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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04N |
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管理番号 | 1075772 |
審判番号 | 不服2001-17820 |
総通号数 | 42 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2000-08-11 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2001-10-04 |
確定日 | 2003-05-13 |
事件の表示 | 平成11年特許願第27896号「画像符号化装置および動画像伝送システム」拒絶査定に対する審判事件〔平成12年 8月11日出願公開、特開2000-224584、請求項の数(12)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
1.本願発明 本願は、平成11年2月4日の出願であって、その特許請求の範囲の請求項1ないし12に係る各発明は、平成11年12月20日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、請求項1ないし6に記載されるとおりの画像符号化装置、及び請求項7ないし12に記載されるとおりの動画像伝送システムであると認めることができる。 2.引用例 これに対して、原査定の拒絶理由で引用された文献1ないし7にはそれぞれ次のことが開示されている。 【文献1】(特開平7-107458号公報) 映像信号を複数のブロックに分割して符号化する画像符号化装置において、伝送路でのセル廃棄による画質の劣化を最小限に抑えるために、セル廃棄による画質低下量の推定(上記ブロックごとのアクティビテイ算出)を行い、推定した画質低下量が同期間隔(符号化画像のスライス単位)ごとに一定となるように同期間隔を制御すること(請求項1や目的の記載、及び図4とその説明等参照)。 【文献2】(特開平6-351006号公報) 画像信号用可変レート符号化装置において、ネットワークの輻輳状態に応じた符号化レート指示信号を受けて対応する量子化テーブルを選択し、その量子化ステップサイズに応じた符号化レートを設定するようになすこと(請求項1参照)。 【文献3】(特表平8-511931号公報) 可変ビットレートパケットビデオ通信装置において、符号化の量子化パラメータを変えることによりビットレートを調整するトラフィックシェイパを設け、これによりネットワーク負荷に基づいて出力パケットレートを可変できるようにすること(図4とその31頁での説明参照)。 【文献4】(特開平8-331559号公報) 画像符号化復号化方法及び装置において、符号化データの発生符号量と符号化データに付与された誤り訂正符号量とに応じて符号化処理での発生符号量(量子化ステップ)を制御するようにすること(請求項7,8及び図6とその説明参照)。 【文献5】(特開平7-107096号公報) ビデオ信号をATMネットワークの伝送出力として符号化するために、ビデオ符号化パラメータをATMネットワークに適合させる方法において、上記ビデオ信号のフレームを、高優先度ビットストリームと低優先度ビットストリームを有する符号化バージョンに符号化し、該符号化バージョンをセルにパケット化して上記ATMネットワークで伝送し、伝送された符号化フレームの受信バージョンを得るために上記セルをデパケット化し、上記受信バージョンの各々で発生するセル喪失のレベルをモニタしてセル喪失のレベル表示を生成し、このレベル表示を符号化装置に送信し、符号化装置では、上記セル喪失のレベル表示に応答して、上記低優先度ビットストリームの符号化パラメータを適合化する(例えばエラー耐性向上のために、セル喪失が多いほどより多数のスライス-スタート同期コードを低優先度ビットストリーム内に挿入する)ようにすること(請求項1,6及び7頁11欄24〜33行等参照)。 【文献6】(特開平6-319134号公報) 画像通信システムにおいて、受信装置では、送信された画像の関心領域を示す関心領域情報を指示して通信路に出力し、送信装置では、上記通信路から入力される関心領域情報に基づいて量子化ステップを制御して画像信号を符号化するようになすこと(請求項1及び図1とその説明等参照)。 【文献7】(特開平10-164572号公報) 動画像の符号化装置において、符号化回路10での符号化パラメータ(量子化特性)を制御する符号化制御回路11を設け、この符号化制御回路11により、動画像復号化装置から送信される画質調整情報52(特定画像領域を指定する画像領域情報と、画質の調整値を指定する画質調整値情報とからなる)に応じて、高画質設定領域では画質を向上させ、それ以外の領域では画質を劣化させることができるようにすること(4頁の段落【0028】〜【0042】及び図1等参照)。 3.対比、判断 (1) 本願の請求項1ないし12の記載によれば、これら請求項に係る各発明(以下これらをまとめて「本願発明」という。)は、いずれも、符号化ビデオ信号のビットストリームのスライス構造を可変制御することを前提要件として、この可変制御されたスライス構造を参照して、ビデオ信号の符号化手段での動き検出及びスライスごとの符号量制御を行うようにした点を要件とするものであることが明らかである。 (2) しかるに、前記文献1ないし7の各記載内容は、いずれも上記本願発明の前提要件において一部類似していることが認められるものの、そのような前提要件の下に、可変制御されたスライス構造を参照して符号化手段での動き検出やスライスごとの符号量制御を行うという上記本願発明の要件については、文献1ないし7には開示や示唆がない。 また、かかる本願発明の要件については、原査定で周知例として引用する特開平7-15729号公報,特開平7-111651号公報,及び特開平8-205155号公報を見ても、これら周知例には、画像符号化装置において、各スライスの符号化量が均等になるようにスライス分割を行うことが開示されているにすぎず、上記本願発明の要件については全く開示や示唆がない。 したがって、本願発明の上記要件が上記文献1ないし7や周知例から想到容易なものであるとはいえず、また他に同要件を想到容易なものとすべき合理的根拠も見出せない。 (3) 原査定では、本願発明が上記文献1,3ないし7や上記周知例に示されるような周知技術から想到容易なものであると判断しているが、かかる判断は上記本願発明の要件を看過するもので失当である。 4.むすび 以上のとおりであるから、本願発明を特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるとした原査定の理由によっては本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2003-05-01 |
出願番号 | 特願平11-27896 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(H04N)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 山崎 達也、古川 哲也 |
特許庁審判長 |
杉山 務 |
特許庁審判官 |
小松 正 小林秀美 |
発明の名称 | 画像符号化装置および動画像伝送システム |
代理人 | 机 昌彦 |
代理人 | 谷澤 靖久 |
代理人 | 河合 信明 |