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審決分類 審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  G01D
審判 全部申し立て 2項進歩性  G01D
管理番号 1073143
異議申立番号 異議2001-72556  
総通号数 40 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1996-10-22 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-09-10 
確定日 2003-01-14 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3185850号「スポーツ用物体の飛行特性を測定表示するモニター装置」の請求項1ないし9に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3185850号の請求項に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第3185850号「スポーツ用物体の飛行特性を測定表示するモニター装置」の請求項1ないし9に係る発明は、平成7年10月2日(パリ条約による優先権主張1994年9月30日、米国)の出願であり、平成13年5月11日にその特許の設定登録がなされ、その後、その特許について、異議申立人 三好朋子 より特許異議の申立がなされ、取消しの理由がされ、その所定の期間内である平成14年11月25日に意見書と共に、訂正請求書が提出されたものである。
2.訂正の適否についての判断
(1)訂正の要旨
ア.訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1の記載「物体がそれに近接する3次元の視野中を移動する間に該物体の飛行の初期の部分をモニターする装置であって、
前記物体が通過する前記視野に焦点が合わされている少なくとも1つのカメラが取り付けられているハウジングと、
前記物体が前記視野中を移動する間に前記少なくとも1つのカメラのゲートないしシャッターを作動させる手段と、
前記少なくとも1つのカメラのシャッターを開かせる信号を送る音響センサーと、
前記少なくとも1つのカメラに隣接して配されたフラッシュ手段と、
前記物体上に±0.37°以内の精度で予め正確に位置決めされて配された少なくとも3個の反射ドット手段と、
前記少なくとも1つのカメラに備えられ、前記反射ドット手段から反射された光を受ける感光パネルと、
前記装置の校正のため、予め前記感光パネル上に結像された前記少なくとも3個の反射ドット手段の座標を正確に知られている前記少なくとも3個の反射ドット手段の前記物体上の位置と関連付け、これに基づいて、前記物体の飛行の初期の部分の飛行経路、速度およびスピンを3次元的に判定するコンピュータ手段と
を有して成る装置。」を、
「物体がそれに近接する3次元の視野中を移動する間に該物体の飛行の初期の部分をモニターする装置であって、
前記物体が通過する前記視野に焦点が合わされている少なくとも1つのカメラが取り付けられているハウジングと、
前記物体が前記視野中を移動する間に前記少なくとも1つのカメラのゲートないしシャッターを作動させる手段と、
前記少なくとも1つのカメラのシャッターを開かせる信号を送る音響センサーと、
前記少なくとも1つのカメラに隣接して配されたフラッシュ手段と、
前記物体上に±0.37°以内の精度で予め正確に位置決めされて配された少なくとも3個の反射ドット手段と、
前記少なくとも1つのカメラに備えられ、前記反射ドット手段から反射された光を受ける感光パネルと、
前記装置の測定値の校正のため、前記感光パネル上に結像された前記少なくとも3個の反射ドット手段の2次元座標を正確に知られている前記少なくとも3個の反射ドット手段の前記物体上の3次元球極座標上の位置と予め関連付け、これに基づいて、前記物体の飛行の初期の部分の飛行経路、速度およびスピンを3次元的に判定するコンピュータ手段と
を有して成る装置。」と訂正する。
イ.訂正事項b
特許請求の範囲の請求項2の記載「フィールドを通過するスポーツ用物体の飛行特性を測定する装置であって、
携帯可能なハウジング内に配された、前記フィールド内の前記物体に焦点を合わせたシャッターを有する少なくとも1つの電子ビデオユニット、
前記物体上に±0.37°以内の精度で予め正確に位置決めされて配された少なくとも3個の反射ドット手段、
前記フィールド内の前記反射ドット手段の位置を認識する、前記電子ビデオユニット内に配された測定手段、
前記フィールドを照明する複数のフラッシュライト、
前記物体が第1の位置と第2の位置にあるときに、前記電子ビデオユニットのシャッターを開閉するとともに、前記各フラッシュライトを作動させて前記フィールド内の物体に光を当てる制御手段、
前記電子ビデオユニット内に配され、前記物体が前記第1の位置と第2の位置にあるときに、前記反射ドット手段からの光を受光する受光手段、および
前記ハウジング内あるいはその近傍に配され、前記装置の校正のため、予め前記受光手段により受光された前記少なくとも3個の反射ドット手段の座標を正確に知られている前記少なくとも3個の反射ドット手段の前記物体上の位置と関連付け、これに基づいて、前記物体が前記第1の位置にある時の前記反射ドット手段の位置と前記物体が前記第2の位置にある時の前記反射ドット手段の位置とを比較するコンピュータ手段、
からなることを特徴とする装置。」を
「フィールドを通過するスポーツ用物体の飛行特性を測定する装置であって、
携帯可能なハウジング内に配された、前記フィールド内の前記物体に焦点を合わせたシャッターを有する少なくとも1つの電子ビデオユニット、
前記物体上に±0.37°以内の精度で予め正確に位置決めされて配された少なくとも3個の反射ドット手段、
前記フィールド内の前記反射ドット手段の位置を認識する、前記電子ビデオユニット内に配された測定手段、
前記フィールドを照明する複数のフラッシュライト、
前記物体が第1の位置と第2の位置にあるときに、前記電子ビデオユニットのシャッターを開閉するとともに、前記各フラッシュライトを作動させて前記フィールド内の物体に光を当てる制御手段、
前記電子ビデオユニット内に配され、前記物体が前記第1の位置と第2の位置にあるときに、前記反射ドット手段からの光を受光する受光手段、および
前記ハウジング内あるいはその近傍に配され、前記装置の測定値の校正のため、前記受光手段により受光された前記少なくとも3個の反射ドット手段の2次元座標を正確に知られている前記少なくとも3個の反射ドット手段の前記物体上の3次元球極座標上の位置と予め関連付け、これに基づいて、前記物体が前記第1の位置にある時の前記反射ドット手段の位置と前記物体が前記第2の位置にある時の前記反射ドット手段の位置とを比較するコンピュータ手段、
からなることを特徴とする装置。」と訂正する。
ウ.訂正事項c
特許請求の範囲の請求項3の記載「視野を通る物体の飛行の初期の部分をモニターする装置であって、
前記物体の支持手段、
感光パネルを備えるとともに、前記物体が飛行の初期の部分において通る前記視野に焦点を合わせたカメラユニットを固定位置に収容した携帯可能なハウジング、
前記物体が前記視野を通過する間に少なくとも2回前記カメラユニットのゲートないしシャッターを作動させる手段、
前記物体上に土0.37°以内の精度で予め正確に位置決めされて設けられた3個以上のコントラスト領域または反射領域であって、それら領域各々からの光が前記感光パネルに達して該感光パネル上に光りパターンが形成されると共に前記カメラユニットのシャッターが開かれたときにアナログイメージ信号が発生されるように配された3個以上のコントラスト領域または反射領域、および
前記携帯可能なハウジング内あるいはその近傍に配され、前記装置の校正のため、予め前記感光パネル上に結像された前記3個以上のコントラスト領域または反射領域の座標を正確に知られている前記3個以上のコントラスト領域または反射領域の前記物体上の位置と関連付け、これに基づいて、校正用ではない前記アナログ信号を受け取って処理して、物体の飛行の初期の部分の飛行経路、速度およびスピンを判定するコンピュータ手段、
からなることを特徴とする装置。」を、
「視野を通る物体の飛行の初期の部分をモニターする装置であって、
前記物体の支持手段、
感光パネルを備えるとともに、前記物体が飛行の初期の部分において通る前記視野に焦点を合わせたカメラユニットを固定位置に収容した携帯可能なハウジング、
前記物体が前記視野を通過する間に少なくとも2回前記カメラユニットのゲートないしシャッターを作動させる手段、
前記物体上に土0.37°以内の精度で予め正確に位置決めされて設けられた3個以上のコントラスト領域または反射領域であって、それら領域各々からの光が前記感光パネルに達して該感光パネル上に光りパターンが形成されると共に前記カメラユニットのシャッターが開かれたときにアナログイメージ信号が発生されるように配された3個以上のコントラスト領域または反射領域、および
前記携帯可能なハウジング内あるいはその近傍に配され、前記装置の測定値の校正のため、前記感光パネル上に結像された前記3個以上のコントラスト領域または反射領域の2次元座標を正確に知られている前記3個以上のコントラスト領域または反射領域の前記物体上の3次元球極座標上の位置と予め関連付け、これに基づいて、測定用の前記アナログ信号を受け取って処理して、物体の飛行の初期の部分の飛行経路、速度およびスピンを判定するコンピュータ手段、
からなることを特徴とする装置。」と訂正する。
エ.訂正事項d
特許請求の範囲の請求項4の記載「視野を通る物体の飛行の初期の部分をモニターする装置であって、
前記物体が飛行の初期の部分において通る前記視野に焦点を合わせた感光パネルを備えたカメラユニット、
前記物体が前記視野を通過する間に少なくとも2回その物体を照明する手段、
前記物体上に設けられた3個以上の照明可能なマーカーであって、そのマーカーから反射された光が前記感光パネル上で結像するように前記物体上に配されるとともに、その物体上での位置が±0.37°以内の精度で正確に決められている3個以上の照明可能なマーカー、および
前記装置の校正のため、予め前記感光パネル上に結像された前記3個以上の照明可能なマーカーの座標を正確に知られている前記3個以上の照明可能なマーカーの前記物体上の位置と関連付け、これに基づいて、校正用ではない前記感光パネル上の像を処理して、物体の飛行の初期の部分の飛行状態を判定するコンピュータ手段、
からなることを特徴とする装置。」を、
「視野を通る物体の飛行の初期の部分をモニターする装置であって、
前記物体が飛行の初期の部分において通る前記視野に焦点を合わせた感光パネルを備えたカメラユニット、
前記物体が前記視野を通過する間に少なくとも2回その物体を照明する手段、
前記物体上に設けられた3個以上の照明可能なマーカーであって、そのマーカーから反射された光が前記感光パネル上で結像するように前記物体上に配されるとともに、その物体上での位置が±0.37°以内の精度で正確に決められている3個以上の照明可能なマーカー、および
前記装置の測定値の校正のため、前記感光パネル上に結像された前記3個以上の照明可能なマーカーの2次元座標を正確に知られている前記3個以上の照明可能なマーカーの前記物体上の3次元球極座標上の位置と予め関連付け、これに基づいて、測定用の前記感光パネル上の像を処理して、物体の飛行の初期の部分の飛行状態を判定するコンピュータ手段、
からなることを特徴とする装置。」と訂正する。
(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
訂正事項a及びbについて;
請求項1及び請求項2中の記載「前記装置の校正のため、予め前記感光パネル上に結像された前記少なくとも3個の反射ドット手段の座標を正確に知られている前記少なくとも3個の反射ドット手段の前記物体上の位置と関連付け」を「前記装置の測定値の校正のため、前記感光パネル上に結像された前記少なくとも3個の反射ドット手段の2次元座標を正確に知られている前記少なくとも3個の反射ドット手段の前記物体上の3次元球極座標上の位置と予め関連付け」と訂正することは、コンピュータ手段によって所要の測定値を得るためには装置の校正が必要であり、そのためには、3個の反射ドット手段に関し、感光パネル(受光手段)上に得られる2次元座標と既知の3次元球極座標との間で予め関連付けをしておくことが必要であることを明確にしようとするものであって、当該訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とするもので、明細書の段落0074以降の記載に基づくものである。
そうすると、訂正事項a及びbは、願書に添付した明細書に記載された事項の範囲内のものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張・変更するものではない。
訂正事項c及びdについて;
請求項3及び請求項4中の記載「前記装置の校正のため、予め前記感光パネル上に結像された前記3個以上の照明可能なマーカーの座標を正確に知られている前記3個以上の照明可能なマーカーの前記物体上の位置と関連付け、これに基づいて、校正用ではない前記感光パネル上の像を処理して、」を「前記装置の測定値の校正のため、前記感光パネル上に結像された前記3個以上の照明可能なマーカーの2次元座標を正確に知られている前記3個以上の照明可能なマーカーの前記物体上の3次元球極座標上の位置と予め関連付け、これに基づいて、測定用の前記感光パネル上の像を処理して、」と訂正することは、コンピュータ手段によって所要の測定値を得るためには、先ず、装置の校正が必要であり、そのためには、3個の反射ドット手段に関し、感光パネル上に得られる2次元座標と既知の3次元球極座標との間で予め関連付けをしておくことが必要であり、その後、測定時に得られるイメージ信号を処理(感光パネル上の像を処理)すればよいことを明確にしようとするものであって、当該訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とするもので、明細書の段落0074以降の記載に基づくものである。
そうすると、訂正事項c及びdは、願書に添付した明細書に記載された事項の範囲内のものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張・変更するものではない。
(3)むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項において準用する特許法第126条第2項から第4項までの規定に適合するので、当該訂正を認める。
3.特許異議の申立てについての判断
(1)特許異議の申立の理由の概要
特許異議申立人三好朋子は、証拠として甲第1号証(米国特許第4713686号明細書クラス358)、甲第2号証(特開平4-178505号公報)、甲第3号証(特開平3-94784号公報)、甲第4号証(井原敬介 外2名、「ゴルフボールの技術開発」、計測と制御、昭和60年8月、第24巻、第8号、p.749〜756)及び甲第5号証(特開昭63-186672号公報)を提出し、請求項1ないし3に係る発明の特許は甲第1ないし5号証に、及び、請求項4ないし9に係る発明の特許は甲第1ないし4号証に、それぞれ記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであり、請求項1ないし9に係る発明の特許はこれを取り消すべき旨を主張している。
(2)本件発明
上記2.で示した訂正が認められるから、本件発明は、上記訂正請求に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし9に記載された事項により特定されるとおりのもの(以下、「本件発明1ないし9」という。)である。
(3)特許異議申立人が提出した各甲号証記載の発明
甲第1号証(米国特許第4713686号明細書クラス358)には、それを日本語訳にすると次のことが記載されている。
