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審決分類 |
審判 全部申し立て ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 H04B 審判 全部申し立て 特36 条4項詳細な説明の記載不備 H04B 審判 全部申し立て ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 H04B 審判 全部申し立て 2項進歩性 H04B 審判 全部申し立て ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 H04B 審判 全部申し立て 特123条1項5号 H04B |
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管理番号 | 1074729 |
異議申立番号 | 異議2001-70409 |
総通号数 | 41 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1992-05-21 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2001-02-07 |
確定日 | 2003-01-27 |
異議申立件数 | 2 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3073767号「CDMAセルラ電話システムにおけるダイバーシティ受信機」の請求項1ないし18に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3073767号の請求項1ないし17に係る特許を維持する。 |
理由 |
1.手続の経緯 特許第3073767号の請求項1ないし17に係る発明についての出願は、1990年(平成2年)年11月5日(パリ条約による優先権主張、1989年11月7日 アメリカ合衆国)を国際出願日とする特許出願であって、平成12年6月2日にその発明について特許権の設定登録がなされ、平成12年8月7日に特許公報が発行され、その特許について、前記特許公報発行から6月以内の、平成13年2月7日に異議申立人株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ、及びノキア・ジャパン株式会社より特許異議の申立てがなされ、平成13年6月9日付で取消理由が通知され、その指定期間内である平成13年9月12日に特許権者から3ヶ月の期間延長の請求がなされ、その延長期間内である平成13年12月19日に特許異議意見書が提出されるとともに訂正請求がなされたものである。 2.訂正の適否についての判断 2-1.訂正の内容 A.特許請求の範囲の請求項3を削除し、請求項4ないし請求項18を請求項3ないし請求項17として項を繰り上げ、請求項4末行の「請求項1ないし3のいずれか1項」を「請求項1または2」に、同請求項5末行の「請求項4」を「請求項3」に、同請求項6末行の「請求項3」を「請求項1」に、同請求項7末行の「請求項3」を「請求項1」に、同請求項9第6行の「請求項8」を「請求項7」に、同請求項10末行の「請求項8」を「請求項7」に、同請求項11末行の「請求項8」を「請求項7」に、同請求項13第6行の「請求項12」を「請求項11」に、同請求項14末行の「請求項12」を「請求項11」に、同請求項15末行の「請求項12」を「請求項11」に、同請求項17第2行の「請求項16」を「請求項15」に、同請求項18末行の「請求項16」を「請求項15」に訂正する。 B.特許請求の範囲の請求項1第1行〜第2行の「それぞれ有し」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項1第6行の「具備する」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項6第1行の「前記」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項6第2行〜第3行の「コード位相の」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項6第3行の「前記」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項7第1行の「前記パイロット信号は」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項7第1行の「前記」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項7第4行の「前記」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項8第1行の「ユーザ情報信号が」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項8第2行〜第3行の「コード位相の」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項8第3行〜第4行の「送信される」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項8第5行の「使用するための」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項8第15行の「送信された」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項8第18行〜第19行の「前記」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項8第19行の「あるものを」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項8第21行の「具備する」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項9第4行〜第5行の「前記」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項9第5行〜第6行の「異なるものを」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項11第6行の「前記」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項12第1行の「ユーザ情報信号が」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項12第3行の「コード位相の」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項12第4行の「送信される」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項12第5行〜第6行の「使用するための」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項12第17行の「送信された」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項12第18行の「前記」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項12第21行の「前記」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項12第22行の「あるものを」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項12第24行の「具備する」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項13第4行〜第5行の「前記」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項13第5行〜第6行の「異なるものを」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項15第6行の「前記」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項16第1行の「ユーザ情報信号が」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項16第3行の「コード位相の」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項16第4行の「送信される」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項16第5行〜第6行の「使用するための」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項16第8行の「送信される」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項16第12行の「前記」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項16第21行〜第22行の「前記」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項16第22行の「のものを」と「スペクトル拡散」との間に、 「直接シーケンス」の7文字を挿入する。 C.特許請求の範囲の請求項1第3行の「受信マルチパス信号の信号強度を復調し」を「受信マルチパス信号を復調し」と訂正する。 D.特許請求の範囲の請求項1第3行〜第4行の「決定する探索手段」を「、各受信マルチパス信号において各パイロット信号の信号強度と前記受信マルチパス信号のパイロット信号間での時間関係とを決定し、最大の信号強度および対応した時間関係の複数のパイロット信号を示す探索制御信号を供給し、各マルチパス伝播成分はパイロット信号も含む探索手段」と訂正する。 E.特許請求の範囲の請求項1第5行〜第6行の「情報信号を供給するために、最大の信号強度を有する前記複数のマルチパス信号をそれぞれ受信し復調する受信手段」を「最大の信号強度の前記複数のマルチパス信号のそれぞれを受信して復調し、前記探索制御信号に応答して、最大の信号強度の前記複数のパイロット信号にそれぞれ対応する前記複数のマルチパス信号をそれぞれ復調して情報信号を供給し、前記最大の信号強度の複数のパイロット信号は、前記マルチパス信号のそれぞれの復調においてキャリア位相基準として用いられる受信手段」と訂正する。 F.特許請求の範囲の請求項4第2行の「前記スペクトル拡散情報信号」を「前記情報信号」に訂正する。 G.特許請求の範囲の請求項5第2行の「前記スペクトル拡散情報信号」を「前記情報信号」に訂正する。 H.特許請求の範囲の請求項8第17行〜第18行の「最高」を「最大」に訂正する。 I.特許請求の範囲の請求項8第20行〜第21行の「供給する受信手段」を「供給し、前記最大の信号強度の前記複数のパイロット信号は前記直接シーケンススペクトル拡散処理においてキャリア位相基準として用いられる受信手段」に訂正する。 J.特許請求の範囲の請求項9第2行の「マルチパス」を「直接シーケンス」に訂正する。 K.特許請求の範囲の請求項12第20行の「最高」を「最大」に訂正する。 L.特許請求の範囲の請求項12第23行〜第24行の「供給する受信手段」を「供給し、前記最大の信号強度の前記複数のパイロット信号は前記直接シーケンススペクトル拡散処理においてキャリア位相基準として用いられる受信手段」に訂正する。 M.特許請求の範囲の請求項13第2行の「マルチパス」を「直接シーケンス」に訂正する。 N.特許請求の範囲の請求項15末行の「対応するする」を「対応する」に訂正する。 O.特許請求の範囲の請求項16第22行の「処理し、」の後に「前記最大の信号強度のパイロット信号は前記直接シーケンススペクトル拡散処理においてキャリア位相基準として用いられ、」の56文字を追加する。 2-2.訂正の目的の適否、新規事項の有無および拡張・変更の存否 (1)訂正事項Aについて 上記訂正事項Aは、特許時の請求項3を削除し、これに伴って請求項4〜18の項番号を1番ずつ繰り上げ、それぞれを請求項3〜17と訂正するものであるから、特許法第120条の4第2項ただし書き第1号及び第3号に規定する特許請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。 そして、上記訂正事項Aは、単に1つの請求項を削除し、これに伴い関連する請求項番号を付け直すものであるので、願書に添付した明細書または図面に記載した事項の範囲内の訂正であって新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (2)訂正事項Bについて 上記訂正事項Bは、特許時の特許請求の範囲の請求項1、請求項6、請求項7、請求項8、請求項9、請求項11、請求項12、請求項13、請求項15、および請求項16において、「スペクトル拡散」を「直接シーケンススペクトル拡散」に訂正するものである。この訂正は、「スペクトル拡散」という構成要件に「直接シーケンス」という限定を付加することにより、スペクトル拡散の方式を直接シーケンス方式に限定するものであるから、特許法第120条の4第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、この「直接シーケンススペクトル拡散」という事項は、本件特許明細書第17頁第26行〜第29行において「この送信信号波形は好ましい実施例において1.25MHzである予め定められたレートでクロックされたPNシーケンスによって変調された直接シーケンススペクトル拡散を有する。」と記載されている。 したがって、上記訂正事項Bは、願書に添付した明細書または図面に記載した事項の範囲内の訂正であって新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (3)訂正事項Cについて 上記訂正事項Cは、特許請求の範囲の請求項1「受信マルチパス信号の信号強度を復調し」を「受信マルチパス信号を復調し」と訂正することによって、復調の対象となるものを「信号強度」ではなく「受信マルチパス信号」それ自体に訂正するものである。本件特許明細書には、「信号強度を復調する」という記載は存在せず、本件特許明細書第7頁第16〜19頁の「本発明はマルチパス環境における信号の存在、その信号の時間ドメインにおける位置、およびその信号の相対的な信号強度を決定するためにチャネルの時間ドメインを絶えず走査する探索受信機と呼ばれる特別な受信機を使用する。」、同第10頁第22〜26行の「単一セル動作モードにおいて、探索受信機はマルチパス信号を監視し、種々のマルチパスで受信された最も強いものを識別する。探索受信機は移動体ユニット制御プロセッサにこの情報を提供し、この移動体ユニット制御プロセッサはこれらの最も強いパス上で信号を追跡するようにデータ受信機に命令する。」、同第11頁第18〜19行の「セルサイトダイバーシティモードにおいて、各セルサイトからの最も強い2つのパスは探索受信機によって決定される。」、同第19頁第2〜8行の「制御プロセッサ46の制御の下の探索受信機44は、同じセルサイトからの別のマルチパスパイロット信号に対して、および別のセルサイトから送信されたパイロット信号に対して、セルサイトの受信パイロット信号のほぼ公称時間で時間ドメインを連続的に走査するためのものである。探索受信機44は公称時間以外の時間における所望の波形の任意の受信の強度を測定する。探索受信機44は受信信号の信号強度を比較する。探索受信機44は複数の最も強い信号と相対的な時間関係とを示す信号強度信号を制御プロセッサ46に供給する。」等の記載からみて、受信するのはマルチパス信号であり、決定するのは信号強度であることから、マルチパス信号を復調するものであって、信号強度を復調することは誤記と認められる。 よって、上記訂正事項Cは、特許法第120条の4第2項ただし書き第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものであり、且つ、願書に添付した明細書または図面に記載した事項の範囲内の訂正であって新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (4)訂正事項Dについて 上記訂正事項Dは、請求項1に記載された「探索手段」について、さらに「各受信マルチパス信号において各パイロット信号の信号強度と前記受信マルチパス信号のパイロット信号間での時間関係とを決定し、最大の信号強度および対応した時間関係の複数のパイロット信号を示す探索制御信号を供給する」こと、及び「各マルチパス伝播成分はパイロット信号も含む」という限定を付加するものであるから、特許法第120条の4第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。上記限定事項は、本件特許時の特許請求の範囲請求項3に記載されていた事項であって、本件特許明細書に記載されていた事項と認められる。 したがって、上記訂正事項Dは、願書に添付した明細書または図面に記載した事項の範囲内の訂正であって新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (5)訂正事項Eについて 上記訂正事項Eは、請求項1に記載された「受信手段」について、さらに「前記探索制御信号に応答して、最大の信号強度の前記複数のパイロット信号にそれぞれ対応する前記複数のマルチパス信号をそれぞれ復調して情報信号を供給する」こと、及び「前記最大の信号強度の複数のパイロット信号は、前記マルチパス信号のそれぞれの復調においてキャリア位相基準として用いられる」という限定を付加するものであるから、特許法第120条の4第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、「探索制御信号に応答して、最大の信号強度の前記複数のパイロット信号にそれぞれ対応する前記複数のマルチパス信号をそれぞれ復調して情報信号を供給する」ことは本件特許時の特許請求の範囲請求項3に記載されていた事項であって、本件特許明細書に記載されていた事項と認められる。また、「最大の信号強度の複数のパイロット信号がキャリア位相基準として用いられる」ことは、本件特許明細書第18頁第21行〜第22行に「相関出力は、キャリア位相基準のような最も近いセルサイトからのパイロットキャリアを使用して同期的に検出される。」と記載されている事項に対応している。 したがって、上記訂正事項Eは、願書に添付した明細書または図面に記載した事項の範囲内の訂正であって新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (6)訂正事項Fについて 上記訂正事項Fは、特許時の請求項4に記載された結合手段について「前記複数のマルチパス信号のそれぞれ復調されたものをコヒーレントに結合して前記スペクトル拡散情報信号を供給する結合手段」を「前記複数のマルチパス信号のそれぞれ復調されたものをコヒーレントに結合して前記情報信号を供給する結合手段」と訂正し、訂正後の請求項3とするものである。 