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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 B41M 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 B41M 審判 全部申し立て 特36 条4項詳細な説明の記載不備 B41M |
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管理番号 | 1071731 |
異議申立番号 | 異議2002-70062 |
総通号数 | 39 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1994-06-21 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2002-01-09 |
確定日 | 2002-11-18 |
異議申立件数 | 2 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3186271号「インクジェット記録シート」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3186271号の請求項1に係る特許を維持する。 |
理由 |
I.手続の経緯 本件特許第3186271号に係る発明は、平成4年12月10日に出願され、平成13年5月11日にその発明の特許の設定登録がなされた。 本件特許公報は、平成13年7月11日に発行され、その特許に対して、特許異議申立人 田井靖人及び大湯佳子よりそれぞれ特許異議の申立があり、取消理由通知(平成14年4月4日付、第1回)がなされ、訂正請求(平成14年6月17日付、後日取下)がなされ、次いで、取消理由通知(平成14年9月4日付、第2回)がなされ、その指定期間内である平成14年10月1日付で訂正請求がなされたものである。 II.訂正の適否についての判断 1.訂正の内容 平成14年10月1日付訂正請求における訂正の内容は、以下のとおりである。 a.特許請求の範囲【請求項1】 「木材パルプと顔料を主成分としてなる支持体の表面に少なくとも1層以上のインク受理層、該支持体の裏面に少なくとも1層以上のバックコート層を塗設してなるインクジェット記録シートにおいて、該バックコート層のバインダーが、ガラス転移温度-50〜+25℃の合成高分子ラテックスを必須成分とし、これに澱粉、ボリビニルアルコール、セルロース誘導体からなる水溶性バインダーを1種類以上混合してなるものであることを特徴とするインクジェット記録シート。」を、 「木材パルプと顔料を主成分としてなる支持体の表面に少なくとも1層以上のインク受理層、該支持体の裏面に少なくとも1層以上のバックコート層を塗設してなるインクジェット記録シートにおいて、該インク受理層が、顔料として少なくとも多孔性無機顔料を含有し、該バックコート層が、カオリンとバインダーとしてガラス転移温度-50〜+25℃の合成高分子ラテックスを必須成分とし、これに澱粉、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体からなる水溶性バインダーを1種類以上混合してなるものであり、該バックコート層が、該カオリン100重量部に対し、該水溶性バインダーを1〜6重量部含有することを特徴とするインクジェット記録シート。」と訂正する。 b.明細書の第14段落 「本発明は、ガラス転移温度が-50〜+25℃の合成高分子ラテックスと水溶性バインダーを併用して、バックコート層を塗設することによって、接着強度、印字後のうねり、カール適性の良好なインクジェット記録シートが得られるのであって、該ラテックスと水溶性バインダーをそれぞれ単独で配合しても本発明の目的を達成することはできない。即ち、本発明は、木材パルプと顔料を主成分として成る支持体の表面に、少なくとも1層以上のインク受理層、該支持体の裏面に少なくとも1層以上のバックコート層を塗設して成るインクジェット記録シートにおいて、該バックコートのバインダーが、ガラス転移温度-50〜+25℃の合成高分子ラテックスを必須成分とし、さらに水溶性バインダーである澱粉、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体を1種類以上混合してなるものであることを特徴とするインクジェット記録シートを提供するものである。」を、 「本発明は、ガラス転移温度が-50〜十25℃の合成高分子ラテックスと水溶性バインダーを併用して、バックコート層を塗設することによって、接着強度、印字後のうねり、カール適性の良好なインクジェット記録シートが得られるのであって、該ラテックスと水溶性バインダーをそれぞれ単独で配合しても本発明の目的を達成することはできない。即ち、本発明は、木材パルプと顔料を主成分として成る支持体の表面に、少なくとも1層以上のインク受理層、該支持体の裏面に少なくとも1層以上のバックコート層を塗設して成るインクジェット記録シートにおいて、該インク受理層が、顔料として少なくとも多孔性無機顔料を含有し、該バックコートが、カオリンとバインダーとしてガラス転移温度-50〜+25℃の合成高分子ラテックスを必須成分とし、さらに水溶性バインダーである澱粉、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体を1種類以上混合してなるものであり、該バックコート層が、該カオリン100重量部に対し、該水溶性バインダーを1〜6重量部含有することを特徴とするインクジェット記録シートを提供するものである。」と訂正する。 c.明細書の第16段落 「本発明に用いられる支持体及びインク受理層やバックコート層には、公知の白色顔料を1種以上用いることができる。例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリ力、コロイダルシリ力、コロイダルアルミナ、擬べーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトボン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。上記の中でもインク受理層中に主体成分として含有する白色顔料としては多孔性無機顔料が好ましく、多孔性合成非晶質シリカ、多孔性炭酸マグネシウム、多孔性アルミナ等があげられ、特に紬孔容積の大きい多孔性合成非晶質シリ力が好ましい。」を、 「本発明に用いられる支持体及びインク受理層には、公知の白色顔料を1種以上用いることができる。例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリ力、コロイダルシリ力、コロイダルアルミナ、擬べーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトボン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。