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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 C02F
管理番号 1074084
審判番号 不服2001-1820  
総通号数 41 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1993-03-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-02-09 
確定日 2003-04-08 
事件の表示 平成 3年特許願第243407号「アルミニウムの不溶化方法」拒絶査定に対する審判事件〔平成 5年 3月30日出願公開、特開平 5- 76875、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の請求項1に係る発明は、特許すべきものとする。 
理由 1.本願の手続の経緯および本願発明
本願は、平成3年9月24日に出願した特許出願であって、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という)は、本願明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
【請求項1】アルミニウム含有水を反応槽内で不溶化反応させた後、固液分離処理し、分離した不溶化物の一部を反応槽に返送する方法において、反応槽のpHを5.8〜7.2に調整し、かつ、反応槽内の固形物濃度が100g/lit.以上となるように前記分離した不溶化物を返送するとともに、反応槽に流入する液の反応槽滞留時間を10分以上とすることを特徴とするアルミニウムの不溶化方法。
2.原査定の理由
原査定の理由の概要は、本願発明は、本願の出願前に頒布された刊行物である引用例1(特公昭49-36879号公報;以下「刊行物1」という)および引用例2(特公昭48-37676号公報;以下「刊行物2」という)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。なお、原査定では周知技術として特開昭59-173188号公報(以下「周知例1」という)、特開昭48-98651号公報(以下「周知例2」という)が提示されている。
3.引用例の記載
刊行物1及び2、周知例1及び2には、それぞれ次の事項が記載されている。
(1)刊行物1(特公昭49-36879号公報)
(イ)「酸性アルミニウム含有液からアルミニウムを沈澱として分離するに際し、第一段階としてアルミニウム水酸化物にアルカリ剤を添加して撹拌反応せしめてアルカリ処理アルミニウム沈澱を含有するアルカリ性反応液を生成し、第二段階として前記第一段階で生成された反応液と酸性アルミニウム含有液とを混合反応させて中和することを特徴とする酸性アルミニウム含有液の処理法。」(特許請求の範囲)
(ロ)「本発明は、酸性アルミニウム含有液からアルミニウムを高速に、極めて沈降、濃縮、分離性よくしかも脱水性のよい水酸化アルミニウム沈澱として分離することを目的とするものである。」(第2欄8〜11行)
(ハ)「すなわち、本発明は従来のように酸性アルミニウム含有液に直接アルカリ剤を添加するものではなく、第一段階、第二段階の二段の反応を行なわせるものである。つまり、まず第一段階反応としてアルミニウム含有液を中和するに必要な量のアルカリ剤を第二段階反応の種沈澱となるべきアルミニウム水酸化物に添加して一定時間撹拌反応せしめることによって、アルカリ処理をうけたアルミニウム沈澱を含む反応液を得る。次に第二段階反応として前記第一段階反応において得られた反応液と酸性アルミニウム含有液とを混合し、第一段階反応で得られたアルカリ処理をうけたアルミニウム沈澱の共存下で、一定時間反応せしめて中和することによって、極めて沈降性、濃縮性の良好なるアルミニウム水酸化物を得、これを分離するものである。かくして得られたアルミニウム水酸化物は、さらに前記の如く第一段階反応においてアルカリ剤と混合反応せしめてアルカリ処理をうけたアルミニウム沈澱を含む反応液を生成し、次に第二段階反応において前記反応液と酸性アルミニウム含有液とを混合して沈澱を得、この沈澱を再び第一段階反応に服させるのである。」(第2欄24行〜第3欄8行)
