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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B01D
管理番号 1071589
審判番号 不服2000-12031  
総通号数 39 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1999-09-21 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-08-03 
確定日 2003-02-25 
事件の表示 平成10年特許願第365037号「エアフィルタの製造方法、ファンフィルタユニットの製造方法、クリーンルーム、局所設備」拒絶査定に対する審判事件〔平成11年 9月21日出願公開、特開平11-253715、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 1.本願の手続の経緯および本願発明
本願は、平成10年12月22日(優先権主張 平成 9年12月24日)の出願であって、その請求項に係る発明は、審判請求時の平成12年9月4日付手続補正が特許法第159条第1項で読み替えて適用される同法第53条第1項の規定により却下されているので、平成11年9月8日付手続補正、平成12年1月14付手続補正及び上記却下後の平成14年12月27日付手続補正によって補正された明細書の特許請求の範囲に記載された次のとおりのものである。
【請求項1】梱包材料として、ポリエチレン製品、ポリプロピレン製品、ポリ塩化ビニル製品であり、且つ、必要に応じて添加する可塑剤の主成分が、分子量400以上のカルボン酸エステル、ポリエステル、エポキシ系化合物のうちの少なくともいずれか一つであり、且つ、必要に応じて添加する酸化防止剤の主成分が分子量300以上のフェノール系化合物であるもの、またはポリメチルペンテン-1をシート状に形成したものを使用して、ガス状有機物が存在しない空間でエアフィルタの梱包を行い、
前記エアフィルタは、前記梱包工程の前に組立工程および試験工程を経て得られたものであり、
組立工程は、繊維をバインダと撥水剤と必要に応じて添加される可塑剤および酸化防止剤とで処理して不織布状に形成された濾材と、この濾材を入れるフレームと、このフレームと濾材との間を密封するシール材とを用いてエアフィルタを組み立てる工程であり、
撥水剤としては、フッ素樹脂、炭素数20以上の脂肪族炭化水素、または炭素数18以上の高級アルコールを主成分とするものを用い、
可塑剤としては、分子量440以上のカルボン酸エステル、ポリエステル、エポキシ系化合物のうちの少なくともいずれか一つを主成分とするものを用い、
酸化防止剤としては、分子量300以上のフェノール系化合物を主成分とするものを用い、
繊維としては、硼珪酸ガラス繊維、低ボロンガラス繊維、または非ガラス系の繊維を用い、
シール材としては、含有する可塑剤の主成分が、分子量400以上のカルボン酸エステル、ポリエステル、エポキシ系化合物のうちの少なくともいずれか一つであり、含有する酸化防止剤の主成分が、分子量300以上のフェノール系化合物であり、含有する滑剤の主成分が、炭素数20以上の脂肪族炭化水素および炭素数18以上の高級アルコールのうちの少なくともいずれか一つであるものを用い、
フレームとしては、ステンレスまたはアルミニウム製品を用い、
組立工程を、ガス状有機物が存在しない空間で行い
試験工程を、分子量が440以上のカルボン酸エステル、ポリエステル、またはエポキシ系化合物を微粒子化したものを、ガス状有機物を含まない空気中に分散させて得られたエアロゾルを用いて、ガス状有機物が存在しない空間で行い、
前記組立工程、試験工程、および梱包工程を行うガス状有機物が存在しない空間は、下記の(A)〜(D)を満たす構成の建物により形成されていることを特徴とするエアフィルタの製造方法。
(A)建物の壁および床に塗布する塗料としては、主成分としてポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、またポリウレタンウレア樹脂を使用し、硬化剤としてポリオールまたはアミン化合物を用い、主剤のイソシアネートに対して硬化剤を混練したものを塗布することによって施工を行う。
