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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A61B
管理番号 1070308
異議申立番号 異議2002-70593  
総通号数 38 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1993-10-19 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-03-04 
確定日 2002-10-21 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3206971号「内視鏡」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3206971号の請求項1に係る特許を取り消す。 
理由 1.手続の経緯
特許第3206971号の請求項1に係る発明は、平成4年8月5日(優先権主張平成4年1月31日)に特許出願され、平成13年7月6日にその特許権の設定登録がなされ、その後、旭光学工業株式会社より特許異議の申立がなされ、取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成14年7月23日に訂正請求がなされたものである。

2.訂正の適否
(1)訂正の内容
特許権者が求めている訂正の内容は次の訂正事項a、bのとおりである。
・訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1を、
「【請求項1】少なくとも、端子が略垂直に延出する固体撮像装置、電子部品、信号ケーブル、基板を有する撮像ユニットを先端部に備えた内視鏡において、
前記固体撮像素子の端子と、前記電子部品の電極又は前記信号ケーブルとを前記基板の導電パターンの同一部位上に、前記端子の延出方向に対して略垂直方向に積み重ねて電気的に接続し、前記積み重ねた前記基板の導電パターンの同一部位では前記基板は前記固体撮像装置の端子に対して内側方向に位置することを特徴とする内視鏡。」
と訂正する。

・訂正事項b
特許明細書の段落【0006】を、
「【課題を解決するための手段】
本発明による内視鏡は、少なくとも、端子が略垂直に延出する固体撮像装置、電子部品、信号ケーブル、基板を有する撮像ユニットを先端部に備えた内視鏡において、前記固体撮像素子の端子と、前記電子部品の電極又は前記信号ケーブルとを前記基板の導電パターンの同一部位上に、前記端子の延出方向に対して略垂直方向に積み重ねて電気的に接続し、前記積み重ねた前記基板の導電パターンの同一部位では前記基板は前記固体撮像装置の端子に対して内側方向に位置することを特徴とするものである。」

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
訂正事項aは、請求項1に記載された
「固体撮像装置」を「端子が略垂直に延出する固体撮像装置」に、
「前記少なくとも固体撮像装置の端子、電子部品の電極、信号ケーブルのうち複数個を前記基板の導電パターンの同一部位上に」を「前記固体撮像素子の端子と、前記電子部品の電極又は前記信号ケーブルとを前記基板の導電パターンの同一部位上に」に、
「積み重ねて電気的に接続した」を「前記端子の延出方向に対して略垂直方向に積み重ねて電気的に接続し、前記積み重ねた前記基板の導電パターンの同一部位では前記基板は前記固体撮像装置の端子に対して内側方向に位置する」に、
限定するものであり、この訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、この訂正は、特許明細書の「【0027】図8(a)は、端子22と基板本体15aとの間に電子部品27をはさんで端子22,電子部品27,基板本体15aの回路パターンを電気的に接続した例を示している。また、図8(b)は、基板本体15aと電子部品27との間に端子22をはさんで端子22,電子部品27,基板本体15aの回路パターンを電気的に接続した例である。」、「【0036】図9及び図10に示す構成のものでは、電子部品の電極例えばコンデンサ41の電極を介して、端子22(SUB,Vout)、及び信号線が、基板本体15a′の同一の部位、つまり同一パターン上において共通に電気的に結合できる。」の記載、及び、図8、図9、図10に固体撮像装置の端子形状、各部材の配置関係が図示されていることから、願書に添付した明細書または図面に記載した事項の範囲内でなされたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。

訂正事項bは、訂正事項aにおいて訂正された記載との整合をとるために段落【0006】の記載を訂正するものであり、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。そして、訂正事項bは、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(3)むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、平成11年改正前の特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議の申立についての判断
(1)申立の理由の概要
申立人旭光学工業株式会社は、証拠として
甲第1号証:特開昭63-290541号公報(以下、刊行物1という)
甲第2号証:特開昭63-222732号公報(以下、刊行物2という)
を提出し、
本件請求項1に係る発明は、甲第1号証乃至甲第2号証から容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定に違反するので特許を受けることができない旨主張している。