そして、本件特許明細書第17頁第14行〜第21行の「図2は例示的なセルラ電話用移動体ユニットをブロック図の形態で示す。移動体ユニットは送受切替器32を通じてアナログ受信機34および送信電力増幅器36に結合されたアンテナ30を含む。アンテナ30および送受切替器32は標準的な設計であり、単一のアンテナを通じて同時的な送信および受信を許容する。アンテナ30は送信された信号を受信し、送受切替器32を通じてアナログ受信機34にそれらを供給する。受信機34は、典型的に増幅およびIF周波数への周波数ダウンコンバートのために、850 MHz周波数帯域であるRF周波数信号を送受切替器32から受信する。」という記載、同第18頁第18行〜第19行の「受信機40および42の機能は適切なPNシーケンスとIFサンプルを相関することである。」という記載、同第19頁第16行〜第21行の「データ受信機40および42の出力はダイバーシティ結合器およびデコーダ回路48に供給される。回路48内に含まれるダイバーシティ結合器回路は、受信信号の2つのストリームのタイミングを調節して整列させてそれらを加算する。この加算処理は2つのストリームの相対信号強度に対応した数により2つのストリームを乗算することによって進められる。この動作は最大率ダイバーシティ結合器と考えられることができる。」という記載、および同第11頁第25行〜第29行の「本発明は移動体セルラ電話システムにおける通信の品質および信頼性を大きく進展させるダイバーシティ組合せを使用する。本発明において、最大比の組合せの形態が使用される。信号対雑音比は相応して荷重される2つのパスからの影響と組合せられた両パスに対して決定される。組合せは、パイロット信号復調が各パスの位相を決定させるためコヒーレントである。」という記載からみて、受信手段が受信する信号はスペクトル拡散されている信号であったとしても、受信手段から結合手段に与えられる信号は既にスペクトル拡散された信号ではないと認められるので、結合手段が、複数のマルチパス信号のそれぞれ復調されたものをコヒーレントに結合して供給する信号が「スペクトル拡散情報信号」であるとする記載は不明りょうであると認められる。 したがって、上記訂正事項Fは、特許法第120条の4第2項ただし書き第3号に規定する明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、且つ、願書に添付した明細書または図面に記載した事項の範囲内の訂正であって新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (7)訂正事項Gについて 上記訂正事項Gは、特許時の請求項5に記載されたデコーダ手段について「前記スペクトル拡散情報信号をエラー訂正デコードするデコーダ手段」を「前記情報信号をエラー訂正デコードするデコーダ手段」と訂正し、訂正後の請求項4とするものである。 そして、訂正後の請求項4は、上記(6)において検討した訂正後の請求項3を引用するものである。そうすると、訂正後の請求項3において、コヒーレントに結合されて供給される信号は、上記(6)において検討したごとくスペクトル拡散された信号ではない情報信号であるから、そのコヒーレントに結合された結果得られる信号をエラー訂正デコードするデコーダ手段がデコードするのはスペクトル拡散情報信号ではない情報信号であることは明らかであって、受信手段が受信する信号はスペクトル拡散されている信号であったとしても、デコーダ手段がエラー訂正デコードする信号は既にスペクトル拡散された信号ではないと認められるので、デコーダ手段がエラー訂正デコードする信号が「スペクトル拡散情報信号」であるとする記載は不明りょうであると認められる。 したがって、上記訂正事項Gは、特許法第120条の4第2項ただし書き第3号に規定する明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、且つ、願書に添付した明細書または図面に記載した事項の範囲内の訂正であって新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (8)訂正事項Hについて 上記訂正事項Hは、特許時の請求項8の「最高」を、他の請求項の記載表現と一致させるために「最大」と訂正するものであって、特許法第120条の4第2項ただし書き第3号に規定する明りょうでない記載の釈明を目的とするものと認められる。 そして、上記訂正事項Hは、願書に添付した明細書または図面に記載した事項の範囲内の訂正であって新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (9)訂正事項Iについて 上記訂正事項Iは、特許時の請求項8において、「前記最大の信号強度の複数のパイロット信号は、前記マルチパス信号のそれぞれの復調においてキャリア位相基準として用いられる」という限定を付加するものであるから、特許法第120条の4第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、「最大の信号強度の複数のパイロット信号がマルチパス信号の復調に用いられる」ことは、本件特許時の特許請求の範囲請求項3に記載されていた事項であって、本件特許明細書に記載されていた事項と認められる。また、「最大の信号強度の複数のパイロット信号がキャリア位相基準として用いられる」ことは、本件特許明細書第18頁第21行〜第22行に「相関出力は、キャリア位相基準のような最も近いセルサイトからのパイロットキャリアを使用して同期的に検出される。」と記載されている事項に対応している。 したがって、上記訂正事項Iは、願書に添付した明細書または図面に記載した事項の範囲内の訂正であって新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (10)訂正事項Jについて 上記訂正事項Jは、特許時の請求項9において、「マルチパススペクトル拡散通信信号」を「直接シーケンスペクトル拡散通信信号」に訂正するものである。 そして、この特許時の請求項9は、特許時の請求項8を引用するものであって、この請求項8には、「前記セルサイトから送信されたスペクトル拡散通信信号のマルチパス伝播成分をさらに含む前記入力信号を受信し」と記載されているので、請求項9における「マルチパススペクトル拡散通信信号」という記載は、請求項8の記載と整合しておらず、本件特許明細書の他の箇所には「マルチパススペクトル拡散」という記載は無く、且つ、このような「マルチパススペクトル拡散」技術が自明なものとは認めることはできないので、この「マルチパススペクトル拡散」という記載は誤記と認められる。 また、「直接シーケンスペクトル拡散」とする訂正は、「スペクトル拡散」という構成要件に「直接シーケンス」という限定を付加することにより、スペクトル拡散の方式を直接シーケンス方式に限定するものであるから、上記訂正事項Jは、特許法第120条の4第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮、および同第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものである。 そして「直接シーケンススペクトル拡散」という事項については、本件特許明細書第17頁第26行〜第29行において「この送信信号波形は好ましい実施例において1.25MHzである予め定められたレートでクロックされたPNシーケンスによって変調された直接シーケンススペクトル拡散を有する。」と記載されている。 したがって、上記訂正事項Jは、願書に添付した明細書または図面に記載した事項の範囲内の訂正であって新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (11)訂正事項Kについて 上記訂正事項Kは、特許時の請求項12において、「最高」を「最大」に訂正するものであるが、この訂正は、上記(8)で検討した訂正事項Hと同様に、特許法第120条の4第2項ただし書き第3号に規定する明りょうでない記載の釈明を目的とするものであって、且つ、願書に添付した明細書または図面に記載した事項の範囲内の訂正であって新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (12)訂正事項Lについて 上記訂正事項Lは、特許時の請求項12に記載された「受信手段」について、さらに「前記最大の信号強度の前記複数のパイロット信号は前記直接シーケンススペクトル拡散処理においてキャリア位相基準として用いられる」という限定を付加するものであるから、特許法第120条の4第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、「直接シーケンススペクトル拡散」という事項については、本件特許明細書第17頁第26行〜第29行において「この送信信号波形は好ましい実施例において1.25MHzである予め定められたレートでクロックされたPNシーケンスによって変調された直接シーケンススペクトル拡散を有する。」と記載されており、「前記最大の信号強度の前記複数のパイロット信号は前記直接シーケンススペクトル拡散処理においてキャリア位相基準として用いられる」ことは、本件特許明細書第18頁第21行〜第22行に「相関出力は、キャリア位相基準のような最も近いセルサイトからのパイロットキャリアを使用して同期的に検出される。」と記載されている事項に対応している。 したがって、上記訂正事項Lは、願書に添付した明細書または図面に記載した事項の範囲内の訂正であって新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (13)訂正事項Mについて 上記訂正事項Mは、特許時の請求項13において、「マルチパススペクトル拡散通信信号」を「直接シーケンスペクトル拡散通信信号」に訂正するものである。 この請求項13は請求項12を引用するものであるから、上記訂正事項Mは、上記(10)において検討した訂正事項Jと同様に、特許法第120条の4第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮、および同第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものであって、且つ、願書に添付した明細書または図面に記載した事項の範囲内の訂正であって新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (14)訂正事項Nについて 上記訂正事項Nは、特許時の請求項15において「対応するする」を「対応する」に訂正するものであるが、「対応するする」は日本語の表現として誤りであることは明らかであり、「対応する」に訂正することにより記載内容が変わるものとは認められない。 したがって、上記訂正事項Nは、特許法第120条の4第2項ただし書き第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものであり、且つ、願書に添付した明細書または図面に記載した事項の範囲内の訂正であって新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (15)訂正事項Oについて 上記訂正事項Oは、特許時の請求項16に記載された「スペクトラム拡散通信信号を獲得して処理する方法」について、さらに「前記最大の信号強度のパイロット信号は前記直接シーケンススペクトル拡散処理においてキャリア位相基準として用いられ」という限定を付加するものであるから、特許法第120条の4第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、「直接シーケンススペクトル拡散」という事項については、本件特許明細書第17頁第26行〜第29行において「この送信信号波形は好ましい実施例において1.25MHzである予め定められたレートでクロックされたPNシーケンスによって変調された直接シーケンススペクトル拡散を有する。」と記載されており、「前記最大の信号強度の前記複数のパイロット信号は前記直接シーケンススペクトル拡散処理においてキャリア位相基準として用いられる」ことは、本件特許明細書第18頁第21行〜第22行に「相関出力は、キャリア位相基準のような最も近いセルサイトからのパイロットキャリアを使用して同期的に検出される。」と記載されている事項に対応している。 したがって、上記訂正事項Oは、願書に添付した明細書または図面に記載した事項の範囲内の訂正であって新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 2-3.むすび 以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項並びに同条第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、及び第2項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 3.特許異議申立てについて 3-1.本件発明 特許第3073767号の請求項1ないし17に係る発明(以下、「本件発明1」ないし「本件発明17」という)は、平成13年12月19日付け訂正請求書に添付された訂正明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし17に記載されたとおりの次の事項により特定されるものである。 「1. 実質的に連続的に走査して、互いに関して結果的な時間差をそれぞれ有し直接シーケンススペクトル拡散情報信号のマルチパス伝播成分に対応する複数のマルチパス信号を受信し、前記複数の受信マルチパス信号を復調し、各受信マルチパス信号において各パイロット信号の信号強度と前記受信マルチパス信号のパイロット信号間での時間関係とを決定し、最大の信号強度および対応した時間関係の複数のパイロット信号を示す探索制御信号を供給し、各マルチパス伝播成分はパイロット信号も含む探索手段と、 最大の信号強度の前記複数のマルチパス信号のそれぞれを受信して復調し、前記探索制御信号に応答して、最大の信号強度の前記複数のパイロット信号にそれぞれ対応する前記複数のマルチパス信号をそれぞれ復調して情報信号を供給し、前記最大の信号強度の複数のパイロット信号は、前記マルチパス信号のそれぞれの復調においてキャリア位相基準として用いられる受信手段とを具備する直接シーケンススペクトル拡散受信機サブシステム。 2. 前記探索手段は、前記受信手段に結合され、前記複数のマルチパス信号をそれぞれ復調するために前記受信手段を割当てる制御手段を備える請求項1記載のサブシステム。 3. 前記受信手段は、前記複数のマルチパス信号のそれぞれ復調されたものをコヒーレントに結合して前記情報信号を供給する結合手段を備える請求項1または2記載のサブシステム。 4. 前記情報信号はエラー訂正コードフォーマットであり、前記受信手段は前記情報信号をエラー訂正デコードするデコーダ手段をさらに備える請求項3記載のサブシステム。 5. 前記パイロット信号は、前記直接シーケンススペクトル拡散情報信号とともに単一セルサイトから送信されるときに予め定められた拡散コードおよび予め定められたコード位相の直接シーケンススペクトル拡散信号であり、前記直接シーケンススペクトル拡散情報信号および前記パイロット信号は前記複数のマルチパス信号として異なる伝播パスを共に進行し、前記マルチパス信号のそれぞれに含まれる前記パイロット信号は、受信されるときに同じ拡散コードであるがその伝播パスに対応して時間的にオフセットされている請求項1記載のサブシステム。 6. 前記パイロット信号は直接シーケンススペクトル拡散信号であり、前記直接シーケンススペクトル拡散情報信号とともに各セルサイトから送信されるときの各パイロット信号は、同じ予め定められた拡散コードであるが異なる予め定められたコード位相のものであり、各セルサイトから送信される前記直接シーケンススペクトル拡散情報信号および前記パイロット信号は前記複数のマルチパス信号として異なる伝播パスを共に進行し、各セルサイトから送信されるときに前記複数のマルチパス信号のそれぞれに含まれる前記パイロット信号は、受信されるときに同じ拡散コードであるがその伝播パスに対応して時間的にオフセットされている請求項1記載のサブシステム。 7. ユーザ情報信号が直接シーケンススペクトル拡散通信信号を使用してセルサイトにより意図された受信ユーザに通信され、前記セルサイトは予め定められたコード位相の直接シーケンススペクトル拡散パイロット信号を送信し、前記セルサイトから送信される直接シーケンススペクトル拡散通信信号およびパイロット信号はマルチパス伝播の影響を受けやすい、セルラ通信システムにおいて使用するための直接シーケンススペクトル拡散受信機において、 実質的に連続的に走査して、セルサイトにより送信されたパイロット信号のマルチパス伝播成分を含む入力信号を受信し、各マルチパス伝播パイロット信号は異なる伝播パスを進行して、コード位相において対応するパス依存オフセットを有し、前記マルチパス伝播パイロット信号の少なくとも1つの存在を検出するように異なるコード位相で走査し、それぞれ検出されたマルチパス伝播パイロット信号の信号強度を測定し、それぞれ検出されたマルチパス伝播パイロット信号のコード位相を決定し、最大の信号強度および対応したコード位相の複数のマルチパス伝播パイロット信号を示す複数の探索制御信号を供給する探索手段と、 前記複数の探索制御信号を受信し、それぞれ各マルチパス伝播パイロット信号に対応している、前記セルサイトから送信された直接シーケンススペクトル拡散通信信号のマルチパス伝播成分をさらに含む前記入力信号を受信し、前記複数の探索制御信号に応答して、複数の対応する意図された受信ユーザ情報信号を抽出するように、最大の信号強度の前記マルチパス伝播パイロット信号に対応する前記直接シーケンススペクトル拡散通信信号の前記マルチパス伝播成分のあるものを直接シーケンススペクトル拡散処理し、前記抽出された意図された受信ユーザ情報信号を示す複数の対応した出力信号を供給し、前記最大の信号強度の前記複数のパイロット信号は前記直接シーケンススペクトル拡散処理においてキャリア位相基準として用いられる受信手段とを具備する直接シーケンススペクトル拡散受信機。 8. 前記受信手段は複数のデータ受信手段を備え、各データ受信手段は、前記探索制御信号の異なるものを受信し、前記入力信号において、直接シーケンススペクトル拡散通信信号の前記マルチパス伝播成分を受信し、対応するマルチパス伝播パイロット信号により提供される同期で前記探索制御信号に応答して、前記直接シーケンススペクトル拡散通信信号の前記マルチパス伝播成分の選択された異なるものを直接シーケンススペクトル拡散処理し、前記出力信号の対応するものを供給する請求項7記載のスペクトル拡散受信機。 9. 前記複数の出力信号を受信し、前記複数の受信された出力信号をコヒーレントに結合し、対応した結合された出力信号を供給する結合手段をさらに具備する請求項7記載のスペクトル拡散受信機。 10. 予め定められた周波数帯域でRF信号を受信し、前記RF信号を増幅し、対応したIF信号を生成するように中間周波数範囲に前記増幅されたRF信号を周波数ダウンコンバートし、前記IF信号をフィルタしてデジタル化し、前記探索手段および前記受信手段に前記入力信号として前記IF信号を供給する入力受信手段をさらに具備し、前記デジタル化されたIF信号は前記パイロット信号のマルチパス伝播成分および前記直接シーケンススペクトル拡散通信信号の対応したマルチパス伝播成分に対応する請求項7記載のスペクトル拡散受信機。 