(B)建物の内装材として使用する壁紙および床面に貼りつける長尺床シートとしては、ポリ塩化ビニル樹脂からなり、含有する可塑剤の主成分が、分子量400以上のカルボン酸エステル、ポリエステル、エポキシ系化合物のうちの少なくともいずれか一つであり、含有する酸化防止剤の主成分が分子量300以上のフェノール系化合物であり、含有する帯電防止材の主成分が、アルキルアミンエチレンオキサイド付加体およびアルキルアミドエチレンオキサイド付加体のいずれか一つであって且つ分子量が350以上であるものを使用する。
(C)建物の内装材として使用する乾式シール材(原料ゴムと配合剤とを混合して所定形状に成形されたもの)としては、配合剤のうちの滑剤の主成分が、炭素数20以上の脂肪族炭化水素および炭素数18以上の高級アルコールのうちの少なくともいずれか一つであって、可塑剤の主成分が、分子量400以上のカルボン酸エステル、ポリエステル、エポキシ系化合物のうちの少なくともいずれか一つであって、含有する酸化防止剤の主成分が分子量300以上のフェノール系化合物であるものを使用する。
(D)建物の内装材として使用する湿式シール材(部材間の隙間に充填した後に硬化させるもの)としては、主成分がポリウレタンプレポリマーであって、配合剤のうちの滑剤の主成分が、炭素数20以上の脂肪族炭化水素および炭素数18以上の高級アルコールのうちの少なくともいずれか一つであって、可塑剤の主成分が、分子量400以上のカルボン酸エステル、ポリエステル、エポキシ系化合物のうちの少なくともいずれか一つであって、含有する酸化防止剤の主成分が分子量300以上のフェノール系化合物であるものを使用する。
【請求項2】梱包材料として、ポリエチレン製品、ポリプロピレン製品、ポリ塩化ビニル製品であり、且つ、必要に応じて添加する可塑剤の主成分が、分子量400以上のカルボン酸エステル、ポリエステル、エポキシ系化合物のうちの少なくともいずれか一つであり、且つ、必要に応じて添加する酸化防止剤の主成分が分子量300以上のフェノール系化合物であるもの、またはポリメチルペンテン-1をシート状に形成したものを使用して、ガス状有機物が存在しない空間でファンフィルタユニットの梱包を行い、
前記ファンフィルタユニットは、前記梱包工程の前に組立工程を経て得られたものであり、
組立工程は、エアフィルタと、モータ、回転翼、および電源用電線を備えた送風機とを用いて、ファンフィルタユニットを組み立てる工程であり、
エアフィルタとしては、請求項1の方法で製造されたエアフィルタを用い、
回転翼としては、鋼板を所定の形に加工した後に焼き付け塗装を行ったもの、または、アルミニウム或いはステンレススチールで所定の形に加工して塗装を行わないものを用い、
電源用電線の絶縁被覆材料としては、ポリ塩化ビニルまたはポリエチレン製であって、必要に応じて添加される可塑剤の主成分が、分子量400以上のカルボン酸エステル、ポリエステル、エポキシ系化合物のうちの少なくともいずれか一つであり、必要に応じて添加されている酸化防止剤の主成分が分子量300以上のフェノール系化合物であるものを用い、
組立工程を、ガス状有機物が存在しない空間で行い
前記組立工程および梱包工程を行うガス状有機物が存在しない空間は、下記の(A)〜(D)を満たす構成の建物により形成されていることを特徴とするファンフィルタユニットの製造方法。
(A)建物の壁および床に塗布する塗料としては、主成分としてポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、またポリウレタンウレア樹脂を使用し、硬化剤としてポリオールまたはアミン化合物を用い、主剤のイソシアネートに対して硬化剤を混練したものを塗布することによって施工を行う。
(B)建物の内装材として使用する壁紙および床面に貼りつける長尺床シートとしては、ポリ塩化ビニル樹脂からなり、含有する可塑剤の主成分が、分子量400以上のカルボン酸エステル、ポリエステル、エポキシ系化合物のうちの少なくともいずれか一つであり、含有する酸化防止剤の主成分が分子量300以上のフェノール系化合物であり、含有する帯電防止材の主成分が、アルキルアミンエチレンオキサイド付加体およびアルキルアミドエチレンオキサイド付加体のいずれか一つであって且つ分子量が350以上であるものを使用する。
(C)建物の内装材として使用する乾式シール材(原料ゴムと配合剤とを混合して所定形状に成形されたもの)としては、配合剤のうちの滑剤の主成分が、炭素数20以上の脂肪族炭化水素および炭素数18以上の高級アルコールのうちの少なくともいずれか一つであって、可塑剤の主成分が、分子量400以上のカルボン酸エステル、ポリエステル、エポキシ系化合物のうちの少なくともいずれか一つであって、含有する酸化防止剤の主成分が分子量300以上のフェノール系化合物であるものを使用する。
