• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65H
管理番号 1076130
審判番号 不服2000-15982  
総通号数 42 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1993-05-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-10-05 
確定日 2003-05-08 
事件の表示 平成 3年特許願第296120号「原稿分離装置」拒絶査定に対する審判事件[平成 5年 5月28日出願公開、特開平 5-132162]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯・本願発明
本願は、平成3年11月13日の出願であって、その請求項1〜2に係る発明は、平成13年1月17日付けの手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1〜2に記載されたとおりのものと認められるところ、請求項2に記載された発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである。
「原稿載置台の前方側に設けられ、該原稿載置台上の原稿束のうち最下の原稿に当接して搬送方向に回転する分離ローラと、互いに離間して分離ローラ又は該分離ローラ上の前記最下の原稿に所定圧で接触し、前記最下の原稿より上に積載された原稿が分離ローラとの間に進入するのを防止する複数の分離ベルトと、を備えた原稿分離装置において、前記分離ローラの分離ベルトとの接触部に、該分離ローラの周方向に溝と外周面とが交互に配置されるとともに、前記分離ローラと分離ベルトの接触部又はそれより上流側で、該接触部間の円周面に対向して、前記複数の分離ベルトの間に位置して原稿を該円周面に加圧する加圧手段を設けたことを特徴とする原稿分離装置。」
2.引用刊行物記載の発明
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された本願の出願前に頒布された実願昭62-27636号(実開昭63-136639号)のマイクロフィルム(昭和63年9月8日出願公開。以下、「引用刊行物1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
(記載ア)「紙葉類が積層された集積部から蹴出ローラにより蹴出された紙葉類を1枚ずつ分離して繰出すように構成された紙葉類繰出し装置において、外周面の円周方向に複数の溝を有すると共に紙葉類の蹴出し方向側に配設され前記蹴出ローラと連動して回動駆動される繰出ローラと、紙葉類の蹴出し方向側で且つ前記繰出ローラの溝を臨む位置に配設され紙葉類の繰出し方向と逆方向に回動駆動される複数のベルト車と、摩擦係数の大なる部材から成り、蹴出された紙葉類を前記繰出ローラと協働して挟む外周面が前記繰出ローラの溝内に入り込むと共に前記溝の底面と間隙を隔てる状態で前記各ベルト車に巻回され紙葉類の繰出し方向と逆方向へ循環駆動される無端ベルトとを具備してなる紙葉類繰出し装置。」(実用新案登録請求の範囲)
(記載イ)「繰出ローラ4、5は、駆動源(図示略)により回転される軸7に固定され、繰出ローラ6はその内径に圧入された一方向軸受け7aを介して軸7に一方向にのみ回転可能に支持されている。繰出ローラ4には溝4aが形成されており、溝4a両側の大径部の周面の一部は、ゴム等の摩擦係数の大なる摩擦部材4bから形成され、該摩擦部材4bにより1回転毎に紙葉類Sを間欠的に矢印X1方向へ繰出すようになっている。」(第6頁第6〜15行)
(記載ウ)「軸7と平行に配設され駆動源(図示略)により回転駆動される軸10に2つのプーリ9が固定され、これら各プーリ9は各繰出ローラ4と各々若干の間隙を隔てるようになっている。各プーリ9の周面の大径部の一方の側にはベルト溝9aが各々形成され、これら各ベルト溝9aは各繰出ローラ4の溝4aと対向している。また、大径部の他方の側にはゴム等の摩擦係数の大なる部材からなるリング11が各々取付けられている。」(第7頁第4〜12行)
(記載エ)「軸10には、ゴム等の摩擦係数の大なる部材から成るリング12aと軸受12bとから成る取込ローラ12が回転可能に支持され、該リング12aを介して繰出ローラ5の周面と圧接している。」(第7頁第13〜16行)
