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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 F26B
管理番号 1072461
審判番号 不服2001-13611  
総通号数 40 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1999-02-02 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-08-02 
確定日 2003-03-04 
事件の表示 平成 9年特許願第202448号「乾燥機能付収納箱」拒絶査定に対する審判事件〔平成11年 2月 2日出願公開、特開平11- 30479、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 1. 手続の経緯・本願発明
本願は、平成9年7月10日の出願であって、その請求項1および2に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」および「本願発明2」という。)は、平成13年8月30日付け手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1および2に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】 長靴やエプロン等の作業用装身具、或いは衣類、タオル等が収納される乾燥機能付収納箱であって、該乾燥機能付収納箱は収納箱本体と空気加熱除湿機能付ボックスからなり、
収納箱本体と空気加熱除湿機能付ボックスの接続面上部には空気送り出し口が、下部には空気回収口が設けられ、更にこの空気送り出し口或いは空気回収口のいずれか一方にはファンが取り付けられ、
前記収納箱本体は区画棚で複数段に並列して区画され、該区画棚には温風が収納箱本体内を降下するように空気流通路が設けられており、前記空気加熱除湿機能付ボックス内には加熱送風装置、除湿機及び消臭殺菌器が設けられるとともにこの加熱送風装置は、空気加熱除湿機能付ボックスの最下部に配置され、この加熱送風装置から出た温風の収納箱本体への送り出し口が前記ボックスの上部に設けられた前記空気送り出し口とされるとともに該温風の収納箱本体からの回収口が前記ボックスの下部に設けられた前記空気回収口とされ、
加熱送風装置より発生する温風を前記接続面上部に設けた空気送り出し口から収納箱本体上部に送り出し、収納箱本体内を上部から下部の方向に流れて湿気や臭いを含んだ空気を前記接続面下部に設けた空気回収口から回収した後、除湿機により乾燥させ、更に消臭殺菌器により消臭、殺菌させて再び空気送り出し口から収納箱本体上部に送り出して内部の空気を循環させ、温風は収納箱本体内において長靴等被収容物の内部を乾燥させた後に下方向へ流れ、
下段の被収容物を同様に乾燥させ、多数の被収容物を均等に効率よく乾燥、消臭することを特徴とする乾燥機能付収納箱。
【請求項2】 長靴やエプロン等の作業用装身具、或いは衣類、タオル等が収納される乾燥機能付収納箱であって、該乾燥機能付収納箱は、隔壁で上下2つの室に気密に分離され、この上下の2室がそれぞれ少なくとも1つの区画棚を有してなる収納箱本体、この収納箱本体の一方の側部に設けられた空気加熱除湿機能付ボックス、及び収納箱本体の他方の側部に設けられた空気流通部からなり、
収納箱本体と空気加熱除湿機能付ボックスの接続面のうち、上側の室との接続面には空気送り出し口が、下側の室との接続面には空気回収口が設けられ、更にこの空気送り出し口或いは空気回収口のいずれか一方にはファンが取り付けられており、また、収納箱本体と空気流通部の接続面には複数の空気流通孔が設けられ、前記空気流通部内において前記隔壁と略同じ高さに消臭装置が設けられ、
前記空気加熱除湿機能付ボックス内には加熱送風装置、除湿機及び消臭殺菌器が設けられるとともにこの加熱送風装置は、空気加熱除湿機能付ボックスの最下部に配置され、この加熱送風装置から出た温風の収納箱本体への送り出し口が前記ボックスの上部に設けられた前記空気送り出し口とされるとともに該温風の収納箱本体からの回収口が前記ボックスの下部に設けられた前記空気回収口とされ、
加熱送風装置より発生した温風は、前記上側の室との接続面に設けた空気送り出し口から該上側の室に送り出され、上側の室内の温風は前記隔壁により空気流通部に向かって横方向に流れた後、空気流通部を介して下側の室に送られ、下側の室の温風は前記隔壁により空気加熱乾燥部に向かって横方向に流れ、湿気や臭いを含んで前記下側の室との接続面に設けた空気回収口から回収された後、除湿機により乾燥され、更に消臭殺菌器により消臭、殺菌されて再び空気送り出し口から収納箱本体に送り出されて内部の空気を循環させ、広い収納箱本体に収納されている長靴等を全て均等に乾燥させることを特徴とする乾燥機能付収納箱。」

2. 当審の判断
前記の認定から明らかなように、本願発明1は、乾燥機能付収納箱が収納箱本体と空気加熱除湿機能付ボックスからなり、収納箱本体と空気加熱除湿機能付ボックスの接続面上部には空気送り出し口が、下部には空気回収口が設けられ、更にこの空気送り出し口或いは空気回収口のいずれか一方にはファンが取り付けられ、前記空気加熱除湿機能付ボックスの最下段に加熱送風装置が配置されたことを構成の一部とし、
また、本願発明2は、乾燥機能付収納箱が隔壁で上下2つの室に気密に分離されてなる収納箱本体、この収納箱本体の一方の側部に設けられた空気加熱除湿機能付ボックス、及び収納箱本体の他方の側部に設けられた空気流通部からなり、収納箱本体と空気加熱除湿機能付ボックスの接続面のうち、上側の室との接続面には空気送り出し口が、下側の室との接続面には空気回収口が設けられ、更にこの空気送り出し口或いは空気回収口のいずれか一方にはファンが取り付けられ、前記空気加熱除湿機能付ボックスの最下段に加熱送風装置が配置されたことを構成の一部とするところ、
原査定の拒絶の理由に引用された実願平3-80283号(実開平5-51241号)のCD-ROM(以下、「刊行物1」という。)、実願昭47-86566号(実開昭49-44529号)のマイクロフィルム(以下、「刊行物2」という。)、実願昭57-173021号(実開昭59-79236号)のマイクロフィルム(以下、「刊行物3」という。)、実公昭59-2770号公報(以下、「刊行物4」という。)および実願昭54-10838号(実開昭55-110163号)のマイクロフィルム(以下、「刊行物5」という。)のいずれにも、これらの構成について記載がなく、示唆するものもない。
そして、本願発明1、2は、それぞれ前記の構成を具備することにより、乾燥機能付収納箱内略全体に渡って一方向に限定された一つの自然対流経路を形成するとともに、この自然対流経路にそって同方向のファンによる強制対流を付加して、自然対流を主とし強制対流を補助的に採用した温風循環により、少エネルギーで全ての収納物を満遍なく速やかに乾燥処理することができるという刊行物1〜5の発明から予測し得ない格別な作用効果を奏するものである。
したがって、本願発明1、2は、刊行物1〜5の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。

3. むすび
以上のとおりであるから、本願発明1、2は特許法第29条の規定により特許を受けることができないとした原審の判断は妥当ではない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2003-02-17 
出願番号 特願平9-202448
審決分類 P 1 8・ 121- WY (F26B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 新海 岳  
特許庁審判長 粟津 憲一
特許庁審判官 佐野 遵
岡本 昌直
発明の名称 乾燥機能付収納箱  
代理人 河野 誠  
代理人 清原 義博  

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