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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  C02F
審判 全部申し立て 特174条1項  C02F
管理番号 1076317
異議申立番号 異議2002-70020  
総通号数 42 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1995-11-07 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-01-09 
確定日 2003-02-17 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3183775号「水洗便所の汚水処理装置」の請求項1ないし4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3183775号の請求項1ないし4に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第3183775号の請求項1乃至4に係る発明についての出願は、平成6年4月27日に特許出願され、平成13年4月27日にその特許権の設定登録がなされたものである。
これに対して、井上盛夫より特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内の平成14年8月6日付けで訂正請求がなされたものである。
2.訂正の適否
2-1.訂正の内容
本件訂正請求の内容は、本件特許明細書を訂正請求書に添付された訂正明細書のとおり、すなわち次の訂正事項a及びbのとおりに訂正するものである。
(1)訂正事項a:請求項1の「下方に」を「下方の前記土壌中に」と、また「通気層」を「面状に拡がる通気層」とそれぞれ訂正して、請求項1を次のとおりに訂正する。
「【請求項1】水洗便所と、この汚水を一次処理する浄化槽と、この浄化槽からの汚水を二次処理する土壌浄化装置より成り、この土壌浄化装置は、通気性、保水性が良好で好気性菌の繁殖に適した土壌中に埋設されたトレンチと、このトレンチ上に配置されかつ礫状材を充填した汚水供給用多孔管と、前記トレンチの下方の前記土壌中に設けられた多孔質材より成る面状に拡がる通気層と、この通気層と外気を連通する給排気管から成ることを特徴とする水洗便所の汚水処理装置。」
(2)訂正事項b:明細書の段落【0012】の「下方に」を「下方の前記土壌中に」と、また「通気層」を「面状に拡がる通気層」とそれぞれ訂正する。
2-2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記訂正事項aは、請求項1に「の前記土壌中」と「面状に拡がる」とを追加して技術的に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮に該当する。
また、上記訂正事項bは、特許請求の範囲の減縮に伴って明細書の記載を請求項1の内容と整合させるものであるから、明りょうでない記載の釈明に該当する。
そして、上記訂正事項a及びbは、いずれも願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものであるから新規事項の追加に該当せず、また実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
2-3.まとめ
したがって、上記訂正は、平成6年改正法附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年改正法による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
3.本件訂正発明
上記訂正は、これを認容することができるから、本件訂正後の請求項1乃至4に係る発明(以下、「本件訂正発明1乃至4」という)は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1乃至4に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】水洗便所と、この汚水を一次処理する浄化槽と、この浄化槽からの汚水を二次処理する土壌浄化装置より成り、この土壌浄化装置は、通気性、保水性が良好で好気性菌の繁殖に適した土壌中に埋設されたトレンチと、このトレンチ上に配置されかつ礫状材を充填した汚水供給用多孔管と、前記トレンチの下方の前記土壌中に設けられた多孔質材より成る面状に拡がる通気層と、この通気層と外気を連通する給排気管から成ることを特徴とする水洗便所の汚水処理装置。
【請求項2】前記土壌浄化装置の通気層の下方に処理水の集水溝を設け、この集水溝の底部に集水用多孔管を配置し、この多孔管の一端を集水槽に接続し、集水槽内に貯留された処理水をポンプによって水洗便所の貯水タンクに揚水するようにした請求頃1記載の水洗便所の汚水処理装置。
【請求項3】前記水洗便所及び浄化槽をそれぞれハウジング内に収納し、このハウジングを移動可能とした請求項1記載の水洗便所の汚水処理装置。
【請求項4】前記汚水及び処理水の移送にポンプを用い、このポンプの電源として太陽電池を用いたことを特徴とする請求項1、2、3のいずれかに記載の水洗便所の汚水処理装置。」
4.特許異議申立てについて
4-1.特許異議申立ての理由
特許異議申立人は、証拠方法として、甲第1号証乃至甲第11号証を提出して、次のとおり主張している。
(1)訂正前の本件請求項1乃至4に係る発明は、甲第1号証乃至甲第11号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明についての特許は、特許法第29条第2項に違反してなされたものである。
