3までの高さをそれぞれH1およびH3とし、領域51および領域52におけるバンプ24の端面24aから回路基板21の表面23までの高さをそれぞれH2およびH4とする。
【0047】すると、
(H1 + H2)>(H3 + H4)
の関係式が成立する。この関係式は、図3(a)に示すように、領域51におけるバンプ4とバンプ24の端面4aおよび24aが互いに当接した時に、領域52におけるバンプ4とバンプ24の端面4aおよび24aの間には間隙40が生じることを意味する。
【0048】次に、図3(b)に示すように、半導体チップ1の本体部2に矢印55の向き(下向き)に圧力を印加し、半導体チップ1上の全バンプ4を回路基板21上の全バンプ24に対して押し付ける。例えば、半導体チップ1の表面3と回路基板21の表面23との間隔H5が、
H5≒(H3 + H4)
となるように圧力を印加する。この場合、領域52においては、対向するバンプ4と24との間には適正な圧力が作用するが、領域51においては、対向するバンプ4と24との間には適正な圧力を上回る過剰の圧力が作用する。
【0049】しかし、バンプ4および24はいずれもPb/Snなどのソルダ材で形成されており、また、電極10および30は薄いAu膜により形成されているため、電極10および30のブリッジ部12および22の機械的強度はバンプ4および24のそれよりも低い。このため、印加された圧力により、ブリッジ部12および32が図3(b)に示すようにそれぞれ変形し、その結果、バンプ4と24はそれぞれ対応する表面3と23に近づく。Au膜は靱性が高いため、この際に電極10および12が破断することはない。
【0050】このようにして、領域51では、バンプ4および24に印加された過剰な圧力がブリッジ部12および22の塑性変形により吸収される。このため、領域51のバンプ4が半導体チップ1の本体部2に過大な負荷を作用させる恐れがない。
【0051】印加圧力がさらに増加すると、領域52のブリッジ部12と32も塑性変形を始める。領域51のブリッジ部12と32の変形が可能な限り、バンプ4および24に印加される圧力はブリッジ部12と32により吸収されることができる。
【0052】例えば、半導体チップ1のバンプ4の高さT1と回路基板21のバンプ24の高さT2がそれぞれ30±3μm、ブリッジ部12の高さd1とブリッジ部32の高さd2がそれぞれ10±1μmである場合、電極10と30の厚さが同じとすると、対向するバンプ4と24の間隙40の最大値は14μmである。また、ブリッジ部12の空隙14の高さd1とブリッジ部32の空隙34の高さd2の和(d1+d2)の最小値は18μmである。よって、バンプ4と24の間の全ての間隙40がなくなるように圧力を印加しても、バンプ4と24に加わる圧力はブリッジ部12と32の塑性変形により吸収される。よって、十分な圧力を印加してすべてのバンプ4と24を圧着することができる。しかも、半導体チップ1の本体部2にクラックが発生したり、過剰な応力の発生により半導体チップ1の電気的特性が劣化することもない。
【0053】(第2実施形態)図4は、この発明の第2実施形態の半導体チップの実装構造を示す。
【0054】図4に示すように、第2実施形態の実装構造は、半導体チップ1と回路基板21の接合に際して、半導体チップ1側の電極10にのみ導電性バンプ4を固着し、回路基板21の電極30には導電性バンプ24を固着していない点で、上述した第1実施形態の半導体チップの実装構造と異なる。その他の構成は第1実施形態のそれと同じである。よって、図4において同一または対応する構成要素に図3(b)と同じ符号を付して、同一構成の部分についての説明は省略する。
【0055】第2実施形態の実装構造では、半導体チップ1側の電極10のブリッジ部12に固着されたバンプ4の端面4aが直接、回路基板21の電極30のブリッジ部32に接合されている。
【0056】第2実施形態の実装構造においても、第1実施形態と同じ作用効果が得られることは明らかである。
【0057】なお、図4の構成とは逆に、半導体チップ1側の電極10に導電性バンプ4を固着しないで、回路基板21の電極30にのみ導電性バンプ24を固着してもよいことは勿論である。
【0058】(第3実施形態)図5は、この発明の第3実施形態の半導体チップの実装構造を示す。
【0059】図5に示すように、第3実施形態の実装構造は、半導体チップ1と回路基板21の接合に際して、半導体チップ1側の電極10にのみブリッジ部12と導電性バンプ4とを設け、回路基板21の電極26にはブリッジ部と導電性バンプを設けていない点で、上述した第1実施形態の半導体チップの実装構造と異なる。その他の構成は第1実施形態のそれと同じである。よって、図5において同一または対応する構成要素に図3(b)と同じ符号を付して、同一構成の部分についての説明は省略する。
【0060】第3実施形態の実装構造では、図5に示すように、回路基板21の電極26はバンプ4の接触箇所の周囲だけでなくその接触箇所自体も平坦であり、ブリッジ部を備えていない。半導体チップ1側の電極10のブリッジ部12に固着されたバンプ4の端面4aが直接、回路基板21の平坦な電極26に接合されている。