上記の中でもインク受理層中に主体成分として含有する白色顔料としては多孔性無機顔料が好ましく、多孔性合成非晶質シリ力、多孔性炭酸マグネシウム、多孔性アルミナ等があげられ、特に細孔容積の大きい多孔性合成非晶質シリカが好ましい。また、バックコート層中に含有する白色顔料としてはカオリンを用いる。」と訂正する。 d.明細書の第22段落 「本発明に係るバックコート層は、上記した顔料に、バインダーとして、ガラス転移温度が-50〜25℃の合成高分子ラテックスが必須成分として配合され、さらに、澱粉、ボリビニルアルコール、水溶性セルロースバインダーを1種類以上混合されることによって、本発明の目的が達成される。・・・」を、 「本発明に係るバックコート層は、カオリンに、バインダーとして、ガラス転移温度が-50〜+25℃の合成高分子ラテックスが必須成分として配合され、さらに、澱粉、ポリビニルアルコール、水溶性セルロースバインダーの1種類以上が該カオリン100重量部に対し1〜6重量部混合されることによって、本発明の目的が達成される。・・・」と訂正する。 2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否 上記訂正aは、特許明細書の特許請求の範囲の請求項1の「インク受理層」について、明細書第16段落・実施例で裏付けられる「顔料として少なくとも多孔性無機顔料を含有する」との規定を加えて減縮するとともに、 「バックコート層」について、明細書第16段落・実施例で裏付けられる「カオリン・・・を必須成分とし、・・・該カオリン100重量部に対し、該水溶性バインダーを1〜6重量部含有」との規定を加えて減縮するものであり、特許請求の範囲をより狭く限定するものであるから、特許法第120条の4第2項但し書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当するものであって、願書に添付した明細書の範囲内の訂正であって、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 上記訂正b〜dは、上記訂正aによる特許請求の範囲の減縮の訂正に伴い、特許請求の範囲と発明の詳細な説明欄の記載との不整合を正すものであるから、特許法第120条の4第2項但し書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明に該当するものであり、願書に添付した明細書の範囲内の訂正であって、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 3.むすび 以上のとおりであるから、上記訂正請求は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する第126条第2〜3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 III.特許異議の申立てについて 1.本件発明 平成14年10月1日付訂正明細書の請求項1に係る発明(以下「本件発明」という)は、その特許請求の範囲の請求項1に記載される以下のとおりのものである。 「【請求項1】木材パルプと顔料を主成分としてなる支持体の表面に少なくとも1層以上のインク受理層、該支持体の裏面に少なくとも1層以上のバックコート層を塗設してなるインクジェット記録シートにおいて、該インク受理層が、顔料として少なくとも多孔性無機顔料を含有し、該バックコート層が、カオリンとバインダーとしてガラス転移温度-50〜+25℃の合成高分子ラテックスを必須成分とし、これに澱粉、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体からなる水溶性バインダーを1種類以上混合してなるものであり、該バックコート層が、該カオリン100重量部に対し、該水溶性バインダーを1〜6重量部含有することを特徴とするインクジェット記録シート。」 2.特許異議申立の概要 特許異議申立人 田井靖人は、 甲第1号証(特開平4-250091号公報)(以下「刊行物1」という)、 甲第2号証(「紙と加工の薬品事典」、平成3年2月25日、(株)テックタイムス発行)(以下「刊行物2」という)、 参考資料1(「仕上・化繊紙・合成紙・塗工」、昭和45年9月18日、紙パルプ技術協会発行)、 参考資料2(「インクジェット記録技術」、平成1年8月15日、(株)トリケップス発行) を提出して、本件発明は、刊行物1に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号の規定に違反して特許されたものであるから〔理由ア〕、また、刊行物1〜2、参考資料1〜2に記載された発明から容易に想到しえたものであり、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであるから〔理由イ〕、さらに、本件の明細書には記載不備があり、特許法第36条第5項の規定に違反して特許されたものであるから〔理由ウ〕、特許を取り消すべきと主張している。 一方、特許異議申立人 大湯佳子は、 甲第1号証(室井宗一著「高分子ラテックスの応用 紙塗工」、1986年9月20日、高分子刊行会発行)(以下「刊行物3」という)、 甲第2号証(特開平3-275378号公報)(以下「刊行物4」という)、 甲第3号証(「最新 紙加工便覧」、昭和63年8月20日、(株)テックタイムス発行)(以下「刊行物5」という)、 甲第4号証(「紙パルプ技術便覧」、1992年1月30日、紙パルプ技術協会発行)(以下「刊行物6」という) を提出して、本件発明は、刊行物3〜6に記載された発明から容易に想到しえたものであり、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであるから〔理由エ〕、特許を取り消すべきと主張している。 3.甲号各証等とそれらの内容 異議申立人が証拠として提出した各刊行物、参考資料1〜2の内容は、以下のとおりである。 3-1.刊行物1(特開平4-250091号公報)について 刊行物1は、「カチオン性ポリマーサイズ剤(a)を含有する繊維性基材の記録面の反対面(裏面)に少なくとも顔料、バインダー及び2種以上のサイズ剤からなる裏塗工層を設けて、該サイズ剤の一方のサイズ剤(b1)がアルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸、ワックスエマルジョンサイズ剤のいずれか一つ以上からなり、他方のサイズ剤(b2)がカチオン性ポリマーサイズ剤であることを特徴とするインクジェット記録シート。」(特許請求の範囲請求項1)に関するものであり、 その実施例5では、LBKP木材パルプと重質炭酸カルシウム白色顔料を主成分としてなる支持体の表面にインク受理層、該支持体の裏面にバックコート層を塗設してなるインクジェット記録シートであって、該バックコート層が、カオリン50重量部、酸化チタン30重量部、炭酸カルシウム20重量部からなる填料100重量部に、スチレン-ブタジエン共重合体の合成高分子ラテックスのバインダー15重量部と、酸化澱粉の水溶性バインダー15重量部に、さらに、アルキルケテンダイマーのサイズ剤8重量部、4級アンモニウム塩系ポリマーのサイズ剤20重量部を混合してなるものである構成のインクジェット記録シートを調製し、インクジェット記録方式で画像を記録すると、インク吸収性良好で、にじみや流れ出しは無く、「更に波及効果として多量のインクの吸収により繊維の膨潤収縮により生ずる記録シートの吸収ジワも裏塗工の影響によりある程度減少し、また記録濃度などの記録特性の点でもおおいに向上した。」