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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A63F
管理番号 1070313
異議申立番号 異議2000-73078  
総通号数 38 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1999-06-02 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-08-14 
確定日 2002-10-17 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3008100号「パチンコ機」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3008100号の請求項1に係る特許を取り消す。 
理由 1・手続の経緯
特許第3008100号の発明についての出願は、昭和62年5月28日に出願された実用新案登録出願(実願昭62-79990号)の一部が、(旧)実用新案法第9条第1項の規定で準用する特許法第44条の規定により、平成3年5月27日に新たな実用新案登録出願(実願平3-46751号)とされ、この新たな実用新案登録出願が、特許法第46条第1項の規定により、平成3年5月28日に特許出願(特願平3-150907号)に変更され、この特許出願の一部が、特許法第44条の規定により、平成8年3月11日に新たな特許出願(特願平8-82033号)とされ、この新たな特許出願の一部が、同規定により平成9年1月27日に新たな特許出願(特願平9-27188号)とされ、この新たな特許出願の一部が、同規定により、平成10年9月28日に新たな特許出願とされたものであって、平成11年12月3日にその発明について特許権の設定登録がなされ、その後、その特許について、特許異議申立人・細江裕実より特許異議の申立てがなされ、平成12年12月22日付けで取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成13年3月13日に訂正請求(後日取下げ)がなされた後、平成13年8月7日付けで再度の取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成13年10月12日に訂正請求がなされたものである。
2・訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
ア・訂正事項a
「【請求項1】パチンコ機の背面側に遊技制御を行うためのマイクロコンピュータ及びROMを備えた制御装置を設け、
遊技盤の背面側に前記制御装置から送信されるデータに基づいて図柄、文字などの表示制御を行う処理部を設け、
前記処理部は、前記制御装置が送信するデータを複数回に渡って受け取り、そのデータに基づいて図柄、文字などを表示する前記遊技制御を行うためのマイクロコンピュータとは異なる別のマイクロコンピュータ及び前記制御装置と電気的に接続するための外部接続端子が、プリント配線を施した基板の片面側に搭載され、
前記基板と、当該基板に搭載した前記別のマイクロコンピュータによって制御される表示部を設けた基板とが、前後に積層されて電気的に接続されていることを特徴とするパチンコ機。
【請求項2】前記処理部は、前記制御装置から発生する信号により別のマイクロコンピュータに対して割込を実行するようにした請求項1に記載のパチンコ機。」とある特許請求の範囲の記載を、
「【請求項1】パチンコ機の背面側にセンター役物、電子音発生回路、ランプ表示器など遊技制御を行うためのマイクロコンピュータ及びROMを備えた制御装置を設け、
遊技盤の背面側に前記制御装置から送信されるデータに基づいて図柄、文字などの表示制御を行う処理部を設け、
前記処理部は、前記制御装置が送信するデータを複数回に渡って受け取り、そのデータに基づいて図柄、文字などを表示する前記遊技制御を行うためのマイクロコンピュータとは異なる別のマイクロコンピュータが、前記制御装置と電気的に接続するための外部接続端子とともに、プリント配線を施し電気回路を形成するチップ素子を配設してなる基板の片面側に搭載され、
前記基板と、当該基板に搭載した前記別のマイクロコンピュータによって制御される表示部を前面に設けるとともに後面に電気回路を形成するチップ素子を配設してなる基板とが、前後に積層されて電気的に接続されていることを特徴とするパチンコ機。
【請求項2】前記処理部は、前記制御装置から発生する信号により別のマイクロコンピュータに対して割込を実行するようにした請求項1に記載のパチンコ機。」と訂正する。
イ・訂正事項b
明細書の段落【0004】の記載について、
「・・・遊技制御を行うためのマイクロコンピュータ及びROMを備えた制御装置・・・別のマイクロコンピュータ及び前記制御装置と電気的に接続するための外部接続端子が、プリント配線を施した基板の片面側に搭載され・・・表示部を設けた基板・・・」とあるのを、
「・・・センター役物、電子音発生回路、ランプ表示器など遊技制御を行うためのマイクロコンピュータ及びROMを備えた制御装置・・・別のマイクロコンピュータが、前記制御装置と電気的に接続するための外部接続端子とともに、プリント配線を施し電気回路を形成するチップ素子を配設してなる基板の片面側に搭載され・・・表示部を前面に設けるとともに後面に電気回路を形成するチップ素子を配設してなる基板・・・」と訂正する。
ウ・訂正事項c
明細書の段落【0021】の記載について、
「・・・遊技制御を行うためのマイクロコンピュータ及びROMを備えた制御装置・・・別のマイクロコンピュータ及び前記制御装置と電気的に接続するための外部接続端子が、プリント配線を施した基板の片面側に搭載され・・・表示部を設けた基板・・・」とあるのを、
「・・・センター役物、電子音発生回路、ランプ表示器など遊技制御を行うためのマイクロコンピュータ及びROMを備えた制御装置・・・別のマイクロコンピュータが、前記制御装置と電気的に接続するための外部接続端子とともに、プリント配線を施し電気回路を形成するチップ素子を配設してなる基板の片面側に搭載され・・・表示部を前面に設けるとともに後面に電気回路を形成するチップ素子を配設してなる基板・・・」と訂正する。
