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審決分類 |
審判 全部申し立て 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備 B01D 審判 全部申し立て 特36 条4項詳細な説明の記載不備 B01D |
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管理番号 | 1073151 |
異議申立番号 | 異議2001-70263 |
総通号数 | 40 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1990-08-22 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2001-01-23 |
確定日 | 2003-01-14 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3068831号「ポリエーテルスルホン一体膜、その製法」の請求項1ないし12に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3068831号の請求項1ないし10に係る特許を維持する。 |
理由 |
1.本件の経緯 本件特許第3068831号は、平成1年9月1日(優先権主張、昭和63年9月1日、独国)の出願であって、平成12年5月19日(公報発行平成12年7月24日)に設定登録され、平成13年1月23日に岩田直子から特許異議の申立を受けたものであって、その後平成13年5月16日(発送日平成13年5月29日)付で取消理由通知がなされ、その指定期間内(延長請求有り)である平成13年11月29日に訂正請求がなされ、平成14年11月26日(発送日平成14年12月4日)付で再度の取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成14年12月4日に、先の訂正請求を取り下げるとともに新たな訂正請求がなされたものである。 2.訂正の適否についての判断 2-1.訂正の要旨 (1)訂正事項a:本件明細書中特許請求の範囲の請求項1における「バブルポイント法で測定した細孔径の最大値(dmax)が0.02μm〜2μmである平膜、管状膜又は中空糸の形の、外側境界面で開口している細孔系を有するポリエーテルスルホン一体膜において、細孔径が連続気泡状であり、各気泡が膜の一方の表面から他方の表面に非対称的に配置されており、その際、式: AF=LSmax/(Smax×dmax)[μm-1] LSmax:流路の開放路の長さの平均の最大値 Smax:LSmaxである時の膜壁からの距離の最大値 dmax:バブルポイント法で測定した細孔径の最大値 による細孔径の最大値(dmax)に対する非対称ファクタAFが0.01〜2.0であり、流路の開放路の長さの平均の最大値(LSmax)対細孔径の最大値(dmax)の比が3よりも大きく、気泡の大きさが一方の表面から他方の表面に均一に変化することを特徴とするポリエーテルスルホン一体膜」を、「バブルポイント法で測定した細孔径の最大値(dmax)が0.05μm〜0.5μmである平膜、管状膜又は中空糸の形の、外側境界面で開口している細孔系を有するポリエーテルスルホン一体膜において、細孔径が連続気泡状であり、各気泡が膜の一方の表面から他方の表面に非対称的に配置されており、その際、式: AF=LSmax/(Smax×dmax)[μm-1] LSmax:流路の開放路の長さの平均の最大値 Smax:LSmaxである時の膜壁からの距離の最大値 dmax:バブルポイント法で測定した細孔径の最大値 による細孔径の最大値(dmax)に対する非対称ファクタAFが0.01〜2.0であり、流路の開放路の長さの平均の最大値(LSmax)対細孔径の最大値(dmax)の比が3よりも大きく、29.4以下であり、気泡の大きさが一方の表面から他方の表面に均一に変化することを特徴とするポリエーテルスルホン一体膜」と訂正する。 (2)訂正事項b:本件明細書中特許請求の範囲の請求項2及び請求項7を削除する。 (3)訂正事項c:本件明細書中特許請求の範囲の請求項3の項番を「2」に繰り上げるとともに、「請求項1又は2記載」を「請求項1記載」と訂正する。 (4)訂正事項d:本件明細書中特許請求の範囲の請求項4の項番を「3」に繰り上げるとともに、「請求項1から3までのいずれか1項記載」を「請求項1又は2記載」と訂正する。 (5)訂正事項e:本件明細書中特許請求の範囲の請求項5の項番を「4」に繰り上げるとともに、「請求項3記載」を「請求項2記載」と訂正する。 (6)訂正事項g:本件明細書中特許請求の範囲の請求項6の項番を「5」に繰り上げるとともに、「請求項1から4までのいずれか1項記載」を「請求項1から3までのいずれか1項記載」と訂正する。 (7)訂正事項h:本件明細書中特許請求の範囲の請求項8の項番を「6」に繰り上げるとともに、「請求項1から7までのいずれか1項記載」を「請求項1から5までのいずれか1項記載」と訂正する。 (8)訂正事項i:本件明細書中特許請求の範囲の請求項9の項番を「7」に繰り上げるとともに、「請求項8記載」を「請求項6記載」と訂正する。 (9)訂正事項j:本件明細書中特許請求の範囲の請求項10の項番を「8」に繰り上げるとともに、「請求項8又は9記載」を「請求項6又は7記載」と訂正する。 (10)訂正事項k:本件明細書中特許請求の範囲の請求項11の項番を「9」に繰り上げるとともに、「請求項8から10までのいずれか1項記載」を「請求項6から8までのいずれか1項記載」と訂正する。 (11)訂正事項l:本件明細書中特許請求の範囲の請求項12の項番を「10」に繰り上げるとともに、「請求項8から10までのいずれか1項記載」を「請求項6から8までのいずれか1項記載」と訂正する。 2-2.訂正の適否についての検討 (1)上記訂正事項aは、 a-1.「バブルポイント法で測定した細孔径の最大値(dmax)が0.02μm〜2μm」を「バブルポイント法で測定した細孔径の最大値(dmax)が0.05μm〜0.5μm」とする訂正 a-2.「流路の開放路の長さの平均の最大値(LSmax)対細孔径の最大値(dmax)の比が3よりも大きく」を「流路の開放路の長さの平均の最大値(LSmax)対細孔径の最大値(dmax)の比が3よりも大きく、29.4以下であり」とする訂正 に細分することができる。 訂正事項a-1は、バブルポイント法で測定した細孔径の最大値(dmax)の範囲を、「0.02μm〜2μm」から「0.05μm〜0.5μm」に限定する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とした訂正に該当する。 訂正事項a-2は、流路の開放路の長さの平均の最大値(LSmax)対細孔径の最大値(dmax)の比を、「3よりも大きく」から「3よりも大きく、29.4以下」に限定する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とした訂正に該当する。 したがって、訂正事項aは、特許請求の範囲の減縮を目的とした訂正に該当する。 そして、バブルポイント法で測定した細孔径の最大値(dmax)が0.05μm〜0.5μmの範囲とすることは訂正前の請求項7に記載された事項であり、流路の開放路の長さの平均の最大値(LSmax)対細孔径の最大値(dmax)の比「29.4」は、実施例1におけるLmax7.35μmとdmax0.25μmから求められる値であるから、いずれも、本件明細書に記載された事項であり、新規事項の追加に該当しない。 (2)上記訂正事項bは、請求項の削除であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。 (3)訂正事項c〜lは、請求項2及び請求項7の削除に伴う、項番の繰り上げと、引用請求項の項数の整合であるから、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。 そして、上記訂正事項a〜lは、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。 したがって、上記訂正は、特許法の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項までの規定に適合するものであるから、当該訂正は認める。 3.特許異議申立にについて 3-1.本件特許明細書 上記のように訂正が認められるから、本件特許に添付された明細書(以下「本件明細書」という)は、平成14年12月4日付訂正明細書のとおりのものである。 3-2.特許異議申立人の主張の概要 特許異議申立人は、本件請求項1〜12に係る発明の特許は、その明細書が下記の点において不備があるので、特許法第36条第3項及び第4項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである旨主張している。 (1)本件特許発明には、AFが0.01〜2.0の範囲外の場合における透過流束が示されておらず、効果を確認することができない。更に、本件特許発明で実際に示されているAFの範囲は、前記第2表におけるAF=0.05〜0.25の範囲に過ぎず、AF=0.25超〜2.0までの範囲については、やはり効果を確認することができない。 よって、本件特許発明は、いわゆる当業者が容易に実施できる程度に発明の目的、構成及び効果が記載されておらず、更に特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものではない。 (2)請求項1の記載によれば、AFは、LSmax、Smax及びdmaxの3要素の関連において決定されるものであり、いずれの要素も定数ではなく変数であるものと認められるが、例1(第2表)では、LSmaxとdmaxを固定し、膜厚のみを0.14〜0.67mmに変化させることでAFを0.05〜0.25の範囲で変化させた例が示されているだけであり、例1(第2表)では、LSmaxとdmaxが実質的に定数として示されていることから考えると、請求項1、請求項7のdmax数値範囲、請求項1、請求項2のLSmaxの数値範囲は明らかに広過ぎるものであるから、それらの数値範囲内でdmaxとLSmaxとを変化させた場合にも同様の効果が得られることは確認できない。 従って、本件特許発明は、いわゆる当業者が容易に実施できる程度に発明の目的、構成及び効果が記載されておらず、更に特許を受けようとする発明が発明詳細な説明に記載したものではない。 (3)本件特許発明のポリエーテルスルホン一体膜の製造法については、「種々のプロセスパラメータを選択することによって、その非対称ファクタが0.01〜2.0である本発明による膜を製造することができる。」(7欄48〜50行参照)との記載から考えると、本件発明の構成要件を有する膜を得るためには、プロセスパラメータとして内部流体の使用とその選択が重要となるものと認められる。 