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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A41B
管理番号 1072810
審判番号 不服2001-18435  
総通号数 40 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1992-04-03 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-10-12 
確定日 2003-03-17 
事件の表示 平成 2年特許願第403797号「密着式吸収性物品」拒絶査定に対する審判事件〔平成 4年 4月 3日出願公開、特開平 4-102452、請求項の数(14)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 1 本願発明
本願は、平成2年12月19日(優先権主張1989年12月19日、米国)の出願であって、その請求項1〜14に係る発明(以下、「本願発明1」〜「本願発明14」という。)は、平成14年6月17日付けの手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1〜14に記載されたとおりの次のものと認める。
「【請求項1】トップシート周縁寸法でトップシート周縁を有する液体透過性トップシートと、
前記トップシート周縁寸法よりも大きいバックシート周縁寸法でバックシート周縁を有する液体不透過性バックシートと、
前記トップシートと前記バックシートとの間に配置された吸収性構造とからなり、前記トップシート周縁が前記バックシート周縁に結合されて、これらの間に排泄物収納ポケットを形成するようになった、使い捨て吸収性物品であって、
前記液体透過性トップシートが着用者の身体とほぼ完全に接触するようになっており、
前記トップシートは、排泄物を受け入れるようになっている単一の開口部を含んでおり、
前記吸収性構造は5.08センチメートルから7.62センチメートル(2から3インチ)の股幅を有しており、
前記バックシートは膨張可能であり、これにより前記バックシートが人体排泄物を収納するように膨張するものであることを特徴とする使い捨て吸収性物品。
【請求項2】請求項1に記載の物品において、前記トップシートは長手方向の両端部と両側部とを含み、これら両端部と両側部は前記トップシート周縁を構成するものであり、前記バックシートは、長手方向の両端部と両側部とを含んでおり、前記両端部と前記両側部が前記バックシート周縁を形成するものであることを特徴とする物品。
【請求項3】請求項1または2のいずれかに記載の物品において、前記排泄物収容ポケットが少なくとも150立方センチメートルの容積を有することを特徴とする物品。
【請求項4】請求項2または3のいずれかに記載の物品において、前記長手方向の端のうちの一方の端付近にウエスト弾性部材を備えており、該ウエスト弾性部材は、前記バックシートにのみに周縁で結合されているものであることを特徴とする物品。
【請求項5】請求項1から4のいずれか1項に記載の物品において、さらに、前記長手方向の端部のうちの一方の端付近に通気性パネルを備え、このパネルが少なくとも40平方センチメートルの面積を有することを特徴とする物品。
【請求項6】請求項5に記載の物品において、前記通気性パネルが少なくとも約2000グラム/平方メートル/24時間(g/平方メートル/24時間)の水蒸気透過度を有することを特徴とする物品。
【請求項7】請求項5または6のいずれか1項に記載の物品において、前記通気性パネルが少なくとも20平方センチメートルの有効通気面積を有することを特徴とする物品。
【請求項8】請求項1から7のいずれかに1項に記載の物品において、さらに、前記長手方向の両端のうちの一方の端に一対の伸縮性耳部を包含し、これら伸縮性耳部が複数のループ部材のうちの1つとそこに設けた複数のフック部材とを有し、前記長手方向の端のうち他方の端が前記複数のループ部材の他方とそこに設けた前記複数のフック部材とを有することを特徴とする物品。
【請求項9】請求項1から8のいずれか1項に記載の物品において、前記トップシートおよび前記バックシートの一方が約12.5から17.5センチメートル(5インチから7インチ)の幅を有することを特徴とする物品。
【請求項10】請求項1から9のいずれか1項に記載の物品において、前記吸収性構造が少なくとも20立方センチメートルの容積を有する開口を有しており、前記吸収性構造は、10から12.5センチメートル(4から5インチ)の全幅を有することを特徴とする物品。
【請求項11】請求項1から10のいずれか1項に記載の物品において、前記バックシートがプリーツ付きバックシートであることを特徴とする物品。
【請求項12】 請求項1から10のいずれか1項に記載の物品において、前記バックシートが微小クレープ付きバックシートであることを特徴とする物品。
【請求項13】請求項1から12のいずれか1項に記載の物品において、前記バックシートが少なくとも9.8グラム/センチメートル(25グラム/インチ)の力で少なくとも20%膨張することを特徴とする物品。
【請求項14】 前記トップシートが伸縮可能材料から形成されており、前記吸収性構造が10から12.5センチメートル(4インチから5インチ)の全幅を有することを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載の物品。」