(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記訂正事項aは、発明を特定する事項である「・・・遊技制御を行うためのマイクロコンピュータ及びROMを備えた制御装置・・・別のマイクロコンピュータ及び前記制御装置と電気的に接続するための外部接続端子が、プリント配線を施した基板の片面側に搭載され・・・表示部を設けた基板・・・」をこれに含まれる事項である「・・・センター役物、電子音発生回路、ランプ表示器など遊技制御を行うためのマイクロコンピュータ及びROMを備えた制御装置・・・別のマイクロコンピュータが、前記制御装置と電気的に接続するための外部接続端子とともに、プリント配線を施し電気回路を形成するチップ素子を配設してなる基板の片面側に搭載され・・・表示部を前面に設けるとともに後面に電気回路を形成するチップ素子を配設してなる基板・・・」に変更し、しかも、「センター役物、電子音発生回路、ランプ表示器など遊技制御を行うためのマイクロコンピュータ及びROMを備えた制御装置」の点については、明細書の段落【0011】の「メインMCU17にはセンター役物18などに設けた継続スイッチ19,10カウントスイッチ20,始動口スイッチ21,駆動ソレノイド22,あるいは電子音発生回路23,ランプ表示器24などパチンコ遊技の制御を受け持たせる」に、「別のマイクロコンピュータが、前記制御装置と電気的に接続するための外部接続端子とともに、プリント配線を施し電気回路を形成するチップ素子を配設してなる基板の片面側に搭載され」る点については、明細書の段落【0008】の「第2基板3の前後面にはチップ素子7及びサブMCU5・・・などを配設して表示処理部6となる電気回路を形成し」に、「表示部を前面に設けるとともに後面に電気回路を形成するチップ素子を配設してなる基板」の点については、明細書の段落【0005】の「第1基板2の前面には表示基板4を添設し」及び明細書の段落【0006】の「第1基板2の前後表面にはプリント配線を適宜施すと共に、後面にはトランジスタ、抵抗などのチップ素子7・・・を配設して電気回路(主としてドライブ回路)を形成し」に、それぞれ記載されているものと認められるので、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、又、上記訂正事項b及びcは、上記訂正事項aと整合を図るものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、何れも、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
(3)むすび
したがって、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、平成11年改正前の特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書き、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
3・特許異議の申立てについての判断
(1)本件発明
上記2・で示したように上記訂正が認められるから、本件発明の要旨は、上記訂正に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。(上記2・(1)ア・訂正事項a参照)
(2)引用刊行物に記載された発明
当審が平成13年8月7日付けで通知した取消しの理由で引用した、本件出願前に国内において頒布された刊行物である実願昭58-199954号(実開昭60-109683号)のマイクロフィルム(以下、「刊行物1」という)には、
特に、
(ア)「第9図は制御装置の概略を示したもので、第1ゲーム装置駆動制御部100,第2ゲーム装置駆動制御部200,変動入賞装置5に対する駆動制御部300,そして効果音やランプ等に対する駆動部400を有する」(明細書第14頁第3乃至7行)の記載から、
制御装置がゲーム盤4と変動入賞装置5とを有するユニット、効果音駆動部、ランプ表示器など遊技制御を行うものと認められること、
(イ)「液晶駆動基板430には、上記ゴムコネクタ47と対応する位置にドライバ(IC)48が設けてある」(明細書第11頁第2乃至5行)、「液晶表示パネル41の電極は、ゴムコネクタ47を介してドライバ(IC)48と電気的に接続される」(明細書第11頁第8乃至10行)、「液晶で表示される画像(ピッチャー、キャッチャー、野手、バッター)」(明細書第13頁19行、第14頁第1行)、「作動情報に従って第2ゲーム装置のゲームの進行を・・・行なわせしめる」(明細書第15頁第2乃至4行)及び「第2ゲーム装置のゲーム進行(ランナの移動)」(明細書第15頁第10,11行)なる記載から、
ドライバ(IC)48によって、制御装置から送信される作動情報に基づいてランナなどの表示が行われ、又、液晶駆動基板430と液晶表示パネル41とが電気的に接続されているものと認められること、
(ウ)図面第4,5,7,9図の記載から、
ドライバ(IC)48が、ドライバ(IC)48と制御装置とを電気的に接続するための接続線とともに、液晶駆動基板430の片面側に搭載され、又、液晶駆動基板430と液晶表示パネル41とが、前後に積層されているものと認められること、
からみて、
「ゲーム盤4と変動入賞装置5とを有するユニット、効果音駆動部、ランプ表示器など遊技制御を行うための制御装置を設け、
遊技盤2の背面側に前記制御装置から送信される作動情報に基づいてランナなどの表示を行うドライバ(IC)48を設け、
前記ドライバ(IC)48は、前記制御装置と電気的に接続するための接続線とともに、液晶駆動基板430の片面側に搭載され、
前記液晶駆動基板430と、液晶画像パネル41とが、前後に積層されて電気的に接続されているパチンコ機」を構成とする発明が、
同じく本件出願前に国内において頒布された刊行物である特開昭60-132577号公報(以下、「刊行物2」という)には、
「ゲーム盤4と変動入賞装置5とのユニット、音階発生回路、ランプ表示器など遊技制御を行うためのCPU及びプログラム用メモリ82を備えた制御装置を設け、
前記制御装置から送信されるデータに基づいて画像の表示を行うドライバ72を設けたパチンコ機」を構成とする発明が、
同じく本件出願前に国内において頒布された刊行物である特開昭59-200674号公報(以下、「刊行物3」という)には、
「数値表示器と中央ポケット5、スピーカ駆動回路21、ランプ表示器など遊技制御を行うための中央処理装置(CPU)及びROM18を備えた制御回路14を設け、
前記制御回路14から送信されるデータに基づいて数値の表示を行う表示駆動回路20を設けたパチンコ機」を構成とする発明が、