しかし、例1〜例6には内部流体についての具体的な記載は全くなされていないし、例1〜例6では処理温度、溶剤-非溶剤の種類、溶剤混合物の種類が異っていることを考慮すると、それぞれに適した内部流体を選択することが重要問題となる筈であり、例1〜例6の記載からは、本件発明の構成要件を有する膜を再現性良く製造できるものとは認められない。 3-3.判断 (1)本件明細書には、 ア.本件発明のポリエーテルスルホン一体膜の製造方法として、 ア-1.「本発明による膜はε?カプロラクタムを少なくとも15重量%含む混合物から形成させることによって、有利に得ることができる。」(特許公報第5頁9欄6〜9行)、 ア-2.「本発明による膜の製造は、それぞれ混合物に対して、ε?カプロラクタム15〜65重量%、潜溶剤0〜85重量%、粘稠剤0〜15重量%及び非溶剤0〜50重量%、場合によっては助剤1重量%までからなる混合物に、全溶液に対して12〜35重量%のポリエーテルスルホンを溶かし、この溶液を平膜、管状膜又は中空糸に成形し(有利には内部流体を利用して)、固相に変え、溶剤を形成する混合物を除去することによって達成される。」(特許公報第5頁9欄44行〜10欄1行) と記載され、 イ.「dmax」の求め方として イ-1.「細孔径の最大値(dmax)は、バブルポイント法(ASTM No.128〜61及びF 316〜70)により測定するが、これに対しては、例えば西ドイツ国特許出願公開第3617724?A1明細書に記載されている方法が適している。」(特許公報第3頁5欄2〜6行) と記載され、 ウ.本件発明の構成要件である「非対称ファクタ(AF)」を計算するための「LSmax」、「Smax」の求め方として、 ウ-1.「(1)LSmaxとSmaxの測定方法 第8図は、第9図に示した膜の破断面の枠で囲んだ切片に相応するものである参考図との関係を説明するための図面である。なお、参考図中の61と88という数字は、それぞれ第4図と第5図の61と88に相当するものである。参考図(TEM写真)中で、黒い領域は、細孔壁もしくは気泡壁を示し、白い領域は、細孔又は気泡を示すものである。この参考図から出発して、「平均開放路」を次の手順で測定する。・・・得られた「開放路の長さの平均値LS」と膜の外側からの距離Sとの関係を示したのが、明細書の第3図である。この図から、LSの最大値(LSmax)を読み取り、次に、そのLSmaxに相当する距離Sを図から読み取り、これをSmaxとする。」(特許公報第3頁5欄42行〜6欄49行) と記載されている。 したがって、当業者は記載ア-1、ア-2により本件発明の「ポリエーテルスルホン一体膜」を製造することができ、記載イ-1、ウ-1により製造された一体膜のdmax、LSmax、Smaxを求めることができ、その効果を確認することができるのであるから、本件明細書に、広範囲の「AF」値の場合が示されていないからといって、本件明細書に、当業者が容易に実施することができる程度に発明の目的、構成及び効果が記載されておらず、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものではないということはできない。 (2)上述のように、当業者は本件明細書の記載に基づいて容易に本件発明の「ポリエーテルスルホン一体膜」を製造することができその効果を確認することができるのであるから、本件発明の数値範囲のすべての実施例が記載されていないからといって、直ちに本件発明の数値範囲が広すぎるということにはならない。 そして、dmaxとLSmaxとを変化させた場合にも、本件発明の「ポリエーテルスルホン一体膜」が得られることは、特許権者が提出した平成13年11月29日付特許異議意見書に記載される参考例1及び2から明らかである。 (3)本件明細書の実施例1,2,4,5における中空糸膜の製造において、内部流体についての具体的な記載はないものの、特許権者が平成13年11月29日付特許異議意見書において主張する上記各実施例で使用したと称する内部流体は、各実施例の紡糸溶液の溶媒と同じである。 一方、中空糸の製造において、紡糸溶液の溶媒を内部流体と供用することは、特許権者が提出した平成14年12月4日付特許異議意見書に添付された刊行物(欧州特許(EP-B1)第0168783号明細書第5頁、国際公開(WO/01632号)パンフレット第9頁、及び旧ドイツ民主共和国特許公開(DD-A1)第262169号明細書第25頁)からみて慣用手段と認められ、特に本件発明が非対称膜に係ることを考慮すれば、温水浴中で中空糸膜を硬化させるに当たり、内部流体として水以外の流体を使用することは、当業者であれば当然思い至る事項であるから、内部流体についての具体的な記載はないというだけで、当業者が容易に実施することができないとはいえない。 (4)まとめ したがって、本件明細書には、当業者が容易に実施することができる程度に発明の目的、構成及び効果が記載されておらず、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載されていないとすることはできない。 6.