11. ユーザ情報信号が直接シーケンススペクトル拡散通信信号を使用して少なくとも1つのセルサイトにより意図された受信ユーザに通信され、各セルサイトは同じ拡散コードおよび予め定められた異なるコード位相の直接シーケンススペクトル拡散パイロット信号を送信し、各セルサイトから送信される直接シーケンススペクトル拡散通信信号およびパイロット信号がマルチパス伝播の影響を受けやすいセルラ通信システムにおいて使用するための直接シーケンススペクトル拡散受信機おいて、 実質的に連続的に走査して、少なくとも1つのパイロット信号のマルチパス伝播成分を含む入力信号を受信し、各パイロット信号が複数のセルサイトのそれぞれ1つによって送信され、各マルチパス伝播パイロット信号が異なる伝播パスを進行して、コード位相において対応したパス依存オフセットを有し、前記マルチパス伝播パイロット信号の少なくとも1つの存在を検出するように異なるコード位相で走査し、それぞれ検出されたマルチパス伝播パイロット信号の信号強度を測定し、それぞれ検出されたマルチパス伝播パイロット信号のコード位相を決定し、最大の信号強度および対応したコード位相の複数のマルチパス伝播パイロット信号を示す複数の探索制御信号を供給する探索手段と、 前記複数の探索制御信号を受信し、前記複数のセルサイトの少なくとも1つによって送信された直接シーケンススペクトル拡散通信信号のマルチパス伝播成分をさらに含む前記入力信号を受信し、前記直接シーケンススペクトル拡散通信信号の各マルチパス伝播成分が各マルチパス伝播パイロット信号に対応し、前記複数の探索制御信号に応答して、複数の対応する意図された受信ユーザ情報信号を抽出するように、最大の信号強度の前記マルチパス伝播パイロット信号に対応する前記直接シーケンススペクトル拡散通信信号の前記マルチパス伝播成分のあるものを直接シーケンススペクトル拡散処理し、前記抽出された意図された受信ユーザ情報信号を示す複数の対応した出力信号を供給し、前記最大の信号強度の前記複数のパイロット信号は前記直接シーケンススペクトル拡散処理においてキャリア位相基準として用いられる受信手段とを具備する直接シーケンススペクトル拡散受信機。 12. 前記受信手段は複数のデータ受信手段を備え、各データ受信手段は、前記探索制御信号の異なるものを受信し、前記入力信号において、直接シーケンススペクトル拡散通信信号の前記マルチパス伝播成分を受信し、対応するマルチパス伝播パイロット信号により提供される同期で前記探索制御信号に応答して、前記直接シーケンススペクトル拡散通信信号の前記マルチパス伝播成分の選択された異なるものを直接シーケンススペクトル拡散処理し、前記出力信号の対応するものを供給する請求項11記載のスペクトル拡散受信機。 13. 前記複数の出力信号を受信し、前記複数の受信された出力信号をコヒーレントに結合し、対応した結合された出力信号を供給する結合手段をさらに具備する請求項11記載のスペクトル拡散受信機。 14. 予め定められた周波数帯域でRF信号を受信し、前記RF信号を増幅し、対応したIF信号を生成するように中間周波数範囲に前記増幅されたRF信号を周波数ダウンコンバートし、前記IF信号をフィルタしてデジタル化し、前記探索手段および前記受信手段に前記入力信号として前記IF信号を供給する入力受信手段をさらに具備し、前記デジタル化されたIF信号は前記パイロット信号のマルチパス伝播成分および前記直接シーケンススペクトル拡散通信信号の対応したマルチパス伝播成分に対応する請求項11記載のスペクトル拡散受信機。 15. ユーザ情報信号が直接シーケンススペクトル拡散通信信号を使用して少なくとも1つのセルサイトにより意図された受信ユーザに通信され、各セルサイトは同じ拡散コードおよび予め定められた異なるコード位相の直接シーケンススペクトル拡散パイロット信号を送信し、各セルサイトから送信される直接シーケンススペクトル拡散通信信号およびパイロット信号がマルチパス伝播の影響を受けやすい、セルラ通信システムにおいて使用のための直接シーケンススペクトル拡散通信信号を獲得して処理する方法において、 (a)少なくとも1つのパイロット信号のマルチパス伝播成分と(b)複数のセルサイトの少なくとも1つにより送信される直接シーケンススペクトル拡散通信信号のマルチパス伝播成分とを含む入力信号を受信し、各パイロット信号は複数のセルサイトそれぞれ1つにより送信され、各マルチパス伝播パイロット信号は異なる伝播パスを進行して、コード位相において対応するパス依存オフセットを有し、前記直接シーケンススペクトル拡散通信信号の各マルチパス伝播成分は各マルチパス伝播パイロット信号に対応し、 前記マルチパス伝播パイロット信号の少なくとも1つの存在を検出するように異なるコード位相で前記入力信号を走査し、 それぞれ検出されたマルチパス伝播パイロット信号の信号強度を測定し、 それぞれ検出されたマルチパス伝播パイロット信号のコード位相を決定し、 最大の信号強度および対応したコード位相のマルチパス伝播パイロット信号を示す探索信号を供給し、 前記探索信号に応答して、対応する意図された受信ユーザ情報信号を抽出するように、最大の信号強度の前記マルチパス伝播パイロット信号に対応した前記直接シーケンススペクトル拡散通信信号の前記マルチパス伝播成分のものを直接シーケンススペクトル拡散処理し、前記最大の信号強度のパイロット信号は前記直接シーケンススペクトル拡散処理においてキャリア位相基準として用いられ、 前記抽出された意図された受信ユーザ情報信号を示す対応した出力信号を供給するステップを含む方法。 16. 前記出力信号を結合し、 対応した結合された出力信号を供給するステップをさらに含む請求項15記載の方法。 17. 予め定められた周波数帯域でRF信号を受信し、 前記RF信号を増幅し、 対応したIF信号を生成するように中間周波数範囲に前記増幅されたRF信号を周波数ダウンコンバートし、 前記IF信号をフィルタし、 前記IF信号をデジタル化し、 前記探索手段および前記受信手段に前記IF信号を前記入力信号として供給するステップをさらに含む請求項15記載の方法。」 3-2.株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモによる異議申立について (1)申立人株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモの異議申立理由の概要 異議申立人株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモは、証拠として甲第1号証〜甲第6号証(甲第1号証:特開昭58-14637号公報、甲第2号証:特開昭61-72421号公報、甲第3号証:特開昭63-108827号公報、甲第4号証:G.L.Turin,"Introduction to spread-spectrum antimultipath techniques and their application to urban digital radio",Proc.IEEE, vol.68, no.3, pp.328-353. March 1980. 甲第5号証:特開昭57-186857号公報、甲第6号証:特開昭64-44633号公報)を提出し、本件発明1ないし18に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、同法第113条第1項第2号の規定により取り消されるべきものである旨主張している。 (2)甲第1号証〜甲第6号証に記載された技術事項 1)甲第1号証(特開昭58-14637号公報) 甲第1号証は、「スペクトラム拡散通信方式の受信装置」に係るものであって、 第2頁右下欄2〜3行には、「第2図Aに示すような受信機に対して適用した一例の主要部の構成を示す。」と、 第2頁右下欄6〜9行には、「入力電波の状態を監視するために、位相が変化するPN符号KW1を発生するPN符号発生器(16)が設けられている。」と、 第3頁左上欄1〜5行には、「入力端子(15)からの受信信号とPN符号KW1とが掛算器(19)に供給される。この掛算器(19)の出力が中間周波数フィルタ(20)を介してエンベロープ検波器(21)に供給され、その検波出力Vdがコントローラ(18)に供給される。」と、 第3頁右上欄17行〜左下欄7行には、「PN符号KW1が基準の位相となる(t0〜t1)の区間において最大レベルの検波出力Vd0が得られ、(t2〜t3)及び(tn-1〜t0)の各区間でより小さいレベルの検波出力Vd2及びVdn-2が得られている。例えば検波出力Vd0は、直接波と対応し、Vd2及びVdn-2は、夫々反射波と対応したものである。この最大レベルの検波出力Vd0が発生する区間(t0〜t1)がコントローラ(18)によって判別され、この位相のPN符号KW1と同一位相のPN符号KW2がタップセレクタ(22)から発生するように制御される。」と記載されている。 さらに、図2には、ミキサ8、IFフィルタ12が設けられた受信機が、図4には、PN符号発生器16、検波器21,コントローラ18等が、図5には、複数の信号が検出されている結果が、記載されている。 2)甲第2号証(特開昭61-72421号公報) 甲第2号証は、「ダイバーシチ受信装置」に係るものであって、 第2頁右上欄19行〜左下欄5行には、「常時上位アンテナが接続された2台の受信機でダイバーシチ受信を行なうと共に、第3位の受信機を用いて非接続の指向性アンテナのサーチを行ない、前記上位2台の受信入力よりも大きい入力がある指向性アンテナが見付かると、前記2台の受信機に接続されたアンテナと接続替えを行なうように構成したもの」と、 第2頁左下欄9行〜10行には、「第1図は本発明に用いるNチャンネルのダイバーシチ受信装置の構成を示しており」と、 第2頁右下欄2行〜5行には、「MA、MB・・・MNは各受信機の平均受信レベルの比較部、CA、CB・・・CNは各チャンネルのアンテナ切り替えスイッチSA、SB・・・SNの制御部である。」と記載されている。 さらに、図1には、各受信機の平均受信レベルの比較部MA、各チャンネルのアンテナ切り替えスイッチSAと、その制御部CA等が記載されている。 3)甲第3号証(特開昭63-108827号公報) 甲第3号証は、「衛星または遠隔地中継器を使用するスプレッドスペクトラム多重アクセス通信システム」に係るものであって、 第21頁左上欄18行〜右上欄7行には、「信号をコヒーレントに結合するために、コヒーレントコンバイナ120が復調装置116および118の出力に結合される。遅延装置122および124は、相対位相および信号のタイミングが一致するように調節するためにコンバイナ120と復調装置116、118との間に設置される。一度信号がコヒーレントに結合されて1つのデジタル通信信号になると、情報は、さらに処理を行なう適切な複合回路に送信される。」と記載されている。 さらに、図9には、ビーム形成装置112、114と、復調装置116、118と、遅延装置122、124とコヒーレントコンバイナ120とが記載されている。 4)甲第4号証 甲第4号証は、G.L.Turinによる「Introduction to spread-spectrum antimultipath techniques and their application to urban digital radio」という題名の論文であって、 第329頁右欄下から8行〜下から4行には、「送信信号は、k個のパスを介して受信される。ここでkは、送信信号間で変化し得るランダムな数である。k番目のパスは、その強度ak、その変調遅延tk、およびそのキャリアの位相シフトθkの3つの変数によって特徴付けられる。」(異議申立人が提出した翻訳による。以下同様。)と、 第337頁左欄下から17行〜下から12行には、「多くの状況において、チャンネルの特徴量の測定は、事後的な統計量の誘導が可能な探索信号を利用することにより行なうことができる。そのような、探索信号は、探索のみに使用される特別な信号であってもよく、またデータ信号それ自体であってもよい。後者の場合には、探索とデータの伝送は同時に発生する。」と、 第337頁右欄下から24行〜下から13行には、「トランスバーサルフィルタへの入力は、マッチドフィルタの出力エンベロープであり、図6のXj(t)に示す。トランスバーサルフィルタの出力は、所定のタップの出力を重み付けした合計であり、合計に含まれるタップはパス遅延評価値tkに依存する。評価値tk(k=0、・・・、K-1)は、(ラインの右手端から測定されて)もっともtkの値に近い遅延を有するタップのアンプをオンするために用いられ、タップのアンプ中のK個が駆動される。そのとき、駆動されたタップのアンプのゲインは、関連する強度評価値akに比例して設定される。4つのパス応答を仮定した場合の、アンプのゲインが、図14に示される。」と、 第338頁右欄11行〜13行には、「この出力のメインのピークはt=T+Δに、すなわちxj(t)が図14に示すように並んでいる時に発生し、そのピークすべてが駆動されたタップに位置された状態となる。」と、 第338頁右欄下から14行〜下から11行には、「それぞれのエンベロープ探索機の出力xl(t)、l=1、・・・、M、は図14の形態のトランスバーサルフィルタに入力する。変数は探索受信機から得られることのできる評価値{^tk}、{^ak}により出される。」と記載されている。 さらに、図14には、複数のピークを取り込むようにタップが駆動されている状態が記載されている。 5)甲第5号証(特開昭57-186857号公報) 甲第5号証は、「受信装置」に係るものであって、 第1頁左欄4〜7行には、「スペクトラム拡散されたデータ信号に、データ信号用とは異なった拡散符号を同期用信号として重畳して送る直接拡散方式によるスペクトラム拡散通信において」と、 第1頁右欄10〜13行には、「従来、無線通信、特に移動通信の分野では建物や山などによって反射された電波が、主信号と同時に受信されフェージングを起こすことが大きな問題とされてきた。」と記載されている。 6)甲第6号証(特開昭64-44633号公報) 甲第6号証は、「RDS受信機におけるデータ制御装置」に係るものであって、 第3頁左下欄7〜11行には、「チェックワードに基づいて16bitの情報ワードのエラー検出が行なわれる。そして、エラー検出されたデータは次段のエラー訂正回路13でエラー訂正された後コントローラ14に供給される。」と記載されている。 (3)対比・判断 a.本件発明1に関して 本件発明1と甲第1号証〜甲第6号証に記載された発明とを対比すると、本件発明1の構成要件であるところの、「実質的に連続的に走査して、互いに関して結果的な時間差をそれぞれ有し直接シーケンススペクトル拡散情報信号のマルチパス伝播成分に対応する複数のマルチパス信号を受信し、前記複数の受信マルチパス信号を復調し、各受信マルチパス信号において各パイロット信号の信号強度と前記受信マルチパス信号のパイロット信号間での時間関係とを決定し、最大の信号強度および対応した時間関係の複数のパイロット信号を示す探索制御信号を供給し、各マルチパス伝播成分はパイロット信号も含む探索手段」と、「最大の信号強度の前記複数のマルチパス信号のそれぞれを受信して復調し、前記探索制御信号に応答して、最大の信号強度の前記複数のパイロット信号にそれぞれ対応する前記複数のマルチパス信号をそれぞれ復調して情報信号を供給し、前記最大の信号強度の複数のパイロット信号は、前記マルチパス信号のそれぞれの復調においてキャリア位相基準として用いられる受信手段」とを有する構成は、甲第1号証〜甲第6号証のいずれにも記載がない。また、甲第1号証〜甲第6号証において本件発明1の上記構成を示唆する記載を見出すこともできない。 そして、本件発明1は、上記構成を有することにより、直接シーケンススペクトル拡散信号を受信する受信機サブシステムにおいて、パイロット信号を含む各受信マルチパス信号を実質的に連続的に走査し評価することができ、受信機のおかれた環境変化にも素早く対応することができるので、マルチパスフェージングの環境下においても高品質の通信を維持することができるという作用・効果を奏するものである。 したがって、本件発明1は、甲第1号証〜甲第6号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 b.本件発明2〜6に関して 本件の請求項2〜6は、同請求項1を引用するものであって、本件発明2〜6は本件発明1の構成を全て有しているから、上記aで検討したとおり、本件発明2〜6は、甲第1〜6号証に記載された発明でないばかりか、甲第1〜6号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものでもない。 c.本件発明7に関して 本件発明7と甲第1号証〜甲第6号証に記載された発明とを対比すると、本件発明7の構成要件であるところの、「実質的に連続的に走査して、セルサイトにより送信されたパイロット信号のマルチパス伝播成分を含む入力信号を受信し、各マルチパス伝播パイロット信号は異なる伝播パスを進行して、コード位相において対応するパス依存オフセットを有し、前記マルチパス伝播パイロット信号の少なくとも1つの存在を検出するように異なるコード位相で走査し、それぞれ検出されたマルチパス伝播パイロット信号の信号強度を測定し、それぞれ検出されたマルチパス伝播パイロット信号のコード位相を決定し、最大の信号強度および対応したコード位相の複数のマルチパス伝播パイロット信号を示す複数の探索制御信号を供給する探索手段」と、「前記複数の探索制御信号を受信し、それぞれ各マルチパス伝播パイロット信号に対応している、前記セルサイトから送信された直接シーケンススペクトル拡散通信信号のマルチパス伝播成分をさらに含む前記入力信号を受信し、前記複数の探索制御信号に応答して、複数の対応する意図された受信ユーザ情報信号を抽出するように、最大の信号強度の前記マルチパス伝播パイロット信号に対応する前記直接シーケンススペクトル拡散通信信号の前記マルチパス伝播成分のあるものを直接シーケンススペクトル拡散処理し、前記抽出された意図された受信ユーザ情報信号を示す複数の対応した出力信号を供給し、前記最大の信号強度の前記複数のパイロット信号は前記直接シーケンススペクトル拡散処理においてキャリア位相基準として用いられる受信手段」とを有する構成は、甲第1号証〜甲第6号証のいずれにも記載がない。また、甲第1号証〜甲第6号証において本件発明7の上記構成を示唆する記載を見出すこともできない。 そして、本件発明7は、上記構成を有することにより、セルラ通信システムにおいて使用するための直接シーケンススペクトル拡散受信機において、パイロット信号を含む各受信マルチパス信号を実質的に連続的に走査し評価することができ、受信機のおかれた環境変化にも素早く対応することができるので、マルチパスフェージングの環境下においても高品質の通信を維持することができるという作用・効果を奏するものである。 したがって、本件発明7は、甲第1号証〜甲第6号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 d.