【0061】第3実施形態の実装構造においては、回路基板21の電極26にブリッジ部と導電性バンプを設けていないため、バンプ4に作用する過剰な圧力を吸収する範囲は第1実施形態のそれに比べて減少するが、それ以外は第1実施形態と同じ作用効果が得られる。
【0062】(第4実施形態)図6は、この発明の第4実施形態の半導体チップの実装構造を示す。
【0063】図6に示すように、第4実施形態の実装構造は、半導体チップ1と回路基板21の接合に際して、回路基板21の電極にブリッジ部を設けていない点で、上述した第1実施形態の半導体チップの実装構造と異なる。その他の構成は第1実施形態のそれと同じである。よって、図6において同一または対応する構成要素に図3(b)と同じ符号を付して、同一構成の部分についての説明は省略する。
【0064】第4実施形態の実装構造では、図6に示すように、回路基板21の電極26はバンプ24の固着箇所だけでなくその周囲も平坦であり、ブリッジ部を備えていない。半導体チップ1側の電極10のブリッジ部12に固着されたバンプ4の端面4aが、回路基板21の平坦な電極26に固着されたバンプ24の端面24aに接合されている。
【0065】第4実施形態の実装構造においては、回路基板21の電極26にブリッジ部を設けていないため、バンプ4と24に作用する過剰な圧力を吸収する範囲は第1実施形態のそれに比べて減少するが、それ以外は第1実施形態と同じ作用効果が得られる。
【0066】(第5実施形態)図7は、この発明の第5実施形態の半導体チップの実装構造を示す。
【0067】図7に示すように、第5実施形態の実装構造は、半導体チップ1と回路基板21の接合に際して、半導体チップ1の電極6にブリッジ部を設けていない点で、上述した第1実施形態の半導体チップの実装構造と異なる。その他の構成は第1実施形態のそれと同じである。よって、図7において同一または対応する構成要素に図3(b)と同じ符号を付して、同一構成の部分についての説明は省略する。
【0068】第5実施形態の実装構造では、図7に示すように、半導体チップ1の電極6はバンプ4の固着箇所だけでなくその周囲も平坦であり、ブリッジ部を備えていない。回路基板21側の電極30のブリッジ部32に固着されたバンプ24の端面24aが、半導体チップ1の平坦な電極6に固着されたバンプ4の端面4aに接合されている。
【0069】第5実施形態の実装構造においては、半導体チップ1の電極6にブリッジ部を設けていないため、バンプ4と24に作用する過剰な圧力を吸収する範囲は第1実施形態のそれに比べて減少するが、それ以外は第1実施形態と同じ作用効果が得られる。
【0070】なお、上述した第1〜第5の実施形態では、半導体チップを回路基板上に実装しているが、実装対象物としては回路基板以外のものも使用可能である。
【0071】
【発明の効果】以上説明した通り、この発明の半導体チップの実装方法および実装構造では、導電性バンプの高さにバラツキがあっても、接合不良が生じない。また、実装時に半導体チップにクラックの発生や電気的特性の変化が生じる恐れがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、この発明の第1実施形態の半導体チップの実装構造に使用される半導体チップを示す部分断面図、(b)は同回路基板を示す部分断面図である。
【図2】この発明の第1実施形態の半導体チップの実装構造に使用される半導体チップの製造工程を示す部分断面図である。
【図3】この発明の第1実施形態の半導体チップの実装構造の実装工程を示す部分断面図である。【図4】この発明の第2実施形態の半導体チップの実装構造を示す部分断面図である。
【図5】この発明の第3実施形態の半導体チップの実装構造を示す部分断面図である。
【図6】この発明の第4実施形態の半導体チップの実装構造を示す部分断面図である。
【図7】この発明の第5実施形態の半導体チップの実装構造を示す部分断面図である。
【図8】従来の半導体チップの実装構造を示す部分断面図である。
【符号の説明】
1 半導体チップ
2 半導体チップの本体部
3 半導体チップの本体部の表面
4 半導体チップのバンプ
6 半導体チップの電極
10 半導体チップの電極
11 半導体チップの電極のリード部
12 半導体チップの電極のブリッジ部
14 半導体チップの電極の空隙
21 回路基板
22 回路基板の本体部
23 回路基板の本体部の表面
24 回路基板のバンプ
26 回路基板の電極
30 回路基板の電極
31 回路基板の電極のリード部
32 回路基板の電極のブリッジ部
34 回路基板の電極の空隙
51、52 領域
40 バンプ間の間隙
60 スペーサ
 
訂正の要旨 訂正の要旨
訂正事項(a)〜(t)
