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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E01C
管理番号 1069615
審判番号 不服2000-8555  
総通号数 38 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1999-10-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-05-03 
確定日 2002-12-16 
事件の表示 平成10年特許願第140347号「敷設面用又は法面用又は壁面用のデザインブロック」拒絶査定に対する審判事件[平成11年10月26日出願公開、特開平11-293607]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願の請求項1に係る発明
本願は、平成10年4月13日の出願であって、その請求項1に係る発明(以下、「本願の請求項1に係る発明」という。)は、平成11年4月26日付け手続補正書により全文補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】 六角形となした面板(16)を亀甲状に組合せる敷設面用又は法面用又は壁面用のブロックにおいて、面板(16)の互いに平行な二辺間にわたり帯状のパターン面(17)を設けてなるデザインブロック(1)と、面板(16)の相離れて対向する非平行な辺間にわたり帯状のパターン面(17)を設けてなるデザインブロック(2)と、面板(16)の一辺縁に沿って台形のパターン面(23)を設けてなるデザインブロック(3)と、面板(16)の二辺間にわたり欠円環状のパターン面(18)を設けてなるデザインブロック(4)、又は面板(16)の一隅部に欠円状のパターン面(19)を設けてなるデザインブロック(5)、又は面板(16)の一辺縁に半円形のパターン面(20)を設けてなるデザインブロック(6)、又は面板(16)の中央に円形のパターン面(21)を設けてなるデザインブロック(7)の何れか一つとからなり、各デザインブロックのパターン面を組合せることで敷設面又は法面又は壁面に所望デザインを描写可能としたことを特徴とする敷設面用又は法面用又は壁面用のデザインブロック。」
(なお、平成12年5月3日付けの補正は、補正却下されるものとなった。)

2.引用刊行物記載の発明
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に国内に頒布された刊行物である特開昭51-150825号公報(以下、「引用刊行物1」という。)には、
「相隣れる二辺1,2のそれぞれの中心より四等分円形状に描きかつ前記の二辺1,2のそれぞれの両端直角部3,4より四等分円形状に描いて色分け模様Aを施こした正方形状のデザイン素材5と、対向する二辺6,7の中心より相隣れる他辺8,9の直角部10,11に右斜線を描いて色分け模様Bを施こした正方形状のデザイン素材12と、対向する二辺13,14の中心より相隣れる他辺15,16の直角部17,18に左斜線を描いて色分け模様Cを施こした正方形状のデザイン素材19と、対向する二辺20,21の中心より直線を描いて色分け模様Dを施こした正方形状のデザイン素材22と、一辺23の中心より相隣れる他辺24の直角部25に右斜線を描きかつ前記した一辺23と対向する他辺26の中心より描いた右斜線と相隣れる右辺27の中心より描いた平行直線との交点28を結んで色分け模様Eを施こした正方形状のデザイン素材29と、一辺30の中心より相隣れる他辺31の直角部32に左斜線を描きかつ前記した一辺30と対向する他辺33の中心より描いた左斜線と相隣れる左辺34の中心より描いた平行直線との交点35を結んで色分け模様Fを施こした正方形状のデザイン素材36と、相隣れる二辺37,38の中心より対向する他辺39,40の中心に描いた直線の交点41を結んだ四等分正方形状を残こして色分け模様Gを施こした正方形状のデザイン素材42とを同一の正方形状に形成し、これらを適宜に組合わせて所望の模様、文字その他のデザインを形成し得るものである。」(1頁右下欄18行〜2頁右上欄7行及び第1〜8図)、
「基本デザイン材の材質は限定されるものではなく例えば金属、合成樹脂、木材、コンクリート材、厚紙材であつてもよく、しかも色分け模様部分の色彩は任意の色彩を選択するものとし、また色分け模様部分は色彩に代えて平面状で細、粗面分け或は凹凸状の模様分けであつてもよい。」(2頁右上欄8〜14行)、
「基本デザイン材を適宜に組合わせることにより独創性のある模様、文字その他のデザイン等を無数に形成することができるので、壁材、床材等の建築用装飾材、道路用床材その他の室内外デザインとしてその利用範囲が極めて広く、しかも簡単な組合わせにより床材等の装飾機能が十分に発揮されかつ床材、壁材等の使用価値を著るしく向上せしめることができ得る。」(3頁左上欄17行〜右上欄5行)と記載されており、
第1、3〜5図には、「正方形となした面板の互いに平行な二辺間にわたり帯状の色分け模様B,C,Dを施したデザイン素材12,19,22。」が記載されている。
以上の記載よりみて、引用刊行物1には、
「面板の相隣れる二辺1,2のそれぞれの中心より四等分円形状に描きかつ前記の二辺1,2のそれぞれの両端直角部3,4より四等分円形状に描いて色分け模様Aを施こしたデザイン素材5と、面板の互いに平行な二辺間にわたり帯状の色分け模様B,C,Dを施したデザイン素材12,19,22と、面板の一辺23の中心より相隣れる他辺24の直角部25に右斜線を描きかつ前記した一辺23と対向する他辺26の中心より描いた右斜線と相隣れる右辺27の中心より描いた平行直線との交点28を結んで色分け模様Eを施こしたデザイン素材29と、面板の一辺30の中心より相隣れる他辺31の直角部32に左斜線を描きかつ前記した一辺30と対向する他辺33の中心より描いた左斜線と相隣れる左辺34の中心より描いた平行直線との交点35を結んで色分け模様Fを施こしたデザイン素材36と、面板の相隣れる二辺37,38の中心より対向する他辺39,40の中心に描いた直線の交点41を結んだ四等分正方形状を残こして色分け模様Gを施こしたデザイン素材42とを、それぞれ同一の正方形状に形成し、これらを適宜に組合わせて所望の模様、文字その他の所望のデザインを描写可能とした壁材、床材等の建築用装飾材、道路用床材等として使用するデザイン素材。」という発明が記載されていると認められる。

