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審決分類 審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正しない E03B
管理番号 1069946
審判番号 訂正2002-39021  
総通号数 38 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1996-12-17 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2002-01-22 
確定日 2002-08-19 
事件の表示 特許第2832183号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 経緯
本件特許第2832183号発明についての出願は、平成3年8月27日に出願された実願平3-68087号を特許出願に変更したものであって、その発明について、平成10年9月25日に特許権の設定登録がされ、その後、平成12年12月13日に請求項1及び2に係る発明の特許について無効審判(2000年審判35676号)が請求され、平成13年3月22日に訂正請求がされ、平成13年12月4日付けで、「訂正を認める。特許第2832183号の請求項1に記載された発明についての特許を無効とする。」旨の審決がなされ、この審決を不服とする訴えが東京高等裁判所に提起され(平成14年(行ケ)31号審決取消請求事件)、当該事件が係属している平成14年1月22日に本件審判が請求され、平成14年2月18日付けで手続補正書が提出された。
平成14年3月22日付けで訂正拒絶理由が通知され、平成14年4月24日付けで意見書及び手続補正書が提出された。なお、平成14年4月24日付けで上記無効審判(2000年審判35676号)の請求人から上申書が提出された。

2 審判請求書の補正について
2-1 平成14年2月18日付けの手続補正書による補正は、審判請求書の「2.請求項の数 3」を「2.請求項の数 4」と補正するとともに、「6.請求の理由」を補正することにより、本件審判請求により訂正しようとする明細書が、設定登録時の明細書であることを明らかにし、訂正事項を明確にするものであり、審判請求書の要旨を変更するものではないので、この補正を採用する。
2-2 平成14年4月24日付けの手続補正書による補正は、審判請求書の「6.請求の理由」を補正するとともに、訂正明細書を補正するものである。
その補正の内容は、「6.請求の理由」の記載によれば、「(4)【0043】1行の『水圧等』の中の『等』を削除し、(5)【0044】1行の『水圧等』の中の『等』を削除する。」との訂正事項を削除するものであり、審判請求書の要旨を変更するものではないので、この補正を採用する。

3 請求の趣旨
上記補正の結果、本件審判請求の趣旨は、特許第2832183号の明細書(以下、「訂正前明細書」という。)を審判請求書に添付した訂正明細書(平成14年4月24日付けの手続補正書により補正された訂正明細書)のとおり訂正することを求めるものである。

4 訂正の内容
上記補正の結果、本件審判請求に係る訂正の内容は、以下の訂正事項a〜qからなるものである。

訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1を削除する。
訂正事項b
訂正前明細書の特許請求の範囲の請求項2を請求項1とし、「【請求項1】流入弁を有する給水元管から供給される市水を貯溜してポンプにより給水栓等の末端部に供給する受水槽を備えた給水システムにおいて、受水槽内の水位を無段階に連続検知する水位検出器と、該水位検出器から水位信号を受け、この水位信号に対応して上記流入弁を開閉し受水槽内の水位を所定の制御水位範囲に維持する制御装置とを備え、制御装置は、給水栓側の需要量に応じて水位設定するようにしており、該水位検出器は、受水槽の底部に設けられ水圧により水位を無段階に検知する水位検出器であることを特徴とする給水システム。」と訂正する。
訂正事項c
同明細書の【請求項3】、【請求項4】を、【請求項2】、【請求項3】に繰り上げる。
訂正事項d
同明細書の段落【0012】の記載を、「【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、流入弁を有する給水元管から供給される市水を貯溜してポンプにより給水栓等の末端部に供給する受水槽を備えた給水システムにおいて、受水槽内の水位を無段階に連続検知する水位検出器と、該水位検出器から水位信号を受け、この水位信号に対応して上記流入弁を開閉し受水槽内の水位を所定の制御水位範囲に維持する制御装置とを備え、制御装置は、給水栓側の需要量に応じて水位設定するようにしており、該水位検出器は、受水槽の底部に設けられ水圧により水位を無段階に検知する水位検出器であることを特徴としている。」と訂正する。
訂正事項e
同明細書の段落【0013】の欄を削除する。
訂正事項f
同明細書の段落【0014】の「請求項3記載の」(本件特許公報5欄7行参照。)との記載を、「請求項2記載の」と訂正する。
訂正事項g
同明細書の段落【0015】の「請求項4記載の」(本件特許公報5欄21行参照。)との記載を、「請求項3記載の」と訂正する。
訂正事項h
同明細書の段落【0016】の「請求項1〜3記載の」(本件特許公報5欄35行参照。)との記載を、「請求項1、2記載の」と訂正する。
訂正事項i
同明細書の段落【0035】の「請求項4記載の」(本件特許公報8欄43行参照。)との記載を、「請求項3記載の」と訂正する。
訂正事項j
明細書の段落【0038】の「請求項4記載の」(本件特許公報9欄20行参照。)との記載を、「請求項3記載の」と訂正する。
訂正事項k
同明細書の段落【0040】の「【発明の実施の形態4】」との記載を、「【発明の実施に相当しない形態4】」と訂正する。
訂正事項l
同明細書の段落【0048】の「請求項3及び4記載の」(本件特許公報8欄43行参照。)との記載を、「請求項2及び3記載の」と訂正する。
訂正事項m
明細書の【図面の簡単な説明】の【図1】の「請求項1〜3記載の」との記載を、「請求項1、2記載の」と訂正する。
訂正事項n
明細書の【図面の簡単な説明】の【図5】及び【図6】の「請求項4記載の」との記載を、「請求項3記載の」と訂正する。
訂正事項o
同明細書の【図面の簡単な説明】の【図8】の「水位検出器の変形例を備えた」との記載を、「発明の実施に相当しない」と訂正する。
訂正事項p
同明細書の【図面の簡単な説明】の【符号の説明】の「51 超音波発振器(水位検出器)」との記載を削除する。
訂正事項q
同明細書の段落番号【0014】〜【0049】を、【0013】〜【0048】と訂正する。

