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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  B09B
管理番号 1074898
異議申立番号 異議2002-72444  
総通号数 41 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1999-02-02 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-10-01 
確定日 2003-03-26 
異議申立件数
事件の表示 特許第3281589号「腐敗性有機物の処理装置」の請求項1ないし4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第3281589号の請求項1ないし4に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第3281589号の請求項1ないし4に係る発明についての出願は、平成9年11月28日(優先権主張 平成9年5月13日 日本)に特許出願され、平成14年2月22日にその特許権の設定登録がなされ、その後、特許異議申立人 中村羨勇より特許異議の申立てがなされたものである。

2.特許異議申立てについて
(1)本件発明
特許第3281589号の請求項1ないし4に係る発明(以下、「本件発明1」ないし「本件発明4」という。)は、明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】腐敗性有機物を収容する処理槽と、前記処理槽内の前記腐敗性有機物を攪拌する攪拌装置と、攪拌している前記腐敗性有機物に電磁波を照射する電磁波照射装置と、前記処理槽内で前記腐敗性有機物を破砕する破砕装置とを備えた腐敗性有機物の処理装置であって、前記攪拌装置は、外部回転軸を介して回転駆動される攪拌翼を有し、前記破砕装置は、前記外部回転軸の中に設けられた内部回転軸に取付けられた破砕翼を有することを特徴とする腐敗性有機物の処理装置。
【請求項2】前記攪拌装置と、前記腐敗性有機物に加圧空気を底部から上方に透過させる空気透過装置を設けたことを特徴とする請求項1記載の腐敗性有機物の処理装置。
【請求項3】前記処理槽内における電磁波照射後に破砕された前記有機廃棄物を吸引して収集パックに収集する吸引装置を設けたことを特徴とする請求項1または2記載の腐敗性有機物の処理装置。
【請求項4】前記処理槽の内面に付着した前記腐敗性有機物を削ぎ落とす削ぎ落とし装置を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の腐敗性有機物の処理装置。」
(2)申立ての理由の概要
特許異議申立人 中村羨勇は、下記の甲第1号証ないし甲第8号証を提出し、本件発明1ないし4は、甲第1号証ないし甲第8号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件発明1ないし4の特許は、取り消されるべきものである旨、主張している。
甲第1号証:特開平9-14621号公報
甲第2号証:特開平8-112583号公報
甲第3号証:実用新案登録第2521765号公報
甲第4号証:実用新案登録第2529257号公報
甲第5号証:特開昭63-42730号公報
甲第6号証:特開平6-156606号公報
甲第7号証:特開平6-16203号公報
甲第8号証:特開平7-204615号公報
(3)甲各号証に記載された事項
(3)-1.甲第1号証には、図面と共に下記の記載がある。
(1ア)「マイクロ波発生部を連結したごみ収容用の加熱室と、該加熱室に設けたマイクロ波加熱体と、前記加熱室に設けた攪拌装置と、前記加熱室の底部側に設けた排出路とを具備したことを特徴とするごみ処理装置。」(特許請求の範囲 請求項1)