(ニ)「さらに本発明の一実施態様を図面を参照しつつ説明すれば、沈降濃縮槽Cから導管1を経て排出されるアルミニウム水酸化物濃縮スラッジの一部を導管2およびポンプ3によって撹拌装置4を設けた撹拌反応槽A内に導き、この反応槽で第一段階反応を進行せしめる。すなわち、撹拌反応槽A内にアルカリ剤5を添加し一定時間撹拌反応せしめたのち、このアルカリ性スラッジを導管6を経てバッフル7を有する混合反応槽B内へ流入させ、この反応槽で第二段階反応を進行せしめる。撹拌反応槽Aにおけるスラッジとアルカリ剤との反応時間はなるべく長い方が後述するアルミニウム水酸化物の分離処理が一層良好になるから長い反応時間の方が好ましい。混合反応槽Bにおいて、酸性アルミニウム含有液は導管8から分割注入されてスラッジと混合され、一定時間反応させることによって混合液は次第にアルカリ性から酸性へと段階的に変化し遂にpH6〜8程度に中和されて液中のアルミニウムは水酸化物として生澱する。次いでこの液は導管9から沈降濃縮槽Cへ導かれて固液の沈降分離が行なわれる。沈降濃縮Cにて分離された液はpH6〜8であって導管10から放流され、沈降濃縮されたアルミニウム水酸化物のスラッジは導管1を経て排出され、その一部は再び前記の如く撹拌反応槽Aへ導かれる。」(第3欄16〜40行)
(ホ)「例1 アルミニウム水酸化物172mg(Alとして)を含むスラリ300ccに37g/lのCa(OH)2液9ccを添加し、常温で45分間300rpm下に撹拌反応せしめてpH11.24/25.0℃のアルカリ性スラリを得た。これにAl+++として99.9mg/lを含むAlCl3含有液(pH4.23/25.0℃)1lを常温で10分間にわたって150rpmの撹拌の下に注入し、かくて液性をpH11.24からpH7.35/25.0℃に変化せしめ、さらに10分間同撹拌下に撹拌滞留せしめてpH7.35/25.0℃のアルミニウム水酸化物スラリを得た。」(第4欄6〜18行)
(ヘ)「例2 例1の反応によって得られたアルミニウム水酸化物1029mg(Alとして)を含むスラリ300ccに37g/lのCa(OH)2液を9cc添加し、例1と全く同様の条件下に反応せしめてpH7.40/25.0℃のアルミニウム水酸化物スラリを得た。」(第4欄19〜25行)
(ト)「 スラリの沈降速度cm/hr スラッジの濃縮度g/l
例1 150 2.98
例2 228 13.40
対照1 68.4 1.04
対照2 93.8 8.25 」(第3頁1〜5行)
(チ)「このように本発明の方法によるときは、従来最良と考えられていた種沈澱循環方式(対照例)に比較して極めてすぐれた結果が得られた。この本発明の効果の最大の主因は、アルカリ処理したアルミニウム沈澱を種沈澱としてアルミニウム水酸化物を生成せしめる点にあるものと考えられる。」(第5欄11〜16行)
(リ)「また水酸化アルミニウムのような両性の金属水酸化物の場合には液性がアルカリ性になると溶解し、これを中性にもどせば新しいアルミのゲルを生成し、極めて濃縮、脱水性の悪い沈殿が生成する事実も認められているところであるが、本発明によるときはアルミニウム水酸化物をpH6〜8の中性領域において高速度で分離することができ、かつ高濃度のスラッジとして排出することが容易で、スラッジの機械的脱水も容易である等従来の常識からは全く予想し得ない効果が得られるものである。」(第5欄23行〜第6欄10行)
(2)刊行物2(特公昭48-37676号公報)