結び 以上のとおりであるから、特許異議申立の理由及び証拠によっては、訂正後の本件請求項1〜10に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に訂正後の本件請求項1〜10に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 ポリエーテルスルホン一体膜、その製法 (57)【特許請求の範囲】 1. バブルポイント法で測定した細孔径の最大値(dmax)が0.05μm〜0.5μmである平膜、管状膜又は中空糸の形の、外側境界面で開口している細孔系を有するポリエーテルスルホン一体膜において、細孔径が連続気泡状であり、各気泡が膜の一方の表面から他方の表面に非対称的に配置されており、その際、式: LSmax:流路の開放路の長さの平均の最大値 Smax:LSmaxである時の膜壁からの距離の最大値 dmax:バブルポイント法で測定した細孔径の最大値 による細孔径の最大値(dmax)に対する非対称ファクタAFが0.01〜2.0であり、流路の開放路の長さの平均の最大値(LSmax)対細孔径の最大値(dmax)の比が3よりも大きく、29.4以下であり、気泡の大きさが一方の表面から他方の表面に均一に変化することを特徴とするポリエーテルスルホン一体膜。 2. ε-カプロラクタムを少なくとも15重量%含む混合物から構成された、請求項1記載のポリエーテルスルホン一体膜。 3. 連続した気泡における連結路の断面が丸くなっている、請求項1または2項記載のポリエーテルスルホン一体膜。 4. 膜形成時に混合物に親水性化添加物を加えた、請求項2記載のポリエーテルスルホン一体膜。 5. 使用したポリエーテルスルホンが少なくとも部分的にスルホン化されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のポリエーテルスルホン一体膜。 6. それぞれε-カプロラクタム15〜65重量%、潜溶剤0〜85重量%、粘稠剤0〜15重量%及び非溶剤0〜50重量%、場合によっては助剤1重量%までからなる混合物に、ポリエーテルスルホンを溶かして全溶液とし、その際、この全溶液に対してポリエーテルスルホンが12〜35重量%の量となるようにし、この全溶液を平膜、管状膜又は中空糸に成形し、固相に変え、溶剤を形成する混合物を除去することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載のポリエーテルスルホン一体膜の製法。 7. ポリエーテルスルホンを60〜140℃の温度で溶かす、請求項6記載の方法。 8. ポリエーテルスルホンを、ε-カプロラクタム40〜60重量%を含む混合物に溶かして全溶液とするが、その際、全溶液に対してポリエーテルスルホンが15〜25重量%の量になるようにする、請求項6又は7記載の方法。 9. 溶剤を形成する混合物を急冷により自然発生的に結晶させることによって固相に移行させる、請求項6から8までのいずれか1項記載の方法。 10. 非溶剤浴中で、成形された溶液を凝固させることにより固相に移行させ、その際溶液の温度及び非溶剤浴の温度を40〜60℃にする、請求項6から9までのいずれか1項記載の方法。 【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、バブルポイント法(Blaspunktmethode)で測定して細孔径の最大値が0.02μm〜2μmである平膜、管状膜又は中空糸の形の、外側境界面で開口している細孔系を有するポリエーテルスルホン一体膜、この膜の製法に関するものである。 従来の技術 欧州特許出願公開第121911-A1号明細書から、内側表面から外側表面への全厚にわたって格子構造を有する中空糸の形のポリスルホンからなる濾膜は公知であり、この場合、その細孔は、細孔径の最大値が0.1〜5μmであり、内側表面における細孔の開口は細孔径の最大値が0.01〜10μmであり、外側表面に構成された細孔の開口は細孔径の最大値が0.01〜5μmである。 細孔構造は、均一の格子構造又は海綿状構造と見なすことができ、中空糸の拡大断面図における外側壁面の領域で、開口の直径が広く分布していることを示している。この公知の膜は、海綿状構造内におけるよりも狭い細孔が存在する表皮を含んでおらず、格子-又は海綿状構造の外側に向かって拡大する多種多様の開口を有している。 欧州特許出願公開第228072-A2号明細書からは、膜を形成するポリマーはそれ自体疎水性であり、約2〜4%の吸水力を有するが、形成された膜は親水性で、細孔径が0.02μm〜20μmであり、設定されたバブルポイントで高い水流速度を有することによって特徴付けられる濾過膜が公知である。ポリマーは、有利にはポリエーテルスルホンであり、ポリエチレングリコール又はポリビニルピロリドン添加物も含まれる。 西ドイツ国特許第3327638号明細書に基づく、細孔を有する成形体の製造方法では、多孔質ポリアミド-6-中空糸をポリアミド-6、ε-カプロラクタム及びポリエチレングリコール300の混合物から製造している。この成型は、210℃のノズル温度で実施されている。紡糸溶液は、均質で、弱粘性であることから、ポリマー混合物が凝固、すなわち形状安定し始めるまで曝される機械的負荷を僅少に保つためにU字状冷却管の中に押し出される。 欧州特許出願公開第121911-A1号及び同第228072-A1号明細書からの公知の膜は、中性溶媒中のポリマー溶液から公知の膜形成法により形成される。中性媒体は、例えばジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド又はN-メチルピロリドンである。溶液のポリマー含有量は僅少である。従ってその粘度も僅かであり、薄壁で機械的に不安定な膜を生じる。これらの公知の膜は実際には対称的であり、その結果、膜の透過流束は膜が厚くなることによって明らかに減少する。 