「この発明は、動的対象物、例えばゴルフのクラブをスイングしてそのインパクト付近のボールやクラブを1フレーム内に多数写し、写った1フレームを打った瞬間にモニターに静止画像として写し出したり、テニスや卓球のラケットで打撃された直後のボールの速度やスピンを解析するための高速度瞬間多重画像記録装置に関するものである。」(第1欄第8〜15行)、「この発明は、動的対象物の必要な瞬間を1フレーム内に多数写し、不必要な画像をなくし、」(第1欄第34〜37行)、「モニターにビデオカメラ1フレーム内において発光部の複数の閃光でとらえられた複数の瞬間ポーズを同時に表示するように構成したものである。」(第1欄第60〜63行)、「第1図において、動的対象物1に向けて2台のビデオカメラ2、センサー3及び発光部4を設置する。このビデオカメラ2は通常市販されている毎秒30フレームのスピードの映像信号を送るものでよく、特殊な高速ビデオカメラは必要ではない。ゴルフクラブを振りおろすときにセンサー3が作動し、センサー3は検出信号をセンサー制御部6へ送る。センサー制御部6からの信号をリターダ7が受信し、リターダ7からの信号をストロボ制御部8へ送る。リターダ7からの信号を受信したストロボ制御部8は、ストロボ電源部9へ発光信号を送り、ストロボ電源部9は発光部4に発光出力を与える。発光出力が与えられた発光部4は、ビデオカメラ2の1フレーム内において複数回閃光し、複数の瞬間ポーズをとらえる。例えば、ビデオカメラ2として1秒間に30フレーム送る通常市販されているものを使用し、1フレーム分作動させた場合、 1/30秒の間に発光部4を10回閃光させる。ビデオカメラ2は1フレーム内に10の瞬間ポーズをキャッチし、リアルタイムでモニター5に多重画像として10の瞬間ポーズを写し出す。動的対象物1に対しては、正面並びに上方から2台のビデオカメラ2をセットし、それぞれの映像信号をフレームメモリー10へ送る。ストロボ制御部8から出力される発光信号は、ストロボ電源部9へ発光信号を出力すると同時にリターダ11へも出力し、リターダ11からフレームメモリー10へ外部信号を出力する。フレームメモリー10がリターダ11を介してストロボ制御部8からの信号を受けるとビデオカメラ2からの映像信号はフレームメモリー10にフリーズされたモニター5に映像出力を出す。モニター5にはビデオカメラ2の1フレーム内において発光部4の複数回の閃光でとらえられた複数回の瞬間ポーズを同時に、すなわち多重画像として表示する。また、フレームメモリー10は、モニター5に映像出力を出すとともにビデオテープレコーダ(VTR)12にも映像出力を出すようにし、VTR12でこの映像を記録しておくことができるようになっている。さらに、モニター5に映し出された画像を、第2図に示すように、マイコン13を利用して、ボールの位置、クラブの位置をデジタイザー14を使用し座標として表示し、解析ソフトによりボールの打ち出し速度、バックスピン、サイドスピン、上下打ち出し角度、左右打ち出し角度、ヘッドスピード、ヘッドの入り方(インサイドアウト、アウトサイドイン等)、打点等を数値化し、さらにはボールの初期条件を使用して弾道計算を行ない飛距離等を計算しCRT5の画面に表示させることもできる。リターダ7、11は、一定時間信号を次へ送るのを遅延させるものである。リターダ7は、一画面の中にボールとクラブとを多重撮影するためのタイミングを調整するためのものである。リターダ7の必要性は、センサー3を通過してゴルフスイングのインパクトの瞬間までの時間が打者及びクラブの番手によって遅い、速いの違いがあるからである。また、リターダ11は、ストロボ発光と映像取り込みとのタイミングを合わせ、1フレームの画面の中にボールとクラブとを多重撮影するためのものである。」(第2欄第15行〜第3欄第10行)、「第1図はビデオカメラ2を2台使用した例を示したが、1台又は3台以上設置して撮影角度を変えた映像を得ることもできる。」(第3欄第16〜19行)、「第4図(a)〜(c)に示すものは、ヘッド25の軌跡やシャフト26の動きを明確に映像にとらえるため、白色テープあるいは反射テープ27を貼り付けた。これにより、発光部4の閃光を反射させ、テープ27の個所を特徴的に写し出せることとなる。なお、ゴルフクラブ全体を白色に塗装しても良い。また、ボールにもこのような反射テープ27を貼り付けておいても良い。ボールには十文字の黒いマークを付しておくことにより弾道解析がしやすくなる。」(第3欄第66行〜第4欄第8行)
甲第2号証(特開平4-178505号公報)には、「対象物体上に三角形の3頂点を形成するように配設された3ケのセンサーターゲットと、上記各センサーターゲットを同時に撮影するとともにその画像信号を出力する1基のCCDカメラと、同画像信号に基づいて上記各センサーターゲットの位置をXYZ座標で示す画面座標信号を出力する画像信号処理装置と、同画面座標信号に基づいて上記対象物体の位置及び姿勢を算出する計算機とを具えたことを特徴とする3次元的連動計測装置」(第1頁左欄第5〜14行)、「従来の画像センサーによる3次元運動計測装置では、2台のカメラを使用する手段が知られており、これによると、例えば第3図斜視図に示すように、画像センサーとしてのCCDカメラaと画像信号処理装置bを各々2台と、計算機Cとを次に示す要領で使用するのである。
すなわち、各1台のカメラaと画像信号処理装置bからなるセンサー系が2系統あり、両眼視することによって、対象物eの位置と姿勢とを計測する。
その際、センサーターゲットfは、対象物eに固定された豆電球等であり、これは背景からセンサー系が対象物eを判別し易くするためである。
画像信号処理装置bは、カメラaから画像信号を取り込み、画像中で上記センサーターゲットの像を判別するとともに、その像がカメラの視野内のどこに位置しているかをX-Y座標等で示す信号を発生する。
そして計 算機Cは、上記信号を2つの画像信号処理装置から取り込み、三角測量法によって前述のセンサーターゲットの3次元的位置を算出することにより、対象物eの位置と姿勢を算出するのである。」(第1頁左欄20行〜第2頁左上欄第3行)と記載されている。
甲第3号証(特開平3-94784号公報)には、「打たれたゴルフボール46の着地点を計算する際のもう一つの重要な面は、ボール46内に加えられたスピン量によって判断されるようなゴルフボール46のフックとスライスの判断であろう。
この測定は複数の部品を用いて行われる。これら部品は光線54Aと54B、およびセンサ56Aと56Bを含む。第4図について述べると、光源54、ボール46、および56間の関係が描かれている。光源54は光源54AとB、ならびにセンサ56AとBにより形成される面内を伝揺する光線を発する。本発明の目的上、特殊なゴルフボール46を使用する。ゴルフボール46が特殊であるのはそれが反射性の高いコック62を備えているためである。これらのコック62は光源54AとBによりセンサ56AとB上へ発せられた光を反射する働きを行う。第4図は、ゴルフボール46の高反射性コック62から発する光線がセンサ56A上へ反射される状態を示す。
第5図について述べると、ゴルフボール46とセンサ56A、56Bの上面図が示されている。センサ56Aと56Bとは2列66A、66B、および68A、68Bの2列へ分割される。以上の列はそれぞれ、複数の光センサ素子より構成される。これらの列の構成は水平と垂直面におけるスピン速度を判断するために本発明の重要な面を形成する。 水平方向スピン成分は矢印61により表わされる。ボール46が光線54Aと54Bおよびセンサ56Aと56Bの面内に入ると、光は光源から反射されてセンサ56Aと56B上へ至る。センサ56B上に集光して、反射光は列68(A文字で示す)と列66(B文字で示す)に異なる時間にあたることになろう。光が列Bにあたる前に列Aにあたるかどうかがスピンの方向を与えることになろう。光が列Aから列Bへ、又はその逆に達するのに要する時間と等価なもう一つの測定が行われる。この測定値を使用してスピン速度を判断する。さてセンサ56Aについて注目すると同じ手順がたどられる。ボール46A上のスピンによって反射光線は列66Aの後に列68A(それぞれB1とA1文字によって示す)もしくはその逆の順序で当たることになろう。
もしボールがスピンなしにセンサ56Aと5B上を通過すると、まづ最初に光を第1列のセンサ(AとA1)に反射し、その後第2列のセンサ(BとB1)上に反射することになろう。2個のセンサ56AとBの列どうしの間の時間差は同一であるため、水平方向スピンは存在しないことが示されよう。2個のセンサ56AとBの2列(A/A1とB/B1)どうしの間の測定値に差がある場合には水平方向スピンが示される。スピン速度は、もしボール46が56aと56B間の中心にある場合には光が距離dとd1を進む時間測定値の差に比例する。
もしボール46がセンサ56aと56b上の中心になければ、このずれはボール46がネット44に当たる部分から計算することができる。この場合、この中心の欠如による水平方向スピン速度の誤差は何れも軌跡計算前に除去することができる。
垂直スピン成分は矢印63により示す。垂直スピンは2つの速度測定値を比較することによって測定される。第1の速度測定値は先に論じたようにセンサ56AとBとネット44間で測定したものである。(全速度につき以下”TU”と称する)第2の測定値は第1のセンサ列68Aから第2列68Bへボールが反射する光の速度である。ボール46の1センサ56に近接する度合を補償するために各センサについて速度測定値の平均がとられる。
(U56A+U56B)/2
但し、U56Aは左センサについてのもので、U56Bは右センサについてのものである。
垂直スピン速度はこれら測定値を互いに引き合うこうによって得られる。
即ち、垂直方向スピン={(U56A+U56B)/2 }-TU
もしその結果が水平面でゼロならば、垂直方向スピンは存在しない。ゼロでなければ、スピンの方向に大きさは知ることができる。
センサ 56AとBは反射光線が列68から66へ進むに要する時間を表わすデジタル信号をつくりだす。この信号はコンピュータ50へ供給される。」(第8頁左下欄第1行〜第9頁左下欄第3行)、「ボール運動検出手段149はボール状要素146の運動をコンピュータ解析するための情報を提供する働きを行う。センサ手段149は要素146の運動の方向に配置され、その横断方向に向けられる。ボール状要素146(以下「ボール」と称する)を打つ前に、ボールはティー上に反射面146a1の位置を配置する具合に向けられ光線148からの光をボール運動センサ手段149上へ向ける。
センサ手段149は、第10図に最も良く示されるように、半剛性支持板153上に担われた個々のセンサ要素の一対の側部方向に隔たった直立配置ライン151、152を備える。支持板153は同時に一対の直立に隔てられた、しかし水平方向に配置されたセンサ要素のライン154、155を担う。上記運動検出手段149は以下に説明するようにボール状要素の水平方向と垂直方向のスピンを検出する働きを行う。
かくして、センサ支持板153は2軸の各々についてボール146のスピンを表わす情報を提供する。ボール146が当たる時、もしそれが全体として水平軸の周囲を上部方向に回転すれば、即ち、もしボールが第9図の如く時間廻り方向に回転すれば、センサ支持板153上の反射光は全体として上部方向へ動きライン154、155をクロスすることになろう。かくして、水平方向ライン154、155内を光点からフラッシュする光の間の時間はボールの上部方向スピン量を表示する。
同様にして、ライン151、152内のセンサ要素からのフランシュライト間の時間はその光が左から右、或いは右から左へ移動して照明されるかどうかに応じてスライスもしくはフックの大きさを表示する。
その代わり、もし2列のセンサ要素のみが使用される場合には、例えばライン154、155の如く、光点が個々のライン154、155センサをクロスする位置を使用してプレーヤがボールに加える「フック」もしくは「スライス」の大きさを検出することもできる。
全体として、スピンは、個々の検出器の何れが 光検出マトリックス内でオンオフするかを監視することによって検出することができる。」(第11頁左上欄第12行〜同左下欄第14行)と記載されている。
甲第4号証(井原敬介 外2名、「ゴルフボールの技術開発」、計測と制御、昭和60年8月、第24巻、第8号、p.749〜756)には、「ゴルフボールの弾道を決定する最大の要因はいうまでもなく初期条件である。また、飛翔中における揚、抗力も、速度、スピンに大きく影響されるから、この初期条件を精度よく測定する必要がある。そのための手法としては、マルチフラッシュによる重ねどり、ムービーカメラやテレビカメラによる方法、光電管の利用などがあるが、解像度、画像の線形性が良く、しかも後処理が容易という点でマルチフラッシュを用いた複数個のカメラ(多方面)による同時撮影の方法が最も優れている(写真6)。得られた写真からボール表面の多数の定点の各時刻における位置を算出し、これを並進と回転運動成分とに分離するのである。この方法によって、空間位置で平均約0.1mm、すなわち、速度にして約0.1m/sスピンでは30rpm以内の誤差にて速度、スピンを求めうる。」(第753頁左欄下から第10行〜同右欄第5行)と記載されている。
甲第5号証(特開昭63-186672号公報)には、「発光部とフレームメモリー及びテレビモニターを1つのケース内に収納したことを特徴とするゴルフ練習器」(第1頁左欄第19行〜同右欄第1行)、「この発明によれば、高速のインパクトの瞬間をビデオカメラ、発光ブラケット、フレームメモリーの組合せにより、その場で多重画像としてテレビモニターに写し出すので、ありのままの現象を目で見せることができ、納得性、信頼性が高い。また、ケース内の主要機器を収納したので、コンパクト化が図れ、テレビモニターでゴルファーの欠点やヘッドスピードも表示でき解析が容易となる。」(第4頁右欄第4〜12行)と記載されている。
(4)対比・判断
ア.請求項1に係る発明について
請求項1に係る発明と特許異議申立人が提出した甲第1号証ないし甲第5号証に記載の発明を対比すると、当該いずれの刊行物にも、「前記物体上に±0.37°以内の精度で予め正確に位置決めされて配された少なくとも3個の反射ドット手段」及び「前記装置の測定値の校正のため、前記感光パネル上に結像された前記少なくとも3個の反射ドット手段の2次元座標を正確に知られている前記少なくとも3個の反射ドット手段の前記物体上の3次元球極座標上の位置と予め関連付け、これに基づいて、前記物体の飛行の初期の部分の飛行経路、速度およびスピンを3次元的に判定するコンピュータ手段」の構成が記載されていない。そして、請求項1に係る発明は、前記構成を有することにより、校正装置30を用いることなくボールの速度とスピンを適切に演算することができる(本件特許公報第10頁第19欄第15行〜同第14頁第27欄第18行の記載参照)という効果を奏するものと認められる。したがって、本件請求項1に係る発明は、上記各甲号証に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
イ.請求項2に係る発明について
請求項2に係る発明と特許異議申立人が提出した甲第1号証ないし甲第5号証に記載の発明を対比すると、当該いずれの刊行物にも、「前記物体上に±0.37°以内の精度で予め正確に位置決めされて配された少なくとも3個の反射ドット手段」及び「前記装置の測定値の校正のため、前記受光手段により受光された前記少なくとも3個の反射ドット手段の2次元座標を正確に知られている前記少なくとも3個の反射ドット手段の前記物体上の3次元球極座標の位置と予め関連付け、これに基づいて、前記物体が前記第1の位置にある時の前記反射ドット手段の位置と前記物体が前記第2の位置にある時の前記反射ドット手段の位置とを比較するコンピュータ手段」の構成が記載されていない。そして、請求項2に係る発明は、前記構成を有することにより、校正装置30を用いることなくボールの速度とスピンを適切に演算することができる(本件特許公報第10頁第19欄第15行〜同第14頁第27欄第18行の記載参照)という効果を奏するものと認められる。したがって、本件請求項2に係る発明は、上記各甲号証に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
ウ.請求項3に係る発明について
請求項3に係る発明と特許異議申立人が提出した甲第1号証ないし甲第5号証に記載の発明を対比すると、当該いずれの刊行物にも、「前記物体上に±0.37°以内の精度で予め正確に位置決めされて設けられた3個以上のコントラスト領域または反射領域であって、それら領域各々からの光が前記感光パネルに達して該感光パネル上に光りパターンが形成されると共に前記カメラユニットのシャッターが開かれたときにアナログイメージ信号が発生されるように配された3個以上のコントラスト領域または反射領域」及び「前記装置の測定値の校正のため、前記感光パネル上に結像された前記3個以上のコントラスト領域または反射領域の2次元座標を正確に知られている前記3個以上のコントラスト領域または反射領域の前記物体上の3次元球極座標の位置と予め関連付け、これに基づいて、測定用の前記アナログ信号を受け取って処理して、物体の飛行の初期の部分の飛行経路、速度およびスピンを判定するコンピュータ手段、」の構成が記載されていない。そして、請求項3に係る発明は、前記構成を有することにより、校正装置30を用いることなくボールの速度とスピンを適切に演算することができる(本件特許公報第10頁第19欄第15行〜同第14頁第27欄第18行の記載参照)という効果を奏するものと認められる。したがって、本件請求3に係る発明は、上記各甲号証に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