(1イ)「本発明は、家庭等から排出される紙、生ごみ又は合成樹脂製容器等を処理するごみ処理装置・・・に関する。」(第2頁第1欄21〜23行、【0001】段落)
(1ウ)「前記請求項1記載の構成によって、加熱室に生ごみなどのごみを収容した後に攪拌装置によりごみを攪拌し、同時にマイクロ波によりマイクロ波加熱体を加熱して前記ごみを炭化させる。」(第2頁第2欄27〜30行、【0010】段落)
(1エ)「本発明の第1実施例を図1乃至図4を参照して説明する。ごみAを収納する加熱室1は縦形の円筒形であり、該加熱室1の上部側面にはマイクロ波発生部(マグネトロン)2が導波管3を介して連結されている。前記マイクロ波発生部2のマイクロ波を前記加熱室1に向けて放射できるようになっている。さらに前記加熱室1の底部上にはやや径小な円錐板4が設けられ、該円錐板4には攪拌装置たる回転羽根5が設けられている。この回転羽根5は前記底部の下部に取付けられたモータ6の回転軸7に連結されて回動駆動できるようになっており、一方へ水平に突設する第1の羽根部8と、他方へ突設し前記円錐板4に沿う斜設部9Aの端部に前記加熱室1の側面に沿うように立設した立上り部9Bを有する第2の羽根部9を有する。尚、前記第1の羽根部8、第2の羽根部9の縁はナイフのように鋭利に形成されている。さらに前記回転羽根5の中心上には、例えば炭化珪素(SiC)を主成分とするマイクロ波加熱体10が設けられている。該マイクロ波加熱体10はマイクロ波を受信して温度が上昇するセラミックからなる固体材料であり、前記加熱室1の軸心1Aに位置しており、また前記加熱室1は前記マイクロ波加熱体10に電界が集中する電界分布となるように円筒状に形成されている。」(第2頁第2欄42行〜第3頁第3欄13行、【0014】段落)
(1オ)「前記構成についてその作用を説明する。・・・生ごみ等のごみAを加熱室1に収容した後、・・・マイクロ波発生部2からマイクロ波が発信され導波管3を介して加熱室1内へ照射される。この照射によりマイクロ波はまずごみAに吸収され、水分が蒸発してごみAは急速に乾燥する。このときごみAに含まれる水の誘電率はその他のごみAの成分に比べて非常に大きいために、マイクロ波はマイクロ波加熱体10に達するまでに、ごみAに含まれる水分にほとんど吸収されてしまう。したがって、ごみAがほぼ完全に乾燥してから、マイクロ波はマイクロ波加熱体10を加熱し始めることになる。」(第3頁第4欄4〜16行、【0018】段落)
(1カ)「ごみAが乾燥した後、マイクロ波はマイクロ波加熱体10に集中的に受信され、該マイクロ波加熱体10の温度を次第に乾燥したごみAの発火点以下の温度まで上昇させると、それに接する乾燥状態のごみAが加熱される。そしてごみAがある程度の高温になると発火しない状態で分解してガスGを発生しつつ炭化が始まる。この現象は前記マイクロ波加熱体10の周囲から起こる。」(第3頁第4欄28〜34行、【0020】段落)
(1キ)「前記マイクロ波の照射時から加熱室1に収容されたごみAが総て炭化した後まで、制御装置34によりモータ6を作動して回転羽根5を回転させて前記ごみAを攪拌・粉砕する。」(第4頁第5欄4〜7行、【0022】段落)
(1ク)「前記回転羽根5は加熱室1の底部に設けられるので底部に溜まったごみAを確実に攪拌・粉砕して、確実にごみAを確実に炭化すると共に細かくすることができ、前記回収箱16に回収した際に容積を小さくでき、また肥料等として再使用する際にも便利である。」(第4頁第5欄25〜30行、【0024】段落)
(3)-2.甲第2号証には、図面と共に下記の記載がある。
