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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01L
管理番号 1071519
審判番号 不服2001-14213  
総通号数 39 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1998-06-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-08-09 
確定日 2003-02-19 
事件の表示 平成8年特許願第338701号「エッチング剤」拒絶査定に対する審判事件〔平成10年6月30日出願公開、特開平10-177998、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 I.手続の経緯及び本願発明
本願は平成8年12月18日の出願であって、平成13年3月29日付けで、その請求項1〜4のうち、請求項3を除く、請求項1、2及び4に係る発明に対して拒絶理由の通知がなされ、これに対し、平成13年6月11日に請求人(出願人)より意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成13年6月26日付けで先の拒絶の理由により拒絶査定され(以下、これを「原査定」という。)、その後、平成13年8月9日に審判請求されるとともに、平成13年8月10日に手続補正書が提出されて、上記拒絶理由通知の対象外であった、もとの請求項3及びその下位の請求項4に相当する請求項に減縮して、新たに請求項1〜2とする補正がなされたものである。
そして、その請求項1〜2に係る発明(以下、「本願発明1」〜「本願発明2」という。)は、上記平成13年8月10日提出の補正書により補正された明細書の、特許請求の範囲の請求項1〜2に記載されたとおりの、次のものである。

「【請求項1】レジストをマスクとして基板上に形成されたシリコン酸化膜をエッチング処理するためのエッチング剤であって、前記シリコン酸化膜のエッチング速度が200nm/分以上で、かつ、前記レジストの膜減り量が50nm/分以下であることを特徴とするエッチング剤。
【請求項2】界面活性剤を0.001〜1重量%含むことを特徴とする請求項1に記載のエッチング剤。」

II.原査定の理由
これに対して、原査定では、「この出願については、平成13年3月29日付け拒絶理由通知書に記載した理由によって、拒絶査定する。」として、特許法第29条第2項の規定に基づき、拒絶の査定をしたものである。

III.引用例の記載事実
上記の拒絶理由通知書で、証拠として示された引用例1(特開昭62-9638号公報)、引用例2(特開昭63-283028号公報)、及び引用例3(特開昭61-266581号公報)には、下記の事項が記載されている。
引用例1(特開昭62-9638号公報)
(1-1)「1)被エッチング体上にパターン形成されたレジストをマスクとして、これら被エッチング体及びレジストを有機溶剤に浸す処理を行ってから、前記被エッチング体のケミカルエッチングを行う事を特徴とする選択エッチング方法。」(特許請求の範囲)
(1-2)「本発明は、半導体装置の製造工程におけるエッチング方法に関し、特にSiO2膜をテーパ状にエッチングする方法に関するものである。」(第1頁左下欄第11〜13行)
(1-3)「pH=4.0乃至4.5のNH4FとHFの混合物からなるバッファードエッチャントで前記SiO2 膜(2)のエッチングを行う(第1図B)。」(第2頁右上欄第7〜9行)
(1-4)「本発明は以上の説明から明らかな如く、有機溶剤に浸す事に依りSiO2 膜とホトレジストの密着性が弱まるので、エッチングを行うとSiO2膜のテーパエッチングが容易に得られる。」(第2頁左下欄第4〜7行)

引用例2(特開昭63-283028号公報)
(2-1)「(1)フッ化水素酸、フッ化アンモニウム溶液及び水からなる混合液に、脂肪酸カルボン酸、脂肪族カルボン酸の塩、脂肪族アミンおよび脂肪族アルコールからなる界面活性剤の群から選ばれた少なくとも1種を含有せしめて成る微細加工表面処理剤。」(特許請求の範囲(1))
(2-2)「本発明は微細加工表面処理剤に関し、更に詳しくは半導体素子製造時にエッチング面を微細加工するため湿式でエッチングする目的に使用される微細加工表面処理剤に関する。」(第1頁右下欄第18行〜第2頁左上欄第1行)
(2-3)「従来半導体素子を製造する際には、通常シリコン上の酸化膜が湿式でエッチングされる。このエッチング用エッチング剤として、フッ化水素酸とフッ化アンモニウム溶液を混合した溶液いわゆるバッファードフッ酸溶液が使用されている。」(第2頁左上欄第3〜7行)
(2-4)「一方バファードフッ酸溶液は・・・・。そのためエッチングするシリコン酸化膜やレジスト膜への濡れ性が悪くなるという問題が生じてくる。」(第2頁左上欄第20行〜右上欄第8行)
(2-5)「バッファードフッ酸中のHF濃度は0.1〜10重量%、NH4F濃度は15〜40重量%であり、例えば50重量%フッ化水素酸1部に、40重量%フッ化アンモニウム溶液9部を混合すると、HF5.0重量%とNH4F36.0重量%含有するバッファードフッ酸溶液が得られる。」(第3頁左下欄第12〜18行)