(a)特許請求の範囲の減縮を目的として、特許明細書の請求項2を請求項1として、「【請求項1】半導体チップの表面に設けられた第1電極と実装対象物の表面に設けられた第2電極とを導電性バンプを介して接合する半導体チップの実装方法において、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方と、前記半導体チップおよひ前記実装対象物の少なくとも一方の対応する表面との間に空隙を形成することにより、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方に対して、前記導電性バンプが接触する箇所に加圧により塑性変形可能な凸部を形成する第1ステップと、前記第1電極と前記第2電極との間に前記導電性バンプを介在させて、前記半導体チップの表面を前記実装対象物の表面に対向させる第2ステップと、前記半導体チップと前記実装対象物との間に圧力を印加して、前記第1電極と前記第2電極とを前記導電性バンプを介して接合する第3ステップとを備え、前記第3ステップで印加される圧力によって、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方に形成された前記凸部がその高さ方向に塑性変形し、もって前記半導体チップに対する過剰な圧力の印加を防止することを特徴とする半導体チップの実装方法。」と訂正する。
(b)特許請求の範囲の減縮を目的として、特許明細書の請求項3を請求項2として、「【請求項2】半導体チップの表面に設けられた第1電極と実装対象物の表面に設けられた第2電極とを導電性バンプを介して接合する半導体チップの実装方法において、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方を、前記半導体チップおよび前記実装対象物の少なくとも一方の対応する表面に対して屈曲させることにより、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方に対して、前記導電性バンプが接触する箇所に加圧により塑性変形可能な凸部を形成する第1ステップと、前記第1電極と前記第2電極との間に前記導電性バンプを介在させて、前記半導体チップの表面を前記実装対象物の表面に対向させる第2ステップと、前記半導体チップと前記実装対象物との間に圧力を印加して、前記第1電極と前記第2電極とを前記導電性バンプを介して接合する第3ステップとを備え、前記第3ステップて印加される圧力によって、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方に形成された前記凸部がその高さ方向に塑性変形し、もって前記半導体チップに対する過剰な圧力の印加を防止することを特徴とする半導体チップの実装方法。」と訂正する。
(c)特許請求の範囲の減縮を目的として、特許明細書の請求項4を請求項3として、「【請求項3】前記第2ステップにおいて、前記半導体チップの表面を前記実装対象物の表面に対向させる前に、前記導電性バンプが前記第1電極および前記第2電極のいずれか一方に固着される請求項1または2記載の半導体チップの実装方法。」と訂正する。
(d)特許請求の範囲の減縮を目的として、特許明細書の請求項5を請求項4として、「【請求項4】前記第2ステップにおいて、前記半導体チップの表面を前記実装対象物の表面に対向させる前に、前記導電性バンプが前記第1電極および前記第2電極の双方にそれぞれ固着される請求項1または2記載の半導体チップの実装方法。」と訂正する。
(e)特許請求の範囲の減縮を目的として、特許明細書の請求項7を請求項5として、「【請求項5】半導体チップの表面に設けられた第1電極と実装対象物の表面に設けられた第2電極とを導電性バンプを介して接合してなる半導体チップの実装構造において、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方が、前記導電性バンプが接触する箇所に加圧により塑性変形可能な凸部を有しており、前記凸部が、その凸部を備えた前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方と、前記半導体チップおよび前記実装対象物の少なくとも一方の対応する表面との間に空隙を有しており、前記半導体チップを前記実装対象物に接合する際に印加される圧力によって前記凸部がその高さ方向に塑性変形し、もって前記半導体チップに対する過剰な圧力の印加を防止することを特徴とする半導体チップの実装構造。」と訂正する。
(f)特許請求の範囲の減縮を目的として、特許明細書の請求項8を請求項6として、「【請求項6】半導体チップの表面に設けられた第1電極と実装対象物の表面に設けられた第2電極とを導電性バンプを介して接合してなる半導体チップの実装構造において、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方が、前記導電性バンプが接触する箇所に加圧により塑性変形可能な凸部を有しており、前記凸部を備えた前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方が、前記半導体チップおよび前記実装対象物の少なくとも一方の対応する表面に対して屈曲しており、前記半導体チップを前記実装対象物に接合する際に印加される圧力によって前記凸部がその高さ方向に塑性変形し、もって前記半導体チップに対する過剰な圧力の印加を防止することを特徴とする半導体チップの実装構造。」と訂正する。
(g)特許請求の範囲の減縮を目的として、特許明細書の請求項9を請求項7として、「【請求項7】前記導電性バンプが、前記第1電極および前記第2電極のいずれか一方に固着された単一部分から形成されている請求項5または6記載の半導体チップの実装構造。」と訂正する。