同じく本件出願前に国内において頒布された刊行物である特開昭61-265161号公報(以下、「刊行物4」という)には、
特に、
「効果音は・・・電子的に発生され」(第6頁右上欄第20行、左下欄第1行)の記載から、
音階発生手段257が電子音発生回路に相当するものと認められること、
からみて、
「可変表示装置4、電子音発生回路、記憶表示ランプなど遊技制御を行うためのCPU210及びROM220を備えた制御装置200を設け、
前記制御装置200から送信されるデータに基づいて数字の表示を行うドライバ262、263を設けたパチンコ遊技機」を構成とする発明が、
同じく本件出願前に国内において頒布された刊行物である特開昭59-105476号公報(以下、「刊行物5」という)には、
「パチンコ機の背面側に電動入賞装置12など遊技制御を行うための電子制御回路を設け、
前記電子制御回路と電気的に接続するためのターミナル17を設けたパチンコ機」を構成とする発明が、
同じく本件出願前に米国内において頒布された刊行物である米国特許第4517654号明細書(クラス364)(以下、「刊行物6」という)には、
特に、
(ア)「本発明は、入力バスから供給されるデータを受け取り、供給されたデータから画像を形成する技術に関する。そして、データがゲーム回路から供給されることを特徴とする。ゲームの動画と、ゲームの画像表示のためのデータは、図1に示すように、ビデオ中央処理装置(CPU)10に供給される。CPUは、ゲームの操作信号に基づいて、ビデオに関する全ての制御を行う」(第3欄下から第19行乃至下から第11行)及び「ビデオプロセッサはゲームプロセッサアドレス線を含み、それによってビデオプロセッサはゲームプロセッサデータバスに接続される。ゲームプロセッサ(図示されていない)からのデータは、ビデオプロセッサ10によってデータバスを介して受け取られる。さらに、ビデオプロセッサはゲームプロセッサから割込みを受け、それによってビデオプロセッサはデータ処理の途中でゲームプロセッサのコマンドに応答することができる。ビデオプロセッサはゲームプロセッサデータバスにデータ出力信号を与えてビデオプロセッサの状態を示す。ビデオプロセッサがゲームプロセッサから命令を受け取ると、プログラムメモリ19はアドレスラッチ12を介してアドレス指定される。プログラムメモリ19はビデオプロセッサを動作するための命令及びゲームプロセッサコマンドに従って図形画像を形成するための命令を含む。一旦アドレス指定されると、プログラムメモリによってビデオプロセッサが他のビデオプロセッサ回路に与えられるデータの形でコマンドを発生することができる」(第4欄第63行乃至第5欄第14行)の記載から、
ビデオプロセッサ回路が、ゲーム制御を行うためのゲームプロセッサを備えるゲーム回路から送信されるデータを受け取って画像の表示制御を行い、かつ、ゲームプロセッサとは異なるビデオ中央処理装置(CPU)10を備えているものと認められること、
(イ)前記(1)の第4欄第63行乃至第5欄第14行及び図6(シート7)左下の「VAD0〜VAD7」の記載から、
ビデオプロセッサ回路に、ゲーム回路と電気的に接続するための接続線が接続されているものと認められること、
(ウ)「例えば、ピンボールマシンは今やビデオゲームであり、スロットマシンは今やビデオゲーム装置である」(第1欄下から第48行,下から第47行)の記載から、
ビデオプロセシングアーキテクチャが、ピンボールゲーム或いはスロットゲーム等のゲーム用のものであるものと認められること、
からみて、
「ゲーム制御を行うためのゲームプロセッサを備えたゲーム回路を設け、
前記ゲーム回路から送信されるデータに基づいて画像の表示制御を行うビデオプロセッサ回路を設け、
前記ビデオプロセッサ回路は、前記ゲーム回路が送信するデータを受け取り、そのデータに基づいて画像を表示する前記ゲームプロセッサとは異なるビデオ中央処理装置(CPU)10と、前記ゲーム回路と電気的に接続するための接続線とを備えているピンボールゲーム或いはスロットゲーム等のゲーム用ビデオプロセッシングアーキテクチャ」を構成とする発明が、
同じく本件出願前に国内において頒布された刊行物である特開昭59-208580号公報(以下、「刊行物7」という)には、
特に、
(ア)「第7図は9ビツトのデータを送る時の送り方を示す図であり、4本のデータ線b1〜b4のデータを(a)〜(d)の4回に分けて送るもので」(第3頁右下欄第17乃至20行)の記載から、
LCD駆動回路ユニット4bは、操作部2が送信するデータを複数回に渡って受け取っているものと認められること、
(イ)第4図(第5頁)の記載から、
マイクロコンピュータ付きLCD駆動回路ユニット4b及びワイヤハーネス3がプリント基板7の片面側に搭載されているものと認められること、
からみて、
「マイクロコンピュータ及びROMを備えた操作部2を設け、
前記操作部2から送信されるデータに基づいてメッセージの表示制御を行うLCD駆動回路ユニット4bを設け、
前記LCD駆動回路ユニット4bは、前記操作部2が送信するデータを複数回に渡って受け取り、そのデータに基づいてメッセージを表示する前記操作部2に備えられたマイクロコンピュータとは異なる別のマイクロコンピュータが、前記操作部2と電気的に接続するためのワイヤハーネス3とともに、プリント配線を施し電子部品を搭載したプリント基板7の片面側に搭載され、
前記プリント基板7と、当該プリント基板7に搭載した前記別のマイクロコンピュータによって制御されるLCD4aとが、前後に積層されて導電ゴム8aで接続されている自動車用表示装置」を構成とする発明が、
同じく本件出願前に国内において頒布された刊行物である特開昭57-132260号公報(以下、「刊行物8」という)には、
「2個以上のマイクロコンピュータで多くの制御処理を分担させる」技術が、
同じく本件出願前に国内において頒布された刊行物である特開昭52-130259号公報(以下、「刊行物9」という)には、
「機器の処理を2個のCPUで分業化する」技術が、
同じく本件出願前に国内において頒布された刊行物である実願昭56-66789号(実開昭57-180381号)のマイクロフィルム(以下、「刊行物10」という)には、
特に、図面第1図の記載からみて、
「コネクタが、印刷配線を施し電子部品群を配設してなる基板4の片面側に搭載され、
前記基板4と、表示部2を前面に設けるとともに後面に電子部品群を配設してなる基板3とが、前後に積層されて電気的に接続されている表示装置」を構成とする発明が、
