ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 全部申し立て 発明同一 C04B 審判 全部申し立て 2項進歩性 C04B 審判 全部申し立て 4項(5項) 請求の範囲の記載不備 C04B |
---|---|
管理番号 | 1070378 |
異議申立番号 | 異議2001-73049 |
総通号数 | 38 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2000-07-11 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2001-11-08 |
確定日 | 2002-11-13 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3164559号「処理容器用部材」の請求項1ないし4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3164559号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。 |
理由 |
1.手続の経緯 本件特許第3164559号の手続の経緯は次のとおりである。 特許出願: 平成10年12月28日 設定登録: 平成13年 3月 2日 特許掲載公報発行: 平成13年 5月 8日 特許異議申立: 平成13年11月 8日 (特許異議申立人 京セラ株式会社) 取消理由通知: 平成14年 2月 8日(発送日) 訂正請求: 平成14年 4月 5日 特許異議意見書 平成14年 4月 5日 2.訂正の適否についての判断 (1)訂正の内容 ア.訂正事項a:特許請求の範囲の請求項1の記載について、「...、その面粗さRaが3〜500μmであることを特徴とする...」とあるのを「...、その面粗さRaが3〜500μmであり、1MHz〜10GHzでの誘電損失が200×10-4以下であることを特徴とする...」と訂正する。 イ.訂正事項b:特許請求の範囲の請求項2の記載について、「...、この曲面形状部の肉厚が5〜15mmの範囲にあることを特徴とする...」とあるのを「...、この曲面形状部の肉厚が5〜15mmの範囲にあり、1MHz〜10GHzでの誘電損失が200×10-4以下であることを特徴とする...」と訂正する。 ウ.訂正事項c:特許請求の範囲の請求項3の記載について、「...SiO2含有量を、0.15重量%超え2重量%以下の範囲とすることを特徴とする...」とあるのを「...SiO2含有量を、0.15重量%超え2重量%以下の範囲とし、1MHz〜10GHzでの誘電損失が200×10-4以下であることを特徴とする...」と訂正する エ.訂正事項d:特許請求の範囲の請求項4を削除する。 オ.訂正事項e:明細書の段落【0013】の記載について、「...、その面粗さRaが3〜500μmであることを特徴とする...」とあるのを「...、その面粗さRaが3〜500μmであり、1MHz〜10GHzでの誘電損失が200×10-4以下であることを特徴とする...」と訂正する。 カ.訂正事項f:明細書の段落【0015】の記載について、「...、この曲面形状部の肉厚が5〜15mmの範囲にあることを特徴とする...」とあるのを「...、この曲面形状部の肉厚が5〜15mmの範囲にあり、1MHz〜10GHzでの誘電損失が200×10-4以下であることを特徴とする...」と訂正する。 キ.訂正事項g:明細書の段落【0017】の記載について、「...SiO2含有量を、0.15重量%超え2重量%以下の範囲とすることを特徴とする...」とあるのを「...SiO2含有量を、0.15重量%超え2重量%以下の範囲とし、1MHz〜10GHzでの誘電損失が200×10-4以下であることを特徴とする...」と訂正する。 ク.訂正事項h:明細書の段落【0018】の記載を削除する。 (2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否 訂正事項aないしcは、元の請求項4で規定された「1MHz〜10GHzでの誘電損失が200×10-4以下であること」を、請求項1ないし3に係る発明を特定するために必要な事項の一部として各請求項に付加したものであるから、特許請求の範囲の減縮に該当する。 また、訂正事項dは、請求項4の削除であるから、特許請求の範囲の減縮に該当する。 さらに訂正事項eないしhは、上記各訂正事項aないしdに伴い、特許明細書中の記載を整合させるためのものであるから、明りょうでない記載の釈明に該当する。 なお、請求項の削除と、それに伴う明細書の記載の整合のための訂正である、訂正事項d及びh以外の訂正において、付加された「1MHz〜10GHzでの誘電損失が200×10-4以下であること」は、特許明細書の元の請求項4や明細書の段落【0018】、【0033】に記載されている事項であるから、上記訂正事項aないしcおよびeないしgは、特許明細書または図面に記載した事項の範囲内でなされたものであり、新規事項の追加に該当するものではない。 そして、上記訂正事項aないしhは、いずれも実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (3)むすび 以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び第3項において準用する特許法第126条第2項から第4項までの規定に適合するので、当該訂正を認める。 3.特許異議の申立てについて (1)特許異議申立ての概要 異議申立人 京セラ株式会社は、証拠方法として下記の甲第1ないし7号証を提出し、本件請求項1ないし4に係る発明は、甲第1ないし第4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、また、本件請求項1及び2に係る発明は、甲第5ないし7号証としてその公開公報を提示した、本件出願の日前の他の出願であって、その出願後に出願公開された特許出願の願書に最初に添付した明細書又は図面に記載された発明と同一であり、しかも請求項1ないし2に係る発明の発明者が上記先願明細書に記載された発明の発明者と同一であるとも、本件出願の時において、その出願人が上記他の出願の出願人と同一であるとも認められないので、請求項1ないし2に係る発明は、特許法第29条の2の規定に違反してなされたものであり、取り消されるべきであると主張している。 さらに申立人は、本件請求項1ないし3に係る特許は、その明細書が特許法第36条に規定する要件を満たしていないから、取り消されるべきであるとも主張している。 (2)証拠の記載内容 甲第1号証ないし甲第7号証には、それぞれ以下の事項が記載されている。 (2-1)甲第1号証:特開平10-236871号公報 a.「【請求項1】フッ素系や塩素系などのハロゲン系腐食性ガス雰囲気下でプラズマに曝される表面を、気孔率が3%以下のイットリウム・アルミニウム・ガーネット焼結体により形成するとともに、その表面を中心線平均粗さ(Ra)1μm以下としたことを特徴とする耐プラズマ部材。」(特許請求の範囲参照) b.「本発明は、フッ素系や塩素系などのハロゲン系腐食性ガス雰囲気下で、優れた耐プラズマ性を有する耐プラズマ部材に関するものであり、特に、半導体製造装置の内壁材、監視窓、マイクロ波導入窓、マイクロ波結合用アンテナ、あるいは静電チャックやサセプタ等に好適に使用できるものである。」