エ.請求項4に係る発明について
請求項4に係る発明と特許異議申立人が提出した甲第1号証ないし甲第5号証に記載の発明を対比すると、当該いずれの刊行物にも、「その物体上での位置が±0.37°以内の精度で正確に決められている3個以上の照明可能なマーカー」及び「前記装置の測定値の校正のため、前記感光パネル上に結像された前記3個以上の照明可能なマーカーの2次元座標を正確に知られている前記3個以上の照明可能なマーカーの前記物体上の3次元球極座標の位置と予め関連付け、これに基づいて、測定用の前記感光パネル上の像を処理して、物体の飛行の初期の部分の飛行状態を判定するコンピュータ手段」の構成が記載されていない。そして、請求項4に係る発明は、前記構成を有することにより、校正装置30を用いることなくボールの速度とスピンを適切に演算することができる(本件特許公報第10頁第19欄第15行〜同第14頁第27欄第18行の記載参照)という効果を奏するものと認められる。したがって、本件請求項4に係る発明は、上記各甲号証に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
オ.請求項5ないし9に係る発明について
請求項5ないし9に係る発明は、そのいずれもが請求項4に係る発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当するから、上記エで説示したと同様の理由により、上記各甲号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
なお、平成14年9月17日付けでした取消理由通知の概要は、本件明細書の段落【0089】中の記載が不明瞭である旨のものであるが、これは、上記訂正請求と同時に提出された意見書により明確になった。
4.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件の請求項1ないし9に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、本件発明についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認めない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
スポーツ用物体の飛行特性を測定表示するモニター装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 物体がそれに近接する3次元の視野中を移動する間に該物体の飛行の初期の部分をモニターする装置であって、
前記物体が通過する前記視野に焦点が合わされている少なくとも1つのカメラが取り付けられているハウジングと、
前記物体が前記視野中を移動する間に前記少なくとも1つのカメラのゲートないしシャッターを作動させる手段と、
前記少なくとも1つのカメラのシャッターを開かせる信号を送る音響センサーと、
前記少なくとも1つのカメラに隣接して配されたフラッシュ手段と、
前記物体上に±0.37°以内の精度で予め正確に位置決めされて配された少なくとも3個の反射ドット手段と、
前記少なくとも1つのカメラに備えられ、前記反射ドット手段から反射された光を受ける感光パネルと、
前記装置の測定値の校正のため、前記感光パネル上に結像された前記少なくとも3個の反射ドット手段の2次元座標を正確に知られている前記少なくとも3個の反射ドット手段の前記物体上の3次元球極座標上の位置と予め関連付け、これに基づいて、前記物体の飛行の初期の部分の飛行経路、速度およびスピンを3次元的に判定するコンピュータ手段と
を有して成る装置。
【請求項2】 フィールドを通過するスポーツ用物体の飛行特性を測定する装置であって、
携帯可能なハウジング内に配された、前記フィールド内の前記物体に焦点を合わせたシャッターを有する少なくとも1つの電子ビデオユニット、
前記物体上に±0.37°以内の精度で予め正確に位置決めされて配された少なくとも3個の反射ドット手段、
前記フィールド内の前記反射ドット手段の位置を認識する、前記電子ビデオユニット内に配された測定手段、
前記フィールドを照明する複数のフラッシュライト、
前記物体が第1の位置と第2の位置にあるときに、前記電子ビデオユニットのシャッターを開閉するとともに、前記各フラッシュライトを作動させて前記フィールド内の物体に光を当てる制御手段、
前記電子ビデオユニット内に配され、前記物体が前記第1の位置と第2の位置にあるときに、前記反射ドット手段からの光を受光する受光手段、および
前記ハウジング内あるいはその近傍に配され、前記装置の測定値の校正のため、前記受光手段により受光された前記少なくとも3個の反射ドット手段の2次元座標を正確に知られている前記少なくとも3個の反射ドット手段の前記物体上の3次元球極座標上の位置と予め関連付け、これに基づいて、前記物体が前記第1の位置にある時の前記反射ドット手段の位置と前記物体が前記第2の位置にある時の前記反射ドット手段の位置とを比較するコンピュータ手段、
からなることを特徴とする装置。
【請求項3】 視野を通る物体の飛行の初期の部分をモニターする装置であって、
前記物体の支持手段、
感光パネルを備えるとともに、前記物体が飛行の初期の部分において通る前記視野に焦点を合わせたカメラユニットを固定位置に収容した携帯可能なハウジング、
前記物体が前記視野を通過する間に少なくとも2回前記カメラユニットのゲートないしシャッターを作動させる手段、
前記物体上に±0.37°以内の精度で予め正確に位置決めされて設けられた3個以上のコントラスト領域または反射領域であって、それら領域各々からの光が前記感光パネルに達して該感光パネル上に光りパターンが形成されると共に前記カメラユニットのシャッターが開かれたときにアナログイメージ信号が発生されるように配された3個以上のコントラスト領域または反射領域、および
前記携帯可能なハウジング内あるいはその近傍に配され、前記装置の測定値の校正のため、前記感光パネル上に結像された前記3個以上のコントラスト領域または反射領域の2次元座標を正確に知られている前記3個以上のコントラスト領域または反射領域の前記物体上の3次元球極座標上の位置と予め関連付け、これに基づいて、測定用の前記アナログ信号を受け取って処理して、物体の飛行の初期の部分の飛行経路、速度およびスピンを判定するコンピュータ手段、
からなることを特徴とする装置。
【請求項4】視野を通る物体の飛行の初期の部分をモニターする装置であって、
前記物体が飛行の初期の部分において通る前記視野に焦点を合わせた感光パネルを備えたカメラユニット、
前記物体が前記視野を通過する間に少なくとも2回その物体を照明する手段、
前記物体上に設けられた3個以上の照明可能なマーカーであって、そのマーカーから反射された光が前記感光パネル上で結像するように前記物体上に配されるとともに、その物体上での位置が±0.37。以内の精度で正確に決められている3個以上の照明可能なマーカー、および
前記装置の測定値の校正のため、前記感光パネル上に結像された前記3個以上の照明可能なマーカーの2次元座標を正確に知られている前記3個以上の照明可能なマーカーの前記物体上の3次元球極座標上の位置と予め関連付け、これに基づいて、測定用の前記感光パネル上の像を処理して、物体の飛行の初期の部分の飛行状態を判定するコンピュータ手段、からなることを特徴とする装置。
【請求項5】 前記照明可能なマーカーが6個のドットからなり、その内の1個が中央に配され、他の5個が緯度37°、経度0°、72°、144°、216°、288°にそれぞれ配されていることを特徴とする請求項4記載の装置。
【請求項6】 前記物体の打撃を検出する音響センサーをさらに備えることを特徴とする請求項4記載の装置。
【請求項7】 前記カメラが解像力754×244ピクセルのCCDカメラであることを特徴とする請求項4記載の装置。
【請求項8】 前記照明可能なマーカーが前記物体の表面に反射性材料を円形に付着させてなるものであることを特徴とする請求項4記載の装置。
【請求項9】 前記物体の予想される飛行を表示する表示手段を備えることを特徴とする請求項4記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はボール等のスポーツ用物体の発射角度、スピン量および速度を判定するボールモニター装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
複数の電気センサーを使用してスポーツ用物体の発射角度、スピン量および速度を判定するボールモニター装置は古くから知られている。例えば、米国特許第4,063,259号、第4,136,387号、第4,160,942号および第4,158,853号を参照されたい。
【0003】
本出願は、1992年1月22日出願の米国特許出願No.07/823,732の継続出願である、1993年5月18日出願の米国特許出願No.08/063,611のさらに継続出願である、1994年5月13日出願の米国特許出願No.08/242,590の一部継続出願であり、これらの出願の全文をここに引用したものとする。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はコンパクトで携行でき、物体の初期飛行特性を自動的にモニターすることができるとともに、現場で容易に校正することができるモニター装置を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の装置においては、物体上に複数の反射領域あるいはコントラスト領域が設けられ、その領域からの光がその物体の飛行の初期の瞬間瞬間を表す連続した複数の光パターンとして、1台ないし複数台のカメラでとらえられる。カメラによってとらえられた光パターンは、飛行中の物体からの信号を既知の基準光パターンと比較してその物体の初期飛行特性を計算するコンピュータによって処理される。
【0006】
このように物体上に複数の反射領域あるいはコントラスト領域を設けることによって、飛行の初期に物体が回転しても各カメラは充分なデータを受け取ることができる。
【0007】
さらに校正装置あるいは物体上に正確に位置せしめられた反射領域ないしマーカーを使用することによって校正が容易になる。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1〜4において、図1の装置3はカメラユニット4、コンピュータ5、音響センサー6およびティーアップされたゴルフボール8を備えている。カメラユニット4は筐体11と支持脚12a、12bを備えており、支持脚12a、12bをレール14、16に沿って摺動させててカメラユニット4のゴルフボール8に対する位置を調整することができるようになっている。カメラユニット4は間隔を置いて配された一対の電子光学カメラ18、19をさらに備えており、そのカメラ18、19は受光用開口18a、19a、シャッター(図示せず)、感光性シリコンパネル18p、19p(図4)を備えている。このカメラ18、19としてはCCDカメラを使用するのが望ましいが、テレビ用のカメラも使用することができる。
【0009】
図2において、ゴルフボール8は複数のディンプル8dと間隔を置いて配された6つの円形の反射領域ないし反射ドット20a〜20fを備えている。反射ドット20a〜20fは円形で、1/10インチ〜1/8インチの径であるのが望ましいが、他のサイズや形状であっても差し支えない。反射ドット20a〜20fは反射性の材料をボールの表面に付着させて形成するのが望ましい。その材料としては3M社の(Minnesota Mining and Manufacturing)のビーズ材料「Scotchlite」が望ましい。コーナーレフレクター等の逆反射体も使用することができる。またコントラスト領域を形成するスポットを塗料で形成してもよい。反射領域の数は各反射領域がボールの位置A、Bにおいてカメラ18、19が受光することのできる光を反射しさえずれば、3個以上6個あるいはそれ以上でもよい。カメラ18も19も全ての反射領域20a〜20fからの光を受光できる。図1の直線A、B間の角度は10°〜30°、望ましくは22°である。
【0010】
反射領域20a〜20fに入射する光線と反射領域20a〜20fからカメラに入射する光線がなす発散角が0°あるいは0°に近いときには反射材料はゴルフボールのコーティング面に比べて900倍も明るい。この発散角が大きくなるに従って反射領域20a〜20fの明るさと背景(ボール表面の他の部分)の明るさの比は小さくなる。フラッシュライトがゴルファーに見えないように赤外線で照明してもよい。
【0011】
カメラ18に隣接して2個のフラッシュランプ21、22が、カメラ19に隣接してさらに2個のフラッシュランプ23、24が配される。フラッシュランプ21、22、23、24は前記発散角が小さくなるようにカメラ18、19の作動位置にできる限り近く配され、これによってカメラ18、19が反射領域20a〜20fからの光をより多く受光することができ、また反射領域20a〜20fからの光とボール表面の他の部分からの光や他の背景光とをより明確に区別することができる。感光パネル18p、19pに光が当たってパネルが励起される時間を制御することによって、ゲーティング機能あるいはシャッター機能を果たすようにしてもよい。このように感光パネルの操作によってゲーティング機能あるいはシャッター機能を果たすようにしたカメラはゲーテッドチャージ増倍カメラ(gated charge intensified camera)である。この場合には光源は常にオンされ、シャッターは常に開かれ、800マイクロ秒間隔で2期間だけ集光する感光パネル18p、19pを使用することによってゲーティングがなされる。さらに、100マイクロ秒で開閉する強誘電液晶シャッターを使用してもよい。この場合は、光源はオンしたまま、打球後2回シャッターを開閉する。
【0012】
本実施の形態の装置を使用する際にはまずカメラ18、19の校正を行う。カメラ18、19は空間に固定された座標系によって校正される。校正に際しては、図3の校正装置30をゴルフボール8が置かれる場所のすぐ前方に配する。校正装置30は20個の径1/4インチの逆反射ドット30a〜30tを備えている。また校正装置30はその3次元構造によって大域座標系を形成している。校正装置30の位置、カメラ18、19の校正装置30からの距離およびカメラ18、19相互間の距離は正確である必要はない。校正装置30がカメラ18、19の11個の定数を決定するときにカメラ18、19の位置決めがなされる。校正装置30上の予め測定された複数の点と感光パネル18p、19p上でデジタル化された20のU座標およびV座標が与えられていれば、各カメラ18、19の焦点距離、向きおよび位置をその11個の定数が決定する。光パターンを検出する感光パネル18p、19pは240行のデータ(510ピクセル/行)を収容することができる。図4に示す格子は単に説明のためのものであり、240行は備えていない。コンピュータのアルゴリズムが各反射領域20a〜20fの面積の中心を検出するのに使用される。反射領域の面積の中心の検出は、各反射領域の中心部の位置を高精度かつ高解像力で決定することである。各反射領域20a〜20fの像から得られるのは見かけのX軸とY軸の中心である。ゲーティングのために視野が暗いときには感光パネルに光増幅器を設けてもよい。光増幅器は入力像より明るい像を出力する装置である。
【0013】
各逆反射ドット30a〜30tの中心のX、Y、Z座標はデジタル化テーブル上で1万分の1の精度で予め測定されており、コンピュータに記憶されている。校正装置30の像が2台のカメラ18、19で撮影される。この像が像の空間座標U,Vを校正装置30上の既知の20のX,Y,Z位置に関連づける11個の定数を決定する。
【0014】
校正された複数の点X(i),Y(i),Z(i)を像点Ui(j),Vi(j)に関連づける式は次のようである。
【0015】
【数1】

