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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04M
管理番号 1072890
審判番号 不服2001-342  
総通号数 40 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1994-10-18 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-01-11 
確定日 2003-02-28 
事件の表示 平成 5年特許願第 98821号「無線電話装置の蓋開閉検知機構」拒絶査定に対する審判事件[平成 6年10月18日出願公開、特開平 6-291820]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成5年3月31日の出願であって、その請求項1に係る発明は、平成10年12月7日付け、平成12年10月6日付け、平成13年2月9日付け、平成14年11月15日付けの手続補正によって補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるもの(以下、「本願発明」という。)である。

第2.本願発明
「復元性のある材料にて構成されており、表面に複数のキーが配設されたキーシートと、前記キーシートの表面に設けられた第1の突起と、前記キーシート上の前記第1の突起が設けられた面とは反対の面に設けられた第1の接点と、前記第1の突起が押圧されたときに、前記第1の接点と当接する第2の接点と、前記キーシートに設けられたキー及び前記第1の突起を露出させる孔を設けた筐体と、前記筐体の少なくとも前記第1の突起を覆うように設けられ、開閉が可能な蓋と、前記筐体と蓋を連結し、前記蓋を開閉可能に保持する蓋開閉部と、前記蓋を閉じたときに前記第1の突起を押圧する位置に設けられた第2の突起とを有し、前記蓋が閉じたときに前記第2の突起が前記第1の突起を押圧し、前記第1の接点と前記第2の接点とが当接すると共に、前記蓋が開き、前記第2の突起による前記第1の突起の押圧がなくなると、前記キーシートの復元力により、前記第1の接点と前記第2の接点との接続が開放される構成とし、更に、前記第1の突起は前記筐体の表面より突出しない構成とするとともに前記第1の突起及び前記第1の突起を露出させる孔は、前記複数のキーの配置された位置の間であって、蓋開閉部の近傍に配置されている事を特徴とする無線電話装置の蓋開閉検知機構。」

第3.引用刊行物
(1)これに対して、当審で引用され、本願の出願の日前である平成4年10月15日に国際公開された国際公開WO92/17893号パンフレット(1992)(特表平5-508735号)(以下、「引用刊行物1」という。)には、図面とともに、
「本発明は小型電子機器に対するヒンジ付きハウジングにかかわり、更に特定するに、ヒンジの位置に応動可能な制御信号を開始させるためのヒンジ付きハウジング(hinged housings)を利用する携帯可能な無線電話機にかかわる。」(特表平5-508735号公報の3頁右上欄5行ないし9行)、
「第1図にはコードレス無線電話システムで使用されるように適合された携帯可能な無線電話機が示されている。本発明はかかる携帯可能な無線電話機並びに他の小型電子機器において採用できる。例示されている携帯可能なユニットは2つの外部部分、つまり、前面ハウジング101及び背面ハウジング102を持つ本体部分と、フリップ素子部分103とから成っている。」(同4頁右上欄7行ないし13行)、
「第2図は第1図に示されているような携帯ユニットの一部分の展開された等角投影図である。示されている部品は前面ハウジング101と、背面ハウジング102と、プリント基板(PCB)201と、キーパッド109と、フリップ素子103と押棒203と、そしてパッド205とを含んでいる。」(同4頁下欄下から3行ないし右下欄3行)
「キーパッド109は、キーが前面ハウジング101の前面へと突き出すように、その前面ハウジング内に配置されている。」(同5頁右上欄12行ない14行)、
「PCB201は、キーパッド109がPCB201と前面ハウジング101との間で捕らえられるように、そのキーパッド上に置かれている。PCB201は携帯ユニットを動作させるのに必要な回路装置に対する基板を与える。」(5頁右上欄14行ない18行)、
「示されている回路装置の一部、つまり、導電性回路233はPCB201の表面上に配設されている。導電性回路233は、フリップ素子103が開成又は閉成位置にあるときを検知する。」(同5頁右上欄18行ないし21行)、
「1つのかかる別な実施例では、第5A図及び第5B図において示されているように、PCB109上にある導電性回路233に対し1つの付加的なキー501を含むキーパッド109の一部を延在させている。第5A図は、フリップ素子103が閉成されているときの開回路位置におけるキー501を例示している。第5Bは、フリップ素子103が開成しているときの閉回路位置におけるキー501を例示している。この実施例では、前記好ましい実施例におけるパッド205をキーパッド上におけるものに類似したキー501でもって置き換えている。」(同7頁左上欄14行ないし23行)、
「キーパッド109は従来と同様に、シリコーンゴムで作られる。各キーは、キー501が押されたときに導電性の回路装置233を短絡するための従来のカーボン接点503をキー501とPCB201との間でその上に配設して含んでいる。」(同7頁左上欄下から2行ないし右上欄3行)、
「導電性の回路装置233から所定の距離におけるキー501上にカーボン接点503を維持するキーパッド109上における他のキーに対してキー501を取付けている。」(同7頁右上欄6行ないし9行)、
「膜ボーダー507は、押棒203上での線形の圧力が回転するピン223によりキー501に印加されたときに崩壊し、それにより、スイッチ上におけるカーボン接点503が導電性の回路装置233を短絡するのを可能にする。」(同7頁右上欄9行ないし13行)の記載があるといえる。
これらの記載によれば、引用刊行物1には、
「復元性のある材料にて構成されており、表面に複数のキーが配設されたキーパッド109と、前記キーパッドの表面に設けられたキー501と、前記キーパッド上のキー501が設けられた面とは反対の面に設けられたカーボン接点503と、キー501が押圧されたときに、カーボン接点503と当接する導電性の回路装置233と、前記キーパッドに設けられたキー501と、前面ハウジング101と、前面ハウジング101を覆うように設けられ、開閉が可能なフリップ素子103と、前面ハウジング101とフリップ素子103とを連結し、フリップ素子103を開閉可能に保持するヒンジ部と 、フリップ素子103を開いたときにキー501を押圧する位置に設けられた押棒203とを有し、フリップ素子103が開いたときに前記押棒がキー501を押圧し、カーボン接点503と導電性の回路装置233とが当接すると共に、フリップ素子103が閉じ、前記押棒によるキー501の押圧がなくなると、前記キーパッドの復元力により、カーボン接点503と導電性の回路装置233との接続が開放される構成とし、更に、キー501は前面ハウジング101の表面より露出しない構成とした無線電話装置の蓋開閉検知機構。」の発明(以下、「引用刊行物1に記載された発明」という。)が開示されているものと認められる。