本件発明8〜10に関して 本件の請求項8〜10は、同請求項7を引用するものであって、本件発明8〜10は本件発明7の構成を全て有しているから、上記cで検討したとおり、本件発明8〜10は、甲第1〜6号証に記載された発明でないばかりか、甲第1〜6号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものでもない。 e.本件発明11に関して 本件発明11と甲第1号証〜甲第6号証に記載された発明とを対比すると、本件発明11の構成要件であるところの、「実質的に連続的に走査して、少なくとも1つのパイロット信号のマルチパス伝播成分を含む入力信号を受信し、各パイロット信号が複数のセルサイトのそれぞれ1つによって送信され、各マルチパス伝播パイロット信号が異なる伝播パスを進行して、コード位相において対応したパス依存オフセットを有し、前記マルチパス伝播パイロット信号の少なくとも1つの存在を検出するように異なるコード位相で走査し、それぞれ検出されたマルチパス伝播パイロット信号の信号強度を測定し、それぞれ検出されたマルチパス伝播パイロット信号のコード位相を決定し、最大の信号強度および対応したコード位相の複数のマルチパス伝播パイロット信号を示す複数の探索制御信号を供給する探索手段」と、「前記複数の探索制御信号を受信し、前記複数のセルサイトの少なくとも1つによって送信された直接シーケンススペクトル拡散通信信号のマルチパス伝播成分をさらに含む前記入力信号を受信し、前記直接シーケンススペクトル拡散通信信号の各マルチパス伝播成分が各マルチパス伝播パイロット信号に対応し、前記複数の探索制御信号に応答して、複数の対応する意図された受信ユーザ情報信号を抽出するように、最大の信号強度の前記マルチパス伝播パイロット信号に対応する前記直接シーケンススペクトル拡散通信信号の前記マルチパス伝播成分のあるものを直接シーケンススペクトル拡散処理し、前記抽出された意図された受信ユーザ情報信号を示す複数の対応した出力信号を供給し、前記最大の信号強度の前記複数のパイロット信号は前記直接シーケンススペクトル拡散処理においてキャリア位相基準として用いられる受信手段」とを有する構成は、甲第1号証〜甲第6号証のいずれにも記載がない。また、甲第1号証〜甲第6号証において本件発明11の上記構成を示唆する記載を見出すこともできない。 そして、本件発明11は、上記構成を有することにより、セルラ通信システムにおいて使用するための直接シーケンススペクトル拡散受信機において、パイロット信号を含む各受信マルチパス信号を実質的に連続的に走査し評価することができ、受信機のおかれた環境変化にも素早く対応することができるので、マルチパスフェージングの環境下においても高品質の通信を維持することができるという作用・効果を奏するものである。 したがって、本件発明11は、甲第1号証〜甲第6号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 f.本件発明12〜14に関して 本件の請求項12〜14は、同請求項11を引用するものであって、本件発明12〜14は本件発明11の構成を全て有しているから、上記eで検討したとおり、本件発明12〜14は、甲第1〜6号証に記載された発明でないばかりか、甲第1〜6号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものでもない。 g.本件発明15に関して 本件発明15と甲第1号証〜甲第6号証に記載された発明とを対比すると、本件発明15の構成要件であるところの、「(a)少なくとも1つのパイロット信号のマルチパス伝播成分と(b)複数のセルサイトの少なくとも1つにより送信される直接シーケンススペクトル拡散通信信号のマルチパス伝播成分とを含む入力信号を受信し、各パイロット信号は複数のセルサイトそれぞれ1つにより送信され、各マルチパス伝播パイロット信号は異なる伝播パスを進行して、コード位相において対応するパス依存オフセットを有し、前記直接シーケンススペクトル拡散通信信号の各マルチパス伝播成分は各マルチパス伝播パイロット信号に対応し、前記マルチパス伝播パイロット信号の少なくとも1つの存在を検出するように異なるコード位相で前記入力信号を走査し、それぞれ検出されたマルチパス伝播パイロット信号の信号強度を測定し、それぞれ検出されたマルチパス伝播パイロット信号のコード位相を決定し、最大の信号強度および対応したコード位相のマルチパス伝播パイロット信号を示す探索信号を供給し、前記探索信号に応答して、対応する意図された受信ユーザ情報信号を抽出するように、最大の信号強度の前記マルチパス伝播パイロット信号に対応した前記直接シーケンススペクトル拡散通信信号の前記マルチパス伝播成分のものを直接シーケンススペクトル拡散処理し、前記最大の信号強度のパイロット信号は前記直接シーケンススペクトル拡散処理においてキャリア位相基準として用いられ、前記抽出された意図された受信ユーザ情報信号を示す対応した出力信号を供給する」という各ステップを有する構成は、甲第1号証〜甲第6号証のいずれにも記載がない。また、甲第1号証〜甲第6号証において本件発明15の上記構成を示唆する記載を見出すこともできない。 そして、本件発明15は、上記構成を有することにより、直接シーケンススペクトル拡散通信信号を使用するセルラ通信システムにおいて、パイロット信号を含む各受信マルチパス信号を実質的に連続的に走査し評価することができ、受信機のおかれた環境変化にも素早く対応することができるので、マルチパスフェージングの環境下においても高品質の通信を維持することができるという作用・効果を奏するものである。 したがって、本件発明15は、甲第1号証〜甲第6号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 h.本件発明16〜17に関して 本件の請求項16〜17は、同請求項15を引用するものであって、本件発明16〜17は本件発明15の構成を全て有しているから、上記gで検討したとおり、本件発明16〜17は、甲第1〜6号証に記載された発明でないばかりか、甲第1〜6号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものでもない。 3-3.ノキア・ジャパン株式会社による異議申立について (1)異議申立人ノキア・ジャパン株式会社は、証拠として甲第1号証〜甲第3号証(甲第1号証:”MATS-D Radio Transmission” DMR II,14-16 October 1986、甲第2号証:米国特許第4,601,047号、甲第3号証:特開昭63-108827号公報)を提出し、本件発明1ないし18は、甲第1号証に記載された発明であるか、または甲第1号証〜甲第3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に成し得たものであるから、本件発明1ないし18についての特許は、特許法第29条の規定に違反してなされたものであって、同法第113条第1項第2号の規定により取り消されるべきものであると主張している。 また、本件発明1-2,4-5においては、探索手段が「マルチパス信号」を処理の対象としているのに対して、国際出願日における国際出願の請求の範囲および明細書においては、探索手段または探索受信機の処理対象としているのは「パイロット信号」であって、本件発明1-2,4-5についての特許は、国際出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内にないので、同法第113条第1項第5号(特許法第184条の18第1項による読み替えを適用)の規定により取り消されるべきものであると主張している。 さらに、本件発明7,12-18に係る「各セルサイトは同じ拡散コードおよび予め定められた異なるコード位相のスペクトル拡散パイロット信号を送信」するという事項をいかにして実現するかについては発明の詳細な説明に全く記載されておらず、本件発明7,12-18は、発明の詳細な説明に、当業者が容易に実施できる程度に記載された発明ではないので、本件発明7,12-18についての特許は特許法第36条の規定に違反してなされたものであって、同法第113条第1項第4号の規定により取り消されるべきものであると主張している。 (2)甲第1号証〜甲第3号証に記載された技術事項 1)甲第1号証(”MATS-D Radio Transmission” DMR II,14-16 October 1986) 甲第1号証は、R.Beck等による「MATS-D Radio Transmission」という題名の論文であって、第1頁の項目1 Introduction の第2〜3行目に「(基地局から移動局へまたは移動局から基地局へ(base to mobile station or mobile to base station)」と、項目2の表題として「広帯域伝送の実施(Implementation of Wideband Transmission」と記載されており、図1にはその送信機の多重部の構成が、図2には送信部の構成が、図3には受信部の構成が、図4には受信機全体の構成がそれぞれブロック図で記載され、特に図4には、Sync Correlator (同期相関器)のブロック及びProfile Anakysis(プロファイル分析)のブロックが記載されている。 さらに、 第1頁下から8行〜下から7行には、「4つの音声チャネル(TCH)が通常のように時分割多重されて1つのCDMレイヤを形成する。」(異議申立人が提出した翻訳による。以下同様。)と、 第1頁下から4行には、「これら8つのCDM信号は」と、 第2頁10〜15行には、「2段目のIFにおいて受信信号は再生キャリアの2つの直交成分と混合される。この周波数レベルでは、モバイル環境における異なる受信パスのドップラシフトのために、位相と周波数に関する理想的なキャリア再生は不可能である。これは以下に説明する相関の後においてのみなし得る。したがってアナログ復調は単に周波数ロックループとして実現される。残留キャリアが検出され、平均周波数偏差がゼロになるように局発周波数が制御される。」と、 第2頁16〜18行には、「アナログ受信部から供給される複素ベースバンド信号r(l)は受信RF信号のすべての位相情報を含んでいる。」と、 第2頁21〜25行には、「遭遇した実際のマルチパスプロファイルを測定するため、複素ベースバンド信号uは基本的に同期シンボルに整合するFIRフィルタであるディジタル相関器に供給される。同期シンボルは同じキャリア上の他のコード信号と重なっていないから、比較的低い分解能でよい(入力信号が3ビットで計数が1ビット)。」と、 第2頁26〜29行には、「同期シンボルの受信の間、同期相関器の出力信号pは実際のマルチパスプロファイルを反映する。このプロファイルは最強の2つのパスの時間位置を検出する信号プロセッサにおいて分析されて、それらの各々について、そのパスにおいて受信された信号に位相ロックしたシンボルクロックであるいわゆる”パスクロック”を生成する。」と、 第2頁30〜36行には、「各受信パスについて全ての必要なタイミング情報がパスクロックにおいて得られているから、受信信号とデータコード候補との相関は、プロファイル測定に必要な連続的な相関よりも著しく容易である。各パス信号はそれぞれのいわゆる「パスレシーバ」において処理され、それはまず第1に与えられたパスクロックに同期して2つのデータコード候補AおよびBを生成する。受信されたベースバンド信号との相関は乗算と積算により簡単に達成される。この処理の結果は1シンボルあたり2つの複素値VAkおよびVBkである。」と、 第2頁44〜46行には、「結果としてすべてのパス信号は付加白色ガウス雑音(AWGN)による外乱のもとで最適なやり方で同相で振幅重み付けされる。」と、 第3頁3〜10行には、「第2ステップにおいて、プロファイル値の位相が推定される。この処理は(位相が中間的な一定値にとどまると仮定して)プロファイル値pkの位相角の測定のみを基礎とすることができれば非常に簡単である。例えばゆっくり動く携帯機に対してはこれが適用できる。しかしながら車両の最大速度に関しては、連続する同期シンボルの時間間隔(2/3ms)は中間的な一定の位相を仮定するには大き過ぎる。したがって、位相推定値は各データシンボルの受信後に(すなわち25μsec毎に)更新される。これは各パスにおいて1シンボルあたりに1回、複素相関値VAkおよびVBkを分析することによりなされる。」と、 第3頁18〜19行には、「マルチパス受信の影響が補償された後、シンボルの推定は2段階で行われる。」と、 第3頁24〜25行には、「したがって、この差分値は、エラー訂正性能を改善するために、チャンネルデコーダにおいて使われるチャンネル測定情報CMIとされる。」と記載されている。 2)甲第2号証(米国特許第4,601,047号) 甲第2号証は、「CODE DIVISION MULTIPLEXER USING DIRECT SEQUENCE SPREAD SPECTRUM SIGNAL PROCESSING」に係る米国特許明細書であって、その第3欄14〜17行には、「(複数の)送信機は各送信機位相が他のコードに対して少なくとも1ビットだけシフトされたコードの共通の(1つの)最大長系列(M系列)を生成する」(異議申立人が提出した翻訳による。)と記載されている。 3)甲第3号証(特開昭63-108827号公報) 甲第3号証は、「衛星または遠隔地中継器を使用するスプレッドスペクトラム多重アクセス通信システム」に係るものであって、第26頁左上欄15〜20行には、「伝送された信号には、パイロットチップシーケンスとして規定される位相のコヒーレントなチップ同期式チップシーケンスが挿入される。この予め規定され発生したチップシーケンスは位相および時間捕捉とトラッキング、および多重路訂正を行なう新規方法である。」と記載されている。 (3)対比・判断 上記甲1〜3号証には、上記3-2.(3)対比・判断、で示したのと同様に、本件発明1〜17の構成要件についての記載はない。 したがって、上記3-2.(3)対比・判断、で示したのと同様の理由により、本件発明1〜17は、甲第1〜3号証に記載された発明であるとも、また、甲第1〜3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとも言えない。 (異議申立理由 第113条第1項第5号(第184条の18第1項による読替)について) 異議申立人ノキア・ジャパン株式会社は、異議申立ての理由として、本件発明1-2、4-5においては、探索手段が「マルチパス信号」を処理の対象としているのに対して、国際出願日における国際出願の請求の範囲および明細書においては、探索手段または探索受信機の処理対象としているのは「パイロット信号」であって、本件発明1-2、4-5についての特許は、国際出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内にないので、同法第113条第1項第5号(特許法第184条の18第1項による読み替えを適用)の規定により取り消されるべきものである旨主張しているが、上記訂正事項Dにより、訂正後の請求項1おいては、探索手段が受信し処理するマルチパス信号にはパイロット信号も含まれるという構成を備えることとなり、そして、この請求項1を引用する請求項2〜6においても、当然この構成を備えることとなるので、上記の理由は解消されたものと認められ、上記異議申立人の主張は採用することができない。 (異議申立理由 第36条記載不備について) 異議申立人ノキア・ジャパン株式会社は、その特許異議申立書の第32頁第2〜11行において、「請求項7,12,16において、『各セルサイトは同じ拡散コードおよび予め定められた異なるコード位相のスペクトル拡散パイロット信号を送信』する旨の記載があるが、これをいかにして実現するかについては発明の詳細な説明に全く記載されていない。例えば、他セルサイトのコード位相を知る手段、或いはセルサイト間の何らかの同期手段がなければ各セルサイトが異なるコード位相で送信することは不可能である。したがって、請求項7,12,16及びそれらに従属する請求項に係る発明、すなわち、請求項7,12-18にかかる発明は、発明の詳細な説明に、当業者が容易に実施できる程度に記載された発明ではない。」と主張している。 しかしながら、各セルサイトが異なるコード位相で送信するためには、異議申立人も認識しているように「他セルサイトのコード位相を知る手段、或いはセルサイト間の何らかの同期手段」を備えておればよいこと、そしてこのような手段を容易に構成し得ることは、当業者にとって自明と認められるから、本件特許明細書において、特許異議申立人のいうような記載不備はない。 4.むすび 以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件発明1ないし17についての特許を取り消すことはできない。 また、他に本件発明1ないし17についての特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 CDMAセルラ電話システムにおけるダイバーシティ受信機 【発明の詳細な説明】 I.発明の分野 本発明はセルラ電話システムに関する。特に、本発明はセルラ電話環境における信頼性および通信を向上させる新しい改良された受信機の設計に関する。 II.従来技術の説明 コード分割多元接続(CDMA)変調技術の使用は、非常に多数のシステムユーザが存在している通信を容易にするいくつかある技術の1つである。時間分割多元接続(TDMA)、周波数分割多元接続(FDMA)のような他の技術および振幅圧縮単一測波帯(ACSSB)のようなAM変調技術が知られているが、CDMAはこれらの他の技術に対して大きい利点を有する。多元接続通信システムにおけるCDMA技術の使用は、本発明の譲受人に譲渡され、その開示がここに参照のために組み込まれ、現在米国特許第4,901,307号明細書となっている1986年10月17日出願の“SPREAD SPECTRUM MULTIPLE ACCESS COMMUNICATION SYSTEM USING SATELLITE OR TERRESTRIAL REPEATERS”)と題する米国特許出願第06/921,261号に記載されている。 上記の特許明細書において、トランシーバをそれぞれ有する非常に多数の移動体電話システムユーザがコード分割多元接続(CDMA)スペクトル拡散通信信号を使用する衛星中継装置または地球基地局(セルサイトステーション、すなわちセルサイトとしても知られている)を通して通信する多元接続技術が示されている。CDMA通信を使用することによって、周波数スペクトルは多数回再使用することができ、したがってシステムユーザ容量を向上させることが可能となる。CDMAの使用は結果的に他の多元接続技術を使用して実現され得るよりかなり高いスペクトル効率をもたらす。CDMAシステムにおいて、システム容量の向上は別のシステムユーザへの干渉を減少するように各移動体ユーザの送信電力を制御することによって実現することができる。 CDMA通信技術の衛星適用において、移動体ユニットトランシーバは衛星中継器を介して受信された信号の電力レベルを測定する。衛星トランスポンダダウンリンク送信電力レベルおよび移動体ユニット受信機の感度の知識と共にこの電力測定値を使用して、移動体ユニットトランシーバは移動体ユニットと衛星との間のチャネルのパス損失を評価することができる。移動体ユニットトランシーバは移動体ユニットと衛星との間における信号送信のために使用される適切な送信電力を決定し、パス損失測定、送信データレートおよび衛星受信機感度を考慮に入れる。 