(記載オ)「無端ベルト17は繰出方向と逆方向に循環駆動される。蹴出ローラ2によって集積部1の下側から矢印X1方向へ蹴出された紙葉類Sが順次、繰出ローラ4〜6と無端ベルト17との間へ送り込まれてゆく。」(第9頁第7〜11行)
(記載カ)「無端ベルトはゲート機構および摩擦分離機構として作用するため、紙葉類を1枚ずつ確実に分離して繰出す分離能力を大幅に向上させることができる。これにより紙葉類が複数枚重なった状態で繰出される等の障害を防止することができる。」(第12頁第1〜5行)
また、図1によると、繰出ローラは、集積部の前方に位置し、積層された紙葉類の最下部に当接して搬送方向に回転し、また、繰出ローラの外周部において、少なくともその一部が、周方向に溝(4b)と外周面が交互に配置され、さらに、無端ベルトが繰出ローラの溝(4a)に位置する場合、繰出ローラの位置によっては、溝(4a)に、繰出ローラの周方向に交互に設けられた溝(4b)と外周面が位置するものと認められる。また、上記記載オ、カの事項及び図1より、無端ベルトは、積層された紙葉類の最下の紙葉類より上の紙葉類を繰出しローラへの進入を防止している。さらに、上記記載エの事項及び図2によると、無端ベルトは互いに離間して複数位置し、その間に取込ローラが配置されているものと認められる。
そうすると、引用刊行物1には、上記記載ア〜カの事項及び添付図面からみて、「紙葉類が積層された集積部より蹴出された紙葉類を1枚ずつ分離して繰出すように構成された紙葉類繰出し装置において、外周面の円周方向に複数の溝(4a)を有すると共に、溝(4a)両側の大径部周面の一部が、溝(4b)と外周面が交互に配置されたゴム等の摩擦係数の大なる摩擦部材から形成された搬送方向に回転する集積部前方側に設けられた繰出ローラと、蹴出された紙葉類を前記繰出ローラと協動して挟む外周面が前記繰出ローラの溝(4a)内に入り込むと共に前記溝(4a)の底面と間隙を隔てる状態で紙葉類の繰出し方向と逆方向へ循環駆動される互いに離間して配置され、紙葉類の最下の紙葉類より上に積載された紙葉類の繰出ローラへの進入を防止する無端ベルトと、複数の無端ベルト間に位置し、ゴム等の摩擦係数の大なる部材から成るリングと軸受とから成り回転可能に支持され外リングを介して繰出ローラの周面と圧接される取込ローラとを備えてなる紙葉類繰出し装置。」の発明(以下、「引用刊行物1記載の発明」という。)が記載されているものと認められる。
3.対比
本願発明と引用刊行物1記載の発明を対比すると、引用刊行物1記載の発明の「繰出ローラ」は、積層された紙葉類を下から順次繰出し、無端ベルトと対向した位置に配置されており、本願発明の「分離ローラ」に相当する(上記記載ア〜オ及び添付図面参照)。引用刊行物1記載の発明の「無端ベルト」は、繰出しローラと協動して、積層された紙葉類の下からの繰出しを行い、重送を防止するものであり、本願発明の「分離ベルト」に相当する(上記記載ア、オ、カ及び添付図面参照)。引用刊行物1記載の発明の「取込ローラ」は、複数の無端ベルト間に位置して、繰出ローラの周面に圧接されており、本願発明の「加圧手段」に相当する(上記記載エ及び添付図面参照)。また、引用刊行物1記載の発明の「紙葉類繰出し装置」は、積層された紙葉類を最下の紙葉類から順に繰り出すものであり、本願発明の「分離装置」に相当する(上記記載ア〜カ及び添付図面参照)。引用刊行物1記載の発明の集積部の底部は、紙葉類を載置するので、本願発明の「載置台」に相当する(上記記載ア及び添付図面参照)。
また、引用刊行物1記載の発明では、積層された繰出し対象物が「紙葉類」であり、本願発明では積層された繰出し対象物が「原稿」であるが、両者はともに「紙葉類」という点で一致する。さらに、引用刊行物1記載の発明では、無端ベルトは、繰出ローラに設けられた溝部に位置し、無端ベルトと繰出ローラの相対的位置関係から、該位置が、本願発明における分離ローラと無端ベルトが形成する「接触部」に対応する位置に相当し、図1から取込ローラは、分離ベルトが配置される分離ローラの溝部部分より上流側に位置しているものと認められる。