(2)本件の請求項1に係る発明
本件の請求項1に係る発明(以下、本件発明という。)は、訂正明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】少なくとも、端子が略垂直に延出する固体撮像装置、電子部品、信号ケーブル、基板を有する撮像ユニットを先端部に備えた内視鏡において、
前記固体撮像素子の端子と、前記電子部品の電極又は前記信号ケーブルとを前記基板の導電パターンの同一部位上に、前記端子の延出方向に対して略垂直方向に積み重ねて電気的に接続し、前記積み重ねた前記基板の導電パターンの同一部位では前記基板は前記固体撮像装置の端子に対して内側方向に位置することを特徴とする内視鏡。」

(3)刊行物等
当審が通知した取消しの理由に引用した刊行物1には、以下の事項が記載されている。
「上記SIDチップ18の撮像面と反対側となる裏面には金属板47がコ字形に折りかえされ、その一方の端部がダイボンディングされており、この金属板47の他端は基盤21に取付けられた電子回路部品としてのコンデンサ19の片側の(アースと接続される)電極19aと半田48付けで電気的に接続されている。このコンデンサ19aの他方の電極19bは絶縁塗料49を塗布して金属板47と絶縁している。」(第3頁左上欄第6行〜第14行)

(4)対比・判断
刊行物1に記載された発明の「金属板」「コンデンサ」は、それぞれ本件発明の「端子」「電子部品」に相当するので、
本件発明と刊行物1に記載された発明とは、
「少なくとも、固体撮像装置、電子部品、信号ケーブル、基板を有する撮像ユニットを先端部に備えた内視鏡において、前記固体撮像装置の端子と前記電子部品の電極とを前記基板の導電パターンの同一部位上に電気的に接続した内視鏡」である点で一致し、
配置関係が、本件発明は、基板が固体撮像素子の略垂直に延出する端子に対して内側方向に位置し、導電パターンの上の接続の積層方向が、延出方向に対して略垂直方向であるのに対し、刊行物1に記載された発明ではそのような配置でない点で相違する。

相違点について検討する。
基板が固体撮像装置の略垂直に延出する端子に対して内側方向に位置するものは、内視鏡において周知である(例えば、特開平3―280923号公報、特開平3-207336号公報(信号線35C、リード67、ランド68の接続関係等参照)等参照)。また、基板に接続する部材の配置方向は端子の延出方向に対して略垂直方向であることから、刊行物1に記載された発明の配置関係を適宜変更して、前記相違点に係る構成を得ることは、当業者が容易に想到しうることである。

