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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C08L
管理番号 1068944
異議申立番号 異議2000-72588  
総通号数 37 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1993-03-19 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-06-27 
確定日 2002-09-11 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2995309号「硬化性組成物」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2995309号の請求項1に係る特許を取り消す。 
理由 I.手続の経緯
本件特許第2995309号の請求項1に係る発明についての出願は、平成3年9月9日に特許出願され、平成11年10月29日にその発明について特許権の設定登録がなされ、その後、特許異議の申立がなされ、取消の理由が通知され、その指定期間内である平成13年1月9日付けで訂正請求がなされたものである。
II.訂正請求について
1.訂正の内容
訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1の「で示される繰り返し単位からなり、分枝鎖がなく直鎖状であり、水酸基または加水分解性基の結合したケイ素原子を含むケイ素原子含有基を少なくとも1個有するオキシプロピレン重合体であって、Mw/Mnが1.6以下であるオキシプロピレン重合体」を
「で示される繰り返し単位からなり、分枝鎖がなく直鎖状であり、水酸基または加水分解性基の結合したケイ素原子を含むケイ素原子含有基を少なくとも1個有するオキシプロピレン重合体であって、数平均分子量が8,000以上で、Mw/Mnが1.6以下であるオキシプロピレン重合体」と訂正し、
「で示される繰り返し単位からなり、1本以上の分枝鎖を有し、水酸基または加水分解性基の結合したケイ素原子を含むケイ素原子含有基を少なくとも1個有するオキシプロピレン重合体であって、Mw/Mnが1.6以下であるオキシプロピレン重合体」を
「で示される繰り返し単位からなり、1本以上の分枝鎖を有し、水酸基または加水分解性基の結合したケイ素原子を含むケイ素原子含有基を少なくとも1個有するオキシプロピレン重合体であって、数平均分子量が8,000以上でMw/Mnが1.6以下であるオキシプロピレン重合体」と訂正する。
訂正事項b
明細書の段落【0010】及び段落【0012】に記載の「反応性ケイ素基含有オキシプロピレン重合体であって、Mw/Mnが」を「反応性ケイ素基含有オキシプロピレン重合体であって、数平均分子量が8,000以上で、Mw/Mnが」と訂正する。
訂正事項c
明細書の段落【0038】に記載の「(A)成分、及び(B)成分の反応性ケイ素基含有オキシプロピレン重合体の数平均分子量(Mn)としては、4,000以上のものが好ましく、8,000以上のものがさらに好ましい。」を「(A)成分、及び(B)成分の反応性ケイ素基含有オキシプロピレン重合体の数平均分子量(Mn)としては、8,000以上である。」と訂正する。
2.訂正の適否について
訂正事項aは、訂正前の請求項1に記載された(A)成分、及び(B)成分のオキシプロピレン重合体の数平均分子量を8,000以上とするものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。
訂正事項b〜訂正事項cは、特許請求の範囲の訂正に伴い生じた発明の詳細な説明の記載との齟齬を訂正するものであり、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。
そして、いずれの訂正事項も、明細書に記載した事項の範囲内の訂正であり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではない。
3.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する同第126条第1項ただし書き、第2項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
III.本件発明
訂正後の請求項1に係る発明は、訂正明細書の請求項1に記載されたとおりのものであって、次のとおりのものである。
「【請求項1】(A)重合主鎖が本質的に、
【化1】


で示される繰り返し単位からなり、分枝鎖がなく直鎖状であり、水酸基または加水分解性基の結合したケイ素原子を含むケイ素原子含有基を少なくとも1個有するオキシプロピレン重合体であって、数平均分子量が8,000以上で、Mw/Mnが1.6以下であるオキシプロピレン重合体、及び
(B)重合主鎖が本質的に、
【化2】


で示される繰り返し単位からなり、1本以上の分枝鎖を有し、水酸基または加水分解性基の結合したケイ素原子を含むケイ素原子含有基を少なくとも1個有するオキシプロピレン重合体であって、数平均分子量が8,000以上でMw/Mnが1.6以下であるオキシプロピレン重合体を含有する硬化性組成物。」
IV.特許異議申立について
1.特許異議申立の概要
特許異議申立人 旭硝子株式会社は、甲第1〜6号証を提出して、訂正前の特許第2995309号の請求項1に係る発明は、前記甲第1号証に記載された発明であるから、訂正前の請求項1に係る発明の特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、また、訂正前の請求項1に係る発明は、前記甲第1、3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、さらに、請求項1に係る発明は、前記甲第6号証に記載された発明と同一であるから、訂正前の請求項1に係る発明の特許は、特許法第29条の2第1項の規定に違反してされたものであるから、取り消されるべき旨主張している。
