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審決分類 審判 全部申し立て 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備  C08J
管理番号 1071909
異議申立番号 異議2002-71566  
総通号数 39 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1993-08-20 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-06-19 
確定日 2003-02-03 
異議申立件数
事件の表示 特許第3247444号「アミノ官能性シリコーンミクロエマルジョンの製造法」の請求項1ないし10に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第3247444号の請求項1ないし10に係る特許を維持する。 
理由 【1】手続きの経緯
特許第3247444号の請求項1〜10に係る発明は、平成4年9月11日(優先権主張 1991年9月13日 米国)に特許出願されたものであって、その特許について平成13年11月2日に設定登録がなされ、その後、特許異議申立人信越化学工業株式会社から特許異議の申立てがなされたものである。
【2】特許異議の申立てについて
〔1〕本件発明
本件の請求項1〜10に係る発明は、本件の特許明細書の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1〜10に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】つぎの工程(A)-(D):
(A)つぎの成分(1)及び(2)
(1)0.6ないし3.0ミリ当量/gのアミノ含量を有しかつつぎの単位(a)及び(b):
(a)RaQbSiO(4-a-b)/2単位;及び
(b)RcSiO(4-c)/2単位;
[式中、RaQbSiO(4-a-b)/2単位対RcSiO(4-c)/2単位のモル比は1:2ないし1:65の範囲であり;aは0-2の範囲の数であり;bは1-3の範囲の数であり;a+bは3又はそれ以下であり、cは1-3の範囲の数であり;Rは1ないし6個の炭素原子をもつ一価炭化水素基又は置換炭化水素基であり;そしてQは一般式-R1NHZ(式中、R1は炭素及び水素原子;炭素、水素及び酸素原子;又は炭素、水素及びイオウ原子を含んでなる二価の連結基であり;そしてZは水素原子、1-4個の炭素原子を含むアルキル基及び-CH2CH2NH2基からなる群から選んだ原子又は基である)をもつ極性基である]を含んでなるアミノ官能性ポリオルガノシロキサン100重量部;及び
(2)成分(A)(1)100重量部当り10ないし60重量部の少なくとも一種の表面活性剤(たゞし該表面活性剤の少なくとも一種は前記アミノ官能性ポリオルガノシロキサン中に不溶性であるものとする)
を配合することによってオイル及び表面活性剤の混合物を形成し;
(B)工程(A)で製造されたオイル及び表面活性剤の混合物に水を、該オイル及び表面活性剤の混合物の重量に基づいて5ないし40重量部の範囲の割合で、しかも5ないし60分かかって滴加しかつ水の添加中、オイル及び表面活性剤の混合物及びそれに添加された水を含む混合物を攪拌して水とオイル及び表面活性剤の混合物とから均質な混合物を形成させ;
(C)工程(B)で形成された均質混合物に水を、工程(B)及び(C)で添加される水の合計量が工程(A)で形成された混合物の重量に基づいて500ないし1000重量部の範囲になるように添加し;そして
(D)工程(C)で形成された混合物に、1ないし4個の炭素原子をもつ低級脂肪族飽和カルボン酸又はHCl,H2SO4,HNO3,HBr,及びHIから選んだ無機酸を4ないし7のpHをもつ混合物を与えるに足る割合で添加し、それによって該酸を工程(A)成分(1)のアミノ官能性ポリオルガノシロキサンと反応させて水溶性塩を形成させる;工程からなる0.015ないし0.050ミクロンの平均粒度をもつ透明なアミノ官能性ポリオルガノシロキサンミクロエマルジョンの製造法。(以下「本件第1発明」という。)
【請求項2】ミクロエマルジョンが0.015ないし0.04ミクロンの平均粒度をもつ請求項1記載の製造法。(以下「本件第2発明」という。)
【請求項3】アミノ官能性シリコーン油が0.6ないし1.5ミリ当量/gのアミノ含量をもち、Rが1ないし4個の炭素原子をもつアルキル基であり、R1が2ないし10個の炭素原子を含む二価炭化水素基であり、ZがCH2CH2NH2基であり、そしてRaQbSiO(4-a-b)/2単位対RcSiO(4-c)/2単位のモル比が1:5ないし1:65の範囲である請求項1記載の製造法。(以下「本件第3発明」という。)
【請求項4】工程(A)の成分(2)が工程(A)の成分(1)100重量部当り20ないし40重量部の範囲内の割合で存在する請求項1記載の製造法。(以下「本件第4発明」という。)
