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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G03B
管理番号 1073296
異議申立番号 異議2002-72267  
総通号数 40 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1996-04-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-09-18 
確定日 2003-03-10 
異議申立件数
事件の表示 特許第3266426号「複写機の原稿押え装置」の請求項1ないし3に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第3266426号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。 
理由 (1)本件発明
本件特許第3266426号の請求項1〜3に係る発明は、特許明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1〜3に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】複写機の原稿載置台上に設けられた原稿押え用の圧板を、該圧板の基端部に設けた少なくとも1つ以上のヒンジ機構を介して複写機本体上に開閉可能に支持してなる複写機の原稿押え装置において、前記ヒンジ機構が、複写機本体に設けられたベース部材に基端部が回動自在に係合されたホルダー部材と、該ホルダー部材の先端部に回動支点を中心に回動自在に連結されたブラケットと、有底筒状に形成され、前記ホルダー部材の基端部よりも原稿載置台側に位置するベース部材部分に底部が回動自在に係合された第1スリーブ部材と、有底筒状に形成されるとともに、前記第1スリーブ部材にテレスコープ状に嵌合され、底部が前記ブラケットの回動支点よりも原稿載置台側に位置するようにブラケットの先端部に回動自在に係合あるいは連結した第2スリーブ部材と、前記第1および第2スリーブ部材の何れかの外周部の開放端部に形成され、前記第1スリーブ部材および第2スリーブ部材の何れか一方の内周部に摺接する突起と、前記第1スリーブ部材および第2スリーブ部材の何れか一方の開放端部から底部に向って所定長だけ延在する切欠き部と、前記第1および第2スリーブ部材の底部の間に縮設され、該第1および第2スリーブを互いに離隔する方向に付勢する第1付勢手段と、ブラケットとホルダー部材の間に介装され、前記圧板が原稿載置台に対して開閉動作される際に、ブラケットが回動中心を支点にしてホルダー部材に対して回動しないように、ブラケットをホルダー部材に係合するように付勢する第2付勢手段と、前記ブラケットとホルダー部材の一部で構成され、ブラケットをホルダー部材と共に移動可能なようにブラケットをホルダー部材に係合させるとともに、原稿載置台上に載置された原稿の厚さが所定値よりも厚いとき、前記圧板の閉じ動作に伴ってブラケットが回動中心を支点に回動するとともに、ブラケットがホルダー部材から離脱して前記圧板が原稿厚さに対応してリフトアップ動作する際にホルダー部材に対するブラケットの係合を解除する係合・解除手段と、からなり、前記係合・解除手段は、ホルダー部材に設けられた可撓性の突起と、ブラケットに設けられ、前記突起に係合する係合部と、から構成され、前記突起の断面形状は、ブラケットがホルダー部材から離隔する際に摺接する面が円弧面に形成されるとともに、ブラケットがホルダー部材に係合する際に摺接する面が斜面に形成されることを特徴とする複写機の原稿押え装置。
【請求項2】ホルダー部材に、ブラケットおよびホルダー部材が係合・解除手段によって係合されたときに該ホルダー部材の両側面と平行に配設されるブラケットの先端部が収納される溝部が形成されたことを特徴とする請求項1記載の複写機の原稿押え装置。
【請求項3】前記第1スリーブ部材の底部に係合するベース部材の係合面の断面形状が、水平方向長さが垂直方向長さに対して長い偏平な突起状に形成され、該ベース部材の突起に係合する第1スリーブ部材の係合面の断面形状が前記突起の水平方向の外接面に等しいかあるいはそれ以上の大きさの曲面を有する凹状に形成されることを特徴とする請求項1または請求項2記載の複写機の原稿押え装置。」
(2)申立ての理由の概要