【0016】
カメラ18の11個の定数Di1(i=1,11)およびカメラ19の11個の定数Di2(i=1,11)は20の位置におけるX(i),Y(i),Z(i)2台のカメラの校正写真で測定された20のUi(j),Vi(j)を知ることによって求められる。
【0017】
校正の完了後、カメラ18、19から約30インチの距離にあったゴルフボール8が3次元視野35(図2)内に打ち出される。この際、音響センサー6が打球音を検出し、カメラ18、19のシャッターを開き6個の反射領域20a〜20fからの光をカメラ18、19の感光パネルに当てる信号を出力する。100マイクロ秒後、フラッシュランプ22、23が発光して6個の反射領域20a〜20fを照明する。800マイクロ秒後に、他のフラッシュランプ24、21が発光して、視野35内の初期の飛行経路に沿って約4〜6インチ離れた位置の6個の反射領域20a〜20fを照明する。フラッシュライトの持続時間は1万分の1秒から2、3百万分の1秒である。外光の影響を小さくするためにカメラの受光用開口は極めて小さくされている。その2位置のゴルフボール8の反射領域20a〜20fで反射された光はカメラ18、19の感光パネル18p、19pの対応する領域25a〜25f、25g〜25lに達する。
【0018】
ゴルフボール8の寸法、カメラの作動間隔、2台のカメラの幾何学的な関係が既知であるので、これらから外部計算回路は各撮影時における各反射領域20a〜20fの位置X,Y,Zを共通の座標系内で計算することができる。その位置情報と既知のデータから、外部計算回路は打球直後のボールの速度とスピンを3次元的に計算することができる。ボールの初速とスピン、さらにボールの空力特性(既知)が与えられれば、外部計算回路はボールの飛行経路と着地点を正確に予想することができる。
【0019】
半径0.84インチのゴルフボール8の3次元モニターはボール上の各反射領域20a〜20fの位置X,Y,Zをその領域の質量中心の位置Tx,Ty,Tzと角度A,E,Tの方向行列で表すことによって達成することができる。各反射領域(i=1,2,…6)の位置は次の行列座標変換で与えられる。
【0020】
【数2】

