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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06K |
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管理番号 | 1070072 |
審判番号 | 不服2001-23592 |
総通号数 | 38 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1994-09-16 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2001-12-28 |
確定日 | 2003-01-06 |
事件の表示 | 平成 5年特許願第 67527号「照合処理機能をもつ情報記録媒体」拒絶査定に対する審判事件[平成 6年 9月16日出願公開、特開平 6-259618]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
(手続の経緯、本件発明) 本願は、平成5年3月3日に出願したものであって、その請求項1に係る発明(以下、本件発明という。)は、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。 「外部から与えられるキーと内部に記憶されているキーとを比較し、両者が一致したときに以後のアクセスを許可する照合処理を行う機能をもった情報記録媒体において、 内蔵したEEPROM内に、不一致許可回数を予め記録しておき、外部から与えられるキーと内部に記憶されているキーとの比較の結果、不一致が生じるたびに前記不一致許可回数の記録値をデクリメントし、前記記録値が零になったときに以後の照合処理を禁止するようにしたことを特徴とする照合処理機能をもつ情報記録媒体。」 なお、平成13年11月5日付けの手続補正は、却下の決定がなされている。 (刊行物記載の発明) これに対し、原査定の拒絶の理由に引用された特開昭62-190585号公報(以下、刊行物1という。)には、ICカードに関する発明が記載されており、「ICカード1は、ユーザが保持し、たとえば商品購入などの際にユーザのみが知得している暗証番号の参照や必要データの蓄積などを行なうもので、第7図にその機能ブロックを示すように、リード・ライト部11、暗証設定/暗証照合部12、および暗号化・複号化部13などの基本機能を実行する部分と、これらの基本機能を管理するスーパバイザ14とで構成されている。リード・ライト部11は、カードリーダ・ライタ2との間でデータを読出し、書込み、あるいは消去を行なう機能である。暗証設定・暗証照合部12は、ユーザが設定した暗証番号の記憶及び読出禁止処理を行なうとともに、暗証番号の設定後にその暗証番号の照合を行ない、以後の処理の許可を与える機能である。暗号化・複号化部13は、・・・。・・・ICカード1は例えば第6図に示すように、制御素子(たとえばCPU)15、記憶内容が消去可能な不揮発性のデータメモリ16、プログラムメモリ17、およびカードリーダ・ライタ2との電気的接触を得るためのコンタクト部18によって構成されており、これらのうち破線内の部分(制御素子15、データメモリ16、プログラムメモリ17)はICチップ化されている。・・・。データメモリ16は各種データの記憶に使用され、たとえばEEPROMで構成されている。このデータメモリ16は、第1図に示すように、特定情報記憶エリア161とデータ記憶エリア162とに分割され、特定情報記憶エリア161は、複数の個人認証用識別情報としての暗証番号と、それぞれに対応する照合不一致回数上限値、及びインデックスが記憶される暗証エリア163と、初期化完了フラグエリア164とによって構成されている。」(第2頁右下欄第13行〜第3頁右上欄第20行。・・・は、文章省略箇所を示す。)、「次に、暗証照合時の動作について第4図に示すフローチャートを参照して説明する。暗証照合用命令データは、第5図に示すように、照合用機能コードとインデックスデータおよび照合用データから構成されている。今、この命令データが入力されると、これに含まれるインデックスデータと同一のインデックスを暗証エリア163から見つけ、見つからなければ実行不可能を意味する応答データを出力して命令データ待ち状態に戻り、見つかれば次にそのインデックスに対応する暗証エリア163内の暗証番号と入力された照合用データとを比較する。この照合結果が肯定的であればカード使用許可の応答データを出力し、否定的であれば何回目の否定結果かを確認し、インデックスに対応する暗証エリア163内の不一致回数上限値に達していなければ照合不一致を意味する応答データを出力して命令データ待ち状態に戻り、不一致回数上限値に達していればカード使用禁止を意味する応答データを出力し、以降命令データを受付けなくなる。」(第3頁右下欄第18行〜第4頁左上欄第17行)と説明されている。 同じく、原査定の拒絶の理由において周知技術を示す文献として引用された特開昭63-20642号公報(以下、刊行物2という。)には、データ管理レコードにカウンタフィールドを設け、不正アクセスであると判断されるたびに、そのカウンタフィールドの値から1を減じ、カウンタフィールドの値が0になったことが検出されるとその旨をデータ管理者に知らせ、データの適切な機密保護のための処理をとることを可能にする、ということが記載されている。 (対比) 本件発明と上記刊行物1記載の発明とを対比すると、 (a)上記刊行物1記載の発明のICカード1は、暗証設定・暗証照合部12を備え、外部から命令データ(照合用機能コードとインデックスデータと照合用データとから構成されている。)が与えられると、これに含まれるインデックスデータと同一のインデックスを暗証エリア163から見つけ(見つからなければ実行不可能を意味する応答データを出力して命令データ待ち状態に戻る)、次にそのインデックスに対応する暗証エリア163内の暗証番号と入力された照合用データとを比較し、照合結果が肯定的であればカード使用許可の応答データを出力するようにしているところ、この点は、本件発明の情報記録媒体が、照合処理を行なう機能を備え、外部から与えられるキーと内部に記憶されているキーとを比較し、両者が一致したときに以後のアクセスを許可するとする点に相当する。 (b)上記刊行物1記載の発明においては、EEPROM内に照合不一致回数上限値を記憶するようにしており、この点は、本件発明が、内蔵したEEPROM内に、不一致許可回数を予め記録しておくとする点に相当する。 したがって、本件発明と上記刊行物1記載の発明とは、次の点で相違し、その余では一致する。 外部から与えられるキーと内部に記憶されているキーとの比較の結果に基づき、本件発明においては、不一致が生じるたびに不一致許可回数の記録値をデクリメントし、記録値が零になったときに以後の照合処理を禁止するとしているのに対し、上記刊行物1記載の発明はそのようになっていない点 (相違点についての判断) しかるに、不正アクセスであると判断されるたびに、そのカウンタフィールドの値から1を減じ、カウンタフィールドの値が0になったことが検出されると何らかの処置をとるとすることが上記刊行物2に示されているのであるから、これを関連する技術分野に属する上記刊行物1記載の発明に適用して、不一致回数上限値から照合結果が不一致のたびに1を減じ(不一致が生じるたびに不一致許可回数の記録値をデクリメントし)、減じた結果が0になった際には、以後の命令データを受け付けないようにする(記録値が零になったときに以後の照合処理を禁止する)ことは、当業者が容易になし得ることにすぎない。 なお、括弧内は、対応する本件発明の表現である。 (まとめ) したがって、本件発明は、上記刊行物1、2記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2002-10-21 |
結審通知日 | 2002-10-29 |
審決日 | 2002-11-11 |
出願番号 | 特願平5-67527 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G06K)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 前田 仁 |
特許庁審判長 |
川名 幹夫 |
特許庁審判官 |
橋本 正弘 吉見 信明 |
発明の名称 | 照合処理機能をもつ情報記録媒体 |
代理人 | 志村 浩 |