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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H04N
管理番号 1070334
異議申立番号 異議2002-70691  
総通号数 38 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2000-05-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-03-18 
確定日 2002-10-09 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3209193号「コピーファクシミリ複合機」の請求項1ないし5に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3209193号の請求項1ないし5に係る特許を取り消す。 
理由 1.手続の経緯
特許第3209193号の請求項1〜5に係る発明は、平成10年11月6日に特許出願され、平成13年7月13日に特許権の設定登録がなされたものであり、その後、特許異議申立人大木茂により本件特許に対して特許異議の申立がなされ、当審により平成14年5月22日に取消理由が通知され、その期間内である平成14年7月29日に訂正請求書が提出されたものである。


2.訂正の適否について
(1)訂正の内容
特許権者が、訂正請求において求めている訂正の内容は、次のとおりである。

ア.訂正事項(ア)
特許請求の範囲の請求項1に係る記載
「【請求項1】
コピー機能及びファクシミリ機能を備えた複合機において、
操作部の表示部に、初期画面として、コピー機能及び/又はファクシミリ機能に関する所望のプログラムキーを予め定められた所定個数の範囲内で同時に表示する手段を備え、
前記初期画面のキーの選択により、前記初期画面から、直接、該キーに対応する動作状態に移行可能としたことを特徴とするコピーファクシミリ複合機。」を、
「【請求項1】
コピー機能及びファクシミリ機能を備えた複合機において、
操作部の表示部に、初期画面として、コピー機能に関する設定をまとめて予め登録した所定のプログラムキー及びファクシミリ機能に関する設定をまとめて予め登録した所望のプログラムキーを予め定められた所定個数の範囲内で同時に表示する手段を備え、
前記初期画面のキーの選択により、前記初期画面から、直接、該キーに対応する動作状態に移行可能としたことを特徴とするコピーファクシミリ複合機。」と訂正する。

イ.訂正事項(イ)
特許請求の範囲の請求項2に係る記載
「【請求項2】
請求項1記載のコピーファクシミリ複合機において、前記操作部からコピー機能を選択した時に前記表示部に表示されるコピー機能初期画面、ファクシミリ機能を選択した時に前記表示部に表示されるファクシミリ初期画面、及び、請求項1記載の前記初期画面の計三種の初期画面のうち、任意の初期画面を選択して表示可能に構成されてなることを特徴とするコピーファクシミリ複合機。」を、
「【請求項2】
請求項1記載のコピーファクシミリ複合機において、前記操作部からコピー機能を選択した時に前記表示部に表示されるコピー機能初期画面、ファクシミリ機能を選択した時に前記表示部に表示されるファクシミリ初期画面、及び、請求項1記載の前記初期画面の計三種の初期画面のうち、任意の初期画面を選択し、初期画面として表示可能に構成されてなることを特徴とするコピーファクシミリ複合機。」と訂正する。

ウ.訂正事項(ウ)
明細書の段落【0008】の記載
「【課題を解決するための手段】
前記目的を達成する本発明のコピーファクシミリ複合機は、コピー機能及びファクシミリ機能のモードとなる専用表示画面とは別に中間的な画面を備え、異なる機能のプログラムキーを同時に表示させることによって、ユーザは1アクション(1回の操作)で所望のプログラムキーを選択可能にしたものである。より詳細には、本発明は、コピー機能及びファクシミリ機能を備えた複合機において、操作部の表示部に、初期画面として、コピー機能及び/又はファクシミリ機能に関する所望のプログラムキーを予め定められた所定個数以内で同時に表示し、前記初期画面のキーの選択により、前記初期画面から直接、該キーに対応する動作状態に移行可能としている。」を
「【課題を解決するための手段】
前記目的を達成する本発明のコピーファクシミリ複合機は、コピー機能及びファクシミリ機能のモードとなる専用表示画面とは別に中間的な画面を備え、異なる機能のプログラムキーを同時に表示させることによって、ユーザは1アクション(1回の操作)で所望のプログラムキーを選択可能にしたものである。より詳細には、本発明は、コピー機能及びファクシミリ機能を備えた複合機において、操作部の表示部に、初期画面として、コピー機能に関する設定をまとめて予め登録した所定のプログラムキー及びファクシミリ機能に関する設定をまとめて予め登録した所望のプログラムキーを予め定められた所定個数以内で同時に表示し、前記初期画面のキーの選択により、前記初期画面から直接、該キーに対応する動作状態に移行可能としている。」と訂正する。

(2)訂正の適否
訂正事項(ア)〜(ウ)の訂正について、その訂正の適否を検討する。

訂正事項(ア)について
「コピー機能及び/又はファクシミリ機能に関する所望のプログラムキー」を、「コピー機能に関する設定をまとめて予め登録した所定のプログラムキー及びファクシミリ機能に関する設定をまとめて予め登録した所望のプログラムキー」に限定するものであると共に、本件特許公報の段落【0002】の「この種の従来の複合機において、操作の手間等を省くため所望の動作に必要な設定をまとめて予めプログラムキーとして登録しておき、該プログラムキーを入力することで、該当する動作を実行させる方法が用いられている。プログラムキーの例を挙げれば、ファクシミリの相手先電話番号と共に通信モード、発信元情報付加の指定等を行うファクシミリプログラムキー、あるいはコピーのソートモード、用紙サイズ、濃度などの指定を保持するコピープログラムキーなどがある。」及び、同【0009】の「本発明の実施の形態においては、ファクシミリ送信機能について宛先と送信オプションを指定するためのファクシミリプログラムキー31を3つ、コピー機能のオプション指定などを予め登録したコピープログラムキー32が、一画面上に2つ表示されている。」なる記載に依拠したものであるから、この訂正は特許請求の範囲の減縮を目的とした訂正に該当する。

訂正事項(イ)について
訂正前の特許請求の範囲の請求項4では、該請求項に係る発明が、コピー機能初期画面、ファクシミリ初期画面、及び、請求項1記載の前記初期画面の計三種の初期画面のうち、任意の初期画面を、単に選択的に表示可能とする発明であるのか、初期画面として表示可能とする発明であるのかが明りょうでないものを、該請求項に係る発明は、コピー機能初期画面、ファクシミリ初期画面、及び、請求項1記載の前記初期画面の計三種の初期画面のうち、任意の初期画面を初期画面として表示可能とする発明であることを明りょうにするものであって、本件特許公報の段落【0038】の「コピー用初期画面、ファクシミリ初期画面に加えて、中間的な画面も待機画面として指定可能である」なる記載に依拠したものであるから、この訂正は明りょうでない記載の釈明を目的とした訂正に該当する。

