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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  C09D
管理番号 1073153
異議申立番号 異議2000-74654  
総通号数 40 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1997-05-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-12-25 
確定日 2002-12-09 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3060088号「光硬化型印刷インキ組成物」の請求項1ないし9に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3060088号の請求項1ないし7に係る特許を維持する。 
理由 [1]手続の経緯
特許第3060088号(平成7年11月17日出願、平成12年4月28日設定登録)は、異議申立人小林陽信により特許異議の申立てがされ、取消理由が通知され、その指定期間内である平成13年9月4日に訂正請求がされ、取消理由が通知され、その指定期間内である平成14年10月10日に上記訂正請求を取り下げるとともに新たな訂正請求がされたものである。
[2]訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
特許権者は、訂正明細書のとおりの訂正を求めており、その内容は以下のとおりである。
ア.訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1の記載について、
「【請求項1】一般式(1)で表されるプロペニルエーテル末端基を有する(ポリ)エーテルオリゴマー、一般式(3)または一般式(4)で表されるプロペニルエーテル末端基を有するポリエステルオリゴマーおよび一般式(6)で表されるプロペニルエーテル末端基を有するモノマーの群から選ばれる分子内に少なくとも2個のプロペニルエーテル末端基を有する化合物(A)の1種以上、並びに光カチオン重合開始剤(B)を必須成分とすることを特徴とする光硬化型印刷インキ組成物。
【化1】
X1[-O-(AO)m-R1]n (1)
{式中、nは3〜200の整数であり、n個のmは0〜200の整数であり、mの少なくとも1個は1以上である。n個のR1の少なくとも2個はプロペニル基であり、残りは水素原子、アルキル、アシルまたはアリール基でもよい。Aは炭素数2〜12のアルキレン、アリーレン、アラルキレンまたはシクロアルキレン基であり、mが2以上の場合のAは同一でも異なっていてもよく、(AO)m部分はランダム付加でもブロック付加でもよい。X1は多価アルコール残基である。}
【化2】
X1[-O-(CX2O)m-R1]n (3)

O
{式中、mは1〜200の整数、nは2〜200の整数であり、X2はアルキレンまたはアリーレン基であり、X1は多価アルコール残基である。n個のR1の少なくとも2個はプロペニル基であり、残りは水素原子、アルキル、アシルまたはアリール基でもよい。}
【化3】
X1[-(OX2OC)m-OX3O-R1]n (4)

O
{式中、mは1〜200、nは2〜200の整数であり、X2、X3はそれぞれ、HOX2OH、HOX3OHで表されるアルキレンジオール、アリーレンジオール、ポリエーテルジオール、ポリウレタンジオールまたはポリカーボネートジオールのいずれかのジオールの残基であり、X1は多価アルコール残基である。n個のR1の少なくとも2個はプロペニル基であり、残りは水素原子、アルキル、アシル又はアリール基でもよい。}
【化4】
X1[-O-R1]n (6)
{式中、nは2〜200の整数であり、X1は、ポリグリセリン(グリセリンの2〜18量体)の残基またはトリメチロールアルカンの2〜3量体の残基である。n個のR1の少なくとも2個はプロペニル基であり、残りは水素原子、アルキル、アシルまたはアリール基でもよい。}」と訂正する。
イ.訂正事項b
特許請求の範囲の請求項2および請求項3を削除する。
ウ.訂正事項c
特許請求の範囲の請求項4を請求項2として繰り上げると共に、「請求項1〜3のいずれか記載の組成物。」とあるのを「請求項1記載の組成物。」と訂正する。
エ.訂正事項d
特許請求の範囲の請求項5を請求項3として繰り上げると共に、「請求項1〜4のいずれか記載の組成物。」とあるのを「請求項1または2記載の組成物。」と訂正する。
オ.訂正事項e
特許請求の範囲の請求項6を請求項4として繰り上げると共に、「請求項5記載の組成物。」とあるのを「請求項3記載の組成物。」と訂正する。
カ.訂正事項f
特許請求の範囲の請求項7を請求項5として繰り上げると共に、「請求項1〜6のいずれか記載の組成物に、」とあるのを「請求項1〜4のいずれか記載の組成物に、」と訂正する。
キ.訂正事項g
特許請求の範囲の請求項8を請求項6として繰り上げると共に、「請求項1〜7のいずれか記載の組成物。」とあるのを「請求項1〜5のいずれか記載の組成物。」と訂正する。
ク.訂正事項h
特許請求の範囲の請求項9を請求項7として繰り上げると共に、「請求項1〜8のいずれか記載の組成物を」とあるのを「請求項1〜6のいずれか記載の組成物を」と訂正する。
ケ.訂正事項i
明細書の段落【0004】の記載について、
「【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成できる光カチオン硬化型印刷インキについて鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち本発明の光硬化型印刷インキ組成物の特徴は、一般式(1)で表されるプロペニルエーテル末端基を有する(ポリ)エーテルオリゴマー、一般式(3)または一般式(4)で表されるプロペニルエーテル末端基を有するポリエステルオリゴマーおよび一般式(6)で表されるプロペニルエーテル末端基を有するモノマーの群から選ばれる分子内に少なくとも2個のプロペニルエーテル末端基を有する化合物(A)の1種以上、並びに光カチオン重合開始剤(B)を必須成分とする点にある。」と訂正する。
コ.訂正事項j
明細書の段落【0005】の記載について、
「【化6】
X1[-O-(AO)m-R1]n (1)
{式中、nは3〜200の整数であり、n個のmは0〜200の整数であり、mの少なくとも1個は1以上である。n個のR1の少なくとも2個はプロペニル基であり、残りは水素原子、アルキル、アシルまたはアリール基でもよい。Aは炭素数2〜12のアルキレン、アリーレン、アラルキレンまたはシクロアルキレン基であり、mが2以上の場合のAは同一でも異なっていてもよく、(AO)m部分はランダム付加でもブロック付加でもよい。X1は多価アルコール残基である。}
【化7】
X1[-O-(CX2O)m-R1]n (3)

O
{式中、mは1〜200の整数、nは2〜200の整数であり、X2はアルキレンまたはアリーレン基であり、X1は多価アルコール残基である。n個のR1の少なくとも2個はプロペニル基であり、残りは水素原子、アルキル、アシルまたはアリール基でもよい。}
【化8】
X1[-(OX2OC)m-OX3O-R1]n (4)