(D)建物の内装材として使用する湿式シール材(部材間の隙間に充填した後に硬化させるもの)としては、主成分がポリウレタンプレポリマーであって、配合剤のうちの滑剤の主成分が、炭素数20以上の脂肪族炭化水素および炭素数18以上の高級アルコールのうちの少なくともいずれか一つであって、可塑剤の主成分が、分子量400以上のカルボン酸エステル、ポリエステル、エポキシ系化合物のうちの少なくともいずれか一つであって、含有する酸化防止剤の主成分が分子量300以上のフェノール系化合物であるものを使用する。
【請求項3】請求項1の製造方法で製造されて搬入されたエアフィルタが設置されていることを特徴とするクリーンルーム。
【請求項4】請求項2の製造方法で製造されて搬入されたファンフィルタユニットが設置されていることを特徴とするクリーンルーム。
【請求項5】請求項1の製造方法で製造されて搬入されたエアフィルタが設置されていることを特徴とする局所設備。
【請求項6】請求項2の製造方法で製造されて搬入されたファンフィルタユニットが設置されていることを特徴とする局所設備。
2.原査定の理由
原査定の理由の概要は、平成12年1月14日付手続補正で補正された本願請求項1〜11に係る発明は、本願の出願前に頒布された刊行物である引用文献1(特開平6-302487号公報、以下引用例1という)、引用文献2(特開平9-187612号公報、以下引用例2という)、引用文献3(特開平8-136437号公報、以下引用例3という)、引用文献4(特開平4-145918号公報、以下引用例4という)、引用文献5(特開平7-330039号公報、以下引用例5という)、引用文献6(国際公開97/04851号パンフレット、以下引用例6という)、引用文献7(特開平9-95581号公報、以下引用例7という)、引用文献8(特開平9-95660号公報、以下引用例8という)、引用文献9(特開平9-95661号公報、以下引用例9という)および引用文献10(特開平9-249849号公報、以下引用例10という)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。
3.引用例の記載内容
引用例1〜10には、それぞれ次の事項が記載されている。
(1)引用例1(特開平6-302487号公報)
(イ)「【請求項1】フィルタ枠と、このフィルタ枠に固定されたエアフィルタとからなる半導体製造用エアフィルタ装置において、前記フィルタ枠を金属によって形成するとともに、前記エアフィルタを、金属繊維を焼結してシート状に形成し、前記フィルタ枠に装着したことを特徴とする半導体製造用エアフィルタ装置。」(特許請求の範囲)
(ロ)「すなわち、例えばアルミニウム等の金属材料からなるフィルタ枠33は矩形状に形成され、このフィルタ枠33には例えばステンレス等の金属材料からなるエアフィルタ34の周縁部がロー付け等によって装着されている。」(第5欄41〜45行)
(2)引用例2(特開平9-187612号公報)
(イ)「【請求項1】気相中に含まれるガス状不純物を除去して清浄空気を生成するガス状不純物処理システムにおいて、未処理空気中に含まれるガス状不純物は除去するが、それ自体が処理済空気中に粒子状不純物を発生するガス状不純物除去手段と、前記ガス状不純物除去手段の下流側に配され、ガス状不純物を発生しない素材のみから構成される粒子状不純物を除去するフィルタ手段とを備えたことを特徴とする、ガス状不純物処理システム。」(特許請求の範囲)
(3)引用例3(特開平8-136437号公報)
(イ)「【請求項1】コロイド状シリカの懸濁液をスプレーした後に乾燥させ、生成したシリカ粒子をエアーフィルタの上流側の気流中に投入すること、およびエアーフィルタの下流側にリークしてくる該シリカ粒子を、粒子検出器を用いて検出すること、を包含するエアーフィルタのリーク検査方法。」(特許請求の範囲)
(ロ)「リーク検査用エアロゾル粒子としては、JISZ8912の13種または14種ダストとして規定されるフタル酸ジオクチル(D.O.P)粒子が、一般に使われている。」(第1欄46〜49行)
(4)引用例4(特開平4-145918号公報)
(イ)「ガス吸入口と、ガス中の塵を捕獲するフィルタと、前記ガス吸入口からガスを吸入し、吸入されたガスを前記フィルタに送る手段と、前記フィルタを通過したガスを半導体装置の処理室に放出するガス放出口とを有する除塵装置の前記ガス吸入口から塵を含むガスを吸入し、前記ガス放出口から放出されるガス中の塵の数を調べて不具合箇所を調べる半導体装置における除塵装置の試験方法において、塵発生手段により布繊維の塵を発生させ、該塵を含むガスを前記ガス吸入口に導入することを特徴とする半導体製造装置における除塵装置の試験方法。」(特許請求の範囲第1項)
