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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A01B
管理番号 1072716
審判番号 不服2000-11331  
総通号数 40 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1993-03-02 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-06-15 
確定日 2003-02-21 
事件の表示 平成 3年特許願第217596号「トラクタ作業機の水平、又は設定角度維持装置」拒絶査定に対する審判事件[平成 5年 3月 2日出願公開、特開平 5- 49304]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯、本願発明
本願は、平成3年8月28日に出願された特願平3-217596号であって、その請求項1乃至2に係る発明は、平成11年11月8日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1乃至2に記載されたとおりのものであるところ、当該請求項1に係る発明は以下のとおりのものである。(以下、「本願発明1」という。)
「【請求項1】作業装置3の左右方向の傾斜角度を検出して水平、又は設定角度姿勢に保持すべく制御連動する作業機側傾斜検出センサー11を、前記作業装置3を連結する走行車体2側にセンサー載せ台12を介して設け、同センサー載せ台12は機体前後方向の支点軸13により枢支し、かつ同作業機側傾斜検出センサー11及び制御用のリフトシリンダ7-3により作業装置3を水平状態、又は設定角度姿勢に維持すると共に、同リフトシリンダ7-3の相対的移動をワイヤー20を介してセンサー載せ台12に伝達すべく構成したトラクタ作業機の水平、又は設定角度維持装置において、ワイヤー20とセンサー載せ台12との間にアーム状の作動体15を介設し、同作動体15によってセンサー載せ台12を揺動させるべく構成したことを特徴とするトラクタ作業機の水平、又は設定角度維持装置。」

2.引用文献記載の発明
これに対して原査定の拒絶理由に引用された特開昭61-202602号公報(以下、「引用文献」という。)には、以下の記載が認められる。
(イ)「この発明は、トラクタに装着する作業機を水平状に維持するトラクタ作業機の水平維持装置に関する。」(1頁左欄15〜17行)、
(ロ)「この発明は、走行車体(1)の傾きを検出してこの走行車体(1)に連結する作業装置(2)を水平状姿勢に維持すべく制御連動する水平センサ(3)をこの走行車体(1)に設けると共に、これら走行車体(1)に対する作業装置(2)の相対的傾斜によって該走行車体(1)の傾斜に拘らず該水平センサ(3)を水平姿勢にフィードバック連動すべく設けてなるトラクタ作業機の水平維持装置の構成とする。」(1頁右欄12〜20行)、
(ハ)「水平センサ(3)はミッションケース(5)と一体の制御装置(9)上に設けられ、トラクタ(1)の左右方向の傾斜を検出すべく、一側端を枢支(15)し、ばね(16)で下側へ引き付けている。この水平センサ(3)の一端は走行車体(1)の一部ベース(21)から出没するピン(17)上に受けられ、このピン(17)の下端はインナワイヤ(18)によって上記ピストン(14)ロッド(19)に連結し、このインナワイヤ(18)を挿通するアウタワイヤ(20)の一端は該ベース(21)に受け止め、他端はシリンダ(13)と一体のストッパ(22)に受け止めさせている。ピン(17)は該ベース(21)の長孔(30)に移動調節でき水平センサ(3)の戻り量を調整できる。水平センサ(3)と制御装置(9)との関係は、この水平センサ(3)の左右傾斜の検出によって油圧シリンダ(13)に油圧を給排して、この油圧シリンダ(13)とピストン(14)とを伸縮させて左右のロアリンク(7)(7)を結ぶ線が水平状態となるように制御するものである。」(2頁左下欄13行〜右下欄12行)、
(ニ)「走行しながら耕耘装置(27)で耕耘する場合、圃場面の傾斜や凹凸畝等によって走行車体(1)が左右方向に傾斜すると、この傾斜を水平センサ(3)が検出して制御装置(9)によって油圧シリンダ(13)とピストン(14)との連杆(13(12の誤記と思われる))を伸縮して一方のロアリンク(7)の上下によって耕耘装置(27)が水平姿勢に維持され、このとき油圧シリンダ(13)とピストン(14)との間の伸縮によってインナワイヤ(18)に連結されたピン(17)が上下動されて水平センサ(3)の左右傾斜角を水平姿勢に維持するよう連動し、従って走行車体(1)が左右に傾斜した姿勢を一定に維持したまゝで走行しても、耕耘装置(27)はこの水平センサ(3)が傾斜されない限り水平姿勢を維持させることができ、水平センサ(3)を水平姿勢にフィードバック連動させることにより、耕耘装置(27)が油圧シリンダー(13)とピストン(14)との伸縮の頻繁な繰返によって左右揺動されることが少なくなり、安定した水平姿勢を維持できる。」(3頁左上欄1〜20行)。
また、水平センサ(3)は、一側端を枢支(15)され、一端をピン(17)上に受けられる「台」を備えているということができ、また、水平センサ(3)は左右の傾斜を検出するためのものである以上、一側端を枢支(15)され、一端をピン(17)上に受けられる方向は左右であり、枢支(15)方向は機体前後方向であるといえるから、上記(イ)〜(ニ)の記載及び図面の記載からみて、引用文献には、次の発明(以下、「引用文献の発明」という。)が記載されていると認められる。
「走行車体(1)の左右傾斜を検出して水平状姿勢に維持すべく制御連動する水平センサ(3)を、作業装置(2)を連結する走行車体(1)に台(図示のみ)を介して設け、台は一側端を機体前後方向に枢支(15)し、油圧シリンダ(13)により作業装置(2)を水平状姿勢に維持すると共に、油圧シリンダ(13)の伸縮によってインナワイヤ(18)に連結されたピン(17)が上下動されて走行車体(1)が左右に傾斜した姿勢を一定に維持したまゝで走行するトラクタ作業機の水平維持装置において、インナワイヤ(18)と台との間にピン(17)を介設し、同ピン(17)によって台を揺動させるべく構成したトラクタ作業機の水平維持装置。」

