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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B65G
管理番号 1076147
審判番号 審判1999-2195  
総通号数 42 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1993-08-03 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-02-15 
確定日 2003-05-26 
事件の表示 平成4年特許願第74609号「コンベア装置」拒絶査定に対する審判事件〔平成5年8月3日出願公開、特開平5-193735、請求項の数(29)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 本願は、平成4年3月30日(パリ条約による優先権主張1991年3月29日(US)アメリカ合衆国)の出願であって、その請求項1〜29に係る発明は、平成14年5月27日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1〜29に記載されたとおりのものであると認める。
そして、本願については、原査定の拒絶理由、平成13年11月20日に当審が通知した拒絶理由を検討しても、その理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
すなわち、原査定の第1の拒絶理由では、特開平1-317914号公報(以下、「引用例1」という。)及び特公昭55-16933号公報(以下、「引用例2」という。)を引用し、また平成13年11月20日に当審が通知した拒絶理由II.では、引用例2及び特公昭50-14015号公報(以下、「引用例3」という。)を引用し、本願の指摘した各請求項に係る発明が引用した刊行物に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものとして、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとされている。
そこで、引用例1〜3について検討すると、それぞれ次のような事項が記載されている。

引用例1;
「少なくとも1個の方向転換シューをもち、かつ方向転換シューが縦方向に整列する」点。

引用例2;
「エンドレス・ウェブ内において、互いに一定間隔をもって連結された複数組みの細長い一対の物品載置用棒状体7(複数個の細長い支持部材)のうちの最上部の何個かによって定められ、長手方向に動くスラットコンベヤ式物品搬送用無端回動体A(コンベア)表面と、複数個の突起1(方向転換シュー)であって、その各々が前記物品載置用棒状体7(支持部材)の1個に可動に設けられ、前記無端回動体A(コンベア)表面に対して横方向に動くための前記突起1(方向転換シュー)と、この突起1(方向転換シュー)に係合して横方向の力を与え、前記突起1(方向転換シュー)を横方向に動かして前記無端回動体A(コンベア)表面に置かれた物品を転置させるための分岐傾斜ガイドレール5a及び案内具13(作動手段)とを有するコンベア装置において、前記分岐傾斜ガイドレール5a及び案内具13(作動手段)は、前記無端回動体A(コンベア)表面に支持された様々な長さを有する物品を横に転置するために、前記突起1(方向転換シュー)の少なくとも1個を個別に選択して横方向に動かすための手段と、特定の突起1(方向転換シュー)を選択して特定の物品を方向転換するための制御手段であって、物品の長さを光電管装置などで検出し、その長さに対応するだけの突起1(方向転換シュー)を移行させる、物品搬送装置(コンベア装置)」

引用例3;
「エンドレス・ウェブ内において、長手方向に動くコンベア3表面と、前記コンベア3表面に対して横方向に動くための偏向部材21(方向転換シュー)と、この偏向部材21(方向転換シュー)に係合して横方向の力を与え、前記偏向部材21(方向転換シュー)を横方向に動かして前記コンベア3表面に置かれた搬送物27(物品)を転置させるための、複数個の中間軌条体22(トラック部材兼作動部材)及び転てつ器23(方向転換器兼作動手段)とを有するコンベア装置において、前記中間軌条体22(トラック部材兼作動部材)及び転てつ器23(後方転換器兼作動手段)は、前記コンベア3表面に支持された様々な長さを有する搬送物27(物品)を回転させることなく横に転置するために、前記偏向部材21(方向転換シュー)の少なくとも1個を個別に選択して横方向に動かしながら、選択された全ての偏向部材21(方向転換シュー)を縦方向に整列させること」

しかしながら、引用例1〜3のいずれにも、
本願請求項1に係る発明の構成に欠くことができない事項である「特定の方向転換シューを選択して特定の物品を方向転換するための制御手段であって、方向転換シューと物品の間の相対位置を測定し、この方向転換シューと物品の間の相対位置によりどの方向転換シューを物品に割り当てるべきかを決定する手段を含む前記制御手段」、