(段落【0001】参照) c.「イットリウム・アルミニウム・ガーネット焼結体(以下YAG焼結体と称す)...」(段落【0012】参照) d.「本発明は、YAG焼結体がハロゲン系腐食性ガス雰囲気下でのプラズマに対して優れた耐プラズマ性を有すると言えども表面にボイドが多数存在したり、表面の面粗さが粗すぎると耐プラズマ性が大きく低下することに着目し、...表面を中心線平均粗さ(Ra)で1μm以下とすれば、腐食の進行を大幅に抑えることができることを見出した。」(段落【0016】参照) e.「...板状体2を気孔率3%以下のYAG焼結体で形成するとともに、板状体2の表面を中心線平均粗さ(Ra)で1μm以下としてあることから、塩素系やフッ素系のハロゲン系腐食性雰囲気下でプラズマに曝したとしても腐食が少なく、ウエハ50へのパーティクル汚染を低減することができる。」(段落【0031】参照) f.「この気孔率が3%以下のYAG焼結体は透光性を有するとともに、左右両面22a,22bを中心線平均粗さ(Ra)0.4μm以下の鏡面に仕上げてあることから、透明体であり、監視窓21として好適に使用できるとともに、塩素系やフッ素系のハロゲン系腐食性雰囲気下でプラズマに曝されたとしても耐プラズマ性に優れることから殆ど腐食することがない。」(段落【0038】参照) (2-2)甲第2号証:特開平10-32186号公報 a.「【請求項2】平行平板のプラズマ処理装置において、上部電極を兼ねた処理室と、処理室とは電気的に絶縁された下部電極と、処理室内壁に反応生成物を付着させるための防着板を備え、前記防着板は10〜100[μm]の表面粗さを有していることを特徴とするプラズマ処理装置。」(特許請求の範囲参照) (2-3)甲第3号証:特開平10-258227号公報 a.「図12の多半径ドームシーリングは二つの半径を持ち、頂部の半径Rは15インチ(37.5cm)で、コーナーの半径rは2.5インチ(6.25cm)である。もう一つの実施例において、頂部の半径Rは13インチ(32.5cm)であり、一方コーナーの半径rは4インチ(10cm)である。...」(段落【0020】参照) (2-4)甲第4号証:特開平8-325054号公報 a.「【請求項1】Al2O3を主成分とし、0.5重量%以上のY2O3を含有する焼結体であって、Al2O3結晶相の粒界にY2O3もしくはAl2O3とY2O3の化合物が存在し、7〜9GHzにおける誘電損失(tanδ)が1.0×10-4以下であることを特徴とする低誘電損失体。 【請求項2】イットリア・アルミニウム・ガーネット(YAG)を主成分とする焼結体であって、YAG結晶相の粒界にAl2O3、Y2O3、もしくはAl2O3とY2O3の化合物が存在し、7〜9GHzにおける誘電損失(tanδ)が1.0×10-4以下であることを特徴とする低誘電損失体。」(特許請求の範囲参照) b.「本発明のアルミナ質焼結体には、上記以外の成分として、SiO2を1.0×10-6〜0.2重量%、好適には1×10-6〜0.03重量%、Na2Oを1×10-6〜0.2重量%、好適には1×10-6〜0.08重量%の範囲で含有することによって、誘電損失を低くすることができる。」(段落【0012】参照) (2-5)甲第5号証:特開平11-283972号公報(特願平10-87578号) a.「そして、本発明によれば、真空容器1の少なくともハロゲン系腐食ガス及び/又はプラズマに曝される内壁面2に複数個の凹部3を形成し、真空容器1内の表面積を大きくしてあることから、真空容器1を構成するセラミックスや石英ガラスがハロゲン系腐食性ガスや混合ガス中の酸素などと反応して反応生成物を生成したとしても、該反応生成物がパーティクルとして剥がれ落ちるまでの時間を長くすることができる。」(段落【0013】参照) b.「また、このような真空容器1を構成するセラミックスとしては、窒化珪素や窒化アルミニウムなどの窒化物セラミックスや、アルミナ、マグネシア、アルミニウム-イットリウム-ガーネット(YAG)などの酸化物セラミックスを用いることができる。さらに、上記セラミックスや石英ガラスはできるだけ高純度のものが良く、純度が99.5%以上、好ましくは99.8%以上のものが耐摩耗性を高める上で好適である。」(段【0020】参照) c.「なお、凹部3の形状としては、図2(a)〜(g)だけに限定されるものではなく、例えば、孔3a、窪み3c、溝3dのうち2つ以上が混在したものでも良く、また、孔3aの形状も円形だけに限定されるものではなく、三角形や四角形などの多角形をしたものや楕円形をしたものなどどのような形状をしたものでも構わない。さらに上図2(a)〜(g)以外に図2(h)のような多数の気孔を有する多孔質セラミク板を貼り付けることもできる。 ただし、内壁面2に存在する一つの凹部3の開口面積は3mm2以上、凹部3の深さは2mm以上が良い。これは、凹部3の開口面積が3mm2未満では凹部3内へプラズマが回り込み難くなり、凹部3を設けたことによるパーティクル低減効果が小さいからであり、また、凹部3の深さが2mm未満では表面積をそれほど大きくすることができず、パーティクル低減効果が小さいからである。」(段落【0016】及び【0017】参照) d.「さらに、真空容器1の内壁面2は中心線平均粗さ(Ra)で2μm以下、好ましくは1μm以下とすることが良い。これは内壁面2に大きな凹凸があると、プラズマエネルギーが凸や凹のエッジに集中して腐食摩耗させ易く、中心線平均粗さ(Ra)が2μmより大きいと腐食摩耗が激しいからである。」(段落【0019】参照) e.表1;凹部の寸法に関して、開口部の直径3mm、深さ1〜4mm、ピッチ6〜12mmが例示されている。(段落【0031】参照) (2-6)甲第6号証:特開2000-68208号公報(特願平10-233029号) a.「図2は、本発明の一実施の形態の要部の構成を示すもので、特に、反応容器内の電極以外の部品の表面性状を示す。この部品12の表面には、爆発溶射加工により、膜厚50μm以上のアルミナ(Al2O3)皮膜13が形成されている。この場合は、爆発溶射加工により、適度に表面が荒れた状態の多孔質のアルミナ皮膜13が形成されており、表面粗さLが10μm〜100μm程度になっている。」(段落【0011】参照) b.「いずれにしろ、このように反応容器内の電極の表面やその他の部品の表面を適度な粗面となしたので、膜が堆積して膜厚が増大しても、部品表面の凹凸に堆積膜が強く付着することになり、堆積膜の剥離を抑制することができる。」(段落【0013】参照) (2-7)甲第7号証:特開2000-72529号公報(特願平10-240887号) a.「【請求項1】プラズマ処理装置の反応室内で用いられ、平均結晶粒径が18〜45μm、表面粗さがRaで0.8〜3.0μm、かさ密度が3.90g/cm3以上の緻密質アルミナ焼結体であることを特徴とする耐プラズマ部材。」(特許請求の範囲参照) (3)本件訂正発明 本件請求項1ないし3に係る発明(以下、それぞれ、「本件発明1ないし3」という)は、上記訂正を認容することができるから、訂正明細書の請求項1ないし3に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】その中で腐食性ガスによる処理を行う容器に用いられる処理容器用部材であって、イットリウム-アルミニウム-ガーネットを主要成分とする多結晶セラミックスからなり、かつその容器内面に相当する部分が付着物を保持するアンカー効果を発揮するように、その面粗さRaが3〜500μmであり、1MHz〜10GHzでの誘電損失が200×10-4以下であることを特徴とする処理容器用部材。 