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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1075844 |
審判番号 | 不服2002-1749 |
総通号数 | 42 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1994-09-22 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2002-02-06 |
確定日 | 2003-04-24 |
事件の表示 | 平成 5年特許願第 53728号「予約装置」拒絶査定に対する審判事件[平成 6年 9月22日出願公開、特開平 6-266744]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続きの経緯・本願発明 本願は、平成5年3月15日の出願であって、本願の請求項1及び2に係る発明は、平成14年3月7日付け手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1及び2に記載されたとおりのものであり、その請求項1に係る発明は、次のとおりのもの(以下、「本願発明」という。)と認める。 「挿入された回数券によって指定席券を発券する予約装置において、 少なくとも予約希望日を含む予約内容を入力する入力手段と、 該入力手段に入力された予約希望日を他の装置に送信する送信手段と、 前記入力手段に入力された予約希望日が、1年間に複数期間存在し且つその期間を変更し得る回数券の使用禁止期間内であるか否かの判定結果を受信する受信手段と、 該受信手段が受信した判定結果が、予約希望日が回数券の使用禁止期間内でない場合は、前記入力手段に入力された予約内容に応じた指定席券を発券する発券手段と、 該受信手段が受信した判定結果が、予約希望日が回数券の使用禁止期間内である場合は、その回数券による予約の使用を不可と判断する手段とを有することを特徴とする予約装置。」 2.引用刊行物の発明 これに対して、原審の拒絶理由に引用された、本願出願前に日本国内において頒布された特開平5-35943号公報(以下「引用例」という。)には、図面とともに、以下の(イ)〜(ハ)が記載されている。 (イ)「図において、図3に示した券発行装置の表示部107には、顧客に対し処理の選択を促すための、案内表示が行われる(ステップS1)。本発明のシステムは、券の再発行を目的とするものであるが、その機能上、通常の券の発行等の処理も行うことができる。」(公報段落番号【0024】) (ロ)「図7に、本発明のシステムの変更情報入力処理動作フローチャートを示す。……ステップS2においては、顧客は、図3に示すタッチセンサ入力部126を操作して、変更情報の入力を行う。この、変更情報としては、例えば乗車券の場合、変更の乗車日時や乗車列車等の入力が行われる。図2に示す主制御部101は、操作制御部125からこのような変更情報が入力されると、通信制御部102を動作させて、ホストコンピュータ20に対し上記券情報と変更情報の送信を行う。これによって、予約取消と、新たな券の予約、及び再発行要求が行われる(ステップS3)。……ホストコンピュータ20においては、実際に発行済の券が一定の予約によって正当に発行されたものか否かを判断する。そして、更に、変更情報の内容に従って新たな券の発行が可能か否かも判断する。……再発行のための予約が不可能と判断されたような場合には、情報内容が有効でないと判断され、ステップS4からステップS5に移行する。この場合、その判断結果が、図3に示す表示部107に表示され、顧客は、再発行処理要求の取消を行うか否かの意思を、図3に示す入力キー127等を押して選択する。」(同【0029】〜【0033】) (ハ)「本発明は、交通機関における乗車券の指定席券予約、映画館、劇場、野球場等、種々のイベントの指定席予約等に活用することができる。」(同【0037】) 上記(イ)〜(ハ)の記載によれば、引用例には乗車日時や乗車列車等の希望に応じて指定席券を発行する券発行装置が記載されていることは明らかである。 また、上記(ロ)及び図1の記載によれば、上記券発行装置は、少なくとも乗車日時を含む予約内容を入力する入力手段を有すること、該入力手段に入力された乗車日時をホストコンピュータに送信する通信手段を有することは明らかであり、更に、該券発行装置は、ホストコンピュータの判断結果が発行可能と判断された場合は、該入力手段に入力された乗車日時に応じた指定席券を発券する券発行手段、及び、上記ホストコンピュータの判断結果を受信する通信手段、を有することは明らかである。 