よって、本件発明は、刊行物1に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(5)むすび
以上のとおり、本件の請求項1に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
内視鏡
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも、端子が略垂直に延出する固体撮像装置、電子部品、信号ケーブル、基板を有する撮像ユニットを先端部に備えた内視鏡において、
前記固体撮像素子の端子と、前記電子部品の電極又は前記信号ケーブルとを前記基板の導電パターンの同一部位上に、前記端子の延出方向に対して略垂直方向に積み重ねて電気的に接続し、前記積み重ねた前記基板の導電パターンの同一部位では前記基板は前記固体撮像装置の端子に対して内側方向に位置することを特徴とする内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被写体像を撮像する固体撮像装置等を有する映像ユニットを先端部に備えた内視鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、体腔内等へ細長の挿入部を挿入して被検部位の観察や各種処置を行うことのできる内視鏡が広く用いられている。特に近年では、挿入部先端部に対物レンズ、CCD等からなる固体撮像素子、固体撮像素子に接続される回路基板などを含む映像ユニットを備えた電子内視鏡が種々提案されている。
【0003】
前記内視鏡に設けられる映像ユニットとしては、特開昭60-208726号公報に開示されているような、挿入部先端部に内蔵された小型のものが提案されている。この映像ユニットは、細長のハウジングが設けられており、このハウジング内に先端側から対物レンズ、固体撮像素子、回路基板が配設され、回路基板に接続された伝達ケーブルが後端より延出し、ハウジングの両端がシール部材で密封されている。固体撮像素子の端子、電子部品の電極、信号ケーブル等の接続は基板パターンに形成されたそれぞれの電極上に行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述のような映像ユニットは、固体撮像素子の端子、電子部品の電極、信号ケーブル等を接続するためのそれぞれの電極を基板上に備えているので大きくなってしまい、このような映像ユニットを備えた内視鏡の先端硬質部が大きくなってしまう。
【0005】
本発明は、これらの事情に鑑みてなされたもので、映像ユニット部を小型にして挿入部先端の硬質部を細径化するとともにその長さも短くできる内視鏡を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明による内視鏡は、少なくとも、端子が略垂直に延出する固体撮像装置、電子部品、信号ケーブル、基板を有する撮像ユニットを先端部に備えた内視鏡において、前記固体撮像素子の端子と、前記電子部品の電極又は前記信号ケーブルとを前記基板の導電パターンの同一部位上に、前記端子の延出方向に対して略垂直方向に積み重ねて電気的に接続し、前記積み重ねた前記基板の導電パターンの同一部位では前記基板は前記固体撮像装置の端子に対して内側方向に位置することを特徴とするものである。
【0007】
【作用】
前記構成により、映像ユニットは、硬性の先端部本体に組付けられ、映像ユニット保護部材で保護される。
【0008】
【実施例】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。◎
図1ないし図5は本発明の第1実施例に係り、図1は内視鏡の挿入部先端部の組立てにおける第1の工程終了後の状態を示す断面説明図、図2は挿入部先端部の組立てにおける第2の工程終了後の状態を示す断面説明図、図3は挿入部先端部の組立てにおける第3の工程終了後の状態を示す断面説明図、図4は挿入部先端部の組立て終了時の構成を示す断面説明図、図5は内視鏡の全体の構成を示す説明図である。
【0009】
図5に示すように、内視鏡1は、体腔内等に挿入可能な細長の挿入部2を有しており、先端側から硬性の先端部3、湾曲可能な湾曲部4、可撓性を有する可撓管部5が設けられている。挿入部の後端側には、把持部を兼ねた操作部6が連設されており、操作部6の側方より信号ケーブル,ライトガイドファイバ等を内設したユニバーサルコード7が延出している。ユニバーサルコード7は端部に設けられたコネクタ8を介してビデオプロセッサ9に接続されるようになっている。ビデオプロセッサ9は信号ケーブル10を介してモニタ11に接続されており、先端部3に設けられた後述する映像ユニットで撮像された被写体の画像信号がビデオプロセッサ9で信号処理され、被写体画像がモニタ11に表示されるようになっている。
【0010】
次に、前記内視鏡1における挿入部2の先端部3の構成、及び組立工程について説明する。
【0011】
まず、図1に示すように、映像ユニット12の主要部を組立てる。映像ユニット12は、対物レンズ13,固体撮像装置14,回路基板15及び16,信号ケーブル17及び18を備えて構成されている。最初にCCD等の固体撮像素子チップ19を含む固体撮像装置14を組立てる。固体撮像素子チップ19は、光軸方向から見ると四角形の形状を有しており、基質20の凹部20aに配設されてボンディングワイヤ21で基質20と接続されている。基質20の凹部20aと反対側の面には端子22が延出し、基質20内でボンディングワイヤ21との接続部と導通しており、固体撮像素子チップ19と端子22とが電気的に接続されている。固体撮像素子チップ19の前方には、カバーガラス23が設けられ、固体撮像素子チップ19とカバーガラス23との間は透明の封止樹脂24で封止されている。
【0012】
