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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 B01J |
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管理番号 | 1074806 |
異議申立番号 | 異議2001-70036 |
総通号数 | 41 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1989-11-30 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2001-01-09 |
確定日 | 2003-01-22 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3061138号「有機化合物の非選択的酸化のための担体に保持された触媒および特に有機化合物の非選択的酸化の方法」の請求項1ないし9に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3061138号の請求項1ないし8に係る特許を維持する。 |
理由 |
1.手続の経緯 本件特許第3061138号の請求項1〜9に係る発明についての出願は、平成1年2月2日(優先権主張、1988年2月2日、オランダ国)になされ、平成12年4月28日に、その発明について特許の設定登録がなされ、その後、その特許について、特許異議の申立てがなされ、取消理由が通知され、その指定期間内である平成13年11月14日に訂正請求がなされ、再度、平成14年8月9日に、取消理由(平成14年7月31日付け)が通知され、、その指定期間内である平成14年8月19日に、訂正請求がなされたものである。(なお、平成13年11月14日付け訂正請求は取り下げられた。) 2.訂正の適否についての判断 2-1.訂正の内容 a.特許請求の範囲の請求項1の 「【請求項1】非選択的酸化反応を行うための触媒であって、 アルミナを主成分とし、アルミナ以外の金属酸化物を含む担体と、 前記担体の表面に保持される触媒活性成分および安定化成分とを含み、 触媒活性成分としては周期律表の第4周期の金属元素のうちの、1つまたは2つ以上の金属の酸化物が微粒子として分布しており、 安定化成分としては周期律表の第IIIA族または第IVA族のうち、1つまたはそれ以上の金属イオンが保持されており、 前記安定化成分が1050℃で6時間処理した後、X線回折パターン(回折の2倍角2θで測定)の半値幅が1.0°以下の回折ピークを持たないように均一に分布していることを特徴とする有機化合物の非選択的酸化のための担体に保持された触媒。」を、 「【請求項1】非選択的酸化反応を行うための触媒であって、 アルミナを主成分とし、アルミナ以外の金属酸化物を含む担体と、 前記担体の表面に保持される触媒活性成分および安定化成分とを含み、 触媒活性成分としては周期律表の第4周期の金属元素のうちの、1つまたは2つ以上の金属の酸化物が微粒子として分布しており、 安定化成分としては周期律表の第IIIA族または第IVA族のうち、1つまたはそれ以上の金属イオンが保持されており、 前記安定化成分が1050℃で6時間処理した後、X線回折パターン(回折の2倍角2θで測定)の半値幅が1.0°以下の回折ピークを持たないように均一に分布しており、 酸化ガス中600℃で24時間加熱した後も、前記触媒は、X線回折パターンで金属アルミン酸塩のピークが全くまたは実質的にはほとんど見られないことを特徴とする有機化合物の非選択的酸化のための担体に保持された触媒。」 と訂正する。 b.特許請求の範囲の請求項2の 「【請求項2】非選択的酸化反応を行うための触媒であって、 アルミナから成る担体と、 前記担体の表面に保持される触媒活性成分および安定化成分とを含み、 触媒活性成分としては周期律表の第4周期の金属元素のうちの、1つまたは2つ以上の金属の酸化物が微粒子として分布しており、 安定化成分としては周期律表の第IIIA族または第IVA族のうち、1つまたはそれ以上の金属イオンが保持されており、 前記安定化成分が1050℃で6時間処理した後、X線回折パターン(回折の2倍角2θで測定)の半値幅が1.0°以下の回折ピークを持たないように均一に分布していることを特徴とする有機化合物の非選択的酸化のための担体に保持された触媒。」を、 「【請求項2】非選択的酸化反応を行うための触媒であって、 アルミナから成る担体と、 前記担体の表面に保持される触媒活性成分および安定化成分とを含み、 触媒活性成分としては周期律表の第4周期の金属元素のうちの、1つまたは2つ以上の金属の酸化物が微粒子として分布しており、 安定化成分としては周期律表の第IIIA族または第IVA族のうち、1つまたはそれ以上の金属イオンが保持されており、 前記安定化成分が1050℃で6時間処理した後、X線回折パターン(回折の2倍角2θで測定)の半値幅が1.0°以下の回折ピークを持たないように均一に分布しており、 酸化ガス中600℃で24時間加熱した後も、前記触媒は、X線回折パターンで金属アルミン酸塩のピークが全くまたは実質的にはほとんど見られないことを特徴とする有機化合物の非選択的酸化のための担体に保持された触媒。」 と訂正する。 c.特許請求の範囲の請求項3を削除する。 d.特許請求の範囲の「請求項4」を、「請求項3」と訂正し、その「・・・特徴とする請求項1項〜第3項のいずれか1項の触媒。」を、「・・・特徴とする請求項第1または2項記載の有機化合物の非選択的酸化のための担体に保持された触媒」と訂正する。 e.特許請求の範囲の「請求項5」を、「請求項4」と訂正し、その「・・・特徴とする請求項第4項の触媒。」を、「・・・特徴とする請求項第3項の触媒。」と訂正する。 f.特許請求の範囲の「請求項6」を、「請求項5」と訂正し、その「・・・特徴とする請求項5項の触媒。」を、「・・・特徴とする請求項第4項の触媒。」と訂正する。 g.特許請求の範囲の「請求項7」を、「請求項6」と訂正し、その「・・・特徴とする請求項第1項〜第6項のいずれか1項の触媒。」を、「・・・特徴とする請求項第1項〜第5項のいずれか1項の触媒。」と訂正する。 h.特許請求の範囲の「請求項8」を、「請求項7」と訂正し、その「・・・特徴とする請求項第7項の触媒。」を、「・・・特徴とする請求項第6項の触媒。」と訂正する。 i.特許請求の範囲の「請求項9」を、「請求項8」と訂正し、その「請求項第1項〜第8項のいずれか1項の・・・」を、「請求項第1項〜第7項のいずれか1項の・・・」と訂正する。 j.明細書第5頁第14行〜第7頁第12行(特許公報第4欄第19行〜第5欄第20行)の記載において、 「本発明は、非選択的酸化反応を行うための触媒であって、 ・・・・・ 前記安定化成分が1050℃で6時間処理した後、X線回折パターン(回折の2倍角2θで測定)の半値幅が1.0°以下の回折ピークを持たないように均一に分布していることを特徴とする有機化合物の非選択的酸化のための担体に保持された触媒である。 また本発明は、非選択的酸化反応を行うための触媒であって、 ・・・・・ 前記安定化成分が1050℃で6時間処理した後、X線回折パターン(回折の2倍角2θで測定)の半値幅が1.0°以下の回折ピークを持たないように均一に分布していることを特徴とする有機化合物の非選択的酸化のための担体に保持された触媒である。 また本発明は、酸化ガス中600℃で24時間加熱した後も、前記触媒は、X線回折パターンで金属アルミン酸塩のピークが全くまたは実質的にはほとんど見られないことを特徴とする。 