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審決分類 |
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 E05F 審判 全部申し立て 2項進歩性 E05F |
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管理番号 | 1068984 |
異議申立番号 | 異議2002-71447 |
総通号数 | 37 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1996-08-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2002-06-06 |
確定日 | 2002-11-25 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 特許第3245318号「上げ下げ窓及び上げ下げ窓付ドア」の請求項1ないし3に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第3245318号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。 |
理由 |
〔1〕本件発明 本件特許第3245318号(平成7年2月10日出願、平成13年10月26日設定登録)の請求項1〜3に係る発明(以下、「本件発明1」〜「本件発明3」という。」)は、特許請求の範囲の請求項1〜3に記載されたとおりの次のものと認める。 「【請求項1】 内外の障子を上下移動可能に支持するガイド溝を有する両側の縦枠を含む窓枠と、前記縦枠のガイド溝内に位置するように滑車に巻き掛けられ、一端が内障子を且つ他端が外障子を吊るための吊りロープと、前記障子の両側下端部に突設され、前記吊りロープの他端を係止する吊り部と、少なくとも一方の障子の吊り部に設けられ、前記吊りロープの端部を上下に変位させて吊りロープの長さを調節するための調節部と、該調節部もしくは吊り部に設けられ、吊りロープの弛みにより調節部が吊り部の下端から突出するのを規制するための規制部とを備えたことを特徴とする上げ下げ窓。 【請求項2】 上下桟と左右の縦框を框組みしてなるドア本体と、前記縦框又は縦框に連続する部材に形成され、内外の障子を上下移動可能に支持するガイド溝と、前記上下桟に直接又は間接的に形成された前記内外の障子の上下枠部と、前記ガイド溝内に位置するように滑車に巻き掛けられ、一端が内障子を且つ他端が外障子を吊るための吊りロープと、前記障子の両側下端部に突設され、前記吊りロープの他端を係止する吊り部と、少なくとも一方の障子の吊り部に設けられ、前記吊りロープの端部を上下に変位させて吊りロープの長さを調節するための調節部と、該調節部もしくは吊り部に設けられ、吊りロープの弛みにより調節部が吊り部の下端から突出するのを規制するための規制部とを備えたことを特徴とする上げ下げ窓付ドア。 【請求項3】 前記請求項1に記載の上げ下げ窓をドア本体に設けられた開口に装着してなることを備えたことを特徴とする上げ下げ窓付ドア。」 〔2〕特許異議の申立ての理由の概要 特許異議申立人ワイ ケイ ケイ アーキテクチュラルプロダクツ株式会社は、甲第1号証及び周知例として甲第2号証〜甲第4号証を提出して、本件発明1は、甲第1号証に記載された発明であり、特許法29条1項3号に該当し特許を受けることができないものであり、本件発明2及び3は、甲第1号証及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件発明1〜3についての特許は取り消されるべきである旨主張する。 甲第1号証:実願平2-71753号(実開平4-30312号)のマイ クロフィルム 甲第2号証:実公平5-3668号公報 甲第3号証:実公平3-15750号公報 甲第4号証:ワイ ケイ ケイ アーキテクチュラルプロダクツ株式会社 製品カタログ「勝手口通風ドア エアリフレ」、1991 年7月発行 〔3〕特許異議の申立てについての判断 1 甲各号証の記載事項 (1)甲第1号証には、明細書2頁3〜9行、同5頁12行〜6頁6行、同8頁1〜12行、同8頁20行〜9頁11行、同9頁20行〜10頁4行の記載及び第1図、第2図によれば、「屋内側と屋外側の2枚の障子2、2を上下移動可能に支持する案内溝5を有する両側の竪枠3を含む窓枠と、竪枠3の案内溝5内に位置するように滑車に捲き掛けられ、両端が各障子2、2を吊るためのワイヤ10と、障子2、2の両側下端部に突設された略L字形の取付板25とを備え、ワイヤ10の端部が連結部材12、15によりねじ棒20に連結され、ねじ棒20が取付板25の水平板部26に形成された雌ねじ孔27に上方から螺合されて、適当長さ下方に貫通させた状態で装着され、ねじ棒20の下端面の嵌合部22にドライバを嵌めて回転させることによりワイヤ10の端部を上下させてワイヤ10の長さを調節する、上げ下げ窓」が記載されているものと認められる。 (2)甲第2号証〜甲第4号証には、上下桟と左右の縦框を框組みしてなるドア本体と、縦框に連続する部材に形成され、内外の障子を上下移動可能に支持するガイド溝と、上下桟に直接又は間接的に形成された内外の障子の上下枠部とを備えた上げ下げ窓付ドア、が記載されているものと認められる。 2 対比・判断 (1)本件発明1について 本件発明1と甲第1号証記載の発明とを対比すると、甲第1号証記載の発明の「案内溝5」、「竪枠3」及び「ワイヤ10」は、本件発明1の「ガイド溝」、「縦枠」及び「吊りロープ」に相当し、甲第1号証記載の発明の「取付板25」は、ワイヤ10の端部を連結部材12、15により連結されたねじ棒20が螺合されることにより、ワイヤ10の端部を係止しているから、本件発明1の「吊り部」に相当する。また、甲第1号証記載の発明の「連結部材12、15」、「ねじ棒20」及び「取付板25の水平板部26に形成された雌ねじ孔27」は、本件発明1の「調節部」に相当するので、両者は、 「内外の障子を上下移動可能に支持するガイド溝を有する両側の縦枠を含む窓枠と、前記縦枠のガイド溝内に位置するように滑車に巻き掛けられ、一端が内障子を且つ他端が外障子を吊るための吊りロープと、前記障子の両側下端部に突設され、前記吊りロープの他端を係止する吊り部と、少なくとも一方の障子の吊り部に設けられ、前記吊りロープの端部を上下に変位させて吊りロープの長さを調節するための調節部とを備えた上げ下げ窓」 である点で一致するものの、 本件発明1は、該調節部もしくは吊り部に設けられ、吊りロープの弛みにより調節部が吊り部の下端から突出するのを規制するための規制部を備えているのに対し、甲第1号証記載の発明は、そのような規制部を備えていない点で相違する。 すなわち、本件発明1は、「吊りロープが弛むことにより調節部が吊り部の下端から突出し、この突出した調節部に吊りロープが絡みつく」(段落【0005】参照。)という問題を解決するために、上記相違点で挙げた構成を採るものであるところ、甲第1号証記載の発明は、ねじ棒20が取付板25(吊り部)の水平板部26の下端から突出した状態で装着されており、ワイヤ10(吊りロープ)の弛みをなくすために長さを調節した場合にも、ねじ棒20が更に下方に突出するという構造のものであるから、ねじ棒20が取付板25(吊り部)に螺着する構成により、ワイヤ10(吊りロープ)が弛んだ場合、調節部が下方に移動しないとしても、該構成が、本件発明1の「吊りロープの弛みにより調節部が吊り部の下端から突出するのを規制するための規制部」に相当するということはできない。 したがって、本件発明1は、甲第1号証に記載された発明であるとすることはできない。また、上記相違点で挙げた本件発明1の構成は、従来周知の技術であるともいえないから、本件発明1は、甲第1号証記に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることもできない。 (2)本件発明2について 本件発明2と甲第1号証記載の発明とを対比すると、両者は、少なくとも、本件発明2は、上げ下げ窓付きドアであるのに対し、甲第1号証記載の発明は、上げ下げ窓である点、及び、上記「(1)本件発明1について」で挙げた点で相違する。 そして、上記「(1)本件発明1について」で挙げた相違点における本件発明2の構成は、従来周知の技術であるとはいえない。 したがって、上げ下げ窓付きドアが従来周知の技術であるとしても、本件発明2は、甲第1号証記載の発明及び周知の技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 (3)本件発明3について 本件発明3と甲第1号証記載の発明とを対比すると、両者は、少なくとも、本件発明3は、上げ下げ窓付きドアであるのに対し、甲第1号証記載の発明は、上げ下げ窓である点、及び、上記「(1)本件発明1について」で挙げた点で相違する。 そして、上記「(1)本件発明1について」で挙げた相違点における本件発明3の構成は、従来周知の技術であるとはいえない。 したがって、上げ下げ窓付きドアが従来周知の技術であるとしても、本件発明3は、甲第1号証記載の発明及び周知の技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 〔4〕むすび 以上のとおりであるから、異議申立人の主張する理由及び提出した証拠方法によっては、本件発明1〜3についての特許を取り消すことはできない。 また、他に本件発明1〜3についての特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2002-11-05 |
出願番号 | 特願平7-46495 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
Y
(E05F)
P 1 651・ 113- Y (E05F) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 住田 秀弘 |
特許庁審判長 |
鈴木 公子 |
特許庁審判官 |
新井 夕起子 木原 裕 |
登録日 | 2001-10-26 |
登録番号 | 特許第3245318号(P3245318) |
権利者 | トステム株式会社 |
発明の名称 | 上げ下げ窓及び上げ下げ窓付ドア |
代理人 | 根本 恵司 |