(2ア)「分解処理をする有機物を収納する下部形状が略円錐状の分解槽の中央に回転軸の外周に螺旋羽根を取付けた螺旋体を立設し、同螺旋体外周に下部に突出棒を下方向へ突出させた円筒体を回動自在に嵌装し、同円筒体外周に攪拌部材を取付け、前記螺旋体と円筒体とを互いに逆方向に回動させる駆動手段を設けたことを特徴とする有機物分解処理機。」(特許請求の範囲 請求項1)
(2イ)「円筒体の上部開口部の上方に有機物を細断する切断部を設けた請求項1〜3いずれか記載の有機物分解処理機。」(特許請求の範囲 請求項4)
(2ウ)「切断部として、螺旋体に固定した回転刃と円筒体に固定した固定刃との交差により形成される請求項4記載の有機物分解処理機。」(特許請求の範囲 請求項5)
(2エ)「本発明は家庭、食堂、工場から発生する魚・鳥の肉を取り去った残りのアラや肉片、魚片、骨、野菜や残飯等の生ゴミ(以下明細書中有機物と総称する)を攪拌して微生物で分解していく有機物分解処理機に関する。」(第2頁第1欄25〜29行、【0001】段落)
(2オ)「本発明が解決しようとする第1の課題は・・・、分解処理をする有機物を容易且つ確実に攪拌することが出来、微生物による分解効果を向上させることの出来る有機物分解処理機を提供することにある。第2の課題は分解処理をする大きな有機物を確実に細断し、微生物による分解効率を向上させることにある。」(第2頁第1欄47〜同頁第2欄3行、【0003】段落)
(2カ)「本実施例では、図4に示すように、下部が略円錐状の分解槽2内の中央に螺旋体4を回動自在に立設し、この螺旋体4外周に円筒体9を嵌装し、この円筒体9上部外周に、螺旋体4の回動軸5に嵌装した円筒体支持具12のバー14を固定し、螺旋羽根6を取付けた部分を円筒体9で覆った形とする。円筒体9下部には先端を進行方向と逆方向へ後退させた傾斜で下方に突出棒10を突出し、又円筒体9外周にも先端を進行方向と逆方向へ後退させ且つ水平よりやや先端を下げた状態の傾斜で細長な棒状の攪拌棒11を2本前記突出棒10の位置からほぼ4分の1円周分だけずらした位置で上下に取付けている。又、円筒体9上部開口部のやや上部の位置で3枚の刃をそれぞれ水平方向に突出する一体的な回動刃15を回動軸5に固定している。更に、この回動刃15のやや上方の位置で図6に示す固定刃16を円筒体支持具12のバー14にそれぞれ取付ボルト17により取付けている。分解槽2の底部には空気送風機19より送られる空気を分解槽2内部へ吹出する空気吹出部3を埋設している。この空気吹出部3には上面に網20を覆って、空気吹出部3内への落下を防いでいる。・・・螺旋体4と円筒体9とをそれぞれ逆方向へ回転させることが出来る。」(第3頁第4欄18〜47行、【0011】段落)
(2キ)「本実施例では、予め分解槽2内に微生物30と、微生物30を増殖させる増殖材31としてオガクズを収納しておき、この分解槽2内に家庭や食堂、工場等から発生した生ゴミ29を投入する。これにより、投入された生ゴミ29は駆動手段により、螺旋体4と逆回転している円筒体9の外周に設けた攪拌棒11により微生物30と混合され且つ攪拌されながら螺旋体4の回動により、分解槽2の下部の円錐状の中央部近くに集まった収納物28を円筒体9内に沿って分解槽2上部までくみ上げていくので、攪拌棒11で攪拌された生ゴミ29は持ち上げられた収納物28を上からかぶりながら、徐々に分解槽2底部まですい込まれて、螺旋体4の羽根により、円筒体9の下部開口部へ導かれ、そのまま円筒体9内を通って円筒体9上端開口部までくみ上げられ、固定刃16と回動刃15とより形成された切断部を通って分解槽2内の収納物28の最上部へ排出する。この切断部では円筒体9と同一方向へ回転していく固定刃16と螺旋体4と同一方向へ回転していく回動刃15よりなり、それぞれが逆方向へ回転することで螺旋体4によりくみ上げられてくる大きな生ゴミ29を細断して分解槽2内へ排出して、攪拌棒11により攪拌するので微生物30による分解力を向上させている。円筒体9外周に設けた攪拌棒11は分解槽2内壁付近に堆積しがちな収納物28をかき崩して分解槽2の底部へ導びき収納物28をまんべんなくすい込んでいく。