訂正事項(ウ)について
訂正事項(ア)の訂正に基づき、請求項の記載の訂正事項と明細書の記載との整合を図るものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とした訂正に該当する。

(3)むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項および同条第3項によって準用する同第126条第2項および第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。


3.特許異議の申立について
(1)本件発明
訂正が認められるので、特許第3209193号の請求項1〜5に係る発明は訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1〜5に記載された次のとおりのものと認められる。
「【請求項1】
コピー機能及びファクシミリ機能を備えた複合機において、
操作部の表示部に、初期画面として、コピー機能に関する設定をまとめて予め登録した所定のプログラムキー及びファクシミリ機能に関する設定をまとめて予め登録した所望のプログラムキーを予め定められた所定個数の範囲内で同時に表示する手段を備え、
前記初期画面のキーの選択により、前記初期画面から、直接、該キーに対応する動作状態に移行可能としたことを特徴とするコピーファクシミリ複合機。
【請求項2】
請求項1記載のコピーファクシミリ複合機において、前記操作部からコピー機能を選択した時に前記表示部に表示されるコピー機能初期画面、ファクシミリ機能を選択した時に前記表示部に表示されるファクシミリ初期画面、及び、請求項1記載の前記初期画面の計三種の初期画面のうち、任意の初期画面を選択し、初期画面として表示可能に構成されてなることを特徴とするコピーファクシミリ複合機。
【請求項3】
請求項1記載のコピーファクシミリ複合機において、前記初期画面情報が記憶部に記憶され、前記プログラムキーに対応する動作状態を実行後、再び、前記初期画面が表示部に表示されることを特徴とするコピーファクシミリ複合機。
【請求項4】
請求項1記載のコピーファクシミリ複合機において、前記初期画面に、コピー機能及び/又はファクシミリ機能に関する所望のプログラムキー、及び/又はファクシミリ機能のワンタッチキーが総計所定個数まで同時に表示され、且つ、前記初期画面に表示されるファクシミリ機能に関するプログラムキー及び又はワンタッチキーと、コピー機能に関する前記プログラムキーを、前記初期画面上でどのような個数配分とするかについて、ユーザによって、可変に設定可能とされている、ことを特徴とするコピーファクシミリ複合機。
【請求項5】
請求項1記載のコピーファクシミリ複合機において、前記初期画面を表示中に、コピー機能又はファクシミリ機能が前記操作部から選択設定された場合、コピー機能の初期画面又はファクシミリ機能の初期画面が前記表示部に表示される、ことを特徴とするコピーファクシミリ複合機。」

(2)申立て理由の概要
特許異議申立人大木茂は、特許第3209193号の全請求項に係る発明の特許に対して、証拠として、甲第1号証(特開平10-79819号公報)、及び、甲第2号証(特開平4-339454号公報)を提出し、本件の請求項1、2、4に係る発明の特許は、特許法第29条第1項3号、或いは、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、本件請求項3、5に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであって、本件発明についての特許を取り消すべき旨主張している。さらに、特許法第36条第4項或いは第6項に規定する要件を満足しないものであって、本件発明についての特許を取り消すべき旨主張している。

(3)刊行物に記載された発明
あ.甲第1号証(特開平10-79819号公報)
甲第1号証には、以下の記載がある。
(あ)「【発明の属する技術分野】本発明は、コピー/ファクシミリ/プリンタ機能等の各種機能を備えた複合機に関し、特に複合機の各種機能に基づいてジョブの指示をユーザインターフェース入出力画面を用いて行う複合機に関する。」(第2頁第2欄第37行〜第41行)

(い)「【0028】表示部25には、GUI画面が表示出力され、このGUI画面を選択指示することにより各種の機能を選択指示することができる。」(第4頁第6欄第50行〜第5頁第7欄第2行)

(う)「【0029】操作部24には、コピー機能、ファクシミリ機能、及びその他の特殊ジョブを選択するメニュー画面と、コピー機能の選択に関するコピー画面と、ファクシミリ機能の選択に関するファクス画面との切り替える機能切替ボタンB1、(中略)が設置されている。
【0030】図4に示すように、機能切替ボタンB1を押下する度に、メニュー画面→コピー画面→ファクシミリ画面→(メニュー画面)の順序で繰り返して画面が切り替えられる。」(第5頁第7欄第4行〜第15行)

(え)「【0033】次に、図11を参照して、初期画面管理テーブル9cの内容の一例について説明する。図11において、初期画面管理テーブル9cは、管理番号、識別コード、実行可能ジョブ種別、初期画面、及び表示カテゴリーの各項目に対する情報が記憶管理される。」(第5頁第7欄第38行〜第42行)

(お)「メニュー画面、コピー画面、ファクス画面の3つの画面が初期画面として設定することができるが、例えば識別コード「023」に対しては、コピー画面を初期画面として設定し、識別コード「045」に対しては、ファクス画面を、識別コード「300」に対しては、メニュー画面を、それぞれ初期画面として設定してある。
【0037】さらに、表示カテゴリーは、上述したように、コピー画面でも、基本コピー画面、お好みコピー画面、及びコピー機能一覧画面の3つの種類の画面があるため、そのうちのどの種類のコピー画面を初期画面として表示するかを割り当てている。」(第5頁第8欄第14行〜第25行)

(か)「【0067】図20は、特定の識別コードをもつユーザがカスタマイズした初期画面を示し、この初期画面は、コピー機能の選択画面を上段に、ファクシミリ機能の選択ボタンを下段に設定し、コピー機能とファクシミリ機能との2つの機能を1つの画面上に設けたものであり、この初期画面に対応する識別コードを持つ磁気カードが部門管理部7に挿入されると、図20に示す画面が初期画面として表示される。図20に示す初期画面では、上段に「用紙トレイ」、「拡大縮小」、「コピー濃度」の3つの選択ボタンを設定し、下段に「送信画質」、「通信モード」、「送信濃度」の3つの選択ボタンを設定している。」(第7頁第12欄第9行〜第20行)