【0021】
但しθ(i),φ(i)はゴルフボール8上の反射領域20a〜20fの球極座標であり、方向行列は次式で表される。
【0022】
【数3】

【0023】
方向行列Mは前に校正した位置決定用の基準大域座標系にゴルフボール8上の座標を結びつける3次元方向変換を与える。列べクトル(0.84sinθ(i)cosφ(i),0.84sinθ(i)sinφ(i),0.84cosφ(i))はゴルフボール8上の座標系内のi番目のドット(反射領域)の位置を与える。反射領域20a〜20fの配列としては中心(0°,0°)に1個、その周囲のθ(i)が30°、φ(i)が0°、72°、144°、216°、288°の位置に残りの5個を配するのが最適である。θが40°よりあまり大きいと、装置が最適に構成されていたとしても、フックやスライスがひどい場合にはボール上の6個のドットをとらえることができなくなる。
【0024】
6個のドットiおよび2台のカメラjに対するカメラ座標Ui(j)、Vi(j)が与えられたとき、解くべき方程式は次の通りである。
【0025】
【数4】

【0026】
得られる24の方程式をボールの最初の位置AのTx,Ty,Tzおよび方向角A,E,Tについて解く。同様な24の方程式をボールの次の位置Bに対しても解く。その24の方程式は1次ではないので、テイラーの定理の線形化を反復適用して解く。一般に、それらの方程式は4度の反復適用で、6個の未知のパラメータに対する解に収束する。
【0027】
座標系の3本の軸方向のボールの速度成分は次の式で計算される。
【0028】
【数5】

【0029】
ΔTはフラッシュランプの発光間隔である。
【0030】
方向行列M(A,E,T,t)とM(A’,E’,T’,t+ΔT)を乗じて、得られる相対方向行列の非正方要素をならすことによってスピン成分が得られる。
【0031】
【数6】