また本発明は、前記触媒活性成分はMn、Fe、Co、NiおよびCuの1つまたは2つ以上の酸化物であることを特徴とする。 ・・・・・ また本発明は、前記触媒を用いることを特徴とする有機化合物の非選択的酸化方法である。」を、 「本発明は、非選択的酸化反応を行うための触媒であって、 ・・・・・ 前記安定化成分が1050℃で6時間処理した後、X線回折パターン(回折の2倍角2θで測定)の半値幅が1.0°以下の回折ピークを持たないように均一に分布しており、 酸化ガス中600℃で24時間加熱した後も、前記触媒は、X線回折パターンで金属アルミン酸塩のピークが全くまたは実質的にはほとんど見られないことを特徴とする有機化合物の非選択的酸化のための担体に保持された触媒である。 ・・・・・ また本発明は、非選択的酸化反応を行うための触媒であって、 ・・・・・ 前記安定化成分が1050℃で6時間処理した後、X線回折パターン(回折の2倍角2θで測定)の半値幅が1.0°以下の回折ピークを持たないように均一に分布しており、 酸化ガス中600℃で24時間加熱した後も、前記触媒は、X線回折パターンで金属アルミン酸塩のピークが全くまたは実質的にはほとんど見られないことを特徴とする有機化合物の非選択的酸化のための担体に保持された触媒である。 また本発明は、前記触媒活性成分はMn、Fe、Co、NiおよびCuの1つまたは2つ以上の酸化物であることを特徴とする。 ・・・・・ また本発明は、前記触媒を用いることを特徴とする触媒の存在下での有機化合物の非選択的酸化方法である。」 と訂正する。 2-2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否 a及びbの訂正は、それぞれ訂正前の請求項1及び請求項2に、訂正前の請求項3の特徴とする構成を付加する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当し、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。 cの訂正は、請求項3を削除する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当し、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。 d〜iの訂正は、請求項3の削除に伴い、請求項の番号を繰り上げるとともに、その引用関係を整理する訂正であり、訂正後の請求項3〜8は、訂正前の請求項1及び請求項2の減縮に伴い減縮されているから、特許請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当し、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。 jの訂正は、特許請求の範囲の訂正に伴い、対応する発明の詳細な説明の記載を訂正するものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当し、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。 2-3.訂正の適否についての判断 したがって、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する第126条第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 3.特許異議申立てについての判断 3-1.本件発明 上記2で示したとおり、上記訂正が認められるから、本件請求項1〜8に係る発明は、上記訂正請求に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1〜8に記載された次のとおりのものである。 「【請求項1】非選択的酸化反応を行うための触媒であって、 アルミナを主成分とし、アルミナ以外の金属酸化物を含む担体と、 前記担体の表面に保持される触媒活性成分および安定化成分とを含み、 触媒活性成分としては周期律表の第4周期の金属元素のうちの、1つまたは2つ以上の金属の酸化物が微粒子として分布しており、 安定化成分としては周期律表の第IIIA族または第IVA族のうち、1つまたはそれ以上の金属イオンが保持されており、 前記安定化成分が1050℃で6時間処理した後、X線回折パターン(回折の2倍角2θで測定)の半値幅が1.0°以下の回折ピークを持たないように均一に分布しており、 酸化ガス中600℃で24時間加熱した後も、前記触媒は、X線回折パターンで金属アルミン酸塩のピークが全くまたは実質的にはほとんど見られないことを特徴とする有機化合物の非選択的酸化のための担体に保持された触媒。(以下「本件第1発明」という。) 【請求項2】非選択的酸化反応を行うための触媒であって、 アルミナから成る担体と、 前記担体の表面に保持される触媒活性成分および安定化成分とを含み、 触媒活性成分としては周期律表の第4周期の金属元素のうちの、1つまたは2つ以上の金属の酸化物が微粒子として分布しており、 安定化成分としては周期律表の第IIIA族または第IVA族のうち、1つまたはそれ以上の金属イオンが保持されており、 前記安定化成分が1050℃で6時間処理した後、X線回折パターン(回折の2倍角2θで測定)の半値幅が1.0°以下の回折ピークを持たないように均一に分布しており、 酸化ガス中600℃で24時間加熱した後も、前記触媒は、X線回折パターンで金属アルミン酸塩のピークが全くまたは実質的にはほとんど見られないことを特徴とする有機化合物の非選択的酸化のための担体に保持された触媒。(以下「本件第2発明」という。) 【請求項3】前記触媒活性成分はMn、Fe、Co、NiおよびCuの1つまたは2つ以上の酸化物であることを特徴とする請求項第1または2項記載の有機化合物の非選択的酸化のための担体に保持された触媒。(以下「本件第3発明」という。) 【請求項4】前記触媒活性成分が酸化銅、酸化ニッケルもしくは酸化コバルトであることを特徴とする請求項第3項の触媒。(以下「本件第4発明」という。) 【請求項5】前記触媒活性成分が酸化銅であることを特徴とする請求項第4項の触媒。(以下「本件第5発明」という。) 【請求項6】前記安定化成分がランタン、ランタニド、ジルコニウム、チタンのうち、1つまたはそれ以上のイオンであることを特徴とする請求項第1項〜第5項のいずれか1項の触媒。(以下「本件第6発明」という。) 【請求項7】安定化成分としての安定化元素または安定化化合物の量が酸化物として計算して、担体に対し重量で0.1〜25%の範囲であることを特徴とする請求項第6項の触媒。(以下「本件第7発明」という。) 【請求項8】請求項第1項〜第7項のいずれか1項の触媒を用いることを特徴とする触媒の存在下での有機化合物の非選択的酸化方法。(以下「本件第8発明」という。)」 3-2.申立て理由及び取消理由の概要 特許異議申立人は、甲第1号証〜甲第3号証を提出して、本件請求項1〜9に係る発明(本件第1〜8発明)は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである(甲第3号証の実験成績報告書を参照)から、本件請求項1〜9に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、取り消されるべきであると主張している。 