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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1072755
審判番号 不服2002-14521  
総通号数 40 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1993-07-02 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-08-01 
確定日 2003-02-20 
事件の表示 平成 3年特許願第330469号「ファクシミリ装置」拒絶査定に対する審判事件[平成 5年 7月 2日出願公開、特開平 5-167819]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成3年12月13日の出願であって、その請求項1に係る発明は、平成12年10月6日付けおよび平成14年6月3日付けの各手続補正書で補正された明細書、並びに図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項1に記載された発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである。
「【請求項1】国際電信電話諮問委員会(以下CCITTという)の勧告T.30、T.4のオプションであるECMモードに準拠するファクシミリ装置において、受信側より通知されるエラーフレーム数を計数蓄積する手段と、計数蓄積されたエラーフレーム数により、前記エラーフレーム数が予め定められたしきい値より小さいときには再送フレーム伝送速度を1段階低い伝送速度に落とし、前記エラーフレーム数が予め定められたしきい値より大きいときには再送フレーム伝送速度を2段階低い伝送速度に落とすように、伝送速度を選択する手段と、該伝送速度選択手段からの情報により再送フレームの伝送速度を1段階以上可変指示する制御手段とを有し、ECMモードにおいてPPR信号によって送信側に通知されるエラーフレームnと予め設定されているスレッショルドmとの比較により、n<mであれば1段階速度を落とし、n≧mであれば2段階速度を落とすように制御することを特徴としたファクシミリ装置。」
2.引用刊行物
これに対し、原査定の平成14年3月29日付け拒絶理由通知書の拒絶の理由で、引用文献1として引用された特開平1-236767号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに次の各記載がある。
(1)「また、近年、CCITTより、G3規格のファクシミリ装置が準拠している勧告T.30の追補(AnnexA)という形式で、エラーコレクションモード(以下、ECMと略す)という伝送制御手順が追加勧告されている。
このECMによりファクシミリ通信を行なう場合、複数のデータフレームで構成されたブロック単位で画情報を伝送し、伝送した画情報にエラーが生じた場合、エラーとなったデータフレームの再送を行なう一方、再送回数が一定回数以上になると、データ伝送速度をシフトダウンして画情報の伝送を行なうようになる。」(引用例1の第2頁上右欄第8行〜第19行)
(2)「このように、従来のECMでは、画情報の伝送開始後に、回線状態が悪化した場合、データ伝送速度を1段階づつシフトダウンしていたので、画情報の再送処理が成功するまで時間がかかり、通信時間が長くなるという問題があった。」(引用例1の第2頁下左欄第13行〜第17行)
(3)「このエラーマップデータEMpは、伝送された1ブロック分のフレームデータのうち、伝送誤りを生じていなかったフレームにはデータ「0」を、伝送誤りを生じていたフレームにはデータ「1」をそれぞれ、フレーム順に配置してなる。
このPPR信号を受信すると、送信側は、エラーマップデータEMpでデータ「1」がセットされているフレームのフレームデータのみを再度受信側に送信する。
この再送要求を、全てのフレームの伝送誤りが解消されるまで繰り返し行うことで、受信側で誤りのない受信画像を記録出力することができる。」(引用例1の第3頁上右欄第4行〜第15行)
(4)「ここで、回線状態の悪化により、伝送される画情報にデータエラーが生じたとすると、受信側は、データエラーを検出し、最大256フレームある1ブロックの画情報のどのフレームがエラーになったかを記憶する。そして、上記PPS・EOP信号を受信した後、PPR信号を送信し、この信号によりデータエラーとなったフレーム位置を受信側に通知する。
(中 略)いま、初めての再送であるので(処理32のN)、PPR信号で示されたフレーム位置に対応する画情報を、RAM3より読み出す。そして、所定のデータフレームで再送信する(処理33)。」(引用例1の第6頁上左欄第9行〜上右欄第2行)
(5)「この画情報の再送信の回数が3回になると(処理32のY)、上記PPR信号でデータエラーとして通知されたフレーム数nを判定する(処理34)。次いで、設定しているデータ伝送速度を判定する。いま、9600bpsであるので(処理35のNより処理36,処理36のY)。このとき、最初に送信した前記フレーム総数Nに対するデータエラーとなった上記フレーム数nの割合、つまり、エラー率n/Nを算出し、予め設定されている一定値aと比較する(処理37)。
このエラー率n/Nは、回線状態が悪いほど大きい値になる。一定値aは、回線状態が非常に悪く、データ伝送速度を2400bpsに設定すべきときの上記エラー率n/Nの値が設定されている。
そこで、上記エラー率n/Nが一定値a以上のとき(処理37のY)、送信側は、この後、データ伝送速度を2400bpsにするために、モデム8などを制御する(処理38)。
(中 略)
この場合、最低のデータ伝送速度なので、回線状態がかなり劣悪な場合でも、正しく送信できる。」(引用例1の第6頁上右欄第12行〜下左欄第19行)
(6)「これにより、回線状態が、最初良好で、上記画情報PIX送信中に極端に悪化する場合においても、第4図に示すように、データ伝送速度のシフトダウンを1回行なうだけで、画情報が正しく伝送されるようになる。」(引用例1の第6頁下右欄第4行〜第8行)
(7)「ここで、エラー率n/Nの値が一定値b以上であれば(処理42のY)、データ伝送速度は、4800bpsに設定される一方(処理43)、エラー率n/Nの値が一定値bに満たないとき(処理42のY)、7200bpsに設定される(処理44)。
上記、一定値bの値は前記aと同様、回線状態に応じたデータ伝送速度を設定するための値である。
この後、設定されたそのデータ伝送速度で、同様に画情報の再送処理が実行される。」(引用例1の第6頁下右欄第12行〜第20行)
(8)「以上のように、本実施例によれば、送信側が、所定のフレームの画情報を、一定回数再送し、受信側に正しく送信できなかった場合、送信側は、最初に送信した1ブロックの総フレーム数Nと、受信側よりPPR信号で再送の指定が行なわれたフレーム数nとを判定し、エラー率n/Nに応じて、次にシフトダウンにより設定するデータ伝送速度を決定するようにしている。
これにより、次の再送信は、回線状態応じた適切なデータ伝送速度で画情報を伝送できる。従って、回線状態が、画情報送信中に悪化した場合、従来のように、データエラーとなる再送信をむやみに繰り返すというようなことがなくなるため、通信時間が短縮されるようになる。」(引用例1の第7頁上右欄第15行〜下左欄第8行)
(9)「一方、いま、例えば、9600bpsで通信を開始して、上記のようにエラー率を算出したとする。算出したエラー率に基づいて、データ伝送速度のシフトダウンを行う場合、例えば、第6図に示すように、エラー率が25%以下のときは7200bps、25%を越え75%以下のときは4800bps、75%を越えるときは2400bpsというように、それぞれ閾値を設定して各データ伝送速度に決定する。
この場合の閾値は、9600bpsでのエラー率より回線状態を判定し、データエラーが回避できるデータ伝送速度を、実験等により求めてい決定すればよい。
なお、第1図ー第4図で説明した実施例において、データエラーの場合、そのデータ伝送速度で、3回再送処理を行なうようにしたが、この回数は任意に設定できることは当然である。」(引用例1の第8頁上右欄第1行〜第16行)
と記載されている。