(実施例・比較例の結果の考察に係る発明の効果欄、第64段落)との作用効果が示されている。 3-2.刊行物2(「紙と加工の薬品事典」)について 刊行物2の「スチレン-ブタジエンラテックス」の項(第128〜130頁)には、スチレン-ブタジエン共重合体の合成高分子ラテックスは紙塗工に多用されていること、また、該スチレン-ブタジエン合成高分子ラテックスは、第2図(引用を省略)の如く、スチレン量が多くなると、Tg(ガラス転移温度)が上昇して硬くなる特性があるので、紙塗工に好適な接着力があり常温成膜性のあるスチレン-ブタジエン合成高分子ラテックスは、スチレン量が50〜70%のもの、Tgが約-20℃から0℃のものであること(該第2図)が示されている。 3-3.参考資料1(「仕上・化繊紙・合成紙・塗工」)について 参考資料1の「塗工編、カーリング」(第385〜386頁)等には、スチレン-ブタジエン共重合体の合成高分子ラテックスは紙塗工に多用されており、顔料接着強度や、平滑塗被性などから、スチレン量60%程度のものが好適とされている旨記載されている。 3-4.参考資料2(「インクジェット記録技術」)について 参考資料2の「第11章 インクジェットプリンタ用紙、4.用紙の性質とインクジェット適性」(第169〜172頁)には、インクジェット用紙には印字に対する要求特性以前に、当然のことながら紙としての特性が要求され、特に耐カール性や耐コックリング性が求められる旨記載されている。 3-5.刊行物3(「高分子ラテックスの応用 紙塗工」)について 刊行物3は、インクジェット記録用塗工紙のみならず、印刷用塗工紙、包装用塗工紙などを含む種々の塗工紙全般の調製技術に係る文献であり、「筆記図画用紙」用の塗工紙の原紙として、LBKP木材パルプに10〜15重量%の填料を配合した上質紙を使用すること(「塗工原紙」の項、第15〜17頁)、ブレードコーターによる両面塗工で、「軽量コート紙」を製造するにあたり、クレー100重量部に、酸化スターチ15重量部、スチレン-ブタジエン合成高分子ラテックス15重量部を配合した塗工剤を使用すること(「塗工紙製造プロセスの概要」の項、第121〜125頁)、スチレン-ブタジエン合成高分子ラテックスは、スチレン共重合率が70%以下で、ガラス転移温度が約10℃以下であると、室温成膜性があること(「ラテックスバインダー」の項、第54〜59頁)が記載されている。 3-6.刊行物4(特開平3-275378号公報)について 刊行物4は、「基材上に多孔質のインク受容層を設けた印刷用シートにおいて、インク受容層が主として擬ベーマイトから成り、該層は実質的に半径10〜100Åの細孔を有し、半径10〜30Åの細孔が占める細孔容積が全容積の70%以上であることを特徴とする印刷用シート。」(特許請求の範囲請求項1)に関するものであり、 実施例5には、アート紙の支持体表面に、擬ベーマイトゾル8重量部、ポリビニルアルコール1重量部からなる塗工層(厚さ5μm)を塗設して印刷用シートを調製し、オフセット印刷すると、高速印刷性、鮮明発色性に優れたものであったことが示されている。 3-7.刊行物5(「最新 紙加工便覧」)について 刊行物5の「アート紙」の項(第633〜635頁)には、「アート紙」について、クラフトパルプと、タルク、クレー等の填料を配合して抄紙した原紙に、白色顔料を含む塗液を両面塗工したものであることが記載されている。 3-8.刊行物6(「紙パルプ技術便覧」)について 刊行物6の「印刷用紙用の塗料」の項(第324〜329頁)には、「アート紙」の製造に使用する塗液について、カオリン70重量部、炭酸カルシウム20重量部、サチン白10重量部、スチレン-ブタジエン合成高分子ラテックス12重量部、デンプン6重量部からなる配合例が記載されている。 4.検討・判断 4-1.特許法第36条第5項違反〔理由ウ〕について ・特許異議申立人 田井靖人は、特許請求の範囲に、バックコート層の必須配合成分であるカオリン顔料が記載されておらず、また、該顔料と水溶性バインダー等との配合割合も記載されていないので、発明の構成が不明瞭であり、特許法第36条第5項違反である旨指摘している。 ・そこで検討するに、訂正後の特許請求の範囲には、「カオリン・・・を必須成分とし、」、「該カオリン100重量部に対し、該水溶性バインダーを1〜6重量部含有する」と明記されており、指摘の点はいずれも解消されている。 したがって、特許法第36条第5項違反との異議申立人の主張は認められない。 4-2.特許法第29条第1項第3号違反〔理由ア〕について 本件発明と、特許異議申立人 田井靖人の提出した刊行物1の実施例5記載の発明とを対比するに、後者の「スチレン-ブタジエン共重合体の合成高分子ラテックス」は、参考文献1や刊行物2を参酌すると、スチレン量が50〜70%程度で、ガラス転移温度Tgが約-20℃から0℃のものであることが明らかであり、前者の「ガラス転移温度-50〜+25℃の合成高分子ラテックス」に該当するので、 両者は、「木材パルプと顔料を主成分としてなる支持体の表面に少なくとも1層以上のインク受理層、該支持体の裏面に少なくとも1層以上のバックコート層を塗設してなるインクジェット記録シートにおいて、該インク受理層が、顔料として少なくとも多孔性無機顔料を含有し、該バックコート層が、カオリンとバインダーとしてガラス転移温度-50〜+25℃の合成高分子ラテックスを必須成分とし、これに澱粉、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体からなる水溶性バインダーを1種類以上混合してなるものであるインクジェット記録シート。」で一致するが、 バックコート層の填料について、前者が、「カオリン100重量部」のみであるのに対して、後者が、カオリン50重量部に、酸化チタン30重量部と、炭酸カルシウム20重量部とを加えて填料100重量部としている点、及び、 バックコート層の水溶性バインダー配合割合について、前者が「1〜6重量部」と規定するのに対して、後者が、その範囲外の「15重量部」としている点、 で明確に相違している。 したがって、本件発明は、刊行物1に記載された発明と同一であるとはいえず、特許法第29条第1項第3号の規定に違反して特許されたものとはいえない。 4-3.特許法第29条第2項違反〔理由イ〕〔理由エ〕について ・本件発明と、特許異議申立人 田井靖人の提出した刊行物1の発明とを対比しての一致点、相違点は、上記4-2.で検討したとおりである。 相違点を検討するに、刊行物2、参考資料1〜2には、インクジェット記録シートのバックコート層に使用する填料の種類や配合量、水溶性バインダー配合量について、何らの記載も示唆もないので、それらから、相違点に係る構成を導き出すことはできない。 そして、本件発明は、上記相違点に係る構成を備えることにより、「インクジェット記録後のインク吸収によって生じるシートのうねりを抑制し、温度や湿度の変化に影響され難いカール適性を確保できる」との明細書記載の作用効果を奏するものと認められる。 