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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B29B
管理番号 1072609
審判番号 不服2001-2031  
総通号数 40 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1998-08-04 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-02-15 
確定日 2003-02-14 
事件の表示 平成 9年特許願第 9863号「木質様製品の製造方法、木プラの成形材料および木質様製品」拒絶査定に対する審判事件[平成10年 8月 4日出願公開、特開平10-202656]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成9年1月23日の出願であって、その請求項1ないし12に係る発明(以下「本願発明1」ないし「本願発明12」という)は、平成12年11月6日付手続補正により補正された明細書の特許請求の範囲に記載された事項により特定される次のとおりのものと認める。
「【請求項1】樹脂を基材とする木プラ製造用ペレットを製造するにあたって、少なくとも一種類の木プラ製造用ペレットを、一旦製造された樹脂を基材として製造し、その木プラ製造用ペレットの色彩が異なるものを複数種類用意し、少なくとも一種類の木プラ製造用ペレットにはセルロース材を混入し、それら複数種類の木プラ製造用ペレットを混合して単一色とならない成形品を成形することを特徴とする木質様製品の製造方法。
【請求項2】木プラ製造用ペレットに混入するセルロース材は、セルロース材を粉砕して得た粉粒の表面に、該粉粒よりも小径でかつ硬い表面粒を固定させて固定粒に加工したものであることを特徴とする請求項1記載の木質様製品の製造方法。
【請求項3】一旦製造された樹脂を粉砕した粉砕樹脂と、基材として樹脂を用いて製造した木プラ製造用ペレットとを混合して単一色とならない成形品を成形する製造方法であって、粉砕樹脂、木プラ製造用ペレットの少なくともいずれか一方には、セルロース材を混入していることを特徴とする木質様製品の製造方法。
【請求項4】粉砕樹脂、木プラ製造用ペレットの少なくともいずれか一方に混入するセルロース材は、セルロース材を粉砕して得た粉粒の表面に、該粉粒よりも小径でかつ硬い表面粒を固定させて固定粒に加工したものであることを特徴とする請求項3記載の木質様製品の製造方法。
【請求項5】樹脂を基材とする木プラ製造用ペレットを製造するにあたって、少なくとも一種類の木プラ製造用ペレットを、一旦製造された樹脂を基材として製造し、 その木プラ製造用ペレットの色彩が異なるものを複数種類用意し、 少なくとも一種類の木プラ製造用ペレットにはセルロース材を混入し、 それら複数種類の木プラ製造用ペレットを混合して単一色とならない成形品を成形するための成形材料であることを特徴とする木プラの成形材料。
【請求項6】木プラ製造用ペレットに混入するセルロース材は、セルロース材を粉砕して得た粉粒の表面に、該粉粒よりも小径でかつ硬い表面粒を固定させて固定粒に加工したものであることを特徴とする請求項5記載の木プラの成形材料。
【請求項7】一旦製造された樹脂を粉砕した粉砕樹脂と、基材として樹脂を用いて製造した木プラ製造用ペレットとを混合して単一色とならない成形品を成形するための成形材料であって、粉砕樹脂、木プラ製造用ペレットの少なくともいずれか一方には、セルロース材を混入していることを特徴とする木プラの成形材料。
【請求項8】粉砕樹脂、木プラ製造用ペレットの少なくともいずれか一方に混入するセルロース材は、セルロース材を粉砕して得た粉粒の表面に、該粉粒よりも小径でかつ硬い表面粒を固定させて固定粒に加工したものであることを特徴とする請求項7記載の木プラの成形材料。
【請求項9】樹脂を基材とする木プラ製造用ペレットを製造するにあたって、少なくとも一種類の木プラ製造用ペレットを、一旦製造された樹脂を基材として製造し、その木プラ製造用ペレットの色彩が異なるものを複数種類用意し、少なくとも一種類の木プラ製造用ペレットにはセルロース材を混入し、それら複数種類の木プラ製造用ペレットを混合して単一色とならないように成形した成形品であることを特徴とする木質様製品。
【請求項10】木プラ製造用ペレットに混入するセルロース材は、セルロース材を粉砕して得た粉粒の表面に、該粉粒よりも小径でかつ硬い表面粒を固定させて固定粒に加工したものであることを特徴とする請求項9記載の木質様製品。
【請求項11】一旦製造された樹脂を粉砕した粉砕樹脂と、基材として樹脂を用いて製造した木プラ製造用ペレットとを混合して単一色とならない成形した成形品であって、粉砕樹脂、木プラ製造用ペレットの少なくともいずれか一方には、セルロース材を混入していることを特徴とする木質様製品。
【請求項12】粉砕樹脂、木プラ製造用ペレットの少なくともいずれか一方に混入するセルロース材は、セルロース材を粉砕して得た粉粒の表面に、該粉粒よりも小径でかつ硬い表面粒を固定させて固定粒に加工したものであることを特徴とする請求項11記載の木質様製品。