3.対比・判断
本願の請求項1に係る発明と引用刊行物1記載の発明とを比較すると、
引用刊行物1記載の発明の「色分け模様」、「デザイン素材」、「壁材、床材等の建築用装飾材、道路用床材」は、本願の請求項1に係る発明の「パターン面」、「デザインブロック」、「敷設面又は壁面」に相当し、引用刊行物1記載の発明の面板の相隣れる二辺のそれぞれの中心より四等分円形状に描きかつ前記の二辺のそれぞれの両端直角部より四等分円形状に描けば、本願の請求項1に係る発明の面板の二辺間にわたり欠円環状のパターン面が設けられたこととなるから、両者は、
「面板の互いに平行な二辺間にわたり帯状のパターン面を設けてなるデザインブロックと、面板の二辺間にわたり欠円環状のパターン面を設けてなるデザインブロックのパターン面を組合せることで敷設面又は壁面に所望デザインを描写可能とした敷設面用又は壁面用のデザインブロック。」である点で一致しており、以下の点で相違している。
(1)本願の請求項1に係る発明は、六角形となした面板を亀甲状に組合せる(デザイン)ブロックであるのに対して、引用刊行物1記載の発明は、デザインブロックが正方形である点、
(2)本願の請求項1に係る発明は、面板の相離れて対向する非平行な辺間にわたり帯状のパターン面を設けてなるデザインブロックと、面板の一辺縁に沿って台形のパターン面を設けてなるデザインブロックとからなる組み合わせも有するのに対して、引用刊行物1には、そのようなデザインブロックの組み合わせについては記載がない点。
(3)本願の請求項1に係る発明は、引用刊行物1記載の面板の二辺間にわたり欠円環状のパターン面を設けてなるデザインブロックの他に、面板の一隅部に欠円状のパターン面を設けてなるデザインブロック、面板の一辺縁に半円形のパターン面を設けてなるデザインブロック、又は面板の中央に円形のパターン面を設けてなるデザインブロックの何れか一つとからなる組み合わせも有するのに対して、引用刊行物1には、そのようなデザインブロックの組み合わせについては記載がない点。

そこで、上記相違点について検討すると、
相違点(1)について
本願の出願前、六角形のブロックを亀甲状に組み合わせ、敷設面又は壁面を形成することは、周知の技術にすぎず(例えば、登録実用新案第3042432号公報、橋場信雄著,「建築用語図解辞典」,理工学社,第30版,1984年1月25日,p.36を参照されたい。)、そして、模様付きブロックをより多角形状とすることにより、その組み合わせが多くなり、より多くの相違するパターンを表出することができるようになることは、予想できることであり、相違点(1)において、デザインブロックを引用刊行物1記載の発明の正方形に代えて本願の請求項1に係る発明のように六角形とすることは、当業者であれば、容易に想到しうることにすぎない。
相違点(2)について
直線的なパターン面を設けてなるデザインブロックとして、引用刊行物1に記載されている面板の互いに平行な二辺間にわたり帯状のパターン面を設けてなるデザインブロックの他に、面板の相離れて対向する非平行な辺間にわたり帯状のパターン面を設けてなるデザインブロックと、面板の一辺縁に沿って台形のパターン面を設けてなるデザインブロックとを採用することは、デザインブロックを正六角形にしたことに伴い、当業者であれば適宜なしうる単なる設計変更にすぎない。
相違点(3)について
本願の請求項1に係る発明は、相違点(3)に関しては、相違点(3)において挙げられた各デザインブロックの何れか一つとからなる組み合わせであるから、相違点(3)において挙げられた複数のデザインブロックのうちの1デザインブロックがあれば足り、引用刊行物1には、上記相違点(3)において挙げられた面板の二辺間にわたり欠円環状のパターン面を設けてなるデザインブロックが記載されている以上、相違点(3)は実質的な相違点ではない。

したがって、上記本願の請求項1に係る発明は、上記引用刊行物1記載の発明及び上記周知の技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

なお、念のために述べると、引用刊行物1記載の発明は、本願の請求項1に係る発明と同様に、帯状等の直線的なパターン面を設けてなるデザインブロックと、欠円環状等の曲線的なパターン面を設けてなるデザインブロックを組み合わせ、所望デザインを描写可能としている。そして、直線的なパターン面を設けてなるデザインブロックが複数引用刊行物1に記載され、曲線的なパターン面を設けてなるデザインブロックが引用刊行物1に記載されている以上、曲線的なパターン面を設けてなるデザインブロックも複数とし、面板の一隅部に欠円状のパターン面を設けてなるデザインブロック、面板の一辺縁に半円形のパターン面を設けてなるデザインブロック、又は面板の中央に円形のパターン面を設けてなるデザインブロックを採用することは、当業者であれば適宜なしうる単なる設計変更にすぎない。

4.むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、上記引用刊行物1記載の発明及び上記周知の技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2002-09-30 
結審通知日 2002-10-08 
審決日 2002-10-21 
出願番号 特願平10-140347
審決分類 P 1 8・ 121- Z (E01C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 伊藤 陽中槙 利明松浦 久夫  
特許庁審判長 木原 裕
特許庁審判官 鈴木 公子
山口 由木
発明の名称 敷設面用又は法面用又は壁面用のデザインブロック  

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