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審決分類 審判 査定不服 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 C07D
審判 査定不服 発明同一 取り消して特許、登録 C07D
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 C07D
管理番号 1069808
審判番号 不服2001-6399  
総通号数 38 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1993-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-04-20 
確定日 2003-01-14 
事件の表示 平成3年特許願第504897号「BCH―189および関連化合物の合成のための方法および組成物」拒絶査定に対する審判事件〔平成7年1月11日出願公告、特公平7-618、平成3年8月8日国際公開、WO91/11186、平成5年8月26日国内公表、特表平 5-505794、請求項の数(26)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 本願は、平成3年1月31日(パリ条約による優先権主張1990年2月1日アメリカ合衆国)に国際出願されたものであって、出願公告後の平成14年12月6日付け手続補正書によって、公告された明細書の特許請求の範囲の請求項16〜27及び39〜44を削除し、請求項の番号を連続番号とするように補正された明細書の記載からみて、請求項1〜26に係る発明は、特許請求の範囲に記載されたとおりの
「【請求項1】式:
【化1】


または
【化2】

ここでRは水素、アルキル、シリルおよびアシルからなる群から選択され、Yは水素、メチル、クロロ、フルオロ、ヨード、ブロモ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、チオアルキル、セレノアルキル、フェニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、チオアリール、およびセレノアリールからなる群から選択される、を有する2′,3′-ジデオキシ-3′-チアピリミジンヌクレオシドのβ異性体を優位に含むヌクレオシド組成物の調製方法であって、式:
【化3】

ここで、R′はアシル基であり、Rは酸素-保護基である、を有する1,3-オキサチオランと、式:
【化4】


ここでXは3置換されたシリルオキシまたは3置換されたシリルアミノ基のいづれかであり、Yは水素、メチル、クロロ、フルオロ、ヨード、ブロモ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、チオアルキル、セレノアルキル、フェニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、チオアリール、およびセレノアリールからなる群から選択され;およびZは3置換されたシリル基である、を有するシリル化されたピリミジン塩基とを、有効量のSnCl4の存在下でカップリングする工程を包含する、方法:ここで、3置換されたシリル基は、式:
【化5】


を有し、R1、R2、およびR3は、それぞれ独立して、炭素原子が5またはそれ以下のアルキル、およびフェニルからなる群から選択される。
【請求項2】前記酸素-保護基がアルキル、シリルおよびアシルからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】前記シリル化されたピリミジン塩基が、式:
【化6】

を有し、ここでXはトリアルキルシリルオキシおよびトリアルキルシリルアミノからなる群から選択され、Yは水素、メチル、クロロ、フルオロ、ヨード、ブロモ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、チオアルキル、セレノアルキル、フェニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、チオアリールおよびセレノアリールからなる群から選択され;およびZはトリアルキルシリル基である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】前記ヌクレオシドが、式:
【化7】

を有し、ここでYは水素、ハロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、チオアルキル、セレノアルキル、フェニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、チオアリールおよびセレノアリールからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】前記ヌクレオシドが、式:
【化8】

を有し、ここでYは水素、ハロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、チオアルキル、セレノアルキル、フェニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、チオアリールおよびセレノアリールからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】前記ヌクレオシドが、式:
【化9】

を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】前記ヌクレオシドが、式:
【化10】


を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】さらに、式OHCCH2ORを有するグリコアルデヒド(Rは酸素保護基である)と、チオグリコール酸を反応させ、5-オキソ-1,3-オキサチオランを形成する工程を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】さらに:
(i)5-オキソ-1,3-オキサチオランのカルボニル基を、アルコールに還元する工程;および
(ii)該アルコールをアシル化する工程を包含する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】還元剤がジイソブチルアルミニウムハイドライド、ナトリウムビス(2-メトキシエトキシ)アルミニウムハイドライドおよびNaBH4からなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】さらに、Rを水素で置換する工程を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】Rがアシル基であり、該アシル基がナトリウムメトキシドで除去される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】エナンチオマー富化された2-ヒドロキシメチル-5-オキソ-1,3-オキサチオラン。
【請求項14】エナンチオマー富化された2-アシルオキシメチル-5-アシルオキシ-1,3-オキサチオラン。
【請求項15】エナンチオマー富化された2-アセトキシメチル-5-アセトキシ-1,3-オキサチオラン。
【請求項16】式:
【化11】