それぞれ記載されているものと認められる。
(3)対比及び判断
そこで、本件発明(前者)と刊行物1に記載された発明(後者)とを対比するに、
後者の
「ゲーム盤4と変動入賞装置5とを有するユニット」、「効果音駆動部」、「作動情報」、「ランナ」、「液晶駆動基板430」及び「液晶画像パネル41」
がそれぞれの機能に照らし、それぞれ
前者の
「センター役物」、「音発生回路」、「データ」、「図柄、文字」、「基板」及び「表示部」
に相当するものと認められるから、
両者は、
「センター役物、音発生回路、ランプ表示器など遊技制御を行うための制御装置を設け、
遊技盤の背面側に前記制御装置から送信されるデータに基づいて図柄、文字などの表示を行う表示に関わる部材を設け、
前記表示に関わる部材は、前記制御装置と電気的に接続するための接続に関わる部材とともに、基板の片面側に搭載され、
前記基板と、表示部とが、前後に積層されて電気的に接続されているパチンコ機」である、
点において一致し、
(1)制御装置が、
前者は、マイクロコンピュータ及びROMを備え、
パチンコ機の背面側に設けられている、
のに対し、
後者は、かかる構成を明らかにしていない、
(2)音発生回路が、
前者は、電子音を発生させる、
のに対し、
後者は、電子音を発生させるのかどうか明らかではない、
(3)表示に関わる部材が、
前者は、制御装置が送信するデータを複数回に渡って受け取り、そのデータに基づいて図柄、文字などを表示制御する制御装置のマイクロコンピュータとは異なる別のマイクロコンピュータを備えた処理部である、
のに対し、
後者は、制御装置から送信されるデータに基づいて図柄、文字などの表示を行うドライバ(IC)である、
(4)接続に関わる部材が、
前者は、外部接続端子である、
のに対し、
後者は、接続線である、
(5)前者においては、基板にプリント配線を施し電気回路を形成するチップ素子を配設してあり、表示部が後面に電気回路を形成するチップ素子を配設してなる基板の前面に設けられている、
のに対し、
後者においては、基板に、プリント配線が施されているのか否か、チップ素子が配設されているのか否か、明らかではなく、表示部が基板に設けられていない、
点において相違しているものと認められる。
しかし、上記相違点(1)についてみるに、
上記相違点(1)の前者の構成の内、「制御装置がマイクロコンピュータ及びROMを備え」るという構成は、例えば、
刊行物2に記載された発明の
「ゲーム盤4と変動入賞装置5とのユニット」、「音階発生回路」、「CPU」、「プログラム用メモリ82」及び「画像」
がそれぞれの機能に照らし、それぞれ
前者の
「センター役物」、「音発生回路」、「マイクロコンピュータ」、「ROM」及び「図柄、文字など」
に相当し、
又、
刊行物3に記載された発明の
「数値表示器と中央ポケット5」、「スピーカ駆動回路21」、「中央処理装置(CPU)」、「制御回路14」及び「数値」
がそれぞれの機能に照らし、それぞれ
前者の
「センター役物」、「音発生回路」、「マイクロコンピュータ」、「制御装置」及び「図柄、文字など」
に相当し、
又、
刊行物4に記載された発明の
「可変表示装置4」、「記憶表示ランプ」、「CPU210」、「数字」及び「パチンコ遊技機」
がそれぞれの機能に照らし、それぞれ
前者の
「センター役物」、「ランプ表示器」、「マイクロコンピュータ」、「図柄、文字など」及び「パチンコ機」
に相当するものと認められるから、
刊行物2乃至4に記載された各発明にも備わっているように、従来周知の構成であると認められ、
したがって、後者に、例えば、刊行物2乃至4に記載された各発明にも備わっている従来周知の構成を適用し、後者の制御装置にマイクロコンピュータ及びROMを備えさせることは、当業者が格別創意工夫を要することではないというべきであり、
又、
上記相違点(1)の前者の構成の内、「制御装置がパチンコ機の背面側に設けられている」という構成は、
刊行物5に記載された発明の
「電動入賞装置12」、「電子制御回路」及び「ターミナル17」
がそれぞれの機能に照らし、それぞれ
前者の
「センター役物」、「制御装置」及び「外部接続端子」
に相当するものと認められるから、
刊行物5に記載された発明にも備わっているものと認められるところ、
そもそも「制御装置」を「パチンコ機」のどの面に設けるにしろ、その面は、「パチンコ機」の上下左右前後(背)の6つの内にしかなく、前側に設けては遊技者の邪魔になり、且つ、防犯上も好ましくないのは明白であるから、上下左右後(背)の5つの内から選ばれることは技術常識であると認められる。
しかして、「制御装置」を「パチンコ機の背面側」に設けるにつき、これを困難乃至不可能にする技術的理由があって前者がこれを解決したとか、或いは、前者が何か発明力を要する工夫をしたとかいうならともかく、「制御装置」を「パチンコ機の背面側」に設けること自体は、前記技術常識である上下左右後(背)の5つの内から背面側を選択したにすぎない単なる設計事項であり、したがって、後者において、「制御装置がパチンコ機の背面側に設けられている」という構成を採用することは、刊行物5に記載された発明にも備わっているように、当業者が適宜選択し得る単なる設計事項にすぎない。
又、上記相違点(1)の前者の効果が、後者及び例えば刊行物2乃至4に記載された各発明にも備わっている従来周知の構成の各効果の総和以上の格別なものとも認められない。
上記相違点(2)についてみるに、
上記相違点(2)の前者の「音発生回路が電子音を発生させる」という構成は、例えば、
上記した刊行物4に記載された発明にも備わっているように、従来周知の構成であるものと認められる(必要なら、特開昭61-259685号公報の第5頁右下欄第11,12行の「効果音は・・・電子的に発生され」、特開昭61-284278号公報の第5頁左下欄第19,20行の「効果音は・・・電子的に発生され」を参照されたい)から、
後者に、例えば、上記した刊行物4に記載された発明にも備わっている従来周知の構成を適用し、後者の音発生回路を、電子音を発生させるものとすることは、当業者が格別創意工夫を要することではないというべきである。
又、上記相違点(2)の前者の効果が、後者及び例えば上記した刊行物4に記載された発明にも備わっている従来周知の構成の各効果の総和以上の格別なものとも認められない。
上記相違点(3)についてみるに、
刊行物6に記載された発明の
「ゲーム」、「ゲームプロセッサ」、「ゲーム回路」、「画像」、「ビデオプロセッサ回路」及び「ビデオ中央処理装置(CPU)10」