5 当審の判断
5-1 上記訂正事項bは、訂正前明細書の特許請求の範囲の請求項2を、請求項1の削除にともない、新たな請求項1とし、「導水設備」を「給水元管」に、「水」を「市水」に各々限定するとともに、「ポンプにより」との構成を付加し、さらに「該水位検出器は、受水槽内の底部に設けられ水圧により水位を無段階に検知する水位検出器」の「受水槽内」の「内」を削除するものである。
5-2 この「受水槽内」の「内」を削除する点について、審判請求人は、平成14年4月24日付けの手続補正書により補正された審判請求書の「6.請求の理由」の「(6.3)訂正の根拠及び訂正要件の充足性」の欄において、段落【0018】(当審注:0019の誤り)には、受水槽1底部に水位検出器30が設けられることが記載されており、図面では水位検出器30が受水槽の外側に示されており、逆に、発明の詳細な説明の欄の【発明の実施の形態】の欄には、水位検出器30が受水槽1内の底部にあるとの記載はどこにもなく、「受水槽内」の「内」は誤記である旨主張するので、以下、検討する。
訂正前明細書における、受水槽に設ける水圧により水位を無段階に連続的に検知する水位検出器の設置についての記載をみると、
a 特許請求の範囲に「【請求項2】請求項1記載の給水システムにおいて、水位検出器は、受水槽内の底部に設けられ水圧により水位を無段階に検知する水位検出器であることを特徴とする給水システム。」と記載され、
b 発明の詳細な説明の段落【0013】に、「請求項2記載の発明は、請求項1記載の給水システムにおいて、水位検出器は、受水槽内の底部に設けられ水圧により水位を無段階に検知する水位検出器であることを特徴としている。」と記載され、
c 同段落【0019】に、請求項1〜3記載の発明を適用した発明の実施の形態を示す図1に関連して、「受水槽1の底部には受水槽1内の水圧を計測することにより水位0から満杯まで無段階に連続的に水位を検知する水圧式の受水槽用水位検出器(水位伝送器)30が設けられ、」と記載され、
d 同段落【0035】に、請求項4記載の発明を適用した発明の実施の形態2を示す図5に関連して、「前記図1と同様な受水槽用の水位検出器30を備え、」と記載され、
e 同段落【0038】に、請求項4記載の発明を適用した発明の実施の形態3を示す図6に関連して、「そのほかの構造は図5と同様であり、受水槽用の水位検出器30を備え、」と記載され、
f 同段落【0041】に、発明の実施の形態5を示す図9に関連して、「このような受水槽に……1個の水位検出器30を備えることができる。」と記載されている。
以上の記載によれば、訂正前明細書の発明の詳細な説明の欄である段落【0013】には、「受水槽内の底部」に水位検出器を設けることが記載されている。そして、発明の実施の形態を記載する欄においては、水圧により水位を無段階に検知する水位検出器30を受水槽1の底部に設けることが記載されているのみで、水位検出器30を受水槽1の底部の外側に設けることは、発明の実施の形態を示す図1、図5、図6及び図9において図示されているにすぎない。
ところで、水圧により水位を無段階に連続的に検知する水位検出器には、水槽の外側に設置するもの(例えば、特開昭53-38883号公報参照。)と、水槽の内側に設置するもの(例えば、実願昭57-146992号(実開昭59-52421号)のマイクロフィルム、実願昭62-64854号(実開昭63-170719号)のマイクロフィルム、参照。)の両方があることは、水位検出器の技術分野において広く知られている。そして、本件特許発明に係る給水システムにおいて、水圧により水位を無段階に連続的に検知する水位検出器を水槽の内側に設置することができないとする技術的理由も見あたらない。
以上のことを考慮すると、訂正前明細書には、水位検出器30が受水槽1内の底部にあることが明確に記載されており、発明の実施の形態を記載する欄や図面に、水位検出器30を受水槽1内の底部に設けることの記載がないからといって、「受水槽内」の「内」は誤記である、ということはできない。
したがって、「受水槽内」の「内」を削除する点は、誤記の訂正を目的とするものではなく、また特許請求の範囲の減縮を目的とするものでもなく、さらに、明りょうでない記載の釈明を目的とするものでもない。
5-3 審判請求人は意見書において、「受水槽内」の「内」は誤記であるとして縷々述べているが、「受水槽内」の「内」を削除する点が誤記の訂正を目的とするものではないことは既述したとおりであり、審判請求人の意見は採用できない。

6 むすび
以上のとおり、本件審判請求は、特許法126条1項ただし書に掲げる事項のいずれかを目的とするものではないから、認めることができない。
 
審理終結日 2002-06-19 
結審通知日 2002-06-24 
審決日 2002-07-09 
出願番号 特願平8-196107
審決分類 P 1 41・ 852- Z (E03B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 藤原 伸二  
特許庁審判長 田中 弘満
特許庁審判官 山口 由木
中田 誠
鈴木 公子
蔵野 いづみ
登録日 1998-09-25 
登録番号 特許第2832183号(P2832183)
発明の名称 給水システム  
代理人 青山 葆  
代理人 大森 忠孝  
代理人 青山 葆  
代理人 大森 忠孝  

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