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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E02D |
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管理番号 | 1071484 |
審判番号 | 不服2000-11909 |
総通号数 | 39 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1998-01-20 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2000-08-02 |
確定日 | 2003-01-27 |
事件の表示 | 平成 8年特許願第171119号「地下集水孔の洗浄装置並びにその洗浄工法」拒絶査定に対する審判事件[平成10年 1月20日出願公開、特開平10- 18277]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、平成8年7月1日の出願であって、請求項の数2から成り、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成14年10月29日付け手続補正書により補正された明細書及び出願当初の図面の記載からみて特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のものと認める。 「地下集水孔に挿入配設したストレーナーケーシングなどの集水パイプ内に挿入される送水ロッドの先端部に集水パイプ内径に適合したピストンを設け、この送水ロッドを集水パイプ内に挿入し、この送水ロッド先端部より送水しながら送水ロッドを回転並びに前後往復動させて吸圧送圧による圧力変化で集水パイプ内外の洗浄を行うように構成した洗浄装置と,この洗浄装置による洗浄作動の際、前記集水パイプ内のピストンに掛かる送圧時の圧力を検知する圧力検知装置と,この圧力検知装置の検知結果を記録する記録装置とを備えたことを特徴とする地下集水孔の洗浄装置。」 2.引用刊行物 (1)原審の拒絶の理由に引用され、本願出願前に頒布された特公平4-52331号公報(以下、「刊行物1」という。)には、次の事項が記載されている。 「地滑り防止工法の一つとして、・・・地下集水孔を掘削し、この地下集水孔より地下水を外部に集水して地滑り防止を行っている。 ・・・ストレーナーケーシング(集水パイプ)挿入完成後になると、逆に、泥壁が集水、湧水の出を悪くするからこの泥壁を削除してやる洗浄作業工程が組まれる。」(公報第1頁左欄第12〜23行) 「ストレーナーケーシング1内に挿入される送水ロッド2の先端部にストレーナーケーシング1内径に適合したピストン3を設け、この送水ロッド2をストレーナーケーシング1内に挿入し、この送水ロッド2先端部より送水しながら送水ロッド2を回転ならびに前後往復動させて吸圧送圧による圧力変化でストレーナーケーシング1内外の洗浄を行うことを特徴とするボーリング工法における地下集水孔の洗浄工法に係るものである。」(公報第1頁右欄第27行〜第2頁左欄第7行) 上記記載を含めた明細書全体の記載及び第1図〜第3図の記載から、上記刊行物1には、以下の発明が記載されているものと認められる。 「地下集水孔に挿入配設したストレーナーケーシングなどの集水パイプ内に挿入される送水ロッドの先端部に集水パイプ内径に適合したピストンを設け、この送水ロッドを集水パイプ内に挿入し、この送水ロッド先端部より送水しながら送水ロッドを回転並びに前後往復動させて吸圧送圧による圧力変化で集水パイプ内外の洗浄を行うように構成した地下集水孔の洗浄装置。」 (2)原審の拒絶の理由に引用され、本願出願前に頒布された特開昭61-146379号公報(以下、「刊行物2」という。)には、次の事項が記載されている。 「送水管先端には、区間パッカー27 が取付けられ、エアパッカー 28 にガスボンベ 29から、加圧チユーブ30を介して高圧ガス例えば窒素ガスが送り込まれるようになっている。 エアパッカーの構造は第5図に示すようなものであって、区間パッカー27は注水孔32を有するストレーナ部31の前後にエアパッカー28を取り付けたもので、このエアパッカー28に加圧チューブ30から高圧ガスを送り込むと、エアパッカーのゴム部が膨んでストレーナパイプ2の内壁に密着してシールを行うようにしてある。」(公報第3頁右下欄第2〜13行) 「(1)圧力計14、流量計15、送水管16などを第3図のように連結する。」(公報第3頁右下欄第19〜20行) 「(3)送水管16の先端に区間パッカー27を連結し、送水管搬送機6に送水管16をセットして、ストレーナパイプ2の口元から奥へ進入させる。」(公報第4頁左上欄第4〜7行) 「(6)区間パッカー27のストレーナ部31に送水し、かつ空気を送り込む。