したがって、本件発明は、刊行物1〜2、参考資料1〜2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものとはいえない。 ・次いで、特許異議申立人 大湯佳子の提出した特許異議申立書、及び、その甲号各証、即ち、刊行物3〜6について検討するに、刊行物3〜6は、いずれも、油性インクを用いるオフセット印刷などの一般印刷用途の塗工紙に係る文献であり、水性のインクジェット記録用途の塗工紙・記録シートについての具体的な記載はない。 インクジェット記録シートが、典型的な塗工紙の一種であり、紙塗工技術によって製造されることは確かであるが、それらの一般印刷用塗工紙に係る記述から、インクジェット記録記録シートに固有の「インクジェット記録後のインク吸収によって生じるシートのうねりやカールの抑制」(本件明細書の【発明が解決しようとする課題】欄参照)という課題や、該課題解決のための具体的な積層構成、塗工層成分構成を見出すことはできない。 したがって、本件発明は、刊行物3〜6に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものとはいえない。 ・さらに、特許異議申立人 田井靖人の提出した刊行物1〜2、参考資料1〜2、及び、大湯佳子の提出した刊行物3〜6に記載された発明を組み合わせたところで、本件発明の構成に結び付けることはできず、本件発明の奏する効果を予測できたものとすることもできない。 結局、本件発明は、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものとはいえない。 5.むすび 以上のとおりであり、特許異議申立の理由及び証拠によっては、本件発明の特許を取り消すことはできない。 また、他に本件発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 インクジェット記録シート (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 木材パルプと顔料を主成分としてなる支持体の表面に少なくとも1層以上のインク受理層、該支持体の裏面に少なくとも1層以上のバックコート層を塗設してなるインクジェット記録シートにおいて、該インク受理層が、顔料として少なくとも多孔性無機顔料を含有し、該バックコート層が、カオリンとバインダーとしてガラス転移温度-50〜+25℃の合成高分子ラテックスを必須成分とし、これに澱粉、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体からなる水溶性バインダーを1種類以上混合してなるものであり、該バックコート層が、該カオリン100重量部に対し、該水溶性バインダーを1〜6重量部含有することを特徴とするインクジェット記録シート。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、インクを用いて記録するインクジェット記録シートに関するものであり、特に、インクジェット記録後のインク吸収によって生じるシートのうねりを抑制し、温度や湿度の変化に影響され難いカール適性を確保したインクジェット記録シートに関するものである。 【0002】 【従来の技術】インクジェット記録方式は、種々の作動原理によりインクの微小液滴を飛翔させて紙などの記録シートに付着させ、画像・文字などの記録を行なうものであるが、高速、低騒音、多色化が容易、記録パターンの融通性が大きい、現像-定着が不要等の特徴があり、漢字を含め各種図形及びカラー画像等の記録装置として種々の用途に於いて急速に普及している。更に、多色インクジェット方式により形成される画像は、製版方式による多色印刷やカラー写真方式による印画に比較して、遜色のない記録を得ることが可能である。又、作成部数が少なくて済む用途に於いては、写真技術によるよりも安価であることからフルカラー画像記録分野にまで広く応用されつつある。 【0003】このインクジェット記録方式で使用される記録シートとしては、通常の印刷や筆記に使われる上質紙やコーテッド紙を使うべく、装置やインク組成の面から努力が成されてきた。しかし、装置の高速化・高精細化あるいはフルカラー化などインクジェット記録装置の性能の向上や用途の拡大に伴い、記録シートに対してもより高度な特性が要求されるようになった。即ち、当該記録シートとしては、印字ドットの濃度が高く色調が明るく鮮やかであること、インクの吸収が早く印字ドットが重なった場合に於いてもインクが流れ出したり滲んだりしないこと、印字ドットの横方向への拡散が必要以上に大きくなく、且つ周辺が滑らかでぼやけないこと等の高い画像再現性が要求される。 【0004】このような要求に対して、従来からいくつかの提案がなされてきた。例えば支持体表面にシリカ系顔料を主成分とした空隙層となるインク受理層を設けて、インク吸収性を向上させる工夫がなされてきた(特開昭52-9074号公報、同58-72495号公報等)。このインク受理層によってインク吸収性を上げ、高い印字ドット濃度やインク滲みがない印字ドットを得るために、特開昭55-51583号公報及び特開昭56-157号公報には、非膠質シリカ粉末を配合する提案がある。また、色彩性や鮮明性はインク中の染料のインク受理層に於ける分布状態にあることに着目し、染料成分を吸着する特定の剤を用いる提案(特開昭55-144172号公報)もなされてきた。 【0005】また、インクジェット記録後の問題として、水性インクで印字後のシートにうねりの発生がある。印字後の記録シートにうねりが存在すると、画像再現性に優れても官能的に評価される美観の低下となる。このうねりは、浸透してきたインクによって、支持体層の木材パルプの伸縮に起因した凹凸の発生である。従って、支持体層へのインクの浸透を防止することがうねりを回避する対策となるが、このことは、インク受理層で多量のインクを吸収することと同意であり、インク受理層を増やすと、塗層の剥離(粉落ち)が発生しやすくなる。 【0006】しかし、インク受理層を増やさずに、水性インクの浸透を抑えることは、インク受理層や支持体の空隙量を減らすことや溌水性を増す方法が考えられるが、その結果、インク受理層や支持体へのインクの浸透が遅れ、インクが未乾燥となり、インクを重ねてドット印字される重色部では、ドット周辺にインクが溢れたり、インクジェット記録装置内でのシートの搬送中に、搬送装置周辺の機器と接触して、印字部分が擦れ、地汚れと呼ばれる印字部分の擦れ汚れが発生する。この擦れ汚れが広範囲に発生すると非画線部が汚れて美観を損なうばかりか、極めて狭い範囲であると隣合うドットが接触し合い、ドット径の肥大化に伴う鮮明性の低下や混色による色彩性の悪化が生じて、画像再現性を大きく劣ることになる。 【0007】このような印字後に発生するボコツキ現象を回避するために、従来、各種提案がなされているが、最近、特開平4-298380号公報で、バックコート層に平板状顔料とガラス転移温度が30〜60℃のバインダーを併用した試みが行われている。