移動体ユニットによって衛星に送信された信号は衛星によってハブ制御システム地球ステーションに中継される。ハブはそれぞれアクティブな移動体ユニットトランシーバによって送信された信号から受信信号電力を測定する。ハブは所望の通信を維持するために必要な受信電力レベルにおける偏差を決定する。所望の電力レベルはシステム干渉を結果的に減少させるように、高品質の通信を維持するために必要な最小の電力レベルであることが好ましい。 ハブは移動体ユニットの送信電力を調節または“微調節”するように各移動体ユーザに電力制御命令信号を送信する。この命令信号は所望の通信を維持するために必要とされる最小レベルに近くなるよう送信電力レベルを変化させるように移動体ユニットによって使用される。典型的に移動体ユニットの移動のためにチャネル状態が変化すると、移動体ユニット受信機電力測定およびハブからフィードバックされた電力制御の両者は適切な電力レベルを維持するように送信電力レベルを連続的に再調節する。ハブからフィードバックされた電力制御は一般に1秒のほぼ1/2の伝播時間を必要とする衛星を通る往復遅延のために非常に遅い。 衛星または地球基地局システムとの間における1つの重要な相違は移動体ユニットと衛星またはセルサイトを分離する相対的な距離である。衛星対地上システムの別の重要な相違はこれらのチャネルにおいて生じるフェージングのタイプである。したがって、これらの相違は地上システムに対するシステム電力制御の方法における種々の改良を必要とする。 衛星/移動体ユニットチャネル、すなわち衛星チャネルにおいて、衛星中継器は通常地球静止軌道に配置されている。このようにして、移動体ユニットは衛星中継器から全てほぼ同じ距離であり、したがってほぼ同じ伝播損失を受ける。さらに、衛星チャネルはほぼ逆平方の法則に従う伝播損失特性を有する。すなわち、伝播損失は移動体ユニットと使用されている衛星中継器との間の距離の平方に逆比例する。したがって、衛星チャネルにおける距離変化によるパス損失の変化は典型的に1乃至2dB程度である。 衛星チャネルと反対に、地上/移動体ユニットチャネルすなわち地上チャネルにおいては、移動体ユニットとセルサイトとの間の距離は大きく変化することがある。例えば、1つの移動体ユニットはセルサイトから5マイルの距離に位置し、一方別の移動体ユニットは数フィート離れて位置していてもよい。距離の変化は100対1の係数を越えることがある。地上チャネルは衛星チャネルが行ったように伝播損失特性を受ける。しかしながら、地上チャネルにおける伝播損失特性は逆の4乗法則に対応する。すなわちパス損失はパス距離の4乗の逆数に比例する。したがって、5マイルの半径を有するセルにおいてほぼ80dBを越えるパス損失変化が生じる可能性がある。 衛星チャネルは典型的にRicianとして特徴付けられるフェージングを経験する。したがって、受信された信号はレイリーフェージング統計を持つ複数反射成分と合計された直接成分からなる。直接成分と反射成分との間の電力比は典型的に6乃至10dB程度であり、移動体ユニットアンテナの特性および移動体ユニットの周囲の環境に依存する。 地上チャネルと衛星チャネルを対比すると、地上チャネルは典型的に直接成分のないレイリーフェージング成分から成る信号フェージングを経験する。したがって、地上チャネルはRicianフェージングが優先的なフェージング特性である衛星チャネルより厳しいフェージング環境を与える。 地上チャネル信号におけるレイリーフェージング特性は物理的な環境の多数の異なる特性から反射された信号によって発生する。結果として、信号は異なる送信遅延を有して多数の方向からほぼ同時に移動体ユニット受信機に到達する。セルラ移動体電話システムを含む移動体無線通信に対して通常使用されるUHF周波数帯域において、異なるパス上を進行する信号において大きい位相差が生じる。信号の破壊的合計の可能性が生じ、しばしば深いフェージングが発生する。 地上チャネルフェージングは、移動体ユニットの物理的な位置の非常に強い関数である。移動体ユニットの位置における小さい変化は全ての信号伝播パスの物理的な遅延を変化させ、これはさらに各パスに対して異なる位相を生じさせる。したがって、例えば移動体の移動は結果的に850MHzセル無線周波数帯域で非常に速くなり、このフェージングは典型的に移動体速度の1マイル/時間当りの1秒当り1フェージングと同じくらい速くなることがある。この程度のフェージングは地上チャネルにおける信号に対してかなり破壊的であり、結果的に低い通信品質になる可能性がある。しかしながら、フェージングの問題を克服するために追加的な送信電力を使用することができる。 地上セルラ移動体電話システムは、典型的に通常の有線電話システムによって提供されるような電話会話を同時にアクティブにさせるために全二重チャネルを提供することが必要である。この全二重無線チャネルは通常アウトバウンドリンク、すなわちセルサイト送信機から移動体ユニット受信機への送信に対して1つの周波数帯域を使用することによって提供される。インバウンドリンク、すなわち移動体ユニット送信機からセルサイト受信機への送信に対して異なる周波数帯域が使用される。したがって、この周波数帯域分離はフィードバックや送信機から受信機への干渉なしで、移動体ユニット送信機および受信機を同時にアクティブにさせる。 通常のセルラ電話システムにおいて、利用可能な周波数帯域は帯域幅内で典型的に30KHzのチャネルに分割され、一方アナログFM変調技術が使用される。システムサービス領域は変動する大きさのセルに幾何学的に分割される。利用可能な周波数チャネルはセットに分割され、各セットは通常等しい数のチャネルを含んでいる。周波数セットは共通チャネル干渉の確率を最小にするようにセルに割当てられている。例えば7つの周波数セットが存在し、セルが等しい大きさの6角形であるシステムを考慮する。1つのセルにおいて使用される周波数セットは6つの最も近い、すなわちそのセルを包囲している近隣のセルにおいて使用されない。さらに、1つのセル中での周波数セットはそのセルの2番目に近い12個の近隣セルにおいても使用されない。 通常のセルラ電話システムにおいて行われるハンドオフ技術は、移動体電話機が2つのセルの間の境界を横断したときに通話を連続させるように意図されている。あるセルから他のセルへのハンドオフは通話を処理するセルサイト受信機が移動体電話から受信された信号強度が予め定められたしきい値より下になったことを認めたときに開始される。低い信号強度表示は移動体電話がセル境界の近くにあるに違いないことを意味する。信号レベルが予め定められたしきい値より下になったとき、セルサイトは隣接したセルサイトが現在のセルサイトより良好な信号強度を持つ移動体電話信号を受信するか否かを決定することをシステム制御装置に要求する。 現在のセルサイト要求に応答するシステム制御装置は、ハンドオフ要求により隣接したセルサイトにメッセージを送信する。現在のセルサイトに隣接したセルサイトは、特定されたチャネル上の移動体ユニットからの信号を捜す特別の走査受信機を使用する。隣接したセルサイトの1つがシステム制御装置に対して適切な信号レベルを報告した場合、ハンドオフが試みられる。 ハンドオフは新しいセルサイトにおいて使用されるチャネルセットから空いているチャネルが選択されたときに開始される。移動体電話機に現在のチャネルから新しいチャネルに切替えるように命令する制御メッセージが移動体電話機に送られる。同時に、システム制御装置は第1のセルサイトから第2のセルサイトに通話を切替える。通常のシステムにおいて、フェージングを克服する際にダイバーシティ受信ができないブレイクビフォーメイクスキムが使用される。 さらに、移動体電話機がチャネルを切替える命令を聞くことができない場合、ハンドオフは失敗する。実際の動作経験はシステムの信頼性を低くするハンドオフの失敗が頻繁に発生することを示している。 通常のセルラ電話システムにおいて、パスフェージングは通信に悪影響を及ぼし、通話サービスにおいて破壊を発生させることがある。したがって、本発明の目的はセルラ電話システムにおいて1つ以上のセルサイトから送信された最も強い信号の受信および処理を容易にする受信機設計を提供することであり、これらの信号は単一のセルサイトからのマルチパス信号または複数のセルサイトによって送信された信号である。 発明の要約 CDMAセルラ電話システムにおいて、同じ周波数帯域が全てのセルの通信に対して使用される。処理利得を提供するCDMA波形特性も同じ周波数帯域を占有する信号間を識別するために使用される。さらに、高速疑似雑音(PN)変調は、パス伝播遅延における差がPNチップ期間すなわち1/帯域幅を越えた場合に多数の異なる伝播パスを分離させる。1MHzのPNチップレートがCDMAシステムにおいて使用された場合、システムデータレートに対する拡散帯域幅の比率に等しい完全なスペクトル拡散処理利得を、所望のパスからパス遅延で1マイクロ秒より多く異なっているパスに対して使用することができる。1マイクロ秒のパス遅延差は1,000フィートのパス長差に対応する。都市環境は典型的に1マイクロ秒を越えるパス遅延差を提供し、いくつかの領域では10乃至20マイクロ秒まで報告されている。 通常の電話システムによって使用されるアナログFM変調のような狭帯域変調システムにおいて、マルチパスの存在は結果的に深刻なマルチパスフェージングになる。しかしながら、広帯域CDMA変調を用いると、復調処理の際に異なるパスを識別することができる。この識別はマルチパスフェージングの影響を大幅に減少させる。マルチパスフェージングは、特定のシステムに対する最小のパス遅延より小さい遅延差を持つパスがしばしば存在しているためCDMA識別技術を使用しても完全には除去されない。この程度のパス遅延を有する信号は復調器において識別することができない。したがって、システムはさらにフェージングの影響を減少するためにダイバーシティを提供することが望ましい。 フェージングの悪影響は、CDMAシステムにおける送信機電力を制御することによって制御することができる。セルサイトおよび移動体ユニットの電力制御に対するシステムは、本発明の出願人により1989年11月7日に出願され、本発明の譲受人に譲渡された、“METHOD AND APPARATUS FOR CONTROLLING TRANSMISSION POWER IN A CDMA CELLULAR MOBILE TELEPHONE SYSTEM”と題する留保中の米国特許出願第07/433,031号明細書に開示されている。さらに、マルチパスフェージングの影響は、ハンドオフ処理中に移動体ユニットがセルサイトと通信しながらセルサイトサービス領域間において転移しているときに、ハンドオフモードにおいて減少させることができる。ハンドオフスキムは、本発明の出願人により1989年11月7日に出願され、本発明の譲受人に譲渡された、“SOFT HANDOFF IN A CDMA CELLULAR TELEPHONE SYSTEM”と題する留保中の米国特許出願第07/433,030号明細書に開示されている。 マルチパスの存在は広帯域PN CDMAシステムにパスダイバーシティを提供することができる。2つ以上のパスが1マイクロ秒より大きいパス遅延差で利用できる場合、これらの信号を分離して受信するように2つ以上のPN受信機を使用することができる。これらの信号は典型的にマルチパスフェージングにおける独立性を呈し、すなわちそれらは通常一緒にフェージングせず、2つの受信機の出力はダイバーシティ結合させることができる。したがって、特性における損失は両受信機が同時にフェージングを経験したときにのみ生じる。したがって、本発明の1つの観点はダイバーシティ結合器と組合わせて2つ以上のPN受信機を提供することである。 本発明の別の観点は、移動体ユニットが物理的環境を移動したときにマルチパスの数およびそれらの信号強度が絶えず変化することである。したがって、本発明はマルチパス環境における信号の存在、その信号の時間ドメインにおける位置、およびその信号の相対的な信号強度を決定するためにチャネルの時間ドメインを絶えず走査する探索受信機と呼ばれる特別な受信機を使用する。探索受信機は異なるパスで利用できる最も良い信号を追跡するときにデータ受信機を制御する。 CDMAセルラ電話システムにおいて、各セルサイトは複数の変調器-復調器ユニットすなわちスペクトル拡散モデムを有している。各モデムはデジタルスペクトル拡散送信変調器、少なくとも1つのデジタルスペクトル拡散データ受信機、および探索受信機から構成される。セルサイトにおける各モデムは移動体ユニットとの通信を行う必要があるため移動体ユニットに割当てられている。したがって、多数の例において多数のモデムが利用可能であり、一方その他は各移動体ユニットとの通信においてアクティブであることができる。ソフトハンドオフスキムは、新しいセルサイトモデムが移動体ユニットに割当てられ、一方古いセルサイトが通話を連続的にサービスし続けるCDMAセルラ電話システムに対して使用される。移動体ユニットが2つのセルサイト間の転移領域に位置するとき、信号強度の指示に応じてセルサイト間において通話を切替えることができる。移動体ユニットは常に少なくとも1つのセルサイトを通じて通信されるため、移動体ユニットに対してまたはサービスにおいて生じる破壊的な影響はない。本発明は、移動体ユニットにおいて複数の受信機を使用し、これらはハンドオフ処理または単一セルにおけるダイバーシティ機能でも使用される。 CDMAセルラ電話システムにおいて、各セルサイトは“パイロットキャリア”信号を送信する。このパイロット信号は最初のシステム同期を行い、セルサイト伝送信号の強い(robust)時間、周波数および位相追跡を行うために移動体ユニットによって使用される。 各セルサイトはまたセルサイト識別、システムタイミング、移動体ページング情報および種々の他の制御信号のようなスペクトル拡散変調情報からなる“セットアップ”チャネルを提供する。各セルサイトから送信されたパイロット信号は同じ拡散コードであるが、異なるコード位相オフセットを持つ。位相オフセットによりパイロット信号を互いに識別することができ、結果的にそれらが生じたセルサイト間の識別を与える。同じパイロット信号コードの使用により、全パイロット信号コード位相を通じて一度の探索で移動体ユニットがシステムタイミング同期を発見することができる。各コード位相に対する相関処理によって決定されたような最も強いパイロット信号を容易に識別することができる。識別されたパイロット信号は最も近いセルサイトによって送信されたパイロット信号に対応する。 最も強いパイロット信号の獲得、すなわち最も強いパイロット信号による移動体ユニットの最初の同期のときに、移動体ユニットはそのセルサイトの適切なセットアップチャネルを探索する。セットアップチャネルは複数の異なる予め定められたスペクトル拡散コードの1つを使用するセルサイトによって送信される。本発明の実施例において、21個の異なるコードが使用される。しかしながら、それより多い、或は少ないコードがシステムパラメータによって決定されるセットアップチャネルにおいて使用できることが理解されなければならない。移動体ユニットはセットアップチャネルにおいて使用される異なる全コードの探索を開始する。 移動体ユニットがそのセルサイトに適切なセットアップコードを識別したとき、システム情報が受信され処理される。移動体ユニットはさらに制御メッセージのためにセットアップチャネルを監視する。1つのこのような制御メッセージは通話がこの移動体ユニットへ伝送されるのを待っていることを示す。 移動体ユニットは、パイロット信号を送信した隣接したセルサイトに対応するコードオフセットにおいて、受信パイロットキャリア信号コードを連続的に走査する。この走査は隣接したセルから生じたパイロット信号が最初に最も強いと決定されたパイロット信号より強くなるか否かを決定するために行われる。この通話のインアクティブモードにおいて、隣接したセルサイトのパイロット信号が最初のセルサイトが送信したパイロット信号よりも強くなった場合、移動体ユニットは新しいセルサイトのより強いパイロット信号および対応したセットアップチャネルを獲得する。 通話が開始されるときに、この通話中に使用するために疑似(PN)コードアドレスが決定される。コードアドレスはセルサイトによって割当てられるか、或は移動体ユニットの識別符号に基づいた前取決めによって決定される。通話が開始された後、移動体ユニットは隣接したセル中に配置されたセルサイトによって送信されたパイロット信号を連続的に走査する。パイロット信号走査は隣接したセルサイト送信パイロット信号の1つが、移動体ユニットが通信しているセルサイトによって送信されたパイロット信号より強くなるかどうかを決定するために連続して行われる。隣接したセルに配置されたセルサイトによって送信されたパイロット信号が現在のセル中のセルサイトによって送信されたパイロット信号より強くなった場合、新しいセルに入り、ハンドオフが開始されなければならないことを移動体ユニットに示す。このパイロット信号強度決定に応答して、移動体ユニットは制御メッセージを発生し、現在通話をサービスしているセルサイトに伝送する。新しいセルサイト送信パイロット信号が現在のセルサイト送信パイロット信号より強いことを示すこの制御メッセージはシステム制御装置に供給される。この制御メッセージは新しいセルサイトおよびPNコードを識別する情報をさらに含む。システム制御装置に中継された制御メッセージは、識別された新しいセルサイトへの移動体ユニットのハンドオフが開始されるべきであると解釈される。 システム制御装置はハンドオフ処理を開始する。ハンドオフ中、ハンドオフ処理を経験する特定の移動体ユニットのPNコードアドレスを変化させる必要はないことが理解されなければならない。システム制御装置は新しいセルサイトに配置されたモデムを通話に割当てることによってハンドオフを開始する。このモデムに移動体ユニットと現在のセルサイトモデムとの間で通信している通話と関連されたPNアドレスが与えられる。通話をサービスするように割当てられた新しいセルサイトモデムは移動体ユニット送信信号を探索し、発見する。セルサイトモデムはまたアウトバウンド信号を移動体ユニットに送信し始める。移動体ユニットは新しいセルサイトによって提供された信号およびセットアップチャネル情報にしたがってこのアウトバウンド信号を探索する。 新しいセルサイトモデム送信信号が獲得されたときに、移動体ユニットはこの信号のリスニングに切替えられる。移動体ユニットはハンドオフが終了したことを示す制御メッセージを送信する。制御メッセージは古いおよび新しいセルサイトのモデムの一方または両方によってシステム制御装置に与えられる。この制御メッセージに応答して、システム制御装置は新しいセルサイトモデムに通話を切替え、一方古いセルサイトモデムを通る通話を遮断する。古いセルサイトモデムは再割当てに利用できる一群の空きモデムとなる。 しかしながら、移動体ユニットが、セルサイト信号がマルチパス信号である単一のセルサービス領域内にある場合、対応したセルサイト送信信号は移動体ユニットで受信される可能性がある他のセルサイトの送信信号より強い。単一セル動作モードにおいて、探索受信機はマルチパス信号を監視し、種々のマルチパスで受信された最も強いものを識別する。探索受信機は移動体ユニット制御プロセッサにこの情報を提供し、この移動体ユニット制御プロセッサはこれらの最も強いパス上で信号を追跡するようにデータ受信機に命令する。信号はそれらがダイバーシティ結合器に供給されるデータ受信機から出力される。 