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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1071417
審判番号 審判1999-18296  
総通号数 39 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1990-12-06 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-11-18 
確定日 2003-01-24 
事件の表示 平成 1年特許願第117051号「画像処理システム」拒絶査定に対する審判事件[平成 2年12月 6日出願公開、特開平 2-295351]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成1年5月10日の出願であって、その請求項1に係る発明は、平成10年6月15日、及び、平成11年12月20日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、本願の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のものと認める。
「画像を入力する入力装置と、該画像を記憶する画像記憶装置と、前記入力装置と前記画像記憶装置の制御を行なう電子機器からなるシステムであって、
入力2値イメージデータを前記画像記憶装置に記憶させる手段と、
前記2値イメージデータの所定領域を示す領域データと該所定領域毎の色コードを設定する手段と、
該色コードが表す原色各成分データを入力する入力手段と、
前記原色各成分データを像形成用補色各色成分データに変換する変換手段と、
前記色コードと前記原色各成分データに応じて前記所定領域毎に像形成用補色各色成分データに変換された2値イメージと前記画像記憶装置に記憶されている多値画像とを合成して出力する出力手段とを有することを特徴とする画像処理システム。」
尚、平成11年12月20日付けの手続補正書の特許請求の範囲の6行目の「入力2値イメージデータを前記が像記憶装置」は「入力2値イメージデータを前記画像記憶装置」の誤りなので訂正して認定する。

2.引用例
(1)引用例1
これに対して、原審の拒絶理由に引用文献1として引用された、特開昭64-57382号公報(以下「引用例1」という。)には、次の事項が記載されている。
「画像データの編集等において、画像上に特定領域(これをマスクと呼ぶ)を設定して、この部分をマスクパターンに置き換える、或いはこの部分に別の画像を嵌め込む等の処理を行なうことがある。」(引用例1の2頁上左欄2〜5行)
「〔従来の技術〕
第5図は従来技術によるマスクパターンの表示装置を示す図である。
1は画像データを格納する画像用メモリである。
2は作成したマスクパターンデータを格納するオーバレイ用メモリである。オーバレイデータはマスクパターン部分を“1”とし、その他の部分を“0”とするデータして格納される。
3は色データを格納してあるルックアップテーブル(以下、LUTと略記する)である。
8はオーバレイの色データを格納する色指定レジスタである。
画像用メモリ1,LUT(3),色指定レジスタ8は、実際にはR,G,B三原色のデータからなるが、図及び以下の説明ではその一つを代表して示している。
画像用メモリ1の走査による読出しデータによってLUT(3)から色データが出力され、この出力データは重畳制御9に入力される。
オーバレイ用メモリ2の走査による読出しデータは、その値が“1”のとき色指定レジスタ8を読み出し、それからの出力である色データは重畳制御9に入力される。
重畳制御9は、オーバレイ用メモリ2の読出し出力が“0”のときはLUT(3)の読出し出力を選択し、“1”のときは色指定レジスタ8の読出し出力を選択して、表示制御6に入力し、表示制御6はディスプレイ7を制御して表示させる。
従ってディスプレイ7には、マスクパターンの部分だけが色指定レジスタ8に指定された色で表示され、その他の部分は画像用メモリ1の画像データが表示される。
従来のマスクパターンの作成は、以下に示す方法により行なわれていた。
(1)第5図に示した装置による表示画面を参照しながら手書き可能を用いてマスクパターンを作成する。これには、オーバレイ用メモリを用いて行なう。画像用メモリに対象となる画像を書き込みディスプレイに表示し、それを見ながらオーバレイ用メモリ上に手書きのマスクパターンを作成する。
(2)画像データを画像演算で二値化処理等を行ない、その二値化画像からマスクパターンを作成する。」(引用例1の2頁上左欄10行〜同頁下左欄13行)
と記載されているから、これらの記載より引用例1には次のことが記載されている。
「画像データを格納する画像用メモリ1と、
マスクパターン部分を“1”とし、その他の部分を“0”とするデータして作成されたマスクパターンデータを格納するオーバレイ用メモリ2と、
色データを格納してあり、画像用メモリ1の走査による読出しデータによって色データが出力されるルックアップテーブル3と、
オーバレイの色データを格納し、オーバレイ用メモリ2の読出しデータの値が“1”のとき読み出される色指定レジスタ8と、
ルックアップテーブル3からの色データと、色指定レジスタ8からの色データが入力され、オーバレイ用メモリ2の読出データによりルックアップテーブル3からの色データと色指定レジスタ8からの色データとを選択する重畳制御9と、
ディスプレイ7を制御して表示させる表示制御6とを備え、
重畳制御9が、オーバレイ用メモリ2の読出し出力が“0”のときはルックアップテーブル3の読出し出力を選択し、“1”のときは色指定レジスタ8の読出し出力を選択して、表示制御6に入力して、ディスプレイ7には、マスクパターンの部分だけが色指定レジスタ8に指定された色で表示され、その他の部分は画像用メモリ1の画像データが表示されるようにしたことにより、画像上に特定領域を設定して、この部分をマスクパターンに置き換える処理を行なうことを特徴とするマスク表示処理装置。」