一般に、エマルジョンタイプのバインダーを用いて接着性を確保するためには、ガラス転移温度以上の温度で処理する必要があり、完全な接着力を発現させるためには、ガラス転移温度より約60℃以上高い温度での処理が必要と言われている(室井宗一著:高分子ラテックス接着剤;高分子刊行会発行)。このことから、接着力を維持し、バックコート層の剥離を防止するためには、バインダーを増量することや、バックコート層を設けた後に、ガラス転移温度以上、好ましくはガラス転移温度より約60℃以上の高い温度での処理が必須となる。 【0008】しかし、バインダー増量は、ブロッキングと呼ばれるシート同志が付く現象が発生することによって、複数枚のシートをセットし、一枚づつ印字する機構を取っているインクジェット記録装置では、ブロッキングの発生は、シートが重なって搬送されるばかりでなく、紙詰まりと呼ばれる搬送が不可能となる問題の発生がある。さらには、ブロッキングは、バックコート層とインク受理層が付く現象のため、バックコート層側にインク受理層が剥離される問題が生じる。また、バックコート層塗設後の乾燥工程で乾燥温度を高めて、接着性を確保することは、バックコート層中のバインダー移動を促進させるために、バックコート層中のバインダー分布を不均一にし、既に印字前にうねりが発生する問題がある。 【0009】インクジェット記録シートには、インク受理層やバックコート層及び支持体が、温度や湿度の影響を受けて伸縮するために、インクジェット記録装置の普及に伴って、如何なる温度や湿度の条件下でもカールの発生しない特性(カール適性)が要求される。該記録シートに於けるカールの発生は、温度や湿度の変化に対して、該記録シートの表面と裏面の伸縮の違いによって生じるものであり、例えば、低湿度の環境下に於いて、表面が裏面の収縮よりも大きいと、表面側に該記録シートのエッジが反ることになる。 【0010】カール適性の欠如は、インクジェット記録装置内で給紙や排紙が出来ないといった問題ばかりでなく、カールによりインクジェット記録装置内で、上記した地汚れといった問題も併発させる。このことから、ポリエチレンテレフタレートフィルムを支持体として、カール適性を確保する試みが、特開昭61-235184号公報や特開昭62-282967号公報に開示されたが、近年に要求される、如何なる温度や湿度の条件下におけるカール適性レベルを得ることは難しく、さらには、支持体が、木材パルプと顔料を主成分とするものに対しては、その効果を得ることは殆どできないのが現状である。 【0011】近年のビジュアル化に伴って、画像の鮮明性や色彩性を向上させるために、記録シート上の単位面積当たりに印字されるドット数が増加する傾向にある。このことは、浸透するインク量が増加することであり、結果として、印字後のうねりが発生し易くなっているのが現状である。また、インクジェット記録装置の普及に伴って、使用される環境が低温低湿から高温高湿にまで渡るため、如何なる温度や湿度の条件下でもカール適性を確保する必要性も高まっている。 【0012】 【発明が解決しようとする課題】かかる現状に鑑み、本発明の目的は、インクジェット記録後のインク吸収によって生じるシートのうねりを抑制し、温度や湿度の変化に影響され難いカール適性を確保したインクジェット記録シートを得ることにある。 【0013】 【課題を解決するための手段】本発明者等は、インクジェット記録シートについての種々の検討を重ねた結果、バックコート層に特定の合成高分子ラテックスと水溶性バインダーを含有させることによって、極めて効果的に、印字後に発生するシートのうねりが抑制され、温度や湿度の変化に影響され難いカール適性が確保されることを見いだし、本発明の完成に至った。 【0014】本発明は、ガラス転移温度が-50〜+25℃の合成高分子ラテックスと水溶性バインダーを併用して、バックコート層を塗設することによって、接着強度、印字後のうねり、カール適性の良好なインクジェット記録シートが得られるのであって、該ラテックスと水溶性バインダーをそれぞれ単独で配合しても本発明の目的を達成することはできない。即ち、本発明は、木材パルプと顔料を主成分として成る支持体の表面に、少なくとも1層以上のインク受理層、該支持体の裏面に少なくとも1層以上のバックコート層を塗設して成るインクジェット記録シートにおいて、該インク受理層が、顔料として少なくとも多孔性無機顔料を含有し、該バックコートが、カオリンとバインダーとしてガラス転移温度-50〜+25℃の合成高分子ラテックスを必須成分とし、さらに水溶性バインダーである澱粉、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体を1種類以上混合してなるものであり、該バックコート層が、該カオリン100重量部に対し、該水溶性バインダーを1〜6重量部含有することを特徴とするインクジェット記録シートを提供するものである。 【0015】本発明に用いられる支持体は、木材パルプと顔料を主成分として構成される。木材パルプとしては、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等のパルプを含み、必要に応じて従来公知の顔料やバインダー及びサイズ剤や定着剤、歩留まり向上剤、カチオン化剤、紙力増強剤等の各種添加剤を1種以上用いて混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤ抄紙機等の各種装置で支持体の製造が可能であり、酸性、中性、アルカリ性で抄造できる。また、該支持体にそのままインク受理層を設けても良いし、澱粉、ポリビニルアルコール等でのサイズプレスやアンカーコート層を設けた後にインク受理層を設けても良い。さらには、該支持体の平坦化をコントロールする目的で、マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置を使用しても良いし、アート紙、コート紙、キャストコート紙等の塗工紙を支持体として適用しても良い。 【0016】本発明に用いられる支持体及びインク受理層には、公知の白色顔料を1種以上用いることができる。例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サテンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。上記の中でもインク受理層中に主体成分として含有する白色顔料としては多孔性無機顔料が好ましく、多孔性合成非晶質シリカ、多孔性炭酸マグネシウム、多孔性アルミナ等があげられ、特に細孔容積の大きい多孔性合成非晶質シリカが好ましい。また、バックコート層中に含有する白色顔料としてはカオリンを用いる。 【0017】本発明に係る合成高分子ラテックスとは、ビニルポリマー系ラテックスとして、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等の単独重合体やアクリル、酢酸ビニル、塩化ビニル等の共重合体を指す。また、合成ゴム系ラテックスとして、ポリイソブチレン、クロロプレンゴム、ポリブタジエンゴム等の単独重合体やスチレン・ブタジエン、アクリロニトリル・ブタジエン、メチルメタクリレート・ブタジエン、アクリル酸エステル等の共重合体を指す。さらにこれら各種重合体をカルボキシル基等の官能基で修飾して変性したものも含まれる。 