発明が解決しようとする課題 本発明の課題は、化学的に、特に酸化剤に対して安定で、耐熱性であり、外側境界面で開口している細孔径を有する濾膜において、その特殊な流れ特性が、膜厚とはほとんど無関係である水の流れを可能とする点にあるものを提供することにある。 課題を解決するための手段 この課題は、細孔系が多面対称的に限定された気泡を有する連続気泡状(即ち、細孔径の構造が、開放孔状で、互いに連結路、即ち開口部を介して連結している気泡又は細孔の網目状)であり、各気泡が壁の内側で壁の一方の境界面から他方の境界面に非対称的に配置されており、その際、細孔径の最大値(dmax)に対する非対称ファクタAFが0.01〜2.0であり、流路の開放路の長さの平均の最大値(LSmax)対細孔径の最大値(dmax)の比が3よりも大きく、気泡の大きさが一方の表面から他方の表面に向かって一様に変化することを特徴とするポリエーテルスルホン一体膜によって解決される。細孔径の最大値(dmax)は、バブルポイント法(ASTM No.128〜61及びF316〜70)により測定するが、これに対しては、例えば西ドイツ国特許出願公開第3617724-A1明細書に記載されている方法が適している。この場合、dmaxは、バブルポイントに属する気相圧(Gasraumdruck)PBから式: dmax=σB/PB により得られる。式中、σBは、主として湿潤性液体に固有の定数である。σBの値は、例えばイソプロパノールに関しては、25℃で0.611μm・バールであり、H2Oに関しては、2.07μm・バールである。 例えば西ドイツ国特許出願公開第2833493号明細書により製造される公知の技術水準に属する対称性膜とは異なり、本発明による膜では、その流束と膜の厚さとの間にはほとんど関連性がない。 第1図は、直線1が、西ドイツ国特許出願公開第2833493号明細書から公知の膜に相当するグラフを示すものである。直線2は、本発明による膜(実施例1による製造)に相当する。 膜の横断面における非対称性は、細孔径の最大値dmaxに対する非対称ファクタ(Asymmetriefaktor)AFによって特色づけられる: (LSmax:流路の開放路の長さの平均の最大値 Smax:LSmaxである時の膜壁からの距離の最大値 dmax:細孔径の最大値) LSは、気泡壁の間の膜内の流路の開放路の長さの平均であり、これは、膜壁からそれぞれ一定の距離Sをおいて撮影した膜横断面のTEM(透過電子顕微鏡)写真を、画像解読システム、例えばクァンチメント970(Quantiment970)を用いて4100倍に拡大したものから求めたものである。 LSmaxは、膜の場合の相応する開放路の長さのの平均LSの最大値であり、LSmaxである時の膜壁からの距離は、Smaxで示されている。得られた商である非対称ファクタAFは、バブルポイント測定によって求められた細孔径の最大値dmax(これは膜透過流束を決定する)の関数である。 透過電子顕微鏡写真の撮影は、膜壁に対して直角に切断した厚さ80nmの薄片を用いて実施する。薄片を作るために、膜をメタクリレートに埋め込み、これを切断した後、四塩化炭素で洗浄する。 膜壁から種々の距離をおいて測定された開放路の長さの平均LSと外壁からの距離Sとの関係をグラフにする。測定値は、連続曲線で記載してある。こうして、非対称ファクタAFは、開放路の長さの平均の最大値LSmax、LSmaxであるときの膜壁からの距離Smax及び細孔径の最大値dmaxから明らかになる。 (1)LSmaxとSmaxの測定方法 第8図は、第9図に示した膜の破断面の枠で囲んだ切片に相応するものである参考図との関係を説明するための図面である。 なお、参考図中の61と88という数字は、それぞれ第4図と第5図の61と88に相当するものである。 参考図(TEM写真)中で、黒い領域は、細孔壁もしくは気泡壁を示し、白い領域は、細孔又は気泡を示すものである。この参考図から出発して、「平均開放路」を次の手順で測定する。 ▲1▼ 参考図中の膜壁を、外側から内側方向に、隣接する長方形に分割し、その際の長方形の最初の一辺(参考図中の縦線)は、膜の外側表面に平行になるように定める。本願明細書の表1では膜壁の切断によって18個の長方形の領域に分割してある。 ▲2▼ 次に、TEM写真の評価に適する画像評価システムのQuantiment970を用いて、TEM写真の白の領域中の部分領域につき、開放路の長さの平均値LSを定めるために各長方形の領域内で、外側の膜表面に対して平行な80本までの線(縦線)を引いてそれぞれの長方形を分割する。 ▲3▼ 引かれた線に沿って白い領域(細孔又は気泡)の長さを測定する。この長さを、局所的な開放路の長さについての基準、即ち、前記の位置で、液体粒子を漏出させる開放漏出面積の算出の際の基準にする。従って、これを「流路の開放路の長さL」と定義する。 ▲4▼ 次に、明細書中の第4図に基づき具体的に説明する。 第4図中に膜表面に対して平行に複数の線を引いた場合、説明のために小さな白い領域の気泡部分を無視すると、そのうちの一本の線に沿って、白い領域に、部分区間l1及びl2が得られる。この白い領域の総計は、l1+l2=Lとなる。この場合、Lは、「流路の開放路の長さL」に相当するものである。複数の線のそれぞれについて「流路の開放路の長さL」を求める。次に、全ての線の「流路の開放路の長さL」の合計を求め、これを更に、引かれた線の本数で割ることによって「開放路の長さの平均値LS」が求める。 ▲5▼ 得られた「開放路の長さの平均値LS」と膜の外側からの距離Sとの関係を示したのが、明細書の第3図である。この図から、LSの最大値(LSmax)を読み取り、次に、そのLSmaxに相当する距離Sを図から読み取り、これをSmaxとする。 第3図によれば、開放路の長さの平均の最大値LSmaxは、7.35μmであり、それに相当する外縁からの距離Smaxは、209.44μmとなる。 例1C の非対称ファクタAFは、 になる。 実施例1Cに属する値を以下に示し、第3図にグラフで記載する。 種々のプロセスパラメータを選択することによって、その非対称ファクタが0.01〜2.0である本発明による膜を製造することができる。 この場合、開放路の長さの平均の最大値LSmax対細孔径の最大値dmaxの比は3よりも大きく、有利には5〜100であり、従って細孔系の明らかな非対称性が認められることを前提とする。同時に細孔の大きさは急激にではなく、一様に変化することが必要である。 第4図及び第5図は、例えば本発明による膜の代表的なTEM写真を示すものであり、これを開放路の長さの平均を測定するための画像解読に利用する。 本発明による膜はε-カプロラクタムを少なくとも15重量%含む混合物から形成させることによって、有利に得ることができる。 ε-カプロラクタムは、約70℃で融解する、沸点268.5℃(標準圧で)の吸湿性物質である。これは、水及び多くの有機溶剤、例えばトルオール、イソプロパノール、グリセリン、ポリエチレングリコール、ブチロラクトン、プロピレンカーボネート、酢酸エチル、メチルエチルケトン又はシクロヘキサンに良く溶ける。この物質は、大規模に大量生産され、ポリアミド-6-ポリマー用モノマーを形成するので、価格的に有利に入手可能である。260〜270℃の温度で水の存在下に開環しながら重付加してポリアミド-6を生じることを除いて、ε-カプロラクタムは酸素の遮断下に熱的に安定である。 ポリアミド-6用のモノマーとして使用することから、ε-カプロラクタムの特性は十分に知られている。同時にまた水溶液からのε-カプロラクタムの回収も周知である。 ε-カプロラクタムは、毒性の極めて少ない物質である。ε-カプロラクタムを使用する場合、その激しい臭いによる負荷及びε-カプロラクタム粉末による粘膜刺激以外は、繰返し使用した場合にも健康を損なうことはないと考えられている。また、良好な可溶性により、場合により存在する残分もε-カプロラクタムで形成された膜から完全に除去することができる。 ε-カプロラクタムは、窒素原子に存在する陽子により、またその溶液に比較的高い粘度を付与することにより、ポリエーテルスルホン膜用として通常使用される中性溶媒とは異なる。 本発明によるポリエーテルスルホン膜は疎水性または本発明の特殊な実施態様では親水性に形成させることができる。この特殊な親水性の実施態様は、膜形成時に混合物に親水性化添加物質を加えることからなる。 親水性膜をもたらす本発明の他の実施態様は、使用したポリエーテルスルホンが少なくとも部分的にスルホン化されている場合である。 本発明の対象は、本発明による膜を製造する方法にも関する。 本発明による膜の製造は、それぞれ混合物に対して、ε-カプロラクタム15〜65重量%、潜溶剤0〜85重量%、粘稠剤0〜15重量%及び非溶剤0〜50重量%、場合によっては助剤1重量%までからなる混合物に、全溶液に対して12〜35重量%のポリエーテルスルホンを溶かし、この溶液を平膜、管状膜又は中空糸に成形し(有利には内部流体を利用して)、固相に変え、溶剤を形成する混合物を除去することによって達成される。 本発明による使用されるポリエーテルスルホンは、次の一般式によって表される: この化合物は、場合によっては置換基により置換されていてもよい。特にその分子は、部分的にスルホン化されていても良い。このポリマーは、コポリマーであってもよく、この場合には、特にポリエーテルとの共縮合物を挙げることができる。 本発明で意図する潜溶剤とは、膜形成ポリマーをごく僅かにか又は高められた温度でのみ溶解する物質を意味する。この種の潜溶剤の例は、ブチロラクトン又はプロピレンカーボネートである。 粘稠剤とは、溶剤の粘度を高める物質を意味する。ここで考慮される溶液での粘稠剤の例は、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸及びポリアクリレートである。 本発明で意図する非溶剤は、例えば水、グリセリン、トリアセチン、酢酸エチル及びポリエチレングリコールである。 本発明で意図する助剤は、常用の安定剤、成核剤、顔料その他である。 ポリマーの溶解は、60〜140℃の温度で行うのが有利である。 全溶液に対して15から25重量%のポリエーテルスルホンを、ε-カプロラクタム40〜60重量%を含む混合物に溶かすことが好ましい。 中空糸の空洞を形成するために、多くの場合、常用の内部流体を使用する。内部流体の選択に応じて、該内部流体は、本発明の場合、内壁に隣接する帯域の構造にも影響を及ぼす。この場合、処理温度、溶剤-非溶剤の特性及び溶剤混合物との混合可能性が重要な問題となる。 本発明では、非溶剤蒸気が送り込まれる空気調節室内で成形された溶液を固相に変えることができる。 更に本発明の実施態様では十分な滞留時間で、固相への移行を急冷により溶剤混合物の自然発生的な結晶化によって実施することが可能である。 固相への移行は、一般には、成形された溶液を非溶剤浴中で凝固させることにより行う。本発明の他の実施態様では、固相への移行を非溶剤浴中での凝固によって行うが、この場合、溶液の温度及び非溶剤浴の温度は、40〜60℃である。 