(2)同じく、当審で引用され、本願の出願の日前である平成4年9月14日に公開された特開平4-259156号公報(以下、「引用刊行物2」という。)には、第1図とともに「本発明携帯電話機は、例えば、図1に示すように、ボタンダイヤルキー9を有する面とボタンダイヤルキー9を有しない面とが対面して折り畳めるようにされた携帯電話機において、ボタンダイヤルキー9を有しない面に、少なくとも2つの凸部12,13を設け、この2つの凸部12,13により、折り畳み時に、上記ボタンダイヤルキー9のうち、少なくとも2つのキー9A,9Lが押されるようにしたものである。」(2頁左欄45行ないし右欄3行)の記載がある。

(3)同じく、当審で引用され、本願の出願の日前である平成2年6月28日に公開された特開平2-168796号公報(以下、「引用刊行物3」という。)には、第2図,第3図とともに、「この発明に係るリモートコントローラは、本体、この本体に開閉自在に設けられた蓋、上記本体に設けられたこの蓋の開閉状態を検知する開閉検知手段」(2頁下欄5行ないし8行)、「(7)は蓋の開閉によりON/OFFする開閉検知スイッチ」(2頁右下欄下から2行ないし末行)の記載がある。

(4)同じく、当審で引用され、本願の出願の日前である平成1年10月26日に公開された特開平1-268396号公報(以下、「引用刊行物4」という。)には、第2図ないし第4図とともに「リモコン送信本体1には、・・・開閉自在な蓋4と、この蓋4の開閉検出する蓋開閉検出スイッチ5とが備えられている。」(3頁左上欄4行ないし8行)の記載がある。

第4.対比・検討
1.本願発明と引用刊行物1に記載された発明とを対比すると、
(1)引用刊行物1に記載された発明の「キーパッド」、「キー501」、「カーボン接点503」、「導電性の回路装置233」、「前面ハウジング101」、「フリップ素子103」、「押棒」、「ヒンジ部」は、それぞれ、本願発明の「キーシート」、「第1の突起」、「第1の接点」、「第2の接点」、「筐体」、「蓋」、「第2の突起」、「蓋開閉部」に相当する。
(2)また、引用刊行物1に記載された発明は、蓋が開いたときに「第1の接点と第2の接点とが当接」し、蓋が閉じたときに「第1の接点と第2の接点との接続が開放される」のに対して、本願発明は、蓋が閉じたときに「第1の接点と第2の接点とが当接」し、蓋が開いたときに「第1の接点と第2の接点との接続が開放される」ことから、両者において、蓋の開閉動作と接点の当接、開放状態の関係が逆であるところ、「蓋が開いたとき」と「蓋が閉じたとき」は、ともに蓋の開閉の一方の状態を示すことから、本願発明の「蓋が閉じた」ときと引用刊行物1に記載された発明の「蓋が開いた」ときを「第1の状態」と称し、本願発明の「蓋が開いた」ときと引用刊行物1に記載された発明の「蓋が閉じた」ときを「第2の状態」と称すると、両者は、「蓋が第1の状態のときに第1の突起を押圧する位置に設けられた第2の突起とを有し、前記蓋が第2の状態のときに前記第2の突起が前記第1の突起を押圧し、前記第1の接点と前記第2の接点とが当接すると共に、前記蓋が開き、前記第2の突起による前記第1の突起の押圧がなくなると、前記キーシートの復元力により、前記第1の接点と前記第2の接点との接続が開放される構成」で一致する。
したがって、両者は、以下の点で一致ないし相違する。

