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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01L |
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管理番号 | 1072464 |
審判番号 | 不服2002-219 |
総通号数 | 40 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1996-09-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2002-01-08 |
確定日 | 2003-02-26 |
事件の表示 | 平成 7年特許願第 50106号「基板端縁部被膜の除去方法及び除去装置」拒絶査定に対する審判事件〔平成 8年 9月27日出願公開、特開平 8-250390、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
1.経緯・本願発明 本願は、平成7年3月9日の出願であって、原審において拒絶査定がなされ、その後、拒絶査定不服の審判請求がなされたものである。 その発明は、平成13年11月2日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、請求項1〜7に記載された次のとおりのものである。 請求項1 「除去ユニットのスリット内に溶剤を供給するとともにスリット内の溶剤を回収することでスリット内に溶剤の流れを形成し、このスリット内に形成された溶剤の流れの中に基板の端縁を水平方向から挿入した後、前記基板端縁に沿って前記除去ユニットを相対的に移動せしめ、且つ前記除去ユニットの相対的な移動方向と前記溶剤の流れ方向とを同じ方向にすることで前記基板端縁における上下面及び厚み方向外端部の余分な付着物を除去するようにしたことを特徴とする基板端縁部被膜の除去方法。」 請求項2 「請求項1に記載の基板端縁部被膜の除去方法において、前記基板は角形基板であり、この角形基板に対して除去ユニットを前進させて角形基板の端縁の一部に水平方向から前記スリットを挿入した後、角形基板の一端に沿って除去ユニットを移動せしめて角形基板の一端縁の被膜除去を行い、次いで、角形基板から除去ユニットを離反させ、この後角形基板を90°回転せしめて前記と同様の手順で他の端縁の被膜除去を行うようにしたことを特徴とする基板端縁部被膜の除去方法。」 請求項3 「請求項1に記載の基板端縁部被膜の除去方法において、前記基板は一部に直線状のオリエンテーションフラット部を有する円形基板であり、オリエンテーションフラット部については除去ユニットを移動せしめて被膜除去を行い、オリエンテーションフラット部以外の円弧状端縁については基板を回転させて被膜除去を行うようにしたことを特徴とする基板端縁部被膜の除去方法。」 請求項4 「基板を着脱自在に保持する基板保持部と、この基板保持部に保持された基板の端縁部の被膜を除去する除去ユニットとを備えた基板端縁部被膜の除去装置において、前記除去ユニットは保持された基板に対し相対的に進退動可能とされ、且つ前記除去ユニットには前記基板の端縁が水平方向から挿入可能なスリットが形成され、このスリット内において溶剤の流れを形成すべく、スリットには溶剤の供給口が開口されるとともに溶剤回収用の排出管が接続され、且つ前記除去ユニットの相対的な移動方向と前記溶剤の流れ方向とを同じ方向にすることを特徴とする基板端縁部被膜の除去装置。」 請求項5 「請求項4に記載の基板端縁部被膜の除去装置において、前記除去ユニットは保持された基板端縁に沿って相対的に移動可能とされていることを特徴とする基板端縁部被膜の除去装置。」 請求項6 「請求項5に記載の基板端縁部被膜の除去装置において、前記除去ユニットは吸引装置につながる除去ユニット本体を有し、この除去ユニット本体から左右に2本のアームが延出し、これらアームに前記スリットが形成され、且つアームの外端部近傍に溶剤の排出口が開口し、更に除去ユニット本体には溶剤の供給口が設けられていることを特徴とする基板端縁部被膜の除去装置。」 請求項7 「請求項6に記載の基板端縁部被膜の除去装置において、前記除去ユニット本体に乾燥用ガスの噴出口が設けられていることを特徴とする基板端縁部被膜の除去装置。」 2.原審の拒絶査定で引用した、特許法第29条第2項に関する引用例 引用例1;特開平5-114555号公報 引用例2;特開平7-37804号公報 引用例3;特開平7-29805号公報 引用例4;特開昭64-61917号公報 引用例5;特開平2-157763号公報 3.引用例に記載された発明の内容 3.1 引用例1 フォトレジストを塗布した被処理体の周辺部から不要なフォトレジストを除去するフォトレジスト除去装置において、前記被処理体に対して相対移動しつつ前記被処理体の周辺部に前記フォトレジストに対する溶剤を吐出させる溶剤吐出手段と、前記フォトレジストの溶解した溶剤を前記被処理体の表面から吸引して排除する吸引手段とを備えるように構成したフォトレジスト除去装置の発明が記載されている。 