(イ)「アルミニウム含有液に消石灰、生石灰、焼成ドロマイト、カーバイト滓の如きアルカリ性のカルシウム化合物を添加して、該液のpHを8以上に保ちつつ反応せしめたのち、アルミニウムを分離することを特徴とするアルミニウム含有液の処理方法。」(特許請求の範囲第1項)
(ロ)「アルミニウム含有液に消石灰、生石灰、焼成ドロマイト、カーバイト滓の如きアルカリ性のカルシウム化合物を添加して、該液のpHを8以上に保ちつつ反応せしめるに際し、有機のオキシ酸またはその塩を添加反応せしめたのち、アルミニウムを分離することを特徴とするアルミニウム含有液の処理方法。」(特許請求の範囲第2項)
(ハ)「すなわち、酸性のアルミニウム含有液に対しては、アルカリ剤の種類を問わず適宜のアルカリ剤を添加し、従来法の如く液のpHを6〜8としたのち、さらにアルカリ性のカルシウム化合物を添加して液のpHを8以上に保ちつつ反応せしめるか、あるいは酸性のアルミニウム含有液に最初からアルカリ性のカルシウム化合物を添加してpHを8以上に保ちつつ反応せしめる。またアルカリ性のアルミニウム含有液に対しては、そのままアルカリ性のカルシウム化合物を添加して反応せしめる。ここにアルカリ性のカルシウム化合物としては消石灰、生石灰、焼成ドロマイト、またはカーバイト滓のようなものがよく、これを紛状あるいは適当な濃度のスラリまたはペースト状として添加し、適当な混合手段によって一定時間混合、反応せしめることによって沈降、濃縮、脱水容易なアルミニウムを含む塩を生成することができる。反応に要する時間は15〜90分でよいが、強アルカリ性のアルミニウム含有液の場合には反応時間は長くなる傾向がある。」(第2欄26行〜第3欄8行)
(ニ)「また、上記のアルカリ性のカルシウム化合物を添加して反応せしめるに当って、有機のオキシ酸またはNa、K、NH4、塩、例えば酒石酸ソーダ、酒石酸カリソーダ、くえん酸またはその塩、こはく酸またはその塩等を、アルミニウム含有液に予じめ添加するか、カルシウムを含有するアルカリ剤中に添加するかまたは同時に添加すれば、さらに沈降、濃縮良好なアルミニウムの不溶性塩を得ることができる。」(第3欄9〜17行)
(ホ)「対照1として従来法の如く、・・・塩酸酸性アルミニウム含有液(pH1.5/20.5℃)1lにCa(OH)2スラリ(濃度87.0g/l)をpH6〜8となすべく12.2g添加して120rpmにて5分間、さらに50rpmにて10分間混合、反応せしめ、・・・測定した。」(第4欄6〜14行)
(ヘ)「
区分 反応液のpH/℃ スラヂ濃縮g/l
30分 60分 24時
対照1 6.00/18.5 25.1 26.7 29.8
例1-1 11.29/19.0 110.0 112.4 114.8
例1-2 11.10/19.0 157.0 159.3 172.0 」(公報第2頁27〜34行)
(3)周知例1(特開昭59-173188号公報)
(イ)「PH4以下のアルミニウムイオンを含む、強酸性亜鉛廃水から亜鉛成分を濃縮するに際して、まず、該廃水をアルカリ剤でPHを5.5〜6.5に調製し、発生するフロック状の固形物を分離除去した後、さらに、該液のPHを3.5〜5.5に再調製して、亜鉛成分を濃縮する、亜鉛廃水の濃縮のための前処理方法。」(特許請求の範囲)
(ロ)「この様に、少ないアルカリ剤で亜鉛廃水中の共存する鉄イオン、アルミニウムイオンを利用して、逆浸透膜法にて濃縮中に、膜面に付着しやすい懸濁物質、シリカや液中に析出する鉄イオン、アルミニウムイオンを極めて経済的に、かつ、容易に除去することができる。」(第3頁左上欄10〜15行)
(4)周知例2(特開昭48-98651号公報)
(イ)「アルカリ性アルミニウム含有液からアルミニウムを沈澱として分離するに際し、まずアルミニウム水酸化物に前記アルカリ性アルミニウム含有液を添加し撹拌反応させてアルカリ処理アルミニウム沈澱を含有するアルカリ性反応液を生成し、ついでこの生成反応液と酸含有液とを混合反応させ中和することを特徴とするアルミニウム含有液の処理方法。」(特許請求の範囲)