【0018】また、本発明に於いて要求される該ラテックスの特性はガラス転移温度であって、上記の組成を変量する事によって、所望のガラス転移温度を得ても良いし、複数のラテックスをブレンドして、ガラス転移温度を調節しても良い。さらには、上記の組成に、スチレン、メチルメタクリレート、アクリルニトリル、高級アルキリアクリレート、フマレート等の成膜助剤や可塑剤を共重合して、ガラス転移温度をコントロールしても良い。 【0019】本発明に係る澱粉とは、とうもろこし、馬鈴薯、タピオカ、小麦等を原料として変性される酸化澱粉、アセチル化澱粉、ヒドロキシエチル化澱粉、エーテル化澱粉、エステル化澱粉、酵素変性澱粉、熱化学変性澱粉、デキストリン等であり、さらには、それらをフラッシュドライして得られる冷水可溶性澱粉も含まれる。また、本発明に係るセルロース誘導体とは、メチルセルロース、エチルセルロース、酢酸セルロース、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、カルボキシルエチルセルロースなどの水溶性セルロースバインダーである。 【0020】また、本発明に係るポリビニルアルコールとは、ポリ酢酸ビニルから加水分解によって生成される構造式(CH2C(OH)H)nの高分子化合物であり、本発明に係るポリビニルアルコールは、重合度nが500以上、鹸化度87以上のものを指す。重合度が500未満や鹸化度が87以下では、塗工時に於ける粘度が低くなり、塗工量制御が難しくなる。塗工液濃度にもよるが、好ましくは、重合度500〜2500、鹸化度87以上である。さらに、シリル変性ポリビニルアルコールであると、水性インクの浸透や湿度に対して耐水性に富むバックコート層が得られるため、本発明の効果をさらに高めることができる。 【0021】本発明に係るインク受理層は、上記した顔料に、バインダーとして、合成高分子ラテックス、澱粉、ポリビニルアルコール、水溶性セルロースバインダーを用いることができる。バインダーの総量は、目的とするインクジェット記録シートの特性に合わせて、適宜調整することが出来るが、一般には、顔料100重量%に対して、5〜60重量%である。さらに、インク受理層には、その他の添加剤として、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤等を適宜配合することもできる。 【0022】本発明に係るバックコート層は、カオリンに、バインダーとして、ガラス転移温度が-50〜+25℃の合成高分子ラテックスが必須成分として配合され、さらに、澱粉、ポリビニルアルコール、水溶性セルロースバインダーの1種類以上が該顔料100重量部に対し1〜6重量部混合されることによって、本発明の目的が達成される。バックコート層の塗工量が、3g/m2未満では、良好なカール適性が得られ難く、30g/m2を超えると塗工乾燥工程でのバインダー移動によって、逆にシートが波打ちうねりが発生するので、好ましくは、3〜30g/m2である。また、バックコート層には、その他の添加剤として、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤等も適宜配合することもできる。 【0023】インク受理層またはバックコート層を塗工及び含浸する方法は、各種ブレードコータ、ロールコータ、エアーナイフコータ、バーコータ、ロッドブレードコータ、ショートドウェルコータ、サイズプレス等の各種装置をオンマシンあるいはオフマシンで用いることができる。また、塗工又は含浸後には、マシンカレンダー、TGカレンダー、スーパーカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダーを用いて仕上げても良い。 【0024】本発明で云う水性インクとは、下記の着色剤、液媒体、その他の添加剤からなる記録液体である。着色剤としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料或は食品用色素等の水溶性染料が挙げられる。 【0025】水性インクの溶媒としては、水及び水溶性の各種有機溶剤、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、イソブチルアルコール等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトンアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6-ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個のアルキレングリコール類;グリセリン、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類等が挙げられる。これらの多くの水溶性有機溶剤の中でも、ジエチレングリコール等の多価アルコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテルが好ましい。その他の添加剤としては、例えば、PH調節剤、金属封鎖剤、防カビ剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、湿潤剤、界面活性剤、及び防錆剤等が挙げられる。 【0026】本発明におけるインクジェット記録シートは、インクジェット記録シートとしての使用に留まらず、記録時に液状であるインクを使用するどのような記録シートとして用いてもかまわない。例えば、熱溶融性物質、染顔料などを主成分とする熱溶融性インクを樹脂フィルム、高密度紙、合成紙などの薄い支持体上に塗布したインクシートを、その裏面より加熱し、インクを溶融させて転写する熱転写記録用受像シート、熱溶融性インクを加熱溶融して微小液滴化、飛翔記録するインクジェット記録シート、油溶性染料を溶媒に溶解したインクを用いたインクジェット記録シート、光重合型モノマー及び無色または有色の染顔料を内包したマイクロカプセルを用いた感光感圧型ドナーシートに対応する受像シートなどが挙げられる。 【0027】これらの記録シートの共通点は、記録時にインクが液体状態である点である。液状インクは、硬化、固化又は定着までに、記録シートのインク受理層の深さ方向又は水平方向に対して浸透又は拡っていく。上述した各種記録シートは、それぞれの方式に応じた吸収性を必要とするもので、本発明のインクジェット記録シートを上述した各種の記録シートとして利用しても何ら構わない。更に、複写機・プリンター等に広く使用されている電子写真記録方式のトナーを加熱定着する記録シートとして、本発明におけるインクジェット記録シートを使用しても構わない。 【0028】 【作用】本発明の目的である、印字後に発生するシートのうねりの回避とカール適性の確保を達成するためには、バックコート層に、ガラス転移温度が-50〜+25℃、好ましくは、-40〜+25℃である合成高分子ラテックスを必須成分として配合し、さらに、澱粉、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体を1種類以上配合することが必要である。 【0029】ガラス転移温度が-50℃未満の合成高分子ラテックスを含有するバックコート層は、接着強度は良好であるが、ブロッキング性に劣るため、記録シート同志が付いてしまう問題がある。