O
{式中、mは1〜200、nは2〜200の整数であり、X2、X3はそれぞれ、HOX2OH、HOX3OHで表されるアルキレンジオール、アリーレンジオール、ポリエーテルジオール、ポリウレタンジオールまたはポリカーボネートジオールのいずれかのジオールの残基であり、X1は多価アルコール残基である。n個のR1の少なくとも2個はプロペニル基であり、残りは水素原子、アルキル、アシル又はアリール基でもよい。}
【化9】
X1[-O-R1]n (6)
{式中、nは2〜200の整数であり、X1は、ポリグリセリン(グリセリンの2〜18量体)の残基またはトリメチロールアルカンの2〜3量体の残基である。n個のR1の少なくとも2個はプロペニル基であり、残りは水素原子、アルキル、アシルまたはアリール基でもよい。}」と訂正する。
(2)訂正の目的の適否、新規事項の追加の有無、及び拡張・変更の存否
ア.訂正事項aについて
訂正事項aは、「一般式(1)で表されるプロペニルエーテル末端基を有する(ポリ)エーテルオリゴマー、プロペニルエーテル末端基を有するポリエステルオリゴマー、プロペニルエーテル末端基を有するウレタンオリゴマー」を「一般式(1)で表されるプロペニルエーテル末端基を有する(ポリ)エーテルオリゴマー、一般式(3)または一般式(4)で表されるプロペニルエーテル末端基を有するポリエステルオリゴマー・・・(式等省略)」に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。
イ.訂正事項bについて
訂正事項bは、請求項2および3の削除であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。
ウ.訂正事項c〜hについて
訂正事項c〜hは、訂正事項bの請求項の削除に伴い、請求項を順に繰り上げる訂正であるから、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。
エ.訂正事項i〜jについて
訂正事項i、jは、訂正事項a、bの訂正に伴い特許請求の範囲の請求項1の記載と不整合となる明細書の記載を整合させるための訂正であるから、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。
そして、上記訂正事項a〜jについては、いずれも願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(3)むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項ただし書、及び同条第3項において準用する特許法第126条第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
[3]異議申立てについて
(1)異議申立ての概要
異議申立人小林陽信は、証拠として、
甲第1号証:特表平7-506620号公報
甲第2号証:特表平3-504851号公報
甲第3号証:特表平3-502926号公報
甲第4号証:特開平7-258159号公報
を提出して、訂正前の本件の請求項1ないし9に係る発明は、甲第1号証ないし甲第4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、訂正前の本件の請求項1ないし9に係る特許は、取り消すべきものである旨主張している。
(2)本件発明
上記[2]に記載されたとおり、上記訂正が認められるから、訂正後の請求項1ないし7に係る発明(以下、「本件発明1ないし7」という。)は、訂正明細書の請求項1ないし7に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
「【請求項1】一般式(1)で表されるプロペニルエーテル末端基を有する(ポリ)エーテルオリゴマー、一般式(3)または一般式(4)で表されるプロペニルエーテル末端基を有するポリエステルオリゴマーおよび一般式(6)で表されるプロペニルエーテル末端基を有するモノマーの群から選ばれる分子内に少なくとも2個のプロペニルエーテル末端基を有する化合物(A)の1種以上、並びに光カチオン重合開始剤(B)を必須成分とすることを特徴とする光硬化型印刷インキ組成物。
【化1】
X1[-O-(AO)m-R1]n (1)
{式中、nは3〜200の整数であり、n個のmは0〜200の整数であり、mの少なくとも1個は1以上である。n個のR1の少なくとも2個はプロペニル基であり、残りは水素原子、アルキル、アシルまたはアリール基でもよい。Aは炭素数2〜12のアルキレン、アリーレン、アラルキレンまたはシクロアルキレン基であり、mが2以上の場合のAは同一でも異なっていてもよく、(AO)m部分はランダム付加でもブロック付加でもよい。X1は多価アルコール残基である。}
【化2】
X1[-O-(CX2O)m-R1]n (3)

O
{式中、mは1〜200の整数、nは2〜200の整数であり、X2はアルキレンまたはアリーレン基であり、X1は多価アルコール残基である。n個のR1の少なくとも2個はプロペニル基であり、残りは水素原子、アルキル、アシルまたはアリール基でもよい。}
【化3】
X1[-(OX2OC)m-OX3O-R1]n (4)