申立人内田 誠は、証拠として甲第1号証の1(特開平6-194748号公報)、甲第1号証の2(実願昭61-198804号<実開昭63-105138号>のマイクロフイルム)、甲第2号証の1(特公平4-20072号公報)、甲第2号証の2(特開昭59-145877号公報)、甲第3号証の1(実公平5-16588号公報)、甲第3号証の2(特開平5-53394号公報)、甲第4号証の1(実願平1-111127号<実開平3-49542号>のマイクロフイルム)、甲第4号証の2(特開平6-110139号公報)、甲第4号証の3(特開昭60-112029号公報)を提出し、請求項1〜3に係る発明は、甲第1号証の1〜甲第4号証の3に基づいて当業者が容易に発明できたもので第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、特許を取り消すべき旨主張している。
(3)申立人が提出した甲各号証記載の発明
特許異議申立人が提出した甲第1号証の1(特開平6-194748号公報、以下「引用例1」という。)には、「【請求項1】複写機の原稿載置台上に設けられた原稿押え用の圧板を、該圧板の基端部に設けた少なくとも1つ以上のヒンジ機構を介して複写機本体上に開放端部を開閉可能に支持してなる複写機の原稿押え装置において、前記ヒンジ機構が、前記圧板の基端部に近接する前記原稿載置台の一辺より外方で複写機本体に固定されたベース部材と、軸方向が原稿載置台の前記一辺と略平行になるよう該べース部材に支持された第1軸部材と、該第1軸部材を介して前記ベース部材に一端部を回動自在に支持されたアーム部材と、軸方向が原稿載置台の前記一辺と略平行になるよう該アーム部材の他端部に支持された第2軸部材と、該第2軸部材を介して前記アーム部材に他端部を回動自在に支持され一端部が前記圧坂の基端部側となるよう該圧板に固定されたホルダ部材と、を備え、前記ホルダ部材に設けられた第1係合部と、該第1係合部に脱着自在に係合するよう前記アーム部材に設けられた第2係合部と、前記アーム部材およびホルダ部材間に設けられ該ホルダ部材をアーム部材に対して前記圧板を原稿載置台から離隔する方向に回動させるよう付勢する所定の弾性力を有する第1弾性部材と、を有し、前記原稿載置台上に載置された原稿の厚さが所定値より厚いとき、前記圧板の閉じ操作に伴なって、前記アーム部材が第1軸部材を回動軸として回動し、前記ホルダ部材が第2軸部材を回動軸として回動するとともに前記第1係含部が第2係合部から離脱して前記圧板が該原稿厚さに対応してリフトアップ動作することを特徴とする複写機の原稿押え装置。
【請求項2】所定の弾性力を有し、一端側が前記アーム部材の一端部よりも前記圧板の開放端部側で前記ベース部材に支持され、他端側が前記アーム部材の他端部に支持される第2弾性部材を設けることを特徴とする請求項1記載の複写機の原稿押え装置。
【請求項3】前記アーム部材の一端部よりも前記圧板の開放端部側で前記ベース部材に支持された第1ガイド部材と、前記アーム部材の他端部に支持された第2ガイド部材と、を設け、該第1、2ガイド部材は互いに所定の摩擦力で摺接することを特徴とする請求項1記載の複写機の原稿押え装置。」(特許請求の範囲)、「【0009】
【作用】請求項1記載の発明では、圧板の閉じ操作に伴い、第1、2係合部が互いに係合した状態でホルダ部材およびアーム部材は原稿載置台に当接する方向に回動され、原稿載置台上に所定値よりも厚い原稿を原稿を載置したときには、圧板がその原稿のエッジに当接し、さらに圧板を回動することにより第1係合部が第2係合部から離脱されてホルダ部材が原稿載置台に当接する方向に回動される。したがって、原稿の厚さによらず圧板がその原稿に確実に当接される。
【0010】さらに、第1、2係合部は互いに係合するよう第1弾性部材により付勢されているため、薄い原稿等を原稿載置台に載置したときに、第1、2係合部が係合した状態でアーム部材およびホルダ部材は回動され圧板が原稿に当接される。したがって、圧板がリフトアップしてしまうことが防止される。また、ホルダ部材の他端部はアーム部材の他端部に支持され、一端部は圧板の基端部方向となるよう圧板に固定するように構成しているためヒンジ機構が小型化される。