2 引用刊行物に記載された事項
前置審査において通知された拒絶の理由に引用された各刊行物には、以下の事項が記載されている。
(1)特開昭62-162001号公報(以下、「刊行物1」という。)には、弾性伸縮自在の外カバーと、排出物を吸収し外カバー内に配置された吸収手段とを備えた、体形にフィットする使い捨ておむつ、が記載され、吸収手段は、液体透過身体側当て部分を含む吸収材構造体と、当て部分に固着された液体不透過バリヤと、バリヤと当て部分との間に配置された吸収材とを備えていること、が記載されている。
(2)欧州特許出願公開第263720号明細書(1988年発行、以下、「刊行物2」という。)には、液体透過性トップシートと、液体不透過性バックシートと、それら両シート間に配置された吸収性コアと、排泄物が側部から流出するのを防止するバリヤーカフスとを備えた使い捨ておむつ、が記載され、吸収性コアを構成する砂時計型の吸収層48の股部が、約7cmの横幅を有すること、が記載されている。
(3)特開昭61-41304号公報(以下、「刊行物3」という。)には、湿気不透過性裏シート10と、疎水性表シート13と、それら両シート間に配置された吸収性パット11とからなり、表シート13の周縁が裏シート10に固定され、中央の股区域において、表シート13に単一の開口13Cが設けられ、開口13Cの長さは、排泄物の排出が開口を通して吸収パットへ向くように選択され、股区域において表シート13へ張力を与えるために、縦方向の弾性バンド16により弾性が与えられ、使用時に、表シート13が下に横たわる吸収性パット11より上に間隔を置いて押しやられる使い捨ておむつ、が記載されている。
(4)特開昭63-235503号公報(以下、「刊行物4」という。)には、透液性トップシートと非透液性バックシートとの間に体液吸収体が介在され、吸収体の端より外方に延びた吸収体が存在しないフラップ部を有する吸収性物品において、腰周り用弾性伸縮部材5,6と脚周り用弾性伸縮部材4をフラップ部の両シート間に配置し、長手方向中央部を少なくともトップシートに対して固着しない自由部とし、漏れを防止するとともに着用者の肌への違和感を低減した吸収性物品、が記載されている。
(5)特開昭59-66501号公報(以下、「刊行物5」という。)には、透水性トップシートと、不透水性バックシートと、それら両シート間に一体的に介在する吸収性コアと、コアの相対向する各側端近傍の長手方向に伸縮自在に取り付けられた第1伸縮弾性部材とからなる使い捨ておむつにおいて、両第1伸縮弾性部材の間であって、かつバックシートとコアとの間に任意本数の第2伸縮弾性部材が長手方向に伸縮自在に取り付けられている使い捨ておむつ、が記載され、第2伸縮弾性部材の作用により、おむつの中央部が着用者の股下にも弾性的に適合密着し、排尿がおむつの中央部で吸収されること、また、股下区域が細幅に形成されたおむつにおいては、さらに適合密着性が良好となること、が記載されている。
(6)特開昭64-26701号公報(以下、「刊行物6」という。)には、透液性トップシートと、不透液性バックシートと、それら両シート間に介在する吸収性コアと、吸収性コアの縦対向縁から外方に延出する両シート部分で形成される前側及び背側における第1のウエストフラップを備える使い捨ておむつにおいて、第1のウエストフラップの上面に伸縮弾性で通気防液性の第2のウエストフラップが設けられ、第1のウエストフラップと第2のウエストフラップとの間に内方へ開口するポケットが形成されている使い捨ておむつ、が記載され、第2のウエストフラップにより、吸収性コアと外部とが隔離され、その内部から外部への体液の流出が遮断されるとともに、内外部の間の通気が有効に行われて、内部における蒸れを抑制できること、が記載されている。

3 対比・判断
(1)本願発明1について
本願発明1と各刊行物に記載されたものとを対比すると、いずれの刊行物にも、本願発明1の構成要件である「トップシート周縁寸法でトップシート周縁を有する液体透過性トップシートと、前記トップシート周縁寸法よりも大きいバックシート周縁寸法でバックシート周縁を有する液体不透過性バックシート」及び「前記トップシート周縁が前記バックシート周縁に結合されて、これらの間に排泄物収納ポケットを形成するようになった」との構成(以下、「構成A」という。)については記載されていないし、示唆もされていない。
なお、刊行物3のFig.4に、裏シート10(本願発明1の「バックシート」に相当。)と吸収性パッド11が下方に湾曲し、これらと表シート13との間にポケットが形成されている状態が示されているが、このポケットは、単一の開口13C(本願発明1の「単一の開口部」に相当する。)が設けられた表シート13(本願発明1の「トップシート」に相当する。)の股区域における弾性バンド16により、表シート13が吸収性パット11や裏シート10より上に間隔を置いて押しやられることにより形成されたものであって、Fig.1〜3を参照しても、本願発明1のポケットのように、トップシート周縁寸法よりも大きい周縁を有するバックシートの周縁がトップシートの周縁に結合されて形成されたものとは認められない。
そして、本願発明1は、構成Aと他の構成が相俟って、着用者への密着性が高まるとともに排泄物の収容能力が高まり、明細書に記載されている従来の使い捨て吸収性物品に存する問題を解決する(平成14年6月17日付け意見書1/6頁、2/6頁参照。)ものである。
したがって、本願発明1は、刊行物1〜6記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。

(2)本願発明2〜14について
本願発明2〜14は、本願発明1を引用してさらに構成を限定するものであるところ、本願発明1が、上記(1)で述べたように、刊行物1〜6記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものということができない以上、本願発明2〜14も、刊行物1〜6記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。

4 むすび
以上のとおりであるから、前置審査の拒絶の理由によっては、本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2003-03-05 
出願番号 特願平2-403797
審決分類 P 1 8・ 121- WY (A41B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 千葉 成就  
特許庁審判長 鈴木 公子
特許庁審判官 祖山 忠彦
山崎 豊
発明の名称 密着式吸収性物品  
代理人 今城 俊夫  
代理人 小川 信夫  
代理人 竹内 英人  
代理人 大塚 文昭  
代理人 中村 稔  
代理人 村社 厚夫  
代理人 宍戸 嘉一  

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