引用例3(特開昭61-266581号公報)
(3-1)「(1)フッ化アンモニウム(NH4F)13.5〜45重量%および次式・・・(式略)・・・のフッ素化シクロアルカンスルホネートおよび/またはフッ素化シクロアルケンスルホネートならびにそれらの混合物25〜20,000ppmを含有し、残部が水である、フッ化アンモニウムおよび界面活性剤の水性混合物からなる、界面活性剤の沈澱に対して安定な界面活性剤含有エッチング液。
(2)フッ化水素11重量%までを含有する、特許請求の範囲第1項に記載のエッチング液。」(特許請求の範囲(1)、(2))
(3-2)「この混合物はHF約1〜約12%およびNH4F約13.5〜40.5%を含み、残部が水である混合物を与える。」(第4頁右上欄第3〜5行)

IV.対比・判断
(1)本願発明1について
本願発明1と、引用例2に記載されたものとを対比すると、引用例2には、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム溶液及び水からなる混合液に、界面活性剤を含有せしめてなる微細加工表面処理剤(摘記2-1)の発明が記載され、併せて、シリコン上の酸化膜用エッチング剤として、フッ化水素酸とフッ化アンモニウム溶液を混合したバッファードフッ酸溶液が使用されること(摘記2-3)、バファードフッ酸溶液が、レジスト膜を有するシリコン酸化膜のエッチングに用いられること(摘記2-4)、バッファードフッ酸中のHF濃度は0.1〜10重量%、NH4F濃度は15〜40重量%であること(摘記2-5)が記載されている。
以上のことからすると、本願発明1は、引用例2に記載された発明と、レジストをマスクとして基板上に形成されたシリコン酸化膜をエッチング処理するためのエッチング剤、の点で一致し、そして、(イ):本願発明1では、シリコン酸化膜のエッチング速度が200nm/分以上としているのに対して、引用例2にはその記載が見あたらない点、及び、(ロ):本願発明1では、レジストの膜減り量が50nm/分以下、としているのに対して、引用例2にはその記載が見あたらない点、の各点で、本願発明1は、引用例2に記載された発明と相違している。

そこで、上記相違点(イ)〜(ロ)について、以下、検討する。
引用例1には、被エッチング体上にパターン形成されたレジストをマスクとして、これら被エッチング体及びレジストを有機溶剤に浸す処理を行ってから、前記被エッチング体のケミカルエッチングを行う選択エッチング方法(摘記2-1)の発明が記載され、併せて、pH=4.0乃至4.5のNH4FとHFの混合物からなるバッファードエッチャントで前記SiO2 膜(2)のエッチングを行うこと(摘記1-3)、及び、上記の有機溶剤に浸す事によりSiO2 膜とホトレジストの密着性が弱まること(摘記1-4)が記載され、一方、引用例3には、フッ化アンモニウム13.5〜45重量%、界面活性剤、及び、フッ化水素11重量%までを含有するエッチング液(摘記3-1)の発明が記載され、併せて、HF約1〜約12%およびNH4F約13.5〜40.5%を含み、残部が水である混合物を与えること(摘記3-2)が記載されている。
しかし、これら引用例1及び3には、シリコン酸化膜をエッチング処理するためのエッチング剤において、上記相違点(イ)に係るエッチング速度、及び上記相違点(ロ)に係るレジストの膜減り量を満たすエッチング剤を開示する記載は見あたらない。
そして本願発明1は、当該相違点(イ)及び(ロ)の点を含む、前記認定のとおりの構成に係る特定事項を達成、具備することにより、従来のエッチング液では、エッチング速度が速いものは、同時にレジストを溶解・剥離させ、絶縁膜の微細パターンの高速処理は困難であり、微細パターンを高速でエッチング処理可能なエッチング液は存在しなかった(段落【0011】)という課題のもとに、明細書、特にその実施例、比較例(段落【0033】〜【0045】)に示されるとおり、上記の課題を解決して、レジストパターンに与える影響を抑制しつつ、シリコン酸化膜を高速でエッチング可能なエッチング処理剤を提供する(段落【0001】、【0012】)と認めることができる。
してみれば、本願発明1は、引用例1〜3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができた発明とすることができない。

(2)本願発明2について
本願発明2は、請求項1を引用して、本願発明1を更に限定したものであるから、上記の「(1)本願発明1について」の欄に記載したと同様、本願発明2は、引用例1〜3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができた発明とすることはできない。

V.むすび
以上のとおり、本願発明1及び2は、特許法第50条の規定に係る拒絶の理由を通知した請求項に係る発明とは言えないので、原査定の拒絶の理由により本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2003-02-06 
出願番号 特願平8-338701
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H01L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 今井 淳一酒井 英夫  
特許庁審判長 影山 秀一
特許庁審判官 中西 一友
池田 正人
発明の名称 エッチング剤  
代理人 福森 久夫  

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