【請求項2】その中で腐食性ガスによる処理を行う容器に用いられる処理容器用部材であって、イットリウム-アルミニウム-ガーネットを主要成分とする多結晶セラミックスからなり、かつその容器内面に相当する部分が付着物を保持するアンカー効果を発揮するように、その面粗さRaが1μm超えであり、曲率半径R1が300mm以上の第1の球面部と、この第1の部分の端部に連続し、かつ曲率半径R2が10mm以上の第2の球面部とからなる曲面形状部を主体とし、前記第1の球面部及び第2の球面部のいずれか一方が他方に内接しており、この曲面形状部の肉厚が5〜15mmの範囲にあり、1MHz〜10GHzでの誘電損失が200×10-4以下であることを特徴とする処理容器用部材。 【請求項3】その中で腐食性ガスによる処理を行う容器に用いられる処理容器用部材であって、イットリウム-アルミニウム-ガーネットを主要成分とする多結晶セラミックスからなり、かつその容器内面に相当する部分が付着物を保持するアンカー効果を発揮するように、その面粗さRaが1μm超えであり、前記多結晶セラミックスのSiO2含有量を、0.15重量%超え2重量%以下の範囲とし、1MHz〜10GHzでの誘電損失が200×10-4以下であることを特徴とする処理容器用部材。」 (4)当審の判断 (4-1)本件発明1について ア.特許法第29条第2項に関して 甲第1号証の上記a.及びb.によれば、同号証には、「半導体製造装置の内壁材等、その中でフッ素系や塩素系などのハロゲン系腐食ガス雰囲気下でプラズマに曝される表面を、気孔率が3%以下のイットリウム・アルミニウム・ガーネット焼結体により形成するとともに、その表面を中心線平均粗さ(Ra)1μm以下にしたことを特徴とする耐プラズマ部材」が記載されている。 これを本件発明1と対比してみると、「半導体製造装置の内壁材」は、「フッ素系や塩素系などのハロゲン系腐食ガス雰囲気下でプラズマに曝される」のであるから、本件発明1における「その中で腐食性ガスによる処理を行う容器に用いられる処理容器用部材」に相当するものである。また、「イットリウム・アルミニウム・ガーネット焼結体」は、本件発明における「イットリウム-アルミニウム-ガーネットを主要成分とする多結晶セラミックス」に相当するものである。 してみれば、両者は、「その中で腐食性ガスによる処理を行う容器に用いられる処理容器用部材であって、イットリウム-アルミニウム-ガーネットを主要成分とする多結晶セラミックスからなる処理容器用部材。」である点で一致しているが、下記の2点で相違している。 1.本件発明1は、容器内面に相当する部分が付着物を保持するアンカー効果を発揮するように、その面粗さRaが3〜500μmとしているのに対し、甲第1号証記載のものは、表面を中心線平均粗さ(Ra)1μm以下としている点。(以下、相違点1という)及び 2.本件発明1は、1MHz〜10GHzでの誘電損失が200×10-4以下であるのに対し、甲第1号証記載のものは、誘電損失に関しては言及していない点。(以下、相違点2という) これらの相違点について考察する。 (相違点1について) 甲第2号証には、上記(2)の(2-2)に記載したように、プラズマ処理装置の処理室内壁に反応生成物を付着させるための防着板を備え、この防着板の表面粗さを10〜100μmとすることが記載されている。しかしながら、甲第2号証には、この防着板が如何なる材質からできているのかが記載されておらず、また、表面粗さについても、それが本件発明1で規定する面粗さRaであるのか、あるいはRmaxであるのかも明示されていない。 一方、甲第1号証においては、(2)の(2-1)a.にも記載したように、表面粗さRaを1μm以下としている。これは、(2)の(2-1)d.に記載したように「YAG(イットリウム-アルミニウム-ガーネット)焼結体がハロゲン系腐食性ガス雰囲気下でのプラズマに対して優れた耐プラズマ性を有すると言えども、...表面の面粗さが粗すぎると耐プラズマ性が大きく低下する」こと配慮したものであり、実際に明細書中で段落【0031】や【0038】において繰り返し述べられている。(上記(2)の(2-1)e.及びf.を参照されたい。) してみれば、甲第2号証により、材質が不明である防着板の表面粗さを10〜100μmとして、反応生成物を付着させることが公知であっても、この技術を耐プラズマ性の観点から、表面粗さを1μm以下とすることが推奨されている、イットリウム-アルミニウム-ガーネット製部材の表面粗さに適用して、本件発明1の如き構成とすることは、当業者といえども容易になし得たものとすることはできない。 (相違点2について) 甲第4号証には、イットリア・アルミニウム・ガーネット(YAG)、即ち本件発明1におけるイットリウム-アルミニウム-ガーネットを主要成分とする多結晶セラミックスについて、7〜9GHzにおける誘電損失(tanδ)を1.0×10-4以下とした低誘電損失体が記載されている。(殊に、請求項2を参照されたい。) この誘電損失に関する周波数限定範囲と損失値は、本件発明1と共通する範囲を有している。しかしながら、上記誘電損失体の用途として記載されているのは、「高周波で使用される回路基板」や「マイクロ波誘電損失体」であって(甲第4号証の段落【0001】、【0039】参照)、該誘電損失体を「その中で腐食性ガスによる処理を行う容器に用いられる処理容器用部材」に使用することは、記載も示唆もされていない。 そうである以上、「その中で腐食性ガスによる処理を行う容器に用いられる処理容器用部材」に使用されるイットリウム-アルミニウム-ガーネットを主要成分とする多結晶セラミックスの誘電損失を、本件発明1の如く、1MHz〜10GHzにおいて200×10-4以下に限定することは、甲第4号証に基づいて当業者が容易に想到し得たものとは云えない。 なお、甲第3号証には、RF(高周波)プラズマリアクタの処理容器用部材に相当するシーリングの曲率に関する記述があるのみで、容器の表面粗さや誘電損失に関する記載は見いだせない。 したがって、本件発明1は、甲第1ないし4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 イ.特許法第29条の2に関して 本件発明1に係る出願の出願の日前に出願された先願の公開公報である甲第5号証には、「少なくともハロゲン系腐食性ガス及び/又はプラズマに曝される部位がセラミックス又は石英ガラスからなり、その表面に複数個の凹部を有することを特徴とする真空容器。」(特許請求の範囲参照)に係る発明が記載され、発明の詳細な説明の項には、セラミックスの具体例として「アルミニウム-イットリウム-ガーネット(YAG)」即ち、本件発明1でいうところのイットリウム-アルミニウム-ガーネットを主要成分とする多結晶セラミックスが例示されている。 また、上記凹部の大きさに関しては、特許請求の範囲には規定されていないものの、(2)の(2-5)c.d.及びe.に摘記したとおり、発明の詳細な説明の項において「凹部の開口面積として3mm2以上、深さ2mm以上」が推奨されるとともに、別途内壁面の中心線平均粗さ(Ra)の推奨値として2μm以下、好ましくは1μm以下が明記されている。 しかしながら、上述した中心線平均表面粗さRaの推奨値は、本件発明1が規定する表面粗さの3〜500μmよりも小さく、また、表面に開口している上記凹部が散在していることで形成される凹凸を、表面粗さとして見なしても、当該凹部の推奨値は、本件発明1の表面粗さである3〜500μmよりも大きなものとなり、いずれも本件発明1が採用する表面粗さを開示ないしは示唆していない。 