通話ハンドオフ中、種々のセルサイトとの移動体ユニット通信はパスダイバーシティにさらされる。これらの通信はまたダイバーシティ結合のために移動体ユニットにおいて複数の受信機によって処理される。さらに、種々のセルサイトを通じて送信された信号はシステム制御装置におけるダイバーシティ結合器において結合される。本発明はさらにハンドオフ以外のときにセルサイトダイバーシティモードとしてここで呼ばれているものを許容する。このモードにおいて、移動体ユニットは進行ベースで種々のセルサイトと通信することが許容される。 セルサイトダイバーシティモードにおいて、2つセルサイトにより処理されている通話を参照して先に説明したように、通話は中間状態をとることができる。本発明の移動体電話を参照してここに示された実施例において、トータルで3つの復調プロセッサまたは受信機が使用される。受信機の1つは走査機能にために使用され、一方2つの別の受信機は2チャネルダイバーシティ受信機として使用される。単一セルにおける動作中、走査受信機は移動体ユニットへマルチパス上を進むセルサイト送信信号を発見しようと試みる。これらのマルチパス信号は典型的に地勢、ビルディングまたは他の信号障害物からの信号の反射によって生成される。2つ以上のこのような反射が発見されたとき、2つの受信機は2つの最も強いパスに割当てられる。走査受信機はマルチパスを連続的に評価して、パス状態が変化したときに2つの最も強いパス上の信号と2つの受信機の同期を維持する。 セルサイトダイバーシティモードにおいて、各セルサイトからの最も強い2つのパスは探索受信機によって決定される。2つの受信機は最初のセルサイトおよび新しいセルサイトから利用できるパスの最も強い2つのパスの信号を復調するように割当てられる。データ復調処理はダイバーシティ組合せ動作において、これらの受信機の両方からの情報を使用する。このダイバーシティ組合せ動作の結果は、マルチパスセルラ電話環境において生じ得る有害なフェージングに対する大きく改良された抵抗性を与える。 本発明は移動体セルラ電話システムにおける通信の品質および信頼性を大きく進展させるダイバーシティ組合せを使用する。本発明において、最大比の組合せの形態が使用される。信号対雑音比は相応して荷重される2つのパスからの影響と組合せられた両パスに対して決定される。組合せは、パイロット信号復調が各パスの位相を決定させるためコヒーレントである。 移動体ユニットから2つのセルサイトまでのパスにおいて、両セルサイトに移動体ユニット送信信号を復調させることによってもパスダイバーシティ受信が得られる。両セルサイトは、セルサイト受信機における信号品質の指示と共にシステム制御装置にそれらの復調されたデータ信号を転送する。システム制御装置は移動体ユニット信号のうちの2つの信号を結合し、最高の品質表示を持つ信号を選択する。良好なダイバーシティ組合せ処理が使用できるようにするためにデコードされない、または復調されていない信号をシステム制御装置に送信することができることが理解されなければならない。 システム制御装置は新しいセルサイトにおけるモデムに通話を接続することによって応答する。システム制御装置は2つのセルサイトによって受信された信号のダイバーシティ組合せを実行し、一方移動体ユニットは2つのセルサイトから受信された信号のダイバーシティ組合せを行う。セルサイトダイバーシティモードは、両セルサイトから受信された信号が良好な品質の復調を許容するのに十分なレベルである限り連続する。 移動体ユニットは他のセルサイトから送信された信号の探索を継続する。第3のセルサイト送信信号が最初の2つのセルサイト信号の一方より強くなる場合、制御メッセージが少なくとも1つの現在のセルサイトを介して移動体ユニットによってシステム制御装置に送信される。制御メッセージはハンドオフに対するこのセルサイトの識別符号および要求を示す。システム制御装置は3つのうち最も弱いセルサイト信号を介して通信される通話を遮断し、一方2つの最も強いセルサイトを介して通話を提供する。移動体ユニットが3つの受信機のような付加的な受信機を具備するならば、3重セルサイトダイバーシティモードが行われる。 セルサイトダイバーシティモードは、1つのセルサイトだけが品質復調のために適切な信号を供給することを移動体ユニットが決定したときに終了される。移動体ユニットはセルサイトダイバーシティモードの終了の際に通信で残っているセルサイトを示す制御メッセージを送る。セルサイトダイバーシティモードはまた、この動作モードに対する全移動体ユニット要求をサポートするために利用できるモデム数が不十分なためにシステムが過負荷となる場合に、システム制御装置によって終了される。論じられたようなセルサイトダイバーシティモードは、セルサイトダイバーシティモードで動作する移動体ユニットでなされた決定によって行われる。しかしながら、セルサイトダイバーシティモードはシステム制御装置においてなされたこのモードでの動作に対する決定により行われることができることが理解されなければならない。セルサイト受信機は上記の複数の受信機構造を使用して、1PNチップ差遅延より大きい遅延で進行して移動体ユニットからセルサイトに複数の信号が到達したときにダイバーシティ受信を行うことができることも理解しなければならない。 本発明は、マルチパス信号をコヒーレントに結合することによって信号フェージングの減少に関して通常のセルラ電話システムに対する実質的な改良を提供する。 図面の簡単な説明 本発明の特徴および利点は図面を参照した部分に付されている以下の詳細な説明からさらに明らかになるであろう。図において同じ参照符号は対応している。 図1は本発明の1実施例のCDMAセルラ電話システムの概略全体図である。 図2はCDMAセルラ電話システムにおけるCDMA通信に対して構成された移動体ユニット電話機のブロック図である。 図3はCDMAセルラ電話システムにおけるセルサイト装置のブロック図である。 図4は移動体電話スイッチング局装置のブロック図である。 好ましい実施例の詳細な説明 本発明の1実施例の電話システムが図1に示されている。図1に示されたシステムはシステム移動体ユニットまたは移動体電話機間の通信においてCDMA変調技術を使用する。大都市のセルシステムは数千の移動体電話機のうち数百をサービスする数百のセルサイトステーションを有する。CDMA技術の使用は通常のFM変調セルシステムと比較してこの大きさのシステムにおけるユーザ容量を容易に高める。 図1において、システム制御装置およびスイッチ10はまた移動体電話スイッチング局(MTSO)と呼ばれ、典型的にセルサイトにシステム制御を提供するようにインターフェイスおよび処理回路を含む。制御装置10はまた適切な移動体ユニットへの送信のために公衆電話交換回路網(PSTN)から適切なセルサイトへの電話通話のルーティングを制御する。制御装置10はまた少なくとも1つのセルサイトを介して移動体ユニットからPSTNへの通話のルーティングを制御する。制御装置10は、このような移動体ユニットが典型的に互いに直接通信しないために、適切なセルサイトステーションを介して移動体ユーザ間の通話を導く。 制御装置10は専用の電話線、光ファイバリンクのような種々の手段またはマイクロ波通信リンクによってセルサイトに結合される。図1において、セルラ電話機をそれぞれ含む移動体ユニット16および18と共に2つのこのような例示的セルサイト12および14が示されている。矢印20a-20bおよび22a-22bはそれぞれセルサイト12と移動体ユニット16および18との間において可能な通信リンクを限定する。同様にして、矢印24a-24bおよび26a-26bはそれぞれセルサイト14と移動体ユニット16および18との間において可能な通信リンクを規定する。セルサイト12および14は通常等しい電力を使用して送信する。 セルサイトサービス領域またはセルは、移動体ユニットが通常1つのセルサイトに最も近くなるような幾何学的な形状に設計されている。移動体ユニットは空き、すなわち実行されている通話がないとき、付近の各セルサイトからのパイロット信号送信を絶えず監視する。図1に示されているようにパイロット信号はそれぞれ各セルサイト12および14によって通信リンク20aおよび26aで移動体ユニット16に送信される。移動体ユニットは、これらの特定のセルサイトから送信されたパイロット信号の信号強度を比較することによって自己が存在するのがどのセルかを決定する。 移動体ユニット16はセルサイト12および14によってパス20aおよび26a上で送信されたパイロット信号中の総受信電力を測定する。同様にして、移動体ユニット18はセルサイト12および14によってパス22aおよび24a上で送信されたパイロット信号中の総受信電力を測定する。各移動体ユニット16および18において、パイロット信号電力は受信機中で測定され、信号は広帯域信号である。したがって、この電力測定は疑似雑音(PN)スペクトル拡散信号と受信信号の相関の前に行われる。 移動体ユニット16がセルサイト12に近い場合、受信された信号電力はパス20a上を進行している信号が優位を占める。移動体ユニット16がセルサイト14に近い場合、受信された信号電力はパス26a上を進行している信号が優位を占める。同様にして移動体ユニット18がセルサイト14に近い場合、受信された電力はパス24a上の信号が優位を占める。移動体ユニット18がセルサイト12に近い場合、受信された電力はパス22a上を進行する信号が優位を占める。 各移動体ユニット16および18は、最も近いセルサイトに対するパス損失を評価するときに、セルサイト送信電力および移動体ユニットアンテナ利得と共に結果的として得られる測定値を使用する。移動体アンテナ利得およびセルサイトG/T(受信機雑音レベルTで除算された受信アンテナ利得G)の知識と共に評価されたパス損失は、セルサイト受信機における所望のキャリア対雑音比を得るために要求される公称送信機電力を決定するために使用される。セルサイトパラメータの移動体ユニットによる知識は、特定のセルサイトに対して公称的な状態以外を示すために、メモリにおいて固定されるか或はセットアップチャネルのようなセルサイト情報放送信号で送信される。 図1に示された例において、移動体ユニット16はセルサイト12に最も近いと考えられる。移動体ユニット16が通話を開始するとき、制御メッセージは最も近いセルサイトであるセルサイト12に送信される。セルサイト12が通話要求メッセージを受信するとシステム制御装置10に信号を送り、通話の電話番号を伝送する。システム制御装置10はPSTNを通して意図された受信者に通話を接続する。 通話がPSTN内において開始されるならば、制御装置10は領域中の全てのセルサイトに通話情報を送信する。それに応じてセルサイトは移動体ユニットの目的の受信者にページングメッセージを送信する。移動体ユニットがページメッセージを聞くと、それは最も近いセルサイトに送信される制御メッセージによって応答する。この制御メッセージは、この特定のセルサイトが移動体ユニットと通信していることをシステム制御装置に通知する。その後、制御装置10はこのセルサイトを通じて移動体ユニットに通話をルーティングする。 移動体ユニット16が最初のセルサイト12のカバレージ領域の外に移動したならば、別のセルサイトを通して通話をルーティングすることによって通話を継続するように試みられる。ハンドオフ処理において、通話のハンドオフを開始する、すなわち別のセルサイトを通してルーティングするのには2つの異なる方法がある。 セルサイト開始メッセージと呼ばれる第1の方法は、現在使用されている原形の第1世代アナログセルラ電話システムにおいて使用されるハンドオフ方法に類似している。セルサイト開始方法において、最初のセルサイトであるセルサイト12は移動体ユニット16によって送信された信号があるしきい値レベルの下になることを認知する。セルサイト12はシステム制御装置10にハンドオフ要求を送信する。制御装置10はセルサイト14を含む全ての隣接したセルサイトに要求を中継する。制御装置の送信要求は移動体ユニット16によって使用されるPNコードシーケンスを含むチャネルに関連した情報を含む。セルサイト14は移動体ユニットによって使用されているチャネルに受信機を切替え、典型的にデジタル技術を使用して信号強度を測定する。セルサイト14の受信機が最初のセルサイトが報告した信号強度より強い信号を報告した場合、ハンドオフはこのセルサイトに対して行われる。 ハンドオフを開始する第2の方法は移動体開始ハンドオフと呼ばれる。移動体ユニットは、他の機能を実行することに加えて隣接したセルサイト12および14のパイロット信号送信を走査するために使用される探索受信機を具備する。セルサイト14のパイロット信号がセルサイト12のパイロット信号より強いことが認められた場合、移動体ユニット16は現在のセルサイトであるセルサイト12に制御メッセージを送信する。この制御メッセージは、このセルサイトのハンドオフを要求する情報に加えて、より大きい信号強度のセルサイトを識別する情報を含む。セルサイト12は制御装置10にこの制御メッセージを送信する。 移動体開始ハンドオフ方法は、セルサイト開始ハンドオフ方法にまさる種々の利点を有する。移動体ユニットは、セルサイトが行うことができるより速く小さい努力でそれ自身と種々の隣接したセルサイトとの間のパスにおける変化を認識する。しかしながら、移動体開始ハンドオフを実行するために各移動体ユニットは走査機能を実行するために探索受信機を具備していなければならない。CDMA通信能力を持つ移動体ユニットのここに記載された実施例において、探索受信機はその存在を要求する付加的な機能を有している。 移動体ユニット16がセルサイト14のカバレージ領域内にあり、セルサイト14の送信信号が最も強い場合、移動体ユニット16の探索受信機は複数のデータ送信機における処理のために最も強い強度のマルチパス信号を使用する。 移動体ユニット16が開始セルサイトであるセルサイト12のカバレージ領域外に移動した場合、別のセルサイトを通して通話をルーティングすることによって通話を連続することが試みられる。セルサイトダイバーシティモードにおいて、通話は複数のセルサイトを通してルーティングされる。本発明のダイバーシティ受信機システムの使用は、移動体ユニット16とセルサイト12,14および種々の別のセルサイトとの間の通信を可能にする。 図2は例示的なセルラ電話用移動体ユニットをブロック図の形態で示す。移動体ユニットは送受切替器32を通じてアナログ受信機34および送信電力増幅器36に結合されたアンテナ30を含む。アンテナ30および送受切替器32は標準的な設計であり、単一のアンテナを通じて同時的な送信および受信を許容する。アンテナ30は送信された信号を受信し、送受切替器32を通じてアナログ受信機34にそれらを供給する。受信機34は、典型的に増幅およびIF周波数への周波数ダウンコンバートのために、850MHz周波数帯域であるRF周波数信号を送受切替器32から受信する。この変換処理は、セルラ電話周波数帯域全体の受信周波数帯域内の任意の周波数に受信機を調整することを可能にする標準設計の周波数シンセサイザを使用して達成される。 IF信号は好ましい実施例においてほぼ1.25MHzの帯域幅である表面音波(SAW)バンドパスフィルタを通される。SAWフィルタの特性は、セルサイトによって送信された信号の波形と整合するように選択され、この送信信号波形は好ましい実施例において1.25MHzである予め定められたレートでクロックされたPNシーケンスによって変調された直接シーケンススペクトル拡散を有する。このクロックレートは、16Kbps,9.6Kbpsおよび4.8Kbpsのような多数の共通のデータレートの整数倍であるように選択される。 アナログ受信機34はまた移動体ユニットの送信電力を調節する電力制御機能を実行する。受信機34は、送信電力制御回路38に供給されるアナログ電力制御信号を発生する。 アナログ受信機34はまた、好ましい実施例において正確にPNチップレートの8倍である9.216MHzのクロック速度で生じる変換によりIF信号をデジタル信号に変換するアナログデジタル(A/D)変換器(示されていない)を具備する。デジタル化された信号は2つ以上の信号プロセッサすなわち受信機のそれぞれに供給され、それらの一方は探索受信機であり、残りのものはデータ受信機である。 図2において、受信機34から出力されたデジタル化された信号はデジタルデータ受信機40および42、並びに探索受信機44に供給される。安価な低い特性の移動体ユニットは単一のデータ受信機だけを有し、一方高い特性のユニットはダイバーシティ受信を行うために2つ以上有していてもよいことが理解されるべきである。 デジタル化されたIF信号は、現在および全ての隣接したセルサイトによって送信されたパイロットキャリアと共に多数のオンゴーイング通話の信号を含んでいる。受信機40および42の機能は適切なPNシーケンスとIFサンプルを相関することである。この相関処理は“処理利得”として技術的に良く知られた特性を提供し、これは適切なPNシーケンスと整合する信号の信号対干渉比を高める一方、他の信号を高めない。相関出力は、キャリア位相基準のような最も近いセルサイトからのパイロットキャリアを使用して同期的に検出される。この検出処理の結果はエンコードされたデータシンボルのシーケンスである。 本発明において使用されるようなPNシーケンスの特性は、マルチパス信号に対して識別が行われることである。信号が2以上のパスを通過した後移動体受信機に到達したとき、信号の受信時間において差が生じる。この受信時間差は光速で除算された距離の差に対応する。この時間差が1マイクロ秒を越えた場合、相関処理はパスの1つを識別する。受信機は最初または後のパスを追跡して受信するか否かを選択することができる。受信機40および42のような2つの受信機が設けられた場合、2つの独立したパスを並列に追跡することができる。 制御プロセッサ46の制御の下の探索受信機44は、同じセルサイトからの別のマルチパスパイロット信号に対して、および別のセルサイトから送信されたパイロット信号に対して、セルサイトの受信パイロット信号のほぼ公称時間で時間ドメインを連続的に走査するためのものである。探索受信機44は公称時間以外の時間における所望の波形の任意の受信の強度を測定する。探索受信機44は受信信号の信号強度を比較する。探索受信機44は複数の最も強い信号と相対的な時間関係とを示す信号強度信号を制御プロセッサ46に供給する。 プロセッサ46は、複数の最も強い信号の異なるものをそれぞれ処理するデジタルデータ受信機40および42に制御信号を供給する。別のセルサイトの送信パイロット信号が現在のセルサイト信号強度より大きい信号強度を持つ場合がある。そのときには制御プロセッサ46はより強いパイロット信号に対応したセルサイトへの通話の転送を要求する制御メッセージを発生し、現在のセルサイトを介してシステム制御装置へ送信する。したがって、受信機40および42は2つの異なるセルサイトを通して通話を処理する。 データ受信機40および42の出力はダイバーシティ結合器およびデコーダ回路48に供給される。回路48内に含まれるダイバーシティ結合器回路は、受信信号の2つのストリームのタイミングを調節して整列させてそれらを加算する。この加算処理は2つのストリームの相対信号強度に対応した数により2つのストリームを乗算することによって進められる。この動作は最大率ダイバーシティ結合器と考えられることができる。