【0032】
時間増分ΔT間の2個のボールの回転ベクトルの角度θは次の式で与えられる。
【0033】
【数7】

【0034】
スピン量の3つの直交成分Wx,Wy,Wzは次の式で与えられる。
【0035】
【数8】

【0036】
図5、6において本発明の他の実施の形態の装置3’はカメラユニット4’、コンピュータ5’、音響センサー6’およびティーアップされたゴルフボール8’を備えている。カメラユニット4’は筐体11’と支持脚12a’、12b’を備えており、支持脚12a’、12b’をレール14’、16’に沿って摺動させててカメラユニット4’のゴルフボール8’に対する位置を調整することができるようになっている。カメラユニット4’は単一の電気光学的カメラ18’をさらに備えており、そのカメラ18’は受光用開口18a’、シャッター(図示せず)と図4に示したのと同様な感光性シリコンパネル18p’を備えている。このカメラ18’としてはCCDカメラを使用するのが望ましいが、テレビ用のカメラも使用することができる。この1カメラ方式においては、カメラ18’の解像力(754x244ピクセルCCDアレイ)は上述の実施の形態の2カメラ方式に用いられるカメラ18の解像力(510x240ピクセル)より高いのが望ましい。
【0037】
カメラ18’に隣接して2個のフラッシュランプ21’、22’が配される。フラッシュランプ21’、22’は発散角が小さくなるようにカメラ18’の作動位置にできる限り近く配され、これによってカメラ18’が反射領域20a〜20fからの光をより多く受光することができ、また反射領域20a〜20fからの光とボール表面の他の部分からの光や他の背景光とをより明確に区別することができる。
本実施の形態の装置を使用する際にはまずカメラ18’の校正を行う。カメラ18’は上記実施の形態と同様に空間に固定された座標系によって校正される。校正に際しては、図3の校正装置30をゴルフボール8’が置かれる場所のすぐ前方に配する。校正装置30は20個の径1/4インチの逆反射ドット30a〜30tを備えている。また校正装置30はその3次元構造によって大域座標系を形成している。校正装置30の位置およびカメラ18’の校正装置30からの距離は正確である必要はない。校正装置30がカメラ18’の11個の定数を決定するときにカメラ18’の位置決めがなされる。校正装置30上の予め測定された複数の点と感光パネル18p’(図4)上でデジタル化された20のU座標およびV座標が与えられていれば、カメラ18’の焦点距離、向きおよび位置をその11個の定数が決定する。
【0038】
各ドット20a〜20fのX、Y、Z座標はデジタル化テーブル上で1万分の1の精度で予め測定されており、コンピュータに記憶されている。校正装置30の像がカメラ18’で撮影される。この像が像の空間座標U,Vを校正装置30上の既知の20のX,Y,Z位置に関連づける11個の定数を決定する。
【0039】
校正された複数の点X(i),Y(i),Z(i)を像点Ui,Viに関連づける式は次のようである。
【0040】
【数9】

【0041】
カメラ18’の11個の定数Di(i=1,11)は20の位置におけるX(i),Y(i),Z(i)2台のカメラの校正写真で測定された20のUi,Viを知ることによって求められる。U,V座標のその測定値に対する典型的な適合度を表1に示す。0.1ピクセルのピクセル精度が通常得られる。
【0042】
【表1】

【0043】
校正の完了後、カメラ18’から約25インチの距離にあったゴルフボール8’が3次元視野35(図2)内に打ち出される。この際、音響センサー6’が打球音を検出し、カメラ18’のシャッターを開き6個の反射領域20a〜20fからの光をカメラ18’の感光パネルに当てる信号を出力する。100マイクロ秒後、フラッシュランプ22’が発光してボール8上の6個の反射領域20a〜20fを照明する。800マイクロ秒後に、他のフラッシュランプ21’が発光して、視野35内の初期の飛行経路に沿って約3〜5インチ離れた位置の6個の反射領域20a〜20fを照明する。フラッシュライトの持続時間は1万分の1秒から2、3百万分の1秒である。外光の影響を小さくするためにカメラの受光用開口は極めて小さくされている。その2位置のゴルフボール8’の反射領域20a〜20fで反射された光はカメラ18’の感光パネル18p’の対応する領域25a〜25f、25g〜251に達する。1カメラ方式においても図4に示すのと同様な感光パネルが使用される。
【0044】
ゴルフボール8’の寸法、カメラの作動間隔、カメラの校正式が既知であるので、これらから外部計算回路は各撮影時における各反射領域20a〜20fの位置X,Y,Zを共通の座標系内で計算することができる。その位置情報と既知のデータから、外部計算回路は打球直後のボールの速度とスピンを3次元的に計算することができる。ボールの初速とスピン、さらにボール8’の空力特性(既知)が与えられれば、外部計算回路はボールの飛行経路と着地点を正確に予想することができる。
【0045】
半径0.84インチのゴルフボール8’の3次元モニターはボール上の各反射領域20a〜20fの位置X,Y,Zをその領域の質量中心の位置Tx,Ty,Tzと角度A,E,Tの方向行列で表すことによって達成することができる。各反射領域(i=1,2,…6)の位置は次の行列座標変換で与えられる。
【0046】
【数10】

【0047】
但しθ(i),φ(i)はゴルフボール8’上の反射領域20a〜20fの球極座標であり、方向行列は次式で表される。
【0048】
【数11】

【0049】
方向行列Mは前に校正した位置決定用の基準大域座標系にゴルフボール8’上の座標を結びつける3次元方向変換を与える。列べクトル(0.84sinθ(i)cosφ(i),0.84sinθ(i)sinφ(i),0.84cosφ(i))はゴルフボール8’上の座標系内のi番目のドット(反射領域)の位置を与える。反射領域20a〜20fの配列としては中心(0°,0°)に1個、その周囲のθ(i)が37°、φ(i)が0°、72°、144°、216°、288°の位置に残りの5個を配するのが最適である。θが50°よりあまり大きいと、装置が最適に構成されていたとしても、フックやスライスがひどい場合にはボール上の6個のドットをとらえることができなくなる。
【0050】
6個のドットiに対するカメラ座標Ui、Viが与えられたとき、解くべき方程式は次の通りである。
【0051】
【数12】

【0052】
得られる12の方程式をボールの最初の位置AのTx,Ty,Tzおよび方向角A,E,Tについて解く。同様な12の方程式をボールの次の位置Bに対しても解く。その12の方程式は1次ではないので、テイラーの定理の線形化を反復適用して解く。一般に、それらの方程式は8度の反復適用で、6個の未知のパラメータに対する解に収束する。
【0053】
座標系の3本の軸方向のボールの速度成分は次の式で計算される。
【0054】
【数13】

【0055】
ΔTはフラッシュランプの発光間隔である。
【0056】
方向行列M(A,E,T,t)とM(A’,E’,T’,t+ΔT)を乗じて、得られる相対方向行列の非正方要素をならすことによってスピン成分が得られる。
【0057】
【数14】

【0058】
時間増分ΔT間の2個のボールの回転ベクトルの角度θは次の式で与えられる。
【0059】
【数15】

【0060】
スピン量の3つの直交成分Wx,Wy,Wzは次の式で与えられる。
【0061】
【数16】

【0062】
図6は本発明の装置をテストする方法を示すものである。調整可能な機械的ゴルフボール打球ユニット50が、逆反射ドットを有するゴルフボール54を打つためのゴルフクラブとともに使用される。図5に示すカメラユニット4’がボールの飛行状態を判定するのに使用される。その打球ユニット50(True Temper Corporation製の機械ゴルファーが適当である)を、打ち出し角度、スピン速度、初速がそのテストに適したものとなるように調節する。
【0063】
打球ユニット50の圧力を92psiに設定し、4番アイアンを使用して飛行データをとり、カメラユニット4’の反復性を分析した。3個のゴルフボールに図2に示すように6個の円形のマークを逆反射性材料でつけた。周囲の5個のマークは中央のマークから37°の位置に配した。3個のボールを2度ずつ打ち表IIに示すデータを得た。
【0064】
UとVの値はCCDアレイ上で測定した実際のピクセルの値である。U座標は1〜754の値をとり、V座標は1〜244の値をとる。UとV感光パネル上のピクセルの位置である。
【0065】
表中、速度の3成分は速度の大きさに変換してあり、2つの角度は次のように定義されるものである。すなわち、
【0066】
【数17】

【0067】
表IIに示すように横方向角度の変動がパーセンテージ的にみて他の測定パラメータに比して著しく大きい。
【0068】
【表2】

【0069】
クラブフェイスをスライスが出るように回転させて、同じく6回打球して、表IIIに示すデータを得た。
【0070】
【表3】

【0071】
最後に、クラブフェイスをフックが出るように位置させて、同じく6回打球して、表IVに示すような6つのパラメータの変動を得た。
【0072】
【表4】

【0073】
Wx、Wy、Wzの値はボールのスピン量の3直交成分である。このスピン成分Wx、Wy、Wzはrpm(回転数/分)である。
【0074】
以下図7を参照して本発明のさらに他の実施の形態を説明する。この実施の形態は校正装置30を必要としない以外は図5に示す実施の形態とほぼ同じである。すなわち本実施の形態においてはボール8”上のドットないしマーカーの位置が予め正確に決められている。言い換えれば予め正確に校正されている。そのドットないしマーカーは「Scotchlite」等の反射性の材料をボール8”の表面に付着させて形成するのが望ましい。
【0075】
本実施の形態の装置3”はカメラユニット4”、コンピュータ5”、音響センサー6”、ティーアップされたゴルフボール8’および飛行表示ユニット60を備えている。カメラユニット4”は単一のカメラ18”を備えており、そのカメラ18”は受光用開口18a”、シャッター(図示せず)と図4に示したのと同様な感光性シリコンパネル18p”を備えている。このカメラ18”としてはCCDカメラ(754x244ピクセル)を使用するのが望ましいが、テレビ用のカメラも使用することができる。
【0076】
カメラ18”に隣接して2個のフラッシュランプ21”、22”が配される。フラッシュランプ21”、22”は発散角が小さくなるようにカメラ18”にできる限り近く配され、これによってカメラ18”がマーカーA〜Fからの光をより多く受光することができ、またマーカーA〜Fからの光とボール表面の他の部分からの光や他の背景光とをより明確に区別することができる。
【0077】
後述の写真式に基づいて、ボールの速度成分、スピン量成分等の打出し条件がコンピュータ5”に転送される。このような打出し条件に加えて、コンピュータ5”にはボール8”の飛行特性に関する情報が予めプログラムされている。一旦初期飛行データが測定され、分析されると、それから得られるボールの飛びがスクリーン60に映し出される。このスクリーン60はCRTであるのが望ましい。またそのボールの映像には様々なゴルフコースの背景を加えて、プレーの実感が得られるようにしてもよい。
【0078】
図8において、ボール8”上には後述するように正確に位置決めされた照明可能なマーカーA〜Fが設けられている。マーカーA〜Fは円形であるのが望ましく、径は約0.1〜0.2インチであり、正確な位置決めのためにディンプル内に収められている。マーカーA〜Fは±0.37°以内の精度で位置決めされている。
【0079】
【表5】