これにより区間内のストレーナパイプの目詰まりの解消と水みちの再生あるいは形成が行われる。送水時間及び流量をチェックして設定した送水量に達したら、送水を停止し、ガスを抜いて次の位置に区間パッカーを移動する。」(公報第4頁左上欄第12〜18行) 3.対比・判断 本願発明と刊行物1記載の発明とを対比すると両者は、 「地下集水孔に挿入配設したストレーナーケーシングなどの集水パイプ内に挿入される送水ロッドの先端部に集水パイプ内径に適合したピストンを設け、この送水ロッドを集水パイプ内に挿入し、この送水ロッド先端部より送水しながら送水ロッドを回転並びに前後往復動させて吸圧送圧による圧力変化で集水パイプ内外の洗浄を行うように構成した地下集水孔の洗浄装置。」 で一致し、次の点で相違している。 相違点1:本願発明は、洗浄装置による洗浄作動の際、前記集水パイプ内のピストンに掛かる送圧時の圧力を検知する圧力検知装置を備えているのに対し、刊行物1記載の発明は、そのようになっていない点。 相違点2:本願発明は、圧力検知装置の検知結果を記録する記録装置を備えているのに対し、刊行物1記載の発明は、そのようになっていない点。 上記相違点1について検討する。 本願発明の「集水パイプ内のピストンに掛かる送圧時の圧力を検知する圧力検知装置」が何を意味するか必ずしも明りょうではないが、本願明細書の発明の詳細な説明の項には、「集水パイプ2内のピストン4に掛かる送圧時の圧力を検知する圧力検知装置b」(段落番号【0010】)、「集水パイプ2内のピストン4に掛かる送圧時の圧力を圧力検知装置bが検知する」(段落【0011】)、「ピストン4に掛かる送圧時の圧力を圧力検知装置bが検知し」(段落【0015】)、「集水パイプ2内のピストン4に掛かる送圧時の圧力を検知する圧力検知装置b」(段落番号【0029】)、「ピストン4に掛かる圧力(集水パイプ2内のピストン4奥側の内部圧力)」(段落番号【0037】)と記載され、【図5】には、送水ロッド3への送水路中に圧力検知装置bを介在させることが記載され、平成14年10月29日付け意見書には、「図5において、このピストン4に掛かる圧力を検知する圧力検知装置bが送水ポンプ17から送られるラインに描いておりますが、この図5に示した本実施例においては、送水時の送水抵抗圧を計測することで送水孔を介して連通している集水パイプ2内の内部圧力、即ち、ピストン4に掛かる圧力を検知する例を示しています。 ピストン4に掛かる送圧時の圧力(集水パイプ2内のピストン4奥側の内部圧力)を検知する圧力検知装置bとしては、最も安易な手法としては、圧力センサーをピストン4の前側に設ければ良いということになりますが、製作コストがかかることから、送水圧(送水抵抗)を知ることでピストン4に掛かる圧力を知ることができることから、本実施例では送水パイプに圧力検知装置bとして送水圧を計測する圧力計を設けております。」と記載されている。これらの記載を参酌すると、送水ロッドと集水パイプ内とは送水孔を介して連通しているので、送水ロッドへの送水圧を検知することにより集水パイプ内のピストンに掛かる圧力が検知できることを前提としているから、本願発明の「集水パイプ内のピストンに掛かる送圧時の圧力を検知する圧力検知装置」には、送水ロッドへの送水圧を検知する圧力検知装置が含まれるものと認められる。 刊行物2には、送水管(本願発明の「送水ロッド」に相当する。)に圧力検知装置を備えることが記載されており、送水管とストレーナパイプとは注水孔を介して連通しているものであるから、刊行物2に記載された事項を刊行物1記載の発明に適用し、本願発明の上記相違点1に係る構成とすることは、当業者が容易に想到できたことである。 上記相違点2について検討する。 一般に検知装置の検知結果を記録する記録装置を設けることは周知技術であるから、該技術を適用し、本願発明の上記相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易に想到できたことである。 そして、本願発明の構成によってもたらされる効果も、刊行物1、2記載の発明及び周知技術から当業者が容易に予測しうる程度のものである。 4.むすび したがって、本願発明は、その出願前に頒布された刊行物1、2記載の発明及び上記周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2002-11-27 |
結審通知日 | 2002-11-28 |
審決日 | 2002-12-10 |
出願番号 | 特願平8-171119 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(E02D)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 池谷 香次郎 |
特許庁審判長 |
安藤 勝治 |
特許庁審判官 |
長島 和子 鈴木 憲子 |
発明の名称 | 地下集水孔の洗浄装置並びにその洗浄工法 |
代理人 | 吉井 剛 |
代理人 | 吉井 雅栄 |