化学的な安定性を高めるためには、膜を、170〜210℃の温度で1ないし数時間熱処理することが有利である。 本発明の対象は、更に本発明によるポリエーテルスルホンを限外濾過及び精密濾過に使用することである。限外濾過及び精密濾過は、特定の大きさの粒子を分離するために圧力作用下に行う膜濾過である。限外濾過及び精密濾過に関する文献に記載されている粒径は広範囲に及ぶ。ケスティング(Robert E.Kesting)著、「シンセティック・ポリメリック・メンブランズ」(Synthetic Polymeric Membranes)、1971年、第3頁の第1.2図は、記載の粒径での膜分離法を示すものである。この図面は、限外濾過に対する範囲としては、約0.003μm〜10μmの粒径、精密濾過に関しては、約0.03μm〜約20μmを考慮していることを示している。 本発明による膜は、毒性が顕著な物質を含まないことから、使用分野は特に制限されず、食品分野で使用することができる。 気泡状細孔系が著しく非対称性であることによって高い透過率が得られるが、この場合、膜を通る流束は、膜の全厚とはほとんど関係のないことが明らかである。 第1図に示したグラフは、壁厚が著しく相違するにもかかわらず膜透過流束は、ごく僅かに異なるにすぎないことを示している。 第2図に示したグラフは、溶剤混合物の凝固温度を種々異なる溶液成分量との関係において示すものである。 詳述すれば、縦軸に凝固温度、横軸に溶液混合物の組成をプロットしてある。 第6図は、実施例1により製造した膜のREM写真(拡大350:1及び5000:1)である。 第7図は、同様に実施例5による本発明の膜のREM写真(拡大390:1及び5000:1)を示すものである。 実施例 次に本発明を実施例に基づき詳述する。 例 1 市販のポリエーテルスルホン(ヴィクトレクス(Victrex)5200、ICI社製)15重量部と、カプロラクタム/ブチロラクトン/グリセリンからなる混合物(重量比45.87:45.87:8.26)77.5重量部と、粘稠剤としてのポリビニルピロリドン7.51重量部から、約110℃で均一な粘性溶液を形成した(約28Pa・s/20℃)。 脱ガス化し、40℃の紡糸温度に冷却した後、この溶液から中空糸ノズルを用いて液状内部充填材の使用下に、種々異なる壁孔を有する中空糸を成形し、直ちに40℃の温水浴中で硬化させた。水浴中での約10〜15秒の滞留時間後に、中空糸は安定化した。溶剤の抽出は、80℃の温水で洗浄することにより行った。約50℃で乾燥させる前に、イソプロパノールでの抽出を行った。 種々の寸法の毛細管を顕微鏡で精査した結果は、全ての変法において膜の外側範囲で、外側に向けて開いた厚さ約50〜100μmの微細孔構造を示し、これは、膜の中央に向かって次第に大きな孔組織に移行していた。気泡は空洞側に向かって再び緊密化し、連続した気泡の内部表面を形成していた。 第6図は、この膜の典型的な横断面を示すものである。 第2表及び第6図には、種々異なる壁厚を有する種々の中空糸の膜透過流束が対照して示されている。 例 2 例1で使用したポリエーテルスルホン11.25重量部及び市販のスルホン化ポリエーテルスルホン3.75重量部からなる混合物を、重量比48:48:6のカプロラクタム/ブチロラクトン/グリセリンに溶かした。その他は、例1に記載した方法で製造した中空糸は、直ちに水で湿潤させることができた。これは、例えばアルコールで親水性化することなく水性又は他の親水性媒体を濾過するために使用することができる。 例 3 例1により製造したポリマー溶液を室温でリバース・ロール・コーターを用いて支持体テープ上に塗布し、直ちに50℃の温水浴中で硬化させた。生じた平膜を水中で洗浄し、50から60℃で乾燥させた。 水で湿潤可能な平膜は、次の試験値を有していた: 膜厚:0.15mm 膜透過流束(イソプロパノールで測定):6.5ml/cm2・分・バール 膜透過流束(水で測定):約8000l/m2・時・バール 例 4 市販のポリエーテルスルホンを、例1で記載した溶液混合物に溶かして17重量%溶液とし、外径1.0mm及び壁厚0.2mmの中空糸に成形した。 得られた機械的に極めて安定な中空糸は、細孔径の最大値<0.25μmで水での膜透過流束4000l/m2・時・バールを有していた。 例 5 粘稠剤8.2%を添加した、カプロラクタム17.5重量部及びプロピレンカーボネート82.5重量部中の15重量%のポリエーテルスルホン溶液を、紡糸して中空糸にした。糸の著しく緩慢な安定化は、極めて少ないカプロラクタム量に帰因するものであった。約1分の滞留時間後に初めて中空糸は、水で抽出可能な程度に硬化した。 壁の横断面が非対称性の構造を有する水透過性膜が生じた。膜透過流束は、5000l/m2・時・バールであった。得られた膜は、第7図に示したREM写真に示されている。 例 6 冷たいガラス板上に、カプロラクタム66.75重量部、ブチロラクトン21.25重量部及びグリセリン11重量部に溶けたポリエーテルスルホン15重量部からなる約40℃の温かい溶液を塗布した。溶液を冷却した際、溶剤は、結晶化し、形成された膜は安定化した。水で抽出した後、連続した気泡の透過性膜が生じた。 【図面の簡単な説明】 第1図は、壁厚が著しく相違するにもかかわらず膜の透過流束はごく僅かに異なるにすぎないことを示すグラフ、第2図は、溶剤混合物の凝固温度を種々異なる溶液成分量との関連において示すグラフ、第3図は、実施例1Cでの膜壁から種々の距離をおいて測定した開放路の長さの平均LSを膜壁からの記載の距離Sとの関連において示したグラフ、第4図及び第5図は、本発明による膜の粒子構造を示すTEM(透過電子顕微鏡)写真、第6図は、実施例1により製造した膜の粒子構造を示すREM写真(拡大350:1及び5000:1)、第7図は、実施例5による本発明の膜の粒子構造を示すREM写真(拡大390:1及び5000:1)である。第8図は、第9図に示した膜の破断面の枠で囲んだ切片に相応するものである参考図との関係を説明するための図面である。第9図は、膜の破断面であり、第8図の参考図との関係を示したものである。 |