更に、分解槽2底部に埋設した空気吹出部3から供給されるヒーター22で温められた空気により微生物30を活性化させ分解力をより向上させている。このように、分解槽2内の収納物28をまんべんなく攪拌して微生物30により生ゴミ29を分解していく。・・・更に、円筒体9下端に突出させた突出棒10は円筒体9下方に収納物28をかき込み、又螺旋体4と逆回転しているので、螺旋体4の螺旋羽根6により円筒体9下端開口部へ導びかれる収納物28内に大きな生ゴミ29が混ったりしていて、円筒体9の内径幅よりはみ出した場合に、突出棒10がはみ出した部分を螺旋体4の螺旋羽根6と交差する際にけずり落したり、又は螺旋羽根6から脱落させ、円筒体9下端開口部における収納物28のつまりを解消し、螺旋体4の回動停止等を防いでいる。」(第3頁第4欄48〜第4頁第5欄39行、【0012】段落)
(3)-3.甲第3号証には、図面と共に下記の記載がある。
(3ア)「 タンク内の中央に互いに逆方向へ低速及び高速で回転する二つの回転軸をそれぞれ設け、低速で回転する回転軸に下羽根を取り付けて高速で回転する回転軸に上羽根を取り付け、そして下羽根は処理物を持ち上げながら中央方向へ移動させる形状のものとし、上羽根は上下二段の組み合わせからなって、下段が処理物を持ち上げる形状のものとして上段が下方へ押し込む形状のものとした撹拌機。」(実用新案登録請求の範囲 請求項1)
(3イ)「本考案は、撹拌機に関するものである。本考案に係る撹拌機は、撹拌造粒機として使用する場合に特に有益なものとなる。」(第1頁第2欄1〜3行、【0001】段落)
(3ウ)「低速で回転する下羽根9、9、9が底部タンク4の外壁面の付着をかき取りながら、ゆっくり中央方向へかき寄せていく。また、底部においても処理物をかき上げながら中心方向へかき寄せていく。円周上に三つの山ができ、それらの山が連続的に移動していくことになる。そして、かき上げられかき寄せられる中央においては、逆方向へ高速で回転する下段上羽根14、14が処理物に逆方向の剪断力を与えながら混合・分散させて浮上させ、しかも同じく逆方向へ高速で回転する上段上羽根15、15が処理物をかき混ぜながら押さえ込み外方へ放出し分散させる。外側へ移動した処理物は、再びゆっくりかき上げられ中央へかき寄せられていく。このように、処理物は、下羽根9、9、9の回転方向へ移動しながらかき上げられ中心方向へ寄せられていき、中央部では高速で逆方向の剪断力を受けつつかき混ぜられながら外側へ放出される作用が繰り返される。処理物は局部的に滞留することなくタンク内をまんべんなく循環する。したがって、均一な混合・分散が行われ、バインダーの分散もより均一化し、良好な造粒物を得ることができる。」(第3頁第5欄21行〜同頁第6欄8行、【0011】段落)
(3)-4.甲第4号証には、図面と共に下記の記載がある。
(4ア)「タンク中央部に同一の回転中心を有し別駆動の上下複数の攪拌羽根を持ち、上側の羽根は放射状でタンク内部範囲長さとし、下側の羽根はタンク底面および側壁に沿って微小隙間を隔てて取付けられ、下側と上側の羽根が互いに異方向に異なった回転速度で回転することを特徴とする攪拌造粒機の構造。」(実用新案登録請求の範囲 請求項1)
(4イ)「この考案は、粒度分布のシャープな造粒物を得るための撹拌造粒機の構造に関するものである。」(第1頁第1欄13,14行)
(4ウ)「タンク1内に処理物を所定量投入した後、下羽根9を低速度で、且つ下羽根9を矢印A方向に、上羽根10を矢印B方向に互いに反対方向に回転する。これにより下羽根9は処理物を転動させつつタンク1の中央部に向って掻き込むように作動し、上羽根10は中央部に掻き寄せられた処理物に剪断力を付加しながらタンク1の側壁1b方向に放出するように作動する。・・・下羽根9と上羽根10の相互作用によって造粒と大きなものの破砕が効果的に行われ、粒度分布のシャープな製品が得られる。」(第2頁第3欄38行〜同頁第4欄10行)