3.2 引用例2 表面に薄膜が形成された基板を保持する基板保持手段と、その基板保持手段によって保持された基板の端縁の表裏両面の少なくともいずれか一方に溶剤を吐出して不要薄膜を溶解する溶剤ノズルと、溶剤によって溶解された溶解物をガスの吹き付けにより基板の端縁よりも外方に吹き飛ばすガスノズルとを備えた基板端縁洗浄装置において、ガスノズルからのガスを基板の表面にスポット状に吹き付けるように構成した基板端縁洗浄装置の発明が記載されている。 3.3 引用例3 ウェハ上に被膜物質を滴下する被膜物質供給系統と、前記ウェハを回転させるスピンナと、前記膜の不要部を取り除く膜除去機構とからなり、前記膜除去機構は、気体を導入する気体導入管と、ウェハと前記気体とが接触する気体槽と、前記気体を排出する排気管と、前記気体の通り道を形成する仕切り板とから構成された塗布装置の発明が記載されている。 3.4 引用例4 膜が塗布された基板の周縁部の上面および下面に対向して設置された第1および第2の管と、これらの2つの管の間の間隙部でかつ前記基板端部の延長上に設置された第3の管を備え、前記第1および第2の管から溶剤を供給し前記第3の管から前記溶剤を排出するようにした基板端部の塗布膜除去装置の発明が記載されている。 3.5 引用例5 表面にレジストを塗布した基板の端縁部分を収容しこの端縁部分のレジストを除去する溶剤の供給孔と前記溶剤の排出孔と前記溶剤の蒸気の排気孔とを有するノズルを設けたレジスト除去装置の発明が記載されている。 3.対比、判断 本願請求項1に係る発明(以下、「本願第1発明」という。)が、「除去ユニットのスリット内に溶剤を供給するとともにスリット内の溶剤を回収することでスリット内に溶剤の流れを形成し、このスリット内に形成された溶剤の流れの中に基板の端縁を水平方向から挿入した後、前記基板端縁に沿って前記除去ユニットを相対的に移動せしめ、且つ前記除去ユニットの相対的な移動方向と前記溶剤の流れ方向とを同じ方向にする」構成(以下、「本願第1発明の特徴的構成」という。)を有し、当該本願第1発明の特徴 的構成により、本願第1発明は、「溶剤はスリット17内を流れる間に基板Wの端縁部の被膜を溶解して除去する。その結果、図8(c)に示すように基板W端縁の上面及び下面は勿論のこと基板端縁の厚み方向外端部についても十分に付着物を除去することができる。 尚、以上において除去ユニット10の移動方向と溶剤の流れ方向とを同じ方向、つまり基板の相対的な移動方向と溶剤の流れ方向とを逆にすることが好ましい。このようにすることによって、溶剤供給口14a,14b側から新しい溶剤が供給されるので、付着物の除去が効率よく行え、除去のスループットも向上する。」(明細書の詳細な説明【0023】段落)という効果を有するのに対し、引用例1〜5記載の発明は、上記本願第1発明の特徴的構成及び上記効果が記載されていない点で本願第1発明と相違する。 そうすると、本願第1発明は、引用例に基づいて容易に発明できたとはいえない。 本願請求項4に係る発明(以下、「本願第2発明」という。)が、「基板を着脱自在に保持する基板保持部と、この基板保持部に保持された基板の端縁部の被膜を除去する除去ユニットとを備えた基板端綾部被膜の除去装置において、前記除去ユニットは保持された基板に対し相対的に進退動可能とされ、且つ前記除去ユニットには前記基板の離縁が水平方向から挿入可能なスリットが形成され、このスリット内において溶剤の流れを形成すべく、スリットには溶剤の供給口が開口されるとともに溶剤回収用の排出管が接続され、且つ前記除去ユニットの相対的な移動方向と前記溶剤の流れ方向とを同じ方向にする」構成(以下、「本願第2発明の特徴的構成」という。)を有し、当該本願第2発明の特徴的構成により、本願第2発明は、「溶剤はスリット17内を流れる間に基板Wの端縁部の被膜を溶解して除去する。その結果、図8(c)に示すように基板W端縁の上面及び下面は勿論のこと基板端縁の厚み方向外端部についても十分に付着物を除去することができる。 尚、以上において除去ユニット10の移動方向と溶剤の流れ方向とを同じ方向、つまり基板の相対的な移動方向と溶剤の流れ方向とを逆にすることが好ましい。このようにすることによって、溶剤供給口14a,14b側から新しい溶剤が供給されるので、付着物の除去が効率よく行え、除去のスループットも向上する。」(明細書の詳細な説明【0023】段落)という効果を有するのに対し、引用例1〜5記載の発明は、上記本願第2発明の特徴的構成及び上記効果が記載されていない点で本願第2発明と相違する。 そうすると、本願第2発明は、引用例に基づいて容易に発明できたとはいえない。 本願請求項1又は4を引用する本願請求項2、3、5〜7に係る発明は、本願第1発明及び第2発明と同様に、引用例1〜5に基づいて容易に発明できたとはいえない。 4.むすび 従って、本願請求項1〜7に係る発明は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとした原査定は妥当ではない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2003-01-21 |
出願番号 | 特願平7-50106 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(H01L)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 藤田 年彦、南 宏輔 |
特許庁審判長 |
高橋 美実 |
特許庁審判官 |
辻 徹二 國島 明弘 |
発明の名称 | 基板端縁部被膜の除去方法及び除去装置 |
代理人 | 小山 有 |