(き)「【0071】この初期画面のカスタマイズについて図22から図25を参照して説明する。図22は、図6に示すコピー機能のお好みコピー画面等を設定するGUI画面を示し、6つのお好みキー(ボタン)を有している。
【0072】初期画面をカスタマイズする場合は、メニュー画面上の「仕様設定」ボタンを選択することにより行うことができ、この「仕様設定」ボタンの押下により、図23に示すコピー画面設定画面が開かれる。図23に示すコピー設定画面では、現在の設定状態が示され、この設定状態におけるお好みボタンの設定変更は、所望の項目を選択し、かつ確認/変更ボタンを押下することにより行われる。
【0073】(中略)
【0074】同様にして、ファクス画面設定画面の項目4「お好み機能4(下・左)」を選択し、確認/変更ボタンを押下すると、図25に示す画面が表示され、送信画質を選択することにより、図20の左・下の選択ボタンが設定される。」(第7頁第12欄第41行〜第8頁13欄第15行)

上記(あ)〜(き)の記載からみて、甲第1号証には、
「コピー/ファクシミリ/プリンタ機能等の各種機能を備えた複合機に関し、
GUI画面である、メニュー画面、コピー画面、ファクス画面の3つの画面が初期画面として設定することができ、
表示カテゴリーは、コピー画面でも、基本コピー画面、お好みコピー画面、及びコピー機能一覧画面の3つの種類の画面があるため、そのうちのどの種類のコピー画面を初期画面として表示するかを割り当て、
管理番号、識別コード、実行可能ジョブ種別、初期画面、及び表示カテゴリーの各項目に対する情報を記憶管理し、
初期画面のカスタマイズは、コピー機能やファクシミリ機能のお好み画面に対し、設定画面で、6つのお好みキーのうちの所望のキーを選択し、かつ確認/変更ボタンを押下し、設定したい機能を選択することにより、お好みボタンの設定変更をすることで行われ、
特定の識別コードをもつユーザがカスタマイズして、コピー機能を設定した3つの選択ボタンとファクシミリ機能を設定した3つの選択ボタンを1つの画面上に設けた初期画面を表示する表示部25を備え、
表示部25に表示出力されたGUI画面を選択指示することにより各種の機能を選択指示することができ、
操作部24に設置された機能切替ボタンB1を押下する度に、メニュー画面→コピー画面→ファクシミリ画面→(メニュー画面)の順序で繰り返して画面が切り替えられる複合機」の発明(以下、「甲第1号証記載の発明」という)が記載されている。

(4)対比・判断
(請求項1に係る発明)
本件請求項1に係る発明と申立人が提出した甲第1号証記載の発明とを対比すると、

a.甲第1号証記載の発明は、コピー/ファクシミリ/プリンタ機能等の各種機能を備えた複合機であるから、「コピー機能及びファクシミリ機能を備えた複合機」である点で、請求項1に係る発明と相違しない。

b.甲第1号証記載の発明は、特定の識別コードをもつユーザがカスタマイズして、コピー機能を設定した3つの選択ボタンとファクシミリ機能を設定した3つの選択ボタンを1つの画面上に設けた初期画面を表示する表示部25を備えているから、コピー機能に関する設定及びファクシミリ機能に関する設定を、プログラムキーへ「まとめて」予め登録することを除き、「操作部の表示部に、初期画面として、コピー機能に関する設定を予め登録した所定のプログラムキー及びファクシミリ機能に関する設定を予め登録した所望のプログラムキーを予め定められた所定個数の範囲内で同時に表示する手段を備え」ている点で、請求項1に係る発明と相違しない。

c.甲第1号証記載の発明は、表示部25に表示出力されたGUI画面を選択指示することにより各種の機能を選択指示することができるから、「前記初期画面のキーの選択により、前記初期画面から、直接、該キーに対応する動作状態に移行可能とした」点で、請求項1に係る発明と相違しない。

したがって、本件請求項1に係る発明と甲第1号証記載の発明とは、
「コピー機能及びファクシミリ機能を備えた複合機において、
操作部の表示部に、初期画面として、コピー機能に関する設定を予め登録した所定のプログラムキー及びファクシミリ機能に関する設定を予め登録した所望のプログラムキーを予め定められた所定個数の範囲内で同時に表示する手段を備え、
前記初期画面のキーの選択により、前記初期画面から、直接、該キーに対応する動作状態に移行可能としたことを特徴とするコピーファクシミリ複合機。」である点で一致し、次の点で相違する。

本件請求項1に係る発明は、コピー機能に関する設定及びファクシミリ機能に関する設定を、プログラムキーへ「まとめて」予め登録するのに対して、甲第1号証記載の発明は、コピー機能に関する設定及びファクシミリ機能に関する設定を、プログラムキーへ1つの機能の設定として予め登録する点で相違する点。

しかしながら、プログラムキーに対して、コピー機能に関する設定及びファクシミリ機能に関する設定を予め登録する際に、まとめて登録することは、本件特許公報の【従来技術】の欄の記載や特開平4-292975号公報の記載などにも見られるごとく、周知な事項にすぎない。
このため、甲第1号証記載の発明において、コピー機能に関する設定及びファクシミリ機能に関する設定をプログラムキーへ予め登録する際に、複数の機能に関する設定をまとめて登録する、すなわち、初期画面として、コピー機能に関する設定をまとめて予め登録した所定のプログラムキー及びファクシミリ機能に関する設定をまとめて予め登録した所望のプログラムキーを予め定められた所定個数の範囲内で同時に表示することは、当業者であれば格別の創意を要することなくなし得る事項である。

(請求項2に係る発明)
本件請求項2に係る発明と甲第1号証記載の発明とを対比すると、

甲第1号証記載の発明は、操作部24に設置された機能切替ボタンB1を押下する度に、メニュー画面→コピー画面→ファクシミリ画面→(メニュー画面)の順序で繰り返して画面が切り替えられるものであるから、機能切替ボタンB1を押下することでコピー画面に切り替えられた時、及び、機能切替ボタンB1を押下することでファクシミリ画面に切り替えられた時を生じることは明らかである。
このため、甲第1号証記載の発明における、機能切替ボタンB1を押下することでコピー画面に切り替えられた時、又は、機能切替ボタンB1を押下することでファクシミリ画面に切り替えられた時は、請求項2の「操作部からコピー機能を選択した時」又は「操作部からファクス機能を選択した時」に他ならない。
よって、請求項1で検討した相違点に加え、次の点で相違する。