固体撮像装置14を組立てた後、対物レンズ枠25の先端側に対物レンズ13を、後端側に固体撮像装置14を接着剤で気密状態になるように接着固定し、固体撮像装置14の端子22に回路基板15,16を対向して半田付け等で接続する。回路基板15は基板本体15aの両面にICチップ26と電子部品27とを配置、接続した両面回路基板であり、いわゆるチップオンボード方式のハイブリッド基板である。また、回路基板16は固体撮像装置14の端子22と信号ケーブル18とを接続するジャンパー基板として用いられている。なお、ICチップ26は、封止樹脂28によって封止されている。また、回路基板15と16との間にスペーサ29をはさんで固定し、回路基板15上の封止樹脂28と回路基板16との間に放熱性樹脂30を充填して回路基板15,16が固体撮像装置14に対して動かないように固定する。そして、回路基板15に信号ケーブル17を、回路基板16に信号ケーブル18を半田付け等で接続する。
【0013】
次に、図2に示すように、挿入部2の先端部3に設けられるステンレス等からなる先端部本体31の接続パイプ取付け部31aに先端部構成部材としての接続パイプ32,鉗子チャンネルチューブ33を接着固定した組立体を形成し、映像ユニット12の対物レンズ枠25を映像ユニット取付け部31bに挿入する。そして、先端部本体31にビス35を螺合して映像ユニット12を位置決めし、接着剤を流し込んで先端部本体31に気密に固定し、先端に先端カバー34を接着固定する。
【0014】
そして、図3に示すように、映像ユニット12の対物レンズ枠25の外側と先端部本体31の映像ユニット取付け部31bとの間に映像ユニット12を保護する映像ユニット保護部材としての枠体36を嵌入し、枠体36の内部、枠体36と映像ユニット12との間、及び枠体36と先端部本体31との間を樹脂等からなるシール手段としての接着剤37で充填して気密に密封する。なお、枠体36は映像ユニット12のシールド部材としての機能を有しており、絶縁が必要な場合には熱収縮チューブ等で被覆して絶縁する。これにより、映像ユニット12及び枠体36は先端部本体31と一体的に構成され、脱不能となる。すなわち、先端部本体付きの密封された撮像ユニットの状態となる。ここで、このユニットは、鉗子チャンネルチューブ33等の映像機能とは関連のない別機能の構成要素を含んでおり、先端カバー34の部分は内視鏡1全体の組立てが完了した状態では内視鏡1の外表面の一部を形成している。
【0015】
最後に、図4に示すように、湾曲管38を接着もしくは溶接によって先端部本体31の後端側に固着した後、湾曲管38を覆うように被覆ゴム39を先端部本体31に接着剤等で固定する。
【0016】
以上により、挿入部2の先端部3の組立てが完了する。
【0017】
このように、本実施例では、まず完全に密封されていない映像ユニット12を組立て、その後この映像ユニット12を先端部本体31に組付けて先端部本体31と一体化された状態で密封しているので、先端部本体31及び枠体36付きの密封された撮像ユニットとなり、機械的強度は著しく向上し、修理用部組としての信頼性が向上する。また、組立ての際にこの一体化された撮像ユニットを何かにぶつけても破損することはない。
【0018】
従って、映像ユニット部を小型化して挿入部先端部の細径化が可能であると共に、機械的強度を向上させることが可能となる。
【0019】
図6及び図7は本発明の第2実施例に係り、図6は内視鏡の挿入部先端部の組立てにおける第2の工程終了後の状態を示す断面説明図、図7は挿入部先端部の組立てにおける第3の工程終了後の状態を示す断面説明図である。
【0020】
第2実施例は、第1実施例の変形例であり、組立工程の手順を異ならせたものである。挿入部先端部の組立て完了後の構成は第1実施例と同様であり、図6及び図7において第1実施例と同一の構成要素には同一符号を付している。
【0021】
まず、図1に示した第1実施例と同様に、映像ユニット12の主要部を組立てる。次に、図6に示すように、映像ユニット12の対物レンズ枠25を映像ユニット取付け部31bに挿入する。そして、先端部本体31にビス35を螺合して映像ユニット12を位置決めし、接着剤を流し込んで先端部本体31に気密に固定する。
【0022】
先端部本体31に映像ユニット12を固定した後、図7に示すように、映像ユニット12の対物レンズ枠25の外側と先端部本体31の映像ユニット取付け部31bとの間に枠体36を嵌入し、枠体36の内部、枠体36と映像ユニット12との間、及び枠体36と先端部本体31との間を樹脂等からなる接着剤37で充填して気密に密封する。これにより、映像ユニット12及び枠体36は先端部本体31と一体的に構成され、脱不能となる。すなわち、先端部本体付きの密封された撮像ユニットの状態となる。ここで、このユニットは、挿入部先端部3の主要構成部材である先端部本体31を含んでおり、先端部本体31は映像機能とは関連のない構成要素である。また、このユニットは、接続パイプ取付け部31aの開口部が内視鏡1の外表面の一部を形成している。
【0023】
次に、第1実施例と同様に、先端部本体31の接続パイプ取付け部31aに接続パイプ32,鉗子チャンネルチューブ33を、先端部本体31の先端に先端カバー34を取り付け、接着固定して、図3に示す状態にする。
【0024】
最後に、図4に示すように、湾曲管38を接着もしくは溶接によって先端部本体31の後端側に固着した後、湾曲管38を覆うように被覆ゴム39を先端部本体31に接着剤等で固定し、挿入部2の先端部3の組立てが完了する。
【0025】
このように、本実施例においても第1実施例と同様に、映像ユニット部を小型化して挿入部先端部の細径化が可能であると共に、機械的強度を向上させることができる。また、第2実施例では、映像ユニット12を先端部本体31に組付けて密封した後に、他の先端部構成部材を組付けるようにしているため、組立時における映像ユニットの破損を極力防止することができる。
【0026】
ところで、映像ユニット12において、固体撮像装置14の端子22と回路基板15との接続部は、図8に示すように構成することもできる。
【0027】
図8(a)は、端子22と基板本体15aとの間に電子部品27をはさんで端子22,電子部品27,基板本体15aの回路パターンを電気的に接続した例を示している。また、図8(b)は、基板本体15aと電子部品27との間に端子22をはさんで端子22,電子部品27,基板本体15aの回路パターンを電気的に接続した例である。
【0028】
