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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B42D |
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管理番号 | 1071663 |
審判番号 | 不服2000-12612 |
総通号数 | 39 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1992-10-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2000-08-10 |
確定日 | 2003-02-06 |
事件の表示 | 平成3年特許願第93773号「ICカードの製造方法」拒絶査定に対する審判事件[平成4年10月27日出願公開、特開平4-303695]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯、本願発明の要旨 本願は、平成3年3月29日の出願であって、その請求項1に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものと認める。 「【請求項1】カード基板上に電子部品を実装することにより凹凸面を有する実装基板とこの実装基板の凹凸面と逆の凹凸面を有するカバー成形品との少なくとも一方の凹凸面に接着剤を塗布した後、両方の凹凸面を互いに密着するように嵌め合わせ、両方の凹凸面を接着して気密型ICカードを得ることを特徴とするICカードの製造方法。」(以下、「本願発明」という。) 2.引用例 これに対して、当審における、平成14年8月22日付けで通知した拒絶の理由に引用した刊行物1(実願平1-87066号(実開平03-026588号)のマイクロフィルム)、刊行物2(特表昭62-500822号公報)、刊行物3(特開平2-173889号公報)には、以下の事項が記載されている。 刊行物1 「IC基板とカード基板を両面接着シートを用いて接合してなるICカードにおいて、IC基板とカード基板の間に介在する両面接着シートに、IC基板に載設した部品の凸部に対応した位置にスリットを入れたことを特徴とするICカード。」(実用新案登録請求の範囲)、 「10はプラスチック成型されたカード基板であり」(明細書第1頁第16〜17行)、 「第2図は第1図の接合したICカードの切断線B-Bに沿った断面図で、IC基板12とカード基板10との間に介在した両面接着シート20のスリット20aは接合の際の押圧により、スリット20aは対応した位置の凸部品によって破れ、IC基板12とカード基板10は容易に接合することが出来る。又、接合したカード基板10と、IC基板12の載設したIC部品12aとチップ部品12bとの空間に両面接着シート20が介在して衝撃等を緩衝することが出来る。」(明細書第4頁第4〜13行)、 「本考案になるICカードは、両面接着シートによる接着面積が大きく接着強度が向上すると共に、IC基板に載設したIC部品やチップ部品と、カード基板との間の緩衝材の役目を期待することが出来る。」(明細書第4頁第15〜19行)、 第2図には、その上にIC部品12aとチップ部品12bを載設することにより凹凸面を有するIC基板12と、その凹凸と逆の凹凸面を有するカード基板10からなるICカードが記載されており、両方の凹凸面は互いに嵌め合わされ、接合されている。 これらの記載及び図面第1乃至2図によれば、刊行物1には、以下の発明が記載されているものと認められる。 「IC部品12aとチップ部品12bを載設することにより凹凸面を有するIC基板12と、IC基板の凹凸面と逆の凹凸面を有するプラスチック成型されたカード基板10との、双方の凹凸面の間に両面接着シートを介在させ、両方の凹凸面を互いに嵌め合わせ、接合してなるICカードの製造方法。。」(以下、「引用発明1」という。) 刊行物2 「第5図はカード10の概略的な端面組立図である。カード10はカード裏打材40,回路板38およびカードトップ48からなる。これら部材は...接着剤を用いて積層される。」(公報第12頁左下欄第11〜15行)、 Fig-5。 刊行物3 「第3図に示すものが知られている。...各電子部品2a〜2bが入るような開口穴7aを有したダム7をプリント基板1上に設け...上面を接着剤層9を介して表板6に固定した構成となっている」(公報第2頁左上欄第2〜8行)、 第3図。 3.本願発明と引用発明との対比検討 (1)本願発明と引用発明との対比 本願発明と引用発明1とを対比すると、引用発明1における、「IC基板12」、「IC部品12aとチップ部品12b」、「カード基板10」、「両面接着シートを介在させ、接合」は、それぞれ、本願発明における、「実装基板」、「電子部品」、「カバー成形品」、「接着」に相当し、 そうすると、本願発明と引用発明1とは、以下の点でそれぞれ、一致ならびに相違する。 一致点.「カード基板上に電子部品を実装することにより凹凸面を有する実装基板とこの実装基板の凹凸面と逆の凹凸面を有するカバー成形品との、両方の凹凸面を互いに嵌め合わせ、両方の凹凸面を接着した気密型ICカードの製造方法」 相違点.両方の凹凸面の接着が、本願発明では、少なくとも一方の凹凸面に接着剤を塗布した後、両方の凹凸面を互いに密着するように嵌め合わせてなされるのに対し、引用発明1では、双方の凹凸面の間に介在した両面接着シートを用いて押圧によりなされる点。 (2)相違点の検討 相違点について 実装基板と、カバー成形品を接着剤で接着することは、刊行物2〜3に記載されているように(刊行物2では、回路板38とカードトップ48、刊行物3では、プリント基板上に実装された電子部品2cと表板6)ICカードの製造分野に於いて従来から周知技術であるから、引用発明1における両方の凹凸面の接着に該周知技術を採用して、相違点にかかる本願発明の構成にすることは、当業者が容易に想到できるものと認められる。 なお、請求人は、刊行物2、3には、「両方の凹凸面を互いに密着するように嵌め合わせ」て「気密型ICカードを得る」ような接着をすることは記載されていないと主張しているが、刊行物2、3を引用した趣旨は、実装基板と、カバー成形品を接着剤で接着することが周知であることを示すことにあり、「両方の凹凸面を互いに密着するように嵌め合わせ」て「気密型ICカードを得る」ような接着をすることが周知であるとして引用したものではないので、請求人の主張は採用できない。 また、接着剤により接着すれば、互いに密着するように嵌め合わされることは当たり前のことである。 そして、本願発明の明細書に記載された「電子部品を破損させることがなく外観の美しいICカードが製造できる。また、高い気密性を得られるため強度や耐環境性に優れたICカードが製造できる」という作用効果は、引用発明1に前記周知技術を適用したものにおいて、当業者が当然予測できる範囲のものと認められる。 4.むすび 以上のとおり、本願請求項1に係る発明は、引用発明1および従来周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2002-11-27 |
結審通知日 | 2002-12-03 |
審決日 | 2002-12-17 |
出願番号 | 特願平3-93773 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(B42D)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 前田 仁 |
特許庁審判長 |
二宮 千久 |
特許庁審判官 |
白樫 泰子 藤井 靖子 |
発明の名称 | ICカードの製造方法 |