本件請求項2に係る発明では、操作部からコピー機能を選択した時に表示部に表示されるコピー機能初期画面、ファクシミリ機能を選択した時に表示部に表示されるファクシミリ初期画面、及び、請求項1記載の初期画面の計三種の初期画面のうち、任意の初期画面を選択し、初期画面として表示可能に構成されているに対して、甲第1号証記載の発明は、これら計三種の初期画面のうち、任意の初期画面を選択していない点。

しかしながら、甲第1号証の図4や図16には、メニュー画面に「コピー」、「ファクス」などボタンが設けられることが記載されており、従来の複合機は、プログラムキーが、複合機の操作パネルの画面において、設定される機能に応じたモード画面に表示されるから、従来の複合機では、操作パネルの画面をコピーモード又はファクシミリモードに切り替えるメニュー画面を設け、該メニュー画面のコピーキー又はファクシミリキーが押下されることによりコピーモード又はファクシミリモードへ切り替える構成となっていることが周知であるから、当業者が甲第1号証の図4や図16を見ると、「コピー」及び「ファクシミリ」のキーは、従来の複合機におけるメニュー画面に設けられている、コピー画面及びファクシミリ画面へ切り替えるキーであると解釈することは明らかである。
そして、甲第1号証記載の発明のごとく、特定の識別コードをもつユーザがカスタマイズした初期画面として、コピー機能を設定したキーとファクシミリ機能を設定したキーとの2種類のキーを1つの画面上に設けたならば、初期画面からコピーやファクシミリにおける特定の機能を、コピー画面やファクシミリ画面に切り替えることなく選択でき、ユーザの操作負担が軽減する効果を奏することは、その構成からみて明らかであるとともに、当業者が装置を設計する際に、ユーザの操作負担が軽減できる設計を指向することは、明らかである。
このため、甲第1号証記載の発明のメニュー画面において、ユーザの操作負担を軽減するため、コピー機能に関する設定を予め登録した所定のプログラムキー及びファクシミリ機能に関する設定を予め登録した所望のプログラムキーを所定個数同時に表示することは、当業者であれば、格別の創意を要することなくなし得る事項である。

甲第1号証記載の発明は、GUI画面である、メニュー画面、コピー画面、ファクス画面の3つの画面を初期画面として設定することができる発明であるとともに、該発明では、操作部24に設置された機能切替ボタンB1が押下され、コピー画面又はファクシミリ画面に切り替えられたとき、コピー画面では、基本コピー画面、お好みコピー画面、及びコピー機能一覧画面のうちのいずれかの画面が、ファクシミリ画面では、基本ファクス画面、お好みファクス画面、及びファクス機能一覧画面のうちのいずれかの画面が、コピー画面又はファクシミリ画面における最初に表示される画面、つまり、初期画面として表示されることは明らかであるから、甲第1号証記載の発明のメニュー画面において、ユーザの操作負担を軽減するため、コピー機能に関する設定を予め登録した所定のプログラムキー及びファクシミリ機能に関する設定を予め登録した所望のプログラムキーを所定個数同時に表示することは、初期画面として表示可能である画面が、コピー機能初期画面、ファクシミリ機能初期画面、及び、請求項1記載の前記初期画面の計三種の初期画面のうち、任意の初期画面を選択して表示可能に構成することに他ならない。
よって、上記の理由により、初期画面として表示可能である画面が、コピー機能初期画面、ファクシミリ機能初期画面、及び、請求項1記載の前記初期画面の計三種の初期画面のうち、任意の初期画面を選択して表示可能に構成することは、当業者であれば、格別の創意を要することなくなし得る事項である。

(請求項3に係る発明)
本件請求項3に係る発明と甲第1号証記載の発明とを対比すると、

甲第1号証記載の発明は、管理番号、識別コード、実行可能ジョブ種別、初期画面、及び表示カテゴリーの各項目に対する情報を記憶管理している。
また、識別コードに対応させて初期画面をカスタマイズするためには、初期画面に設定する機能の種別や機能を設定するボタンの位置などの情報を識別コードに対応して記憶管理させておく必要があることは当業者にとって明らかな事項である。
したがって、甲第1号証記載の発明においても、管理番号、識別コード、実行可能ジョブ種別、初期画面、及び表示カテゴリーの各項目に対する情報の他、初期画面に設定する機能の種類や機能を設定するボタンの位置などの情報が記憶されているものと認められ、甲第1号証記載の発明は、「初期画面情報が記憶部に記憶され」ている点で、請求項3に係る発明と相違しない。

このため、請求項1で検討した相違点に加え、次の点で相違する。

本件請求項3に係る発明は、プログラムキーに対応する動作状態を実行後、再び、初期画面が表示部に表示されるのに対して、甲第1号証記載の発明は、プログラムキーに対応した動作状態を実行後、如何なる画面が表示部に表示されるのか記載されていない点。

しかしながら、「初期画面」は、その装置が初期状態にある時に表示される画面であることは明らかであると共に、装置の動作終了後に、装置を初期状態に戻すことは周知な事項である。
このため、甲第1号証記載の発明において、初期画面にカスタマイズされた選択ボタンの機能に対応するコピー動作又はファクシミリ動作が実行された後、複合機の設定や表示を初期状態に戻し、表示部に初期画面を表示させること、つまり、プログラムキーに対応する動作状態を実行後、再び、初期画面が表示部に表示されるように構成することは、当業者であれば、格別の創意を要することなくなし得る事項である。

(請求項4に係る発明)
本件請求項4に係る発明と甲第1号証記載の発明とを対比すると、

甲第1号証記載の発明は、特定の識別コードをもつユーザがカスタマイズして、コピー機能を設定した3つの選択ボタンとファクシミリ機能を設定した3つの選択ボタンを1つの画面上に設けた初期画面を表示している。
そして、該初期画面には、コピー機能及びファクス機能に関する所望のプログラムキーが総計数6個、同時に表示されていることは明らかである。
したがって、甲第1号証記載の発明は、初期画面に、キーが総計所定個数まで同時に表示されている点で、請求項4に係る発明と相違しない。