(ロ)「従来、前処理その他のウエハ処理を行うためのウエハ処理装置の周辺を清浄にするために第3図に示す除塵装置2を有するドラフト1をクリーンルームに設置した場合、フィルタ6、フィルタ枠その他からの漏れがないかどうか試験を行っている。即ち、第3図に示すように、大気をフィルタ6に送るための送風機8を収納するファンボックス3に設けられたガス吸入口4に液体状の有機溶剤DOP(ジオキシルフタレート)10をおいてバブリングにより、霧状の微粒子となったDOPを含む大気を送風器8によりファンボックス3内に吸入し、フィルタ6に送る。そして、クリーンルーム側でレーザを用いた塵埃計9によりフィルタ6を通過したDOPの微粒子の数を測定する。そしてこの微粒子の数とフィルタ6の性能とを比較してフィルタ6,フィルタ枠7又はファンボックス3その他からの漏れがないかどうかを試験している。」(第2頁右上欄5行から同頁左下欄4行)
(5)引用例5(特開平7-330039号公報)
(イ)「【請求項1】内側にヒートシール層を有する基材部からなる一対の包装用クリーンフィルムを有し、前記基材部は保護フィルム層を剥離してなる清浄面を有するクリーン包装袋と、このクリ-ン包装袋内に収納されたハードケースと、このハードケース内に収納されたシリコンウエハと、を備えたことを特徴とする密封袋体。」(特許請求の範囲)
(6)引用例6(国際公開97/04851号パンフレット)
(イ)「繊維を処理剤で処理して布状に形成された濾材と、この濾材を入れるフレームと、このフレームと濾材との間を密封するシール材とで構成され、空気中の浮遊粒状物質を捕集するエアフィルターにおいて、前記濾材およびシール材のうち少なくとも一方が使用時にガス状有機物を発生しないものであることを特徴とするエアフィルター。」(特許請求の範囲第1項)
(ロ)「繊維を処理剤で処理して布状に形成された濾材と、この濾材を入れるフレームと、このフレームと濾材との間を密封するシール材とで構成され、空気中の浮遊粒状物質を捕集するエアフィルターにおいて、前記処理剤に含まれる非シリコーン系撥水剤の主成分が、炭素数20以上の脂肪族炭化水素および炭素数18以上の高級アルコールのうちの少なくともいずれか一つであることを特徴とするエアフィルター。」(特許請求の範囲第2項)
(ハ)「繊維を処理剤で処理して布状に形成された濾材と、この濾材を入れるフレームと、このフレームと濾材との間を密封するシール材とで構成され、空気中の浮遊粒状物質を捕集するエアフィルターにおいて、前記処理剤に含まれる可塑剤の主成分が、分子量400以上のカルボン酸エステル、ポリエステル、エポキシ系化合物のうちの少なくともいずれか一つであることを特徴とするエアフィルター。」(特許請求の範囲第4項)
(ニ)「繊維を処理剤で処理して布状に形成された濾材と、この濾材を入れるフレームと、このフレームと濾材との間を密封するシール材とで構成され、空気中の浮遊粒状物質を捕集するエアフィルターにおいて、前記処理剤に含まれる酸化防止剤の主成分が分子量300以上のフェノール系化合物であることを特徴とするエアフィルター。」(特許請求の範囲第6項)
(ホ)「繊維を処理剤で処理して布状に形成された濾材と、この濾材を入れるフレームと、このフレームと濾材との間を密封するシール材とで構成され、空気中の浮遊粒状物質を捕集するエアフィルターにおいて、前記シール材に含まれる可塑剤の主成分が、分子量400以上のカルボン酸エステル、ポリエステル、エポキシ系化合物のうちの少なくともいずれか一つであることを特徴とするエアフィルター。」(特許請求の範囲第8項)
(ヘ)「繊維を処理剤で処理して布状に形成された濾材と、この濾材を入れるフレームと、このフレームと濾材との間を密封するシール材とで構成され、空気中の浮遊粒状物質を捕集するエアフィルターにおいて、前記シール材に含まれる酸化防止剤の主成分が分子量300以上のフェノール系化合物であることを特徴とするエアフィルター。」(特許請求の範囲第10項)
(ト)「繊維を処理剤で処理して布状に形成された濾材と、この濾材を入れるフレームと、このフレームと濾材との間を密封するシール材とで構成され、空気中の浮遊粒状物質を捕集するエアフィルターにおいて、前記シール材に含まれる滑剤の主成分が、炭素数20以上の脂肪族炭化水素および炭素数18以上の高級アルコールのうちの少なくともいずれか一つであることを特徴とするエアフィルター。」(特許請求の範囲第12項)