2.特許異議申立についての判断
(1)特許法第29条第1項違反について
(i)引用刊行物
当審が通知した取消の理由に引用した刊行物1(特開平3-72527号公報、特許異議申立人が提出した甲第1号証、以下引用例1という)には、以下の事項が記載されている。
(ア)「(4)複合金属シアン化物錯体触媒の存在下イニシェーターに炭素数3以上のモノエポキサイドを開環付加重合させ、つづいて分子末端の水酸基を不飽和基に変換し、さらに不飽和基に加水分解性基を有するヒドロシリコン化合物を反応させることを特徴とする、加水分解性シリル基末端ポリアルキレンオキシドの製造法。」(特許請求の範囲4項)
(イ)「(12)請求項第4項記載の方法で製造された加水分解性シリル基末端ポリアルキレンオキシドを硬化成分とする湿気硬化性樹脂組成物。」(特許請求の範囲12項)
(ウ)「本発明で用いられる炭素数3以上のモノエポキサイドとしては、プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド・・・などの脂肪族アルキレンオキシド、・・・特にプロピレンオキシドが好ましい。」(3頁左上欄11〜19行)
(エ)「本発明で用いられるイニシエーターとしては、多価アルコール、多価フェノール、多価カルボン酸などの多価活性水素含有化合物、・・・多価活性水素含有化合物としては2〜8価の多価アルコールが好ましい。特に、3〜4価の多価アルコール、2価アルコールと3〜8価の多価アルコールとの混合物等が好ましい。不飽和基含有活性水素含有化合物としては特にアリルアルコールが好ましい。」(3頁右上欄第2〜15行)
(オ)「本発明における上記のような複合金属シアン化物錯体触媒を用いてポリアルキレンオキシドを製造すると、不飽和モノオールの含量の少ない極めて高分子量の水酸基末端ポリアルキレンオキシドを製造することが可能である。この水酸基末端ポリアルキレンオキシドはまた分子量分布が極めて狭いという特徴も有している。」(3頁右下欄末行〜4頁左上欄6行)
(カ)「本発明においては、前記イニシエーターに上記複合金属シアン化物錯体触媒を用いて、まずモノエポキサイドの開環重合を行い末端に水酸基を含有したポリアルキレンオキシドを製造する。得られるポリアルキレンオキシドは、用いたイニシエーターの官能基数に応じた数の水酸基を末端に有する高分子量のポリアルキレンオキシドである。具体的には、例えば、ポリオキシプロピレンジオール、ポリオキシプロピレントリオール、ポリオキシプロピレンテトラオール・・・などである。これらのポリアルキレンオキシドは、2種以上の混合物であってもよい。このポリアルキレンオキシドの末端基当たりの分子量は、2000以上、特に4000以上が好ましい。また、末端基の数は2〜8,特に2〜6が好ましい。分子量(末端基当たりの分子量×末端基の数)は、1.5万〜8万、特に2万〜5万が好ましい。・・・末端基の数は2を越えることがより好ましい。即ち、末端基数の2ポリアルキレンオキシドが高分子量になる程硬化物の架橋点間分子量が大きくなる・・・。従って、末端基数が2を越えるポリアルキレンオキシドを使用することによって架橋点を導入しておくことが好ましい。よって特に、ポリアルキレンオキシドとしては2.3〜4の末端基を有するポリアルキレンオキシドが好ましい。」(4頁左上欄7〜右上欄17行)
(キ)「さらにまた、末端不飽和基を加水分解性シリル基に変換した加水分解性シリル基末端ポリアルキレンオキシドの原料として使用できる。不飽和基を加水分解性シリル基に変換する方法としては、不飽和基に加水分解性基を有するヒドロシリコン化合物を反応させる方法が用いられる。」(4頁右下欄8〜14行)
(ク)「ヒドロシリコン化合物としては下記式(2)で表される化合物が好ましい。
HSiX’3-kR’k・・・(2)
ただし、R’;1価の炭化水素基あるいはハロゲン化炭化水素基
X’;加水分解性基
k;0,1あるいは2の整数
R’としては、アルキル基やアリール基が適当であり、・・・特に好ましい加水分解性基は、メトキシ基やエトキシ基である。」(4頁右下欄最下行〜5頁右上欄2行)
(ケ)「実施例1
アリルアルコールを開始剤として・・・重合を行い、片末端不飽和基含有ポリプロピレンオキシドを得た。・・・末端の水酸基を不飽和基に変換した。
得られた不飽和基末端ポリアルキレンオキシドの・・・数平均分子量は11,800、分子量分布(Mw/Mn)は、1.10であった。
上記末端がアリル基である不飽和基末端ポリアルキレンオキシド1モルに塩化白金酸の存在下メチルジメトキシシラン2モル反応させ、1分子当たり平均2個のメチルジメトキシシリル基を有する加水分解性基シリル基末端ポリアルキレンオキシドを得た。・・・数平均分子量は12,000、分子量分布(Mw/Mn)は、1.10であった。」(実施例1)
(コ)「実施例2
分子量1,000のジエチレングリコール-プロピレンオキシド付加物を開始剤として・・・重合を行い、両末端の水酸基を不飽和基に変換した。得られた不飽和基末端ポリアルキレンオキシドの・・・数平均分子量は14,800分子量分布(Mw/Mn)は、1.10であった。
上記末端がアリル基である不飽和基末端ポリアルキレンオキシド1モルに塩化白金酸の存在下メチルジメトキシシラン2モル反応させて、1分子当たり平均2個のメチルジメトキシシリル基を有する加水分解性基シリル基末端ポリアルキレンオキシドを得た。・・・数平均分子量は15,000、分子量分布(Mw/Mn)は、1.10であった。」(実施例2)
(サ)「実施例3
分子量1,000のグリセリン-プロピレンオキシド付加物を開始剤として・・・重合を行い、ポリプロピレントリオールを得た。・・・水酸基を不飽和基に変換し、1分子当たり平均3個のアリル基を有する不飽和基末端ポリアルキレンオキシドを製造した。得られた不飽和基末端ポリアルキレンオキシドの・・・数平均分子量は24,800、分子量分布(Mw/Mn)は、1.20であった。
上記末端がアリル基である不飽和基末端ポリアルキレンオキシド1モルに塩化白金酸の存在下メチルジメトキシシラン2.3モル反応させて、1分子当たり平均2.3個のメチルジメトキシシリル基を有する加水分解性基シリル基末端ポリアルキレンオキシドを得た。・・・数平均分子量は25,000、分子量分布(Mw/Mn)は、1.20であった。」(実施例3)