よって、本件発明1は、先願である甲第5号証に記載された発明と同一であるとすることはできない。 次に、同じく先願の公開公報である甲第6号証には、「反応容器内の部品の表面あらさを10μmから100μmの範囲に設定したことを特徴とするプラズマCVD装置」(特許請求の範囲参照)に関する発明が記載されている。 しかしながら、甲第6号証には、当該部品の材質について言及されておらず、ただ「部品12の表面には、爆発溶射加工により、膜厚50μm以上のアルミナ(Al2O3)皮膜13が形成されている。」とのみ記載されているにとどまり、材質として「イットリウム-アルミニウム-ガーネット」を採用することは勿論、特定周波数域における誘電損失が所定範囲内のイットリウム-アルミニウム-ガーネットを採用する点については記載も示唆もない。 よって、本件発明1は、先願である甲第6号証に記載された発明と同一であるとすることはできない。 さらに、同じく先願の公開公報である甲第7号証には、「プラズマ処理装置の反応室内で用いられ、平均結晶粒径が18〜45μm、表面粗さがRaで0.8〜3.0μm、かさ密度が3.90g/cm3以上の緻密質アルミナ焼結体であることを特徴とする耐プラズマ部材」(特許請求の範囲参照)に関する発明が記載されている。 甲第7号証に記載された発明は、表面粗さに関しては3.0μmの一点で本件発明1と一致しているものの、材質が緻密質アルミナであって、本件発明1が採用するイットリウム-アルミニウム-ガーネットを主要成分とする多結晶セラミックスではなく、ましてその物性値として特定周波数帯における誘電損失の値が所定値であるものを採用する点については記載も示唆もない点で、本件発明1とは相違している。 よって、本件発明1は、先願である甲第7号証に記載された発明と同一であるとすることはできない。 したがって、本件発明1は、先願である甲第5ないし7号証に記載された発明と同一であるから特許法第29条の2の規定に違反してされたものであるとする異議申立人の主張は採用できない。 (4-2)本件発明2及び3について 本件発明2と3は、3.(3)の本件訂正発明の項に記載したとおり、何れも「その中で腐食性ガスによる処理を行う容器に用いられる処理容器用部材であって、イットリウム-アルミニウム-ガーネットを主要成分とする多結晶セラミックス」からなり、「1MHz〜10GHzでの誘電損失が200×10-4以下である」点を、発明を特定するための事項として含む処理容器用部材に関するものであるが、「1MHz〜10GHzでの誘電損失が200×10-4以下であるイットリウム-アルミニウム-ガーネットを主要成分とする多結晶セラミックス」に関して、本決定の(4-1)において述べたとおり、甲第1ないし4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものともいえないし、また、先願である甲第5ないし7号証に記載されているとすることもできないので、本件発明2及び3についても、甲第1ないし4号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたとすることはできないし、また、本件発明2及び3が、甲第5ないし7号証に記載された発明と同一であるとすることもできない。 (4-3)訂正(削除)前の請求項4に係る発明について 異議申立人が取消しを求めた特許第3164559号の請求項4に係る特許は、上記2.の訂正の適否についての判断の(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否の項において示したように、訂正(削除)により、存在しないものとなったので、異議申立人の上記主張は当を得ないものとなった。 (4-4)特許法第36条違反について 異議申立人は、特許請求の範囲1ないし3に記載された「容器内面に相当する部分」が、どこを指すのか不明瞭である、例えば、容器内面に相当する部分の全体を所定の表面粗さとするのか、一部だけで良いのかが不明であり、また、サブチャンバー22やガス導入部23の内側は容器内面に相当する部分に当たるのかどうか不明である等、異議申立書において主張しているので、この点について検討する。 発明の詳細な説明の項に記載された本件発明1ないし3の効果は、「腐食性ガス、特にフッ化物ガスおよびそのプラズマに対して十分な耐食性を維持しながら、アンカー効果により付着物の脱落を発生しにくくすることができる」(段落【0059】参照)ことを含むものであるから、当業者であれば、少なくとも容器内面の一部を、各請求項で規定する所定の面粗さとすれば、その面粗さおよび範囲に応じたアンカー効果により、付着物の脱落が減少することは明らかである。また、サブチャンバー22やガス導入部23は、処理容器用部材10とは明確に区別されているから、これらが容器内面に相当しないことは明らかである。 したがって、したがって、本件発明1ないし3に係る出願の明細書が、特許法第36条に規定するに違反しているという、異議申立人の主張は採用できない。 4.むすび 以上のとおりであるから、特許異議申立の理由及び証拠によっては、本件請求項1ないし3に係る発明についての特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1ないし3に係る発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 処理容器用部材 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 その中で腐食性ガスによる処理を行う容器に用いられる処理容器用部材であって、イットリウム-アルミニウム-ガーネットを主要成分とする多結晶セラミックスからなり、かつその容器内面に相当する部分が付着物を保持するアンカー効果を発揮するように、その面粗さRaが3〜500μmであり、1MHz〜10GHzでの誘電損失が200×10-4以下であることを特徴とする処理容器用部材。 【請求項2】 その中で腐食性ガスによる処理を行う容器に用いられる処理容器用部材であって、イットリウム-アルミニウム-ガーネットを主要成分とする多結晶セラミックスからなり、かつその容器内面に相当する部分が付着物を保持するアンカー効果を発揮するように、その面粗さRaが1μm超えであり、曲率半径R1が300mm以上の第1の球面部と、この第1の部分の端部に連続し、かつ曲率半径R2が10mm以上の第2の球面部とからなる曲面形状部を主体とし、前記第1の球面部および第2の球面部のいずれか一方が他方に内接しており、この曲面形状部の肉厚が5〜15mmの範囲にあり、1MHz〜10GHzでの誘電損失が200×10-4以下であることを特徴とする処理容器用部材。 【請求項3】 その中で腐食性ガスによる処理を行う容器に用いられる処理容器用部材であって、イットリウム-アルミニウム-ガーネットを主要成分とする多結晶セラミックスからなり、かつその容器内面に相当する部分が付着物を保持するアンカー効果を発揮するように、その面粗さRaが1μm超えであり、前記多結晶セラミックスのSiO2含有量を、0.15重量%超え2重量%以下の範囲とし、1MHz〜10GHzでの誘電損失が200×10-4以下であることを特徴とする処理容器用部材。