3.本願発明1と引用文献の発明との対比
本願発明1と引用文献の発明とを対比すると、
引用文献の発明における、
「走行車体(1)」、「左右傾斜」、「水平状姿勢」、「維持」、「水平センサ(3)」、「作業装置(2)」、「台」、「一側端を機体前後方向に枢支(15)し」、「油圧シリンダ(13)」、「油圧シリンダ(13)の伸縮」、「インナワイヤ(18)に連結されたピン(17)が上下動されて」、および、「ピン(17)」は、
本願発明1における、
「作業装置3」、「左右方向の傾斜角度」、「水平姿勢」、「保持」、「作業機側傾斜検出センサー11」、「作業装置3」、「センサー載せ台12」、「機体前後方向の支点軸13により枢支し」、「リフトシリンダ7-3 」、「リフトシリンダ7-3 の相対的移動」、「ワイヤー20を介してセンサー載せ台12に伝達」、および、「作動体15」にそれぞれ相当しているから、両者は、
「作業装置の左右方向の傾斜角度を検出して水平姿勢に保持すべく制御連動する作業機側傾斜検出センサーを、前記作業装置を連結する走行車体側にセンサー載せ台を介して設け、同センサー載せ台は機体前後方向の支点軸により枢支し、かつ同作業機側傾斜検出センサー及び制御用のリフトシリンダにより作業装置を水平状態に維持すると共に、同リフトシリンダの相対的移動をワイヤーを介してセンサー載せ台に伝達すべく構成したトラクタ作業機の水平維持装置において、ワイヤーとセンサー載せ台との間に作動体を介設し、同作動体によってセンサー載せ台を揺動させるべく構成したトラクタ作業機の水平、又は設定角度維持装置。」で一致するが、下記各点で相違する。
(イ)本願発明1では、作業装置を「水平、又は設定角度姿勢」に保持しているのに対して、引用文献の発明では、作業装置を「水平姿勢」に保持している点。
(ロ)本願発明1では、作動体15は「アーム状」であるのに対して、引用文献の発明では、「ピン」である点。

4.当審の判断
上記各相違点について検討する。
(1)相違点(イ)について
作業装置を水平姿勢に保持する点では、本願発明1と引用文献の発明は同じであり、かつ、必要に応じて作業装置を水平ではなく設定角度姿勢とすることも従来周知の構成にすぎないことから、本願発明1に係る相違点(イ)の構成は単なる設計変更にすぎない。
(2)相違点(ロ)について
作動体の形状をアーム状とすることは従来周知の構成にすぎず(特開昭64-20031号公報(支持機枠711,712)、実願昭59-93194号(実開昭61-7909号)のマイクロフィルム(アーム(6))参照)、しかも、アーム状とすることでテコの原理によりストロークが変わることも当業者にとっては周知の事項である。

なお、本願発明1では作動体の形状をアーム状とすることにより、「センサー載せ台を揺動させるために進退作動するリフトシリンダーのストロークを短縮することができ、これによって、小型のリフトシリンダーを用いることができるので、機体のコンパクト化を図ることができる。」(段落【0035】)効果があるとしているが、単に、ワイヤー20とセンサー載せ台12との間に「アーム状の作動体15を介設し、同作動体15によってセンサー載せ台12を揺動させるべく構成した」と記載されているのみで、進退作動するリフトシリンダーのストロークを短縮することができる理由が記載されておらず、また、ストロークを短縮することが、なぜ、小型のリフトシリンダーを用いることにつながるのかについても理由が記載されていないため、当該効果の存否を確認できない。それ故に、当該効果を本願発明1の効果と認めることはできない。

したがって、本願発明1に係る相違点(ロ)の構成も単なる設計変更にすぎない。
よって、本願発明1は、相違点(イ)および(ロ)によっては技術的進歩性を奏するものではないから、引用文献の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.結論
以上のとおりであるから、本願発明1は引用文献に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2002-11-28 
結審通知日 2002-12-03 
審決日 2002-12-24 
出願番号 特願平3-217596
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A01B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山田 昭次  
特許庁審判長 中村 和夫
特許庁審判官 松川 直樹
渡部 葉子
発明の名称 トラクタ作業機の水平、又は設定角度維持装置  

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