(シ)「実施例4
分子量1,000のグリセリン-プロピレンオキシド付加物を開始剤として・・・重合を行い、ポリプロピレントリオールを得た。・・・水酸基を不飽和基に変換し、1分子当たり平均3個のアリル基を有する不飽和基末端ポリアルキレンオキシドを製造した。得られた不飽和基末端ポリアルキレンオキシドの・・・数平均分子量は24,800、分子量分布(Mw/Mn)は、1.20であった。
上記末端がアリル基である不飽和基末端ポリアルキレンオキシド1モルに塩化白金酸の存在下メチルジメトキシシラン3モル反応させて、1分子当たり平均3個のメチルジメトキシシリル基を有する加水分解性基シリル基末端ポリアルキレンオキシドを得た。・・・数平均分子量は25,100、分子量分布(Mw/Mn)は、1.20であった。」(実施例4)
(ス)「実施例5
分子量1,000のグリセリン-プロピレンオキシド付加物を開始剤として・・・重合を行い、ポリプロピレントリオールを得た。・・・水酸基を不飽和基に変換し、1分子当たり平均3個のアリル基を有する不飽和基末端ポリアルキレンオキシドを製造した。得られた不飽和基末端ポリアルキレンオキシドの・・・数平均分子量は34,700、分子量分布(Mw/Mn)は、1.23であった。
上記末端がアリル基である不飽和基末端ポリアルキレンオキシド1モルに塩化白金酸の存在下メチルジメトキシシラン3モル反応させて、1分子当たり平均3個のメチルジメトキシシリル基を有する加水分解性基シリル基末端ポリアルキレンオキシドを得た。・・・数平均分子量は35,100、分子量分布(Mw/Mn)は、1.23であった。」(実施例5)
(セ)「また、この不飽和基末端ポリアルキレンオキシドの不飽和基を加水分解性基シリル基に変換することにより、水分の存在下に硬化しうる硬化性樹脂が得られる。この硬化性樹脂の硬化物は優れた物性を有し、シーリング剤等として有用である。」(8頁左上欄3〜8行)
(ii)判断
訂正後の請求項1に係る発明(以下、本件発明という。)が引用例1に記載された発明であるかどうか検討する。
引用例1には、加水分解性シリル基末端ポリアルキレンオキシドを硬化成分とする湿気硬化性樹脂組成物が記載され(上記(ア)、(セ))、ポリアルキレンオキシドは、用いたイニシエーターの官能基数に応じた数の水酸基を末端に有する高分子量のポリアルキレンオキシドで、具体的には、ポリオキシプロピレンジオール、ポリオキシプロピレントリオール、ポリオキシプロピレンテトラオールなどがあること、これらのポリアルキレンオキシドは、2種以上の混合物であってもよいこと、また、末端基の数は2〜8,特に2〜6が好ましいこと、分子量は、15、000〜80,000、特に20,000〜50,000が好ましいことが記載(上記(カ))されている。
また、末端基の数は2を越えることがより好ましいこと、ポリアルキレンオキシドとしては2.3〜4の末端基を有するポリアルキレンオキシドが好ましいことが記載(上記(カ))されている。
また、実施例1において、数平均分子量が12,000、分子量分布(Mw/Mn)が、1.10である、1分子当たり平均2個のメチルジメトキシシリル基を有する加水分解性基シリル基末端ポリアルキレンオキシドが示され、実施例2において、分子量1,000のジエチレングリコール-プロピレンオキシド付加物を開始剤として、数平均分子量が15,000、分子量分布(Mw/Mn)が、1.10である、1分子当たり平均2個のメチルジメトキシシリル基を有する加水分解性基シリル基末端ポリアルキレンオキシドが示され、実施例3において、分子量1,000のグリセリン-プロピレンオキシド付加物を開始剤として、数平均分子量が25,000、分子量分布(Mw/Mn)が、1.20である、1分子当たり平均2.3個のメチルジメトキシシリル基を有する加水分解性基シリル基末端ポリアルキレンオキシドが示され、実施例4において、分子量1,000のグリセリン-プロピレンオキシド付加物を開始剤として、数平均分子量が25,100、分子量分布(Mw/Mn)が、1.20でる、1分子当たり平均3個のメチルジメトキシシリル基を有する加水分解性基シリル基末端ポリアルキレンオキシドが示され、実施例5において、分子量1,000のグリセリン-プロピレンオキシド付加物を開始剤として、数平均分子量が35,100、分子量分布(Mw/Mn)が、1.23である、1分子当たり平均3個のメチルジメトキシシリル基を有する加水分解性基シリル基末端ポリアルキレンオキシドが示されている。
そして、これらの実施例1〜5は、前記(カ)に記載されたイニシエーターを用いたポリアルキレンオキシドの一部の具体例であるが、引用例1に記載の発明が、これらの実施例に限定される必要がないことは明らかであり、引用例1の前記(カ)には、「ポリアルキレンオキシドとしては2.3〜4の末端基を有するポリアルキレンオキシドが好ましい」と記載され、さらに、「これらのポリアルキレンオキシドは、2種以上の混合物であってもよい。」と記載されていることから、引用例1には、異なるイニシエーターを2種以上使用した場合に得られるポリアルキレンオキシド、即ち、末端基数が2からなるポリアルキレンオキシドと末端基数が3以上からなるポリアルキレンオキシドとの2種以上のポリアルキレンオキシドの混合物も実質的に開示されているというべきである。
また、引用例1の発明が分子量分布の狭い重合体を得ることを目的に成されていることを勘案すると、引用例1の前記記載のポリアルキレンオキシドを2種以上用いた場合にも、ポリアルキレンオキシドを単独で用いた場合とほぼ同様の結果が得られるというべきであり、それに反する記載はないから、これらの混合物についての、数平均分子量及び分子量分布のそれぞれについても、前記実施例で示された範囲にほぼ等しいものであって、数平均分子量が8,000以上で、Mw/Mnが1.6以下であるオキシプロピレン重合体が得られるということができる。