がそれぞれの機能に照らし、それぞれ
前者の
「遊技」、「マイクロコンピュータ」、「制御装置」、「図柄、文字など」、「処理部」及び「別のマイクロコンピュータ」
に相当するものと認められるから、
刊行物6に記載された発明には、
「遊技制御を行うためのマイクロコンピュータを備えた制御装置を設け、
前記制御装置から送信されるデータに基づいて図柄、文字などの表示制御を行う処理部を設け、
前記処理部は、前記制御装置が送信するデータを受け取り、そのデータに基づいて図柄、文字などを表示する前記マイクロコンピュータとは異なる別のマイクロコンピュータと、前記制御装置と電気的に接続するための接続線とを備えているピンボール遊技或いはスロット遊技等の遊技用ビデオプロセッシングアーキテクチャ」
という構成、
すなわち、
上記相違点(3)の前者の構成の一部である「制御装置が送信するデータを受け取り、そのデータに基づいて図柄、文字などを表示制御する前記制御装置に備えられたマイクロコンピュータとは異なる別のマイクロコンピュータを備えている処理部」という構成、
が備わっているものと認められる。
ところで、刊行物6に記載された発明には、上記相違点(3)の他部である、「データを複数回に渡って受け取る」ことについては明らかにされていないところ、かかる手段は、データ送信の技術において、従来周知の技術にすぎない。
例えば、
刊行物7に記載された発明の
「操作部2」、「メッセージ」、「LCD駆動回路ユニット4b」、「電子部品を搭載した」、「プリント基板7」、「LCD4a」及び「導電ゴム8aで」
がそれぞれの機能に照らし、それぞれ
前者の
「制御装置」、「図柄、文字など」、「処理部」、「チップ素子を配設した」、「プリント配線を施した基板」、「表示部」及び「電気的に」
に相当するものと認められるから、
刊行物7に記載された発明には、
「マイクロコンピュータ及びROMを備えた制御装置を設け、
前記制御装置から送信されるデータに基づいて図柄、文字などの表示制御を行う処理部を設け、
前記処理部は、前記制御装置が送信するデータを複数回に渡って受け取り、そのデータに基づいて図柄、文字などを表示する前記制御装置に備えられたマイクロコンピュータとは異なる別のマイクロコンピュータが、前記制御装置と電気的に接続するためのワイヤハーネス3とともに、プリント配線を施しチップ素子を配設した基板の片面側に搭載され、
前記基板と、当該基板に搭載した前記別のマイクロコンピュータによって制御される表示部とが、前後に積層されて電気的に接続されている表示装置」
という構成、
すなわち、
「処理部は、制御装置が送信するデータを複数回に渡って受け取る」という構成、
が備わっているものと認められる。
そうすると、刊行物6に記載された発明の「遊技用ビデオプロセシングアーキテクチャ」は、遊技を行うものである以上、後者の「パチンコ機」と同様の技術分野のものであると認められること、第1のコンピュータの負荷の軽減を図るために第2のコンピュータを設けること自体、刊行物8及び9に記載された各技術もそうなっているように、従来周知の技術である(必要なら、特開昭59-64082号公報を参照されたい)ものと認められることを勘案して、
後者に刊行物6に記載された発明を適用し、表示に関わる部材として、「制御装置から送信されるデータに基づいて図柄、文字などの表示を行うドライバ(IC)」に代え、刊行物6に記載された発明の「制御装置が送信するデータに基づいて図柄、文字などを表示制御する制御装置のマイクロコンピュータとは異なる別のマイクロコンピュータを備えた処理部」を採用し、
その際、処理部がデータを複数回に渡って受け取ることが、例えば、刊行物7に記載された発明にも備わっているように、従来周知の技術であると認められる点に着目して、そのような技術を採用することは、当業者が格別創意工夫を要することではなく、
そして、後者において、表示に関わる部材である「ドライバ(IC)」が、そもそも基板の片側面に搭載されているのであるから、刊行物6に記載された発明の表示に関わる部材である「処理部」のマイクロコンピュータを、後者に倣って基板の片側面に搭載することは、当業者が格別創意工夫を要することではないというべきである。
又、上記相違点(3)の前者の効果が、後者、刊行物6に記載された発明、例えば刊行物7に記載された発明にも備わっている従来周知の技術並びに刊行物8及び9に記載された各技術もそうなっている従来周知の技術の各効果の総和以上の格別なものとも認められない。
上記相違点(4)及び(5)についてみるに、
刊行物10に記載された発明の
「コネクタ」、「印刷配線」及び「電子部品群」
がそれぞれの機能に照らし、それぞれ
前者の
「外部接続端子」、「プリント配線」及び「電気回路を形成するチップ素子」
に相当するものと認められるから、
刊行物10に記載された発明には、
「外部接続端子が、プリント配線を施し電気回路を形成するチップ素子を配設してなる基板の片面側に搭載され、
前記基板と、表示部を前面に設けるとともに後面に電気回路を形成するチップ素子を配設してなる基板3とが、前後に積層されて電気的に接続されている表示装置」という構成、
すなわち、
接続に関わる部材が、「外部接続端子」であるという上記相違点(4)の前者の構成、
及び、
「基板にプリント配線を施し電気回路を形成するチップ素子を配設してあり、表示部が後面に電気回路を形成するチップ素子を配設してなる基板の前面に設けられている」という上記相違点(5)の前者の構成、
がそれぞれ備わっているものと認められる。
また、パチンコ機の分野において、接続に関わる部材を外部接続端子とする構成自体、従来周知の構成にすぎない(実願昭59-162330号(実開昭61-77078号)のマイクロフィルム(制御回路33からの接続コードを接続する、カセット15に設けられたソケット35を参照されたい))ものと認められるから、
この刊行物10記載の発明にも備わっており、しかも従来より周知である上記構成を後者に適用し、「外部接続端子」を基板の片面側に搭載することも、当業者が格別創意工夫を要することではないというべきである。
そして、
基板にプリント配線を施し電気回路を形成するチップ素子を配設することは、上記した刊行物10に記載された発明にも備わっているように、従来周知の構成であり、且つ、刊行物10に記載された発明の表示装置が、基板と表示部とが前後に積層されて電気的に接続されている点で後者と共通するところのあるものであり、しかも、刊行物10に記載された発明の表示装置をパチンコ機の表示部として用いるにつき、これを困難乃至不可能にする技術的理由が特に認められないから、