(h)特許請求の範囲の減縮を目的として、特許明細書の請求項10を請求項8として、「【請求項8】前記導電性バンプが、前記第1電極に固着された第1部分と、前記第2電極に固着された第2部分とから形成されている請求項5または6記載の半導体チップの実装構造。」と訂正する。
(i)明りょうでない記載の釈明を目的として、特許明細書の段落【0013】を、「【0013】【課題を解決するための手段】(1)請求項1に係る発明の半導体チップの実装方法は、半導体チップの表面に設けられた第1電極と実装対象物の表面に設けられた第2電極とを導電性バンプを介して接合する半導体チップの実装方法において、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方と、前記半導体チップおよび前記実装対象物の少なくとも一方の対応する表面との間に空隙を形成することにより、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方に対して、前記導電性バンプが接触する箇所により塑性変形可能な凸部を形成する第1ステップと、前記第1電極と前記第2電極との間に前記導電性バンプを介在させて、前記半導体チップの表面を前記実装対象物の表面に対向させる第2ステップと、前記半導体チップと前記実装対象物との間に圧力を印加して、前記第1電極と前記第2電極とを前記導電性バンプを介して接合する第3ステップとを備え、前記第3ステップで印加される圧力によって、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方に形成された前記凸部がその高さ方向に塑性変形し、もって前記半導体チップに対する過剰な圧力の印加を防止することを特徴とする。請求項2に係る発明の半導体チップの実装方法は、半導体チップの表面に設けられた第1電極と実装対象物の表面に設けられた第2電極とを導電性バンプを介して接合する半導体チップの実装方法において、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方を、前記半導体チップおよび前記実装対象物の少なくとも一方の対応する表面に対して屈曲させることにより、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方に対して、前記導電性バンプが接触する箇所に加圧により塑性変形可能な凸部を形成する第1ステップと、前記第1電極と前記第2電極との間に前記導電性バンプを介在させて、前記半導体チップの表面を前記実装対象物の表面に対向させる第2ステップと、前記半導体チップと前記実装対象物との間に圧力を印加して、前記第1電極と前記第2電極とを前記導電性バンプを介して接合する第3ステップとを備え、前記第3ステップで印加される圧力によって、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方に形成された前記凸部がその高さ方向に塑性変形し、もって前記半導体チップに対する過剰な圧力の印加を防止することを特徴とする。」と訂正する。
(j)明りょうでない記載の釈明を目的として、特許明細書の段落【0014】を、「【0014】(2)請求項1、2に係る発明の半導体チップの実装方法では、半導体チップの表面に設けられた第1電極と実装対象物の表面に設けられた第2電極の少なくとも一方に形成された凸部が、第3ステップで印加される圧力によってその高さ方向に塑性変形し、もって半導体チップに対する過剰な圧力の印加が防止される。このため、導電性バンプの高さにバラツキがあっても、印加された圧力をすべての第1電極と第2電極が導電性バンプを介して適正に接合されるように、且つ半導体チップに悪影響を与えないように設定することが可能となる。
よって、導電性バンプの高さにバラツキがあっても接合不良が生じない。」と訂正する。
(k)明りょうでない記載の釈明を目的として、特許明細書の段落【0016】を、「【0016】(3)請求項1に係る発明の半導体チップの実装方法では、前記第1ステップにおいて、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方と、前記半導体チップおよび前記実装対象物の少なくとも一方の対応する表面との間に空隙を形成することにより、前記凸部が形成される。」と訂正する。
(l)明りょうでない記載の釈明を目的として、特許明細書の段落【0017】を、「【0017】請求項2に係る発明の半導体チップの実装方法では、前記第1ステップにおいて、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方を、前記半導体チップおよび前記実装対象物の少なくとも一方の対応する表面に対して屈曲させることにより、前記凸部が形成される。」と訂正する。
(m)明りょうでない記載の釈明を目的として、特許明細書の段落【0018】を、「【0018】請求項1または2に係る発明の半導体チップの実装方法のさらに好ましい例では、前記第2ステップにおいて、前記半導体チップの表面を前記実装対象物の表面に対向させる前に、前記導電性バンプが前記第1電極および前記第2電極のいずれか一方に固着される。」と訂正する。
(n)明りょうでない記載の釈明を目的として、特許明細書の段落【0019】を、「【0019】請求項1または2に係る発明の半導体チップの実装方法のさらに他の好ましい例では、前記第2ステップにおいて、前記半導体チップの表面を前記実装対象物の表面に対向させる前に、前記導電性バンプが前記第1電極および前記第2電極の双方にそれぞれ固着される。」と訂正する。