O
{式中、mは1〜200、nは2〜200の整数であり、X2、X3はそれぞれ、HOX2OH、HOX3OHで表されるアルキレンジオール、アリーレンジオール、ポリエーテルジオール、ポリウレタンジオールまたはポリカーボネートジオールのいずれかのジオールの残基であり、X1は多価アルコール残基である。n個のR1の少なくとも2個はプロペニル基であり、残りは水素原子、アルキル、アシル又はアリール基でもよい。}
【化4】
X1[-O-R1]n (6)
{式中、nは2〜200の整数であり、X1は、ポリグリセリン(グリセリンの2〜18量体)の残基またはトリメチロールアルカンの2〜3量体の残基である。n個のR1の少なくとも2個はプロペニル基であり、残りは水素原子、アルキル、アシルまたはアリール基でもよい。}
【請求項2】(A):(B)の重量比が(95〜99.9):(0.01〜5)である請求項1記載の組成物。
【請求項3】さらに反応性希釈剤(C)が配合されてなり、(C)の含量が、(A)と(B)の合計重量に対して5〜60重量%である請求項1または2記載の組成物。
【請求項4】(C)が下記一般式(8)で表される反応性希釈剤である請求項3記載の組成物。
【化5】
CH3-CH=CH-O-X2-O-R3 (8)
{式中、X2は、HOX2OHで表されるアルキレンジオール、アリーレンジオール、ポリエーテルジオール、ポリウレタンジオールまたはポリカーボネートジオールのいずれかのジオールの残基であり、R3は炭素数が2〜12のアルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル基または水素原子である。}
【請求項5】請求項1〜4のいずれか記載の組成物に、さらにエポキシ樹脂を含有させてなる光硬化型印刷インキ組成物。
【請求項6】金属、樹脂フィルム若しくはシート、ガラスおよびセラミックから選ばれる印刷基材用である請求項1〜5のいずれか記載の組成物。
【請求項7】請求項1〜6のいずれか記載の組成物をグラビア印刷、オフセット印刷またはスクリーン印刷で印刷後、印刷面に光を照射して硬化させる印刷物の製造方法。」
(3)甲号各証に記載された事項
甲第1号証(特表平7-506620号公報)には、
「3.多塩基性エステルが式(式省略)
(式中、Yは14〜500以上の分子量を有する基であって、アルキレン基、アリーレン基、アラルキレン基及びシクロアルキレン基より成る群から選ばれ、Xは炭素原子1〜6個のアルキル、アリーレン及びアラルキレンより成る群から選ばれる基であり、そしてmは2〜6である。)を有するものであり、ヒドロキシモノビニルエーテルが式
R’CH=CR”O-Z-OH
(式中、R’及びR”はH及び1〜10個の炭素原子を有するアルキル基より成る群から選ばれる一価の基であり、そしてZは分子量28〜約500の二価の基であって、アルキレン基又はシクロアルキレン基より成る群から選ばれる。)を有するものであり、そしてポリオールが式
A-[OH]n
(式中、nは2〜6であり、そしてAは2〜10個の炭素原子を有するアルキル、ポリエステル類、直鎖又は環式のエーテル類、アリーレン又はアラルキレンより成る群から選ばれる基である。)を有するものである、請求の範囲第2項に記載の方法。」(特許請求の範囲の請求項3)と記載されている。
甲第2号証(特表平3-504851号公報)には、
「1.式
R1CH=CR2OXO(O)CYC(O)O-〔-ZO(O)CYC(O)O-〕p-XOCR2=CHR1〔式中、R1およびR2は独立に、水素および最大約10個までの炭素原子を有する低級アルキル残基より成る群から選択され、XおよびZは独立に、(a)HOXOHおよびHOZOHが式HO(CnH2n)OH(式中、nは2〜約10の整数である)を有するアルキレンジオールであり、または(b)HOXOHおよびHOZOHがポリ(エチレンオキシ)グリコールまたはポリ(プロピレンオキシ)グリコールであるそれぞれHO-〔-CH2CH2O-〕m-HまたはHO-〔-CH(CH3)CH2O-〕m-H(式中、mは1〜約50の整数である)であり、または(c)X(OH)sおよびZ(OH)s(式中、sは少なくとも3の整数である)が高級ポリオールであるような群から選択され、pは0または1〜約200の整数であり、そしてYはHO2CYCO2Hがフタル酸、ポリメチレンジカルボン酸であるHO2C(CH2)rCO2H(式中、rは2〜約8の整数である)、p-フェニレン二酢酸、p-フェニレンジプロピオン酸、5-t-ブチルイソフタル酸および4,4’-ジベンジル酸より成る群から選択されるジカルボン酸であるように選択する〕を有するビニルエーテル末端付きオリゴマー性エステル。」(特許請求の範囲の請求項1)と記載されている。
甲第3号証(特表平3-502926号公報)には、
「1.未反応アルコール性ヒドロキシル基含量が5%未満であり、式R1CH=CR2OXOHのビニルエーテル末端基付きアルコール類、またはこの式のビニルエーテル末端基付きアルコール類1モルの割合および少なくとも1種の式Z(OH)2のジオール約100モルまでの割合を含有するアルコール混合物と、生成エステル中に本質的に遊離アルコール性ヒドロキシル基が存在しない状態となるのに十分な量の、少なくとも3個のカルボキシル部分を含むポリカルボン酸とのエステル化反応生成物であるビニルエーテル末端基付きオリゴマーにおいて:R1およびR2は別個に水素原子、および約10個までの炭素原子を含む低級アルキル部分よりなる群から選ばれ;X(OH)2は式HO(CnH2n)OHのアルキレンジオール(式中、nは2〜約10個の整数である);またはそれぞれ式HO-[-CH2CH2O]m-HもしくはHO-[-CH(CH3)CH2O]m-H,(式中、mは1〜約50の整数である)を有するポリ(エチレンオキシ)もしくはポリ(プロピレンオキシ)グリコール;または式[HO(CH2)n]2R3のビス(ヒドロキシルアルキル)シクロアルカン(式中、nは1〜約6の整数であり、R3はその母体が炭素原子5〜8個の環サイズの飽和環状炭化水素である2価の基である)より成る群から選ばれ;そしてZ(OH)2はX(OH)2を含む上記と同じ群から選ばれるジオールまたはそれらのいずれかの組合わせである。」(特許請求の範囲の請求項1)と記載されている。
甲第4号証(特開平7-258159号公報)には、
「【請求項1】 式:【化1】
R1CH=CR2OXO(O)CYC(O)O-[-ZO(O)CYC(O)O-]p-XOCR2=CHR1で表されるビニルエーテル末端基付きオリゴマーエステル:但し、式中R1および R2は互いに無関係に水素原子、および10個までの炭素原子を含む低級アルキル部分よりなる群から選ばれ;-OXO-は式[HO(CH2)n]2R3(但し、nは1〜6の整数であり、そしてR3は母体が炭素原子5〜8個の環サイズを有する飽和環式炭化水素である二価の基である)で表されるジオールに由来する二価の部分であり;-OZO-は-OXO-と同じであるか、あるいはHO(CqH2q)OH(但し、qは2〜10の整数である)で表されるアルキレンジオール、またはそれぞれHO-[-CH2CH2O-]m-HもしくはHO-[-CH(CH3)CH2O-]m-H(但し、mは1〜50の整数である)で表されるポリ(エチレンオキシ)グリコールもしくはポリ(プロピレンオキシ)グリコールに由来する二価の部分であり;pは1〜200の整数であり;そして-O2CYCO2-はフタル酸、HO2C(CH2)rCO2H(但し、rは2〜8の整数である)で表されるポリメチレンジカルボン酸、パラフェニレンジ酢酸、パラフェニレンジプロピオン酸、5-t-ブチルイソフタル酸および4,4’-ジベンジル酸よりなる群から選ばれるジカルボン酸に由来する二価の部分である。」(特許請求の範囲の請求項1)と記載されている。
(4)対比・判断
ア.本件発明1について
本件発明1と甲第1号証ないし甲第4号証に記載された発明とを対比する。
本件発明1を分節すると、
「(A)の1種以上、
i)一般式(1)(式省略)で表されるプロペニルエーテル末端基を有する(ポリ)エーテルオリゴマー、
ii)一般式(3)(式省略)または一般式(4)(式省略)で表されるプロペニルエーテル末端基を有するポリエステルオリゴマーおよび
iii)一般式(6)(式省略)で表されるプロペニルエーテル末端基を有するモノマーの群から選ばれる分子内に少なくとも2個のプロペニルエーテル末端基を有する化合物
並びに(B)光カチオン重合開始剤を必須成分とすることを特徴とする
光硬化型印刷インキ組成物。」である。
そこで、それぞれと対比すると、甲第1号証には、プロペニルエーテル末端基を包含するビニルエーテルエステル(ポリエステル)オリゴマーが記載されているが、本件発明1の一般式(3)あるいは(4)のポリエステルオリゴマーは、X1が多価アルコール残基であるのに対し、甲第1号証記載のものはそれに相当するものが多価カルボン酸残基である点で両者は相違する。
甲第2号証には、ポリエステルオリゴマーが記載されているが、ポリエステル構造を有する本件発明1の一般式(3)あるいは(4)のポリエステルオリゴマーは、X1が多価アルコール残基であるのに対し、甲第2号証記載のものは、X1に相当する多価残基がない点で両者は相違する。
甲第3号証には、ポリエステルオリゴマーが記載されているが、ポリエステル構造を有する本件発明1の一般式(3)あるいは(4)のポリエステルオリゴマーは、X1が多価アルコール残基であるのに対し、甲第3号証記載のものはX1に相当する多価の残基でない点で両者は相違する。
甲第4号証には、ポリエステルオリゴマーが記載されているが、ポリエステル構造を有する本件発明1の一般式(3)あるいは(4)のポリエステルオリゴマーは、X1が多価アルコール残基であるのに対し、甲第4号証記載のものは、そのような多価残基がない点で両者は相違する。
それ故、甲第1号証ないし甲第4号証には、本件発明1で定義する(A)のオリゴマーあるいは化合物が記載されていない。
そして、本件発明1で、光硬化型印刷インキ組成物を構成する(A)オリゴマーあるいは化合物として、「一般式(1)(式省略)で表されるプロペニルエーテル末端基を有する(ポリ)エーテルオリゴマー、一般式(3)(式省略)または一般式(4)(式省略)で表されるプロペニルエーテル末端基を有するポリエステルオリゴマーおよび一般式(6)(式省略)で表されるプロペニルエーテル末端基を有するモノマーの群から選ばれる分子内に少なくとも2個のプロペニルエーテル末端基を有する化合物」の一種以上を用いることにより、表面硬化性が良く、印刷面の密着性が優れたものが得られる効果を奏することは、明細書に記載されたとおり格別なものと認められる。
したがって、本件発明1は、甲第1号証ないし甲第4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
イ.[本件発明2ないし7について]
本件発明2ないし7は、先行する請求項を引用し、本件発明1と共通する事項を採用するものであるから、本件発明1と同じことがいえる。
したがって、本件発明2ないし7は、甲第1号証ないし甲第4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
(5)むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件発明1ないし7に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1ないし7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
光硬化型印刷インキ組成物
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 一般式(1)で表されるプロペニルエーテル末端基を有する(ポリ)エーテルオリゴマー、一般式(3)または一般式(4)で表されるプロペニルエーテル末端基を有するポリエステルオリゴマーおよび一般式(6)で表されるプロペニルエーテル末端基を有するモノマーの群から選ばれる分子内に少なくとも2個のプロペニルエーテル末端基を有する化合物(A)の1種以上、並びに光カチオン重合開始剤(B)を必須成分とすることを特徴とする光硬化型印刷インキ組成物。
【化1】
X1[-O-(AO)m-R1]n (1)
{式中、nは3〜200の整数であり、n個のmは0〜200の整数であり、mの少なくとも1個は1以上である。n個のR1の少なくとも2個はプロペニル基であり、残りは水素原子、アルキル、アシルまたはアリール基でもよい。Aは炭素数2〜12のアルキレン、アリーレン、アラルキレンまたはシクロアルキレン基であり、mが2以上の場合のAは同一でも異なっていてもよく、(AO)m部分はランダム付加でもブロック付加でもよい。X1は多価アルコール残基である。}
【化2】