当審が通知した平成14年7月31日付けで通知した取消理由は、本件請求項1、2、4〜9に係る発明は、刊行物1及び刊行物2(特許異議申立人が提出した甲第1号証及び甲第2号証と同じ)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである(甲第3号証の実験成績報告書を参照)から、本件請求項1、2、4〜9に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、取り消されるべきであるというものである。 3-3.刊行物に記載された発明 当審が通知した取消理由において引用された刊行物1(特開昭62-176542号公報)には、 「1.粒径が500ミクロン以下のアルミナあるいはアルミナ水和物の粉末を分散させた水溶液と希土類物質を含む溶液との混合液から上記アルミナ、あるいはアルミナ水和物に上記希土類物質を沈着させることを特徴とする耐熱性担体の製造法。 ・・・・・ 5.希土類物質がランタン、プラセオジム、ネオジムから選ばれた1種以上の元素であることを特徴とする特許請求の範囲第1項又は第2項、又は第3項又は第4項記載の耐熱性担体の製造法。 ・・・・・ 7.ランタン、プラセオジム、ネオジムのうち少なくとも1種以上とアルミニウムの原子比(Ln/Al,Ln:La,Pr,Nd)が2/98〜10/90の範囲にあることを特徴とする特許請求の範囲第5項記載の耐熱性担体の製造法。 ・・・・・ 10.希土類元素を含む溶液中にシリカ、マグネシア、カルシア、バリア、ベリリア、ジルコニア、チタニア、トリア、酸化スズ等の酸化物、コージェライト、ムライト、スポジュメン、チタン酸アルミニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等の化合物から選ばれた1種以上物質を含むことを特徴とする特許請求の範囲第5項又は第7項又は第8項又は第9項記載の耐熱性担体の製造法。」(特許請求の範囲第1,5,7及び10項) が記載され、また、 「本発明は、1500℃以下の高温度域で安定して触媒用として使用できる耐熱性担体の製造法に関する。」(第2頁右上欄10〜12行) 「高温下での触媒反応は、自動車排ガス除去、高温水蒸気改質、炭化水素や水素の接触燃焼などの化学プロセスに応用されてきた。最近は、ガスタービンやボイラーへの燃料接触技術への導入が進められている。これらの触媒の使用温度は1000℃以上、1400〜1500℃で使用される場合もある。従って触媒の担体は、このような条件下でも大きい比表面積を保ち耐熱性に優れたものが要求されている。」(第2頁右上欄14行〜左下欄2行) と記載されている。 同じく引用された刊行物2(ヨーロッパ特許公開第225595号公報)には、 「1.主に担体と触媒活性成分によって構成された触媒において、ある種のシリケート材料を第1担体とし、金属酸化物コートを第2担体とし、金属酸化物と希土類金属の酸化物の混合物を触媒活性成分とする非貴金属系ハニカム構造のモノリス燃焼用触媒。 ・・・・・ 4.第2担体の金属酸化物コートの外面が、希土類金属酸化物を添加したアルミミニウム酸化物コートである請求項1記載の触媒。 5.前記希土類金属酸化物がランタン酸化物であり、アルミニウム酸化物コートに対し1〜5重量%含有されている請求項4記載の触媒。 6.触媒活性成分の金属酸化物成分が銅、マンガン及び希土類金属の酸化物であり、希土類金属の酸化物はセリウムの酸化物であり、また、コバルト、ニッケル、バナジウム及びカリウムの酸化物を含み得る請求項1記載の触媒。 ・・・・・ 10.担体をコート液に浸漬させた後、乾燥、焼成を少なくとも二回行い、第一回目の浸漬、乾燥及び焼成によって、第一担体上に第二担体がコートされて最終的な担体が形成され、第二回目の浸漬、乾燥及び焼成によって、触媒活性成分が第一回目で形成された担体上に付着される非貴金属系モノリス燃焼用触媒の製造方法。 ・・・・・」(特許請求の範囲の請求項1,4,5,6,10) が記載され、また、 「本発明の非貴金属モノリス燃焼用触媒は、上記のような構成であり、上記のような方法によって製造され、次の望ましい効果を奏するものである。 1.非貴金属の触媒活性効果は、触媒燃焼の過程で貴金属のそれに劣ることはない。 2.燃焼中高温を維持し続けることが可能である。 3.空間速度の高負荷を受けられるばかりでなく、高い機械的強度を有する。 4.硫黄、鉛、スモッグ、油汚れの汚染に強く、長寿命を保つことができる。 5.触媒燃焼の開始温度が低い。」(第2頁43行〜51行) と記載され、 第5頁の表1には、触媒特性について、 「使用対象:一酸化炭素、炭化水素、炭化水素の酸素誘導体の触媒燃焼。工業排ガス(一酸化炭素、石油系不飽和炭化水素、芳香族炭化水素・・・)の処理に使用され、高温における触媒燃焼から得られるエネルギーの回収にも使用される。 発火温度:150〜300℃(ベンゾ-ピレン350〜380に対して) 空間速度:10000〜40000M3廃ガス/M3触媒・時間 有機材料の浄化率:90〜100% 熱的安定性:700℃ ・・・・・」(第5頁3行〜17行) と記載されている。 同じく引用された甲第3号証(実験成績報告書)には、 刊行物1の実施例に基づいて触媒担体を製造し、得られた担体を1050℃で6時間熱処理した後、担体のX線回折測定を実施したところ、X線回折ピークは、ランタンアルミネート、δ-アルミナおよびθ-アルミナに帰属させられ、安定化成分であるランタンに関しては、酸化ランタンに帰属させられる回折ピークは見られない(X線回折パターンの2θの半値幅が1.0°以下の回折ピークを持たない)が、ランタンアルミネート(アルミン酸ランタン)は生成しており、2θの半値幅が1.0°以下の回折ピークが見られることが記載されている。 3-4.当審の判断 本件第1発明と刊行物1に記載された発明とを対比すると、刊行物1に記載された発明は、高温度域で安定して非選択的酸化反応(有機化合物である炭化水素の接触燃焼など)を行うための触媒用として使用できる担体であって、アルミナを主成分とし、シリカ、マグネシア等のアルミナ以外の金属酸化物を含む担体と、安定化成分とを含み、安定化成分としては、周期律表のIIIA属元素であるランタンを含む触媒用担体であり、触媒とするために触媒活性成分を含むことは明らかであるから、甲第3号証の実験成績報告書を参照すると、両者は、 「非選択的酸化反応を行うための触媒であって、 アルミナを主成分とし、アルミナ以外の金属酸化物を含む担体と、 前記担体の表面に保持される触媒活性成分および安定化成分とを含み、 安定化成分としては周期律表の第IIIA族の金属イオンが保持されており、 前記安定化成分が1050℃で6時間処理した後、X線回折パターン(回折の2倍角2θで測定)の半値幅が1.0°以下の回折ピークを持たないように均一に分布している有機化合物の非選択的酸化のための担体に保持された触媒。」 である点で一致する。 しかし、本件第1発明は、 「(1)触媒活性成分としては周期律表の第4周期の金属元素のうちの、1つまたは2つ以上の金属の酸化物が微粒子として分布しており」、 「(2)酸化ガス中600℃で24時間加熱した後も、前記触媒は、X線回折パターンで金属アルミン酸塩のピークが全くまたは実質的にはほとんど見られない」ものであるのに対し、 刊行物1には、上記(1)については記載がなく、上記(2)については、担体を1050℃で6時間熱処理した後、ランタンアルミネート(アルミン酸ランタン)が生成し、X線回折パターンでアルミン酸ランタンのピークが見られることが示されている点で相違する。 上記相違点について検討する。 本件第1発明は、「安定な担体物質として記載されている他の物質もさらに分析すると確かに熱安定性は改善されるが、しかし特に担体と触媒活性成分またはその前駆体との間の好ましくない反応に対する安定性は不十分である。というのは触媒活性成分の微細な分布が失われてしまうためである。」