また、該ラテックスのガラス転移温度が+25℃を超えてたり、該ラテックスを含有しないと接着強度の低下が生じ、さらに印字後のシートのうねりの発生をバックコート層で防止することができない。接着強度の低下を回避するために該ラテックスを増量すると、印字前に、既にうねりの発生がある。この印字前のうねりの発生は、バックコート層の深さや面方向に於ける該ラテックス分布の不均一性に起因すると考えられる。 【0030】バックコート層に、澱粉、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体を適用しないと、カール適性の確保が出来ない。これは、澱粉、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体の鎖状に連なる形態とガラス転移温度に示されるような高分子の物性に関係していると考えることができる。即ち、鎖状の形態を取る澱粉、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体を含有するバックコート層は、塗工乾燥されると、その鎖状の形態をバックコート層の深さや面方向に伸ばし強固な層を形成するためと考えられる。さらには、澱粉、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体のガラス転移温度は、一般に約+65℃以上であり、インクジェット記録装置が使用される環境温度よりも高いから、澱粉やポリビニルアルコールを含有するバックコート層は、インクジェット記録シートのカール発生を抑制すると考えられる。 【0031】しかし、合成高分子ラテックスのような粒子化されたもののガラス転移温度を上げてもカール適性を確保することは難しい。これは、ガラス転移温度が高いために、接着強度の低下と同じ機構で生じていると考えられる。つまり、該ラテックスの接着強度は、ガラス転移温度よりも高い温度で処理されてフィルム化することによって生じる。従って、フィルム化が塗層全体に行き渡らなければ、接着強度は低下し、カールに対する保持力も低下すると考えることができる。一方、澱粉やポリビニルアルコールは、ガラス転移温度以下であっても、溶媒の蒸発が伴えば、接着強度を確保できるため該ラテックスのような問題は回避されると考えることができる。 【0032】 【実施例】以下に、本発明の実施例をあげて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。又、実施例に於いて示す「部」及び「%」は、特に明示しない限り重量部及び重量%を示す。 【0033】1)うねり評価 うねりは、シアンインク、マジンタインク、イエローインクの単色ドットを重ねて、重色インクドットをA4サイズ(210mm×297mm)全面に印字し、印字後のシート面を目視により下記基準で判定した。品質上問題とならないのは、A及びBの評価である。 A:うねりは判らず、美観を損なわない。 B:うねりは小さく、美観を損なうことはない。 C:うねりは大きく、美観が損なわれる。 【0034】2)カール適性評価 カール適性は、5℃・10%RH、20℃・65%RH、40℃・90%RHの各環境条件下で実施例及び比較例のサンプル(A4サイズ)を放置した後、卓上にサンプルを置き、サンプル1枚の四隅のカール高さ(H)を測定した。尚、カールした四隅を上にして、カール高さを計測し、表記を以下のように定義した。 A:0≦H<5 [mm];良好なレベルである。 B:5≦H<10[mm];実用上問題ない。 C:10≦H [mm];搬送性大幅に低下し、実用上問題。 【0035】3)接着強度評価 接着強度は、バックコート層表面に市販のセロテープを貼り、テープに付着したバックコート層の程度を目視により下記基準で判定した。品質上問題とならないのは、A及びBの評価である。 A:テープに付着ぜす、良好な接着性である。 B:テープに僅かに付着があるが、実用上は問題ない。 C:テープにかなり付着が有り、実用上問題有り。 【0036】4)ブロッキング評価 ブロッキングは、A4サイズのサンプル10枚を重ねた上に、3kgのおもりを乗せ、40℃・90%RHの環境下で24時間放置した後に、目視により下記基準でブロッキング性を判定した。品質上問題とならないのは、A及びBの評価である。 A:ブロッキング発生なし。 B:僅かにブロッキングは認められるが、搬送性には問題とならない。 C:かなり強固なブロッキングであり、インク受理層も剥離し、実用上不可。 【0037】実施例1 支持体は、LBKP(濾水度400mlcsf)80部とNBKP(濾水度450mlcsf)20部から成る木材パルプ100部に対して、軽質炭酸カルシウム/重質炭酸カルシウム/タルクの比率が30/35/35の顔料25部、市販アルキルケテンダイマー0.10部と市販カチオン系アクリルアミド0.03部、市販カチオン化澱粉0.8部、硫酸バンド0.4部を調成後、長網抄紙機を用いて坪量90g/m2で抄造した。支持体表面にインク受理層と裏面にバックコート層を設けた後にカレンダー処理を行い、実施例1のインクジェット記録シートを得た。 【0038】抄造した支持体表面にインク受理層を設けた。インク受理層組成物として、合成非晶質シリカ(ファンシールX37B:徳山曹達社製)100部とポリビニルアルコール(PVA117:クラレ社製)50部、カチオン性染料定着剤(スミレーズレジン1001:住友化学工業社製)20部を用い、これを調液し、固形分濃度13%とした。調整したインク受理層塗液を用いて、エアーナイフコータにより塗工量8g/m2となるように支持体表面に塗工した。 【0039】さらに、インク受理層の設けられた反対面に、バックコート層を設けた。バックコート層は、カオリン(ハイドラスパース:Huber社製)100部とポリビニルアルコール(Rポリマー1130:クラレ社製)5部及びガラス転移温度25℃のアクリル系ラテックス(ボンコートAN127:大日本インキ社製)10部を混合して、固形分濃度35%のバックコート層塗液を調液した。調液したバックコート層塗液を用いて、エアーナイフコータにより塗工量8g/m2となるようにインク受理層の反対面に塗工し、カレンダー処理してインクジェット記録シートを得た。 【0040】実施例2〜12及び比較例1〜6 支持体及びインク受理層は、実施例1と同じ条件で得た。バックコート層組成物は、実施例1と同じカオリン100部と表1の如き合成高分子ラテックスを配合、さらにポリビニルアルコール、澱粉、セルロース誘導体を配合した。バックコート層の塗設は、実施例1と同じにした。比較例6は、該ラテックスを配合しなかった。 【0041】表1に実施例及び比較例の配合内容を、表2に特性評価結果を示す。なお、表1及び表2に於ける注意書きの内容を以下に示す。 【0042】<*1> Tg:ガラス転移温度。 部数:顔料100部に対した配合量。 種類:SB;市販スチレンブタジエン系ラテックス。 A ;市販アクリル系ラテックス(エマルジョン)。 【0043】<*2> PVA:ポリビニルアルコール(実施例1と同じものを配合) 部数:顔料100部に対した配合量。 【0044】<*3> 部数:顔料100部に対した配合量。 種類:O ;市販酸化澱粉。 P ;市販燐酸エステル化澱粉。 【0045】<*4> 部数:顔料100部に対した配合量。 種類:CMC;カルボキシメチルセルロース。 HEC;ヒドロキシエチルセルロース。 【0046】<*5>比較例5の印字後うねりは、印字前からC評価のうねりが発生していた。 【0047】 【表1】 ![]() 【0048】 【表2】 ![]() 【0049】 【発明の効果】以上から明らかなように、本発明によれば、インクジェット記録後のインク吸収によって生じるシートのうねりを抑制し、温度や湿度の変化に影響され難いカール適性を確保したインクジェット記録シートが得られる。 |