このため、請求項1で検討した相違点に加え、次の点で相違する。

本件請求項4に係る発明は、初期画面に同時に表示されるキーが、コピー機能及び/又はファクシミリ機能に関する所望のプログラムキー、及び/又はファクシミリ機能のワンタッチキーであるのに対して、甲第1号証記載の発明は、初期画面に同時に表示されるキーが、コピー機能及びファクシミリ機能に関する所望のプログラムキーである点。

本件請求項4に係る発明は、初期画面に表示されるファクシミリ機能に関するプログラムキー及び又はワンタッチキーと、コピー機能に関する前記プログラムキーを、初期画面上でどのような個数配分とするかについて、ユーザによって、可変に設定可能とされているのに対して、甲第1号証記載の発明は、ユーザによって、可変に設定可能とされているか否か記載されていない点。

しかしながら、前者の相違点に関し、甲第1号証記載の発明の如きファクシミリ機能を有する機器において、操作部に設けられる、ユーザによって登録可能なキーには、プログラムキーと同様にワンタッチキーがあることは当業者にとって周知(必要ならば、特開平5-145671号公報などを参照)であるから、甲第1号証記載の発明において、初期画面に同時に表示させるキーに、コピー機能及びファクシミリ機能に関する所望のプログラムキーに、ファクシミリ機能のワンタッチキーを加え、コピー機能及び/又はファクシミリ機能に関する所望のプログラムキー、及び/又はファクシミリ機能のワンタッチキーとすることは、当業者であれば格別の創意を要することなくなし得る事項である。

後者の相違点に関し、甲第1号証記載の発明では、設定画面で、お好み画面上の6つのお好みキーのうちの所望のキーを選択し、かつ確認/変更ボタンを押下した後、設定したい機能を選択することによってお好みキーが設定変更されるであり、お好みキーが設定できる機能に制限が設けられていたならば、ユーザにとって所望通りのカスタマイズができないため、このような制限が設けられないことが望ましいことは、当業者にとって明らかである。
しかも、前述のごとく、初期画面に同時に表示させるキーを、コピー機能及び/又はファクシミリ機能に関する所望のプログラムキー、及び/又はファクシミリ機能のワンタッチキーとすることは、当業者であれば格別の創意を要することなくなし得る事項である。
このため、ユーザがカスタマイズする初期画面中の6つのお好みキーに、ファクス機能、ファクスの相手先電話番号、又は、コピー機能を、キーに応じて設定できる機能の制限を設けることなく、ユーザによって所望どおりの設定が可能となるようにすることは、当業者であれば格別の創意を要することなくなし得る事項である。

そして、甲第1号証記載の発明において、キーに応じて設定できる機能の制限を設けることなく、ユーザによって所望どおりにお好みキーへファクス機能、ファクスの相手先電話番号、又は、コピー機能の設定が可能となれば、結果として、設定された6つのお好みキーに内、コピー機能が設定されたキーの個数とファクス機能が設定されたキーの個数との配分が、ユーザによって可変に設定可能となることは明らかである。
よって、上記の理由により、初期画面に表示されるファクシミリ機能に関するプログラムキー及び又はワンタッチキーと、コピー機能に関する前記プログラムキーを、初期画面上でどのような個数配分とするかについて、ユーザによって、可変に設定可能とされるように構成することは、当業者であれば格別の創意を要することなくなし得る事項である。

(請求項5に係る発明)
本件請求項5に係る発明と甲第1号証記載の発明とを対比すると、請求項1で検討した相違点に加え、次の点で相違する。

本件請求項5に係る発明は、初期画面を表示中に、コピー機能又はファクシミリ機能が操作部から選択設定された場合、コピー機能の初期画面又はファクシミリ機能の初期画面が表示部に表示されるのに対して、甲第1号証記載の発明は、如何なる画面が表示されるか記載されていない点。

しかしながら、甲第1号証記載の発明では、操作部24に設置された機能切替ボタンB1を押下する度に、メニュー画面→コピー画面→ファクシミリ画面→(メニュー画面)の順序で繰り返して画面が切り替えられるものであるから、機能切替ボタンB1の押下は、操作部からコピー機能又はファクシミリ機能が操作部からの選択設定に他ならず、機能切替ボタンB1の押下によりコピー機能又はファクシミリ機能に切り替えられた場合、該画面の初期画面として、コピー画面では、基本コピー画面、お好みコピー画面、及びコピー機能一覧画面のうちのいずれかの画面が、ファクシミリ画面では、基本ファクス画面、お好みファクス画面、及びファクス機能一覧画面のうちのいずれかの画面が表示されることは明らかである。
このため、請求項2に係る発明で検討した理由により、当業者であれば格別の創意を要することなくなし得る事項である、甲第1号証記載の発明に、初期画面として表示可能である画面が、コピー機能初期画面、ファクシミリ機能初期画面、及び、ユーザがカスタマイズした初期画面の計三種の初期画面のうち、任意の初期画面を選択して表示可能に構成したものにおいて、操作部24に設置された機能切替ボタンB1が押下され、コピー画面又はファクシミリ画面に画面が切り替えられた場合、それぞれの画面のいずれかの表示カテゴリーが初期画面として表示されることは明らかである。
よって、甲第1号証記載の発明において、初期画面を表示中に、コピー機能又はファクシミリ機能が前記操作部から選択設定された場合、コピー機能の初期画面又はファクシミリ機能の初期画面が前記表示部に表示される構成することは、当業者であれば、格別の創意を要することなくなし得る事項である。