そうすると、引用例1には、分枝鎖がなく直鎖状であり、水酸基または加水分解性基の結合したケイ素原子を含むケイ素原子含有基を少なくとも1個有するオキシプロピレン重合体と、1本以上の分枝鎖を有し、水酸基または加水分解性基の結合したケイ素原子を含むケイ素原子含有基を少なくとも1個有するオキシプロピレン重合体の混合物からなるもので、各オキシプロピレン重合体の数平均分子量が8,000以上で、Mw/Mnが1.6以下であるである硬化性組成物も実質的に開示されているといえる。
してみると、本件発明と引用例1に記載された発明とには実質的な差異はなく、本件発明は引用例1に記載された発明というべきである。
V.むすび
以上のとおり、訂正後の請求項1に係る発明は、上記刊行物1に記載された発明であるから、訂正後の請求項1に係る発明の特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、本件請求項1に係る発明の特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認められるから、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により取り消されるべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
硬化性組成物
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)重合主鎖が本質的に、
【化1】

で示される繰り返し単位からなり、分枝鎖がなく直鎖状であり、水酸基または加水分解性基の結合したケイ素原子を含むケイ素原子含有基を少なくとも1個有するオキシプロピレン重合体であって、数平均分子量が8,000以上で、Mw/Mnが1.6以下であるオキシプロピレン重合体、及び
(B)重合主鎖が本質的に、
【化2】

で示される繰り返し単位からなり、1本以上の分枝鎖を有し、水酸基または加水分解性基の結合したケイ素原子を含むケイ素原子含有基を少なくとも1個有するオキシプロピレン重合体であって、数平均分子量が8,000以上でMw/Mnが1.6以下であるオキシプロピレン重合体
を含有する硬化性組成物。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、反応性ケイ素基(水酸基または加水分解性基の結合したケイ素原子を含むケイ素原子含有基であって、シロキサン結合を形成し得る基、以下同様)を有するオキシプロピレン重合体を含有する新規な硬化性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
反応性ケイ素基を有するオキシプロピレン重合体は液状の重合体となり得るもので、湿分などにより室温で硬化してゴム状弾性硬化物を生じる。このため、建築物の弾性シーラント接着剤などに用いられている。
【0003】
これらは、配合時、及び使用時に適度な粘度を有することが望ましく、さらに、硬化物の力学特性、特に柔軟性に富むゴム弾性を発現させるためには、一定の分子量を有することが望ましい。
【0004】
分子内に反応性ケイ素基を有する有機重合体の製造方法について多くの提案がなされており、例えば、鐘淵化学工業(株)から製造、販売されている、主鎖がオキシプロピレン重合体で末端にメトキシシリル基が結合した有機重合体(商品名;MSポリマー)がある。
【0005】
しかしながら、従来、分子量分布の狭い(GPCによるMw/Mnが小さい)高分子量のオキシプロピレン重合体の製造が困難であったため、反応性ケイ素基を含有するオキシプロピレン重合体においても、分子量分布の広い(GPCによるMw/Mnが大きい)重合体しか用いられていなかった。
【0006】
最近、分子量分布の狭いオキシプロピレン重合体が得られることが報告されている。分子量分布の狭いオキシプロピレン重合体を主鎖として用い、末端に反応性ケイ素基を導入した重合体は硬化前において粘度が低い。
【0007】
本発明者らは、両者(分枝鎖がなく直鎖状である重合体と、1本以上の分枝鎖を有する重合体)を混合してなる組成物の硬化後における引裂き強度が、それぞれ単独硬化物が持つ引裂き強度から推定される値より大きく向上することを見出し、本発明に至った。
【0008】
【課題を解決するための手段と作用】
本発明の硬化性組成物は、
(A)重合主鎖が本質的に、
【化3】

で示される繰り返し単位からなり、分枝鎖がなく直鎖状であり、反応性ケイ素基を少なくとも1個有するオキシプロピレン重合体であって、数平均分子量が8,000以上で、Mw/Mn(重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比、以下同様)が1.6以下であるオキシプロピレン重合体、及び
(B)重合主鎖が本質的に、
【化4】

で示される繰り返し単位からなり、1本以上の分枝鎖を有し、反応性ケイ素基を少なくとも1個有するオキシプロピレン重合体であって、数平均分子量が8,000以上で、Mw/Mnが1.6以下であるオキシプロピレン重合体
を含有するものである。
【0009】
本発明でいう反応性ケイ素基は特に限定されるものではないが、代表的なものを示すと、例えば、下記一般式[化5]で表わされる基が挙げられる。
【0010】
【化5】

[式中、R1およびR2は、いずれも炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基または(R’)3SiO-で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R1またはR2が2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。ここでR’は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であり、3個のR’は同一であってもよく、異なっていてもよい。Xは水酸基または加水分解性基を示し、Xが2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0、1、2または3を、bは0、1または2をそれぞれ示す。また、m個の
【化6】

におけるbは異なっていてもよい。mは0〜19の整数を示す。但し、a+Σb≧1を満足するものとする。]