(本件特許公報第8欄4〜9行)という従来技術の問題点を解決するために、「(1)触媒活性成分としては周期律表の第4周期の金属元素のうちの、1つまたは2つ以上の金属の酸化物が微粒子として分布しており」、「(2)酸化ガス中600℃で24時間加熱した後も、前記触媒は、X線回折パターンで金属アルミン酸塩のピークが全くまたは実質的にはほとんど見られない」という構成を採用したものであるが、上記金属アルミン酸塩には、触媒活性成分の金属が担体中のアルミナと反応して生成する金属アルミン酸塩だけではなく、安定化成分の金属が担体中のアルミナと反応して生成する金属アルミン酸塩も含まれるものと認められる。 これに対して、刊行物1には、甲第3号証の実験成績報告書を参照すると、担体を1050℃で6時間熱処理した後、金属アルミン酸塩であるアルミン酸ランタンが生成し、X線回折パターンで金属アルミン酸塩のピークが見られることが示されているから、酸化ガス中600℃で24時間加熱した場合にも、「X線回折パターンで金属アルミン酸塩のピークが全くまたは実質的にはほとんど見られない」とはいえない。 また、刊行物2には、シリケート材料を第1担体とし、ランタン酸化物を添加したアルミナから成る金属酸化物コートを第2担体とし、周期律表の第4周期の金属元素である銅、Mn等の酸化物を触媒活性成分として含有する非貴金属系モノリス燃焼用触媒が記載されており、相違点(1)に係る本件第1発明の構成に相当するものは、刊行物2に示されているといえるものの、刊行物1に記載された触媒用担体に、触媒活性成分として「周期律表の第4周期の金属元素のうちの、1つまたは2つ以上の金属の酸化物を微粒子として分布」させた場合に、「酸化ガス中600℃で24時間加熱した後も、前記触媒は、X線回折パターンで金属アルミン酸塩のピークが全くまたは実質的にはほとんど見られない」ことは予測し得ないから、刊行物1に記載された発明に刊行物2に記載された発明を組み合わせても、本件第1発明の相違点(2)に係る構成を当業者が容易に想到し得たとはいえない。 そして、本件第1発明は、相違点(1)及び(2)に係る構成を具備することにより、「高温においても失活することなく、非選択的酸化を行うことができる」という明細書に記載された格別な効果を奏するものである。 したがって、本件第1発明は、刊行物1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 本件第2発明は、担体をアルミナとした点で本件第1発明と相違する発明であるが、相違点(1)及び(2)に係る構成は共通であるから、本件第1発明と同様の理由により刊行物1及び2に記載された発明の基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 本件第3発明は、請求項第1または2項を引用する発明であり、本件第4発明は、請求項第1または2項を引用する請求項第3項を引用する発明であり、本件第5発明は、請求項第3項を引用する請求項第4項を引用する発明であり、本件第6発明は、請求項第1項〜第5項のいずれか1項を引用する発明であり、本件第7発明は、請求項第1項〜第5項のいずれか1項を引用する請求項第6項を引用する発明であり、本件第8発明は、請求項第1項〜第7項のいずれか1項を引用する発明であるから、本件第1発明と同様の理由により、刊行物1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 4.むすび 以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件第1〜8発明の特許を取り消すことはできない。 また、他に本件第1〜8発明の特許を取り消すべき理由を発見ない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 有機化合物の非選択的酸化のための担体に保持された触媒および特に有機化合物の非選択的酸化の方法 (57)【特許請求の範囲】 (1)非選択的酸化反応を行うための触媒であって、 アルミナを主成分とし、アルミナ以外の金属酸化物を含む担体と、 前記担体の表面に保持される触媒活性成分および安定化成分とを含み、 触媒活性成分としては周期律表の第4周期の金属元素のうちの、1つまたは2つ以上の金属の酸化物が微粒子として分布しており、 安定化成分としては周期律表の第IIIA族または第IVA族のうち、1つまたはそれ以上の金属イオンが保持されており、 前記安定化成分が1050℃で6時間処理した後、X線回折パターン(回折の2倍角2θで測定)の半値幅が1.0°以下の回折ピークを持たないように均一に分布しており、 酸化ガス中600℃で24時間加熱した後も、前記触媒は、X線回折パターンで金属アルミン酸塩のピークが全くまたは実質的にはほとんど見られないことを特徴とする有機化合物の非選択的酸化のための担体に保持された触媒。 (2)非選択的酸化反応を行うための触媒であって、 アルミナから成る担体と、 前記担体の表面に保持される触媒活性成分および安定化成分とを含み、 触媒活性成分としては周期律表の第4周期の金属元素のうちの、1つまたは2つ以上の金属の酸化物が微粒子として分布しており、 安定化成分としては周期律表の第IIIA族または第IVA族のうち、1つまたはそれ以上の金属イオンが保持されており、 前記安定化成分が1050℃で6時間処理した後、X線回折パターン(回折の2倍角2θで測定)の半値幅が1.0°以下の回折ピークを持たないように均一に分布しており、 酸化ガス中600℃で24時間加熱した後も、前記触媒は、X線回折パターンで金属アルミン酸塩のピークが全くまたは実質的にはほとんど見られないことを特徴とする有機化合物の非選択的酸化のための担体に保持された触媒。 (3)前記触媒活性成分はMn、Fe、Co、NiおよびCuの1つまたは2つ以上の酸化物であることを特徴とする請求項第1または2項記載の有機化合物の非選択的酸化のための担体に保持された触媒。 (4)前記触媒活性成分が酸化銅、酸化ニッケルもしくは酸化コバルトであることを特徴とする請求項第3項の触媒。 (5)前記触媒活性成分が酸化銅であることを特徴とする請求項第4項の触媒。 (6)前記安定化成分がランタン、ランタニド、ジルコニウム、チタンのうち、1つまたはそれ以上のイオンであることを特徴とする請求項第1項〜第5項のいずれか1項の触媒。 (7)安定化成分としての安定化元素または安定化化合物の量が酸化物として計算して、担体に対し重量で0.1〜25%の範囲であることを特徴とする請求項第6項の触媒。 (8)請求項第1項〜第7項のいずれか1項の触媒を用いることを特徴とする触媒の存在下での有機化合物の非選択的酸化方法。 【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、非選択的酸化を行うための担体に保持された触媒および特に有機化合物の非選択的酸化の方法に関するものである。 従来の技術 どんな燃料も、燃焼して炭酸ガスや水になり、その際、反応熱が熱エネルギーとして放出される。一般に、そのような燃焼は、炎の中で起こる。高い火災温度と、燃焼は気相で起こるということが窒素酸化物の生成を引き起こす。さらに、気体燃料を使うときは、燃焼空気量はたえず燃やされるガスの組成に合わせて調節されねばならない。化合物、特に有機化合物の非選択的酸化で触媒を使用することにより上述の欠点を解決することができる。酸化反応をより低い温度で行うことができるため、窒素酸化物の生成と放出をはかるによくコントロールできる。さらに、ある場合には、酸化反応で生成した熱エネルギーをより容易に捨てたり、利用したりすることもできる。メタンや高級アルカン類やアルコールのような化合物の酸化では、しばしば貴金属触媒が用いられている。 