ここでRは酸素保護基であり;および
R′はアシル基である、を有する、1,3-オキサチオランの調製方法であって、
(a)CH2CHCH2OR(Rは保護基)を、オゾン化し、式OHCCH2ORを有するグリコアルデヒドを形成し;
(b)チオグリコール酸を、該グリコアルデヒドに加え、式:
【化12】


を有するラクトンを形成し;および
(c)該ラクトンを還元し、該1,3-オキサチオランを形成する工程を包含する、方法。
【請求項17】前記ラクトンの前記還元が、還元剤を加えたあとに、カルボン酸無水物を加えることにより、達成される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】前記還元剤が、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、ナトリウムビス(2-メトキシエトキシ)アルミニウムハイドライドおよびNaBH4からなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】前記保護基がアルキル、シリルおよびアシルからなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項20】 式:
【化13】


を有し、ここでRはアルキル、シリルおよびアシルからなる群から選択され;およびR′はアシル基である、1,3-オキサチオラン。
【請求項21】 式:
【化14】


を有し、ここでRはアルキル、シリルおよびアシルからなる群から選択される、アセテート。
【請求項22】エナンチオマー富化された2-アシルオキシメチル-5-アシルオキシ-1,3-オキサチオランを調製する方法であって、
(a)式:
【化15】


を有する(Rは酸素保護基である)ラクトンと立体異性選択的酵素を混合し、エナンチオマー富化された2-ヒドロキシメチル-5-オキソ-1,3-オキサチオランを形成する工程;および
(b)該2-ヒドロキシメチル-5-オキソ-1,3-オキサチオランを還元し、エナンチオマー富化された2-アシルオキシメチル-5-アシルオキシ-1,3-オキサチオランを形成する工程を包含する、方法。
【請求項23】前記エナンチオマー富化された2-ブチリルオキシメチル-5-オキソ-1,3-オキサチオランの還元が、還元剤を加えたあとに、カルボン酸無水物を加えることにより、達成される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】前記還元剤が、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、ナトリウムビス(2-メトキシエトキシ)アルミニウムハイドライドおよびNaBH4からなる群から選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項25】前記立体異性選択的酵素が、ブタ肝臓エステラーゼ、ブタ膵臓リパーゼおよびズブチリシンからなる群から選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項26】前記保護基がアルキル、シリルおよびアシルからなる群から選択される、請求項22に記載の方法。」
にあるものと認められる。

原査定の理由である公告後に発見された拒絶の理由の概要は、公告された特許請求の範囲の請求項16〜27及び請求項39〜44に係る発明について、第5回 International Conference on AIDS のアブストラクト(1989)、T.C.O.1及びM.C.P.63(引用例1)、Irving W. Wainer“A Practical Guide to the Selection and Use of HPLC Chiral Stationary Phases by Dr.Irving W. Wainer”J. T.Baker Inc., (1988), p.4〜37(引用例2)及び特願平2-31324号(特開平3-7282号公報、先願明細書)を引用して、上記請求項に係る発明は、引用例1及び2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明することができたものであり、また、先願明細書に記載された発明と同一であるから、特許法第29条第2項、同法第29条の2の規定によって特許を受けることができない、さらに、請求項20〜27における「エナンチオマー富化されたヌクレオシド」との文言が明確でないため特許を受けようとする発明が明確でないから、同法第36条第5項第2号に規定する要件を満たしていないというものであるが、その後発見された拒絶理由の対象となる請求項は、上記のように手続補正により、全て削除された。

したがって、拒絶理由の対象とはなっていない現在の請求項1〜26に係る発明は、引用例1及び2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をできたものではないし、先願明細書に記載された発明と同一でもない。また、特許請求の範囲の記載に不備はない。
また、他に拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2002-12-26 
出願番号 特願平3-504897
審決分類 P 1 8・ 121- WY (C07D)
P 1 8・ 534- WY (C07D)
P 1 8・ 161- WY (C07D)
最終処分 成立  
前審関与審査官 池田 正人種村 慈樹胡田 尚則大宅 郁治  
特許庁審判長 田中 倫子
特許庁審判官 守安 智
深津 弘
発明の名称 BCH―189および関連化合物の合成のための方法および組成物  
代理人 大崎 勝真  
代理人 川口 義雄  
代理人 小野 誠  
代理人 相馬 貴昌  
代理人 一入 章夫  

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