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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02B
管理番号 1070183
審判番号 不服2002-5287  
総通号数 38 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1993-11-19 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-03-28 
確定日 2003-01-09 
事件の表示 平成 4年特許願第111271号「平面ディスプレイの外光反射防止方法」拒絶査定に対する審判事件[平成 5年11月19日出願公開、特開平 5-307104]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 【1】手続の経緯・本願発明
本願は、平成4年4月30日の出願であって、その請求項1に係る発明は、平成14年4月24日付けの手続補正書により補正された明細書の記載からみて、その明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。

「【請求項1】
透明プラスチックフィルムまたはシートの少なくとも上面に硬化膜を形成し、該上面硬化膜の上に反射防止層を積層してフィルターとし、そのフィルターの反射防止層を積層していない側の面を、液晶ディスプレイの表示面に密着貼合することを特徴とする液晶ディスプレイの外光反射防止方法。」(以下、「本願発明1」という。)

【2】引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開昭62-123402号公報(以下、引用例1という。)には、「反射防止フィルム」(発明の名称)が記載され、図面と共に以下の記載がある。

(1)「[産業上の利用分野]本発明は反射防止フィルム、とくにCRTディスプレイのフィルターとして有用な反射防止フィルムに関する。」(第1頁右下欄第8ないし11行)

(2)「本発明は前記の点に鑑みて、生産性よく製造でき、平面のみならず曲面にも貼着手段などにより適用でき、さらに超大型のディスプレイのフィルターも容易にうることができる反射防止材料を提供せんとするものである。」(第2頁右上欄第10ないし14行)

(3)「第1図は本発明の反射防止フィルムの一実施例を示す概略部分断面図である。第1図において、(1)は透明性のプラスチックフィルムであり、その片面に透明性の金属薄膜(2)および透明性の酸化物薄膜(3)がこの順に設けられている。この反射防止フィルムはプラスチックフィルム(1)の露出面をディスプレイ側、酸化物薄膜(3)をオペレーター側にして使用されるものである。本発明の反射防止フィルムの作用について述べると、プラスチックフィルム(1)上に透明性を有する程度に薄い金属薄膜(2)を設けたことによって、外光(A)がそのプラズマ振動によって吸収されるため反射率が低下する。しかも該金属薄膜(2)のうえにさらに酸化物薄膜(3)が設けられているため、それによる光の干渉により反射率が一層低下する。このように金属薄膜(2)および酸化物薄膜(3)からなる積層膜を設けた側の反射率が低いので外光の反射グレアが防止される。」(第2頁左下欄第3ないし右下欄第1行)

(4)「本発明に用いるプラスチックフィルム(1)は可撓性および透明性を有すればとくに制限されず、たとえば・・・、アクリル系樹脂、・・・などのフィルムなどあって、」(第2頁右下欄第5ないし9行)

(5)「第2図は本発明の反射防止フィルムの別の実施例を示す概略部分断面図である。この実施例のものは、第1図に示される反射防止フィルムのプラスチックフィルム(1)の露出面に粘着剤層(4)を設け、そのうえに剥離フィルム(5)を積層した構成とされている。この実施例の反射防止フィルムは剥離フィルム(5)を除去したのち適用面に貼合せることによって使用される。」(第3頁右上欄第9ないし16行)

(6)「さらに第2図に示されるごとく粘着加工を施しておくことによって、ディスプレイをはじめとして各種表面形状を有する物体に貼合せて反射防止効果を発揮せしめることができる。」(第3頁右下欄下から第2行ないし第4頁左上欄第2行)

(7)「本発明の反対防止フィルムは一般のCRTディスプレイのフィルターとしての用途以外にも、車両などのミラー(ルームミラー、バックミラ一)、額のガラス、時計文字板ガラス、ショーウインドー用窓ガラスなどに貼合せて表面反射を防止する用途に使用することができる。」(第4頁左上欄下から第3行ないし右上欄第3行)

これらの記載及び図面等を参照すると、引用例1には、
「透明性のプラスチックフィルム(1)の片面に透明性の金属薄膜(2)および透明性の酸化物薄膜(3)からなる積層膜を設けてフィルターとし、そのフィルターの透明性のプラスチックフィルム(1)の露出面を、CRTディスプレイの適用面に貼合せることを特徴とするCRTディスプレイの外光反射防止方法。」
が記載されているものと認める。

また、同じく原査定の拒絶の理由に引用された実願昭62-30286号(実開昭63-137301号)のマイクロフィルム(以下、引用例2という。)には、「除電性を有する多層反射防止光透過板」(考案の名称)が記載され、図面と共に以下の記載がある。

「(1)プラスチック透明基材の上に耐擦禍性を有するハードコート層を設け、その表層に多層反射防止層を設けた光透過板において、」(第1頁第5ないし7行))

「[産業上の利用分野]本考案は除電性を有するプラスチック光透過板に関する。さらに詳しくはディスプレイやテレビのブラウン管(CRT)などから発生する静電気を効果的にシールドすることが可能な光透過板に関する。」(第3頁第2ないし7行)

「本考案においては、まずプラスチック透明基材の上に耐擦禍性を有するハードコート層を設けることが必要である。」(第6頁第6ないし8行)

「また耐擦禍性を有するハードコート層とは、ポリオルガノシロキサン、シリカ、アルミナなどの硬度の高いコーティング層、またはアクリル成分を含む層をいう。プラスチック製品の表面は一般に傷がつき易いので、これを改良するため、及び表層にコートする多層反射防止層のアンダーコートして密着性を高めるためである。」(第6頁下から第5行ないし第7頁第2行)

「次に本考案においては、前記のハードコート層の表層に多層反射防止層を設ける。反射防止を有効になすためである。」(第7頁下から第7ないし5行)

「ハードコート用塗料としては・・・、ビニルトリエトキシシランを・・・したものと、メチルトリエトキシシランを・・・したものを混合して用いた。この混合溶解物に硬化剤として酢酸ナトリウムを加え、さらにシリコーン系界面活性剤を加えて最終塗料とした。この塗料を基材表面に塗布し、加熱キュアして約2ミクロンの厚さの硬化膜を形成させた。」(第12頁下から第5行ないし第13頁第5行)

【3】対比・判断
(1)まず、本願発明1と引用例1に記載のものとを対比すると、前者の「透明プラスチックフィルムまたはシート」、「少なくとも上面に」、「反射防止層」、「積層して」、「フィルター」、「フィルターの反射防止層を積層していない側の面」、「ディスプレイ」、「表示面」、「密着貼合する」は、それぞれ後者の「透明性のプラスチックフィルム(1)」、「片面に」、「透明性の金属薄膜(2)および透明性の酸化物薄膜(3)からなる積層膜」、「設けて」、「フィルター」、「フィルターの透明性のプラスチックフィルム(1)の露出面」、「ディスプレイ」、「適用面」、「貼合せる」に相当するから、両者は「透明プラスチックフィルムまたはシートの少なくとも上面に反射防止層を積層してフィルターとし、そのフィルターの反射防止層を積層していない側の面を、ディスプレイの表示面に密着貼合する」点で一致し、次の点で相違している。

相違点A:透明プラスチックフィルムまたはシートの上面に反射防止層を積層する際、本願発明1では、硬化膜を介在させているのに対して、引用例1においては、記載されていない点。

相違点B:ディスプレイの種類について、本願発明1では、液晶ディスプレイであるのに対して、引用例1においては、CRTディスプレイである点。

(2)上記相違点について検討する。

[相違点Aについて]

透明プラスチックフィルムまたはシートの上面に反射防止層を積層する際、硬化膜を介在させることは、本願出願前周知の技術である(例えば、引用例2、特開昭61-230125号公報(以下、刊行物Aという。)第3頁右上欄下から第6行ないし第5頁左上欄第6行参照、特開昭59-116601号公報(以下、刊行物Bという。)第3頁右下欄第11行ないし第4頁左上欄第7行参照)。
このような周知技術を引用例1に記載されたものに適用することが困難とは言えず、また、引用例1に記載されたものに、このような周知技術を適用することについて阻害する特段の事由も存在しない。また、当該適用によって、格別顕著な作用効果を奏するものでもない。

[相違点Bについて]

ディスプレイの種類として、液晶ディスプレイ及びCRTディスプレイは、共に本願出願前より十分公知の存在であることから(必要であれば、例えば、刊行物Aの第2頁右上欄第5ないし10行参照、刊行物Bの第1頁左下欄第10ないし末行参照)、引用例1のCRTディスプレイを液晶ディスプレイに置き換えて、本願発明1のように構成することは、当業者にとっては必要に応じて適宜為しえることである。
なお、引用例1には、専らCRTディスプレイに使用するだけでなく、ミラー、板ガラス、窓ガラス等にも使用し得る旨記載されている。

【4】むすび
以上のとおりであるから、本願発明1は、本願出願前に頒布された刊行物及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2002-11-06 
結審通知日 2002-11-12 
審決日 2002-11-25 
出願番号 特願平4-111271
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G02B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 横井 康真  
特許庁審判長 高橋 美実
特許庁審判官 柏崎 正男
國島 明弘
発明の名称 平面ディスプレイの外光反射防止方法  
代理人 中山 亨  
代理人 榎本 雅之  
代理人 神野 直美  
代理人 久保山 隆  

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