(5)むすび
以上から明らかなように、本件請求項1〜5に係る発明についての特許は、拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認める。
よって、特許等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過処置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
コピーファクシミリ複合機
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】コピー機能及びファクシミリ機能を備えた複合機において、
操作部の表示部に、初期画面として、コピー機能に関する設定をまとめて予め登録した所望のプログラムキー及びファクシミリ機能に関する設定をまとめて予め登録した所望のプログラムキーを予め定められた所定個数の範囲内で同時に表示する手段を備え、
前記初期画面のキーの選択により、前記初期画面から、直接、該キーに対応する動作状態に移行可能としたことを特徴とするコピーファクシミリ複合機。
【請求項2】請求項1記載のコピーファクシミリ複合機において、前記操作部からコピー機能を選択した時に前記表示部に表示されるコピー機能初期画面、ファクシミリ機能を選択した時に前記表示部に表示されるファクシミリ初期画面、及び、請求項1記載の前記初期画面の計三種の初期画面のうち、任意の初期画面を選択し、初期画面として表示可能に構成されてなることを特徴とするコピーファクシミリ複合機。
【請求項3】請求項1記載のコピーファクシミリ複合機において、前記初期画面情報が記憶部に記憶され、前記プログラムキーに対応する動作状態を実行後、再び、前記初期画面が表示部に表示されることを特徴とするコピーファクシミリ複合機。
【請求項4】請求項1記載のコピーファクシミリ複合機において、前記初期画面に、コピー機能及び/又はファクシミリ機能に関する所望のプログラムキー、及び/又はファクシミリ機能のワンタッチキーが総計所定個数まで同時に表示され、且つ、前記初期画面に表示されるファクシミリ機能に関するプログラムキー及び又はワンタッチキーと、コピー機能に関する前記プログラムキーを、前記初期画面上でどのような個数配分とするかについて、ユーザによって、可変に設定可能とされている、ことを特徴とするコピーファクシミリ複合機。
【請求項5】請求項1記載のコピーファクシミリ複合機において、前記初期画面を表示中に、コピー機能又はファクシミリ機能が前記操作部から選択設定された場合、コピー機能の初期画面又はファクシミリ機能の初期画面が前記表示部に表示される、ことを特徴とするコピーファクシミリ複合機。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一台の装置で複写機能とファクシミリ機能を併せ持つ複合機に関し、特に、操作性を向上するコピーファクシミリ複合機に関する。
【0002】
【従来の技術】コピー機能及びファクシミリの機能を持つ複合機において、ユーザは操作パネル等から所定のキーを選択入力してモード設定を行うことで、コピー機、又はファクシミリ装置として利用する。この種の従来の複合機において、操作の手間等を省くため所望の動作に必要な設定をまとめて予めプログラムキーとして登録しておき、該プログラムキーを入力することで、該当する動作を実行させる方法が用いられている。プログラムキーの例を挙げれば、ファクシミリの相手先電話番号と共に通信モード、発信元情報付加の指定等を行うファクシミリプログラムキー、あるいはコピーのソートモード、用紙サイズ、濃度などの指定を保持するコピープログラムキーなどがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の複合機におけるこれらプログラムキーは、複合機の操作パネルの画面において、コピーモード、ファクシミリモードと、それぞれ別のモードの画面に表示される。
【0004】図7は、従来の複合機において、操作部のLCD画面(タッチパネル画面)におけるファクシミリモード選択時の初期画面の一例、また図8は、コピーモード選択時の初期画面の一例を示す図である。
【0005】ユーザは、複合機において、まず、装置の操作部のコピーキー又はファックスキー(図2の24又は25参照)を押下して、コピー又はファクリミリ機能のいずれかのモードを選択し、それぞれのモードにおいて、図7又は図8に示す画面から、それぞれの機能のプログラムキーを選択することになる。
【0006】このように、従来の複合機においては、プログラムキーで所望の動作を実行させるまでに、モード選択と、プログラムキーの選択との、計2段階の操作を行うことが必要とされており、操作性の点で改善の余地がある。
【0007】したがって、本発明は、上記技術的課題の認識に基づき創案されたものであって、その目的は、操作性を特段に向上するコピーファクシミリ複合機を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成する本発明のコピーファクシミリ複合機は、コピー機能及びファクシミリ機能のモードとなる専用表示画面とは別に中間的な画面を備え、異なる機能のプログラムキーを同時に表示させることによって、ユーザは1アクション(1回の操作)で所望のプログラムキーを選択可能にしたものである。より詳細には、本発明は、コピー機能及びファクシミリ機能を備えた複合機において、操作部の表示部に、初期画面として、コピー機能に関する設定をまとめて予め登録した所望のプログラムキー及びファクシミリ機能に関する設定をまとめて予め登録した所望のプログラムキーを予め定められた所定個数の範囲内で同時に表示し、前記初期画面のキーの選択により、前記初期画面から、直接、該キーに対応する動作状態に移行可能としている。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について以下に説明する。図3は、本発明の一実施の形態の複合機のLCD(液晶表示装置)画面の一例を示す図であり、本発明における中間的な表示画面の一例を示す図である。図3を参照すると、本発明の実施の形態においては、ファクシミリ送信機能について宛先と送信オプションを指定するためのファクシミリプログラムキー31を3つ、コピー機能のオプション指定などを予め登録したコピープログラムキー32が、一画面上に2つ表示されている。本発明の一実施の形態においては、このように、コピー機能、ファクシミリ機能を問わず、例えば使用頻度の高いプログラムキーを初期画面上にいくつか表示させておくことにより、1アクションで、そのキーを選択することが可能である。
【0010】
【実施例】本発明の実施例について図面を参照して以下に説明する。図1は、本発明の一実施例の複合機の装置全体の構成を示すブロック図である。図1を参照すると、本発明の一実施例の複合機は、コピー用及びファクシミリ送信用の原稿を光学的に読み取り電気信号のイメージデータとして取得する原稿読み取り部1と、コピーの印字出力、及び、受信したファクシミリ画像の出力を行うプリンタ部3と、ファクシミリ通信を行うための回線インターフェース部2と、コピー機能及びファクシミリ機能の操作指定を行う操作部4と、ファクシミリ送信の宛先、装置の設定値などを記憶する記憶装置5と、上記した各部に対する制御、及び、装置全体制御を司る制御部6と、を有する。
【0011】図2は、図1に示した本発明の一実施例における操作部4の具体的な配置の一例を示す図である。操作部4は、複合機装置筐体の上面等に配設され、コピーまたはファクシミリの各モードに入るためのアプリケーション切り替えキー24、25、スタートキー22、コピー部数、ファクシミリ番号を入力するテンキー26、設定中の値を初期値に戻すパネルリセットキー23の他、ストップ27、割込み28等の所用のキー、及びLCD(Liquid Crystal Display i 液晶表示装置)画面21を有する。
【0012】図3は、本発明の一実施例におけるLCD画面21の一例を示す図である。このLCD画面21は、液晶パネル上に透明なパネルを備え、画面上に表示されたキー等を指等で押下することで、押下された位置のXY座標が検出されるタッチパネル構成とされ、タッチパネル上で押下された位置のキーが選択される。図3には、宛先と送信オプションを指定するファクシミリプログラムキー31を3つ、コピーのオプション指定などを登録してあるコピープログラムキー32を2つ表示している状態が示されている。