このように、回路基板の同一部位において、固体撮像装置の端子、電子部品、信号ケーブルなどの電気回路要素のうち複数個のものを重ねて電気的に結合することにより、実装密度が上がり、回路基板を小さくできるため、挿入部先端部の硬性部の長さを短くできると共に、内視鏡挿入部を小型化できる。
【0029】
また、映像ユニット12において、固体撮像装置14の端子22、回路基板15Aの基板本体15a´、及び同軸ケーブルとの接続部は、図9及び図10に示すように構成することもできる。図12には、固体撮像装置14、基板本体15a´、及び複数の同軸ケーブルとの電気的接続に関する回路の一例を示している。この固体撮像装置14は、端子22の一例として、図12に示すように、φS(シリアル転送)端子、φAB(アンチブルーミング)端子、φP(垂直転送)端子、VDD(電源)端子、SUB(アース)端子、及びVout(出力)端子を有している。また、前記回路基板15Aは、基板本体15a´上に、後述する電子部品とICチップを配置、接続した回路基板である。
【0030】
図9及び図10に示すものは、端子22と基板本体15a´との間に、電子部品、例えばコンデンサ41が介装され、このコンデンサ41を介して、端子22と基板本体15a´が電気的に接続されている。また、基板本体15a´には、コンデンサ41が接続された面に、図12に示すICチップ42及び同軸ケーブル等が接続されている。前記コンデンサ41は、両端に、図11で斜線で示す電極を有している。
【0031】
図12に示すように、固体撮像装置14のφS,φAB,φPの各端子には、同軸ケーブル43a,43b,43cがそれぞれ電気的に接続されている。
【0032】
図12に示すように、固体撮像装置14のVDD端子,SUB端子の各端子には、並列に前記コンデンサ41が接続されていると共に、VDD端子には同軸ケーブル43dが、そしてSUB端子には同軸ケーブルの端部に形成された図10に示すシールド部46が、それぞれ電気的に接続されている。さらに、固体撮像装置14のVDD端子,SUB端子は、前記ICチップ42の電源入力端子と、アース端子とにそれぞれ接続されている。具体的な配線回りは、以下のようになっている。
【0033】
前記コンデンサ41の各電極は、基板本体15a´の2つのパターン44a,44bにそれぞれ半田付けで接続され固定されている。また、前記コンデンサ41の各電極は、前述したように、固体撮像装置14のVDD端子,SUB端子の各端子にそれぞれ半田付けで接続され固定されている。そして、固体撮像装置14のVDD端子には、同軸ケーブル43dが半田付けで接続され固定されている。また、固体撮像装置14のSUB端子は、ジャンパー線46を介して、前記シールド部46に接続されている。
【0034】
また、固体撮像装置14のVout端子は、図12に示すように、ICチッ42の入力端子に接続されている。具体的な配線回りは、固体撮像装置14のVout端子に一端が半田付けされたジャンパー線45、及び基板本体15a´上に形成されたパターン44cを介して、接続されている。ジャンパー線45は、基板本体15a´のコンデンサ41が配置されていない面に沿って、さらに基板本体15a´の切り欠き部を通り、その他端が、前記パターン44cに半田付けされている。
【0035】
前記ICチップ42は、増幅回路及び保護回路が形成されており、ダイオードD1ないしD4、トランジスタQ1,Q2、及び抵抗器R1ないしR3等から構成されている。尚、保護回路としてのダイオードD3及びD4は、図12中のa点にもうけても良い。前記ICチップ42の出力端子は、パターン44dを介して、及び同軸ケーブル43fに接続されている。この同軸ケーブル43fが、増幅された固体撮像装置14の映像信号を電送するようになっている。
【0036】
図9及び図10に示す構成のものでは、電子部品の電極例えばコンデンサ41の電極を介して、端子22(SUB,Vout)、及び信号線が、基板本体15a´の同一の部位、つまり同一パターン上において共通に電気的に結合できる。このような構成をとらないものの場合には、基板本体15a´上に、端子22用の接続端子のランド、信号線のランド、コンデンサのランドのそれぞれを設けなければならず、回路基板はその分大きくなる。これに対して、図9及び図10に示す構成のものでは、ランドは一つで済むので、実装密度が上がり、回路基板を短くできるため、挿入部先端部の硬性部の長さを短くできると共に、内視鏡挿入部を小型化できる。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、少なくとも固体撮像装置の端子、電子部品の電極、信号ケーブルのうちの複数個を前記基板の導電パターンの同一部位上に積み重ねて電気的に接続して映像ユニット部を小型にして挿入部先端の硬質部を細径化するとともにその長さも短くすることが可能となる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1ないし図5は本発明の第1実施例に係り、図1は内視鏡の挿入部先端部の組立てにおける第1の工程終了後の状態を示す断面説明図
【図2】
挿入部先端部の組立てにおける第2の工程終了後の状態を示す断面説明図
【図3】
挿入部先端部の組立てにおける第3の工程終了後の状態を示す断面説明図
【図4】
挿入部先端部の組立終了時の構成を示す断面説明図
【図5】
内視鏡の全体の構成を示す説明図
【図6】
図6及び図7は本発明の第2実施例に係り、図6は内視鏡の挿入部先端部の組立てにおける第2の工程終了後の状態を示す断面説明図
【図7】
挿入部先端部の組立てにおける第3の工程終了後の状態を示す断面説明図
【図8】
固体撮像装置の端子と回路基板との接続部の構成の変形例を示す説明図
【図9】
固体撮像装置の端子と回路基板と信号線との接続部の構成の変形例を示す説明図
【図10】
固体撮像装置の端子と回路基板と信号線との接続部の構成の変形例を示す斜視図
【図11】
コンデンサの斜視図
【図12】
撮像ユニットの回路図
【符号の説明】
1…内視鏡
2…挿入部
3…先端部
12…映像ユニット
13…対物レンズ
14…固体撮像装置
15,16…回路基板
17,18…信号ケーブル
25…対物レンズ枠
31…先端部本体
31a…接続パイプ取付け部
31b…映像ユニット取付け部
32…接続パイプ
33…鉗子チャンネルチューブ
36…枠体
37…接着剤
 
