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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A01D
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A01D
管理番号 1074981
異議申立番号 異議2001-71758  
総通号数 41 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1993-08-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-06-18 
確定日 2003-04-07 
異議申立件数
事件の表示 特許第3118932号「コンバインの伝動方式」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第3118932号の請求項1に係る特許を取り消す。 
理由 1.手続の経緯
特許第3118932号の請求項1に係る発明についての出願は、平成4年1月31日に特許出願され、平成12年10月13日にその発明について特許権の設定登録がなされ、その後、その特許について、異議申立人三菱農機株式会社より特許異議の申立てがなされ、平成13年11月19日に取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成14年1月29日に訂正請求(以下、「第1回訂正請求」という。)がなされ、平成14年4月12日に訂正拒絶理由の通知がされ、その指定期間外の平成14年6月24日に訂正請求(以下、第2回訂正請求」という。)がなされ、第2回訂正請求について平成14年7月5日に却下理由の通知がされ、平成14年9月6日に手続却下の決定がされたものである。
2.訂正の適否についての判断
第1回訂正請求について判断する。
(1)訂正の内容
ア.訂正事項a
特許請求の範囲の【請求項1】の記載事項である、
「刈取装置1の回転速度と脱穀装置2のフイードチェン3速度を車速に同調させるコンバインにおいて、該フイードチェン3独自の動力伝達経路に搬送無段変速装置4を設けると共に、刈取装置1の最高速度近傍ではフイードチェン3速度の変化率を少なくするように構成したことを特徴とするコンバインの伝動方式。」を、『刈取装置1の回転速度と脱穀装置2のフイードチェン3速度を車速に同調させるコンバインにおいて、作業モードを「標準モード」又は「倒伏モード」へ切換選択可能に構成し、「標準モード」が選択されているときは、走行装置19の車速と刈取装置1の回転速度とが比例同調すべく制御され、「倒伏モード」が選択されているときは比例同調せずに任意設定可能に制御される構成とし、該フイードチェン3独自の動力伝達経路に搬送無段変速装置4を設けると共に、刈取装置1の最高速度近傍ではフイードチェン3速度の変化率を少なくするように構成したことを特徴とするコンバインの伝動方式。』と訂正する。
イ.訂正事項b
特許明細書の発明の詳細な説明の段落番号【0005】の『【課題を解決するための手段】この発明は、・・・構成する。』を、『【課題を解決するための手段】この発明は、刈取装置1の回転速度と脱穀装置2のフイードチェン3速度を車速に同調させるコンバインにおいて、作業モードを「標準モード」又は「倒伏モード」へ切換選択可能に構成し、「標準モード」が選択されているときは、走行装置19の車速と刈取装置1の回転速度とが比例同調すべく制御され、「倒伏モード」が選択されているときは比例同調せずに任意設定可能に制御される構成とし、該フイードチェン3独自の動力伝達経路に搬送無段変速装置4を設けると共に、刈取装置1の最高速度近傍ではフイードチェン3速度の変化率を少なくするように構成したことを特徴とするコンバインの伝動方式の構成とする。』と訂正する。
ウ.訂正事項c
特許明細書の段落番号【0007】の『しかし、このとき、・・・向上するようになる。』を、『しかし、このとき該フィードチェン3速度を脱穀装置2の作業性能上最適の速度に調整変速するため、搬送無段変速装置4によって、刈取装置1の回転速度に関係なく変速できるようにするのである。こうように、該フィードチェン3独自の変速カーブを刈取装置1の回転速度の変速カーブに比例同調させることなく自由に変更することができるので、コンバイン作業に対する適応性を刈取装置1又は該フィードチェン3の何れにも片寄ることなく、コンバイン本来の機能を充分に発揮しうるものである。なお、作業モードの「標準モード」又は「倒伏モード」への切換選択に基づいて、「標準モード」が選択されているときは、走行装置19の車速と刈取装置1の回転速度とが比例同調すべく制御され、「倒伏モード」が選択されているときは比例同調せずに任意設定可能に制御される構成としているから、穀稈が起立しているときには「標準モード」とし、穀稈が倒伏しているときにはこれよりも刈取速度が速い「倒伏モード」を選択することにより、圃場の穀稈状況と車速に対応して刈取作業を円滑に行うことができる。そして、刈取装置1の最高速度近傍ではフイードチェン3速度の変化率は少なくしているので、負荷が作用してもフイードチェン3速度は低くならず、穀稈は脱穀装置2の後方へスムーズに搬送されていく。従って、穀稈は脱穀装置2において必要以上に脱穀されないので、藁肩の発生が少なくなりなくなり選別性能が向上するようになる。』と訂正する。
(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
訂正事項aついて
訂正事項aによる訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的として、特許請求の範囲の構成に、『作業モードを「標準モード」又は「倒伏モード」へ切換選択可能に構成し、「標準モード」が選択されているときは、走行装置19の車速と刈取装置1の回転速度とが比例同調すべく制御され、「倒伏モード」が選択されているときは比例同調せずに任意設定可能に制御される』構成を追加したものである。