これらの触媒は低温でも高い活性を持つている。貴金属触媒の欠点は、たとえ微粉状の担体に保持させたとしても、高価であることである。特に水素や一酸化炭素のような反応性の高い分子の酸化では、上述の貴金属触媒は一般にはもつと安い金属酸化物におきかえることができる。しかしながら、これらの酸化物をベースとした触媒は貴金属触媒に比べ活性はかなり低い。 Trimm,CatAlytic Combustion(Review),Applied CatAlysis 7(1983)第249〜282頁は、とりわけ炭化水素の燃焼に対して触媒活性のある物質について総説を書いている。この文献の第260〜261頁の表からわかるように、この分野の研究は主として貴金属触媒を対象としている。 発明が解決しようとする課題 本発明の目的は、比較的低温で十分活性があり、しかも高価なためにその使用が制約を受けるというようなことがないような上述の非選択的酸化反応のための担体に保持された触媒、および有機化合物の非選択的酸化の方法を提供することである。 課題を解決するための手段 本発明は、非選択的酸化反応を行うための触媒であって、 アルミナを主成分とし、アルミナ以外の金属酸化物を含む担体と、 前記担体の表面に保持される触媒活性成分および安定化成分とを含み、 触媒活性成分としては周期律表の第4周期の金属元素のうちの、1つまたは2つ以上の金属の酸化物が微粒子として分布しており、 安定化成分としては周期律表の第IIIA族または第IVA族のうち、1つまたはそれ以上の金属イオンが保持されており、 前記安定化成分が1050℃で6時間処理した後、X線回折パターン(回折の2倍角2θで測定)の半値幅が1.0°以下の回折ピークを持たないように均一に分布しており、 酸化ガス中600℃で24時間加熱した後も、前記触媒は、X線回折パターンで金属アルミン酸塩のピークが全くまたは実質的にはほとんど見られないことを特徴とする有機化合物の非選択的酸化のための担体に保持された触媒である。 また本発明は、非選択的酸化反応を行うための触媒であって、 アルミナから成る担体と、 前記担体の表面に保持される触媒活性成分および安定化成分とを含み、 触媒活性成分としては周期律表の第4周期の金属元素のうちの、1つまたは2つ以上の金属の酸化物が微粒子として分布しており、 安定化成分としては周期律表の第IIIA族または第IVA族のうち、1つまたはそれ以上の金属イオンが保持されており、 前記安定化成分が1050℃で6時間処理した後、X線回折パターン(回折の2倍角2θで測定)の半値幅が1.0°以下の回折ピークを持たないように均一に分布しており、 酸化ガス中600℃で24時間加熱した後も、前記触媒は、X線回折パターンで金属アルミン酸塩のピークが全くまたは実質的にはほとんど見られないことを特徴とする有機化合物の非選択的酸化のための担体に保持された触媒である。 また本発明は、前記触媒活性成分はMn、Fe、Co、NiおよびCuの1つまたは2つ以上の酸化物であることを特徴とする。 また本発明は、前記触媒活性成分が酸化銅、酸化ニッケルもしくは酸化コバルトであることを特徴とする。 また本発明は、前記触媒活性成分が酸化銅であることを特徴とする。 また本発明は、前記安定化成分がランタン、ランタニド、ジルコニウム、チタンのうち、1つまたはそれ以上のイオンであることを特徴とする。 また本発明は、安定化成分としての安定化元素または安定化化合物の量が酸化物として計算して、担体に対し重量で0.1〜25%の範囲であることを特徴とする。 また本発明は、前記触媒を用いることを特徴とする触媒の存在下での有機化合物の非選択的酸化方法である。 作 用 本発明に至る研究の過程で触媒活性成分として卑金属酸化物をベースとする酸化反応触媒は、ごく限られた範囲でしか使えない多くの原因が明らかになつた。一般には、燃焼触媒は、生成する熱エネルギーの放出を考慮すると、500℃以上の反応温度で機能しなければならない。 前記卑金属酸化物粉末は、500℃以上の温度ですぐに焼結してしまう。その結果触媒の単位容積当りの活性表面積が減少してしまい、活性の著しい低下をきたす。このことからまず、触媒活性のある成分を高い多孔性の熱に安定な担体に保持させるということが考えられる。しかし触媒を用いる燃焼の条件下では微粉状の活性酸化物は、しばしば担体物質と反応し、不活性なもしくは活性のはるかに低い物質、特に金属ケイ酸塩とか金属アルミン酸塩となつている。これらの反応は貴金属触媒では起こらないため、高温でも活性が保持されているのである。 そのような反応の実例としては、酸化ニツケルとアルミナの反応によるアルミン酸ニツケルの生成が挙げられる。高い反応温度ではアルミン酸ニツケルとなつてしまい、このものはほとんど触媒活性を持たない。 もう一つの例として、触媒としての酸化コバルトの使用が挙げられる。十分な活性を得るためには酸化コバルトはアルミナに保持しなければならない。しかしながら酸化コバルトは、ここでもアルミナと反応してスピネル、すなわちアルミン酸コバルトとなり、このものは低い活性しか持たない。 さらに触媒活性のある卑金属酸化物が存在すると、多孔性のアルミナがわずかな表面積しか持たないα-アルミナへの転移反応を加速する現象がしばしば見られる。担体にのせる酸化活性のある成分が少なすぎると、α-アルミナへの転移のほうが、アルミン酸塩への反応よりしばしば多く生ずる。 このため、担体との反応やα-アルミナへの再結晶化を防ぐまたは禁止するため、あらゆる種類の手段を研究した。 本発明により、非選択的酸化反応を行うための触媒が得られるが、この触媒はアルミナ単独または主としてアルミナと、それ以外の金属酸化物とから成る担体物質からできている。担体表面には触媒活性成分が保持されている。触媒活性成分として、周期律表の遷移元素を含む第1列目、すなわち第4周期の金属の酸化物が1つまたはそれ以上微粉末状に分散させられている。さらに担体表面には、周期律表の第IIIA族または第IVA族の金属イオンが安定成分として添加されており、それらの成分は、1050℃で6時間処理後、X線回折パターンが回折の2倍角で測定して1.0°以下の半値幅を有するピークをもたない程均一になっている。 さらに特に、酸化ガス中1000℃で24時間加熱した後でも、この触媒はX線回折パターンで金属アルミン酸塩のスペクトル線を全く、または実質的にはほとんど認めることができない。これに関して、回折のピークの半値幅とはピークの高さの半分の高さのところの幅を角度で表したものを意味している。 担体としては、非選択的酸化反応触媒として知られているすべてのアルミナをベースとした担体が原則として適している。アルミナと組み合わせることができる担体としての金属酸化物はSiO2,MgOやZnOである。 一般に、アルミナを他の任意の金属酸化物と組み合わせる場合は、アルミナは少なくとも半分は必要である。好ましくは、担体はAl2O3単独から成るのがよい。 触媒活性成分としては、周期表の第4周期の金属元素、特にMn,Fe,Co,NiおよびCuの酸化物が適している。触媒活性のある酸化物を担体にのせたとき、この酸化物は微粉末の状態であり、その状態が保たれていること、すなわち担体表面に均一に分布しており、非常に小さな粒子であることが重要である。このためには、とりわけコントロールされた沈澱や吸着の技術が必要である。 IUPAC,Nomenclature of Inorganic Chemistry 1970(Definitive Rules1970)London1970で定義された元素の周期律表の第IIIA族または第IVA族金属イオンが、本発明の担体表面に安定化成分として均一に添加される。