訂正の要旨 |
訂正の要旨 1.特許第3068831号の明細書中特許請求の範囲の請求項1における「バブルポイント法で測定した細孔径の最大値(dmax)が0.2μm〜2μmである平膜、管状膜又は中空糸膜の形の、外側境界面で開口している細孔径を有するポリエーテル一体膜において、細孔径が連続気泡状であり、各気泡が一方の表面から他方の表面に非対照的に配置されており、その際、式 AF=LSmax/(Smax×dmax)[μm-1] による細孔径の最大値(dmax)に対する非対称ファクタAFが0.01〜2.0であり、経路の解放路の長さの平均の最大値(Lmax)対細孔径の最大値(dmax)の比が3よりも大きく、気泡の大きさが一方の表面から他方の表面に均一に変化することを特徴とするポリエーテルスルホン一体膜」を、特許請求の範囲の減縮を目的として「バブルポイント法で測定した細孔径の最大値(dmax)が0.05μm〜0.5μmである平膜、管状膜又は中空糸膜の形の、外側境界面で開口している細孔径を有するポリエーテル一体膜において、細孔径が連続気泡状であり、各気泡が一方の表面から他方の表面に非対照的に配置されており、その際、式 AF=LSmax/(Smax×dmax)[μm-1] による細孔径の最大値(dmax)に対する非対称ファクタAFが0.01〜2.0であり、経路の解放路の長さの平均の最大値(Lmax)対細孔径の最大値(dmax)の比が3よりも大きく、29.4以下であり、気泡の大きさが一方の表面から他方の表面に均一に変化することを特徴とするポリエーテルスルホン一体膜」と訂正する。 2.特許第3068831号の明細書中特許請求の範囲の請求項2及び請求項7を、特許請求の範囲の減縮を目的として削除する。 3.特許第3068831号の明細書中特許請求の範囲の請求項3の項番を「2」に繰り上げるとともに、「請求項1又は2記載」を、明りょうでない記載の釈明を目的として「請求項1記載」と訂正する。 4.特許第3068831号の明細書中特許請求の範囲の請求項4の項番を「3」に繰り上げるとともに、「請求項1から3までのいずれか1項記載」を、明りょうでない記載の釈明を目的として「請求項1又は2記載」と訂正する。 5.特許第3068831号の明細書中特許請求の範囲の請求項5の項番を「4」に繰り上げるとともに、「請求項3記載」を、明りょうでない記載の釈明を目的として「請求項2記載」と訂正する。 6.特許第3068831号の明細書中特許請求の範囲の請求項6の項番を「5」に繰り上げるとともに、「請求項1から4までのいずれか1項記載」を、明りょうでない記載の釈明を目的として「請求項1から3までのいずれか1項記載」と訂正する。 7.特許第3068831号の明細書中特許請求の範囲の請求項8の項番を「6」に繰り上げるとともに、「請求項1から7までのいずれか1項記載」を、明りょうでない記載の釈明を目的として「請求項1から5までのいずれか1項記載」と訂正する。 8.特許第3068831号の明細書中特許請求の範囲の請求項9の項番を「7」に繰り上げるとともに、「請求項8記載」を、明りょうでない記載の釈明を目的として「請求項6記載」と訂正する。 9.特許第3068831号の明細書中特許請求の範囲の請求項10の項番を「8」に繰り上げるとともに、「請求項8又は9記載」を、明りょうでない記載の釈明を目的として「請求項6又は7記載」と訂正する。 10.特許第3068831号の明細書中特許請求の範囲の請求項11の項番を「9」に繰り上げるとともに、「請求項8から10までのいずれか1項記載」を、明りょうでない記載の釈明を目的として「請求項6から8までのいずれか1項記載」と訂正する。 11.特許第3068831号の明細書中特許請求の範囲の請求項12の項番を「10」に繰り上げるとともに、「請求項8から10までのいずれか1項記載」を、明りょうでない記載の釈明を目的として「請求項6から8までのいずれか1項記載」と訂正する。 |
異議決定日 | 2002-12-16 |
出願番号 | 特願平1-224746 |
審決分類 |
P
1
651・
531-
YA
(B01D)
P 1 651・ 534- YA (B01D) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 吉水 純子 |
特許庁審判長 |
石井 良夫 |
特許庁審判官 |
野田 直人 唐戸 光雄 |
登録日 | 2000-05-19 |
登録番号 | 特許第3068831号(P3068831) |
権利者 | メムブラーナ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング |
発明の名称 | ポリエーテルスルホン一体膜、その製法 |
代理人 | 山崎 利臣 |
代理人 | 矢野 敏雄 |
代理人 | 久野 琢也 |
代理人 | 久野 琢也 |
代理人 | 矢野 敏雄 |
代理人 | 山崎 利臣 |