(チ)「発明を実施するための最良の形態 本発明のエアフィルターは、従来のクリーンルーム用エアフィルターと同様に、ガラス繊維やポリテトラフルオロエチレンなどの有機繊維をアクリル系樹脂などからなるバインダー、非シリコーン系撥水剤、可塑剤、酸化防止剤などを含む処理剤で処理して布状の濾材を形成し、この濾材を所定の大きさのフレームに入れて、フレームと濾材との間をシール材で密封して作製されるが、前記処理剤およびシール材として、クリーンルームでの使用時にガス状有機物が発生しないものを選定して使用する。」(第21頁20〜27行)
(リ)「・・・このシール材を使用して、アルミフレーム(600mm×600mm×100m、市販品の1/2の大きさ)内に上記濾材を入れて密封することにより、エアフィルターを作製した。」(第25頁4〜6行)
(ヌ)「[エアフィルターの性能試験:塵埃の除去効率の測定]作製されたエアフィルターに対して、一方の側から全面にフタル酸ジオクチル(DOP)の粒子を風速5.3cm/secで当て、当てた側の濾材面付近の空気中に含まれるDOPの粒子数(入側粒子数)と、反対側の濾材面付近の空気中に含まれるDOPの粒子数(出側粒子数)とをそれぞれパーテイクルカウンターで計測し、入側粒子数が107個/ft3の時に出側粒子数が100個/ft3以下であれば(すなわち、除去効率が99.999%以上であれば)合格とする。」(第25頁18〜24行)
(7)引用例7(特開平9-95581号公報)
(イ)「ポリ塩化ビニル樹脂と、ガス状有機物を発生しない添加剤とからなる材料で形成された建築部材。」(特許請求の範囲の【請求項1】)
(ロ)「前記添加剤のうちの可塑剤の主成分が、分子量400以上のカルボン酸エステル、ポリエステル、エポキシ系化合物のうちの少なくともいずれか一つであることを特徴とする請求項1記載の建築部材。」(特許請求の範囲の【請求項2】)
(ハ)「前記添加剤のうちの酸化防止剤の主成分が分子量300以上のフェノール系化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の建築部材。」(特許請求の範囲の【請求項4】)
(ニ)「前記添加剤のうちの帯電防止剤の主成分は、アルキルアミンエチレンオキサイド付加体およびアルキルアミドエチレンオキサイド付加体の少なくともいずれか一つであって、且つ分子量が350以上のものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の建築部材。」(特許請求の範囲の【請求項6】)
(ホ)「請求項1〜6のいずれか一つに記載の建築部材を、床の表面を覆う床表面材、壁の表面を覆う壁表面材、壁の床との境界部分付近を覆う幅木、天井と壁との境界部分を覆う周り縁、および仕切り用シートのうちの少なくともいずれかとして備えていることを特徴とするクリーンルーム。」(特許請求の範囲の【請求項10】)
(8)引用例8(特開平9-95660号公報)
(イ)「原料ゴムと配合剤とを混合して所定形状に成形された乾式シール材において、前記原料ゴムおよび配合剤のうちの少なくともいずれかがガス状有機物を発生しないものであることを特徴とする乾式シール材。」(特許請求の範囲【請求項1】)
(ロ)「前記配合剤のうちの滑剤の主成分が、炭素数20以上の脂肪族炭化水素および炭素数18以上の高級アルコールのうちの少なくともいずれか一つであることを特徴とする請求項1または2記載の乾式シール材。」(特許請求の範囲【請求項3】)
(ハ)「前記配合剤のうちの可塑剤の主成分が、分子量400以上のカルボン酸エステル、ポリエステル、エポキシ系化合物のうちの少なくともいずれか一つであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の乾式シール材。」(特許請求の範囲【請求項5】)
(ニ)「前記配合剤のうちの酸化防止剤の主成分が分子量300以上のフェノール系化合物であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の乾式シール材。」(特許請求の範囲【請求項8】)
(ホ)「乾式シールが必要な箇所に請求項1〜9のいずれか一つに記載の乾式シール材を使用したことを特徴とするクリーンルーム。」(特許請求の範囲【請求項12】)
(9)引用例9(特開平9-95661号公報)