(ロ)「混合反応槽Bにおいて・・・pH6〜8程度に中和されて液中のアルミニウムは水酸化物として生殿する。」(第3頁右上欄3〜7行)
(ハ)「第1図示の如きプロセスにおいて、沈降濃縮Cから導管1を経て排出されるアルミニウム水酸化物スラッジ(・・)のうち42l/hを導管2、ポンプ3を経て撹拌反応槽Aへ導入する一方、この槽へ・・・アルカリ性アルミニウム含有液を2l/h流入させて45分間反応させたのち、混合反応槽Bへ流入させた。この混合反応槽Bに・・・酸性アルミニウム含有液を分岐して注入し、・・・最終的にpH=7.5/26℃で流出させ、・・・・・含水率は72%であった。」(第3頁左下欄7行〜同頁右下欄8行)
4.当審の判断
刊行物1には、酸性アルミニウム含有液の処理方法に関し、上記(イ)及び(ハ)には「酸性アルミニウム含有液からアルミニウムを沈澱として分離するに際し、第一段階としてアルミニウム水酸化物にアルカリ剤を添加して撹拌反応せしめてアルカリ処理アルミニウム沈澱を含有するアルカリ性反応液を生成し、第二段階として第一段階で生成された反応液と酸性アルミニウム含有液とを混合反応させて中和することによって、アルミニウム水酸化物の沈澱を得、得られたアルミニウム水酸化物の沈澱の一部を再び第一段階反応に服させる酸性アルミニウム含有液の処理法」が記載され、上記(ニ)によれば、この第二段階の反応では「アルカリ性から酸性へと段階的に変化し遂にpH6〜8程度に中和され」ることが分かる。そして上記(ホ)の実施例の記載から「第一段階でアルミニウム水酸化物にCa(OH)2液を添加し45分間撹拌反応させpH11.24のアルカリ性スラリを得、その後第二段階でAlCl3含有液を10分間撹拌の下に注入し、さらに10分間撹拌滞留させる」ことが分かる。そうすると、刊行物1には、本願発明に則して整理すると「第一段階の反応槽でアルミニウム水酸化物にアルカリ剤を添加して撹拌反応せしめてアルカリ処理アルミニウム沈澱を含有するアルカリ性反応液を生成し、第二段階の反応槽で第一段階で生成された反応液と酸性アルミニウム含有液とを混合反応させて中和することによって、アルミニウム水酸化物の沈澱を得、得られたアルミニウム水酸化物の沈澱の一部を再び第一段階の反応槽へ導入させる酸性アルミニウム含有液の処理法において、第一段階の反応槽でpHを11.24にし、第二段階で酸性アルミニウム含有液を10分間撹拌の上注入してpHを6〜8に中和し、さらに10分間撹拌滞留させる処理方法」の発明(以下「刊行1発明」という)が記載されているといえる。
そこで、本願発明と刊行1発明を対比すると、刊行1発明の第二段階での反応槽が、そこで原液を流入され、中和反応させていることから本願発明の反応槽に相当するとみれ、刊行1発明の「得られたアルミニウム水酸化物の沈澱の一部を再び第一段階の反応槽へ導入させる」は本願発明の「分離した不溶化物の一部を返送する」に相当し、該第二段階の反応槽でのpH6〜8は本願発明のpH5.8〜7.2とpH6〜7.2で一致し、また同槽での滞留時間の10分間が本願発明の滞留時間の10分以上の範囲内であるから、両者は、「アルミニウム含有水を反応槽内で不溶化反応をさせた後、固液分離処理し、分離した不溶化物の一部を返送する方法において、反応槽のpHを6〜7.2に調整し、前記分離した不溶化物を返送するとともに、反応槽に流入する液の反応槽滞留時間を10分以上とすることを特徴とするアルミニウムの不溶化方法。」では一致しているものの、両者は次の点で相違している。
(ア)相違点a:本願発明では、「分離した不溶化物の一部を反応槽に返送」しているのに対し、刊行1発明では「分離したアルミニウム水酸化物の一部を第一段階の反応槽に導入(返送)し、そこでアルカリ剤を添加しアルカリ性反応液を生成した上で第二段階の反応槽へ流入」させている点