結果的に得られる結合された信号ストリームは回路48内にも含まれるフォワードストリームエラー検出デコーダを使用してデコードされる。 実施例において、畳み込みエンコーディングが使用される。畳み込みエンコーディングは束縛長9およびコードレート1/3を有する。すなわち送信されるべき情報ビット毎に対して、3つのエンコードされたシンボルが生成され送信される。このタイプのコードに対する最適のデコーダは、軟判定ビタビアルゴリズムデコーダ設計である。結果的に得られるデコードされた情報ビットはユーザデジタルベースバンド回路50に送られる。 ベースバンド回路50は典型的にデジタルボコーダ(示されていない)を含む。ベースバンド回路50はさらにハンドセットまたは任意の他のタイプの周辺装置を備えたインターフェイスとして機能する。ベースバンド回路50は種々の異なるボコーダ設計に適合する。ベースバンド回路50は回路48から供給された情報にしたがってユーザに出力情報信号を供給する。 典型的にハンドセットにより与えられるユーザアナログ音声信号は入力としてベースバンド回路50に供給される。ベースバンド回路50は、アナログ信号をデジタル形態に変換するアナログデジタル(A/D)変換器(示されていない)を含む。デジタル信号はそれがエンコードされるデジタルボコーダに供給される。ボコーダ出力はエラー訂正のためにフォワードエラー訂正エンコーディング回路(示されていない)に供給される。このエンコードされたデジタル音声信号はベースバンド回路50から送信変調器52に出力される。 送信変調器52は、PNキャリア信号をエンコードされた信号で変調し、このPNキャリア信号のPNシーケンスは通話に割当てられたアドレス機能にしたがって選択される。PNシーケンスはセルサイトによって送信され、受信機40および42によりデコードされた通話セットアップ情報から制御プロセッサ46たによって決定され、またその代りとして、制御プロセッサ46はセルサイトとの前取決めによりPNシーケンスを決定してもよい。制御プロセッサ46は送信変調器52に、また通話デコーディングのためにデータ受信機40および42にPNシーケンス情報を提供する。送信変調器52の出力は送信電力制御回路38に供給される。信号送信電力は、アナログ受信機34から供給されたアナログ電力制御信号によって制御される。制御ビットは電力調節命令の形態でセルサイトによって送信され、データ受信機40および42によって処理される。電力調節命令は移動体ユニット送信において電力レベルを設定する際に制御プロセッサ46によって使用される。この命令に応答して、制御プロセッサ46は回路38に供給されるデジタル電力制御信号を発生する。受信機40および42、制御プロセッサ46および送信電力制御回路38の相互関係に関する別の情報はまたさらに上記米国特許出願第07/433,031号の特許明細書において説明されている。 送信電力制御回路38は、送信電力増幅回路36に電力制御変調信号を出力する。回路36はIF信号を増幅し、適切な出力周波数に信号を同調させる周波数シンセサイザ出力信号と混合することによってIF信号をRF周波数に変換する。回路36は最終の出力レベルに電力を増幅する増幅器を含む。意図された送信信号は回路36から送受切替器32に出力される。送受切替器32はセルサイトに送信するためにアンテナ30に信号を結合する。 制御プロセッサ46はまたセルサイトダイバーシティモード要求およびセルサイト通信終了命令のような制御メッセージを発生することができる。これらの命令は送信のために送信変調器52に与えられる。制御プロセッサ46はハンドオフおよびダイバーシティ結合に関する決定を行うためにデータ受信機40および42並びに探索受信機44から受信されたデータに応答する。 図3はセルサイト装置の1実施例をブロック図の形態で示す。セルサイトにおいて、空間ダイバーシティ受信のために、独立したアンテナおよびアナログ受信機をそれぞれ有する2つの受信システムが使用される。各受信システムにおいて、信号は信号がダイバーシティ結合処理を受けるまで同様に処理される。破線内の素子はセルサイトと1つの移動体ユニットとの間の通信に対応する素子に対応する。アナログ受信機の出力はまた別の移動体ユニットとの通信に使用される別の素子に供給される。 図3において、第1の受信システムはアンテナ60、アナログ受信機62、探索受信機64およびテシタルデータ受信機66から構成されている。この受信システムはまた任意のデジタルデータ受信機68を含んでいてもよい。第2の受信システムはアンテナ70、アナログ受信機72、探索受信機74およびデジタルデータ受信機76を含む。またセルサイト制御プロセッサ78はハンドオフおよびダイバーシティのための信号処理および制御において使用される。両受信システムはダイバーシティ結合器およびデコーダ回路80に結合される。デジタルリンク82は、制御プロセッサ78の制御下において、セルサイト送信変調器84および回路80とMTSO(図4)との間で信号を通信するために使用される。 アンテナ60で受信された信号はアナログ受信機62に供給される。受信機62中の増幅器によって増幅された受信信号は、周波数シンセサイザ出力信号と混合することによってIF周波数に変換される。IF信号はバンドパスフィルタで処理され、移動体ユニットアナログ受信機を参照して説明したものと同じ処理でデジタル化される。デジタル化されたIF信号はデジタルデータ受信機66、任意のデータ受信機68および探索受信機64に供給され、図2における移動体ユニットのデジタルデータ受信機および探索受信機を参照して記載されたものと同様にしてそれぞれ処理される。しかしながら、移動体ユニットからセルサイトへのリンクに対するデジタルデータ受信機および探索受信機による処理は、いくつかの点でセルサイトから移動体へのリンクにおいて使用されているものとは異なっている。 インバウンドすなわち移動体からセルサイトへのリンクでは、移動体ユニットは、セルサイトにおける信号処理の際にコヒーレントな基準のために使用することができるパイロット信号を送信しない。したがって、移動体ユニットからセルサイトへのリンクは64個の直交信号を使用するコヒーレントでない変調および復調スキムを使用する。 受信信号に関して時間ドメインを走査するために探索受信機64を再び使用して、関連したデジタルデータ受信機66、およびもし使用されるならばデータ受信機68が最も強い利用可能な時間ドメイン信号を確実に追跡して処理することを保証する。この追跡処理は移動体ユニットを参照して示したものと同一である。探索受信機64はセルサイト制御プロセッサ78に信号を供給し、セルサイト制御プロセッサ78は処理のために適切な受信信号を選択するためにデジタルデータ受信機66および68に制御信号を供給する。 64個の直交信号処理において、移動体ユニットから送信されたシンボルは64の異なる可能性の1つを有する。6ビットシンボルは26すなわち64の異なる2進シーケンスの1つにエンコードされる。選択されたシーケンスのセットは、ウォルシュ関数として知られている。ウォルシュ関数として最適な受信関数は高速アダマール変換(FHT)である。探索受信機64およびデジタルデータ受信機66および68において、入力信号は移動体ユニット受信機を参照して論じられたように相関され、相関出力はFHTプロセッサに供給される。FHTプロセッサは6シンボル毎に対して1組の64係数を生成する。64個のシンボルは受信機において発生された荷重関数によって乗算される。荷重関数は測定された信号強度にリンクされている。荷重されたデータは、ダイバーシティ結合器およびデコーダ回路80への出力として供給される。 第2の受信システムは、図3における第1の受信システムに関して論じられたのと同じ方法で受信信号を処理する。データ受信機66および76から出力された荷重された64個のシンボルはダイバーシティ結合器およびデコーダ回路80に供給される。回路80はデータ受信機76からの荷重された64個のシンボルにデータ受信機66からの荷重された64個のシンボルを加算する加算器を含む。結果的な64の係数は最大係数を決定するために互いに比較される。同一性または64の係数の最大のものの識別子とともに比較結果の大きさは、回路80中に構成されたビタビアルゴリズムデコーダ内において使用するための1組のデコーダ荷重およびシンボルを決定するために使用される。 ビタビデコーダは束縛長9であり、コードレート1/2であることが好ましい。ビタビデコーダは最も類似した情報ビットシーケンスを決定するために使用される。各ボコーダデータブロックに対して、すなわち公称15ミリ秒のデータに対して信号品質評価が得られ、移動体ユニット電力調節命令としてデータと共に移動体ユニットに送信される。この品質評価の発生に関する別の情報は、上記の米国特許出願第07/433,031号の特許明細書においてさらに詳細に論じられている。この品質評価は15ミリ秒間隔に対する平均信号対雑音比である。 図3において、システムの特性を改良するために任意のデジタルデータ受信機68が含まれていてもよい。単独または付加的な受信機と組合わせられたこの付加的なデータ受信機は移動体ユニット送信信号の他の可能性ある遅延パスを追跡して受信することができる。この受信機における構造および動作はデジタルデータ受信機66および76を参照して記載されたものと類似している。受信機68は付加的なダイバーシティモードを得るために使用される。付加的なダイバーシティモードを与える任意の付加的なデジタルデータ受信機は、マルチパス信号の多数の可能性が発生する密集した都市領域に配置されたこれらのセルサイトにおいてかなり有効である。 MTSOからの信号は、制御プロセッサ78の制御の下にデジタルリンク82を介して適切な送信変調器に結合される。送信変調器84は、制御プロセッサ78によって割当てられるような予め定められた拡散関数にしたがって、意図された受信移動体ユニットへ送信するためのデータをスペクトル拡散変調する。送信変調器84の出力は、制御プロセッサ78の制御の下に送信電力が制御される送信電力制御回路86に供給される。回路86の出力は送信電力増幅回路88に供給される。 回路88は、セルサイトにおける別の送信変調器の出力と送信変調器84の出力を合計する合計装置を含む。回路88はさらに合計された送信変調器出力信号とパイロット信号発生器90からのパイロット信号出力を合計する合計装置を含む。回路88はまたデジタル信号をアナログ信号に変換するデジタルアナログ変換器、送信変調器からの出力のIF周波数信号をRF周波数に変換する周波数アップコンバート回路およびRF信号を増幅する増幅器を含む。回路88からの出力はアンテナ92に供給され、ここからセルサイトサービス領域内の移動体ユニットに放射される。 セルサイト制御プロセッサ78は、デジタルデータ受信機および変調器の特定の通話に対する割当てを行う。制御プロセッサ78はまた通話の進行、信号の品質を監視し、信号の損失時の停止を開始する。セルサイトはそれが標準的な電話線、光ファイバまたはマイクロ波リンクによって結合されたリンク82を介してMTSOと通信する。 図4は、MTSOにおいて使用される装置をブロック図の形態で示す。MTSOは典型的にシステム制御装置または制御プロセッサ100、デジタルスイッチ102、ダイバーシティ結合器104、デジタルボコーダ106およびデジタルスイッチ108を具備する。示されてはいないが、付加的なダイバーシティ結合器およびデジタルボコーダがデジタルスイッチ102と108との間に結合されてもよい。 セルサイトダイバーシティモードがアクティブである場合、通話は2つのセルサイトによって処理されるので、実質的に同じ情報を持つ信号が1より多いセルサイトからMTSOに到達する。しかしながら、移動体ユニットからセルサイトへのインバウンドリンク上のフェージングおよび干渉のために、1つのセルサイトにおける信号は他のセルサイトの信号よりも良い品質であるかもしれない。 デジタルスイッチ102は、1つ以上のセルサイトからの所定の移動体ユニットに対応した情報ストリームを、ダイバーシティ結合器104またはシステム制御プロセッサ100からの信号によって決定されるような対応したダイバーシティ結合器にルーティングする際に使用される。システムがセルサイトダイバーシティモードにないときに、ダイバーシティ結合器104はバイパスされるか或は同じ情報を各入力ポート上に供給される。 多数の直列結合ダイバーシティ結合器およびボコーダは、処理される各通話に対してそれぞれ1つづつ並列に公称的に設けられる。ダイバーシティ結合器104は2つ以上のセルサイト信号からの情報ビットを伴う信号品質インジケータを比較する。ダイバーシティ結合器104は、ボコーダ106への出力に対する情報のフレームごとのベースで、最高品質のセルサイト信号に対応したビットを選択する。 ボコーダ106は標準的な64Kbps PCN電話フォーマット、アナログまたはその他の標準フォーマットへデジタル化された音声信号のフォーマットを変換する。結果的な信号はボコーダ106からデジタルスイッチ108に送信される。システム制御プロセッサ100の制御の下に、通話はPSTNに送られる。 移動体ユニットに対して意図されたPSTNから入来した音声信号は、システム制御プロセッサ100の制御下において、デジタルスイッチ108にそしてボコーダ106のような適切なデジタルボコーダに供給される。ボコーダ106は入力デジタル音声信号をエンコードし、得られた情報ビットストリームをデジタルスイッチ102に直接供給する。デジタルスイッチ102はシステム制御プロセッサ100の制御下において移動体ユニットが通信しているセルサイトにエンコードされたデータを導く。移動体ユニットが複数のセルサイトと通信しているハンドオフモードまたはセルサイトダイバーシティモードであるならば、デジタルスイッチ102は、適切なセルサイト送信機による意図された受信移動体ユニットへの送信のために、適切なセルサイトに通話をルーティングする。しかしながら、移動体ユニットがただ1つのセルサイトだけと通信しているか、または通話ダイバーシティモードでない場合、信号は単一のセルサイトだけに導かれる。 システム制御プロセッサ100はMTSOとの間でデータをルーティングするためにデジタルスイッチ102および106に対する制御を行う。システム制御プロセッサ100はまたセルサイトおよびMTSOにおけるボコーダに対する通話の割当てを決定する。さらに、システム制御プロセッサ100は、MTSOとセルサイトとの間における特定の通話の割当ておよび通話に対するPNコードの割当てに関して各セルサイト制御プロセッサと通信する。さらに、図4に示されたように、デジタルスイッチ102および106は2つの分離したスイッチとして示されているが、この機能は単一の物理的なスイッチングユニットによって行われてもよいことが理解されなければならない。 セルサイトダイバーシティモードが使用されている場合、移動体ユニットは2つの各セルサイトからの最も強いマルチパス信号を発見し、トラップするために探索受信機を使用する。デジタルデータ受信機は複数の最も強い信号を復調するように探索受信機および制御プロセッサによって制御される。受信機の数が情報を並列に送信しているセルサイトの数より少ない場合、スイッチングダイバーシティ能力が可能である。例えば、単一のデータ受信機および2つのセルサイト送信の場合より、探索機は両セルサイトからのパイロットを監視し、受信機が復調するための最も強い信号を選択する。この実施例において、選択はボコーダフレーム毎に、すなわち約15m秒ごとに頻繁に行われることができる。 好ましい実施例の前述の説明は当業者の全てが本発明を形成し、或は使用することを可能にするように行われている。これらの実施例に対する種々の修正は容易に理解され、ここに限定された一般的な原理は発明能力を使用せずに他の実施例に適用されるであろう。したがって、本発明はここに記載された実施例に限定されるものではなく、ここに開示された新しい特徴の原理により構成された広範囲の技術的範囲を含むものである。 (57)【特許請求の範囲】 1. 実質的に連続的に走査して、互いに関して結果的な時間差をそれぞ有し直接シーケンススペクトル拡散情報信号のマルチパス伝播成分に対応する複数のマルチパス信号を受信し、前記複数の受信マルチパス信号を復調し、各受信マルチパス信号において各パイロット信号の信号強度と前記受信マルチパス信号のパイロット信号間での時間関係とを決定し、最大の信号強度および対応した時間関係の複数のパイロット信号を示す探索制御信号を供給し、各マルチパス伝播成分はパイロット信号も含む探索手段と、 最大の信号強度の前記複数のマルチパス信号のそれぞれを受信して復調し、前記探索制御信号に応答して、最大の信号強度の前記複数のパイロット信号にそれぞれ対応する前記複数のマルチパス信号をそれぞれ復調して情報信号を供給し、前記最大の信号強度の複数のパイロット信号は、前記マルチパス信号のそれぞれの復調においてキャリア位相基準として用いられる受信手段とを具備する直接シーケンススペクトル拡散受信機サブシステム。 2. 前記探索手段は、前記受信手段に結合され、前記複数のマルチパス信号をそれぞれ復調するために前記受信手段を割当てる制御手段を備える請求項1記載のサブシステム。 3. 前記受信手段は、前記複数のマルチパス信号のそれぞれ復調されたものをコヒーレントに結合して前記情報信号を供給する結合手段を備える請求項1または2記載のサブシステム。 4. 前記情報信号はエラー訂正コードフォーマットであり、前記受信手段は前記情報信号をエラー訂正デコードするデコーダ手段をさらに備える請求項3記載のサブシステム。 5. 前記パイロット信号は、前記直接シーケンススペクトル拡散情報信号とともに単一セルサイトから送信されるときに予め定められた拡散コードおよび予め定められたコード位相の直接シーケンススペクトル拡散信号であり、前記直接シーケンススペクトル拡散情報信号および前記パイロット信号は前記複数のマルチパス信号として異なる伝播パスを共に進行し、前記マルチパス信号のそれぞれに含まれる前記パイロット信号は、受信されるときに同じ拡散コードであるがその伝播パスに対応して時間的にオフセットされている請求項1記載のサブシステム。 6. 前記パイロット信号は直接シーケンススペクトル拡散信号であり、前記直接シーケンススペクトル拡散情報信号とともに各セルサイトから送信されるときの各パイロット信号は、同じ予め定められた拡散コードであるが異なる予め定められたコード位相のものであり、各セルサイトから送信される前記直接シーケンススペクトル拡散情報信号および前記パイロット信号は前記複数のマルチパス信号として異なる伝播パスを共に進行し、各セルサイトから送信されるときに前記複数のマルチパス信号のそれぞれに含まれる前記パイロット信号は、受信されるときに同じ拡散コードであるがその伝播パスに対応して時間的にオフセットされている請求項1記載のサブシステム。 