上記Xで示される加水分解性基は特に限定されず、従来公知の加水分解性基であればよい。具体的には、例えば、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメ―ト基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等が挙げられる。これらの内では、水素原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメ―ト基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基およびアルケニルオキシ基が好ましいが、加水分解性が穏やかで取扱いやすいという観点からメトキシ基等のアルコキシ基が特に好ましい。
【0011】
この加水分解性基や水酸基は1個のケイ素原子に1〜3個結合することができ、(a+Σb)は1〜5であるのが好ましい。加水分解性基や水酸基が反応性ケイ素基中に2個以上存在する場合には、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0012】
反応性ケイ素基中に、ケイ素原子は1個あってもよく、2個以上あってもよいが、シロキサン結合等によりケイ素原子の連結された反応性ケイ素基の場合には、20個程度あってもよい。
【0013】
なお、下記一般式[化7]で表わされる反応性ケイ素基が、入手容易の点からは好ましい。
【0014】
【化7】

(式中、R2、X、aは前記と同じ。)
また、上記一般式[化5]におけるR1およびR2の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基などのアルキル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基、フェニル基などのアリ―ル基、ベンジル基などのアラルキル基、R’がメチル基やフェニル基などである(R’)3SiO-で示されるトリオルガノシロキシ基等が挙げられる。R1、R2、R’としてはメチル基が特に好ましい。
【0015】
反応性ケイ素基はオキシプロピレン重合体1分子中に少なくとも1個、好ましくは1.1〜5個存在するのがよい。重合体1分子中に含まれる反応性ケイ素基の数が1個未満になると、硬化性が不充分になり、良好なゴム状弾性挙動を発現しにくくなる。
【0016】
反応性ケイ素基はオキシプロピレン重合体分子鎖の末端に存在してもよく、内部に存在してもよい。反応性ケイ素基が分子鎖の末端に存在すると、最終的に形成される硬化物に含まれるオキシプロピレン重合体成分の有効網目鎖量が多くなるため、高強度、高伸びで、低弾性率を示すゴム状硬化物が得られやすくなる。
【0017】
(A)成分、(B)成分における重合主鎖を構成するオキシプロピレン重合体は、
【化8】

で示される繰り返し単位を含有するものである。これらオキシプロピレン重合体において、他の単量体単位等が含まれていてもよいが、[化8]に表される単量体単位が重合体中に50重量%以上、好ましくは80重量%以上存在することが好ましい。
【0018】
本発明の(A)成分および(B)成分である反応性ケイ素基を有するオキシプロピレン重合体は、官能基を有するオキシプロピレン重合体に反応性ケイ素基を導入することによって得るのが好ましい。
【0019】
高分子量で分子量分布が狭く、官能基を有するオキシプロピレン重合体は、オキシプロピレンの通常の重合法やこの重合体を原料とした鎖延長反応方法によって得ることはきわめて困難であるが、特殊な重合法である特開昭61-197631号、特開昭61-215622号、特開昭61-215623号、特開昭61-218632号、特公昭46-27250号および特公昭59-15336号などに記載された方法により得ることができる。なお、反応性ケイ素基を導入すると、分子量分布は導入前の重合体に比較し広がる傾向にあるので、導入前の分子量分布はできるだけ狭いことが好ましい。
【0020】
反応性ケイ素基の導入は公知の方法で行なえばよい。すなわち、例えば、以下の方法が挙げられる。
【0021】
(1)末端に水酸基等の官能基を有するオキシプロピレン重合体に、この官能基に対して反応性を示す活性基及び不飽和基を有する有機化合物を反応させ、次いで、得られた反応生成物に加水分解性基を有するヒドロシランを作用させてヒドロシリル化する。
【0022】
(2)末端に水酸基、エポキシ基やイソシアネート基等の官能基(以下、Y官能基という)を有するオキシプロピレン重合体に、このY官能基に対して反応性を示す官能基(以下、Y’官能基という)及び反応性ケイ素基を有する化合物を反応させる。
【0023】
このY’官能基を有するケイ素化合物としては、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシランなどのようなアミノ基含有シラン類;γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシランなどのようなメルカプト基含有シラン類;γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのようなエポキシシラン類;ビニルトリエトキシシラン、γ-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランなどのようなビニル型不飽和基含有シラン類;γ-クロロプロピルトリメトキシシランなどのような塩素原子含有シラン類;γ-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ-イソシアネートプロピルメチルジメトキシシランなどのようなイソシアネート含有シラン類;メチルジメトキシシラン、トリメトキシシラン、メチルジエトキシシランなどのようなハイドロシラン類などが具体的に例示されうるが、これらに限定されるものではない。
【0024】
以上の方法のなかで、(1)の方法、または(2)のうち末端に水酸基を有する重合体とイソシアネート基および反応性ケイ素基を有する化合物を反応させる方法、が好ましい。