前記金属としてはとりわけ、ランタニド、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、スカンジウム(Sc)、ランタン(La)、ハフニウム(Hf)およびチタン(Ti)を選択して用いる。またニオブ(Nb)、タンタル(Ta)も用いることができる。望ましくない反応に対して、最も大きな安定性を与えるという点で、第IIIA族金属としてランタンとランタニド、および第IVA族金属としてジルコニウムとチタンが好ましい。 驚くべきことに、本発明による触媒は担体表面に前記安定化成分が均一に添加されるので、担体に保持された貴金属触媒と同じ程度の活性をもつことが明らかになった。 さらに本発明による触媒を非選択的酸化反応に使つたときには、最も高い温度でも触媒活性成分の焼結もまた活性成分と担体が反応して触媒的に不活性なまたは活性の低い化合物になつてしまう反応も起こらない。 触媒活性成分またはその前駆体と担体との反応によつて生ずる問題を解決するための提案は以前からあつた。たとえば触媒をメタン水蒸気で再生する方法で、この場合担体はスピネル構造すなわちスピネル型のアルミン酸マグネシウムを持つている。しかしながらこの物質は分解し、そしてたとえば酸化ニツケルがマグネシアまたはアルミナと反応し、実質的に不活性な化合物を作つてしまう。驚くべきことに、本発明による触媒ではこう言つた問題は起こらない。 Influence of Surface Area and Additives on the Thermostability of Transition Alumina CatAlyst Supports.I:Kinetic Data,Applied CatAlysis,34(1987),第225〜238頁でBurtinらはいくつかの方法に基づいて表面と、そして添加物が違つた遷移状態にあるアルミナのα-アルミナへの転移におよぼす影響について述べている。この文献からα-アルミナへの転移はもとのアルミナの非常に特異的な表面領域によつて強められることがわかる。また分析結果は、ジルコニウム,カルシウム,トリウムそしてランタンなどのイオンがα-アルミナへの転移のインヒビターとして作用することを示している。 このことからこれらの金属イオンの添加は触媒の熱安定性に影響を持つと結論することができる。 西独特許出願27 39 466では、ニツケルおよび/またはコバルト酸化物,ランタンおよび/またはセリウム酸化物,そしてアルミナから成る触媒を開示しているが、この触媒はメタンを含むガスの生産に使われている。この文献の触媒は可溶性の金属塩の水溶液から異なる酸化物を一緒にまたは別々に沈澱させて得られる。この明細書によると、塩の3段階による沈澱法で最もよい結果が得られている。すなわち最初は硝酸アルミニウムの溶液からアルミナを沈澱させて、アルミナを作る。次いで、このアルミナの上に硝酸ランタン溶液からランタナ(酸化ランタン)を沈澱させる。最後に硝酸ニツケル溶液からこの上に酸化ニツケルを沈澱させる。このようにして重量%で酸化ニツケル60〜90%,ランタン5〜30%を含む触媒が得られる。この触媒の高い活性は特別の生産条件のせいである。 Suhaperは、Thermostable Ni-Alumina CatAlysts,Disserttaion 1984,Delft,第73〜75頁で、ニツケルアルミナメタン化触媒へのランタナの添加について述べている。 この中で、彼は他の文献に焼結や炭素の析出やアルミン酸ニツケルの生成を抑えるためランタナの添加について述べていると言つている。しかしながら安定な担体物質として記載されている他の物質もさらに分析すると確かに熱安定性は適度に改善されるが、しかし特に担体と触媒活性成分またはその前駆体との間の好ましくない反応に対する安定性は不十分である。というのは触媒活性成分の微細な分布が失われてしまうためである。 Suhaperの文献にはさらにランタナの添加はアルミン酸ニツケルの生成を抑制すると述べている。このことはアルミン酸ニツケルの生成に関してのみ事実であるが、普通のランタナ含有アルミナ担体ではこの反応はごく僅かに抑制されただけで、必要な微細な分布が失われてしまつた。 本発明の触媒では、安定化剤の添加効果は非常に優れている。たとえば、γ-Al2O3を用いた本発明の触媒では実際に1000℃で24時間加熱した後もX線回折パターンではα-Al2O3やアルミン酸銅のスペクトル線が全く、またはほとんど見られない。さらに酸化ガス中600℃で24時間加熱した後でも、金属アルミネートは全く存在しない。 制限視野電子回折(Selective area electron diffraction)を用いた触媒の分析では、熱処理中には0.1μm以上の大きさのα-Al2O3または銅アルミネート粒子は全く見付からなかつた。同様の結果がコバルトやニッケルのような第4周期の金属の酸化物でも得られている。 本発明は、いかなる理論によっても制約を受けないが、周期律表の第IIIA族および第IVA族のうち、1つまたはそれ以上の金属イオンを安定化剤として担体表面に加えると表面の結晶学的転位が起こり、触媒活性物質またはその前駆体と反応しないかもしくは実質的にはほとんど反応しなくなる。 これに関して、均一に塗布するという言葉は担体の単位面積当り、たとえば100Å2当り、ほとんど同数の第IIIA族または第IVA族の安定化金属イオンが存在していることを意味している。それゆえ安定化金属イオンの一重層がが存在しているということが必須ではない。安定化金属イオンは、担体表面に均一に分布していて、表面全体が望ましくない結晶形へ転位するのを防ぐに十分な数だけあればよい。 これらの担体については、しばしばもとの担体と第IIIA族または第IVA族の安定化金属イオンとを別々の化合物として固定することができないことがある。担体の金属酸化物の格子中に安定化金属イオンが入り込んでいるかどうかは疑問である。これまで述べてきた均一に分布している安定化金属イオンの量は、大きな範囲で変化し得る。 一般にこの量は担体に対して、酸化物として計算して重量でせいぜい0.1%であるが、特別な場合には0.1〜25wt%になる。25wt%以上の量はメリツトがないし、かえつて不利益のほうが多い。 アルミナまたはアルミナを主体とする担体表面に安定化成分を均一に添加するには、安定化成分を構成する金属化合物を水に溶解し、安定化成分を構成する金属をイオン化し、一定のpHの下で錯化剤で金属イオン錯体として前記担体表面に吸着させる方法による。この吸着法はpH4〜10で効果があるが、吸着の程度はpHを選択することによつて決められる。これに関しては、次のHuangとLinによる文献、Specific Adsorption of CobAlt(II)and(Co(III)-EDTA)-Complexes on Hydrous Oxide Surfaces Published in Adsorption from Aqueous Solution,Plenum Press,1981,New York,第61〜91頁がある。この文献で提唱されている吸着の機構は、本発明で用いたように第IIIA族および第IVA族の安定化金属イオンに対しても適用できる。 使用した錯化剤としては、通常のよく知られたEDTAやEGTA、クエン酸塩、シユウ酸塩のような錯化剤が用いられる。 吸着には、通常0.5分〜5時間かかるが、その後液体と固体を分離する。これはよく知られた濾過とか、デカンテーシヨン,遠心分離のような方法で行う。湿つた担体は次いで一般には乾燥して液体を除き、そして必要なら望みの酸化物を得るために熱処理を行う。一般にこの熱処理は150°〜600℃の温度で30分〜24時間行う。 担体表面に添加される安定化成分の量は、前述のように金属錯体の吸着がされる間のpHによって影響を受ける。