{式中、mは1〜200の整数、nは2〜200の整数であり、X2はアルキレンまたはアリーレン基であり、X1は多価アルコール残基である。n個のR1の少なくとも2個はプロペニル基であり、残りは水素原子、アルキル、アシルまたはアリール基でもよい。}
【化3】

{式中、mは1〜200、nは2〜200の整数であり、X2、X3はそれぞれ、HOX2OH、HOX3OHで表されるアルキレンジオール、アリーレンジオール、ポリエーテルジオール、ポリウレタンジオールまたはポリカーボネートジオールのいずれかのジオールの残基であり、X1は多価アルコール残基である。n個のR1の少なくとも2個はプロペニル基であり、残りは水素原子、アルキル、アシル又はアリール基でもよい。}
【化4】
X1[-O-R1]n (6)
{式中、nは2〜200の整数であり、X1は、ポリグリセリン(グリセリンの2〜18量体)の残基またはトリメチロールアルカンの2〜3量体の残基である。n個のR1の少なくとも2個はプロペニル基であり、残りは水素原子、アルキル、アシルまたはアリール基でもよい。}
【請求項2】 (A):(B)の重量比が(95〜99.9):(0.01〜5)である請求項1記載の組成物。
【請求項3】 さらに反応性希釈剤(C)が配合されてなり、(C)の含量が、(A)と(B)の合計重量に対して5〜60重量%である請求項1または2記載の組成物。
【請求項4】 (C)が下記一般式(8)で表される反応性希釈剤である請求項3記載の組成物。
【化5】
CH3-CH=CH-O-X2-O-R3 (8)
{式中、X2は、HOX2OHで表されるアルキレンジオール、アリーレンジオール、ポリエーテルジオール、ポリウレタンジオールまたはポリカーボネートジオールのいずれかのジオールの残基であり、R3は炭素数が2〜12のアルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル基または水素原子である。}
【請求項5】 請求項1〜4のいずれか記載の組成物に、さらにエポキシ樹脂を含有させてなる光硬化型印刷インキ組成物。
【請求項6】 金属、樹脂フィルム若しくはシート、ガラスおよびセラミックから選ばれる印刷基材用である請求項1〜5のいずれか記載の組成物。
【請求項7】 請求項1〜6のいずれか記載の組成物をグラビア印刷、オフセット印刷またはスクリーン印刷で印刷後、印刷面に光を照射して硬化させる印刷物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は光硬化型印刷インキ組成物に関する。さらに詳しくは、紫外線等の光照射により高速に硬化し、各種基材に対して優れた密着性を有するプロペニルエーテル末端基化合物を含む光カチオン硬化型印刷インキ組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、有機溶剤を使用する印刷インキは、作業者に対する有毒性、火災の危険性、環境汚染、乾燥速度及び、溶剤の浪費などに問題があるため、有機溶剤を必須成分として含まず、活性エネルギー線の照射による硬化を利用した、無溶剤系の印刷インキが検討されている。
該無溶剤系の光硬化型印刷インキとしては、ラジカル重合型の不飽和ポリエステル、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートなどが知られているが(例えば特開平1-230621号、特開平3-33117号,特開平4-202422号各公報)、光ラジカル重合型の硬化は体積収縮が起こり、基材面に対するの密着性が低下し易く、さらに、アクリル系樹脂は特有の臭気を有し、作業環境の悪化や皮膚刺激性が高いという問題点がある。
また、とくに着色料が紫外線(UV)が透過しにくい無機顔料の場合、未硬化の部分が残り易いため、インキ膜厚や使用箇所が限定される。さらに、UV硬化に際して空気(酸素)が介在するとラジカル硬化反応が阻害されるため、不活性ガス雰囲気中でUV照射を行う必要があり、装置の面でも制約があった。
これらの問題点を克服するものとしてエポキシ系の光カチオン硬化性樹脂があるが、該樹脂は光反応性が低いため、硬化時に大きなUVエネルギーを必要とする。そのため、高UVエネルギー照射装置を必要としたり、照射時間が長くかかるという欠点があった。このような光カチオン硬化性樹脂の反応性の低さを向上させる方法として、脂環式エポキシ化合物をベースレジンまたは希釈剤として用いる方法が知られている(特開平5-186755号公報など)。
しかしながら、このものの反応速度も従来の光ラジカル硬化性樹脂に比べると遅く、しかも工業的に入手できる脂環式エポキシ化合物の種類は限られており、実用性能を満足できるものを得るのは困難であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、有機溶剤、刺激性のモノマー、オリゴマーなどを含まず、UV等の活性エネルギー線を照射することにより高速に硬化し、各種印刷基材面への密着性に優れる光カチオン硬化型印刷インキ組成物を提供することを目的とする。
本発明の印刷インキ組成物は、従来技術における種々の問題点、すなわち作業者に対する有害性、環境汚染、臭気対策、硬化速度、インキ物性を大幅に改善するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成できる光カチオン硬化型印刷インキについて鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち本発明の光硬化型印刷インキ組成物の特徴は、一般式(1)で表されるプロペニルエーテル末端基を有する(ポリ)エーテルオリゴマー、一般式(3)または一般式(4)で表されるプロペニルエーテル末端基を有するポリエステルオリゴマーおよび一般式(6)で表されるプロペニルエーテル末端基を有するモノマーの群から選ばれる分子内に少なくとも2個のプロペニルエーテル末端基を有する化合物(A)の1種以上、並びに光カチオン重合開始剤(B)を必須成分とする点にある。
【0005】
【化6】
X1[-O-(AO)m-R1]n (1)
{式中、nは3〜200の整数であり、n個のmは0〜200の整数であり、mの少なくとも1個は1以上である。n個のR1の少なくとも2個はプロペニル基であり、残りは水素原子、アルキル、アシルまたはアリール基でもよい。Aは炭素数2〜12のアルキレン、アリーレン、アラルキレンまたはシクロアルキレン基であり、mが2以上の場合のAは同一でも異なっていてもよく、(AO)m部分はランダム付加でもブロック付加でもよい。X1は多価アルコール残基である。}
【化7】