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、半導体ウェーハーの成膜やエッチングによる微細加工等の腐食性ガスによる処理を行う処理容器に用いられる処理容器用部材に関する。 【0002】 【従来の技術】 従来から、半導体ウェーハーの成膜やエッチングによる微細加工等を行うための処理容器としては石英製のものが用いられている。すなわち、石英ガラスで製造された処理容器の中にシリコンウェーハーを設置し、ウェーハー上に化学気相成長(CVD)で薄膜を形成したり、その中にプラズマ化されたフッ化物ガスなどを導入し、薄膜をプラズマによりエッチングする方法が採用されてきた。 【0003】 しかしながら、石英ガラスとフッ化物ガスが反応して生成されるフッ化ケイ素は、常温で容易に蒸発するためプラズマによる腐食が著しく、その結果、処理室部材の寿命が短く長期間にわたり連続で生産することができないという問題があった。 【0004】 一方、フッ素系プラズマに対する耐食性が石英よりも優れる耐食性部材として特開平10-45461号公報には、周期律表第2a族、第3a族元素のうち少なくとも1種を含む化合物を主体とし、その表面粗さ(Ra)が1μm以下、気孔率が3%以下のセラミックス焼結体が開示されており、また特開平10-45461号公報には、周期律表3a族金属と、Al及び/又はSiを含む複合酸化物が開示されている。そして、これらの実施例の中には、このような材料としてイットリウム-アルミニウム-ガーネットが含まれている。また、特開平10-236871号公報には、フッ素系や塩素系などのハロゲン系腐食性ガス雰囲気下でプラズマに曝される表面を、気孔率が3%以下のイットリウム-アルミニウム-ガーネット焼結体により形成するとともに、その表面を中心線平均粗さ(Ra)1μm以下とした耐プラズマ部材が開示されている。また、このような焼結体において、周期律表2a族元素の酸化物及び酸化珪素の含有量を1500ppm以下とすることが開示されている。 【0005】 イットリウム-アルミニウム-ガーネットが耐食性に優れていることは、従来から知られているが、上記技術ではイットリウム-アルミニウム-ガーネット等において、上述したように、気孔率や表面粗さを小さくしたり、酸化珪素等の量を極少なくすることにより、特にフッ化物系ガスのプラズマに対する耐食性が高いものが得られるとしている。 【0006】 上記公報において、気孔率や面粗さを小さくするのは、面粗さRaが大きいとプラズマに曝される接触面積が増大し、凹凸の凸部にプラズマが集中し、また気孔率が大きいと気孔部分が選択的に腐食されることなどにより耐食性が低下するためとしている。このため、上記特開平10-45461号公報および特開平10-236871号公報では、Raが1μmの範囲内でも、特に鏡面処理によってRaを著しく小さくしたものがより良好な耐食性を示すことが記載されている。 【0007】 しかしながら、これら公報に記載されたイットリウム-アルミニウム-ガーネット系耐食部材は気孔率および表面粗さを小さくすることによって確かにプラズマに対する耐食性は増大するものの、上述のような半導体ウェーハーの成膜やエッチングによる微細加工等の腐食性ガスによる処理を行う処理容器として用いようとすると、以下のような問題点がある。 【0008】 すなわち、上述したような半導体ウェーハーの成膜やエッチングによる微細加工等を行うための処理容器においては、これらの処理によって生成したフッ化物等の反応ガス成分や、反応生成物がその内面に付着または析出するが、上記公報に開示された耐食部材のように気孔率および表面粗さがいずれも小さい部材で処理容器を形成した場合には、成膜やエッチング等により生じたフッ化物膜や、付着物・析出物がその内面に強固に付着することができず、これら付着物や析出物の膜厚が増してくると膜ごと脱落してしまい、処理に悪影響を及ぼすおそれがある。その結果、連続生産性に制約を与えるという問題点を有する。 【0009】 また元来、イットリウム-アルミニウム-ガーネット系のセラミックスは熱膨張係数が大きいため、僅かな温度差で亀裂が発生するといういわゆる耐熱衝撃性の低い材料のため、プラズマ雰囲気が形成される処理容器のような温度差が発生する用途に適用することは困難である。 【0010】 本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、腐食性ガス雰囲気、特にフッ化物ガスおよびそのプラズマに対して、十分な耐食性を有し、付着物が脱落しにくい処理容器用部材を提供することを目的とする。また、このようなことに加え、熱衝撃に強い処理容器用部材を提供することを目的とする。 【0011】 【課題を解決するための手段】 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、イットリウム-アルミニウム-ガーネットを主要成分とし、従来の知見とは異なり処理容器の内面に対応する部分の面粗さを粗くすることにより、腐食性ガス、特にフッ化物ガスおよびそのプラズマに対して十分な耐食性を維持しつつ、そのアンカー効果により、付着物が脱落しにくい処理容器用部材が得られることを知見した。 【0012】 また、イットリウム-アルミニウム-ガーネットは耐熱衝撃性が低いが、部材の形状を工夫することで部材内に発生する熱応力を小さくすることができ、処理容器用部材として十分な耐熱衝撃性が得られることを知見した。 【0013】 本発明はこのような知見に基づいてなされたものであり、第1発明は、その中で腐食性ガスによる処理を行う容器に用いられる処理容器用部材であって、イットリウム-アルミニウム-ガーネットを主要成分とする多結晶セラミックスからなり、かつその容器内面に相当する部分が付着物を保持するアンカー効果を発揮するように、その面粗さRaが3〜500μmであり、1MHz〜10GHzでの誘電損失が200×10-4以下であることを特徴とする処理容器用部材を提供するものである。 【0014】 これにより、腐食性ガス、特にフッ化物ガスおよびそのプラズマに対して十分な耐食性を維持しながら、面粗さが粗いことにより発揮されるアンカー効果により付着物の脱落を発生しにくくすることができる。 【0015】 また、第2発明は、その中で腐食性ガスによる処理を行う容器に用いられる処理容器用部材であって、イットリウム-アルミニウム-ガーネットを主要成分とする多結晶セラミックスからなり、かつその容器内面に相当する部分が付着物を保持するアンカー効果を発揮するように、その面粗さRaが1μm超えであり、曲率半径R1が300mm以上の第1の球面部と、この第1の部分の端部に連続し、かつ曲率半径R2が10mm以上の第2の球面部とからなる曲面形状部を主体とし、前記第1の球面部および第2の球面部のいずれか一方が他方に内接しており、この曲面形状部の肉厚が5〜15mmの範囲にあり、1MHz〜10GHzでの誘電損失が200×10-4以下であることを特徴とする処理容器用部材を提供するものである。 【0016】 このような形状を採用することにより、部材内の熱応力を極力小さくすることができ、処理容器用部材として十分な耐熱衝撃性を得ることができる。 【0017】 第3発明は、その中で腐食性ガスによる処理を行う容器に用いられる処理容器用部材であって、イットリウム-アルミニウム-ガーネットを主要成分とする多結晶セラミックスからなり、かつその容器内面に相当する部分が付着物を保持するアンカー効果を発揮するように、その面粗さRaが1μm超えであり、前記多結晶セラミックスのSiO2含有量を、0.15重量%超え2重量%以下の範囲とし、1MHz〜10GHzでの誘電損失が200×10-4以下であることを特徴とする処理容器用部材を提供するものである。 