3.対比
そこで、本願請求項1に係る発明(以下、本願発明という。)と引用例1の発明とを比較すると、
引用例1はマスクパターンデータを画像データ上に重畳し、ディスプレイ7で画像を表示するものであるから、画像を形成する装置であり、電子機器からなるシステムとは明記されていなが電子機器からなるシステムであると認められ、
画像処理においてイメージデータを外部より入力して用いることは周知のことであり、また、引用例1において、画像データもイメージデータであるといえるものであり、
マスクパターンは画面上に特定領域を設定して処理するものであり、
引用例1では、マスクパターンの“1”の部分だけが色指定レジスタに指定された色で表示されており、これは指定領域の色を指定して色データとしていることになり、
また、マスク表示処理装置も画像を処理するためのシステムであるから、
両者は、
「画像の処理を行うシステムであって、
イメージデータと、
前記イメージデータの所定領域を示す領域データと、
前記所定領域の色を指定する色成分データとを有し、
前記イメージデータの前記所定領域を色成分データに変換することを特徴とする画像処理システム。」
で一致し、下記の点において相違する。

(相違点)
(相違点1)システムに関して
画像の処理を行うシステムが、本願発明は、画像を入力する入力装置と、該画像を記憶する画像記憶装置と、前記入力装置と前記画像記憶装置の制御を行なう電子機器からなるシステムであるのに対して、引用例1は、画像データを格納する画像用メモリ1と、マスクパターンデータを格納するオーバレイ用メモリ2と、色データが出力されるルックアップテーブル3と、オーバレイの色データを格納している色指定レジスタ8と、色データとを選択する重畳制御9と、ディスプレイ7を制御して表示させる表示制御6とを備えたマスク表示処理装置である点。
(相違点2)イメージデータに関して
本願発明が、イメージデータが2値イメージデータであり、その入力2値イメージデータを前記画像記憶装置に記憶させる手段が設けられているのに対して、引用例1では、2値イメージデータと、記憶させる手段とについては記載されておらず、イメージデータとしては画像用メモリに画像データがある点。
(相違点3)領域データ、色データに関して
本願発明では、前記2値イメージデータの所定領域を示す領域データと該所定領域毎の色コードを設定する手段が設けられているのに対して、引用例1では、所定領域データはオーバレイ用メモリに記憶されるマスクパターンであり、オーバレイの色データの指定は色指定レジスタにより行われている点。
(相違点4)色データに関して
本願発明は、該色コードが表す原色各成分データを入力する入力手段と、前記原色各成分データを像形成用補色各色成分データに変換する変換手段とが設けられているのに対して、引用例1では、色指定レジスタからの色データを用いており、本願発明のような入力手段、変換手段が存在しない点。
(相違点5)出力手段に関して
本願発明では、前記色コードと前記原色各成分データに応じて前記所定領域毎に像形成用補色各色成分データに変換された2値イメージと前記画像記憶装置に記憶されている多値画像とを合成して出力する出力手段とを有するのに対して、引用例1は、マスクパターンの部分だけが色指定レジスタ8に指定された色で表示され、その他の部分は画像用メモリ1の画像データによりルックアップテーブル3から出力される色データが表示されるのであり、前記色コードと前記原色各成分データに応じて前記所定領域毎に像形成用補色各色成分データに変換された2値イメージと画像記憶装置に記憶されている多値画像とを合成して出力する出力手段についても記載されていない点。