{式中、mは1〜200の整数、nは2〜200の整数であり、X2はアルキレンまたはアリーレン基であり、X1は多価アルコール残基である。n個のR1の少なくとも2個はプロペニル基であり、残りは水素原子、アルキル、アシルまたはアリール基でもよい。}
【化8】

{式中、mは1〜200、nは2〜200の整数であり、X2、X3はそれぞれ、HOX2OH、HOX3OHで表されるアルキレンジオール、アリーレンジオール、ポリエーテルジオール、ポリウレタンジオールまたはポリカーボネートジオールのいずれかのジオールの残基であり、X1は多価アルコール残基である。n個のR1の少なくとも2個はプロペニル基であり、残りは水素原子、アルキル、アシル又はアリール基でもよい。}
【化9】
X1[-O-R1]n (6)
{式中、nは2〜200の整数であり、X1は、ポリグリセリン(グリセリンの2〜18量体)の残基またはトリメチロールアルカンの2〜3量体の残基である。n個のR1の少なくとも2個はプロペニル基であり、残りは水素原子、アルキル、アシルまたはアリール基でもよい。}
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の(A)として、特に好ましくはプロペニルエーテル末端基を有するウレタンオリゴマーである。
【0007】
一般式(1)において、Aは炭素数1〜12のアルキレン、アリーレン、アラルキレンおよびシクロアルキレン基よりなる群から選ばれる2価の基であり、使用しうるアルキレン基の例には、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン等の炭素数1〜14のアルキレン基が挙げられる。アリーレン基の例にはフェニレン、ナフチレン、アントリレン、フェナントリレン等が挙げられる。アラルキレンの例には、ベンジレン、1-フェニチレン、2-フェニチレン、3-フェニルプロピレン、2-フェニルプロピレン、1-フェニルプロピレンなどが挙げられる。シクロアルキレン基の例には、シクロペンチレン、シクロヘキシレン、シクロヘプチレン、シクロオクチレン等が挙げられる。これらのうち好ましくは、エチレン基およびプロピレン基である。アルキレン基の炭素数が12を越えるものでは後述する光カチオン重合開始剤(B)の溶解性が悪くなる。
【0008】
X1は多価アルコール残基であり、該多価アルコールとしては、グリセリン、ポリグリセリン(グリセリンの2〜18量体、例えばジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン等)、グリシドールの開環重合物(重合度が2〜5000である化合物)、トリメチロールアルカン(トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン等)およびこれらの2〜3量体、モノペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、1,3,5-ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタンソルビタングリセリン縮合物等が挙げられる。これらのうち特に好ましいものはグリセリン、ポリグリセリン、ならびにトリメチロールアルカンおよびその2〜3量体である。
【0009】
該一般式(1)において、n個のmは通常0〜200の整数でありmの少なくとも1個は1以上であり、好ましくは1〜80、特に好ましくは1〜5の整数である。mが200を超えると粘度が高くなり(B)の溶解が困難になる。
【0010】
また、nは通常2〜200、好ましくは3〜100、特に好ましくは3〜5の整数である。nが200を超えると、粘度が高くなり開始剤(B)の溶解が困難になる。
n個のR1の少なくとも2個はプロペニル基であり、残りは水素原子、アルキル、アシルまたはアリール基でもよい。
【0011】
本発明におけるプロペニルエーテル末端基を有するポリエステルオリゴマーとしては、下記一般式(2)、(3)または(4)で表される化合物が挙げられる。
【0012】

{式中、mは1〜200の整数、nは2〜200の整数であり、X2、X3はそれぞれHOX2OH、HOX3OHで表されるアルキレンジオール、アリーレンジオール、ポリエーテルジオール、ポリウレタンジオールまたはポリカーボネートジオールのいずれかのジオールの残基であり、Y1は多価カルボン酸残基であり、Y2は2価カルボン酸残基である。n個のR1の少なくとも2個はプロペニル基であり、残りは水素原子、アルキル、アシル又はアリール基でもよい。}
【0013】
該一般式(2)におけるX2は、HOX2OHで表されるアルキレンジオール、アリーレンジオール、ポリエーテルジオール、ポリウレタンジオールまたはポリカーボネートジオールのいずれかのジオールの残基である。
【0014】
HOX2OHで表されるアルキレンジオールの具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、1.4-シクロヘキサンジオールなどがあげらる。これらのうち好ましくは、エチレングリコールおよびプロピレングリコールである。
【0015】
HOX2OHで表されるアリーレンジオールの具体例としては、カテコール、ビス(2-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビスフェノールAなどが挙げられる。これらのうち好ましくは、ビスフェノールAである。
【0016】
HOX2OHで表されるポリエーテルジオールの具体例としては、ポリ(オキシエチレン)ジオール、ポリ(オキシプロピレン)ジオール、ポリ(オキシテトラメチレン)ジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などが挙げられる。これらのうち好ましくは、ポリ(オキシエチレン)ジオールおよびポリ(オキシプロピレン)ジオールである。
【0017】
上記ポリエーテルジオールの重合度は通常1〜200、好ましくは2〜100、特に好ましくは3〜20である。
【0018】
HOX2OHで表されるポリウレタンジオールの例としては、下記の(i)と(ii)との反応生成物が挙げられる。
(i) H(OX5)m-OH で表されるジオール
(ただし、mは1〜200の整数、X5は炭素数2〜12のアルキレン、アリーレン、アラルキレンおよびシクロアルキレンの基よりなる群から選ばれる2価の基である。)
(ii) OCN-Z3-NCO で表されるジイソシアネート
(ただし、Z3はアルキレン、アリーレン、アラルキレンおよびシクロアルキレン
の基からなる群から選ばれる2価の基である。)
【0019】
上記(i)のジオールにおいて、mは通常1〜200、好ましくは3〜20の整数である。
【0020】
上記(i)のジオールにおいて、X5は炭素数2〜12のアルキレン、アリーレン、アラルキレンおよびシクロアルキレンの基よりなる群から選ばれる2価の基であり、使用しうるアルキレン基の例には、メチレン、エチレン
、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン等が挙げられる。アリーレン基の例にはフェニレン、ナフチレン、アントリレン、フェナントリレン等が挙げられる。アルアルキレンの例には、ベンジレン、1-フェニチレン、2-フェニチレン、3-フェニルプロピレン、2-フェニルプロピレン、1-フェニルプロピレンなどが挙げられる。シクロアルキレン基の例には、シクロペンチレン、シクロヘキシレン、シクロヘプチレン、シクロオクチレン等が挙げられる。これらのうち特に好ましくは、エチレン基およびプロピレン基である。アルキレン基の炭素数が12を越えると重合開始剤(B)の溶解性が悪くなる。
【0021】
上記(ii)のジイソシアネートの例としては、トルエンジイソシアネート(TDI)、p-およびm-フェニレンジイソシアネート、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、3,3’-ジメチル-4、4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5-テトラヒドロナフタリンジイソシアネート、ナフタリン-1,5’-ジイソシアネート、ビス(2-メチル-3-イソシアナトフェニル)メタン、4,4’-ジフェニルプロパンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)などが挙げられる。これらのうち好ましくは、TDI、MDI、IPDI、TMXDI、水添MDIおよびHDIである。
【0022】
HOX2OHで表されるポリカーボネートジオールの例としては下記の一般式で表される化合物が挙げられる。