【0018】 (削除) 【0019】 【発明の実施の形態】 以下、本発明について具体的に説明する。 本発明の処理容器用部材は、イットリウム-アルミニウム-ガーネットを主要成分とする多結晶セラミックスからなり、かつその容器内面に対応する部分が付着物を保持するアンカー効果を発揮するように、その面粗さRaが1μmを超えるものであり、これによって、長期間の連続運転を可能とするものである。本発明の処理容器用部材は、処理容器の全部を構成するものであってもよいし、処理容器の一部を構成するものであってもよい。 【0020】 一般にプラズマエッチングによる耐食性は、表面の一部をポリイミドテープ、テフロンテープ等でマスキングした小片サンプルに上方からプラズマを照射し、エッチング後にマスキングを剥がし、生じた段差や面粗さなどの測定によってエッチング速度として評価される。こういった評価の場合、面粗さRaが大きいと耐食性が低下することは上述した通りである。 【0021】 しかし、本発明が対象とする処理容器の場合、上記の評価試験とは異なり、その内面は下向きまたは垂直であるため、例えばフッ素系のプラズマにより部材内面に生じるフッ化物膜、あるいは付着物・析出物は、運転の期間中常に膜の自重を受けることになる。このため連続生産性のためには、エッチング速度もさることながら形成されたフッ化物膜、あるいは付着物・析出物がどれだけ強固に付着しているかが重要な問題となる。 【0022】 すなわち、従来技術のようにRaが小さいと確かに耐食性は増すが、一方、このような部材で処理容器を構成した場合、フッ化物膜や付着物・析出物が強固に付着しないため、運転中に膜ごと脱落する危険性が大きく、その結果、連続運転が難しいため生産性が大きく低下する原因となる。 【0023】 これに対し、本発明のようにRaが1μmを超える範囲では、ほどよい面粗さが膜に対するアンカー効果をもたらすため、膜は強固に付着し、これにより連続運転中の脱落も無く良好な結果が得られる。一方、このようにRaが1μmを超えても、イットリウム-アルミニウム-ガーネットが材料として良好な耐食性を有していることから、実際には処理容器として十分な耐食性が得られることが判明した。この点が上記先行技術における知見とは異なっており、本発明者らが初めて知見したことである。 【0024】 Raが1μmに満たない場合、耐食性は向上するものの、アンカー効果が小さく、膜の付着が弱くなるため連続生産が困難となり、処理容器用部材としては不適当である。 【0025】 Raのより好ましい範囲は3〜500μmである。500μmを超える場合、アンカー効果は十分であるが、エッチング速度が大きくなり、耐食性が多少低下するため好ましくない。 【0026】 なお、Raを1μm超えにする方法としては、ブラストを始めとする各種加工処理があげられるが、最も好ましいのは焼結体焼き放し面で1μm超えにする場合である。焼き放しで1μm超えにならない場合は、成形体の段階で加工処理を施して、焼結後に1μmを超えるようにすればよい。焼き放し面が好ましい理由は、焼結体に加工処理して1μm超えにした場合、焼結体表面にマイクロクラックが誘起され、このクラックにプラズマ処理の際の電界が集中し、耐食性が低下するためである。したがって、焼結体加工でRa1μm超えを得ようとする場合は、加工後に焼結体を加熱しクラックを閉塞させる、あるいは鈍化させるなどの熱処理を行うことが好ましい。 【0027】 本発明に係る処理容器部材は、曲面形状部を主体とする。その理由としては、上述したようにイットリウム-アルミニウム-ガーネット系のセラミックスは耐熱衝撃性が低いため、例えば処理容器部材形状がシャープなエッジを有するような場合、熱応力がエッジ部に集中し、そこから破壊が生じる可能性が高いからである。このような熱応力破壊を回避するには、処理容器部材が曲面形状部を主体とし、その形状が曲率半径が300mm以上(曲率半径が無限大の場合、すなわち平面の場合も含む)の第1の球面部と、曲率半径が10mm以上の第2の球面部とからなり、これら第1の球面部および第2の球面部のいずれか一方が他方に内接していることが望ましい。 【0028】 具体的には、図1に示すように、処理容器部材1における第1の球面部2の曲率半径R1を300mm以上(無限大も含む)、第2の球面部3の曲率半径R2を10mm以上にし、これら球面部2,3のいずれか一方が他方に内接していることが望ましい。 【0029】 R1を300mm以上としたのは、300mm未満の場合、応力集中が生じやすい傾向があり、曲面にした効果が少なくなるからである。また、R2を10mm以上としたのは、10mm未満の場合、やはり応力集中が生じやすくなるためである。R2が10mm未満にした際に生じる応力集中は、特にR1が無限大の時に顕著である。第1の球面部および第2の球面部のいずれか一方が他方に内接していることとしたのは、このようにすることによりシャープなエッジが生じないからである。 【0030】 また、この曲面部分の肉厚は5〜15mmであることが好ましい。5mm未満の場合、耐熱衝撃性の観点からは望ましいが、イットリウム-アルミニウム-ガーネットセラミックスの機械的強度は必ずしも大きくないので、部材としての構造健全性に問題が残る。特に大型の処理容器部材の場合にはある程度の肉厚を有していないと強度不足が問題となるし、また熱膨張係数が大きいため、温度差によって生じる固定部分などの熱応力が破壊の原因となる危険が大きいからである。一方、15mmを超える場合は、逆に機械的強度は十分であるが厚肉になっただけ耐熱衝撃性が低下し、熱応力による破壊が生じ易くなるためやはり好ましくない。 【0031】 本発明において、多結晶セラミックス中に含有されるSiO2の量は0.15重量%超え2重量%以下であることが好ましい。この範囲であれば部材の耐食性の低下は認められない。一般に不純物、焼結助剤は結晶粒界にガラス相として偏析するため、耐食性の劣るSiO2などは選択的に腐食され、脱粒、パーティクル発生の原因となるが、本発明のようにイットリウム-アルミニウム-ガーネット系のセラミックスにおいて形成される粒界相はSiO2相単体ではなく、耐プラズマ性を有することが知られているイットリア-アルミナ-シリカ系の相になっていると考えられ、そのため耐食性が低下しないと推定される。 【0032】 SiO2の量を0.15重量%超えとしたのは、SiO2が0.15重量%以下の場合には、焼結温度を上げないと緻密化を図ることができず、焼き上がりの寸法精度低下の問題が生じるからである。一方、SiO2の量を2重量%以下としたのは、SiO2の量が2重量%を超えると、上記のイットリア-アルミナ-シリカ系の相以外にSiO2の相が形成されるため、耐食性が低下するからである。 【0033】 本発明の処理容器用部材は、1MHz〜10GHzでの誘電損失が200×10-4以下であることが好ましい。その理由は、誘電損失が200×10-4を大きく超えると処理室部材が蓄熱し熱応力により亀裂が発生して破損にいたる可能性があるからである。また、部材の温度上昇は例えばフッ化物ガスなどによる浸食を促進し、結果として耐食性に劣るからである。 【0034】 次に、本発明の処理容器用部材の適用例について説明する。 図2は本発明の処理容器部材が適用された誘導結合型プラズマエッチング装置を示す断面図である。