したがって、引用例には、 「指定席券を発券する券発行装置において、少なくとも乗車日時を含む予約内容を入力する入力手段と、該入力手段に入力された乗車日時をホストコンピュータに送信する通信手段と、前記入力手段に入力された予約希望の乗車日時に応じた、券の発行が可能か否かの判断結果を受信する通信手段と、該通信手段が受信した結果が発行可能である場合は、該入力手段に入力された乗車日時等に応じた指定席券を発券する券発行手段、及び、上記通信手段が受信した結果が発行不可能である場合は、その結果を表示部に表示する手段を有す券発行装置」(以下、「引用例に記載の発明」という。)が記載されていると認められる。 3.対比 本願発明(以下、「前者」という。)と引用例に記載の発明(以下、「後者」という。)を比較すると、後者の「券発行装置」は指定席券を発行する装置であるから、前者の「予約装置」に相当し、以下同様に、「ホストコンピュータ」は「他の装置」に相当し、「乗車日時」は「予約希望日」に相当し、「送信する通信手段」は「送信する送信手段」に相当し、「受信する通信手段」は「受信する受信手段」に相当し、「券発行手段」は「発券手段」に相当する。そして、前者の「使用禁止期間」は、指定席券を発券できない期間のことを意味しており、後者の「発行不可能である場合」とは、「予約希望の乗車日時」の指定席が既に満席になっていることを意味していると認められるから、後者の「発行不可能と判断された場合」は、予約希望の乗車日時は使用禁止期間ではないものの、指定席券を発券できない期間という意味において、前者の「使用禁止期間」に相当している。 したがって、両者は、 「指定席券を発券する予約装置において、少なくとも予約希望日を含む予約内容を入力する入力手段と、該入力手段に入力された予約希望日を他の装置に送信する送信手段と、前記入力手段に入力された予約希望日が、指定席券を発券できない期間内であるか否かの判定結果を受信する受信手段と、該受信手段が受信した判定結果が、予約希望日が指定席券を発券できない期間内でない場合は、前記入力手段に入力された予約内容に応じた指定席券を発券する発券手段とを有する予約装置」の点で一致し、 以下の点で相違している。 [相違点1] 前者が挿入された回数券によって指定席券を発券するするのに対し、後者は、挿入された回数券によって指定席券を発券していない点。 [相違点2] 他の装置の判定に関して、 前者の他の装置の判定は、予約希望日が、1年間に複数期間存在し且つその期間を変更し得る回数券の使用禁止期間内であるか否かによって行うのに対して、後者のそれは、予約希望の乗車日時等に応じて行う点。 [相違点3] 前者が回数券による予約の使用を不可と判断する手段を有するのに対して、後者はそのような手段を有するか不明な点。 4.当審の判断 [相違点1]について 指定席回数券を券発行装置に挿入して発券することは、本願出願前に周知の技術手段(例えば、特開昭58-154083号公報参照)であるから、後者にこの周知の技術手段を採用して前者の構成のようにすることは、当業者が容易に推考できたことと認める。 [相違点2]について 指定席回数券で指定席券を購入する場合、1年間に複数期間存在し、その期間を年毎に変更される繁忙期には回数券が使えないこと、そして、予約希望日が繁忙期内であるか否かを、駅員が時刻表をみて判断することは、本願出願前に良く知られた事実であるから、引用例に記載のホストコンピュータが、予約希望の乗車日時に指定席券の発行が可能か否かを判断する代わりに、使用禁止期間内であるか否かによって判定するようにして前者の構成のようにすることは、当業者が容易に推考できたことと認める。 [相違点3] 前者の構成の記載からみて、「その回数券による予約の使用を不可と判断する手段」が、どの様な技術的意味を有しているのか不明である。予約希望日が使用禁止期間内であるか否かの判定を他の装置が行っているにもかかわらず、更に予約装置が予約の使用を不可と判断する必要が何故あるのか理解できないので、上記記載に関連する事項を明細書の記載を参酌してその意味を検討することを試みたが、関連する事項の記載がないので、上記記載事項は、その回数券による予約の使用を不可とする手段を意味しているものと解する。 そうであるならば、後者には、発行不可能と判断された場合は、発行処理要求の取消する手段を有しているから、その手段を前者の構成のようにすることは、当業者が容易に推考できたことと認める。 そして、前者の作用効果も、後者及び周知の技術手段から当業者が予測できる範囲内のものである。 5.むすび 以上のとおりであるから、本願の請求項1に係る発明は、引用例及び周知の技術手段に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2003-02-18 |
結審通知日 | 2003-02-25 |
審決日 | 2003-03-10 |
出願番号 | 特願平5-53728 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G06F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | ▲吉▼田 耕一 |
特許庁審判長 |
佐藤 荘助 |
特許庁審判官 |
平井 誠 岡 千代子 |
発明の名称 | 予約装置 |
代理人 | 作田 康夫 |