本願請求項6に係る発明の構成に欠くことができない事項である「この制御手段は、更に、前記コンベア表面の複数個の物品の位置を検出するための第1検出手段と、前記コンベア表面の複数個の方向転換シューの位置を検出するための第2検出手段と、前記第1、及び第2検出手段に応答し、前記方向転換シューと前記コンベア表面の動きの方向における物品との間の相対位置により、どの方向転換シューを前記物品に割り当てるべきかを決定する手段と、この決定手段に応答して前記方向転換シューを操作するための手段」、
本願請求項16に係る発明の構成に欠くことができない事項である「この方向転換手段を選択的に操作する制御手段であって、物品の長さを測定するための手段と、関連する選別スパー上に物品を方向転換させるために前記関連する選別スパーの方向転換手段を選択的に操作するための手段と、少なくとも1個の選別スパーに対して方向転換されるべく選択された物品の少なくとも前記長さから前記特定の選別スパーの蓄積された物品長さパラメータを決定するための手段とを含む前記制御手段」、

あるいは、本願請求項22に係る発明の構成に欠くことができない事項である「この制御手段は、物品の長さを測定するための手段を含む中央選別コントローラと、複数個のローカルコントローラであって、その各々が前記選別スパーの1個と関連付けられ、この関連付けられたスパーの上に物品を方向転換させるために前記関連付けられたスパーの方向転換手段を選択的に操作するための前記ローカルコントローラと、前記中央選別コントローラから前記ローカルコントローラに物品の長さを示すデータを転送するための手段と、を含み、
前記ローカルコントローラの各々は、少なくとも前記中央選別コントローラから転送されたデータから前記関連付けられたスパーの蓄積された物品長さパラメータを決定するための手段」
について記載あるいは示唆されているものとは認められない。
特に引用例2、3においては、特定の長さを有する搬送物を転置させるため、当該搬送物の長さに応じた数の突起あるいは偏向部材を搬送物に対応させて割り当てており、なんらかの技術的手段により突起あるいは偏向部材と搬送物との相対位置を考慮しているものと解する余地があるが、引用例2、3の記載の限りでは、「方向転換シューと物品の間の相対位置を測定」することについて、具体的な記載あるいは示唆がなされているとは認められない。
そして、本願の各請求項に係る発明によれば、それにより本願明細書第5段落に記載された「従来のコンベア装置において要求されたパッケージ間の間隔を減少させ、実際に、コンベア表面の動く方向における1つの方向転換シューの長さよりも短い間隔にまでパッケージ間隔を減少させることができるコンベア装置を得る」という目的が達成されるものである。

したがって、請求項1及び請求項1に係る発明の構成に欠くことができない事項をすべて含む2〜5項に係る発明、請求項6及び請求項6に係る発明の構成に欠くことができない事項をすべて含む7〜15項に係る発明、請求項16及び請求項16に係る発明の構成に欠くことができない事項発明をすべて含む17〜21項に係る発明、請求項22及び請求項22に係る発明の発明の構成に欠くことができない事項をすべて含む23〜29項に係る発明が、引用例1〜3に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとする根拠を見出すことはできない。
また、原査定の拒絶理由、平成13年11月20日に当審が通知した拒絶理由で指摘した記載不備もその後の手続補正により解消しており、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2003-05-08 
出願番号 特願平4-74609
審決分類 P 1 8・ 121- WY (B65G)
最終処分 成立  
前審関与審査官 一色 貞好  
特許庁審判長 西野 健二
特許庁審判官 清田 栄章
石原 正博
発明の名称 コンベア装置  
代理人 小林 慶男  
代理人 長谷 正久  
代理人 古川 秀利  
代理人 鈴木 憲七  
代理人 黒岩 徹夫  
代理人 池谷 豊  
代理人 曾我 道照  

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