【0011】請求項2記載の発明では、圧板を原稿載置台から離したとき、第2弾性部材によりアーム部材が保持されて圧板が所定の開放角度で保持される。したがって、圧板を押えることなく原稿載置台上に原稿を載置することができ、原稿載置の作業性が向上される。請求項3記載の発明では、圧板を原稿載置台から離したとき、第1、2ガイド部材の摩擦力によりアーム部材がべース部材に対して任意の角度で保持されて圧板が任意の開放角度で保持される。したがって、圧板を手で支えることなく任意の角度で保持することができ、原稿載置の操作性がより向上される。」(第4欄段落【0009】〜【0011】)、「アーム部材36の一端部36aと他端部36bの間には凸部39(第1係合部)が、ホルダ部材38の一端部38bには穴40(第2係合部)が設けられており、この凸部39と穴40は互いに係合するようになっており、ホルダ部材38に所定の回動力が加えられると凸部39が穴40から離脱するようになっている。また、アーム部材36およびホルダ部材38間には、所定の弾性力を有するトーションバネ41(第1弾性部材)が設けられており、このトーションバネ41はホルダ部材38をアーム部材36に対して図3、4中において時計回りに回動させるよう付勢している。また、ベース部材34の軸35よりもコンタクトガラス32の前記一辺側に設けられた軸42およびアーム部材36の他端部36bに設けられた軸37間には、所定の弾性力を有するスプリング43(第2弾性部材)およびスプリング43の伸縮をガイドするガイド44、45(第1、2ガイド部材)が軸支されており、軸42にはスプリング43の一端側およびガイド44が、軸37にはスプリング43の他端部およびガイド45が、設けられ、スプリング43はアーム部材36の他端部36bを複写機本体31から離隔する方向(図3、4中において時計回り)に回動させるよう付勢している。・・・」(第5欄段落【0014】〜【0015】)、「また、コンタクトガラス32上に書物等の原稿A(図4に示す)を載置したときには、アーム部材36の凸部39およびホルダ部材38の穴40がトーションバネ41の付勢力により互いに係合された状態でアーム部材36およびホルダ部材38は軸35を回動軸としてコンタクトガラス32方向に回動される。次いで、圧板33の密着部材33bが原稿AのエッジA’に当接するとエッジA’を回動点として圧板33がコンタクトガラス32方向に回動されアーム部材36の凸部39からホルダ部材38の穴40が離脱され、ホルダ部材38が軸37を回動軸としてコンタクトガラス32方向に回動されて圧板33の密着部材33bが原稿Aに当接され原稿Aがコンタクトガラス32に密着される。」(第6欄段落【0018】)、及び「【0024】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、ホルダ部材およびアーム部材の第1、2係合部は離脱していても第1弾性部材が互いに係合するよう付勢しているので、原稿載置台上に所定の厚さ以上の原稿を載置していないときには第1、2係合部は係合することにより圧板がリフトアップしてしまうことを確実に防止することができる。また、原稿載置台上に所定の厚さ以上の原稿を載置したときには第1、2係合部が圧板の閉じ操作により第1係合部が第2係合部から離脱して圧板がリフトアップ動作してその原稿を確実に原稿載置台に密着させることができる。また、アーム部材の他端部がホルダ部材の他端部を支持し、ホルダ部材の一端部を圧板の基端部方向となるよう圧板に固定しているため原稿押え装置をコンパクトに構成することができる。その結果、磁石を用いることなくアーム部材およびホルダ部材を互いに係合させることができ、原稿の厚さによらず原稿載置台に原稿を確実に密着させることができる低コストの原稿押え装置を提供することができる。
【0025】請求項2記載の発明によれば、圧板を原稿載置台から離隔させ原稿を載置するとき、ホルダ部材およびアーム部材の第1、2係合部が互いに係合するとともに所定の弾性力を有する第2弾性部材がアーム部材を保持して圧板を所定の開放角度で保持するので、圧板を手で支えることなく原稿を載置することができ、原稿載置の作業性を向上させることができる。