したがって、両者は「紙葉類載置台の前方側に設けられ、該紙葉類載置台上の紙葉類束のうち最下の紙葉類に当接して搬送方向に回転する分離ローラと、互いに離間して分離ローラ又は該分離ローラ上の前記最下の紙葉類に所定圧で接触し、前記最下の紙葉類より上に積載された紙葉類が分離ローラとの間に進入するのを防止する複数の分離ベルトと、を備えた紙葉類分離装置において、前記分離ベルトが配置される分離ローラの溝部部分より上流側で、分離ローラの円周面に対向して、前記複数の分離ベルトの間に位置して紙葉類を該円周面に加圧する加圧手段を設けたことを特徴とする紙葉類分離装置。」である点で一致し、以下の点で相違する。
・相違点1
本願発明の繰出し対象物が「原稿」であるのに対して、引用刊行物1記載の発明は、繰出し対象物が紙葉類とされている点。
・相違点2
本願発明では、分離ローラの分離ベルトとの接触部に、該分離ローラの周方向に溝と外周面とが交互に配置されるに対して、引用刊行物1に記載された発明においては、分離ローラの溝部に分離ベルトが位置しており、接触部を有していない点。
4.相違点の判断
そこで、上記相違点について検討する。
・相違点1について
本願発明も引用刊行物1記載の発明も共に積層された紙葉類を1枚ずつ分離することで一致しており、搬送対象物として何を搬送するかは、引用文献1記載の発明を如何なる装置に組み込むかによって適宜定まる事項である。加えて、分離ローラと分離ベルトにより原稿を繰出す事も従来周知のものでもあることから(特開昭54-96317号公報、特開平3-98931号公報、実願昭58-59952号(実開昭59-165845号)のマイクロフィルム等参照)、引用刊行物1に記載の発明において、相違点1に係る本願発明のようにすることは、当業者が容易になし得た事項である。
・相違点2について
積層された紙葉類を繰出す装置において、分離ローラと分離ベルトの接触部を有し、当該接触部において、紙葉類の重送防止を行うことは、従来周知の事項であり(特開昭54-96317号公報、特開平3-98931号公報、特開昭63-87449号公報、実願昭58-59952号(実開昭59-165845号)のマイクロフィルム等参照)、引用刊行物1記載の発明において、当該周知の事項を参酌し、重送防止するために、分離ベルトと分離ローラの位置を、互いに接触部を有する位置とすることは、当業者が容易になし得た事項である。
したがって、引用刊行物1に記載の発明において、相違点2に係る本願発明のようにすることは、当業者が容易になし得た事項である。
なお、請求人は、審判請求書において、本願発明に係る分離ローラは、「全周に溝と平面部とが交互に配置され」(審判請求書第3頁第15〜16行)ている旨主張すると共に、引用刊行物1に記載された繰出ローラ4について、「繰出ローラ4の溝のない部分が汚れ易く搬送力の低下を生じ易いものである」(審判請求書第3頁第13〜14行)旨述べ、繰出ローラ4は、外周の一部に溝と平面部とが交互に配置されたものなので、かかる欠点を有する旨示唆している。
しかしながら、本願発明は、分離ローラについて、「周方向に溝と外周面とが交互に配置される」と限定するのみで、全周に渡って溝と外周面とが交互に配置されることを要件としていないので、請求人の主張には理由がない。
また、仮に、本願発明に係る分離ローラが、請求人の主張のようなものであるとしても、「全周に溝と平面部とが交互に配置され」た分離ローラ自体は、周知のものにすぎないとともに、その採用により格別な作用効果を生じるとも言えないので、請求人のかかる主張は採用できない。
5.むすび
したがって、本願請求項2に係る発明は、引用刊行物1に記載された発明および従来周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
以上のとおりであるから、本願は他の請求項に係る発明について検討するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2003-03-04 
結審通知日 2003-03-11 
審決日 2003-03-25 
出願番号 特願平3-296120
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B65H)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 二ッ谷 裕子  
特許庁審判長 松縄 正登
特許庁審判官 山崎 豊
山崎 勝司
発明の名称 原稿分離装置  
代理人 有我 軍一郎  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