図中参照符号10が本発明に係る処理容器部材である。この処理容器用部材10はドーム状をなし、その下に金属製の下部チャンバー11が処理容器用部材10に密着するように設けられており、これらによりチャンバー12が構成されている。下部チャンバー11内の上部には支持テーブル13が配置され、その上に静電チャック14が設けられており、静電チャック14上に半導体ウェーハー15が載置される。静電チャック14の電極には直流電源16が接続されており、これにより半導体ウェーハ15を静電吸着する。また、支持テーブル13にはRF電源17が接続されている。一方、下部チャンバー11の底部には真空ポンプ18が接続されており、チャンバー11内を真空排気可能となっている。また、下部チャンバー11の上部には半導体ウェーハーの上方にエッチングガス例えばCF4ガスを供給するガス供給ノズル19が設けられている。処理容器用部材10の周囲には誘導コイル20が設けられており、この誘導コイル20にはRF電源21から例えば400kHzの高周波が印加される。 【0035】 このようなエッチング装置においては、真空ポンプ18によりチャンバー12内を所定の真空度まで排気し、静電チャック14により半導体ウェーハー15を静電吸着した後、ノズル19からエッチングガスとして例えばCF4ガスを供給しつつ、RF電源21からコイル20に給電することにより、半導体ウェーハー15の上方部分にエッチングガスのプラズマが形成され、半導体ウェーハー15が所定のパターンにエッチングされる。なお、高周波電源17から支持テーブル13に給電することにより、エッチングの異方性を高めることができる。 【0036】 このようなエッチング処理の際、処理容器用部材10の内面はプラズマアタックを受けるとともに、フッ化物膜等が付着する。しかしながら、処理容器用部材10は上述した本発明の部材で構成されているため、プラズマに対する耐食性が高いとともに、付着物が落下しにくい。 【0037】 本発明の処理容器用部材は、図2のような装置に限らず、図3に示すエッチング装置にも適用可能である。図3中、図2と同じものには同じ符号を付して説明を省略する。ここでは、処理容器用部材10の天壁中央部に、上方に延びるセラミック製のサブチャンバー22が設けられている。このサブチャンバー22の上部にはガス導入部25が設けられており、このガス導入部23からエッチングガスがサブチャンバー22へ導入される。サブチャンバー22の周囲には誘導コイル24が巻回されており、この誘導コイル24にはRF電源25から高周波が供給される。したがって、エッチングガスをガス導入部23からサブチャンバー22に導入するとともに、誘導コイル24に高周波を供給することにより、サブチャンバー22内でエッチングガスのプラズマが形成され、そのプラズマが半導体ウェーハ15に供給されてエッチングされる。 【0038】 なお、本発明の処理容器用部材が適用される処理容器としては、エッチング用のものに限らず、CVD成膜等、腐食性ガスを用いる処理に用いられるものであればよい。また、必ずしも半導体製造装置用の処理容器に限らない。 【0039】 【実施例】 以下、本発明の実施例について説明する。 (第1の実施例) まず、イットリア(純度99.9%)37.5モル%とアルミナ(純度99.99%)62.5モル%に対し、酸化珪素を内割で0.2重量%、イオン交換水、分散剤を加え、ポットミル中で混合した。このスラリーをスプレードライヤーにて造粒し、CIP成形にて成形体を作製した。次に、この成形体を処理容器用部材形状に加工し、1750℃で焼成し、図1のR1=300mm、R2=20mm、t=7mmの処理容器部材を得た。同時に作製したサンプル焼結体より結晶相を確認したところ、イットリウム-アルミニウム-ガーネット(YAG)であった。このような処理容器用部材製造の際、成形体段階での内面加工、および焼結後のブラスト処理により種々の内面の面粗さを有する処理容器用部材を製造した。また、他の材料(アルミナ99.5%、石英)についても同様に、R1=300mm、R2=20mm、t=7mmで内面の面粗さを変化させた処理容器用部材を製造した。 【0040】 これらの処理容器部材を組み込んだ図2に示す装置を用い、ガス供給ノズル19からCF4およびO2を4:1の割合でチャンバー内に導入し、RF電源21から誘導コイル20に400kHzの高周波を印加してプラズマを形成し、支持テーブル13にRF電源17から13.56MHzの高周波を印加しながらエッチング処理を行い、本発明の処理容器部材の評価を行った。 【0041】 表1に用いた材料、表面粗さ、処理容器部材としての評価結果を示す。処理容器部材としての評価は、耐食性と連続運転性とによって行った。耐食性の評価基準は、腐食速度が18nm/min以下を○(良好)とし、18nm/minを超えたものは×(不可)とした。連続運転性の評価基準は、500hrを超えて膜の脱落の生じないものを○(良好)とし、500hrに至らず膜の脱落の生じたものは×(不可)とした。 【0042】 【表1】 【0043】 表1に示すように、イットリウム-アルミニウム-ガーネット(YAG)を用い、容器内面に相当する部分の面粗さRaが1μm超えである実施例1〜4は、耐食性および連続運転性のいずれも良好であった。 【0044】 これに対し、イットリウム-アルミニウム-ガーネットであっても、内面の面粗さRaが1μm以下の比較例1は、耐食性は良好であったが、連続運転性が劣っていた。また、材料としてアルミナ99.5%、石英を用いたものは、内面の面粗さにかかわらず、耐食性に劣っていた。 【0045】 (第2の実施例) ここでは、処理容器部材の形状、SiO2量等を変化させて、上で説明したような製造方法でイットリウム-アルミニウム-ガーネット製の処理容器用部材を製造した。 【0046】 このような処理容器用部材を組み込んだ図2に示す装置を用い、ガス供給ノズル19からCF4およびO2を4:1の割合でチャンバー内に導入し、RF電源21から誘導コイル20に400kHzの高周波を印加してプラズマを形成し、支持テーブル13にRF電源17から13.56MHzの高周波を印加しながらエッチング処理を行い、各処理容器部材の評価を行った。 【0047】 表2に処理容器用部材の形状、表面粗さ、SiO2含有量、誘電正接、および処理容器部材としての評価結果を示す。処理容器用部材としての評価は、連続運転性と亀裂の有無(耐熱衝撃性)によって行った。連続運転性は第1の実施例と同様に評価した。なお、誘電正接は同時に作製したサンプル焼結体で1MHz〜10GHzの範囲で評価しており、全ての実施例を通じて1MHzにおける値の方が大きかったため、表中には1MHzにおける値のみ記している。 【0048】 試験例1は、R1=300mm、R2=20mm、t=7mmで内面の面粗さRa=1.5μm、SiO2量を0.2重量%としたものであり、連続運転性が良好であり、亀裂も発生しなかった。 【0049】 試験例2は、成形体段階で旋盤による内面加工した以外は試験例1と同様にして焼結体を得た結果、内面の面粗さRa=3.4μmであった。この試験例についても連続運転性が良好であり、亀裂も発生しなかった。 【0050】 試験例3は、SiO2量を0.5重量%とし、成形体段階で加工条件を変えて旋盤により内面を加工した以外は試験例1と同様の条件で焼結体を得た。内面の面粗さRa=113μmであった。試験例1同様の形状の処理容器用部材で評価を行った結果、連続運転性および耐熱衝撃性に問題はなかった。 