7. ユーザ情報信号が直接シーケンススペクトル拡散通信信号を使用してセルサイトにより意図された受信ユーザに通信され、前記セルサイトは予め定められたコード位相の直接シーケンススペクトル拡散パイロット信号を送信し、前記セルサイトから送信される直接シーケンススペクトル拡散通信信号およびパイロット信号はマルチパス伝播の影響を受けやすい、セルラ通信システムにおいて使用するための直接シーケンススペクトル拡散受信機において、 実質的に連続的に走査して、セルサイトにより送信されたパイロット信号のマルチパス伝播成分を含む入力信号を受信し、各マルチパス伝播パイロット信号は異なる伝播パスを進行して、コード位相において対応するパス依存オフセットを有し、前記マルチパス伝播パイロット信号の少なくとも1つの存在を検出するように異なるコード位相で走査し、それぞれ検出されたマルチパス伝播パイロット信号の信号強度を測定し、それぞれ検出されたマルチパス伝播パイロット信号のコード位相を決定し、最大の信号強度および対応したコード位相の複数のマルチパス伝播パイロット信号を示す複数の探索制御信号を供給する探索手段と、 前記複数の探索制御信号を受信し、それぞれ各マルチパス伝播パイロット信号に対応している、前記セルサイトから送信された直接シーケンススペクトル拡散通信信号のマルチパス伝播成分をさらに含む前記入力信号を受信し、前記複数の探索制御信号に応答して、複数の対応する意図された受信ユーザ情報信号を抽出するように、最大の信号強度の前記マルチパス伝播パイロット信号に対応する前記直接シーケンススペクトル拡散通信信号の前記マルチパス伝播成分のあるものを直接シーケンススペクトル拡散処理し、前記抽出された意図された受信ユーザ情報信号を示す複数の対応した出力信号を供給し、前記最大の信号強度の前記複数のパイロット信号は前記直接シーケンススペクトル拡散処理においてキャリア位相基準として用いられる受信手段とを具備する直接シーケンススペクトル拡散受信機。 8. 前記受信手段は複数のデータ受信手段を備え、各データ受信手段は、前記探索制御信号の異なるものを受信し、前記入力信号において、直接シーケンススペクトル拡散通信信号の前記マルチパス伝播成分を受信し、対応するマルチパス伝播パイロット信号により提供される同期で前記探索制御信号に応答して、前記直接シーケンススペクトル拡散通信信号の前記マルチパス伝播成分の選択された異なるものを直接シーケンススペクトル拡散処理し、前記出力信号の対応するものを供給する請求項7記載のスペクトル拡散受信機。 9. 前記複数の出力信号を受信し、前記複数の受信された出力信号をコヒーレントに結合し、対応した結合された出力信号を供給する結合手段をさらに具備する請求項7記載のスペクトル拡散受信機。 10. 予め定められた周波数帯域でRF信号を受信し、前記RF信号を増幅し、対応したIF信号を生成するように中間周波数範囲に前記増幅されたRF信号を周波数ダウンコンバートし、前記IF信号をフィルタしてデジタル化し、前記探索手段および前記受信手段に前記入力信号として前記IF信号を供給する入力受信手段をさらに具備し、前記デジタル化されたIF信号は前記パイロット信号のマルチパス伝播成分および前記直接シーケンススペクトル拡散通信信号の対応したマルチパス伝播成分に対応する請求項7記載のスペクトル拡散受信機。 11. ユーザ情報信号が直接シーケンススペクトル拡散通信信号を使用して少なくとも1つのセルサイトにより意図された受信ユーザに通信され、各セルサイトは同じ拡散コードおよび予め定められた異なるコード位相の直接シーケンススペクトル拡散パイロット信号を送信し、各セルサイトから送信される直接シーケンススペクトル拡散通信信号およびパイロット信号がマルチパス伝播の影響を受けやすいセルラ通信システムにおいて使用するための直接シーケンススペクトル拡散受信機おいて、 実質的に連続的に走査して、少なくとも1つのパイロット信号のマルチパス伝播成分を含む入力信号を受信し、各パイロット信号が複数のセルサイトのそれぞれ1つによって送信され、各マルチパス伝播パイロット信号が異なる伝播パスを進行して、コード位相において対応したパス依存オフセットを有し、前記マルラパス伝播パイロット信号の少なくとも1つの存在を検出するように異なるコード位相で走査し、それぞれ検出されたマルチパス伝播パイロット信号の信号強度を測定し、それぞれ検出されたマルチパス伝播パイロット信号のコード位相を決定し、最大の信号強度および対応したコード位相の複数のマルチパス伝播パイロット信号を示す複数の探索制御信号を供給する探索手段と、 前記複数の探索制御信号を受信し、前記複数のセルサイトの少なくとも1つによって送信された直接シーケンススペクトル拡散通信信号のマルチパス伝播成分をさらに含む前記入力信号を受信し、前記直接シーケンススペクトル拡散通信信号の各マルチパス伝播成分が各マルチパス伝播パイロット信号に対応し、前記複数の探索制御信号に応答して、複数の対応する意図された受信ユーザ情報信号を抽出するように、最大の信号強度の前記マルチパス伝播パイロット信号に対応する前記直接シーケンススペクトル拡散通信信号の前記マルチパス伝播成分のあるものを直接シーケンススペクトル拡散処理し、前記抽出された意図された受信ユーザ情報信号を示す複数の対応した出力信号を供給し、前記最大の信号強度の前記複数のパイロット信号は前記直接シーケンススペクトル拡散処理においてキャリア位相基準として用いられる受信手段とを具備する直接シーケンススペクトル拡散受信機。 12. 前記受信手段は複数のデータ受信手段を備え、各データ受信手段は、前記探索制御信号の異なるものを受信し、前記入力信号において、直接シーケンススペクトル拡散通信信号の前記マルチパス伝播成分を受信し、対応するマルチパス伝播パイロット信号により提供される同期で前記探索制御信号に応答して、前記直接シーケンススペクトル拡散通信信号の前記マルチパス伝播成分の選択された異なるものを直接シーケンススペクトル拡散処理し、前記出力信号の対応するものを供給する請求項11記載のスペクトル拡散受信機。 13. 前記複数の出力信号を受信し、前記複数の受信された出力信号をコヒーレントに結合し、対応した結合された出力信号を供給する結合手段をさらに具備する請求項11記載のスペクトル拡散受信機。 14. 予め定められた周波数帯域でRF信号を受信し、前記RF信号を増幅し、対応したIF信号を生成するように中間周波数範囲に前記増幅されたRF信号を周波数ダウンコンバートし、前記IF信号をフィルタしてデジタル化し、前記探索手段および前記受信手段に前記入力信号として前記IF信号を供給する入力受信手段をさらに具備し、前記デジタル化されたIF信号は前記パイロット信号のマルチパス伝播成分および前記直接シーケンススペクトル拡散通信信号の対応したマルチパス伝播成分に対応する請求項11記載のスペクトル拡散受信機。 15. ユーザ情報信号が直接シーケンススペクトル拡散通信信号を使用して少なくとも1つのセルサイトにより意図された受信ユーザに通信され、各セルサイトは同じ拡散コードおよび予め定められた異なるコード位相の直接シーケンススペクトル拡散パイロット信号を送信し、各セルサイトから送信される直接シーケンススペクトル拡散通信信号およびパイロット信号がマルチパス伝播の影響を受けやすい、セルラ通信システムにおいて使用のための直接シーケンススペクトル拡散通信信号を獲得して処理する方法において、 (a)少なくとも1つのパイロット信号のマルチパス伝播成分と(b)複数のセルサイトの少なくとも1つにより送信される直接シーケンススペクトル拡散通信信号のマルチパス伝播成分とを含む入力信号を受信し、各パイロット信号は複数のセルサイトそれぞれ1つにより送信され、各マルチパス伝播パイロット信号は異なる伝播パスを進行して、コード位相において対応するパス依存オフセットを有し、前記直接シーケンススペクトル拡散通信信号の各マルチパス伝播成分は各マルチパス伝播パイロット信号に対応し、 前記マルチパス伝播パイロット信号の少なくとも1つの存在を検出するように異なるコード位相で前記入力信号を走査し、 それぞれ検出されたマルチパス伝播パイロット信号の信号強度を測定し、 それぞれ検出されたマルチパス伝播パイロット信号のコード位相を決定し、 最大の信号強度および対応したコード位相のマルチパス伝播パイロット信号を示す探索信号を供給し、 前記探索信号に応答して、対応する意図された受信ユーザ情報信号を抽出するように、最大の信号強度の前記マルチパス伝播パイロット信号に対応した前記直接シーケンススペクトル拡散通信信号の前記マルチパス伝播成分のものを直接シーケンススペクトル拡散処理し、前記最大の信号強度のパイロット信号は前記直接シーケンススペクトル拡散処理においてキャリア位相基準として用いられ、 前記抽出された意図された受信ユーザ情報信号を示す対応した出力信号を供給するステップを含む方法。 16. 前記出力信号を結合し、 対応した結合された出力信号を供給するステップをさらに含む請求項15記載の方法。 17. 予め定められた周波数帯域でRF信号を受信し、 前記RF信号を増幅し、 対応したIF信号を生成するように中間周波数範囲に前記増幅されたRF信号を周波数ダウンコンバートし、 前記IF信号をフィルタし、 前記IF信号をデジタル化し、 前記探索手段および前記受信手段に前記IF信号を前記入力信号として供給するステップをさらに含む請求項15記載の方法。 |
訂正の要旨 |
訂正事項 A.特許請求の範囲の請求項3を削除し、請求項4ないし請求項18を請求項3ないし請求項17として項を繰り上げ、請求項4末行の「請求項1ないし3のいずれか1項」を「請求項1または2」に、同請求項5末行の「請求項4」を「請求項3」に、同請求項6末行の「請求項3」を「請求項1」に、同請求項7末行の「請求項3」を「請求項1」に、同請求項9第6行の「請求項8」を「請求項7」に、同請求項10末行の「請求項8」を「請求項7」に、同請求項11末行の「請求項8」を「請求項7」に、同請求項13第6行の「請求項12」を「請求項11」に、同請求項14末行の請求項12」を「請求項11」に、同請求項15末行の「請求項12」を「請求項11」に、同請求項17第2行の「請求項16」を「請求項15」に、同請求項18末行の「請求項16」を「請求項15」に訂正する。 B.特許請求の範囲の請求項1第1行〜第2行の「それぞれ有し」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項1第6行の「具備する」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項6第1行の「前記」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項6第2行〜第3行の「コード位相の」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項6第3行の「前記」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項7第1行の「前記パイロット信号は」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項7第1行の「前記」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項7第4行の「前記」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項8第1行の「ユーザ情報信号が」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項8第2行〜第3行の「コード位相の」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項8第3行〜第4行の「送信される」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項8第5行の「使用するための」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項8第15行の「送信された」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項8第18行〜第19行の「前記」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項8第19行の「あるものを」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項8第21行の「具備する」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項9第4行〜第5行の「前記」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項9第5行〜第6行の「異なるものを」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項11第6行の「前記」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項12第1行の「ユーザ情報信号が」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項12第3行の「コード位相の」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項12第4行の「送信される」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項12第5行〜第6行の「使用するための」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項12第17行の「送信された」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項12第18行の「前記」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項12第21行の「前記」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項12第22行の「あるものを」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項12第24行の「具備する」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項13第4行〜第5行の「前記」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項13第5行〜第6行の「異なるものを」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項15第6行の「前記」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項16第1行の「ユーザ情報信号が」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項16第3行の「コード位相の」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項16第4行の「送信される」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項16第5行〜第6行の「使用するための」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項16第8行の「送信される」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項16第12行の「前記」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項16第21行〜第22行の「前記」と「スペクトル拡散」との間に、 同請求項16第22行の「のものを」と「スペクトル拡散」との間に、 「直接シーケンス」の7文字を挿入する。 C.特許請求の範囲の請求項1第3行の「受信マルチパス信号の信号強度を復調し」を「受信マルチパス信号を復調し」と訂正する。 D.特許請求の範囲の請求項1第3行〜第4行の「決定する探索手段」を「、各受信マルチパス信号において各パイロット信号の信号強度と前記受信マルチパス信号のパイロット信号間での時間関係とを決定し、最大の信号強度および対応した時間関係の複数のパイロット信号を示す探索制御信号を供給し、各マルチパス伝播成分はパイロット信号も含む探索手段」と訂正する。 E.特許請求の範囲の請求項1第5行〜第6行の「情報信号を供給するために、最大の信号強度を有する前記複数のマルチパス信号をそれぞれ受信し復調する受信手段」を「最大の信号強度の前記複数のマルチパス信号のそれぞれを受信して復調し、前記探索制御信号に応答して、最大の信号強度の前記複数のパイロット信号にそれぞれ対応する前記複数のマルチパス信号をそれぞれ復調して情報信号を供給し、前記最大の信号強度の複数のパイロット信号は、前記マルチパス信号のそれぞれの復調においてキャリア位相基準として用いられる受信手段」と訂正する。 F.特許請求の範囲の請求項4第2行の「前記スペクトル拡散情報信号」を「前記情報信号」に訂正する。 G.特許請求の範囲の請求項5第2行の「前記スペクトル拡散情報信号」を「前記情報信号」に訂正する。 H.特許請求の範囲の請求項8第17行〜第18行の「最高」を「最大」に訂正する。 I.特許請求の範囲の請求項8第20行〜第21行の「供給する受信手段」を「供給し、前記最大の信号強度の前記複数のパイロット信号は前記直接シーケンススペクトル拡散処理においてキャリア位相基準として用いられる受信手段」に訂正する。 J.特許請求の範囲の請求項9第2行の「マルチパス」を「直接シーケンス」に訂正する。 K.特許請求の範囲の請求項12第20行の「最高」を「最大」に訂正する。 L.特許請求の範囲の請求項12第23行〜第24行の「供給する受信手段」を「供給し、前記最大の信号強度の前記複数のパイロット信号は前記直接シーケンススペクトル拡散処理においてキャリア位相基準として用いられる受信手段」に訂正する。 M.特許請求の範囲の請求項13第2行の「マルチパス」を「直接シーケンス」に訂正する。 N.特許請求の範囲の請求項15末行の「対応するする」を「対応する」に訂正する。 O.特許請求の範囲の請求項16第22行の「処理し、」の後に「前記最大の信号強度のパイロット信号は前記直接シーケンススペクトル拡散処理においてキャリア位相基準として用いられ、」の56文字を追加する。 |
異議決定日 | 2003-01-09 |
出願番号 | 特願平3-500495 |
審決分類 |
P
1
651・
54-
YA
(H04B)
P 1 651・ 121- YA (H04B) P 1 651・ 853- YA (H04B) P 1 651・ 531- YA (H04B) P 1 651・ 852- YA (H04B) P 1 651・ 851- YA (H04B) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | ▲徳▼田 賢二 |
特許庁審判長 |
井関 守三 |
特許庁審判官 |
大橋 隆夫 橋本 正弘 |
登録日 | 2000-06-02 |
登録番号 | 特許第3073767号(P3073767) |
権利者 | クゥアルコム・インコーポレイテッド |
発明の名称 | CDMAセルラ電話システムにおけるダイバーシティ受信機 |
代理人 | 樋口 外治 |
代理人 | 石田 敬 |
代理人 | 西山 雅也 |
代理人 | 松本 隆 |
代理人 | 村松 貞男 |
代理人 | 鶴田 準一 |
代理人 | 橋本 良郎 |
代理人 | 村松 貞男 |
代理人 | 鈴江 武彦 |
代理人 | 花輪 義男 |
代理人 | 花輪 義男 |
代理人 | 橋本 良郎 |
代理人 | 鈴江 武彦 |
代理人 | 下道 晶久 |
代理人 | 川▲崎▼ 研二 |