【0025】
(A)成分の反応性ケイ素基含有オキシプロピレン重合体は直鎖状のものであるが、このような重合体を得る方法としては特に限定はなく、例えば公知の方法によって得られたポリオキシプロピレングリコール(PPG)の両末端における水酸基の部分に反応性ケイ素基を導入する方法などが挙げられる。
【0026】
(B)成分の反応性ケイ素基含有オキシプロピレン重合体は1本以上の分枝鎖を有しているものであるが、このような重合体を得る方法としては特に限定はなく、例えば公知の方法によって得られたポリオキシプロピレントリオール(PPT)の末端における3つの水酸基の部分に、または4つ以上の官能基を有するポリプロピレンオキシド(PPO)の該官能基の部分に反応性ケイ素基を導入する方法などが挙げられる。
【0027】
本発明の硬化性組成物を得るには、上記した、反応性ケイ素基を含有するPPGとPPTとを混合する方法や、上記PPGとPPTとが混合されてなるPPG-PPT混合体における水酸基の部分に反応性ケイ素基を導入する方法などがある。
【0028】
(A)成分、及び(B)成分の反応性ケイ素基含有オキシプロピレン重合体の数平均分子量(Mn)としては、4,000以上のものが好ましく、8,000以上のものがさらに好ましい。Mnがより大きい重合体を使用する方が、硬化後における硬化物のゴム弾性が向上する。
【0029】
また、(A)成分、及び(B)成分の反応性ケイ素基含有オキシプロピレン重合体のMw/Mnは1.6以下であり、分子量分布が狭い。Mw/Mnの値は好ましくは1.5以下であり、さらに好ましくは1.4以下である。数平均分子量が大きいにもかかわらず分子量分布が狭い重合体は、硬化前において粘度が低く取扱いが容易である。
【0030】
なお、分子量分布は、各種の方法で測定可能であるが、通常ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)法での測定が一般的である。
【0031】
(A)成分である反応性ケイ素基含有オキシプロピレン重合体と、(B)成分である反応性ケイ素基含有オキシプロピレン重合体とを含有してなる硬化性組成物の硬化物における引裂き強度は、(A)成分単独硬化物、あるいは(B)成分単独硬化物の引裂き強度から推定される値よりも高くなる。
【0032】
また、一般に、(A)成分および(B)成分の反応性ケイ素基含有オキシプロピレン重合体の単独の硬化物の引張り物性を比較すると、(A)成分による硬化物が低モジュラス、高伸びを示し、(B)成分による硬化物は、高モジュラス、低伸びの特性を示す。本発明の(A)の成分と(B)成分を適当な割合で混合することにより、モジュラス、伸びなどの値を一定の範囲で容易にコントロールすることも可能である。
【0033】
(A)成分と(B)成分との混合割合としては、特に限定はないが、(A)成分の重量部:(B)成分の重量部が、10:90〜90:10であることが好ましく、20:80〜80:20であることがさらに好ましい。
【0034】
本発明の組成物を硬化させるにあたっては、硬化触媒を使用してもしなくてもよい。硬化触媒を使用する場合には、従来公知のものを広く使用することができる。その具体例としては、テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネートなどのチタン酸エステル類;ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート、ジブチルスズジアセテート、オクチル酸スズ、ナフテン酸スズなどのスズカルボン酸塩類;ジブチルスズオキサイドとフタル酸エステルとの反応物;ジブチルスズジアセチルアセトナート;アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテートなどの有機アルミニウム化合物類;ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、チタンテトラアセチルアセトナートなどのキレート化合物類;オクチル酸鉛;ブチルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、ジブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、キシリレンジアミン、トリエチレンジアミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、モルホリン、N-メチルモルホリン、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1,8-ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン-7(DBU)などのアミン系化合物、あるいはこれらアミン系化合物のカルボン酸などとの塩;過剰のポリアミンと多塩基酸とから得られる低分子量ポリアミド樹脂;過剰のポリアミンとエポキシ化合物との反応生成物;γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(β-アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシランなどのアミノ基を有するシランカップリング剤;などのシラノール縮合触媒、さらには他の酸性触媒、塩基性触媒などの公知のシラノール縮合触媒等が挙げられる。これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0035】
これらの硬化触媒の使用量は、反応性ケイ素基含有オキシプロピレン重合体100重量部(以下、単に「部」という)に対して0.1〜20部程度が好ましく、1〜10部程度が更に好ましい。反応性ケイ素基含有オキシプロピレン重合体に対して硬化触媒の使用量が少なすぎると、硬化速度が遅くなり、また硬化反応が充分に進行しにくくなるので、好ましくない。一方、反応性ケイ素基含有オキシプロピレン重合体に対して硬化触媒の使用量が多すぎると、硬化時に局部的な発熱や発泡が生じ、良好な硬化物が得られにくくなるので好ましくない。
【0036】