(3)-5.甲第5号証には、図面と共に下記の記載がある。
(5ア)「タンクの下部に複数の攪拌羽根を持ち、下側の羽根と上側の羽根とを同一方向に回転させると共に、下側の羽根の回転速度を上側の羽根の回転速度より小さくしたことを特徴とする造粒機。」(特許請求の範囲 請求項1)
(5イ)「この発明は、粒度分布のシャープな造粒物を得るための攪拌造粒機に関するものである。」(第1頁左欄17,18行)
(5ウ)「低速で回転する下羽根11はタンク1底部の処理物を上部に押し上げると共に、タンク1側壁の処理物を緩やかに動かして、この部分の滞留、付着をなくする働きをする。一方高速で回転する上羽根12は処理物に剪断力を与え、凝集と破壊を繰返し、整粒しながら造粒される。」(第2頁左下欄11〜16行)
(3)-6.甲第6号証には、図面と共に下記の記載がある。
(6ア)「家庭などにおいて発生する生ごみを樹脂フィルム中に封入処理する生ごみ処理器において、外周部に、筒状樹脂フィルムが軸方向に圧縮された状態で装着されるとともに、投入された生ごみがその内側を通過する筒状ガイド部と、少なくとも筒状樹脂フィルムの生ごみが入った部分を真空に吸引する真空吸引手段と、筒状樹脂フィルム内に生ごみが真空パックされるように筒状樹脂フィルムの所定の位置を溶着封止する溶着封止手段と、所定の位置で筒状樹脂フィルムを切断する切断手段とを具備し、筒状ガイド部を経て、下端側が封止された筒状樹脂フィルム内に生ごみを投入した後、筒状樹脂フィルムの生ごみが入った部分を真空に吸引した状態で、筒状樹脂フィルムの生ごみが入った部分の上側を溶着して生ごみを真空パックし、該溶着部または溶着部より上側で筒状樹脂フィルムを切断することにより、筒状樹脂フィルム内に真空パックされた生ごみを切り離すようにしたことを特徴とする生ごみ処理器。」(特許請求の範囲 請求項1)
(3)-7.甲第7号証には、図面と共に下記の記載がある。
(7ア)「シュレッダー本体内のごみ受箱に収容するバキューム機と、ごみ受箱の内周面に沿って収納される内外2重の袋とから構成され、バキューム機に突設した空気吸引ノズルを、内外2重袋の外側袋を貫通して内側袋内に挿入したシュレッダー切屑収縮装置。」(特許請求の範囲 請求項1)
(7イ)「本発明は、シュレッダーにより排出される大量の紙屑を圧縮して極く小形にして取扱い易くして捨てるシュレッダー切屑収縮装置に関するものである。」(第2頁第1欄9〜12行、【0001】段落)
(7ウ)「切屑Pが一ぱい入った紙屑受箱をシュレッダー本体より取出し、予め人手で内袋の上部を一杯に捩りながら結び閉じる。しかる後バキューム機を電源に接続してフットスイッチを踏み電源をONにすると約20秒間で切屑は収縮する。フットスイッチを踏みつつ外側の袋で内側袋を強く綴じ内側袋が復元しないように押え込む。」(第2頁第1欄28〜34行、【0005】段落)
(3)-8.甲第8号証には、図面と共に下記の記載がある。
(8ア)「回転軸に複数枚の羽根を設けて形成される攪拌装置と、生ごみを分解処理する処理材を槽内に充填して形成される処理槽とを具備し、回転軸の回転に伴う羽根の回転によって生ごみと処理材とを攪拌自在にして成る生ごみ処理装置において、上記羽根に回転軸の回転方向と略平行な向きで回動自在に攪拌爪を回転軸の回転方向に突出させて取り付け、攪拌爪の先端を回転軸の長手方向に沿う処理槽の槽内面に当接離隔自在にして成ることを特徴とする生ごみ処理装置。」(特許請求の範囲 請求項1)
(8イ)「本発明は、生ごみの分解処理をおこなう生ごみ処理装置に関するものである。」(第2頁第1欄24,25行、【0001】段落)
(8ウ)「処理槽6の槽内には生ごみを分解処理する好気性菌体等の微生物が寄生する処理材5が充填してある。」(第3頁第3欄16〜18行、【0013】段落)