訂正の要旨 (訂正事項a)
特許請求の範囲の請求項1の記載を、特許請求の範囲の減縮を目的として、
「【請求項1】少なくとも、端子が略垂直に延出する固体撮像装置、電子部品、信号ケーブル、基板を有する撮像ユニットを先端部に備えた内視鏡において、
前記固体撮像素子の端子と、前記電子部品の電極又は前記信号ケーブルとを前記基板の導電パターンの同一部位上に、前記端子の延出方向に対して略垂直方向に積み重ねて電気的に接続し、前記積み重ねた前記基板の導電パターンの同一部位では前記基板は前記固体撮像装置の端子に対して内側方向に位置することを特徴とする内視鏡。」と訂正する。
(訂正事項b)
発明の詳細な説明の段落【0006】の記載を、明りょうでない記載の釈明を目的として、
「【課題を解決するための手段】
本発明による内視鏡は、少なくとも、端子が略垂直に延出する固体撮像装置、電子部品、信号ケーブル、基板を有する撮像ユニットを先端部に備えた内視鏡において、前記固体撮像素子の端子と、前記電子部品の電極又は前記信号ケーブルとを前記基板の導電パターンの同一部位上に、前記端子の延出方向に対して略垂直方向に積み重ねて電気的に接続し、前記積み重ねた前記基板の導電パターンの同一部位では前記基板は前記固体撮像装置の端子に対して内側方向に位置することを特徴とするものである。」と訂正する。
異議決定日 2002-08-30 
出願番号 特願平4-209232
審決分類 P 1 651・ 121- ZA (A61B)
最終処分 取消  
前審関与審査官 居島 一仁  
特許庁審判長 渡部 利行
特許庁審判官 関根 洋之
森 竜介
登録日 2001-07-06 
登録番号 特許第3206971号(P3206971)
権利者 オリンパス光学工業株式会社
発明の名称 内視鏡  
代理人 伊藤 進  
代理人 伊藤 進  
代理人 三井 和彦  

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