【0013】LCD画面21上のパネルから、ユーザが、例えば所望のプログラムキー31、又はコピープログラムキー32を押下した際に、操作部4から制御部6にプログラムキーの押下が通知され、制御部4はこれをデコードして、該キーに対応する処理をファクシミリ機能又はコピー機能を実行させる。これにより、ユーザは、1つの操作(アクション)で、ファクシミリ機能又はコピー機能においてファクシミリプログラムキー31、コピープログラムキー32に対応する動作を、複合機に実行させることができる。
【0014】本発明の一実施例の動作について説明する。図4は、本発明の一実施例の動作を説明するための流れ図である。図1乃至図4を参照して、本実施例の動作について説明する。
【0015】ここで、一定の動作終了後の操作待機状態にLCD画面21に表示されるものを「初期画面」と呼ぶ。
【0016】初期画面として、図3に示す画面がLCD21に表示されている(ステップS401)。
【0017】図3に示す画面において、所定のキーが押下されると(ステップS402)、押下されたキーが何であるかを識別する。
【0018】キーがファクシミリプログラムキー31である場合には(ステップS403のY分岐)、操作部4のファクシミリ機能選択キー25を押下し、プログラムキーを選択された場合と同じ画面へ遷移する(ステップS407)。
【0019】さらにスタートキー22が押下された場合(ステップS408のY分岐)、ファクシミリ動作を実行し(ステップS409)、終了後、再び、ステップS410に戻り、初期画面の表示を行う。
【0020】押下されたキーがコピープログラムキー32である場合には(ステップS404のY分岐)、操作部4でコピー機能選択キー24を押下してコピープログラムを選択された場合と同じ画面へ遷移する(ステップS406)。
【0021】さらに、スタートキー22が押下されると(ステップS410のY分岐)、コピー動作を実行し(ステップS411)、終了後、再びステップS401に戻り、初期画面表示を行う。
【0022】図3に示したLCD画面(初期画面)には、それぞれのプログラムキーを表示しているが、このプログラムキーのいずれかが押下された場合、該キーの動作に対応する状態に遷移する。
【0023】前述したように、従来の複合機では、コピー又はファクシミリ機能に対応するモードの画面を表示してから、プログラムキーを選択し、所望の状態へ遷移するが、本発明の一実施例ではトップ画面から、ワンタッチで、直接、選択されてキーに対応する動作に遷移する。
【0024】初期画面が例えば図3に示すような画面であることは、ある動作状態に遷移する前に、画面情報が記憶装置5に記憶されているため、コピー又はファクシミリ機能においてスタートキー22の押下で、それぞれの登録内容を実行した後には、初期画面の画面情報を記憶装置5から読み出し、再び、図3に示す初期画面が表示される。
【0025】そして、従来の複合機において、初期画面としては、コピー機能選択キー24が押下された状態で表示されるコピー初期画面と、ファクシミリ機能選択キー25が押下された状態で表示されるファクシミリ初期画面を備えているが、本発明の一実施例においては、これらに加えて図3に示したような、中間的な画面構成を初期画面を備え、これら3つの初期画面のうちのいずれかをユーザによって指定できるものとする。
【0026】また、LCD画面21が図3に示す状態にて、例えば図8に示したコピー初期画面には、コピー機能選択キー24を押下することにより遷移でき、また図7に示したファクシミリ初期画面には、ファクシミリ機能選択キー25を押下することにより遷移できる。さらに、別の画面から、図3に示した中間的な画面へ遷移させるには、パネルリセットキー23を、例えば2回連続して押下することで行われる。
【0027】次に本発明の第2の実施例について説明する。本発明の第2の実施例の複合機の構成、操作部の構成は、図1及び図2に示した構成と同様なものとする。図5は、本発明の第2の実施例におけるLCD画面21の表示の一例を示す図である。
【0028】図5を参照すると、ファクシミリプログラムキー52、コピープログラムキー53と共に、ファクシミリ宛先を登録したワンタッチキー51がLCD画面21上に表示されている。
【0029】この画面では、同時に3種類のキーを表示して選択可能としている。
【0030】図6は、本発明の第2の実施例の動作を説明するための流れ図である。図6のステップS601からS611の処理は、図4のステップS401からS411の処理に対応している。図6を参照すると、本発明の第2の実施例は、ファクシミリ機能のプログラムキーの判定処理のステップS603と、コピー機能のプログラムキーの判定処理のステップS604の間に、ステップS612で、ファクシミリワンタッチキーであるか否かの判別処理が追加されている。
【0031】図5に示す画面において、選択されたワンタッチキーが反転表示されるのみで、画面は遷移しないものとする。そして、スタートキー22の押下により(ステップS608のY分岐)、ファクシミリ動作を実行し(ステップS609)、初期画面表示に戻る(ステップS601)。
【0032】さらに、図5に示した画面のキー表示について、ファクシミリ関連のキー51、52、とコピープログラムキー53の個数の配分は、ユーザによって任意に設定可能とする。
【0033】本発明の第2の実施例では、操作部4でのLCD画面21上における各種設定メニューの中に、中間的な画面上でどのようなキー配分とするかについて、ユーザにより、指定入力及び更新等、編集可能としている。例えば、図5に示すように、キーの表示可能な個数が5の場合、(ファクシミリ機能関連キーの個数:コピー機能キーの個数)=(0:5)、(1:4)、(2:3)、(3:2)、(4:1)、(5:0)のうちから指定可能としている。このように、ユーザの使用状況に合わせて、より使用頻度の高いキーを画面上に表示することができるようになる。
【0034】また図5に示した中間的な画面において、テンキー26が押下された場合には、入力された数値内容、または入力桁数によって、ファクシミリ又はコピーのモードを切り替えるという、公知技術を併用して実装することで、コピー又はファクシミリ動作を行うように構成してもよい。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば下記記載の効果を奏する。
【0036】本発明の第1の効果は、操作部の画面から1アクションにて、所望のプログラムキーを選択することができ、操作性を向上する、ということである。
【0037】その理由は、本発明においては、中間的な画面に、コピー及びファクシミリ機能の両方のプログラムキーを配置し、該画面上でプログラムキーが押下された際に直接該プログラムキーに対応する動作が実行されるように構成したためである。
【0038】本発明の第2の効果は、コピー用初期画面、ファクシミリ初期画面に加えて、中間的な画面も待機画面として指定可能であるため、待機画面の選択の幅を拡大しており、利便性、可用性を向上する、ということである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の複合機の装置構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施例の操作部の配置の一例を示す図である。
【図3】本発明の一実施例における操作部のLCD画面の一例を示す図である。
【図4】本発明の一実施例の動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施例における操作部のLCD画面の一例を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施例の動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】従来の複合機の操作部のファクシミリ機能画面の一例を示す図である。
【図8】従来の複合機の操作部のコピー機能画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 原稿読み取り部
2 回線インタフェース部
3 プリンタ部
4 操作部
5 記憶装置
6 制御部
21 LCD画面
22 スタートボタン
23 パネルリセット
24 コピー機能選択キー(コピーキー)
25 ファクシミリ機能選択キー(ファックスキー)
26 テンキー
27 ストップキー
28 割り込みキー
31 ファクシミリプログラムキー
32 コピープログラムキー
51 ワンタッチキー
52 ファクシミリプログラムキー
53 コピープログラムキー
 