(イ)相違点b:本願発明では、「反応槽内の固形物濃度を100g/lit.以上となるように分離した不溶化物を返送」しているのに対し、刊行1発明では第二段階の反応槽の不溶化物(スラリ)濃度については記載がない点
そこで、上記相違点の中で、まず相違点bについてみてみると、刊行物1にはスラッジの濃縮度として上記(ト)に、例2で「13.40g/l」であることが記載されている。このスラッジの濃縮度は、本願発明の実施例の濃縮汚泥濃度と比較しても相当程度低いものといえる。そして刊行1発明が刊行物1の上記(ロ)に記載されるように極めて沈降、濃縮、分離性よくアルミニウムを分離するという本願発明と同様の目的を有するものとはいえ、刊行1発明と本願発明とは上記したように濃縮度に相当程度の違いがあり、しかも上記目的を達成するために刊行1発明では第一段階でアルカリ反応液を生成した上で中和反応させようとするのに対し、本願発明では反応槽の固形物濃度を一定値以上になるように返送するものであるから、両者の課題解決手段が異なるものと云わざるを得ない。そして、本願発明の「固形物濃度を100g/lit.以上」には審判請求書の第3頁の反応槽SS濃度の実験例に示されるような臨界的な意義を有することが明らかである。してみると、刊行1発明から相違点bにある本願発明の構成の「反応槽の固形物濃度を100g/lit.以上となるように分離した不溶化物を返送」することが容易に想到できたということはできない。
次に他の証拠に基づいて検討すると、刊行物2の(ヘ)に、反応液の定時間(30分、60分、24時間)放置後のスラヂの濃縮度が例示されているが、これも反応液の固形物濃度について記載するものでなく、また、刊行物2のスラヂの濃縮度を本願発明の実施例の濃縮汚泥濃度と比べてみても低いものといえ、しかも刊行物2の方法は、上記(イ)〜(ホ)からみると分離したアルミニウムを反応槽に返送するものではなく、また、その反応は液のpHを8以上に保ちつつ行われる反応槽であって、本願発明のようにpH5.8〜7.2の反応槽とはいえないから、刊行物2には、上記の相違点bについて記載も示唆もされていない。
また、周知例1には上記(イ)に「廃水をアルカリ剤でPHを5.5〜6.5に調製」することが記載されているが、この廃水は亜鉛含有廃水であって、本願発明のアルミニウム含有廃水と相違し、さらに相違点bについては何ら記載するものでもない。また、周知例2には上記(ロ)に「pH6〜8に中和」することや上記(ハ)に「スラッジの含水率が72%」であることが記載されているが、反応槽の固形物濃度については記載がないのであるから相違点bについては何ら記載されていない。
そして、本願発明は、反応槽のpHを5.8〜7.2に調整し、かつ、反応槽内の固形物濃度が100g/l以上となるように分離した不溶化物の一部を返送するとともに、反応槽に流入する液の反応槽滞留時間を10分以上とするという構成を採ることによって、高濃度で極めて沈降性、濃縮性および脱水性の良い汚泥が得られるという明細書記載の顕著な効果を奏するものと認められる。
してみると、本願発明は、上記相違点aを検討するまでもなく、引用例1〜2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。
5.結び
以上のとおりであるから、原査定の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2003-03-28 
出願番号 特願平3-243407
審決分類 P 1 8・ 121- WY (C02F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 吉水 純子杉江 渉小久保 勝伊  
特許庁審判長 大黒 浩之
特許庁審判官 唐戸 光雄
岡田 和加子
発明の名称 アルミニウムの不溶化方法  
代理人 重野 剛  

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