【0080】
本実施の形態の1カメラ方式の装置を使用する際にはまず感光パネル18”をその平らな面に垂直な方向が重力の方向に垂直であり、その向きがボール8”の飛行線に平行となるように基台に対して調整する。この調整は、感光パネル18”のY軸が重力の方向に延び、X軸が打球の目標方向を指すようにカメラを気泡水準器を使用して設置することによって実行することができる。
【0081】
図9において、マーカーA〜Fで反射された光線はカメラ18”のレンズ(図示せず)の光軸61に沿って進む。そのレンズの実効焦点距離fは〜25mmであり、そのレンズはマーカーA〜Fからの反射光を感光パネル18p”上に結像させる。例えば、マーカーAの像が感光パネル18p”上の点Apに形成される。当業者には明らかなように、このとき感光パネル18p”上に形成されるマーカーA〜Fの像は倒立像である。
【0082】
各マーカーA〜F(円形)の中心を演算するのにはコンピュータのアルゴリズムとともに面積中心平均法が用いられる。面積中心平均法を実行する際には、所定のグレイレベル(スレッショルドレベル)より輝度の高いマーカーA〜Fについての全てのピクセルの位置を合計し、それをピクセルの数で割ることによって、コントラストの強いマーカーA〜Fの中心の位置を見付ける。このスレッショルド操作によって、図4に示すのと同様に明確に対比された領域に像が分割される。
【0083】
校正されたXc(j),Yc(j),Zc(j)座標をマーカーA〜Fの中心像座標U(j),V(j)に関連づける写真測量式は上述の2実施の形態におけるものと類似しており、次の通りである。
【0084】
【数18】

【0085】
この式によって、像の空間座標U、Vを、校正されたボール8”上の、正確に知られているマーカーの位置Xc(j),Yc(j),Zc(j)に関連づける定数が決定される。
【0086】
カメラ18”から約25インチの距離にあるゴルフボール8”を打つと、ボール8”は図2に示すように(但し、本実施の形態では反射領域20a〜20fの替わりにマーカーA〜Fが用いられている)3次元視野35内を飛行する。この際、音響センサー6”が打球音を検出し、カメラ18”のシャッターを視野35内の光に対して開く信号を出力する。100マイクロ秒後、フラッシュランプ22”が発光してボール8”上の6個のマーカーA〜Fを照明する。800マイクロ秒後に、他のフラッシュランプ21”が発光して、視野35内の初期の飛行経路に沿って約3〜5インチ離れた位置の6個のマーカーA〜Fを照明する。フラッシュライトの持続時間は1万分の1秒から2、3百万分の1秒である。外光の影響を小さくするためにカメラの受光用開口は極めて小さくされている。
【0087】
その2位置のゴルフボール8”のマーカーA〜Fで反射された光は図4に示すようにカメラ18”の感光パネル18p”の対応する領域25a〜25f、25g〜25lに達する。
【0088】
ゴルフボール8”の寸法、ディンプルのパターン、重量分布等に基づくボールの飛行特性、カメラの作動間隔が既知であるので、これらと上述の共線変換式ないし写真測量式を使用してコンピュータ5”の演算回路は各撮影時における各マーカーA〜Fの位置Xc,Yc,Zcを共通の座標系内で計算する。
【0089】
マーカーA〜Fの間に剛体(ボール8”)の制約条件があれば上記の写真測量式は最少3つのマーカーについて解けばよい。この剛体制限は非線形性あるいは非ユニーク性を加える。しかしながら、この非ユニーク性は本実施の形態のように方程式を解く因果律を与える余分のマーカーを使用することによって克服できる。
【0090】
その位置情報と上述の既知のデータから、コンピュータ5”の演算回路は打球直後のボールの速度とスピンを3次元的に計算する。ボールの初速とスピン、さらにボール8”の空力特性(既知)が与えられれば、演算回路はボールの飛行経路と着地点を正確に予想することができる。
【0091】
半径0.84インチのゴルフボール8”の3次元モニターはボール上の各マーカーA〜Fの位置Xc,Yc,Zcをそのマーカーの質量中心の位置Tx,Ty,Tzと角度A,E,Tの方向行列で表すことによって達成することができる。カメラ18”での各マーカー(j=1,2,…6)の位置Xc(j),Yc(j),Zc(j)は次の行列座標変換で与えられる。
【0092】
【数19】

【0093】
但しθ(i),φ(i)はゴルフボール8”上のマーカーA〜Fの球極座標であり、方向行列は次式で表される。
【0094】
【数20】

【0095】
方向行列Mは固定されたカメラ18”の基準座標系にゴルフボール8”上の座標を結びつける3次元方向変換を与える。列べクトル(0.84sinθ(j)cosφ(j),0.84sinθ(i)sinφ(j),0.84cosφ(j))はゴルフボール8”に固定された座標系内のj番目のマーカーの位置を与える。マーカーA〜Fの配列としては中心(0°,0°)に1個、その周囲のθ(j)が37°、φ(j)が0°、72°、144°、216°、288°の位置に残りの5個を配するのが最適である。θが50°よりあまり大きいと、装置が最適に構成されていたとしても、フックやスライスがひどい場合にはボール上の6個のドットをとらえることができなくなる。
【0096】
6個のマーカーjに対するカメラ座標U(j)、V(j)が与えられたとき、解くべき方程式は次の通りである。j=1,6
【0097】
【数21】

【0098】
上記式において、XB(j),YB(j),ZB(j)はj番目のマーカーのボール座標上の位置を表すデカルト座標(上記実施の形態の球極座標)である。
【0099】
得られる12の方程式をボールの最初の位置AのTx,Ty,Tzおよび方向角A,E,Tについて解く。同様な12の方程式をボールの次の位置Bに対しても解く。その12の方程式は1次ではないので、テイラーの定理の線形化を反復適用して解く。一般に、それらの方程式は8度の反復適用で、6個の未知のパラメータに対する解に収束する。
【0100】
座標系の3本の軸方向のボールの速度成分は次の式で計算される。
【0101】
【数22】

【0102】
ΔTはフラッシュランプの発光間隔である。
【0103】
方向行列MT(A,E,T,t)とM(A’,E’,T’,t+ΔT)を乗じて、得られる相対方向行列の非正方要素をならすことによってスピン成分が得られる。
【0104】
【数23】

【0105】
時間増分ΔT間の2個のボールの回転ベクトルの角度θは次の式で与えられる。
【0106】
【数24】

【0107】
スピン量の3つの直交成分Wx,Wy,Wzは次の式で与えられる。
【0108】
【数25】

【0109】
12個のゴルフボール(Tour:商標)を統計的に測定したところ中央のマーカーと周囲の5個のマーカーの間には36.49±0.37°のばらつきがある。以下の表VIはそのばらつきに対する誤差の偏差についてのコンピュータシミュレーションの結果を示す。
【0110】
【表6】

【0111】
図6を再度参照して、本実施の形態の装置の他の使用方法を説明する。調整可能な機械的ゴルフボール打球ユニット50が、正確に位置決めされた照明可能なマーカーを有するゴルフボール54を打つためのゴルフクラブ52とともに使用される。図7に示すモニター装置3”がボールの飛行状態を判定するのに使用される。その打球ユニット50、打ち出し角度、スピン速度、初速がそのテストに適したものとなるように調節する。
【0112】
図8に示すように6個の円形のマークを逆反射性材料でつけた3個のゴルフボールを使用した。周囲の5個のマークは中央のマークから37°の位置に配した。3個のボールを2度ずつ打ち表VIIに示すデータを得た。表中、速度の3成分は速度の大きさに変換してあり、2つの角度は次のように定義されるものである。すなわち、
【0113】
【数26】

【0114】
表VIIに示すように横方向角度の変動がパーセンテージ的にみて他の測定パラメータに比して著しく大きい。
【0115】
【表7】

【0116】
クラブフェイスをスライスが出るように回転させて、同じく6回打球して、表VIIIに示すデータを得た。
【0117】
【表8】

【0118】
最後に、クラブフェイスをフックが出るように位置させて、同じく6回打球して、表IXに示すような6つのパラメータの変動を得た。
【0119】
【表9】

【0120】
以上のように1カメラ方式の装置はゴルフボールの速度とスピンを適切に演算することができ、スイングの練習を助ける装置として使うこともできるし、また用具の設計のためのデータ収集装置として使用することもできる。
【0121】
本発明の装置は様々に変更することができる。例えば、ゴルフのクラブヘッド、野球のボール、フットボールのボール、サッカーボール、アイスホッケーのパック等のゴルフボール以外の物体をモニターするのに本発明の装置を使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の第1の実施の形態のモニター装置の斜視図。
【図2】
ゴルフボールが位置Aから位置Bまで飛んで行く3次元視野を示す斜視図。
【図3】
20の照明可能な領域を有する校正装置の斜視図。
【図4】
カメラ内の感光パネルの平面図。
【図5】
本発明の第2の実施の形態の1カメラ方式のモニター装置の斜視図。
【図6】
打球装置で打ったボールの軌跡を示す概略図。
【図7】
本発明の第3の実施の形態の1カメラ方式のモニター装置の斜視図。
【図8】
6個の照明可能なマーカーを有するボールの平面図。
【図9】
図7のモニター装置の光学系を示す概略図。
【符号の説明】
4、4’、4” カメラユニット
5、5’、5” コンピュータ
6、6’、6” 音響センサー
8、8’、8” ゴルフボール
18、18’、18”、19 カメラ
18P、18P’、18p”、19P 感光パネル
20a〜20f 反射領域
30 校正装置
A〜F マーカー
50 打球ユニット
52 ゴルフクラブ
 
