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審決分類 |
審判 訂正 判示事項別分類コード:812 訂正する H02P |
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管理番号 | 1072429 |
審判番号 | 訂正2002-39227 |
総通号数 | 40 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1986-03-06 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2002-10-24 |
確定日 | 2002-12-17 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第1982420号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第1982420号に係る明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。 |
理由 |
1.手続の経緯、訂正の要旨 (1)本件審判に係る特許第1982420号は、昭和59年8月10日の出願に関するものであって、平成7年10月25日に設定登録がなされたものである。 その後、平成10年11月16日に、特許査定時の明細書(以下「前回訂正前明細書」という。)における特許請求の範囲の請求項1及び発明の詳細な説明の一部を訂正することを求める訂正審判(平成10年審判第39076号。以下「前回訂正審判」という。)が請求され、訂正を認容する平成11年4月21日付けの審決が平成11年5月26日に確定した(以下、前回訂正審判により訂正された明細書を「本件明細書」という。)。 (2)本件審判請求の要旨は、本件明細書を審判請求書に添付した訂正明細書のとおり、すなわち、前回訂正審判において訂正した請求項1の記載のうち、「第1基準電圧がより大きくなった時」を「第1基準電圧より大きくなった時」(以下「本件訂正事項」という。)と訂正することを求めるものである。 2.当審の判断 (1)前回訂正前明細書においては、請求項1は、「・・・スイッチング素子のオフ時にコンデンサの端子電圧が第1基準電圧より大きくなった時に前記スイッチング素子をオンさせると共にスイッチング素子のオン時にコンデンサの端子電圧が前記第1基準値より小さい第2基準電圧より小さくなった時に前記スイッチング素子をオフさせる・・・」と記載されていたものが、前回訂正審判において、スイッチング素子のオン後及びオフ後の動作を限定する際に、「端子電圧が第1基準電圧より大きくなった時」の「第1基準電圧」と「より大きくなった時」の間に「が」が挿入されたものである。 (2)しかし、本件明細書の発明の詳細な説明には、「前記コンパレータ6は、コンデンサ13の端子電圧V+が可変抵抗7の摺動端子上の基準電圧V-より大きくなった時及び小さくなった時に夫々論理値1及び論理値0の出力V0を発生し、論理値1の出力でFET3及びトランジスタ11をオンさせ、論理値0の出力でFET3及びトランジスタ11をオフさせる。前記基準電圧V-は、FET3のオフ時すなわちトランジスタ11のオフ時にVoff=(R+Ra)・E/(R+Ra+Rb)となり」と記載されている(前回訂正前明細書も同様)ように、スイッチング素子がオンするのは、第1基準値が大きくなったときではなく、コンデンサの端子電圧が基準電圧V-より大きくなったときであることは明らかである。 また、ここでいう「基準電圧V-」が請求項1でいう「第1の基準電圧」であることも明らかである。 (3)また、本件明細書における他のどの個所にも、「第1基準電圧がより大きくなった時に」スイッチング素子をオンさせることを示唆するような記載はない。 しかも、本件明細書の請求項1における「端子電圧が第1基準電圧がより大きくなった時に」の文章では、大きくなるのが端子電圧であるのか第1基準電圧であるのか不明なものとなる。 (4)以上から、前回訂正審判において、「第1基準電圧」と「より大きくなった時」の間に「が」が挿入されたのは、単なる誤記に過ぎないもので、本件訂正事項は、その誤記を訂正するものであることは明らかであると認められる。 したがって、本件訂正事項は、誤記の訂正を目的とする訂正に該当し、新規事項の追加に該当せず、また、特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。 3.むすび したがって、本件審判の請求は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項において「この法律の施行前にした特許出願に係る特許の願書に添付した明細書又は図面についての訂正及び訂正に係る特許の無効については、なお従前の例による。」