添加量を変えるもう1つの方法は、吸着の段階を2〜3回繰返すことである。このようにすると、安定化成分の添加量の非常に高い安定化担体が得られるが、一般にはこのようなものは必要ではない。 本発明の担体に保持された触媒、すなわち安定化担体表面に触媒活性成分である周期律表の第4周期の遷移金属を担持させた触媒には、前記金属化合物を溶解した水溶液に安定化担体を浸漬し、pH変化を利用した析出沈澱法が適している。たとえば苛性ソーダを加える方法か、電気化学的方法でpHを変え、安定化担体上に前記金属の水酸化物を析出させ、安定化担体とともに水から分離し、乾燥させ、必要なら燃焼する。一般に触媒活性成分の担持量は、酸化物として0.1〜30%(重量)の間である。触媒活性成分である金属は安定化成分の金属とは異なる。 本発明はまた、上述の触媒を使つてメタンとか,廃ガス,燃焼ガスなどのようなものまで含め、有機化合物を非選択的酸化する方法にも関するものである。触媒は酸化型で使用する。 そのような方法は、電気や熱や動力などを発生させるため炭化水素を“炎のない完全燃焼”させるために特に重要である。 発明のいくつかの実施例を以下に示す。 実施例1 Harshaw B.Vから売られているγ-Al2O3(Al4172,265m2/g,空孔容積(Pore Volume)1.14ml/g)20gを30℃の脱イオン水750mlに懸濁させ、濃硝酸でpHを5に調節した。一方、1.95gEDTA(ethylenediamine teraacetic acid)をpHが4以下にならないように濃アンモニア水を滴下しながら50mlの脱イオン水に溶解した。次いで2.69gのLa(NO3)3・6H2O(最終的に重量で5%のLa2O3の添加に相当)を5mlの脱イオン水に溶解し、注意深く、EDTA溶液に滴下した。このとき希アンモニア水を滴下しながらpHを4〜7の間に維持した。この溶液をγ-Al2O3の懸濁に移し、pHを再度希硝酸を加え5に調整した。1時間この懸濁液をはげしく攪拌し、pHは液面下に希硝酸を抽入しながら一定に保つた。1時間後、懸濁液を濾過し、脱イオン水25mlで2回洗浄した。得られた担体は60℃で16時間乾燥を行つた。乾燥した担体はランタン錯体を酸化型にするため空気中、550℃で5.5時間燃焼した。担体は均一に重量で3%のLa2O3を含んでいた。この安定化担体15gを30℃の脱イオン水750ml中に懸濁した。一方、5.16gのCu(NO3)2・3H2Oを脱イオン水50mlに溶解し、懸濁液中に加えた。 次いで、液表面下にN2を吹き込みながらこの懸濁液をはげしく撹拌した。pHは濃硝酸で4に調整した。次に液面下に0.5M NaOH溶液(0.3ml/min)を抽入しながらpHを12にあげた。16時間後触媒を区別し、脱イオン水25mlで2回洗浄した。触媒は60℃で23時間乾燥した。酸化ガス中600℃で24時間加熱した後、X線回折パターンでアルミン酸銅(Cooper Aluminate)の線がないことを確認した。 実施例2 メタンの酸化反応で、上記触媒(10wt%CuO/Al2O3)の触媒活性を固定床反応器を用いてテストした。触媒150MPaの圧力で圧縮し、次いでふるいにかけて最終的に500〜850μmのふるいのフラクシヨンを得た。反応器にこのフラクシヨン0.6gを詰め、ガス混合物(容積%でCH41%,O24%,N295%)を触媒上に通した。空間流速は3000h-1であつた。メタンのCO2とH2Oへの変換は300℃で既に見られた。550℃で前記変換率は100%となつた。触媒の安定性をテストするために、触媒を1000℃で6時間窒素気流(空間流速3000h-1)下に前処理を行つた。前処理後触媒は室温に冷却し、反応混合物(容積でCH41%,O24%,N295%)を再度触媒上に通じた。もう一度触媒の活性を測定した。不活性化は見られなかつた。驚くべきことに、触媒の活性は前処理の結果かなり上がつていた。460℃の温度で変換は既に100%となつた。 実施例3 実施例1と同様にして、15gの安定化担体を30℃で脱イオン水750ml中に懸濁させた。一方、6.04gのCo(NO3)2・6H2Oを脱イオン水50mlに溶解し、これを懸濁液中に加えた。次いで液面下にN2を吹き込みながら懸濁液をはげしく撹拌した。pHは濃硝酸で4.8に調整した。次に液面下に0.25M NaOH溶液(0.3ml/min)を抽入しながらpHを12.5に上げた。16時間後、触媒を区別し、脱イオン水25mlで2℃洗浄した。触媒は60℃で23時間乾燥を行つた。最終的にAl2O3に対し、10%のCo3O4を含む触媒が得られた。触媒は実施例2と同じテストを行つた。その結果不活性化は見られなかつた。酸化ガス中で加熱した後も、X線回折パターンではアルミン酸コバルト(CobAlt Aluminate)は見られなかつた。 実施例4 実施例1と同様にして、15gの安定化担体を30℃で脱イオン水750ml中に懸濁した。一方、5.70gのCu(NO3)2・3H2Oと5.41gのMn(NO3)2・4H2Oを脱イオン水50mlに溶解し、懸濁液中に加えた。この懸濁液は液面下にN2を吹き込みながら、はげしく撹拌を行つた。pHは濃硝酸で4に調整した。次に、液面下に1M NaOH溶液を注入(0.3ml/min)してpHを12に上げた。16時間後触媒を区別し、脱イオン水25mlで2度洗浄した。触媒は60℃で23時間乾燥した。最終的にAl2O3に対し、10%CuO,8%MnO2から成る触媒が得られた。 触媒は実施例2と同じテストを行つた。その結果、不活性化は見られなかつた。また実施例1で述べたテストを行つた後でも銅またはマンガンのアルミン酸塩は見られなかつた。 実施例5 重量で0.5%のLa2O3を保持させる実施例1の調整法と同様にして、10gの安定化担体を25℃で1.5lの脱イオン水に懸濁させた。電解質として7.84gのK2SO4を加えた。そして液面下にN2ガスを吹き込んだ。銅陽極と白金陰極を懸濁液中においた。pHを7に調整し、4.75時間8mA/cm2の電流を通じた。次いで触媒を区別し、脱イオン水25mlで2度洗浄し、60℃で16時間乾燥を行つた。Al2O3上12%CuOを含有する触媒が得られた。触媒の安定性は実施例1および実施例2に述べた方法でテストを行つた。 その結果、不活性化も、アルミン酸銅の生成も見られなかつた。また、メタンの非選択的酸化の活性は、高温での前処理の結果高められることもわかつた。 比較例1と実施例6 Schaperの単位論文の記載に従つて(第41頁参照)、できあがった担体がAl2O3に対し、La2O3換算で0.5重量%のランタンイオンを含むように、20gのγ-Al2O3に硝酸ランタン溶液を浸みこませて安定化担体を調整した。担体は一夜60℃で乾燥し、それから500℃で2時間燃焼した。この担体は次に硝酸銅溶液を浸み込ませ、アルミン酸塩の生成を最小限にし、そして乾燥,燃焼後Al2O3上に重量でCuOを10%含む触媒を得た(触媒A,比較例)。 実施例1の方法に従つて担体を得、乾燥,燃焼後、0.5重量%のLa2O3を含ませた。均一析出沈澱によりこの担体上に重量で10%のCuOを析出させた(触媒B,実施例6)。 両方の触媒は、次に1000℃で6時間加熱を行つた。触媒はX線回折と電子回折により分析を行つた。第1図に示される触媒AのX線回折パターンではα-Al2O3の強いピークが、δ-Al2O3のピークに並んで見える。第1図に示される触媒BのX線回折パターンではδ-Al2O3のピークだけである。触媒Aおよび触媒BのX線回折パターンにおけるピークの同定結果は第1表および第2表にそれぞれ示される。 触媒Aの電子回折パターンではα-Al2O3とCu-Al2O4(cooper Aluminate)のピークがδ-Al2O3のピークに並んでみられる。触媒Bの電子線回折パターンではδ-Al2O3のピークが見られるだけである。このことから触媒Aは熱に対して安定化しているだけであり、これに対し触媒Bは活性成分と担体の反応に対しても安定化している。γ-Al2O3から出発して、触媒Aと同様の方法で硝酸銅を浸み込ませ、燃焼すると安定化していない触媒C(比較例)が得られる。この安定化していない触媒CのX線回折パターンの測定結果は、第2図に示される。 ピークの同定は第3表の通りである。 発明の結果 以上説明したように、本発明による触媒は貴金属を使用しないので比較的安価に製造でき、メタンとか廃ガス、燃焼ガスなどの有機化合物を含むガスを比較的低温で選択的に酸化することができる。また本発明による触媒は高温においても失活することなく、前記選択的酸化を行うことができる。 【図面の簡単な説明】 第1図は本発明の実施例6における触媒Bと比較例における触媒AとのX線回折パターンを示すグラフ、第2図は安定化していない触媒CのX線回折パターンを示すグラフである。 |