(o)明りょうでない記載の釈明を目的として、特許明細書の段落【0020】を、「【0020】(4)請求項5に係る発明の半導体チップの実装構造は、半導体チップの表面に設けられた第1電極と実装対象物の表面に設けられた第2電極とを導電性バンプを介して接合してなる半導体チップの実装構造において、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方が、前記導電性バンプが接触する箇所に加圧により塑性変形可能な凸部を有しており、前記凸部が、その凸部を備えた前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方と、前記半導体チップおよび前記実装対象物の少なくとも一方の対応する表面との間に空隙を有しており、前記半導体チップを前記実装対象物に接合する際に印加される圧力によって前記凸部がその高さ方向に塑性変形し、もって前記半導体チップに対する過剰な圧力の印加を防止することを特徴とする。請求項6に係る発明の半導体チップの実装構造は、半導体チップの表面に設けられた第1電極と実装対象物の表面に設けられた第2電極とを導電性バンプを介して接合してなる半導体チップの実装構造において、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方が、前記導電性バンプが接触する箇所に加圧により塑性変形可能な凸部を有しており、前記凸部を備えた前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方が、前記半導体チップおよび前記実装対象物の少なくとも一方の対応する表面に対して屈曲しており、前記半導体チップを前記実装対象物に接合する際に印加される圧力によって前記凸部がその高さ方向に塑性変形し、もって前記半導体チップに対する過剰な圧力の印加を防止することを特徴とする。」と訂正する。
(p)明りょうでない記載の釈明を目的として、特許明細書の段落【0021】を、「【0021】(5)請求項5、6に係る発明の半導体チップの実装構造では、半導体チップの表面に設けられた第1電極と実装対象物の表面に設けられた第2電極の少なくとも一方に形成された凸部が、第3ステップで印加される圧力によってその高さ方向に塑性変形し、もって半導体チップに対する過剰な圧力の印加が防止される。このため、導電性バンプの高さにバラツキがあっても、印加された圧力をすべての第1電極と第2電極が導電性バンプを介して適正に接合されるように、且つ半導体チップに悪影響を与えないように設定することが可能となる。よって、導電性バンプの高さにバラツキがあっても接合不良が生じない。」と訂正する。
(q)明りょうでない記載の釈明を目的として、特許明細書の段落【0023】を、「【0023】(6)請求項5に係る発明の半導体チップの実装構造では、前記凸部が、その凸部を備えた前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方と、前記半導体チップおよび前記実装対象物の少なくとも一方の対応する表面との間に空隙を有する。」と訂正する。
(r)明りょうでない記載の釈明を目的として、特許明細書の段落【0024】を、「【0024】請求項6に係る発明の半導体チップの実装構造では、前記凸部を備えた前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方が、前記半導体チップおよび前記実装対象物の少なくとも一方の対応する表面に対して屈曲している。」と訂正する。
(s)明りょうでない記載の釈明を目的として、特許明細書の段落【0025】を、「【0025】請求項5または6に係る発明の半導体チップの実装構造のさらに好ましい例では、前記導電性バンプが、前記第1電極および前記第2電極のいずれか一方に固着された単一部分から形成される。」と訂正する。
(t)明りょうでない記載の釈明を目的として、特許明細書の段落【0026】を、「【0026】請求項5または6に係る発明の半導体チップの実装構造の他の好ましい例では、前記導電性バンプが、前記第1電極に固着された第1部分と、前記第2電極に固着された第2部分とから形成される。」と訂正する。
異議決定日 2002-09-24 
出願番号 特願平10-562
審決分類 P 1 651・ 161- YA (H01L)
P 1 651・ 121- YA (H01L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 川真田 秀男  
特許庁審判長 関根 恒也
特許庁審判官 市川 裕司
伊藤 明
登録日 2000-04-21 
登録番号 特許第3058409号(P3058409)
権利者 日本電気株式会社
発明の名称 半導体チップの実装方法および実装構造  
代理人 河合 信明  
代理人 河合 信明  
代理人 京本 直樹  
代理人 京本 直樹  
代理人 福田 修一  
代理人 福田 修一  

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