【0026】請求項3記載の発明によれは、圧板を原稿載置台から離隔させ原稿を載置するとき、ホルダ部材およびアーム部材の第1、2係合部が互いに係合するとともに第1、2ガイド部材が互いに所定の摩擦力で摺接してアーム部材をその摩擦力により保持して圧板を任意の開放角度で保持するので、原稿載置台上に原稿を載置する際に圧板を押えることなく任意の角度で保持することができ、原稿載置の作業性がより向上される。」(第7〜8欄段落【0024】〜【0026】)との記載があり、結局、複写機のコンタクトガラス32上に設けられた原稿押え用の圧板33を、該圧板33の基端部に設けた少なくとも1つ以上のヒンジ機構を介して複写機本体上に開閉可能に支持してなる複写機の原稿押え装置において、前記ヒンジ機構が、複写機本体に設けられたベース部材34に基端部が回動自在に係合されたアーム部材36と、該アーム部材36の先端部に回動支点を中心に回動自在に連結されたホルダ部材38と、有底筒状に形成され、前記アーム部材36の基端部よりもコンタクトガラス32側に位置するベース部材34部分に底部が回動自在に係合された第1ガイド部材44と、有底筒状に形成されるとともに、前記第1ガイド部材44にテレスコープ状に嵌合され、底部が前記ホルダ部材38の回動支点よりもコンタクトガラス32側に位置するようにホルダ部材38の先端部に回動自在に係合あるいは連結した第2ガイド部材45と、前記第1および第2ガイド部材44、45の底部の間に縮設され、該第1および第2ガイド部材44、45を互いに離隔する方向に付勢するスプリング43と、ホルダ部材38とアーム部材36の間に介装され、前記圧板33がコンタクトガラス32に対して開閉動作される際に、ホルダ部材38が回動中心を支点にしてアーム部材36に対して回動しないように、ホルダ部材38をアーム部材36に係合するように付勢するトーションバネ41と、前記ホルダ部材38とアーム部材36の一部で構成され、ホルダ部材38をアーム部材36と共に移動可能なようにホルダ部材38をアーム部材36に係合させるとともに、コンタクトガラス32上に載置された原稿の厚さが所定値よりも厚いとき、前記圧板33の閉じ動作に伴ってホルダ部材38が回動中心を支点に回動するとともに、ホルダ部材38がアーム部材36から離脱して前記圧板33が原稿厚さに対応してリフトアップ動作する際にアーム部材36に対するホルダ部材38の係合を解除する係合・解除手段と、からなり、前記係合・解除手段は、アーム部材36に設けられた可撓性の第1係合部39と、ホルダ部材38に設けられ、前記第1係合部39に係合する第2係合部40と、から構成された複写機の原稿押え装置、が開示されている。
同じく提出した甲第1号証の2(実願昭61-198804号<実開昭63-105138号>のマイクロフイルム、以下「引用例2」という。)には、「これに対して、本等のような厚物原稿の複写を行う場合には、第3図に示されるように、プラテンカバー取付け部材20の垂下部22の係止部23を前軸14aから外し、プラテンカバー取付け部材20を後軸14によってのみ支持するようにするので、プラテンカバー取付け部材20に固定された原稿押圧部材は、後軸14を中心にして揺動されるようになり、それによって、厚物原稿をその自重とスプリングの力とによって支持出来るようになる。」(第10頁第18行〜第11頁第7行)との記載がある。
同じく提出した甲第2号証の1(特公平4-20072号公報、以下「引用例3」という。)には、「即ち、ガイド軸16の他方の端部(ピン11に近い方の端部)には、第2図乃至第4図に示す如くスリツト状の割り27が形成され、ガイドスリーブ15の一方の端部(ピン11の側の端部)の側へ向けてほぼハの字状に開き、その最大外径の部分がガイドスリーブ15の内周面に弾性的に圧接している。」(第9欄第17〜24行)との記載がある。
同じく提出した甲第2号証の2(特開昭59-145877号公報、以下「引用例4」という。)には、「また、第10図に示すようにガイド棒17の自由端の方に縦スリツト17aを形成し、この端部の領域とガイドスリーブ19とが弾性的に接触するように構成することもできる。この場合、ガイドスリーブ19の内径を、その長手方向に亘つて一定にしてもよいが、これを連続的に変化させ、開閉体が開閉する際に、これに作用する制動力が変化するように構成することもでき、例えば、スリーブ19の内径を、突ピン20の方へ向けて縮小すれば第8図に示した実施例と同様な作用が得られる。このように各種の形態で制動手段を構成することができる。」(第5頁右下欄第2〜13行)及び「第11図に示す実施例においては、アーム部材の方に枢着されるガイド部材がスリーブ17aとして形成されベース部材に枢着されるガイド部材がガイド棒19cとして形成されており、このガイド棒19cの先端に縦スリツト19dが形成されている。」(第6頁左上欄第15〜20行)との記載がある。