との規定に基づく平成5年改正による特許法第126条第1項ただし書及び第2項に適合する。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 直流電動機の速度制御装置 (57)【特許請求の範囲】 1.直流電源の両端に接続された直流電動機及び半導体スイッチング素子の直列回路と、抵抗を介して前記スイッチング素子と並列に接続され、スイッチング素子のオフ時に直接電動機、抵抗を介して充電され、スイッチング素子のオン時に抵抗、スイッチング素子を介して放電するコンデンサと、スイッチング素子のオフ時にコンデンサの端子電圧が第1基準電圧より大きくなった時に前記スイッチング素子をオンさせると共にスイッチング素子のオン後直ちにコンデンサの端子電圧を第1基準電圧より小さい第2基準電圧と比較するように動作し、スイッチング素子のオン時にコンデンサの端子電圧が前記第2基準電圧より小さくなった時に前記スイッチング素子をオフさせると共にスイッチング素子のオフ後直ちにコンデンサの端子電圧を第1基準電圧と比較するように動作する比較制御手段とを備え、前記スイッチング素子のオン・オフデューティを制御して直流電動機を一定速度で回転させるようにしたことを特徴とする直流電動機の速度制御装置。 2.前記半導体スイッチング素子をFETにより構成したことを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の直流電動機の速度制御装置。 3.前記直流電動機の両端に接続された速度設定用可変抵抗及び固定抵抗の直列回路を接続すると共に該固定抵抗を短絡するトランジスタを接続し、更に前記コンデンサの端子電圧及び前記可変抵抗の摺動端子上の端子電圧を夫々非反転入力電圧及び反転入力電圧とするコンパレータを設け、該コンパレータの出力によってスイッチング素子及びトランジスタをオン・オフさせ、トタンジスタのオフ時及びオン時の反転入力電圧を夫々前記第1基準電圧及び第2基準電圧とし、コンパレータによって前記比較制御手段を構成するようにしたことを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の直流電動機の速度制御装置。 【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は直流電動機を一定速度で回転させるようにした直流電動機(以下単にモータという)の速度制御装置に関するものである。 〔従来の技術〕 従来、モータ本体に速度発電機を取付け、モータの速度を検出してこれを基準電圧と比較しモータへの入力を制御する方式、またはモータをブリッジの一辺とする電気回路を構成し、回転によりモータ内部に発生する逆起電力を取出し、これを基準電圧と比較しモータへの入力を制御する方式が既に提案されている。 〔発明が解決しようとする課題〕 しかしながら、上記した従来の方式のうち、速度発電機を使用した前者の方式は速度発電機の付加により軸方向長さが長くなるばかりでなく、制御装置自体も複雑になる欠点があり、モータをブリッジの一辺とする後者の方式は負荷電流が大きい場合、モータに直列に接続されるブリッジ抵抗の発熱と大きさが問題となる。 本発明の目的は、上記した従来技術の欠点をなくし、簡単な構成でモータを一定速度で回転させるように制御することである。 〔課題を解決するための手段と作用〕 本発明は、モータが発生する逆起電力及びスイッチング素子の端子電圧が夫々モータの速度及び負荷電流に比例する点に着目し、スイッチング素子のオフ時に充電され、スイッチング素子のオン時に放電されるコンデンサをモータと直列であって、スイッチング素子と並列に接続し、更にコンデンサの端子電圧が基準電圧より大きくなった時に前記スイッチング素子のオンオフデューティを逆起電力及び負荷電流に対応して変え、モータの速度を一定になるように制御したことを特徴とするものである。 〔実施例〕 第1図は本発明の一実施例を示す回路図である。図において、1は直流電源、2はモータ、3はモータ2への入力を制御するスイッチング素子である。該スイッチング素子3は、本実施例ではNチャンネルMOS形電界効果形トランジスタ(以下FETという)としているが、トランジスタでも代替できる。4は本発明比較手段を構成するヒステリシスコンパレータである。ヒステリシスコンパレータ4は、コンパレータ6、モータ2の速度を設定するための可変抵抗7、該可変抵抗7と直列に接続された固定抵抗8、コンパレータ6にヒステリシス特性を持たせるための抵抗9、10及び前記固定抵抗8を短絡するトランジスタ11等から構成される。前記コンパレータ6の反転入力端は可変抵抗7の摺動端子に接続され、直流電源1の電圧を可変抵抗7と固定抵抗8によって分圧した摺動端子上の端子電圧を基準電圧V-としている。5は前記モータ2と直列に接続され、FET3と並列に接続された抵抗12及びコンデンサ13からなる直列回路で、抵抗12とコンデンサ13の接続点が前記コンパレータ6の非反転入力端に接続され、コンデンサ13の端子電圧がコンパレータ6の非反転入力電圧V+となる。