反応性ケイ素基含有オキシプロピレン重合体は、種々の充填剤を混入する事により変性しうる。充填剤としては、フユームシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、含水ケイ酸およびカーボンブラックの如き補強性充填剤;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイソウ土、焼成クレー、クレー、タルク、酸化チタン、ベントナイト、有機ベントナイト、酸化第二鉄、酸化亜鉛、活性亜鉛華、水添ヒマシ油およびシラスバルーンなどの如き充填剤;石綿、ガラス繊維およびフィラメントの如き繊維状充填剤が例示される。
【0037】
これら充填剤で強度の高い硬化組成物を得たい場合には、主にフユームシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、含水ケイ酸、カーボンブラック、表面処理微細炭酸カルシウム、焼成クレー、クレー、および活性亜鉛華などから選ばれる充填剤を反応性ケイ素基含有オキシプロピレン重合体100部に対し、1〜100部の範囲で使用すれば好ましい結果が得られる。また、低強度で伸びが大である硬化組成物を得たい場合には、主に酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、酸化第二鉄、酸化亜鉛、およびシラスバルーンなどから選ばれる充填剤を反応性ケイ素基含有オキシプロピレン重合体100部に対し5〜200部の範囲で使用すれば好ましい結果が得られる。もちろんこれら充填剤は1種類のみで使用してもよいし、2種類以上混合使用してもよい。
【0038】
本発明の硬化性組成物においては、可塑剤を充填剤と併用して使用すると硬化物の伸びを大きくできたり、多量の充填剤を混入できたりするのでより有効である。この可塑剤としては、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ブチルベンジルフタレートなどの如きフタル酸エステル類;アジピン酸ジオクチル、コハク酸イソデシル、セバシン酸ジブチルなどの如き脂肪族二塩基酸エステル類;ジエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステルなどの如きグリコールエステル類;オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチルなどの如き脂肪族エステル類;リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニルなどの如きリン酸エステル類;エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸ベンジルなどの如きエポキシ可塑剤類;2塩基酸と2価アルコールとのポリエステル類などのポリエステル系可塑剤;ポリプロピレングリコールやその誘導体などのポリエーテル類;ポリ-α-メチルスチレン、ポリスチレンなどのポリスチレン類;ポリブタジエン、ブタジエン-アクリロニトリル共重合体、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、ポリブテン、塩素化パラフィン類などの可塑剤が単独又は2種類以上の混合物の形で任意に使用できる。可塑剤量は、反応性ケイ素基含有オキシプロピレン重合体100部に対し、1〜100部の範囲で使用すると好ましい結果が得られる。
【0039】
本発明の硬化性組成物の調整法には特に限定はなく、例えば上記した成分を配合し、ミキサーやロールやニーダーなどを用いて常温または加熱下で混練したり、適した溶剤を少量使用して成分を溶解させ、混合したりするなどの通常の方法が採用され得る。また、これら成分を適当に組合わせることにより、1液型や2液型の配合物をつくり使用することもできる。
【0040】
本発明の硬化性組成物は、大気中に暴露されると水分の作用により、三次元的に網状組織を形成し、ゴム状弾性を有する固体へと硬化する。
【0041】
本発明の硬化性組成物を使用するに際しては、更に、必要に応じて、接着性改良剤、物性調整剤、保存安定性改良剤、滑剤、顔料、発泡剤などの各種添加剤を適宜添加することが可能である。
【0042】
本発明の硬化性組成物は弾性シーラントとして特に有用であり、建造物、船舶、自動車、道路などの密封剤として使用しうる。更に、単独あるいはプライマーの助けをかりてガラス、磁器、木材、金属、樹脂成形物などの如き広範囲の基質に密着しうるので、種々のタイプの密封組成物および接着組成物としても使用可能である。更に、食品包装材料、注型ゴム材料、型取り用材料、塗料としても有用である。
【0043】
【発明の効果】
本発明の硬化性組成物の硬化物は、優れた引裂き強度を有している。
【0044】
【実施例】
本発明をより一層明らかにするために、以下に実施例を挙げる。
【0045】
合成例1
1.5リットル耐圧ガラス製反応容器に分子量15,000のポリオキシプロピレントリオール(Mw/Mn=1.38、粘度89ポイズ)401g(0.081当量)を仕込み、窒素雰囲気にした。
【0046】
137℃で、滴下漏斗からナトリウムメトキシドの28%メタノール溶液19.1g(0.099当量)を滴下し、5時間反応させた後、減圧脱揮した。窒素雰囲気下にもどし塩化アリル9.0g(0.118当量)を滴下、1.5時間反応させた後、さらにナトリウムメトキシドの28%メタノール溶液5.6g(0.029当量)と塩化アリル2.7g(0.035当量)を用いてアリル化をおこなった。
【0047】
この反応物をヘキサンに溶かしケイ酸アルミニウムで吸着処理した後、ヘキサンを減圧除去すると311gの黄色透明なポリマーが得られた(粘度68ポイズ)。
【0048】
このポリマー270g(0.065当量)を耐圧ガラス製反応容器に仕込み、窒素雰囲気にした。塩化白金酸の触媒溶液(H2PtCl6・6H2O 25gをイソプロピルアルコール500gに溶かした溶液)0.075mlを添加後、30分攪拌した。ジメトキシメチルシラン6.24g(0.059当量)を滴下漏斗より加え、90℃で4時間反応させた後、脱揮すると260gの黄色透明なポリマーA(Mw/Mn=1.5、粘度88ポイズ)が得られた。