これより、引用例1には次のことが記載されている。
「CCITTより、G3規格のファクシミリ装置が準拠している勧告T.30の追補(AnnexA)という形式で、エラーコレクションモード(以下、ECMと略す)という伝送制御手順が追加勧告されており、このECMによりファクシミリ通信を行なう場合に、複数のデータフレームで構成されたブロック単位で画情報を伝送し、伝送した画情報にエラーが生じた場合、エラーとなったデータフレームの再送を行なう一方、再送回数が一定回数以上になると、予め定められた条件で、データ伝送速度をシフトダウンして画情報の伝送を行なう機能を有するファクシミリ装置において、
ECMの場合、回線状態の悪化により、伝送される画情報にデータエラーが生じたとすると、受信側は、データエラーを検出し、最大256フレームある1ブロックの画情報のどのフレームがエラーになったかを記憶し、そして、PPS・EOP信号を受信した後、PPR信号を送信し、この信号によりデータエラーとなったフレーム位置を通知し、送信側が、所定のフレームの画情報を、一定回数再送し、受信側に正しく送信できなかった場合、送信側は、最初に送信した1ブロックの総フレーム数Nと、受信側よりPPR信号で再送の指定が行なわれたフレーム数nとを判定し、エラー率n/Nを応じて、次のシフトダウンにより設定するデータ伝送速度を決定する(例えば、エラー率が25%以下のときは7200bps、25%を越え75%以下のときは4800bps、75%を越えるときは2400bpsというように、それぞれ閾値を設定して各データ伝送速度に決定する)データ伝送速度決定手段を備えたファクシミリ装置。」