(ただし、mは1〜200の整数であり、X6は炭素数2〜12のアルキレン、アリーレン、アラルキレン、およびシクロアルキレンの基よりなる群から選ばれる2価の基である。)
【0023】
上記一般式におけるmは通常1〜200、好ましくは3〜20の整数である。
【0024】
上記一般式におけるX6は炭素数2〜12のアルキレン、アリーレン、アラルキレンおよびシクロアルキレンの基よりなる群から選ばれる2価の基であり、使用しうるアルキレン基の例には、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン等が挙げられる。アリーレン基の例にはフェニレン、ナフチレン、アントリレン、フェナントリレン等が挙げられる。アルアルキレンの例には、ベンジレン、1-フェニチレン、2-フェニチレン、3-フェニルプロピレン、2-フェニルプロピレン、1-フェニルプロピレンなどが挙げられる。シクロアルキレン基の例には、シクロペンチレン、シクロヘキシレン、シクロヘプチレン、シクロオクチレン等が挙げられる。これらのうち好ましくはエチレン基およびプロピレン基である。
【0025】
前記一般式(2)におけるX3としては、該式(2)のX2として例示したものと同一のものが挙げられ、X2とX3とは同一であっても異なっていてもよい。
【0026】
一般式(2)におけるY1は2価以上の多価カルボン酸残基であり、Y2は2価カルボン酸残基である。該2価カルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸等が挙げられる。3価以上多価カルボン酸としてはトリメリット酸、ピリメリット酸等が挙げられる。これらのうちY1、Y2ともにイソフタル酸、テレフタル酸およびアジピン酸から選ばれる1種以上であることがが好ましい。
【0027】
一般式(2)において、mは通常1〜200、好ましくは1〜80、特に好ましくは1〜20の整数である。mが200をこえると粘度が高くなり重合開始剤(B)の溶解が困難になる。
【0028】
一般式(2)おいて、nは通常2〜200、好ましくは3〜100、特に好ましくは3〜20の整数である。nが200を越えると、粘度が高くなり開始剤(B)の溶解が困難になる。また、n個のR1の少なくとも2個はプロペニル基であり、残りは水素原子、アルキル、アシルまたはアリール基でもよい。
【0029】
次に下記一般式(3)で表されるポリエステルオリゴマーについて説明する。

{式中、mは1〜200の整数、nは2〜200の整数であり、X2はアルキレンまたはアリーレン基であり、X1は多価アルコール残基である。n個のR1の少なくとも2個はプロペニル基であり、残りは水素原子、アルキル、アシルまたはアリール基でもよい。}
【0030】
該一般式(3)におけるX1は、前記一般式(1)で示されたものと同一のものが挙げられ、X2、mおよびnは、それぞれ前記一般式(2)で示されたものと同一のものが挙げられる。
【0031】
次に下記一般式(4)で表されるポリエステルオリゴマーについて説明する。

{式中、mは1〜200、nは2〜200の整数であり、X2、X3はそれそれ、HOX2OH、HOX3OHで表されるアルキレンジオール、アリーレンジオール、ポリエーテルジオール、ポリウレタンジオールまたはポリカーボネートジオールのいずれかのジオールの残基であり、X1は多価アルコール残基である。n個の
R1の少なくとも2個はプロペニル基であり、残りは水素原子、アルキル、アシル又はアリール基でもよい。}
【0032】
該一般式(4)におけるX1は、前記一般式(1)で示されたものと同一のものが挙げられ、X2、X3、mおよびnは、それぞれ前記一般式(2)で示されたものと同一のものが挙げられる。X2とX3は同一であっても異なっていてもよい。
【0033】
本発明における(A)におけるプロペニルエーテル末端基を有するウレタンオリゴマーは下記一般式(5)で表される化合物である。

{式中、mは0〜200、nは2〜200の整数であり、Q1は-OX2O-または-N(R2)-X4-N(R2)-で表される基であり、Q2は-OX2O-で表される基である。X2は、HOX2OHで表されるアルキルジオール、アリールジオール、ポリ エーテルジオール、ポリエステルジオールまたはポリカーボネートジオールのいずれかのジオールの残基である。
-N(R2)-X4-N(R2)-は、HN(R2)-X4-N(R2)Hで表されるジアミン残基であり、X4は炭素数2〜12のアルキレン、アリーレン、アラルキ
レンまたはシクロアルキレン基であり、R2は炭素数2〜12のアルキル、アリール、アラルキルまたはシクロアルキル基である。Z1は多価イソシアネート残基であり、Z2は2価イソシアネート残基である。n個のR1の少なくとも2個はプロペニル基であり、残りは水素原子、アルキル、アシルまたはアリール基でもよい。}
【0034】
該一般式(5)において、Z2における2価イソシアネートとしては前記式(ii)で挙げられたものと同一のものが挙げられる。Z1における多価イソシアネートとしては上記2価イソシアネートの他にリジンエステルトリイソシアネート、ジイソシアネートの変性体(イソシアヌレート3量体、ビューレット3量体、トリメチロールプロパンアダクト体など)、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリフェニルメタンポリイソシアネート等が挙げられる。
【0035】
一般式(5)において、Q1は-OX2O-または-N(R2)-X4-N(R2)-で表される基であり、Q2は-OX2O-で表される基である。X2はHOX2OHで表されるアルキレンジオール、アリ-レンジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオールまたはポリカーボネートジオールのいずれかのジオールの残基であり、X2は前記-般式(2)におけるX2と同一のものが挙げられる。
【0036】
上記HOX2OHがポリエステルジオールの場合、下記の(iii)と(iv)との反応生成物が挙げられる。
(iii) H(OX7)m-OH で表されるジオール
(式中、mは1〜200の整数、X7は炭素数2〜12のアルキレン、アリーレン、アラルキレン、およびシクロアルキレンの基よりなる群から選ばれる2価の基である。)
(iv) HOOC-Y3-COOH で表されるジカルボン酸
(式中、Y3はアルキレン、アリーレン、アラルキレンおよびシクロアルキレンの基よりなる群から選ばれる2価の基である。)
【0037】
上記(iii)のジオールにおいてmは通常1〜200、好ましくは、3〜20の整数である。
【0038】
上記(iii)のジオールにおいてX7は炭素数2〜12のアルキレン、アリーレン、アラルキレンおよびシクロアルキレンの基よりなる群から選ばれる2価の基であり、使用しうるアルキレン基の例には、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン等が挙げられる。アリーレン基の例にはフェニレン、ナフチレン、アントリレン、フェナントリレン等が挙げられる。アルアルキレンの例には、ベンジレン、1-フェニチレン、2-フェニチレン、3-フェニルプロピレン、2-フェニルプロピレン、1-フェニルプロピレンなどが挙げられる。シクロアルキレン基の例には、シクロペンチレン、シクロヘキシレン、シクロヘプチレン、シクロオクチレン等が挙げられる。これらのうち好ましくは、エチレン基およびプロピレン基である。アルキレン基がの炭素数が12を越えると重合開始剤(B)の溶解性が悪くなる。
【0039】
上記(iv)のジカルボン酸の例としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ポリカルボン酸等が挙げられる。これらのうち好ましいものはイソフタル酸、テレフタル酸およびアジピン酸である。
X4は、前記-般式(2)におけるX2と同一のものが挙げられ、R2は前記一般式(1)中のAで示されたものと同一のものが挙げられ、mおよびnは前記一般式(2)で示されたものと同一のものが挙げられる。
【0040】
本発明の(A)におけるプロペニルエーテル末端基を有するモノマーは下記一般式(6)または一般式(7)で表される化合物である。
X1[-O-R1]n (6)
{式中、nは2〜200の整数であり、X1は多価アルコール残基である。n個のR1の少なくとも2個はプロペニル基であり、残りは水素原子、アルキル、アシルまたはアリール基でもよい。}
【0041】
該一般式(6)において、nは通常2〜200、好ましくは2〜6の整数である。nが200を超えると粘度が高くハンドリングが悪くなる。X1は前記一般式(1)で示したものと同一のものが挙げられる。
【0042】