2.一致点
「復元性のある材料にて構成されており、表面に複数のキーが配設されたキーシートと、前記キーシートの表面に設けられた第1の突起と、前記キーシート上の前記第1の突起が設けられた面とは反対の面に設けられた第1の接点と、前記第1の突起が押圧されたときに、前記第1の接点と当接する第2の接点と、前記キーシートに設けられたキーと、筐体と、開閉が可能な蓋と、前記筐体と蓋を連結し、前記蓋を開閉可能に保持する蓋開閉部と、前記蓋が第1の状態のときに前記第1の突起を押圧する位置に設けられた第2の突起とを有し、前記蓋が第2の状態のときに前記第2の突起が前記第1の突起を押圧し、前記第1の接点と前記第2の接点とが当接すると共に、前記蓋が開き、前記第2の突起による前記第1の突起の押圧がなくなると、前記キーシートの復元力により、前記第1の接点と前記第2の接点との接続が開放される構成とし、更に、前記第1の突起は前記筐体の表面より突出しない構成とした無線電話装置の蓋開閉検知機構。」

3.相違点
a)蓋の開閉と、接点の開閉との対応関係が、本願発明と引用刊行物1に記載された発明とは逆の関係にある点。
b)開閉が可能な蓋に関し、本願発明では、開閉が可能な蓋が筐体の少なくとも第1の突起を覆うように設けられるのに対して、引用刊行物1に記載された発明では、そのようになっていない点。
c)本願発明は、筐体に第1の突起を露出させる孔を設け、その孔は、複数のキーの配置された位置の間であって、蓋開閉部の近傍に配置されているのに対して、引用刊行物1に記載された発明は、そのようになっていない点。

4.相違点についての検討
(1)相違点aについて
蓋開閉の検知機構において、蓋の開閉と接点の開閉との対応関係をどのようするかは、単なる選択事項にすぎないものと考えられ、また、引用刊行物1に記載された発明において、蓋の開閉と接点の開閉との対応関係を逆にすることを妨げる格別の理由も見あたらないことから、蓋の開閉と接点の開閉との対応関係を逆にし本願発明の構成にすることは当業者であれば容易に想到し得ることである。

(2)相違点b、cについて
筐体に、蓋の開閉を検知するスイッチ(本願発明の「第1の突起」に相当する。)を露出させる孔を設け、さらに該スイッチを、開閉が可能な蓋によって覆われる位置に設けることは、引用刊行物2ないし4に示されるように周知の技術であり、また、蓋の開閉検知に使用される突起及び該突起を露出させる孔をどのように配置するかは、携帯電話機の利便性、小型化等を考慮して当業者が適宜決定されべき単なる設計事項であると考えられるから、引用刊行物1に記載された発明において、上記周知の技術を採用し、筐体に第1の突起を露出させる孔を設け、その孔は、複数のキーの配置された位置の間であって蓋開閉部の近傍に配置し、開閉が可能な蓋が筐体の少なくとも第1の突起を覆うようにすることは、当業者であれば容易に想到し得ることである。

(3)なお、利便性、小型化等の課題は、携帯電話機においても当然追求される課題であることを勘案すると、キーシートに設けられている第1の突起を、複数のキーの配置された位置の間であって、蓋開閉部の近傍に配置することにより得られる効果は、当業者が予想できるものであって格別顕著な効果であるとはいえない。

第5.むすび
したがって、本願発明は、引用刊行物1に記載された発明、及び引用刊行物2ないし4に示される周知の技術に基いて当業者であれば容易に発明をすることができたものと認められるから特許法第29条第2項の規定によって特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2002-12-10 
結審通知日 2002-12-17 
審決日 2003-01-07 
出願番号 特願平5-98821
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H04M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大日方 和幸朽名 一夫  
特許庁審判長 佐藤 秀一
特許庁審判官 浜野 友茂
山本 春樹
発明の名称 無線電話装置の蓋開閉検知機構  
代理人 山本 拓也  
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