4.当審の判断
上記相違点について検討すると、
(相違点1)について、
引用例1には、画像を入力する入力装置は記載されておらず、制御を行う電子機器についても特に明記されていないが、画像処理装置において、画像を入力する入力装置と、該画像を記憶する画像記憶装置と、前記入力装置と前記画像記憶装置の制御を行なう電子機器とを設けることは自明のことである。
(相違点2)について、
2値イメージデータを入力装置を用いて画像処理装置に入力して、記憶装置に記憶させることは、周知のことである。また、引用例1においても、画像データは、メモリから読み出されているが、画像データはメモリに記憶させられることによりメモリに存在するものであるから、入力手段、記憶装置に記憶させる手段は記載されていないが、入力手段から入力され、記憶装置に記憶させる手段を用いていることは明らかであり、画像データとして2値イメージデータは周知のものである。したがって、引用例1において、入力された入力2値イメージデータを画像記憶装置に記憶させる手段を設けることは当業者が容易に考えられることである。
(相違点3)について、
引用例1においても、マスクパターン部分である特定領域を画像上に設定して、この部分を色指定レジスタからの色データの色で表示するものであるから、マスクパターン部分のデータが、所定領域を示す領域データと認定でき、色の指定を色コードを用いて行うことは周知慣用のことであり(引用例1でも色指定レジスタには色データがコードデータとして存在していると認められる。)、また、複数の領域を設けてその領域毎に色を設定することも自明のことであり、さらに、設定する手段から何を設定するかは必要に応じて適宜組み合わせることが出来ることであるから、引用例1において、所定領域を示す領域データと該所定領域毎の色コードを設定する手段を設けることは当業者が容易に考えられることである。
(相違点4)について、
カラー画像を作成する場合において、色の指定を色コードを用いて行うことは、周知慣用のことであり、また、原色各成分データを変換して補色各成分データを作ることは常套手段であるから、引用例1において、該色コードが表す原色各成分データを入力する入力手段と、前記原色各成分データを像形成用補色各色成分データに変換する変換手段とが設けることは当業者が容易に考えられることである。
(相違点5)について、
画像処理の分野では、画像の合成は初歩的かつ基本的な技術であり、2値イメージと多値画像を合成することに何ら困難性はないことである。上述したように簡単に色コードと原色各成分データに応じて所定領域毎に像形成用補色各色成分データに変換された2値イメージを作れるのであるから、そのような2値イメージと多値画像とを合成して出力する出力手段を設けることは当業者が容易に考えられることである。

さらに、審判請求人は、審判請求理由にて、『「例えばコンピュータからの制御命令によって2値のビットマップメモリ画像に対して多値のカラーコードを特に任意の領域毎に割り当てて出力することが可能となる。 したがって極めて少ない量のデータを送信するだけで、複数の色成分を用いた複数のカラー画像を形成することが可能となる」という効果』につてい主張しているが、請求人が主張する効果を奏するための構成は特許請求の範囲に記載されていない。尚、幾度となく、特許請求の範囲を客観的にみて進歩性があるものとなるように訂正することを請求人に求めたが、実質的な回答が得られなかった。

5.むすび
したがって、本願発明は引用例1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2002-11-12 
結審通知日 2002-11-22 
審決日 2002-12-05 
出願番号 特願平1-117051
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 立川 功清水 正一  
特許庁審判長 小川 謙
特許庁審判官 江頭 信彦
関川 正志
発明の名称 画像処理システム  
代理人 内尾 裕一  
代理人 西山 恵三  

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