同じく提出した甲第3号証の1(実公平5-16588号公報、以下「引用例5」という。)には、「次に、この考案の要旨である調節板22を支持部材5に対して係止する係止手段について説明する。この係止手段は調節板22の自由端側に突設された一対の係止片22c、22cと、」(第4欄第1〜4行)、「この状態から原稿圧着板32を閉じようとすると、カムピン16がカム部材11の湾曲部11aを昇つて、摺動体13を引張りコイルスプリング15、15の牽引力に抗して押し上げなくてはならず、また、調節板22に設けた係止片22c、22cが係止駒19、19に設けた係止ピン19c、19cによつて係止されているので、これらによつて原稿圧着板32は自立状態を安定的に保つものである。したがつて、原稿圧着板32より手を離して原稿載置台33上にあるシート状原稿34の取換・装着を両手を用いて自由に行うことができるものである。」(第6欄第11〜22行)及び「しかるに、原稿圧着板32がある角度(実施例では20°〜50°までの間)まで閉じられると、取付部材3上より突設させた制御片3a、3aが、係止駒19、19の制御ピン19a、19に当接し、これを捩じりコイルスプリング21、21の弾力に抗して押し上げるので、該係止駒19、19は回転し、係止ピン19c、19cと調節板22の係止片22c、22cとの係合が外れるので、該調節板22は支持部材5に対する軸支個所を支点に該支持部材5から離れる方向へ自由に回転するようになる。したがつて、原稿が本のように厚い立体原稿35であっても、第7図に示したように原稿圧着板32は立体原稿35の厚みに応じて時計方向へ回転し、原稿載置台33に対して略平行になり、立体原稿35の上面を覆い、原稿載置台33に対して平均に圧着することができることになるのものである。この状態において、取付部材3と支持部材5と調節板22は側面から見てZ型になるものである。」(第7欄第24〜42行)との記載がある。
同じく提出した甲第3号証の2(特開平5-53394号公報、以下「引用例6」という。)には、開閉カバー12の固定用の突起18が記載されており、この突起は、固定クリック13の突起Aと離隔する際に摺接する面が円弧面に形成されると共に、係合する際に摺接する面が斜面に形成された固定装置が開示されている。
同じく提出した甲第4号証の1(実願平1-111127号<実開平3-49542号>のマイクロフイルム、以下「引用例7」という。)には、「この第2ヒンジピン4には、筒状のスプリングケース5がその軸受部5aを支承させている。」(第7頁第2〜4行)との記載がある。
同じく提出した甲第4号証の2(特開平6-110139号公報、以下「引用例8」という。)には、「各支承ピン9、10には互いに嵌合しているスプリング保持部材11、12が各軸受部11a、12aを軸受けさせており、このスプリング保持部材11、12内部には一対の圧縮コイルスプリング13、13が弾設されている。スプリング保持部材のうち指示記号12の方は鉄板製でありその軸受部12aはとくに図6に示したように合成樹脂製である。」(第3頁段落【0015】)との記載がある。
同じく提出した甲第4号証の3(特開昭60-112029号公報、以下「引用例9」という。)には、原稿圧着板の開閉装置が開示されている。
(4)本件発明と引用例記載の発明との対比・判断
(請求項1に係る発明について)
第29条第2項
本件請求項1に係る発明と引用例1記載の発明とを対比すると、後者の「コンタクトガラス32」、「圧板33」、「ベース部材34」、「アーム部材36」、「ホルダ部材38」、「第1ガイド部材44」、「第2ガイド部材45」、「スプリング43」、「トーションバネ41」、「第1係合部39」、「第2係合部40」は、夫々前者の「原稿載置台」、「圧板」、「ベース部材」、「ホルダー部材」、「ブラケット」、「第1スリーブ部材」、「第2スリーブ部材」、「第1付勢手段」、「第2付勢手段」、「突起」、「係合部」に相当するから、両者は、複写機の原稿載置台上に設けられた原稿押え用の圧板を、該圧板の基端部に設けた少なくとも1つ以上のヒンジ機構を介して複写機本体上に開閉可能に支持してなる複写機の原稿押え装置において、前記ヒンジ機構が、複写機本体に設けられたベース部材に基端部が回動自在に係合されたホルダー部材と、該ホルダー部材の先端部に回動支点を中心に回動自在に連結されたブラケットと、有底筒状に形成され、前記ホルダー部材の基端部よりも原稿載置台側に位置するベース部材部分に底部が回動自在に係合された第1スリーブ部材と、有底筒状に形成されるとともに、前記第1スリーブ部材にテレスコープ状に嵌合され、底部が前記ブラケットの回動支点よりも原稿載置台側に位置するようにブラケットの先端部に回動自在に係合あるいは連結した第2スリーブ部材と、前記第1および第2スリーブ部材の底部の間に縮設され、該第1および第2スリーブを互いに離隔する方向に付勢する第1付勢手段と、ブラケットとホルダー部材の間に介装され、前記圧板が原稿載置台に対して開閉動作される際に、ブラケットが回動中心を支点にしてホルダー部材に対して回動しないように、ブラケットをホルダー部材に係合するように付勢する第2付勢手段と、前記ブラケットとホルダー部材の一部で構成され、ブラケットをホルダー部材と共に移動可能なようにブラケットをホルダー部材に係合させるとともに、原稿載置台上に載置された原稿の厚さが所定値よりも厚いとき、前記圧板の閉じ動作に伴ってブラケットが回動中心を支点に回動するとともに、ブラケットがホルダー部材から離脱して前記圧板が原稿厚さに対応してリフトアップ動作する際にホルダー部材に対するブラケットの係合を解除する係合・解除手段と、からなり、前記係合・解除手段は、ホルダー部材に設けられた可撓性の突起と、ブラケットに設けられ、前記突起に係合する係合部と、から構成された複写機の原稿押え装置、で一致し、
A前者は、前記第1および第2スリーブ部材の何れかの外周部の開放端部に形成され、前記第1スリーブ部材および第2スリーブ部材の何れか一方の内周部に摺接する突起と、前記第1スリーブ部材および第2スリーブ部材の何れか一方の開放端部から底部に向って所定長だけ延在する切欠き部
を具備するのに対して、後者は、そのような記載が無い点、
B前者は、前記突起の断面形状は、ブラケットがホルダー部材から離隔する際に摺接する面が円弧面に形成されるとともに、ブラケットがホルダー部材に係合する際に摺接する面が斜面に形成されるのに対して、後者は、そのような記載が無い点で相違する。
そこで、これらの相違点A、Bの構成が、引用例2〜9に開示されているか否かを検討する。
先ず、相違点Aについては、引用例3および4に開示されている。
次に、相違点Bについては、引用例5に、係止ピン19cと係止片22cに類似の形状のものが開示されているが、これらの係合・解除は、制御片3aと制御ピン19aとが係合・離脱することによって制御されるものであり、作用が異なるから相違点Bの構成が開示されているとは言えない。また、引用例6に、固定クリック13の突起Aと離隔する際に摺接する面が円弧面に形成されると共に、係合する際に摺接する面が斜面に形成された固定装置が開示されているが、原稿ガイドユニットの開閉カバーに係るものであり、開閉カバー12は軽い力で開閉可能なものであり、仮に、引用例1の係合・解除手段に換えて適用できたとしても、本件請求項1に係る発明の作用効果を奏し得るものではなく、相違点Bの構成が開示されているとは言えない。
また、引用例2〜4、7〜9には、相違点Bが開示されていない。
してみれば、引用例1〜9には、相違点Bが開示されていない。
本件請求項1に係る発明は、この構成を有することによって、明細書記載の作用効果を奏するものであるから、各引用例に基づいて当業者が容易に推考できたとは言えない。
(請求項2〜3に係る発明について)
第29条第2項
本件請求項2〜3に係る発明は、請求項1〜2に係る発明の構成の一部をさらに限定したものであるから、本件請求項1に係る発明の判断と同様になる。
(5)むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立の理由及び証拠によっては、本件請求項1〜3に係る発明の特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1〜3に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2003-02-14 
出願番号 特願平6-244969
審決分類 P 1 651・ 121- Y (G03B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 前川 慎喜  
特許庁審判長 高橋 美実
特許庁審判官 國島 明弘
柏崎 正男
登録日 2002-01-11 
登録番号 特許第3266426号(P3266426)
権利者 下西技研工業株式会社 株式会社リコー
発明の名称 複写機の原稿押え装置  
代理人 伊藤 捷雄  
代理人 有我 軍一郎  
代理人 有我 軍一郎  

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