(イ)「部材間の隙間に充填した後に硬化させる湿式シール材において、硬化後にポリウレタン樹脂となる主成分と、添加剤とからなり、前記主成分および添加剤の少なくとも一方はガス状有機物を発生しないものであることを特徴とする湿式シール材。」(特許請求の範囲【請求項1】)
(ロ)「前記添加剤のうちの滑剤の主成分が、炭素数20以上の脂肪族炭化水素あることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の湿式シール材。」(特許請求の範囲【請求項5】)
(ハ)「前記添加剤のうちの可塑剤の主成分が、分子量400以上のカルボン酸エステル、ポリエステル、エポキシ系化合物のうちの少なくともいずれか一方であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の湿式シール材。」(特許請求の範囲【請求項7】)
(ニ)「前記添加剤のうちの酸化防止剤の主成分が分子量300以上のフェノール系化合物であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の湿式シール材。」(特許請求の範囲【請求項9】)
(ホ)「湿式シールが必要な箇所に請求項1〜10のいずれか一つに記載の湿式シール材を使用したことを特徴とするクリーンルーム。」(特許請求の範囲【請求項13】)
(10)引用例10(特開平9-249849号公報)
(イ)「所定のエポキシ樹脂の分析方法により、塗布硬化後28日を経た100cm2のエポキシ樹脂試料から6″のシリコンウエハーに吸着する有機物量が1000ng以下であり、かつ、各金属元素およびイオンの個別の発生量が100ppm以下であるようなエポキシ樹脂主剤およびエポキシ硬化剤で構成された、エポキシ系塗料。」(特許請求の範囲【請求項1】)
(ロ)「請求項1乃至6のいずれかに記載のエポキシ系塗料を、壁、床、柱、梁等の構成部位に塗布して構成したことを特徴とする、クリーンルーム。」(特許請求の範囲【請求項7】)
(ハ)「【発明の目的】本発明は、従来のエポキシ系塗料がクリーンルームの空気に揮散し易い有機および無機成分を含むのに対して、クリーンルームへ揮散する有機および無機成分を著しく低減することによって、上記従来技術で問題になっている化学成分による汚染を防止できるエポキシ系塗料と、その塗料を塗布して構成したクリーンルームを提供するものである。」(第2欄28〜34行)
4.当審の判断
平成14年12月27日付手続補正によって補正された上記請求項1〜6に係る発明について原査定で提示した引用例に基づいて以下検討する。
4-1.請求項1に係る発明について
引用例6の上記(イ)〜(リ)の記載からみて、引用例6には、本願請求項1に係る発明における「(a)組立工程は、繊維をバインダと撥水剤と必要に応じて添加される可塑剤および酸化防止剤とで処理して不織布状に形成された濾材と、この濾材を入れるフレームと、このフレームと濾材との間を密封するシール材とを用いてエアフィルタを組み立てる工程であり、(b)撥水剤としては、フッ素樹脂、炭素数20以上の脂肪族炭化水素、または炭素数18以上の高級アルコールを主成分とするものを用い、(c)可塑剤としては、分子量440以上のカルボン酸エステル、ポリエステル、エポキシ系化合物のうちの少なくともいずれか一つを主成分とするものを用い、(d)酸化防止剤としては、分子量300以上のフェノール系化合物を主成分とするものを用い、(e)繊維としては、硼珪酸ガラス繊維、低ボロンガラス繊維、または非ガラス系の繊維を用い、(f)シール材としては、含有する可塑剤の主成分が、分子量400以上のカルボン酸エステル、ポリエステル、エポキシ系化合物のうちの少なくともいずれか一つであり、含有する酸化防止剤の主成分が、分子量300以上のフェノール系化合物であり、含有する滑剤の主成分が、炭素数20以上の脂肪族炭化水素および炭素数18以上の高級アルコールのうちの少なくともいずれか一つであるものを用い、(g)フレームとしては、ステンレスまたはアルミニウム製品を用い、」という事項に相当する事項が示されていると云えるが、引用例6には、本願請求項1に係る発明の「(h)梱包材料として、ポリエチレン製品、ポリプロピレン製品、ポリ塩化ビニル製品であり、且つ、必要に応じて添加する可塑剤の主成分が、分子量400以上のカルボン酸エステル、ポリエステル、エポキシ系化合物のうちの少なくともいずれか一つであり、且つ、必要に応じて添加する酸化防止剤の主成分が分子量300以上のフェノール系化合物であるもの、またはポリメチルペンテン-1をシート状に形成したものを使用して、ガス状有機物が存在しない空間でエアフィルタの梱包を行い、(i)前記エアフィルタは、前記梱包工程の前に組立工程および試験工程を経て得られたものであり、(j)組立工程を、ガス状有機物が存在しない空間で行い、(k)試験工程を、分子量が440以上のカルボン酸エステル、ポリエステル、またはエポキシ系化合物を微粒子化したものを、ガス状有機物を含まない空気中に分散させて得られたエアロゾルを用いて、ガス状有機物が存在しない空間で行い、(l)前記組立工程、試験工程、および梱包工程を行うガス状有機物が存在しない空間は、下記の(A)〜(D)を満たす構成の建物により形成されている。