訂正の要旨 訂正の要旨
(1)特許請求の範囲を減縮することを目的として、特許請求の範囲の請求項1に係る記載
「【請求項1】
コピー機能及びファクシミリ機能を備えた複合機において、
操作部の表示部に、初期画面として、コピー機能及び/又はファクシミリ機能に関する所望のプログラムキーを予め定められた所定個数の範囲内で同時に表示する手段を備え、
前記初期画面のキーの選択により、前記初期画面から、直接、該キーに対応する動作状態に移行可能としたことを特徴とするコピーファクシミリ複合機。」を、
「【請求項1】
コピー機能及びファクシミリ機能を備えた複合機において、
操作部の表示部に、初期画面として、コピー機能に関する設定をまとめて予め登録した所定のプログラムキー及びファクシミリ機能に関する設定をまとめて予め登録した所望のプログラムキーを予め定められた所定個数の範囲内で同時に表示する手段を備え、
前記初期画面のキーの選択により、前記初期画面から、直接、該キーに対応する動作状態に移行可能としたことを特徴とするコピーファクシミリ複合機。」と訂正する。
(2)明りょうでない記載を釈明することを目的として、特許請求の範囲の請求項2に係る記載
「【請求項2】
請求項1記載のコピーファクシミリ複合機において、前記操作部からコピー機能を選択した時に前記表示部に表示されるコピー機能初期画面、ファクシミリ機能を選択した時に前記表示部に表示されるファクシミリ初期画面、及び、請求項1記載の前記初期画面の計三種の初期画面のうち、任意の初期画面を選択して表示可能に構成されてなることを特徴とするコピーファクシミリ複合機。」を、
「【請求項2】
請求項1記載のコピーファクシミリ複合機において、前記操作部からコピー機能を選択した時に前記表示部に表示されるコピー機能初期画面、ファクシミリ機能を選択した時に前記表示部に表示されるファクシミリ初期画面、及び、請求項1記載の前記初期画面の計三種の初期画面のうち、任意の初期画面を選択し、初期画面として表示可能に構成されてなることを特徴とするコピーファクシミリ複合機。」と訂正する。
ウ.特許請求の範囲における訂正事項と明細書の記載との整合を図って、明瞭でない記載の釈明することを目的として、明細書の段落【0008】の記載
「【課題を解決するための手段】
前記目的を達成する本発明のコピーファクシミリ複合機は、コピー機能及びファクシミリ機能のモードとなる専用表示画面とは別に中間的な画面を備え、異なる機能のプログラムキーを同時に表示させることによって、ユーザは1アクション(1回の操作)で所望のプログラムキーを選択可能にしたものである。より詳細には、本発明は、コピー機能及びファクシミリ機能を備えた複合機において、操作部の表示部に、初期画面として、コピー機能及び/又はファクシミリ機能に関する所望のプログラムキーを予め定められた所定個数以内で同時に表示し、前記初期画面のキーの選択により、前記初期画面から直接、該キーに対応する動作状態に移行可能としている。」を
「【課題を解決するための手段】
前記目的を達成する本発明のコピーファクシミリ複合機は、コピー機能及びファクシミリ機能のモードとなる専用表示画面とは別に中間的な画面を備え、異なる機能のプログラムキーを同時に表示させることによって、ユーザは1アクション(1回の操作)で所望のプログラムキーを選択可能にしたものである。より詳細には、本発明は、コピー機能及びファクシミリ機能を備えた複合機において、操作部の表示部に、初期画面として、コピー機能に関する設定をまとめて予め登録した所定のプログラムキー及びファクシミリ機能に関する設定をまとめて予め登録した所望のプログラムキーを予め定められた所定個数以内で同時に表示し、前記初期画面のキーの選択により、前記初期画面から直接、該キーに対応する動作状態に移行可能としている。」と訂正する。
異議決定日 2002-08-20 
出願番号 特願平10-315695
審決分類 P 1 651・ 121- ZA (H04N)
最終処分 取消  
前審関与審査官 手島 聖治  
特許庁審判長 小川 謙
特許庁審判官 関川 正志
佐藤 聡史
登録日 2001-07-13 
登録番号 特許第3209193号(P3209193)
権利者 日本電気株式会社
発明の名称 コピーファクシミリ複合機  
代理人 京本 直樹  
代理人 河合 信明  
代理人 京本 直樹  
代理人 河合 信明  
代理人 福田 修一  
代理人 福田 修一  

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