コンデンサ13は、FET3のオフ時にモータ2、抵抗12を介して充電され、FET3のオン時に抵抗12、FET3を介して放電する。 前記コンパレータ6は、コンデンサ13の端子電圧V+が可変抵抗7の摺動端子上の基準電圧V-より大きくなった時及び小さくなった時に夫々論理値1及び論理値0の出力V0を発生し、論理値1の出力でFET3及びトランジスタ11をオンさせ、論理値0の出力でFET3及びトランジスタ11をオフさせる。 前記基準電圧V-は、FET3のオフ時すなわちトランジスタ11のオフ時にVOFF=(R+Ra)・E/(R+Ra+Rb)となり、EFT3のオン時すなわちトランジスタ11のオン時にVON=Vce+Ra・(E-Vce)/(Ra+Rb)(<VOFF)となる。ここでRは固定抵抗8の抵抗値、Raは可変抵抗7の摺動端子と固定抵抗8側端子間の抵抗値、Rbは可変抵抗7の摺動端子と直流電源1側端子間の抵抗値、Eは直流電源1の出力電圧、Vceはトランジスタ11のコレクターエミッタ間電圧である。従って、基準電圧V-は、トランジスタ11のオフ時すなわちFET3のオフ時にVOFFと大きくなり、トランジスタ11のオン時すなわちFET3のオン時にVONと小さくなり、コンパレータ6はヒステリシス特性を有するようになる。 モータ2の逆起電力及びFET3の端子電圧すなわちドレインソース間電圧が夫々モータ2の速度及び負荷電流に比例するので、コンデンサ13の充電速度は、モータ2の速度が低い重負荷時の方がモータ2の速度が早い軽負荷時より速く、また放電速度は、負荷電流が大きい重負荷時の方が負荷電流が小さい軽負荷時より遅くなる。 従って、モータ2が高速で回転しようとする軽負荷時においては、第2図に示す如く、コンデンサ13の端子電圧が、前記オフ時基準電圧VOFFに到達する時間が長くなると共にオン時基準電圧VONに低下する時間が短くなるので、コンパレータ6が論理値1の出力を発生する時間すなわちFET3がオンしている時間が短くなって、モータ2の速度の増加は抑えられる。 反対にモータ2が低速で回転しようとする重負荷時においては、第3図に示す如く、コンデンサ13の端子電圧が、前記オフ時基準電圧VOFFに到達する時間が短くなると共にオン時基準電圧VONに低下する時間が長くなるので、コンパレータ6が論理値1の出力を発生する時間すなわちFET3がオンしている時間が長くなって、モータ2の速度の減少は抑えられる。 以上のように本実施例は、FET3のオンオフデューティをモータ2の逆起電力及び負荷電流に対応して変えることによって、モータ2の速度を一定に制御するようにしたので、構成が簡単になると共にモータ2の速度を確実に制御できるという効果を奏し得る。 またコンパレータ6は、FET3をオフさせた後直ちにコンデンサ13の端子電圧をオフ時基準電圧VOFFと比較するように動作すると共にFET3をオンさせた後は直ちにコンデンサ13の端子電圧をオン時基準電圧VONと比較するようになるので、常に帰還制御が行われるようになり、直流電源1を100%活用できるようになって、高速回転領域及び重負荷領域での使用が可能となる。 〔発明の効果〕 以上のように本発明によれば、速度発電機やブリッジ回路を必要とせず、簡単な構成で直流電動機の速度を一定に制御できる制御装置を提供することが可能となる。また帰還制御が常に行われるようになるので、電源を100%活用できるようになり、高速回転領域及び重負荷領域での使用が可能となる。 【図面の簡単な説明】 第1図は本発明制御装置の一実施例を示す回路図、第2図は軽負荷時におけるコンパレータの入出力波形図、第2図は重負荷時におけるコンパレータの入出力波形図である。 図において、1は直流電源、2は直流電動機(モータ)、3は半導体スイッチング素子(FET)、4はヒステリシスコンパレータ、5は直列回路、6はコンパレータ、7は速度設定可変抵抗、8は固定抵抗、9、10、12は抵抗、13はコンデンサである。 |
訂正の要旨 |
訂正の要旨 平成10年審判第39076号によって訂正された特許請求の範囲の請求項1における「第1基準電圧がより大きくなった時」を、誤記の訂正を目的として、「第1基準電圧より大きくなった時」と訂正する。 |
審決日 | 2002-12-05 |
出願番号 | 特願昭59-168510 |
審決分類 |
P
1
41・
812-
Y
(H02P)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 小川 謙 |
特許庁審判長 |
城戸 博兒 |
特許庁審判官 |
清水 正一 牧 初 |
登録日 | 1995-10-25 |
登録番号 | 特許第1982420号(P1982420) |
発明の名称 | 直流電動機の速度制御装置 |
代理人 | 井沢 博 |
代理人 | 井沢 博 |