後者に刊行物10に記載された発明を適用し、上記相違点(5)の後者の構成に代え、「基板にプリント配線を施し電気回路を形成するチップ素子を配設してあり、表示部が後面に電気回路を形成するチップ素子を配設してなる基板の前面に設けられている」という上記相違点(5)の前者の構成を採用することは、当業者が格別創意工夫を要することではないというべきである。
又、上記相違点(4)及び(5)の前者の効果が、後者、刊行物10に記載された発明及び従来周知の構成の各効果の総和以上の格別なものとも認められない。
(4)むすび
以上のとおり、本件発明は、上記刊行物1、6、10に記載された各発明、及び従来周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
したがって、本件発明についての特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14状の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
パチンコ機
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 パチンコ機の背面側にセンター役物、電子音発生回路、ランプ表示器など遊技制御を行うためのマイクロコンピュータ及びROMを備えた制御装置を設け、
遊技盤の背面側に前記制御装置から送信されるデータに基づいて図柄、文字などの表示制御を行う処理部を設け、
前記処理部は、前記制御装置が送信するデータを複数回に渡って受け取り、そのデータに基づいて図柄、文字などを表示する前記遊技制御を行うためのマイクロコンピュータとは異なる別のマイクロコンピュータが、前記制御装置と電気的に接続するための外部接続端子とともに、プリント配線を施し電気回路を形成するチップ素子を配設してなる基板の片面側に搭載され、
前記基板と、当該基板に搭載した前記別のマイクロコンピュータによって制御される表示部を前面に設けるとともに後面に電気回路を形成するチップ素子を配設してなる基板とが、前後に積層されて電気的に接続されていることを特徴とするパチンコ機。
【請求項2】 前記処理部は、前記制御装置から発生する信号により別のマイクロコンピュータに対して割込を実行するようにした請求項1に記載のパチンコ機。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、表示装置に各種図柄や文字などの表示態様を表示することのできるパチンコ機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、パチンコ機には、遊技者に遊技状態を可視表示するためや装飾のために多くの表示装置が設けてある。従来の表示装置としては、例えば7セグメントの発光ダイオードの発光部位の組合せにより数字または英文字を表示態様として表示するいわゆるデジタル表示器があり、また回転ドラムの外面に複数の図柄や文字などを描き、表示窓に上記図柄などの一つを臨ませ、上記ドラムの回転により図柄などの表示態様を変化させる回転ドラム表示器などがある。更に、表示素子として発光ダイオードを縦横例えば5×7個配設し、発光部位を選択して表示するマトリクス表示器がある。
そして、上記デジタル表示器や回転ドラム表示器あるいはマトリクス表示器を複数個連設して各表示を組合せるようにしたものもある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の表示装置は、マイクロコンピュータを備える制御装置によって表示する表示態様を制御している。しかし、従来の制御装置は、表示装置の表示素子を制御すると共に、センター役物等に設けた継続スイッチや10カウントスイッチ、始動口スイッチ、駆動ソレノイド、或は効果音や表示灯などのパチンコ機全般に亙る制御を行わなければならず、マイクロコンピュータの作業容量は限界に近付いており、複雑な表示態様の表示や高速な処理を実行できない現状にあった。
また、表示装置を含めて一つの制御装置で行うと、制御装置が大型化して取り扱いが面倒になると共に、配線が複雑となり、複雑化した配線が他の部品の邪魔になる。しかも、パチンコ機では一般にセンター役物が後方へ突出しているため、制御装置が大型化すると取付スペースの自由度が小さくなってしまい取付が困難である。
更に、表示装置の制御に関する部分に故障や変更が生じた場合でも、制御装置全体を交換しなければならない。一方、遊技の制御に関する部分に故障や変更が生じた場合には、表示装置に関する部分も含めて交換しなければならない。従って、無駄が多く、コストが嵩んでいる。
本発明は上記に鑑み提案されたもので、制御装置の処理を二つの制御装置に分散させて各制御装置の負荷を軽減すると共に、省スペースが可能なパチンコ機を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため請求項1に記載した発明は、パチンコ機の背面側にセンター役物、電子音発生回路、ランプ表示器など遊技制御を行うためのマイクロコンピュータ及びROMを備えた制御装置を設け、遊技盤の背面側に前記制御装置から送信されるデータに基づいて図柄、文字などの表示制御を行う処理部を設け、前記処理部は、前記制御装置が送信するデータを複数回に渡って受け取り、そのデータに基づいて図柄、文字などを表示する前記遊技制御を行うためのマイクロコンピュータとは異なる別のマイクロコンピュータが、前記制御装置と電気的に接続するための外部接続端子とともに、プリント配線を施し電気回路を形成するチップ素子を配設してなる基板の片面側に搭載され、前記基板と、当該基板に搭載した前記別のマイクロコンピュータによって制御される表示部を前面に設けるとともに後面に電気回路を形成するチップ素子を配設してなる基板とが、前後に積層されて電気的に接続されているパチンコ機である。
請求項2に記載した発明は、上記請求項1に記載したパチンコ機の構成に加えて、前記処理部は、前記制御装置から発生する信号により別のマイクロコンピュータに対して割込を実行するようにしたパチンコ機である。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面の実施の形態について説明する。本発明に係るパチンコ機に用いる表示装置1は、第1基板2と第2基板3とを有し、第1基板2の前面には表示基板4を添設し、第2基板3には、パチンコ遊技の制御を行う第1の制御装置から単一方向にのみ送られるデータに基づいて複数の図柄を変動表示可能な第2の制御装置、即ちサブMCU(マイクロコンピュータユニット)5を有する表示処理部6を形成する。この表示処理部6では、前記第1の制御装置より不可逆的に送られるデータに基づいて図柄に変換する処理が実行される。