(A)建物の壁および床に塗布する塗料としては、主成分として、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、またポリウレタンウレア樹脂を使用し硬化剤としてポリオールまたはアミン化合物を用い、主剤のイソシアネートに対して硬化剤を混練したものを塗布することによって施工を行う。(B)組立空間を形成する建物の内装材として使用する壁紙および床面に貼りつける長尺床シートとしては、ポリ塩化ビニル樹脂からなり、含有する可塑剤の主成分が、分子量400以上のカルボン酸エステル、ポリエステル、エポキシ系化合物のうちの少なくともいずれか一つであり、含有する酸化防止剤の主成分が分子量300以上のフェノール系化合物であり、含有する帯電防止材の主成分が、アルキルアミンエチレンオキサイド付加体およびアルキルアミドエチレンオキサイド付加体のいずれか一つであって且つ分子量が350以上であるものを使用する。(C)建物の内装材として使用する乾式シール材(原料ゴムと配合剤とを混合して所定形状に成形されたもの)としては、配合剤のうちの滑剤の主成分が、炭素数20以上の脂肪族炭化水素および炭素数18以上の高級アルコールのうちの少なくともいずれか一つであって、可塑剤の主成分が、分子量400以上のカルボン酸エステル、ポリエステル、エポキシ系化合物のうちの少なくともいずれか一つであって、含有する酸化防止剤の主成分が分子量300以上のフェノール系化合物であるものを使用する。(D)建物の内装材として使用する湿式シール材(部材間の隙間に充填した後に硬化させるもの)としては、主成分がポリウレタンプレポリマーであって、配合剤のうちの滑剤の主成分が、炭素数20以上の脂肪族炭化水素および炭素数18以上の高級アルコールのうちの少なくともいずれか一つであって、可塑剤の主成分が、分子量400以上のカルボン酸エステル、ポリエステル、エポキシ系化合物のうちの少なくともいずれか一つであって、含有する酸化防止剤の主成分が分子量300以上のフェノール系化合物であるものを使用する。」という事項に相当する事項は示されていないから、本願発明と引用例6に記載された発明を対比すると、両者は上記(a)〜(g)の点で一致し、上記(h)〜(l)の点で相違している。
そこで、上記相違点(h)〜(l)について他の引用例に基づいて検討する。
まず、上記相違点(h)〜(k)について見てみると、上記相違点(h)の材料成分については引用例7〜9に同様の成分がみられるが、引用例7〜9の部材はいずれもシール材などの建築部材であって、梱包材料に関するものではない。そして、そこには梱包材料にまでそうした成分の材料が求められるという課題も何ら示唆されていない。また引用例5にはクリーン包装袋が記載されているが、そこには包装袋の材料については何ら示されていない。そして、他の引用例1〜4、10には梱包に関する事項は何ら記載も示唆もされていない。これらのことから、引用例1〜5、7〜10には上記相違点(h)が記載されているとは云えない。また相違点(k)については、引用例3の上記(イ)には、エアフィルターのリーク検査方法のリーク検査用粒子としてシリカ粒子を用いることが、また、引用例3の上記(ロ)や引用例4の上記(ロ)や引用例6の上記(ヌ)には、リーク検査用エアロゾル粒子として、フタル酸ジオクチル(D.O.P)を使用することが示されているが、シリカ粒子は無機物質であり、また、フタル酸ジオクチル(D.O.P)の分子量は391であるから、引用例1〜5、7〜10には上記相違点(k)の構成が記載されているとは云えない。またいずれの引用例にも梱包工程並びに試験工程をガス状有機物が存在しない空間で行うことについては何ら記載がないのである。以上のことからみて、引用例1〜5、7〜10には少なくとも上記相違点(h)(k)に係る梱包工程並びに試験工程については何ら記載も示唆もされていない。