【0051】 試験例4は、ブラスト処理により焼結体内面のRaを50μmとした以外は試験例1と同様にして、試験例1と同一形状の処理容器用部材を製造し、評価した結果、連続運転性および耐熱衝撃性に問題はなかった。 【0052】 試験例5は、R1=∞、R2=250mm、t=14mmとした以外は試験例1と同様にして処理容器用部材を製造し、評価を行った。その結果、連続運転性および耐熱衝撃性のいずれも良好であった。 【0053】 試験例6は、R2=10mmとした以外は試験例1と同様にして処理容器用部材を製造し、評価を行った。その結果、連続運転性および耐熱衝撃性のいずれも良好であった。 【0054】 試験例7は、R1=∞、R2=0mmとした以外は試験例1と同様にして処理容器用部材を製造し、評価を行った。その結果、運転中にコーナエッジ部(図1における第1の部分2と第2の部分3との境界)から亀裂が発生した。 【0055】 試験例8は、t=4mmとした以外は試験例1と同様にして処理容器用部材を製造し、評価を行った。その結果、運転中の熱膨張係数の増大による熱応力により亀裂が発生した。 【0056】 試験例9は、SiO2量を1.9重量%とし、成形体段階での加工で寸法を変えたこと、内面を加工したこと以外は試験例1と同様の条件で焼結体を得た。また、処理容器用部材の形状は、試験例1と異なり、R1=800mm、R2=50mm、t=7mmとした。内面の面粗さRa=10.6μmであった。その結果、誘電正接がやや大きく、部材温度が上昇したが、連続運転性および耐熱衝撃性に問題はなかった。 【0057】 試験例10は、SiO2の含有量を2.5重量%とした以外は試験例1と同様にして処理容器用部材を製造した。その結果、焼結体の誘電正接が大きく運転中の温度差による熱応力により亀裂が発生した。 【0058】 【表2】 【0059】 【発明の効果】 以上説明したように、本発明によれば、イットリウム-アルミニウム-ガーネットを主要成分とする多結晶セラミックスからなり、かつその容器内面に相当する部分が付着物を保持するアンカー効果を発揮するように、その面粗さRaを3〜500μmとしたので、腐食性ガス、特にフッ化物ガスおよびそのプラズマに対して十分な耐食性を維持しながら、アンカー効果により付着物の脱落を発生しにくくすることができる。また、イットリウム-アルミニウム-ガーネットを主要成分とする多結晶セラミックスからなり、かつその容器内面に相当する部分が付着物を保持するアンカー効果を発揮するように、その面粗さRaが1μm超えであり、これに加えて曲率半径R1が300mm以上の第1の球面部と、この第1の部分の端部に連続し、かつ曲率半径R2が10mm以上の第2の球面部とからなる曲面形状部を主体とし、第1の球面部および第2の球面部のいずれか一方が他方に内接するようにし、この曲面形状部の肉厚を5〜15mmの範囲としたので、腐食性ガス、特にフッ化物ガスおよびそのプラズマに対して十分な耐食性を維持しながら、アンカー効果により付着物の脱落を発生しにくくすることができるとともに、部材内の熱応力を極力小さくすることができ、処理容器用部材として十分な耐熱衝撃性を得ることができるといった効果が付加される。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明の処理容器用部材の一実施形態を示す断面図。 【図2】 本発明の処理容器用部材を用いたプラズマエッチング装置の一例を示す図。 【図3】 本発明の処理容器用部材を用いたプラズマエッチング装置の他の例を示す図。 【符号の説明】 1,10;処理容器用部材 2;第1の球面部 3:第2の球面部 12;チャンバー 13;支持テーブル 14;静電チャック 15;半導体ウェーハー 19;ガス供給ノズル 20,24;誘導コイル 17,21,25;高周波電源 23;ガス導入部 |
訂正の要旨 |
訂正の要旨 本件訂正の要旨は、本件特許3164559号発明の特許明細書を平成14年4月5日付け訂正請求書に添付された訂正明細書のとおり、すなわち、請求項の削除、特許請求の範囲の減縮および明りょうでない記載の釈明を目的として、次の訂正事項aないしhのとおりに訂正するものである。 (1)訂正事項a:特許請求の範囲の請求項1の記載について、「…、その面粗さRaが3〜500μmであることを特徴とする…」を、特許請求の範囲の減縮を目的として「…、その面粗さRaが3〜500μmであり、1MHz〜10GHzでの誘電損失が200×10-4以下であることを特徴とする…」と訂正する。 (2)訂正事項b:特許請求の範囲の請求項2の記載について、「…、この曲面形状部の肉厚が5〜15mmの範囲にあることを特徴とする…」を、特許請求の範囲の減縮を目的として「…、この曲面形状部の肉厚が5〜15mmの範囲にあり、1MHz〜10GHzでの誘電損失が200×10-4以下であることを特徴とする…」と訂正する。 (3)訂正事項c:特許請求の範囲の請求項3の記載について、「…SiO2含有量を、0.15重量%超え2重量%以下の範囲とすることを特徴とする…」を、特許請求の範囲の減縮を目的として「…SiO2含有量を、0.15重量%超え2重量%以下の範囲とし、1MHz〜10GHzでの誘電損失が200×10-4以下であることを特徴とする…」と訂正する (4)訂正事項d:特許請求の範囲の減縮を目的として、特許請求の範囲の請求項4を削除する。 (5)訂正事項e:明細書の段落【0013】の「…、その面粗さRaが3〜500μmであることを特徴とする…」を、明りょうでない記載の釈明を目的として、訂正請求書に添付した全文訂正明細書に記載のとおり、すなわち「…、その面粗さRaが3〜500μmであり、1MHz〜10GHzでの誘電損失が200×10-4以下であることを特徴とする…」と訂正する。 (6)訂正事項f:明細書の段落【0015】の「…、この曲面形状部の肉厚が5〜15mmの範囲にあることを特徴とする…」を、明りょうでない記載の釈明を目的として、訂正請求書に添付した全文訂正明細書に記載のとおり、すなわち「…、この曲面形状部の肉厚が5〜15mmの範囲にあり、1MHz〜10GHzでの誘電損失が200×10-4以下であることを特徴とする…」と訂正する。 (7)訂正事項g:明細書の段落【0017】の「…SiO2含有量を、0.15重量%超え2重量%以下の範囲とすることを特徴とする…」を、明りょうでない記載の釈明を目的として、訂正請求書に添付した全文訂正明細書に記載のとおり、すなわち「…SiO2含有量を、0.15重量%超え2重量%以下の範囲とし、1MHz〜10GHzでの誘電損失が200×10-4以下であることを特徴とする…」と訂正する。 (8)訂正事項h:明りょうでない記載の釈明を目的として、明細書の段落【0018】の記載を削除する。 |
異議決定日 | 2002-10-24 |
出願番号 | 特願平10-371941 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
YA
(C04B)
P 1 651・ 532- YA (C04B) P 1 651・ 161- YA (C04B) |
最終処分 | 維持 |
特許庁審判長 |
松本 悟 |
特許庁審判官 |
唐戸 光雄 平塚 義三 |
登録日 | 2001-03-02 |
登録番号 | 特許第3164559号(P3164559) |
権利者 | 株式会社日本セラテック 太平洋セメント株式会社 |
発明の名称 | 処理容器用部材 |
代理人 | 高山 宏志 |
代理人 | 高山 宏志 |
代理人 | 高山 宏志 |