しかしながら、訂正事項aによる訂正は、特許請求の範囲に新たに構成要件を付加すことにより、特許請求の範囲は実質的に変更するものと認める。
(3)むすび
以上のとおりであるから、上記訂正事項aによる訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第2項の規定に適合しないので、当該訂正を認めない。
3.特許異議申立てについての判断
(1)本件発明
上記2.で示したように上記訂正は認められないから、本件の請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「刈取装置1の回転速度と脱穀装置2のフイードチェン3速度を車速に同調させるコンバインにおいて、該フイードチェン3独自の動力伝達経路に搬送無段変速装置4を設けると共に、刈取装置1の最高速度近傍ではフイードチェン3速度の変化率を少なくするように構成したことを特徴とするコンバインの伝動方式。」
(2)引用刊行物に記載された発明
当審が平成13年11月2日に通知した取消しの理由において引用した刊行物1〜3には、それぞれ次のとおりの発明が記載されている。
刊行物1:特開平2-65727号公報
刊行物1には、「本発明は機体の車速に応じ刈取部の刈取搬送速度及び脱穀部のフィードチェンの搬送速度を変速するようにしたコンバインの穀稈搬送装置に関する。」(第1頁左下欄14行〜同欄17行)と記載され、「刈取搬送速度とフィードチェンの搬送速度とは常に略ー定関係を保った状態で車速に同調するように一般に設けられている。」(第1頁左欄19行〜同頁右上欄1行)と記載され、「前記車速センサ(63)によって検出される車速に基づいて変速モータ(55)(66)の正逆駆動制御を行って第8図に示す如きフィードチェン(5)の搬送速度であるフィードチェン速度(b)と、刈取部(8)の搬送速度である刈取速度(a)の関係が得られるように構成している。つまり刈取速度(a)は第8図実線に示される如く車速(v)が0のとき、刈取速度(a)を0として以後車速(v)が増速されるに従い二次曲線で変速され、・・・車速(v)が増速されるに従い一次曲線で変速されるもので、・・・車速(v)の所定速度(v1)以上にあってはフィードチェン速度(b)より刈取速度(a)を常に高速度とするように維持させると共に、車速(v)の所定高速度(v2)以上にあってはフィードチェン速度(b)を一定の常用速度(b3)に保持するように構成している。」(第3頁右欄15行〜同頁左下欄15行)と記載され、「そして、前記主フレーム(38)の基端の刈取入力ケース(40)にエンジン(16)からの駆動力を伝達すが刈取入力軸(41)を備え、該入力軸(41)を介し入力される駆動力でもって刈取部(8)・・・各搬送チェン(26)(28)(30)(32)(33)の駆動を行うように構成している。一方、「前記エンジン(16)からの駆動力により回転する脱穀部(4)内の唐箕(42)の唐箕軸(43)に、無段変速機構(44)を介しフィードチェン(5)を駆動連結させる」(第2頁右下欄10行〜同欄20行)と記載され、第5図および第6図には、「刈取入力ケース40への刈取入力軸41の動力伝動系とは別に、フィードチェン5独自の動力伝動経路に無段変速機構44を設けた」点が図示され、第8図には、「刈取部8の最高速度近傍ではフィードチェン5の速度の変化率を少なくするように構成した」点が図示され、「【発明の効果】以上の実施例からも明らかなように、・・・作業開始時などの低速収穫時刈取搬送速度(b)もこれに同調して低速とさせて切断以前の穀稈の引抜きや刈取穀稈の搬送姿勢の乱れを防止する・・・一方通常の高速収穫作業中にあっては刈取搬送速度(a)よりフィードチェン(5)の搬送速度(b)を低速とさせることにより穀稈の穂先側を遅れ姿勢とすることなく脱穀部(4)内に適正姿勢で且つ適正扱深さ状態で挿入して穂切れや扱残しなどのない作業精度に秀れた脱穀が行われるなど顕著な効果を奏する」(第4頁左上欄1行〜同頁右上欄1行)と記載されている。
(3)対比・判断
本件発明と刊行物1記載の発明とを対比すると、後者の「搬送速度である刈取速度(a)」、「脱穀部(4)」、「フィードチェン(5)」、「フィードチェーン速度(b)」、「コンバイン」、「無段変速機構(44)」は、前者の「刈取装置1の回転速度」、「脱穀装置2」、「フィードチェン3」、「フィードチェン3速度」、「コンバイン」、「搬送無段変速装置4」に相当し、かつ、刊行物1には、図8を参照すると、刈取速度(a)が二次曲線の頂点(最高速度)に達する近傍では、フィードチェン速度(b)の変化が車速に比例した増速から変化が0(最も少ない変化率)になっていることが明らかであることから、刊行物1には、刈取部の最高速度近傍ではフィードチェンの速度の変化率を少なくする構成が開示されていると解され、両者は、構成の全てにおいて相違点がないものと認められる。
したがって、本件発明は、刊行物1に記載された発明である。
(5)むすび
以上のとおりであるから、本件発明は、特許法第29条第1項第3号の規定より特許を受けることができない。
したがって、本件発明についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認める。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2003-02-12 
出願番号 特願平4-16196
審決分類 P 1 651・ 121- ZB (A01D)
P 1 651・ 113- ZB (A01D)
最終処分 取消  
前審関与審査官 山田 昭次  
特許庁審判長 藤井 俊二
特許庁審判官 平瀬 博通
鈴木 寛治
登録日 2000-10-13 
登録番号 特許第3118932号(P3118932)
権利者 井関農機株式会社
発明の名称 コンバインの伝動方式  
代理人 河野 誠  

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