訂正の要旨 |
訂正の要旨 特許第3186271号発明の特許明細書を 下記のとおり訂正する。 a.特許請求の範囲の減縮を目的として、特許請求の範囲の請求項1 「木材パルプと顔料を主成分としてなる支持体の表面に少なくとも1層以上のインク受理層、該支持体の裏面に少なくとも1層以上のバックコート層を塗設してなるインクジェット記録シートにおいて、該バックコート層のバインダーが、ガラス転移温度-50〜+25℃の合成高分子ラテックスを必須成分とし、これに澱粉、ボリビニルアルコール、セルロース誘導体からなる水溶性バインダーを1種類以上混合してなるものであることを特徴とするインクジェット記録シート。」を、 「木材パルプと顔料を主成分としてなる支持体の表面に少なくとも1層以上のインク受理層、該支持体の裏面に少なくとも1層以上のバックコート層を塗設してなるインクジェット記録シートにおいて、該インク受理層が、顔料として少なくとも多孔性無機顔料を含有し、該バックコート層が、カオリンとバインダーとしてガラス転移温度-50〜+25℃の合成高分子ラテックスを必須成分とし、これに澱粉、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体からなる水溶性バインダーを1種類以上混合してなるものであり、該バックコート層が、該カオリン100重量部に対し、該水溶性バインダーを1〜6重量部含有することを特徴とするインクジェット記録シート。」と訂正する。 b.明瞭でない記載の釈明を目的として、明細書の第14段落 「本発明は、ガラス転移温度が-50〜+25℃の合成高分子ラテックスと水溶性バインダーを併用して、バックコート層を塗設することによって、接着強度、印字後のうねり、カール適性の良好なインクジェット記録シートが得られるのであって、該ラテックスと水溶性バインダーをそれぞれ単独で配合しても本発明の目的を達成することはできない。即ち、本発明は、木材パルプと顔料を主成分として成る支持体の表面に、少なくとも1層以上のインク受理層、該支持体の裏面に少なくとも1層以上のバックコート層を塗設して成るインクジェット記録シートにおいて、該バックコートのバインダーが、ガラス転移温度-50〜+25℃の合成高分子ラテックスを必須成分とし、さらに水溶性バインダーである澱粉、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体を1種類以上混合してなるものであることを特徴とするインクジェット記録シートを提供するものである。」を、 「本発明は、ガラス転移温度が-50〜十25℃の合成高分子ラテックスと水溶性バインダーを併用して、バックコート層を塗設することによって、接着強度、印字後のうねり、カール適性の良好なインクジェット記録シートが得られるのであって、該ラテックスと水溶性バインダーをそれぞれ単独で配合しても本発明の目的を達成することはできない。即ち、本発明は、木材パルプと顔料を主成分として成る支持体の表面に、少なくとも1層以上のインク受理層、該支持体の裏面に少なくとも1層以上のバックコート層を塗設して成るインクジェット記録シートにおいて、該インク受理層が、顔料として少なくとも多孔性無機顔料を含有し、該バックコートが、カオリンとバインダーとしてガラス転移温度-50〜+25℃の合成高分子ラテックスを必須成分とし、さらに水溶性バインダーである澱粉、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体を1種類以上混合してなるものであり、該バックコート層が、該カオリン100重量部に対し、該水溶性バインダーを1〜6重量部含有することを特徴とするインクジェット記録シートを提供するものである。」と訂正する。 c.明瞭でない記載の釈明を目的として.明細書の第16段落 「本発明に用いられる支持体及びインク受理層やバックコート層には、公知の白色顔料を1種以上用いることができる。例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトボン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。上記の中でもインク受理層中に主体成分として含有する白色顔料としては多孔性無機顔料が好ましく、多孔性合成非晶質シリカ、多孔性炭酸マグネシウム、多孔性アルミナ等があげられ、特に紬孔容積の大きい多孔性合成非晶質シリカが好ましい。」を、 「本発明に用いられる支持体及びインク受理層には、公知の白色顔料を1種以上用いることができる。例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトボン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。上記の中でもインク受理層中に主体成分として含有する白色顔料としては多孔性無機顔料が好ましく、多孔性合成非晶質シリカ、多孔性炭酸マグネシウム、多孔性アルミナ等があげられ、特に細孔容積の大きい多孔性合成非晶質シリカが好ましい。また、バックコート層中に含有する白色顔料としてはカオリンを用いる。」と訂正する。 d.明瞭でない記載の釈明を目的として、明細書の第22段落 「本発明に係るバックコート層は、上記した顔料に、バインダーとして、ガラス転移温度が-50〜25℃の合成高分子ラテックスが必須成分として配合され、さらに、澱粉、ボリビニルアルコール、水溶性セルロースバインダーを1種類以上混合されることによって、本発明の目的が達成される。・・・」を、 「本発明に係るバックコート層は、カオリンに、バインダーとして、ガラス転移温度が-50〜+25℃の合成高分子ラテックスが必須成分として配合され、さらに、澱粉、ポリビニルアルコール、水溶性セルロースバインダーの1種類以上が該カオリン100重量部に対し1〜6重量部混合されることによって、本発明の目的が達成される。・・・」と訂正する。 |
異議決定日 | 2002-10-24 |
出願番号 | 特願平4-330133 |
審決分類 |
P
1
651・
531-
YA
(B41M)
P 1 651・ 121- YA (B41M) P 1 651・ 113- YA (B41M) |
最終処分 | 維持 |
特許庁審判長 |
城所 宏 |
特許庁審判官 |
伏見 隆夫 植野 浩志 |
登録日 | 2001-05-11 |
登録番号 | 特許第3186271号(P3186271) |
権利者 | 三菱製紙株式会社 |
発明の名称 | インクジェット記録シート |
代理人 | 大滝 均 |