3.対比
そこで、本願発明と引用例1に記載された発明とを対比すると、
両者(本願発明と引用例1に記載された発明)は、
「国際電信電話諮問委員会(以下CCITTという)の勧告T.30、T.4のオプションであるECMモードに準拠するファクシミリ装置において、
受信側より通知されるエラーフレームに関連して伝送速度を、1段階速度を落としたり、2段階速度を落としたりするように制御するファクシミリ装置。」
で一致し、次の点で相違する。
(相違点)
(相違点1)
本願発明のものが、エラーフレーム数を計数蓄積する手段と、伝送速度を選択する手段と、伝送速度を1段階以上可変指示する制御手段とを有しているのに対して、引用例にはそれらの手段が明記されていない点。
(相違点2)
本願発明のものが、計数蓄積されたエラーフレーム数により、前記エラーフレーム数が予め定められたしきい値より小さいときには再送フレーム伝送速度を1段階低い伝送速度に落とし、前記エラーフレーム数が予め定められたしきい値より大きいときには再送フレーム伝送速度を2段階低い伝送速度に落とすようにすることにより、ECMモードにおいてPPR信号によって送信側に通知されるエラーフレームnと予め設定されているスレッショルドmとの比較により、n<mであれば1段階速度を落とし、n≧mであれば2段階速度を落とすように制御するのに対して、引用例1では、所定のフレームの画情報を、一定回数再送し、受信側に正しく送信できなかった場合、送信側は、最初に送信した1ブロックの総フレーム数Nと、受信側よりPPR信号で再送の指定が行なわれたフレーム数nとを判定し、エラー率n/Nを閾値と比較して、次のシフトダウンにより設定するデータ伝送速度を決定している点。

4.当審の判断
そこで、これらの相違点について検討すると、
(相違点1)について
引用例1に記載された発明のものも、エラー率n/Nを算出しているのであるから、明記はされていないが、エラーフレーム数nを計数蓄積する手段を有していることは、明かであり、
また、引用例1のものは、伝送速度を最初に伝送したフレーム総数に対するデータエラーとなったフレーム数の割合、つまり、エラー率に応じて、伝送速度を1段階速度を落としたり、2段階速度を落としたりすように、伝送速度を選択しており、
さらに、引用例1のものは伝送速度を切り換え制御をしてるものであるから、
したがって、引用例1のものに、エラーフレーム数を計数蓄積する手段と、伝送速度を選択する手段と、伝送速度を1段階以上可変指示する制御手段とを設けることは当業者が容易に考えられることである。

(相違点2)について
伝送にエラーが生じた場合の原因としては、ノイズが原因であることが十分考えられ、そのとき伝送速度をシフトダウンすることなく、まず、同一の伝送速度で再送した方が効率的である。引用例1のものは伝送速度のシフトダウンをする前に再送処理を行っているが、引用例1には「データエラーの場合、そのデータ伝送速度で、3回再送処理を行なうようにしたが、この回数は任意に設定できることは当然である」と記載されており、再送回数については必要に応じて適宜行えることが示唆れており、また、伝送した画情報にエラーが生じた場合にエラーを回復する手段として伝送速度をシフトダウンすることは引用例1の記載も含めて周知のことであるから、伝送した画情報にエラーが生じた場合に、同一の伝送速度による再送信を行なうことなく、本願発明のように、直ちに、伝送速度のシフトダウンを行なうようにすることは、必要に応じて当業者が適宜行えることである。
また、エラー率と閾値との比較を、エラーフレーム数としきい値との比較にすることも、本願発明のものはPPR信号で受信したPIX信号のエラーフレーム数を送るものであり、エラーフレーム数をn(n:1〜256の整数)とすることが明細書に記載されているから、PPR信号で送られるエラーフレーム数は最大で256であると認められる。これに対して、引用例1では、「ここで、回線状態の悪化により、伝送される画情報にデータエラーが生じたとすると、受信側は、データエラーを検出し、最大256フレームある1ブロックの画情報のどのフレームがエラーになったかを記憶する。そして、上記PPS・EOP信号を受信した後、PPR信号を送信し、この信号によりデータエラーとなったフレーム位置を受信側に通知する。」、「受信側に正しく送信できなかった場合、送信側は、最初に送信した1ブロックの総フレーム数Nと、受信側よりPPR信号で再送の指定が行なわれたフレーム数nとを判定し、エラー率n/Nに応じて、次にシフトダウンにより設定するデータ伝送速度を決定する」と記載されており、本願発明も引用例1のものも、PPR信号でエラーフレームを送信側に送る場合において、その最大値は256であり、エラー率もエラーフレーム数も実質的には相違せず、引用例1のエラー率と閾値との比較を、フレーム数としきい値との比較にすることは当業者が容易に推考することができることである。

5.むすび
以上のとおりであるので、本願請求項1に係る発明は、引用例1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものと認められ、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2002-12-17 
結審通知日 2002-12-24 
審決日 2003-01-07 
出願番号 特願平3-330469
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 堀井 啓明  
特許庁審判長 小川 謙
特許庁審判官 関川 正志
江頭 信彦
発明の名称 ファクシミリ装置  
代理人 河合 信明  
代理人 河合 信明  
代理人 机 昌彦  
代理人 谷澤 靖久  
代理人 谷澤 靖久  
代理人 机 昌彦  

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