2.各引用例記載の発明
(1)これに対して、平成12年8月14日付けで通知した拒絶の理由に引用した本件出願前に頒布された刊行物3「特許第2544310号公報」には、以下の記載がある。
ア-1.「原料としてのセルロース材を粉砕して得た粉砕粉を磨砕処理して、嵩比重を高めた粉粒とし、この粉粒の外周面に、該粉粒よりも小径で、かつ硬い表面粒を固定させて固定粒とし、この固定粒に樹脂及び顔料を混合し、かつ溶融させ、その後または溶融と同時に押出成形または射出成形により所望形状に成形する木質様製品の製造方法であって、表面粒には、無機質材、金属材またはプラスチック材のうちの1または複数の材料を用いたことを特徴とする木質様製品の製造方法。」(特許請求の範囲【請求項1】)
ア-2.「固定粒に樹脂及び顔料を混合した木質様形成材ペレットを、顔料の種類を変えて複数種類作り、これらの木質様形成材ペレットのうち顔料の異なる木質様形成材ペレットを2種以上混合し、かつ溶融させ、その後または溶融と同時に押出成形または射出成形により所望形状に成形したことを特徴とする請求項1または2記載の木質様製品の製造方法。」(特許請求の範囲【請求項3】)
ア-3.「更に、固定粒に樹脂及び顔料を混合した木質様形成材ペレットを複数種類作り、これらの木質様形成材ペレットのうち顔料の異なる木質様形成材ペレットを2種以上混合し、かつ溶融させ、その後または溶融と同時に押出成形または射出成形により所望形状に成形することもできる。この場合にも、両木質様形成材ペレットが完全に混合しない状態で成形を行うと、両木質様形成材ペレットの顔料どうしも完全に混合せず、成形時にこの混合していない顔料が縞模様を呈することで、天然の木目に極めて近い木目模様を形成することができることとなる。」(第5頁10欄42〜第6頁11欄1行)
(2)平成12年8月14日付けで通知した拒絶の理由に引用した本件出願前に頒布された刊行物2「特開昭51-100175号公報」には、以下の記載がある。
イ-1.「合成樹脂成型品の屑を破砕して得た色の異なる数種の破砕片を中心棒の周囲に付着集成せしめて柱状ブロックを形成し、・・・フレーク状チップを加熱加圧一体化しシート状に成形することを特徴とする合成樹脂シートの製造法。」(特許請求の範囲)
イ-2.「本発明にあっては上述のように合成樹脂成型品の屑を原料とするので合成樹脂タイル等の製造時に発生する屑や不良タイルを再利用できるものであって公害対策の点から非常に有効であり、しかも安価に製造できる。」(第2頁左下欄8〜12行)

3.本願発明1と刊行物記載の発明との対比、判断
(1)本願発明1と刊行物3記載の発明との対比
記載ア-3における「木質様形成材ペレット」が本願発明1における「木プラ製造用ペレット」に相当し、「木質様形成材ペレットが完全に混合しない状態で成形を行うと、両木質様形成材ペレットの顔料どうしも完全に混合せず、成形時にこの混合していない顔料が縞模様を呈する」とはペレットを混合して単一色とならないこと意味するものであり、記載ア-1によれば「固定粒」は主にセルロース材から成るものであるから該固定粒が混合される「木質様形成材ペレット」にはセルロース材が混入されていることになる。
したがって、刊行物3に記載される発明を本願発明1の記載ぶりに沿って表現すると、刊行物3には「樹脂を基材とする木プラ製造用ペレットを製造するにあたって、少なくとも一種類の木プラ製造用ペレットを樹脂を基材として製造し、その木プラ製造用ペレットの色彩が異なるものを複数種類用意し、少なくとも一種類の木プラ製造用ペレットにはセルロース材を混入し、それら複数種類の木プラ製造用ペレットを混合して単一色とならない成形品を成形することを特徴とする木質様製品の製造方法。」が記載されているといえる。
本願発明1と刊行物3記載の発明との対比すると、両者は上記の点で一致し、以下の点で相違する。
相違点:本願発明1では、少なくとも一種類の木プラ製造用ペレットを、一旦製造された樹脂を基材として製造しているのに対し、刊行物3には、樹脂として一旦製造された樹脂を使用することについては記載がない点
(2)上記相違点について
記載イ-1に見られるように、公害防止やコストダウンの観点から合成樹脂成形品の再利用を図ることは当該技術分野における慣用手段と云うべきものである。
したがって、刊行物3の成形品を製造するに当たり、固定粒に混合すべき樹脂の一部に一旦製造された樹脂を使用する程度のことは当業者が適宜実施し得ることである。
請求人は、本願発明1によれば、「再生品であっても一定以上の品質を維持できる木質様製品を製造することができる」と主張するが、記載ア-3によれば、刊行物3の成型品が木質様を呈するのは、主に「粉粒に表面粒を固定させた固定粒」を用いることに由来するものと認められ、樹脂については特に限定していないことを考えると、固定粒に混合すべき樹脂の一部に一旦製造された樹脂を使用しても、成形品の木質様が損なわれないことは、当業者であれば予想し得る程度のことである。
(3)まとめ
以上検討したように、本願発明1は、刊行物3記載の発明に刊行物2記載の事項を組み合わせることにより当業者が容易に想到することができた発明である。

4.むすび
したがって、本願発明1は、刊行物2ないし3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2002-10-22 
結審通知日 2002-11-12 
審決日 2002-11-29 
出願番号 特願平9-9863
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B29B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中野 孝一  
特許庁審判長 石井 良夫
特許庁審判官 岡田 和加子
山田 充
発明の名称 木質様製品の製造方法、木プラの成形材料および木質様製品  

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