【0049】
合成例2
1.5リットル耐圧ガラス製反応容器に分子量9,000のポリオキシプロピレングリコール(Mw/Mn=1.16、粘度48ポイズ)330g(0.067当量)を仕込み、窒素雰囲気にした。
【0050】
130℃で、滴下漏斗からナトリウムメトキシドの28%メタノール溶液14.1g(0.073当量)を滴下し、5時間反応させた後、減圧脱揮した。窒素雰囲気下にもどし塩化アリル6.7g(0.087当量)を滴下、1.5時間反応させた後、さらにナトリウムメトキシドの28%メタノール溶液4.0g(0.021当量)と塩化アリル1.9g(0.025当量)を用いてアリル化をおこなった。
【0051】
この反応物をヘキサンに溶かしケイ酸アルミニウムで吸着処理した後、ヘキサンを減圧除去すると290gの黄色透明なポリマーが得られた(粘度38ポイズ)。
【0052】
このポリマー210g(0.040当量)を耐圧ガラス製反応容器に仕込み、窒素雰囲気にした。塩化白金酸の触媒溶液(H2PtCl6・6H2O 25gをイソプロピルアルコール500gに溶かした溶液)0.046mlを添加後、30分撹拌した。ジメトキシメチルシラン6.0g(0.057当量)を滴下漏斗より加え、90℃で4時間反応させた後、脱揮すると200gの黄色透明なポリマーB(Mw/Mn=1.3、粘度54ポイズ)が得られた。
【0053】
実施例1〜3
合成例1で得られたポリマーAと、合成例2で得られたポリマーBとを、[表1]の割合で混合した混合物100部に、
炭酸カルシウム(白石工業(株)製 CCR)120部、
二酸化チタン(石原産業(株)製 ルチル型酸化チタンR-820)20部、
ビニルトリメトキシシラン 2部、
アミノシラン化合物(日本ユニカー(株)製 A-1120)3部、
チクソ性付与剤(楠本化成(株)製 D-6500)2部、
硬化促進剤(日東化成(株)製 ネオスタンU-220)2部、及び
老化防止剤2部を加えて混練し、JIS A 5758に規定された1型のH型サンプル、及び厚さ3mmのシート状硬化サンプルを作成し、前記シート状硬化サンプルから引裂き試験用ダンベル(JIS A型)を作成した。
【0054】
比較例1、2
合成例1で得られたポリマーA 100部、または合成例2で得られたポリマーB 100部に、それぞれ上記と同様の添加剤を加えて混練し、JIS A 5758に規定された1型のH型サンプル、及び厚さ3mmのシート状硬化サンプルを作成し、前記シート状硬化サンプルから引裂き試験用ダンベル(JIS A型)を作成した(ポリマーAが比較例1に相当し、ポリマーBが比較例2に相当する)。
【0055】
実施例1〜3、及び比較例1、2の各引裂き試験用ダンベルを用いて、引裂き試験を行ない、引裂き強度を測定した。結果を[表1]に併記する。
【0056】
また、実施例1〜3、及び比較例1、2の各H型サンプルを用いて、引張り試験を行ない、50%モジュラス(M50)、破断強度(TB)及び破断時伸び(EB)を測定した。結果を[表1]に併記する。
【0057】
【表1】

[表1]から明らかなように、実施例1〜3の硬化物の引裂き強度は、比較例1あるいは比較例2から推定される引裂き強度の値に比べ高くなっている。
 
訂正の要旨 訂正の要旨
特許第2995309号の明細書の事項について、次のとおり訂正する。
1.訂正の内容
訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1の「で示される繰り返し単位からなり、分枝鎖がなく直鎖状であり、水酸基または加水分解性基の結合したケイ素原子を含むケイ素原子含有基を少なくとも1個有するオキシプロピレン重合体であって、Mw/Mnが1.6以下であるオキシプロピレン重合体」を
「で示される繰り返し単位からなり、分枝鎖がなく直鎖状であり、水酸基または加水分解性基の結合したケイ素原子を含むケイ素原子含有基を少なくとも1個有するオキシプロピレン重合体であって、数平均分子量が8,000以上で、Mw/Mnが1.6以下であるオキシプロピレン重合体」と訂正し、
「で示される繰り返し単位からなり、1本以上の分枝鎖を有し、水酸基または加水分解性基の結合したケイ素原子を含むケイ素原子含有基を少なくとも1個有するオキシプロピレン重合体であって、Mw/Mnが1.6以下であるオキシプロピレン重合体」を
「で示される繰り返し単位からなり、1本以上の分枝鎖を有し、水酸基または加水分解性基の結合したケイ素原子を含むケイ素原子含有基を少なくとも1個有するオキシプロピレン重合体であって、数平均分子量が8,000以上でMw/Mnが1.6以下であるオキシプロピレン重合体」と訂正する。
訂正事項b
明細書の段落【0010】及び段落【0012】に記載の「反応性ケイ素基含有オキシプロピレン重合体であって、Mw/Mnが」を「反応性ケイ素基含有オキシプロピレン重合体であって、数平均分子量が8,000以上で、Mw/Mnが」と訂正する。
訂正事項c
明細書の段落【0038】に記載の「(A)成分、及び(B)成分の反応性ケイ素基含有オキシプロピレン重合体の数平均分子量(Mn)としては、4,000以上のものが好ましく、8,000以上のものがさらに好ましい。」を「(A)成分、及び(B)成分の反応性ケイ素基含有オキシプロピレン重合体の数平均分子量(Mn)としては、8,000以上である。」と訂正する。
異議決定日 2002-07-25 
出願番号 特願平3-228104
審決分類 P 1 651・ 113- ZA (C08L)
最終処分 取消  
前審関与審査官 ▲吉▼澤 英一  
特許庁審判長 谷口 浩行
特許庁審判官 佐野 整博
中島 次一
登録日 1999-10-29 
登録番号 特許第2995309号(P2995309)
権利者 鐘淵化学工業株式会社
発明の名称 硬化性組成物  
代理人 安西 篤夫  
代理人 内田 明  
代理人 蔦田 璋子  
代理人 蔦田 正人  
代理人 蔦田 璋子  
代理人 蔦田 正人  
代理人 萩原 亮一  
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