【請求項5】アミノ官能性ポリオルガノシロキサン中に不溶性の表面活性剤が10ないし16の親水親油バランス値をもちオクチルフェノキシポリエトキシエタノール、トリメチルノニルポリエチレングリコールエーテル、11-15個の炭素原子を含む線状アルコールのポリエチレングリコールエーテル、エトキシル化トリデシルエーテル、ポリエトキシル化第4級塩、第1級脂肪アミンのエチレンオキシド縮合生成物、エチレンオキシド単位含有アルコキシル化シロキサン及びエチレンオキシド単位及びプロピレンオキシド単位含有アルコキシル化シロキサンからなる群から選ばれる非イオン表面活性剤である請求項1記載の製造法。(以下「本件第5発明」という。)
【請求項6】工程(A)の成分(2)がトリメチルノニルポリエチレングリコールエーテル及びオクチルフェノキシポリエトキシ(40)エタノールの70%水溶液をトリメチルノニルポリエチレングリコールエーテル:オクチルフェノキシポリエトキシ(40)エタノールの70%水溶液の重量比1:2ないし5:1の割合で含有する非イオン表面活性剤混合物である請求項1記載の製造法。(以下「本件第6発明」という。)
【請求項7】工程(D)における酸が2ないし4個の炭素原子をもつ低級脂肪族カルボン酸である請求項1記載の製造法。(以下「本件第7発明」という。)
【請求項8】工程(D)におけるカルボン酸を4.5ないし6のpHを与えるに足る割合で使用する請求項1記載の製造法。(以下「本件第8発明」という。)
【請求項9】さらに工程(E)として、工程(D)で形成された混合物に、その重量に基づく重量部で表わして有効量のグリセリン又はポリアルキレングリコールを添加する工程を含んでなる請求項1記載の製造法。(以下「本件第9発明」という。)
【請求項10】さらに工程(F)として有効量の殺生物剤を添加する工程を含んでなる請求項1記載の製造法。(以下「本件第10発明」という。)」
〔2〕特許異議申立ての理由の概要
特許異議申立人信越化学工業株式会社は本件第1発明〜本件第10発明の特許は、特許法第36条第5項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである旨主張している。
〔3〕判断
特許異議申立人は特許異議申立書において『本件第1発明の工程(B)で添加される水の量は「該オイル及び表面活性剤の混合物の重量に基づいて5ないし40重量部の範囲の割合」であると規定されていることから、実際に添加される水の量は「アミノ官能性ポリオルガノシロキサン」及び「表面活性剤」の使用量によって、当然に、変動するのであって、特定の範囲に定まるものではない。例えば、ビーカーレベルであれば数g程度であるかもしれないし、また、操業レベルであれば数t程度であるかもしれない。そして、実際に添加される水の量が特定の範囲に定まらないにもかかわらず、「5ないし60分かかって滴加し」との規定のとおり、水を「滴加」する時間は特定の範囲とされている。このことは、例えば、数gの水を60分かけて滴加しても、また、数tの水を5分で「滴加」してもよいことを意味する。このように、本工程(B)において、単位時間当りの水の「滴加」量が極端に変動し得ても、常に、「水とオイル及び表面活性剤の均質な混合物」が形成されるということは、技術常識に照らして理解し得る範囲を超えている。』ということを主張しているが、工程(B)における水の添加量と添加速度及び攪拌の仕方は当業者であれば「水とオイル及び表面活性剤の均質な混合物」が形成されるように実験的規模や工業的規模の規模の大きさに応じて実験や設計により適宜決定し得るものである。
したがって、特許異議申立人の上記主張を採用することはできない。
そして、本件第1発明を引用する本件第2発明〜本件第10発明の記載についても、本件第1発明と同様に、特許異議申立人の上記主張を採用することはできない。
〔4〕むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立人信越化学工業株式会社が提出した特許異議の申立ての理由によっては、本件第1発明〜本件第10発明の特許を取り消すことはできない。
また、他に本件第1発明〜本件第10発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、本件第1発明〜本件第10発明の特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認められない。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、上記のとおり決定する。
 
異議決定日 2003-01-15 
出願番号 特願平4-242874
審決分類 P 1 651・ 534- Y (C08J)
最終処分 維持  
前審関与審査官 森川 聡  
特許庁審判長 三浦 均
特許庁審判官 佐々木 秀次
中島 次一
登録日 2001-11-02 
登録番号 特許第3247444号(P3247444)
権利者 ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
発明の名称 アミノ官能性シリコーンミクロエマルジョンの製造法  
代理人 松本 研一  
代理人 岩見谷 周志  

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