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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1075669 |
審判番号 | 不服2002-326 |
総通号数 | 42 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1997-05-16 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2002-01-10 |
確定日 | 2003-04-17 |
事件の表示 | 平成 8年特許願第 2584号「情報処理装置および端末装置」拒絶査定に対する審判事件[平成 9年 5月16日出願公開、特開平 9-128343]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、平成8年1月10日の出願(国内優先権主張 平成7年8月30日)であって、その請求項1に係る発明(以下、本願発明という。)は、平成13年10月15日付けの手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。 「 少なくとも1つ以上の情報を保有し、この情報を参照する複数の端末装置がネットワークを介して接続される情報処理装置において、 前記複数の端末装置それぞれの利用者情報を管理する利用者情報管理手段と、 前記情報を参照する各端末装置に対して、前記利用者情報管理手段により管理された利用者情報であって、同一の情報を参照中の他の端末装置の利用者情報を送信する利用者情報送信手段と を具備することを特徴とする情報処理装置。 」 なお、平成14年2月8日付けの手続補正は、本審決と同日付けで決定をもって却下されたので、本願発明を上記のとおり認定した。 2.引用例記載の発明 (引用例の記載事項) これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された 木實新一、「ネットワーク社会の光と影 -MUDの社会現象-」、bit、Vol.27、No.8(1995年8月号)、共立出版株式会社、p.49-p.62(1995.8.1)(以下、引用例という。)には、WWWとMUDについて、写真と共に次の事項が記載されていると認められる。 (a)「 MUDとはもともとマルチユーザのゲームとして1978〜79年にイギリスで開発されたシステムであるが、現在ではテキスト型の仮想現実システムとでもいうべきものに発展しており、(略) MUDはMultiple User Dimension, Multiple User Dungeon あるいは Multiple User Dialogue を意味しており、MUDのソフトウェアは、地理的に分散した複数の利用者(通常プレイヤと呼ばれる)が、コンピュータ内に仮想的に作られた「場所」を共有し、テキストをタイプすることによって多様なコミュニケーションを手軽に行うことができるシステムである。 」(第49頁左欄第18行〜同頁右欄第27行) (b)「 広域情報システムとMUDを統合するもう一つの試みは、WWW(World-Wide Web)とMUDの統合である。(略) MUDの拡張システム以外にも、WWWと同期コミュニケーションツールを組み合わせて協調作業を支援しようという試みがなされている。」(第55頁左欄第39行〜同頁右欄第17行) (c)「たとえば、MIT Media Lab. の Donath らが開発中の Sociable Web はWWWの同じページに同時にアクセスしている利用者を表示したり、ハイパーテキストによる会話をリアルタイムで行う機能をもっている。」(第55頁右欄第17行〜第21行) (d)「また、Ubique社のVirtualPlaceというソフトウェア(写真1)では、DoorsサーバとWWWサーバとを同時に起動することで、サーバに接続してきた利用者に関する情報(アイコン、名刺など)を管理し、WWWの情報と利用者アイコンを統合して表示するというものである。アイコンをマウスで選択すると、名刺が表示される。また、アイコンをマウスの別のボタンで選択するとテキストや音声による会話が可能である。 」(第55頁右欄第21行〜第29行) 上記記載事項(a),(b),(d)からみて、引用例のWWWと同期コミュニケーションツールを組み合わせて協調作業を行うシステムであるVirtualPlaceにおける「サーバ」は少なくとも1つ以上のWWWの情報を保有し、「サーバに接続してきた利用者」とは、実際にはネットワークを介してサーバに接続してきた端末装置を使用し、サーバが保有するWWWの情報を参照する利用者であることは明らかである。また、利用者が相互にテキストや音声による会話を行う機能を有することから、引用例の利用者は複数であり、複数の端末装置がネットワークを介してサーバに接続していることも明らかである。 さらに、上記記載事項(b),(d)によれば、引用例のWWWと同期コミュニケーションツールを組み合わせて協調作業を行うシステムを実現するソフトウェアであるVirtualPlaceは、サーバに接続してきた利用者に関する情報を管理し、WWWの情報と、サーバの利用者に関する情報である利用者アイコンを統合して表示させており、サーバは端末装置に利用者アイコンを統合して表示させるため、利用者に関する情報を各端末装置に送信していることは明らかであるから、サーバは各端末装置に対して利用者に関する情報を送信する手段を有するものと認められる。 よって、引用例には、 「 少なくとも1つ以上のWWWの情報を保有し、このWWWの情報を参照する複数の利用者が使用する複数の端末装置がネットワークを介して接続されるサーバにおいて、 前記複数の端末装置それぞれの利用者に関する情報を管理する手段と、 前記WWWの情報を参照する各端末装置に対して、前記利用者に関する情報を管理する手段により管理された利用者に関する情報を送信する手段と、 を具備することを特徴とするサーバ。 」(以下、「引用例に記載された発明」という。)が記載されていると認められる。 3.本願発明と引用例に記載された発明との対比 本願発明と引用例に記載された発明を対比する。 引用例に記載された発明の「利用者に関する情報」は、例えばマウスで利用者を特定するための利用者アイコン等、利用者を特定するための個人情報であるから、本願発明の「利用者情報」に相当する。 また、引用例に記載された発明の「サーバ」はネットワークを介して「端末装置」と接続し、WWWの情報を提供するとともに利用者に関する情報を管理し、各端末装置に対して利用者に関する情報を送信しているから、引用例に記載された発明の「サーバ」、「WWWの情報」、「利用者に関する情報を管理する手段」、「利用者に関する情報を送信する手段」は、本願発明の「情報処理装置」、「情報」、「利用者情報管理手段」、「利用者情報送信手段」に相当する。 よって、両者は 「 少なくとも1つ以上の情報を保有し、この情報を参照する複数の端末装置がネットワークを介して接続される情報処理装置において、 前記複数の端末装置それぞれの利用者情報を管理する利用者情報管理手段と、 前記情報を参照する各端末装置に対して、前記利用者情報管理手段により管理された利用者情報送信手段と を具備することを特徴とする情報処理装置。 」 である点で一致し、以下の点で相違する。 (相違点) 本願発明の利用者情報送信手段は各端末装置に対して、同一の情報を参照中の他の端末装置の利用者情報を送信するのに対して、引用例に記載された発明の利用者に関する情報を送信する手段が各端末装置に送信する情報は、サーバが保有するWWWの情報を参照する利用者に関する情報である点 4.当審の判断 上記相違点について検討する。 WWWと同期コミュニケーションツールを組み合わせたシステムにおいて、WWWの同じページにアクセス中の利用者を表示し、会話をリアルタイムで行う他の実施例が上記引用例の記載事項(c)に記載されており、各端末装置に送信する利用者情報の範囲を、本願発明のように同一の情報を参照中の他の端末装置の利用者情報とすることは当業者が容易に推考できたものであるから、上記相違点を格別のものとは認めることはできない。 5.むすび したがって、本願発明は、引用例に記載された発明及び周知の技術手段に基いて、当業者が容易に推考できたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2003-02-14 |
結審通知日 | 2003-02-18 |
審決日 | 2003-03-05 |
出願番号 | 特願平8-2584 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G06F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 宮司 卓佳 |
特許庁審判長 |
徳永 民雄 |
特許庁審判官 |
村上 友幸 辻本 泰隆 |
発明の名称 | 情報処理装置および端末装置 |
代理人 | 外川 英明 |