次に、上記相違点(l)について見てみると、引用例7の上記(イ)〜(ホ)、引用例8の(イ)〜(ホ)および引用例9の(イ)〜(ホ)の記載からみて、上記相違点(l)の(B)に相当する事項は引用例7に、上記相違点(l)の(C)に相当する事項は引用例8に、上記相違点(l)の(D)に相当する事項は引用例9にそれぞれ記載されていると認められるものの、上記相違点(l)の(A)に相当する事項は引用例7〜9に記載されていない。そして、上記相違点(l)の(A)に関し、引用例10にはエポキシ塗料とそれを塗布したクリーンルームが記載されているが、そのエポキシ塗料はエポキシ樹脂をベースとしたものであって、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、またポリウレタンウレア樹脂とは異なる樹脂をベースにしたものであるから、上記相違点(l)の(A)については、引用例10に記載がなく、また、当該分野において周知な技術的事項であるとも云えない。また、引用例1〜5にも引用例1の上記(イ)、(ロ)、引用例2の(イ)、引用例3の(イ)、(ロ)、引用例4の(イ)、(ロ)及び引用例5の(イ)の記載から分かるように上記相違点(l)の(A)に関する事項については何ら記載されていない。
そして、本願請求項1に係る発明は上記構成を採ることにより、エアフィルタにガス状有機物が吸着されることが防止され、エアフィルタの稼働直後からガス状有機物の拡散量が少ないものとなる本願明細書記載の格別の効果を奏するものと云える。
してみると、本願請求項1に係る発明は、上記相違点(i)(j)を検討するまでもなく、引用例1〜10に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
4-2.請求項2に係る発明について
本願請求項2に係る発明のファンフィルタユニットの製造方法は、請求項1に記載されたガス状有機物が存在しない空間で組立工程を行い、梱包工程で梱包を行ったエアフィルタを用いていることから、その点で請求項1に記載の製造方法を含むものであり、また、ファンフィルタユニットの製造の組立工程、梱包工程において、請求項1に係る発明のエアフィルタの製造における組立工程、梱包工程におけると同様の条件下で行うものであることから、請求項2に係る発明と引用例6に記載の発明とは、請求項1に係る発明について検討した少なくとも上記相違点(h)(l)があるものと云える。そして、上記相違点(h)、(l)の(A)については上記請求項1に係る発明の項「4-1」で述べたと同じ理由により、引用例1〜5、7〜10には何ら記載されていない。そして更に上記相違点以外に請求項2に係る発明では送風機の回転翼の材質や加工条件および電源用電線の絶縁被覆材料の材質も限定しているが、引用例6に記載の発明ではその構成が記載されていないという相違点(m)もあると云え、この相違点(m)については引用例1〜5、7〜10には何ら記載も示唆もされていない。してみると、結局本願請求項2に係る発明も、引用例1〜10に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
4-3.請求項3〜6に係る発明について
本願請求項3〜6は、いずれも請求項1或いは2を引用しているものであるから、本願請求項3〜6に係る発明(クリーンルームおよび局所設備)は、本願請求項1、2に係る発明について述べたと同じ理由により、引用例1〜10に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
5.結び
以上のとおりであるから、本願請求項1〜6に係る発明は、原査定の理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願請求項1〜6に係る発明を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2003-02-14 
出願番号 特願平10-365037
審決分類 P 1 8・ 121- WY (B01D)
最終処分 成立  
前審関与審査官 森 健一  
特許庁審判長 大黒 浩之
特許庁審判官 唐戸 光雄
西村 和美
発明の名称 エアフィルタの製造方法、ファンフィルタユニットの製造方法、クリーンルーム、局所設備  
代理人 森 哲也  
代理人 内藤 嘉昭  
代理人 内藤 嘉昭  
代理人 森 哲也  
代理人 森 哲也  
代理人 崔 秀▲てつ▼  
代理人 内藤 嘉昭  
代理人 崔 秀▲てつ▼  
代理人 崔 秀▲てつ▼  
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