(8エ)「攪拌爪8をその先端を槽内面10に当接させながら回転移動することによって槽内面10にこびりついた生ごみ4や処理材5を掻き取ることができる。」(第3頁第4欄34〜37行、【0017】段落)
(4)対比、判断
(4)-1.本件発明1について
甲第1号証には「ごみ処理装置」に関し記載されており、記載事項1イからみて甲第1号証で云う「ごみ」には生ごみが含まれており、また、記載事項1キ及び1クからみて甲第1号証で云う「撹拌装置たる回転羽根」は攪拌と共に粉砕を行うものであることは明らかであるから、甲第1号証の記載事項を本件発明1に則って整理すると、甲第1号証には下記の発明が記載されていると云える。
「生ごみを収納する加熱室と、前記加熱室内の前記生ごみを攪拌すると共に粉砕する攪拌装置たる回転羽根と、攪拌している前記生ごみにマイクロ波を照射するマイクロ波発生部と、前記加熱室内にマイクロ波により加熱されて乾燥状態の生ごみを炭化させるマイクロ波加熱体とを備えた生ごみ処理装置であって、前記攪拌装置たる回転羽根は回転軸に連結されて回転駆動されている生ごみ処理装置。」
本件発明1(前者)と上記甲第1号証に記載された発明(後者)とを対比すると、後者における「生ごみ」は前者における「腐敗性有機物」に含まれるものであり、後者における「加熱室」は前者における「処理槽」に相当し、後者における「マイクロ波」は、前者における「電磁波」に含まれるものであり、後者における「マイクロ波発生部」は、前者における「電磁波照射装置」に相当する。また、後者における「攪拌装置たる回転羽根」は、攪拌と共に粉砕を行うものであり、しかも粉砕は破砕の一態様であることからみて、前者における「攪拌装置」と「破砕装置」を兼用したものに相当し、後者における「回転羽根」は前者における「攪拌翼」と「破砕翼」を兼用したものに相当すると云えるから、両者は、
「腐敗性有機物を収容する処理槽と、前記処理槽内の前記腐敗性有機物を攪拌する攪拌装置と、攪拌している前記腐敗性有機物に電磁波を照射する電磁波照射装置と、前記処理槽内で前記腐敗性有機物を破砕する破砕装置とを備えた腐敗性有機物の処理装置であって、前記攪拌装置及び破砕装置は、回転軸を介して回転駆動される攪拌翼及び破砕翼を有する腐敗性有機物の処理装置。」
で一致し、下記の2点で相違する。
(i)前者は、破砕装置が攪拌装置とは別に設けられており、前記破砕装置は、前記撹拌装置の攪拌翼を回転駆動させる外部回転軸の中に設けられた内部回転軸に取付けられた破砕翼を有するものであるのに対し、後者は、撹拌装置が破砕装置を兼用し、攪拌翼が破砕翼を兼用するものである点。
(ii)前者は、マイクロ波により加熱されて乾燥状態の生ごみを炭化させるマイクロ波加熱体を備えていないものであるのに対し、後者は、処理槽内にかかるマイクロ波加熱体を備えている点。
そこでまず、相違点iについて甲第2号証乃至甲第8号証に記載された事項を検討する。
甲第2号証には有機物分解処理機が記載されているが、甲第2号証に記載された有機物分解処理機は、記載事項2エ及び2オからみて、生ゴミ等の有機物を攪拌して微生物で分解するものであり、電磁波を照射して生ゴミを処理するものではないため、甲第1号証における装置とは生ゴミ処理の原理が異なるものである。
さらに、甲第2号証には、生ゴミを攪拌するための攪拌装置に切断部を設けることが記載されている。しかし、記載事項2ア、2カ及び2キからみて、上記攪拌装置は、分解槽の中央に立設された回転軸の外周に螺旋羽根を取付けた螺旋体と、該螺旋体外周に下部に突出棒を下方向に突出させ外周に攪拌部材を取付けた円筒体を回動自在に嵌装し、前記螺旋体と円筒体とを互いに逆方向に回動させるものであるから、回転軸を介して回転駆動される攪拌翼を有するものではなく、また、記載事項2イ、2ウ、2カ及び2キからみて、上記切断部は、円筒体に固定した固定刃と螺旋体の回転軸に固定した回動刃よりなり、円筒体と螺旋体がそれぞれが逆方向へ回転することで螺旋体によりくみ上げられてくる大きな生ゴミを細断するものであるから、破砕装置と云えるものではなく、しかも、撹拌装置の攪拌翼を回転駆動させる回転軸の中に設けられた回転軸に取付けられた破砕翼を有するものでもない。