【0006】
第1基板2の前後表面にはプリント配線を適宜施すと共に、後面にはトランジスタ、抵抗などのチップ素子7…を配設して電気回路(主としてドライブ回路)を形成し、周縁部には例えば雄型コネクタ8を配置する。
【0007】
表示基板4は、例えば20×20mm程度の基板であって、この表示基板4の表面に縦横10×10個のレンズ部を備えない裸のLED素子9を配列する。尚、図1の実施の形態では表示基板4の前面に透光性のあるカバー部材10を被着している。また、このカバー部材10に着色することもできる。
【0008】
一方、第2基板3の前後面にはチップ素子7及びサブMCU5や水晶発振子11などを配設して表示処理部6となる電気回路を形成し、周縁には雌型コネクタ12を配置し、この雌型コネクタ12と前記第1基板2の雄型コネクタ8とを接続する。従って、表示処理部6が表示基板4の裏面側に位置し、第2の制御装置が背面側に設けられた表示装置1となる。尚、図面の実施の形態によれば、第1基板2と第2基板3とを背中合せに両コネクタ8、12を接合し、支柱13を介して固定するようになっているが、ケーブルを介して接続するようにしてもよい。
【0009】
また、第2基板3の一縁には外部接続端子14を設けて、この外部接続端子14を介してパチンコ機15の遊技制御を行う第1の制御装置16に接続可能とする。
【0010】
上記のような表示装置1は、表示処理部6を含めて例えば90×45×25mm以内に構成でき、一つの表示基板4について10×10ドットの図柄表示が可能である。
【0011】
本発明において表示装置1は、例えば図4に示すようなブロック回路を有する第1の制御装置16によって制御される。そして、本発明では表示装置1に第2の制御装置となる表示処理部6を形成して、第1の制御装置16におけるメインMCU17の負担を軽減させると共に、配線接続を極めて簡単にしている。即ち、メインMCU17にはセンター役物18などに設けた継続スイッチ19、10カウントスイッチ20、始動口スイッチ21、駆動ソレノイド22、あるいは電子音発生回路23、ランプ表示器24などパチンコ遊技の制御を受け持たせる一方、表示装置1の背面側に設けた表示処理部6のサブMCU5には第1の制御装置16から受信するデータに基づいて、表示基板4に配列した各LED素子9の制御を受け持たせて、表示装置1に所定の図柄、文字などの表示態様を表示させるのである。
【0012】
尚、本実施の形態では、ノイズによる暴走を防ぐためにリアルタイムリセット方式を採用し、タイマ回路を省略してメインMCU17からリセット信号を受け取り、8ビットデータを4ビットに分割して2度転送することにより接続本数を減少している。そして、本発明によれば、データ4本、電源2本、リセット1本、割込1本、制御信号(8ビットの上下、明暗、桁選択)3本の計11本の配線で足りるが、従来のようにメインMCU17に頼る場合には少なくとも40本の配線が必要である。また、表示装置1の各LED素子9をメインMCU17で制御する場合には処理時間が長くなって表示がチラ付いて見難いものになってしまう。
【0013】
そして、表示装置1の背面側に設けた第2の制御装置としての表示処理部6では図5のフローチャートに示すように、I/Oポートを初期化し、リセット信号をパワーオンによるリセットか割込によるリセットかを判定し、ラム(RAM)を初期化し、ノンマスカブルイントラプト(NMI)により入力された上下4ビットデータを8ビットデータに変換し、フリーランニングカウンタをリセットし、上記8ビットデータを図柄データに変換して、各ポートに明暗情報として出力し、各表示基板4のLED行をスキャンするためのデータを更新し、例えば横行を10回スキャンし、フリーランニングカウンタが819より大きい時はジャンプさせて1回の発光時間を819μSとする。一方、NMIでは割込データを対応するメモリに格納して復帰する。
【0014】
尚、LEDスキャン処理を上の行から順番に行なわず、例えば、上段から1-3-5-7-9-2-4-6-8-10と交互に表示すれば、遊技者の目の残像現象により全体の図柄が見易くなる。
【0015】
図6ないし図7は上記のような表示装置を組み込んだセンター役物18の一例である。
【0016】
センター役物18は、取付板25の中程に横に並ぶ3つの表示窓26を有し、各表示窓26には前記表示基板4が臨む。表示窓26と表示基板4との間には、表示基板4側を縮径させた遮蔽板27を上記取付板25から連続して設ける。尚、上記センター役物18の表示窓26の上側には、天入賞口28及び天下入賞口29を設け、該天入賞口28及び天下入賞口29の前面に透光性のある化粧板30を添設し、該化粧板30の裏側にはランプ基板31に取付けたランプ32を臨ませる。また、上記各入賞口28、29には球通路33、34を夫々連設する。
【0017】
表示窓26の下側には、発光ダイオードからなる10カウント表示部35、継続球表示部36、記憶個数表示部37を設ける。
【0018】
上記のようなセンター役物18を配設したパチンコ機15における遊技の一例は、遊技者が発射装置38で弾発した打球が遊技盤15′に設けた始動口39に入賞し、始動口スイッチ21をオンして特別遊技が開始し、センター役物18で表示する図柄が高速で変換し、遊技者がタッチスイッチ40を操作して変換を停止したときの図柄の組み合せにより大入賞口41を開放する。このように、特別遊技の表示に本発明における表示装置1を使用すれば、制御装置16のメインMCU17の負担が軽減されて高速処理が可能になり、従来の表示器に比べきめ細かな表示が可能になると共に配線や制御が簡単になる。
【0019】
また、本発明によれば、表示素子を第1の制御装置から第2の制御装置へ向けて一方向へ送られるデータに基づいて第2の制御装置によって制御するので、表示装置で表示する図柄を流動的に表示することが容易であって、従来にない新鮮な表示が可能となる。
【0020】
以上、本発明を図示の実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の構成を変更しない限り適宜実施できる。
【0021】
【発明の効果】
本発明によれば、パチンコ機の背面側にセンター役物、電子音発生回路、ランプ表示器など遊技制御を行うためのマイクロコンピュータ及びROMを備えた制御装置を設け、遊技盤の背面側に前記制御装置から送信されるデータに基づいて図柄、文字などの表示制御を行う処理部を設け、前記処理部は、前記制御装置が送信するデータを複数回に渡って受け取り、そのデータに基づいて図柄、文字などを表示する前記遊技制御を行うためのマイクロコンピュータとは異なる別のマイクロコンピュータが、前記制御装置と電気的に接続するための外部接続端子とともに、プリント配線を施し電気回路を形成するチップ素子を配設してなる基板の片面側に搭載され、前記基板と、当該基板に搭載した前記別のマイクロコンピュータによって制御される表示部を前面に設けるとともに後面に電気回路を形成するチップ素子を配設してなる基板とが、前後に積層されて電気的に接続されているので、遊技装置及び制御装置のコンパクト化が可能であるばかりではなく、表示装置の制御を処理部に担わせ、制御装置の負荷を軽減可能である。また、制御装置と処理部との同期も採り易いので正確な動作が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】
前面側から見た表示装置の分解斜視図である。
【図2】
後面側から見た表示装置の分解斜視図である。
【図3】
表示装置に設けた回路のブロック図である。
【図4】
制御装置のブロック図である。
【図5】
表示処理部におけるフローチャートである。
【図6】
表示装置を設けたセンター役物の正面図である。
【図7】
表示装置を設けたセンター役物の縦断面図である。
【図8】
表示装置を設けたセンター役物を配設した遊技盤の正面図である。
【図9】
パチンコ機の背面図である。
【符号の説明】
1 表示装置
5 サブMCU
6 表示処理部
9 表示素子
15 パチンコ機
16 制御装置
17 メインMCU
 
訂正の要旨 訂正の要旨
ア・訂正事項a
「【請求項1】パチンコ機の背面側に遊技制御を行うためのマイクロコンピュータ及びROMを備えた制御装置を設け、
遊技盤の背面側に前記制御装置から送信されるデータに基づいて図柄、文字などの表示制御を行う処理部を設け、
前記処理部は、前記制御装置が送信するデータを複数回に渡って受け取り、そのデータに基づいて図柄、文字などを表示する前記遊技制御を行うためのマイクロコンピュータとは異なる別のマイクロコンピュータ及び前記制御装置と電気的に接続するための外部接続端子が、プリント配線を施した基板の片面側に搭載され、
前記基板と、当該基板に搭載した前記別のマイクロコンピュータによって制御される表示部を設けた基板とが、前後に積層されて電気的に接続されていることを特徴とするパチンコ機。
【請求項2】前記処理部は、前記制御装置から発生する信号により別のマイクロコンピュータに対して割込を実行するようにした請求項1に記載のパチンコ機。」とある特許請求の範囲の記載を、特許請求の範囲の減縮を目的として、
「【請求項1】パチンコ機の背面側にセンター役物、電子音発生回路、ランプ表示器など遊技制御を行うためのマイクロコンピュータ及びROMを備えた制御装置を設け、
遊技盤の背面側に前記制御装置から送信されるデータに基づいて図柄、文字などの表示制御を行う処理部を設け、
前記処理部は、前記制御装置が送信するデータを複数回に渡って受け取り、そのデータに基づいて図柄、文字などを表示する前記遊技制御を行うためのマイクロコンピュータとは異なる別のマイクロコンピュータが、前記制御装置と電気的に接続するための外部接続端子とともに、プリント配線を施し電気回路を形成するチップ素子を配設してなる基板の片面側に搭載され、
前記基板と、当該基板に搭載した前記別のマイクロコンピュータによって制御される表示部を前面に設けるとともに後面に電気回路を形成するチップ素子を配設してなる基板とが、前後に積層されて電気的に接続されていることを特徴とするパチンコ機。
【請求項2】前記処理部は、前記制御装置から発生する信号により別のマイクロコンピュータに対して割込を実行するようにした請求項1に記載のパチンコ機。」と訂正する。
イ・訂正事項b
明細書の段落【0004】の記載について、
「・・・遊技制御を行うためのマイクロコンピュータ及びROMを備えた制御装置・・・別のマイクロコンピュータ及び前記制御装置と電気的に接続するための外部接続端子が、プリント配線を施した基板の片面側に搭載され・・・表示部を設けた基板・・・」とあるのを、明りょうでない記載の釈明を目的として、
「・・・センター役物、電子音発生回路、ランプ表示器など遊技制御を行うためのマイクロコンピュータ及びROMを備えた制御装置・・・別のマイクロコンピュータが、前記制御装置と電気的に接続するための外部接続端子とともに、プリント配線を施し電気回路を形成するチップ素子を配設してなる基板の片面側に搭載され・・・表示部を前面に設けるとともに後面に電気回路を形成するチップ素子を配設してなる基板・・・」と訂正する。
ウ・訂正事項c
明細書の段落【0021】の記載について、
「・・・遊技制御を行うためのマイクロコンピュータ及びROMを備えた制御装置・・・別のマイクロコンピュータ及び前記制御装置と電気的に接続するための外部接続端子が、プリント配線を施した基板の片面側に搭載され・・・表示部を設けた基板・・・」とあるのを、明りょうでない記載の釈明を目的として、
「・・・センター役物、電子音発生回路、ランプ表示器など遊技制御を行うためのマイクロコンピュータ及びROMを備えた制御装置・・・別のマイクロコンピュータが、前記制御装置と電気的に接続するための外部接続端子とともに、プリント配線を施し電気回路を形成するチップ素子を配設してなる基板の片面側に搭載され・・・表示部を前面に設けるとともに後面に電気回路を形成するチップ素子を配設してなる基板・・・」と訂正する。
異議決定日 2002-08-23 
出願番号 特願平10-272386
審決分類 P 1 651・ 121- ZA (A63F)
最終処分 取消  
前審関与審査官 神 悦彦松川 直樹瀬津 太朗土屋 保光  
特許庁審判長 村山 隆
特許庁審判官 鈴木 寛治
久保 竜一
登録日 1999-12-03 
登録番号 特許第3008100号(P3008100)
権利者 株式会社平和
発明の名称 パチンコ機  
代理人 福田 賢三  
代理人 福田 伸一  
代理人 福田 伸一  
代理人 福田 武通  
代理人 福田 賢三  
代理人 福田 武通  

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