{式中、nは2〜200の整数、X2はHOX2OHで表されるアルキレンジオール、アリーレンジオール、ポリエーテルジオール、ポリウレタンジオールまたはポリカーボネートジオールのいずれかのジオールの残基であり、Y1は多価カルボン酸残基である。n個のR1の少なくとも2個はプロペニル基であり、残りは水素
原子、アルキル、アシルまたはアリール基でもよい。}
該一般式(7)において、nは通常2〜200、好ましくは2〜6の整数である。nが200を超えると粘度が高くハンドリングが悪くなる。Y1およびX2は前記一般式(2)で示されたものと同一のものが挙げられる。
【0043】
本発明において使用される光カチオン重合開始剤(B)としては、公知の光カチオン重合開始剤が使用できる。該(B)の具体例としては、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムホスフェート、p-(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、p-(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4-クロルフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4-クロルフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス[4-ジフェニル-スルフォニオ)フェニル]スルフィド-ビス-ヘキサフルオロフォスフェート、ビス[4-ジフェニル-スルフォニオ)フェニル]スルフィド‐ビス‐ヘキサフルオロアンチモネート、(2、4-シクロペンタジエン-1-イル)[(1-メチルエチル)ベンゼン]-Fe-ヘキサフルオロホスフェート等を挙げることができる。これらは市場より容易に入手することができる。市販品の例としては、旭電化(株)製の「SP-150」、「SP-170」;チバ・ガイギー社製の「イルガキュアー261」;ユニオンカーバイド社製の「UVR-6974」、「UVR-6990」等を挙げることができる。
【0044】
本発明において組成物の粘度を調節する目的で必要により反応性希釈剤(C)を使用できる。
【0045】
該(C)としては、下記一般式(8)で表される化合物が挙げられる。
CH3-CH=CH-O-X2-O-R3 (8)
{式中、X2は、HOX2OHで表されるアルキレンジオール、アリーレンジオール、ポリエーテルジオール、ポリウレタンジオールまたはポリカーボネートジオールのいずれかのジオールの残基であり、R3は炭素数が2〜12のアルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル基または水素原子である。}
【0046】
上記一般式(8)におけるX2は、前記一般式(2)で示されたものと同一のものが挙げられ、R3は炭素数が2〜12のアルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル基または水素原子である。
【0047】
本発明において(A):(B)の使用割合は重量比で通常(95〜99.9):(0.01〜5)、好ましくは(96〜98):(2〜4)である。(B)の比率が0.05未満では十分な重合開始効果が得られず、5を越えて使用しても硬化速度の更なる向上効果はなく不経済である。
【0048】
反応性希釈剤(C)を用いる場合の該(C)の量は、(A)と(B)の合計重量に対して通常5〜60重量%、好ましくは10〜30重量%である。(C)の量が60重量%を越えると、硬化速度が大幅に低下する。
【0049】
本発明の組成物には必要により公知の光ラジカル重合性組成物(D)を含有させることができる。該(D)の量は、本発明の組成物100重量部あたり、通常0〜100重量部、好ましくは10〜40重量部である。
【0050】
本発明の組成物には、更に必要に応じて、公知のエポキシ樹脂(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂等)、顔料、着色剤、無機充填剤、非反応樹脂(ロジン誘導体など)、レベリング剤、帯電防止剤、その他各種添加剤等を含有させることができる。
【0051】
本発明の組成物からなる光カチオン硬化型印刷インキは、鉄、銅、アルミニウム、フェライト、メッキ鋼板、パーマロイ等の金属;アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ABS樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂等の樹脂フィルムまたはシート類;ガラス、セラミック等の印刷基材に対して高速に印刷硬化させることができ、かつ光硬化に際して光ラジカル硬化型インキのように酸素による硬化阻害を受けることがなく、各種基材に対する密着性にすぐれた印刷が可能である。また、本発明の組成物は印刷物の表面保護、光沢付与等を目的とするオーバーコート剤としても好適に用いることができる。
【0052】
印刷に当たっては、印刷基材に本発明の組成物からなる印刷インキを用いて公知の印刷方法(グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷等)で印刷後、印刷面に光を照射して硬化させる。使用できる光としては高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、低圧水銀ランプ等から放出される紫外線などをあげることができる。
【0053】
【実施例】
以下、実施例を以て本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0054】
実施例1〜6、比較例1〜3
表1に示した配合処方で調製した印刷インキを用い、グラビア印刷機でポリエステルフィルムに印刷を行い、下記評価方法および評価基準にしたがい、光反応性および密着性の評価をおこなった。得られた結果を表1に示す。
光反応性の評価法:インキ面に、紫外線(UV)を所定量照射して硬化性を観察した。硬化性は、一定エネルギー量のUV照射後のインキ面を綿棒でこすり、インキの綿への付着の程度により下記基準で評価した。
評価基準: ○ 表面完全硬化(タックフリー)
△ 表面未硬化部分多少あり
× 表面未硬化
密着性の評価方法:UV照射後のインキ面について、ソロハンテープ剥離(碁盤目クロスカット;1mm)を行い、クロスカット部分の残存率(%)で評価した。
【0055】
【表1】

【0056】
表1に示した配合に用いた化合物は以下の通りである。
なお、CH3-CH=CH-基(プロペニル基)はPrと略す。
プロペニルエーテル末端基化合物(1):
Pr-O-(CH2CH2O)12-Pr
プロペニルエーテル末端基化合物(2):

プロペニルエーテル末端基化合物(3):

プロペニルエーテル末端基化合物(4):

プロペニルエーテル末端基化合物(5):
R[O-(CH2CH2O)12-Pr]3
(R:グリセリン残基)
プロペニルエーテル末端基化合物(6):

アクリレート末端基化合物(7):