訂正の要旨 訂正の要旨
ア.訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1の記載「物体がそれに近接する3次元の視野中を移動する間に該物体の飛行の初期の部分をモニターする装置であって、
前記物体が通過する前記視野に焦点が合わされている少なくとも1つのカメラが取り付けられているハウジングと、
前記物体が前記視野中を移動する間に前記少なくとも1つのカメラのゲートないしシャッターを作動させる手段と、
前記少なくとも1つのカメラのシャッターを開かせる信号を送る音響センサーと、
前記少なくとも1つのカメラに隣接して配されたフラッシュ手段と、
前記物体上に±0.37°以内の精度で予め正確に位置決めされて配された少なくとも3個の反射ドット手段と、
前記少なくとも1つのカメラに備えられ、前記反射ドット手段から反射された光を受ける感光パネルと、
前記装置の校正のため、予め前記感光パネル上に結像された前記少なくとも3個の反射ドット手段の座標を正確に知られている前記少なくとも3個の反射ドット手段の前記物体上の位置と関連付け、これに基づいて、前記物体の飛行の初期の部分の飛行経路、速度およびスピンを3次元的に判定するコンピュータ手段とを有して成る装置。」を、
「物体がそれに近接する3次元の視野中を移動する間に該物体の飛行の初期の部分をモニターする装置であって、
前記物体が通過する前記視野に焦点が合わされている少なくとも1つのカメラが取り付けられているハウジングと、
前記物体が前記視野中を移動する間に前記少なくとも1つのカメラのゲートないしシャッターを作動させる手段と、
前記少なくとも1つのカメラのシャッターを開かせる信号を送る音響センサーと、
前記少なくとも1つのカメラに隣接して配されたフラッシュ手段と、
前記物体上に±0.37°以内の精度で予め正確に位置決めされて配された少なくとも3個の反射ドット手段と、
前記少なくとも1つのカメラに備えられ、前記反射ドット手段から反射された光を受ける感光パネルと、
前記装置の測定値の校正のため、前記感光パネル上に結像された前記少なくとも3個の反射ドット手段の2次元座標を正確に知られている前記少なくとも3個の反射ドット手段の前記物体上の3次元球極座標上の位置と予め関連付け、これに基づいて、前記物体の飛行の初期の部分の飛行経路、速度およびスピンを3次元的に判定するコンピュータ手段とを有して成る装置。」と訂正する。
イ.訂正事項b
特許請求の範囲の請求項2の記載「フィールドを通過するスポーツ用物体の飛行特性を測定する装置であって、
携帯可能なハウジング内に配された、前記フィールド内の前記物体に焦点を合わせたシャッターを有する少なくとも1つの電子ビデオユニット、
前記物体上に±0.37°以内の精度で予め正確に位置決めされて配された少なくとも3個の反射ドット手段、
前記フィールド内の前記反射ドット手段の位置を認識する、前記電子ビデオユニット内に配された測定手段、
前記フィールドを照明する複数のフラッシュライト、
前記物体が第1の位置と第2の位置にあるときに、前記電子ビデオユニットのシャッターを開閉するとともに、前記各フラッシュライトを作動させて前記フィールド内の物体に光を当てる制御手段、
前記電子ビデオユニット内に配され、前記物体が前記第1の位置と第2の位置にあるときに、前記反射ドット手段からの光を受光する受光手段、および
前記ハウジング内あるいはその近傍に配され、前記装置の校正のため、予め前記受光手段により受光された前記少なくとも3個の反射ドット手段の座標を正確に知られている前記少なくとも3個の反射ドット手段の前記物体上の位置と関連付け、これに基づいて、前記物体が前記第1の位置にある時の前記反射ドット手段の位置と前記物体が前記第2の位置にある時の前記反射ドット手段の位置とを比較するコンピュータ手段、
からなることを特徴とする装置。」を
「フィールドを通過するスポーツ用物体の飛行特性を測定する装置であって、
携帯可能なハウジング内に配された、前記フィールド内の前記物体に焦点を合わせたシャッターを有する少なくとも1つの電子ビデオユニット、
前記物体上に±0.37°以内の精度で予め正確に位置決めされて配された少なくとも3個の反射ドット手段、
前記フィールド内の前記反射ドット手段の位置を認識する、前記電子ビデオユニット内に配された測定手段、
前記フィールドを照明する複数のフラッシュライト、
前記物体が第1の位置と第2の位置にあるときに、前記電子ビデオユニットのシャッターを開閉するとともに、前記各フラッシュライトを作動させて前記フィールド内の物体に光を当てる制御手段、
前記電子ビデオユニット内に配され、前記物体が前記第1の位置と第2の位置にあるときに、前記反射ドット手段からの光を受光する受光手段、および
前記ハウジング内あるいはその近傍に配され、前記装置の測定値の校正のため、前記受光手段により受光された前記少なくとも3個の反射ドット手段の2次元座標を正確に知られている前記少なくとも3個の反射ドット手段の前記物体上の3次元球極座標上の位置と予め関連付け、これに基づいて、前記物体が前記第1の位置にある時の前記反射ドット手段の位置と前記物体が前記第2の位置にある時の前記反射ドット手段の位置とを比較するコンピュータ手段、
からなることを特徴とする装置。」と訂正する。
ウ.訂正事項c
特許請求の範囲の請求項3の記載「視野を通る物体の飛行の初期の部分をモニターする装置であって、
前記物体の支持手段、
感光パネルを備えるとともに、前記物体が飛行の初期の部分において通る前記視野に焦点を合わせたカメラユニットを固定位置に収容した携帯可能なハウジング、
前記物体が前記視野を通過する間に少なくとも2回前記カメラユニットのゲートないしシャッターを作動させる手段、
前記物体上に土0.37°以内の精度で予め正確に位置決めされて設けられた3個以上のコントラスト領域または反射領域であって、それら領域各々からの光が前記感光パネルに達して該感光パネル上に光りパターンが形成されると共に前記カメラユニットのシャッターが開かれたときにアナログイメージ信号が発生されるように配された3個以上のコントラスト領域または反射領域、および
前記携帯可能なハウジング内あるいはその近傍に配され、前記装置の校正のため、予め前記感光パネル上に結像された前記3個以上のコントラスト領域または反射領域の座標を正確に知られている前記3個以上のコントラスト領域または反射領域の前記物体上の位置と関連付け、これに基づいて、校正用ではない前記アナログ信号を受け取って処理して、物体の飛行の初期の部分の飛行経路、速度およびスピンを判定するコンピュータ手段、
からなることを特徴とする装置。」を、
「視野を通る物体の飛行の初期の部分をモニターする装置であって、
前記物体の支持手段、
感光パネルを備えるとともに、前記物体が飛行の初期の部分において通る前記視野に焦点を合わせたカメラユニットを固定位置に収容した携帯可能なハウジング、
前記物体が前記視野を通過する間に少なくとも2回前記カメラユニットのゲートないしシャッターを作動させる手段、
前記物体上に土0.37°以内の精度で予め正確に位置決めされて設けられた3個以上のコントラスト領域または反射領域であって、それら領域各々からの光が前記感光パネルに達して該感光パネル上に光りパターンが形成されると共に前記カメラユニットのシャッターが開かれたときにアナログイメージ信号が発生されるように配された3個以上のコントラスト領域または反射領域、および
前記携帯可能なハウジング内あるいはその近傍に配され、前記装置の測定値の校正のため、前記感光パネル上に結像された前記3個以上のコントラスト領域または反射領域の2次元座標を正確に知られている前記3個以上のコントラスト領域または反射領域の前記物体上の3次元球極座標上の位置と予め関連付け、これに基づいて、測定用の前記アナログ信号を受け取って処理して、物体の飛行の初期の部分の飛行経路、速度およびスピンを判定するコンピュータ手段、
からなることを特徴とする装置。」と訂正する。
エ.訂正事項d
特許請求の範囲の請求項4の記載「視野を通る物体の飛行の初期の部分をモニターする装置であって、
前記物体が飛行の初期の部分において通る前記視野に焦点を合わせた感光パネルを備えたカメラユニット、
前記物体が前記視野を通過する間に少なくとも2回その物体を照明する手段、
前記物体上に設けられた3個以上の照明可能なマーカーであって、そのマーカーから反射された光が前記感光パネル上で結像するように前記物体上に配されるとともに、その物体上での位置が±0.37°以内の精度で正確に決められている3個以上の照明可能なマーカー、および
前記装置の校正のため、予め前記感光パネル上に結像された前記3個以上の照明可能なマーカーの座標を正確に知られている前記3個以上の照明可能なマーカーの前記物体上の位置と関連付け、これに基づいて、校正用ではない前記感光パネル上の像を処理して、物体の飛行の初期の部分の飛行状態を判定するコンピュータ手段、
からなることを特徴とする装置。」を、
「視野を通る物体の飛行の初期の部分をモニターする装置であって、
前記物体が飛行の初期の部分において通る前記視野に焦点を合わせた感光パネルを備えたカメラユニット、
前記物体が前記視野を通過する間に少なくとも2回その物体を照明する手段、
前記物体上に設けられた3個以上の照明可能なマーカーであって、そのマーカーから反射された光が前記感光パネル上で結像するように前記物体上に配されるとともに、その物体上での位置が±0.37°以内の精度で正確に決められている3個以上の照明可能なマーカー、および
前記装置の測定値の校正のため、前記感光パネル上に結像された前記3個以上の照明可能なマーカーの2次元座標を正確に知られている前記3個以上の照明可能なマーカーの前記物体上の3次元球極座標上の位置と予め関連付け、これに基づいて、測定用の前記感光パネル上の像を処理して、物体の飛行の初期の部分の飛行状態を判定するコンピュータ手段、からなることを特徴とする装置。」
異議決定日 2002-12-17 
出願番号 特願平7-255155
審決分類 P 1 651・ 536- YA (G01D)
P 1 651・ 121- YA (G01D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 榮永 雅夫太田 恒明  
特許庁審判長 西川 一
特許庁審判官 三輪 学
服部 和男
登録日 2001-05-11 
登録番号 特許第3185850号(P3185850)
権利者 アクシュネット カンパニー
発明の名称 スポーツ用物体の飛行特性を測定表示するモニター装置  
代理人 佐久間 剛  
代理人 柳田 征史  
代理人 佐久間 剛  
代理人 柳田 征史  

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