訂正の要旨 |
(2-1)明細書の特許請求の範囲を次のとおりに訂正する。 「2、特許請求の範囲 (1)非選択的酸化反応を行うための触媒であって、 アルミナを主成分とし、アルミナ以外の金属酸化物を含む担体と、 前記担体の表面に保持される触媒活性成分および安定化成分とを含み、 触媒活性成分としては周期律表の第4周期の金属元素のうちの、1つまたは2つ以上の金属の酸化物が微粒子として分布しており、 安定化成分としては周期律表の第IIIA族または第IVA族のうち、1つまたはそれ以上の金属イオンが保持されており、 前記安定化成分が1050℃で6時間処理した後、X線回折パターン(回折の2倍角2θで測定)の半値幅が1.0°以下の回折ピークを持たないように均一に分布しており、 酸化ガス中600℃で24時間加熱した後も、前記触媒は、X線回折パターンで金属アルミン酸塩のピークが全くまたは実質的にはほとんど見られないことを特徴とする有機化合物の非選択的酸化のための担体に保持された触媒。 (2)非選択的酸化反応を行うための触媒であって、 アルミナから成る担体と、 前記担体の表面に保持される触媒活性成分および安定化成分とを含み、 触媒活性成分としては周期律表の第4周期の金属元素のうちの、1つまたは2つ以上の金属の酸化物が微粒子として分布しており、 安定化成分としては周期律表の第IIIA族または第IVA族のうち、1つまたはそれ以上の金属イオンが保持されており、 前記安定化成分が1050℃で6時間処理した後、X線回折パターン(回折の2倍角2θで測定)の半値幅が1.0°以下の回折ピークを持たないように均一に分布しており、 酸化ガス中600℃で24時間加熱した後も、前記触媒は、X線回折パターンで金属アルミン酸塩のピークが全くまたは実質的にはほとんど見られないことを特徴とする有機化合物の非選択的酸化のための担体に保持された触媒。 (3)前記触媒活性成分はMn、Fe、Co、NiおよびCuの1つまたは2つ以上の酸化物であることを特徴とする請求項第1または2項記載の有機化合物の非選択的酸化のための担体に保持された触媒。 (4)前記触媒活性成分が酸化銅、酸化ニッケルもしくは酸化コバルトであることを特徴とする請求項第3項の触媒。 (5)前記触媒活性成分が酸化銅であることを特徴とする請求項第4項の触媒。 (6)前記安定化成分がランタン、ランタニド、ジルコニウム、チタンのうち、1つまたはそれ以上のイオンであることを特徴とする請求項第1項〜第5項のいずれか1項の触媒。 (7)安定化成分としての安定化元素または安定化化合物の量が酸化物として計算して、担体に対し重量で0.1〜25%の範囲であることを特徴とする請求項第6項の触媒。 (8)請求項第1項〜第7項のいずれか1項の触媒を用いることを特徴とする触媒の存在下での有機化合物の非選択的酸化方法。」 (2-2)明細書第5頁第14行目〜第7頁第12行目(特許公報第2頁第4欄第19行目〜第3頁第5欄第20行目)を下記のとおりに補正する。 「本発明は、非選択的酸化反応を行うための触媒であって、 アルミナを主成分とし、アルミナ以外の金属酸化物を含む担体と、 前記担体の表面に保持される触媒活性成分および安定化成分とを含み、 触媒活性成分としては周期律表の第4周期の金属元素のうちの、1つまたは2つ以上の金属の酸化物が微粒子として分布しており、 安定化成分としては周期律表の第IIIA族または第IVA族のうち、1つまたはそれ以上の金属イオンが保持されており、 前記安定化成分が1050℃で6時間処理した後、X線回折パターン(回折の2倍角2θで測定)の半値幅が1.0°以下の回折ピークを持たないように均一に分布しており、 酸化ガス中600℃で24時間加熱した後も、前記触媒は、X線回折パターンで金属アルミン酸塩のピークが全くまたは実質的にはほとんど見られないことを特徴とする有機化合物の非選択的酸化のための担体に保持された触媒である。 また本発明は、非選択的酸化反応を行うための触媒であって、 アルミナから成る担体と、 前記担体の表面に保持される触媒活性成分および安定化成分とを含み、 触媒活性成分としては周期律表の第4周期の金属元素のうちの、1つまたは2つ以上の金属の酸化物が微粒子として分布しており、 安定化成分としては周期律表の第IIIA族または第IVA族のうち、1つまたはそれ以上の金属イオンが保持されており、 前記安定化成分が1050℃で6時間処理した後、X線回折パターン(回折の2倍角2θで測定)の半値幅が1.0°以下の回折ピークを持たないように均一に分布しており、 酸化ガス中600℃で24時間加熱した後も、前記触媒は、X線回折パターンで金属アルミン酸塩のピークが全くまたは実質的にはほとんど見られないことを特徴とする有機化合物の非選択的酸化のための担体に保持された触媒である。 また本発明は、前記触媒活性成分はMn、Fe、Co、NiおよびCuの1つまたは2つ以上の酸化物であることを特徴とする。 また本発明は、前記触媒活性成分が酸化銅、酸化ニッケルもしくは酸化コバルトであることを特徴とする。 また本発明は、前記触媒活性成分が酸化銅であることを特徴とする。 また本発明は、前記安定化成分がランタン、ランタニド、ジルコニウム、チタンのうち、1つまたはそれ以上のイオンであることを特徴とする。 また本発明は、安定化成分としての安定化元素または安定化化合物の量が酸化物として計算して、担体に対し重量で0.1〜25%の範囲であることを特徴とする。 また本発明は、前記触媒を用いることを特徴とする触媒の存在下での有機化合物の非選択的酸化方法である。」 |
異議決定日 | 2002-12-27 |
出願番号 | 特願平1-25632 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
YA
(B01J)
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最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 野田 直人、関 美祝、繁田 えい子 |
特許庁審判長 |
松本 悟 |
特許庁審判官 |
石井 良夫 酒井 美知子 |
登録日 | 2000-04-28 |
登録番号 | 特許第3061138号(P3061138) |
権利者 | ガズ ド フランス ガステック エヌ.ファウ |
発明の名称 | 有機化合物の非選択的酸化のための担体に保持された触媒および特に有機化合物の非選択的酸化の方法 |
代理人 | 西教 圭一郎 |
代理人 | 秋元 輝雄 |
代理人 | 西教 圭一郎 |
代理人 | 西教 圭一郎 |