エポキシ末端基化合物(8):「エピコート828」(油化シェル社製、ビスフェノール型エポキシ樹脂)
脂環式エポキシ末端基化合物(9):「ERL-4221」(ユニオンカーバイド社製、脂環式エポキシ樹脂)
反応性希釈剤(10):Pr-O-CH2CH2-OH
反応性希釈剤(11):2-ヒドロキエチルアクリレート
反応性希釈剤(12):「BRL-4206」(ユニオンカーバイド社製、脂環式エポキシ樹脂希釈剤)
光カチオン重合触媒(13):「UVR-6974」{p-(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネートとビス[4-(ジフェニルスルフォニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロアンチモネートの混合物の50%エチレンカーボネート溶液、ユニオンカーバイド社製}
光ラジカル重合触媒(14):「イルガキュアー184」(チバガイギー社製)
【0057】
【発明の効果】
本発明のプロペニルエーテル末端基を有する化合物を含む光カチオン硬化型印刷インキ組成物からなるインキは、ラジカル重合型のアクリレート系インキよりも、表面硬化性が良く、印刷面の密着性が優れるという効果を有する。また、従来公知のエポキシ系UVカチオン硬化型樹脂を用いたものに比べても高速硬化性である。
上記効果を奏することから、本発明の光カチオン硬化型印刷インキ組成物は、各種基材を印刷対象とする無溶剤系印刷インキとして極めて有用である。
 
訂正の要旨 訂正の要旨
ア.訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1の記載について、
「【請求項1】一般式(1)で表されるプロペニルエーテル末端基を有する(ポリ)エーテルオリゴマー、一般式(3)または一般式(4)で表されるプロペニルエーテル末端基を有するポリエステルオリゴマーおよび一般式(6)で表されるプロペニルエーテル末端基を有するモノマーの群から選ばれる分子内に少なくとも2個のプロペニルエーテル末端基を有する化合物(A)の1種以上、並びに光カチオン重合開始剤(B)を必須成分とすることを特徴とする光硬化型印刷インキ組成物。
【化1】
X1[-O-(AO)m-R1]n (1)
{式中、nは3〜200の整数であり、n個のmは0〜200の整数であり、mの少なくとも1個は1以上である。n個のR1の少なくとも2個はプロペニル基であり、残りは水素原子、アルキル、アシルまたはアリール基でもよい。Aは炭素数2〜12のアルキレン、アリーレン、アラルキレンまたはシクロアルキレン基であり、mが2以上の場合のAは同一でも異なっていてもよく、(AO)m部分はランダム付加でもブロック付加でもよい。X1は多価アルコール残基である。}
【化2】

{式中、mは1〜200の整数、nは2〜200の整数であり、X2はアルキレンまたはアリーレン基であり、X1は多価アルコール残基である。n個のR1の少なくとも2個はプロペニル基であり、残りは水素原子、アルキル、アシルまたはアリール基でもよい。}
【化3】

{式中、mは1〜200、nは2〜200の整数であり、X2、X3はそれぞれ、HOX2OH、HOX3OHで表されるアルキレンジオール、アリーレンジオール、ポリエーテルジオール、ポリウレタンジオールまたはポリカーボネートジオールのいずれかのジオールの残基であり、X1は多価アルコール残基である。n個のR1の少なくとも2個はプロペニル基であり、残りは水素原子、アルキル、アシル又はアリール基でもよい。}
【化4】
X1[-O-R1]n (6)
{式中、nは2〜200の整数であり、X1は、ポリグリセリン(グリセリンの2〜18量体)の残基またはトリメチロールアルカンの2〜3量体の残基である。n個のR1の少なくとも2個はプロペニル基であり、残りは水素原子、アルキル、アシルまたはアリール基でもよい。}」と訂正する。
イ.訂正事項b
特許請求の範囲の請求項2および請求項3を削除する。
ウ.訂正事項c
特許請求の範囲の請求項4を請求項2として繰り上げると共に、「請求項1〜3のいずれか記載の組成物。」とあるのを「請求項1記載の組成物。」と訂正する。
エ.訂正事項d
特許請求の範囲の請求項5を請求項3として繰り上げると共に、「請求項1〜4のいずれか記載の組成物。」とあるのを「請求項1または2記載の組成物。」と訂正する。
オ.訂正事項e
特許請求の範囲の請求項6を請求項4として繰り上げると共に、「請求項5記載の組成物。」とあるのを「請求項3記載の組成物。」と訂正する。
カ.訂正事項f
特許請求の範囲の請求項7を請求項5として繰り上げると共に、「請求項1〜6のいずれか記載の組成物」とあるのを「請求項1〜4のいずれか記載の組成物」と訂正する。
キ.訂正事項g
特許請求の範囲の請求項8を請求項6として繰り上げると共に、「請求項1〜7のいずれか記載の組成物。」とあるのを「請求項1〜5のいずれか記載の組成物。」と訂正する。
ク.訂正事項h
特許請求の範囲の請求項9を請求項7として繰り上げると共に、「請求項1〜8のいずれか記載の組成物とあるのを「請求項1〜6のいずれか記載の組成物」と訂正する。
ケ.訂正事項i
明細書の段落【0004】の記載について、
「【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成できる光力チオン硬化型印刷インキについて鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち本発明の光硬化型印刷インキ組成物の特徴は、一般式(1)で表されるプロペニルエーテル末端基を有する(ポリ)エーテルオリゴマー、一般式(3)または一般式(4)で表されるプロペニルエーテル末端基を有するポリエステルオリゴマーおよび一般式(6)で表されるプロペニルエーテル末端基を有するモノマーの群から選ばれる分子内に少なくとも2個のプロペニルエーテル末端基を有する化合物(A)の1種以上、並びに光力チオン重合開始剤(B)を必須成分とする点にある。」と訂正する。
コ.訂正事項j
明細書の段落【0005】の記載について、
「【化6】
X1[-O-(AO)m-R1]n (1)
{式中、nは3〜200の整数であり、n個のmは0〜200の整数であり、mの少なくとも1個は1以上である。n個のR1の少なくとも2個はプロペニル基であり、残りは水素原子、アルキル、アシルまたはアリール基でもよい。Aは炭素数2〜12のアルキレン、アリーレン、アラルキレンまたはシクロアルキレン基であり、mが2以上の場合のAは同一でも異なっていてもよく、(AO)m部分はランダム付加でもブロック付加でもよい。X1は多価アルコール残基である。}
【化7】

{式中、mは1〜200の整数、nは2〜200の整数であり、X2はアルキレンまたはアリーレン基であり、X1は多価アルコール残基である。n個のR1の少なくとも2個はプロペニル基であり、残りは水素原子、アルキル、アシルまたはアリール基でもよい。}
【化8】

{式中、mは1〜200、nは2〜200の整数であり、X2、X3はそれぞれ、HOX2OH、HOX3OHで表されるアルキレンジオール、アリーレンジオール、ポリエーテルジオール、ポリウレタンジオールまたはポリカーボネートジオールのいずれかのジオールの残基であり、X1は多価アルコール残基である。n個のR1の少なくとも2個はプロペニル基であり、残りは水素原子、アルキル、アシル又はアリール基でもよい。}
【化9】
X1[-O-R1]n (6)
{式中、nは2〜200の整数であり、X1は、ポリグリセリン(グリセリンの2〜18量体)の残基またはトリメチロールアルカンの2〜3量体の残基である。n個のR1の少なくとも2個はプロペニル基であり、残りは水素原子、アルキル、アシルまたはアリール基でもよい。}」と訂正する。
異議決定日 2002-11-07 
出願番号 特願平7-323789
審決分類 P 1 651・ 121- YA (C09D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 近藤 政克  
特許庁審判長 板橋 一隆
特許庁審判官 佐藤 修
井上 彌一
登録日 2000-04-28 
登録番号 特許第3060088号(P3060088)
権利者 三洋化成工業株式会社
発明の名称 光硬化型印刷インキ組成物  
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