してみると、甲第2号証に記載された攪拌装置に切断部を設けたものは、破砕装置が攪拌装置とが別に設けられており、前記破砕装置は、前記撹拌装置の攪拌翼を回転駆動させる外部回転軸の中に設けられた内部回転軸に取付けられた破砕翼を有するものであるとは云えない。
甲第3号証ないし甲第5号証に記載された装置は、いずれも攪拌、造粒を目的とするものである。しかも、記載事項3ウ、4ウ及び5ウからみて、これらの証拠に記載された回転する上羽根と下羽根は、共働して攪拌、造粒を行うものであって、両者で撹拌装置を構成するものであるから、これらの証拠に記載された装置はいずれも破砕装置を撹拌装置とは別に設けたものであると云うことできない。
甲第6号証には、下端側が封止された筒状樹脂フィルムに生ごみを投入し、該筒状フィルムの生ごみが投入された部分を真空吸引し、溶着切断する生ごみ処理器が、甲第7号証には、シュレッダー切屑が入った袋内を吸引することにより切屑を収縮する装置が記載されているだけある。
甲第8号証には、微生物を利用して生ごみを分解処理する装置において、攪拌羽根に先端が処理槽の内面に当接隔離自在な攪拌爪を取り付けた装置が記載されているだけである。
してみると、甲第2号証ないし甲第8号証のいずれにも、相違点iに係る本件発明1の構成要件である、破砕装置が攪拌装置とは別に設けられており、前記破砕装置は、前記撹拌装置の攪拌翼を回転駆動させる外部回転軸の中に設けられた内部回転軸に取付けられた破砕翼を有することは、記載も示唆もされていない。
そして、本件発明1は、係る構成要件により明細書に記載された格別な効果を奏するものである。
したがって、相違点iiについて検討するまでもなく、本件発明1は、甲第1号証ないし甲第8号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとは云えない。
(4)-2.本件発明2ないし4について
本件発明2ないし4は、いずれも請求項1を引用したものであるから、少なくとも上記(4)-1で述べた点において甲第1号証に記載された発明と相違する。
そして、相違点についての判断は上記(4)-1で述べたとおりであるから、本件発明1と同様、本件発明2ないし4も、甲第1号証ないし甲第8号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとは云えない。
(5)むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠方法によっては本件発明1ないし4についての特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1ないし4についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2003-03-05 
出願番号 特願平9-344325
審決分類 P 1 651・ 121- Y (B09B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 中野 孝一  
特許庁審判長 大黒 浩之
特許庁審判官 西村 和美
岡田 和加子
登録日 2002-02-22 
登録番号 特許第3281589号(P3281589)
権利者 アクアホロン株式会社
発明の名称 腐敗性有機物の処理装置  
代理人 生田 哲郎  
代理人 名越 秀夫  

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