(2)平成13年2月19日付け補正は、少なくとも段落【0018】を「一方、土壌は通気性、保水性が良好であるため、好気性菌の繁殖に適しており、さらにトレンチの下方に外気に通じる通気層を設け、面状に拡がりを持たせることができるようにしてあるため、吸排気が広い範囲で良好に行なわれ、・・・」及び段落【0029】を「前記トレンチ32の下方の土壌31中には、軽石などの多孔質材を充填した通気層36が設けられ、面状に拡がりを持たせることができるようにしてある。・・・」と補正するものであるが、この補正の「面状に拡がりを持たせることができるようにしてあるため、吸排気が広い範囲で良好に行なわれ」という事項は、当初の明細書又は図面には記載されていないから、平成13年2月19日付け補正は、願書に添付した明細書及び図面に記載した事項の範囲内においてなされたものではない。
4-2.証拠の記載内容
特許異議申立人が提出した上記甲第1号証乃至甲第11号証には、それぞれ次の事項が記載されている。
(1)甲第1号証:特開昭50-42672号公報
(a)「自然土壌層の下方に浄化砂層を設け、その下方に外気の流通を許す空気流通空間を設けると共に、上記空間内に流下汚水と空気との接触を良好にするために充填材を配置し、上記浄化砂層中に被処理汚水を供給するようにして成ることを特徴とする汚水浄化装置。」(第1頁左欄特許請求の範囲の項)
(b)「つぎに、上記浄化砂層6の表面に前記と同様のスダレ状被覆7を介して、その上に例えば第4図に示すように、空間形成用コンクリート構造材8が整列して配置されている。この構造体8はその上下壁面9に汚水の流下を許す数個の小孔10が設けられ、この内部には例えばポリ塩化ビニル、・・・からなる小片、小塊、多孔質構造体などの・・・各種成形品からなる充填材11が詰め込まれており、この構造体8および充填材からなる帯域はその上方から流下する処理汚水がこの帯域を通過する間に、空気との接触をできるだけ良好なものとなるようにして、汚水中に残存する有機物の浄化分解を促進させるのに効果がある。」(第2頁右上欄第2行乃至第16行)
(c)「この汚水供給設備は上記浄化砂層14中の一定の高さに第1図に示すように一定の間隔をもって配列した皿板15と、この皿板上に配設された数本の分水管16とからなり、この分水管16には各皿板15上に被処理汚水を供給するべく小孔が窄設され、さらに各皿板15上には上記分水管16を被うようにして浄化礫18を盛り上げその表面に通水性の被覆19が置かれている。」(第2頁左下欄第3行乃至第11行)
(2)甲第2号証:特開平5-185076号公報
(a)「本発明は、し尿、生活廃水、工業廃水等の汚水を土壌に浸透させ、同汚水を土壌中の微生物の浄化作用によって処理・処分するための土壌トレンチに関し、特に浸潤マットを使用した土壌トレンチに係るものである。」(段落【0001】)
(b)「請求項1記載の浸潤マット式土壌トレンチにおいて、散水管から滲出する汚水は、浸潤マットを浸潤して微生物の活性の高い土壌表層部に拡散する。このとき、浸潤マットに含まれた多孔質珪酸カルシウム水和物、キト酸及び炭が次のように作用するため、汚水の流入開始時から汚水の浄化能が高く、また、長期間使用しても目詰りが少なく浄化能が持続するとともに、汚水の拡散が良く浄化能が向上する。」(段落【0012】)
(c)「次に、請求項4記載の浸潤マット式土壌トレンチによれば、次のような作用が相される。すなわち、従来技術は、好気性微生物を活性化するために、土中の酸素をサイフォンで通気性土壌に送るようにしているが、そもそも土中の酸素量は少なく、目詰り等もあり、好気性微生物を活性化することには覚束がない。これに対し、浸潤マット内に少なくとも1本の給気管を挿通することにより、大気中の酸素を直接的にかつ持続的に取り込むことになるから、好気状態を良好に持続することができ、微生物を活性化することにより、目詰りを起こりにくくし、浄化能を非常に高くすることができる。」(段落【0017】)
(d)「本実施例の浸潤マット式土壌トレンチ1においては、大地に幅1〜3m、深さ1〜2m、長さ2〜150m程度のトレンチ溝2が掘られている。このトレンチ溝2の底部には集水管3が配設されるととともに、砂利とゼオライトとの混合物よりなる砂利ゼオライト層4が形成されている。
砂利ゼオライト層4の上には、現場で掘られた土壌にケイ酸質土壌活性肥料が混合された通気性土壌よりなる通気性土壌下層部5が形成されている。」(段落【0018】及び段落【0019】)
(e)「多孔質珪酸カルシウム水和物層6の上には、通気性土壌下層部5と同様の通気性土壌よりなる通気性土壌中層部7が形成されている。通気性土壌中層部7の上には、キト酸木炭層8が形成されている。このキト酸木炭は、木炭の粉粒体をキト酸で造粒して作ったものであり、粒径は2〜4mmである。キト酸木炭層8の上には、通気性土壌下層部5と同様の通気性土壌が地表まで埋め戻されて通気性土壌表層部9が形成されている。
さて、通気性土壌表層部9の途中深さには、浸潤マット11と、その幅方向中央部の下方に設けられた散水管12と、その下方に設けられ散水管12の下部と浸潤マット11の幅方向両縁部とを支持する台座13とからなる汚水処理資材10が配設されている。」(段落【0021】及び(段落【0022】)
(f)「次に、請求項3記載の浸潤マット式土壌トレンチによれば、前記の通り、散水管→浸潤マット→土壌表層部の順に拡散して徐々に浄化された汚水が、土壌下層部に降りるときに、浸潤マットより下方の土壌に設けた多孔質珪酸カルシウム水和物、キト酸、炭又はゼオライトを通過するため、汚水の浄化能がさらに向上する。ここで、多孔質珪酸カルシウム水和物、キト酸及び炭の作用は、前記浸潤マットにおけるそれと同様である。また、ゼオライトは、アンモニア、カリ等の無機イオン(陽イオン)を吸着除去するとともに、悪臭成分や着色成分を吸着除去する作用がある。」(段落【0016】)
(3)甲第3号証:特開昭50-19256号公報
(a)「この発明は細粒層中に廃水を散水しながら供給して、細粒層中の微生物を利用して浄化する廃水処理装置の改良発明である。」(第1頁左欄第10行乃至第12行)
(b)「特に層6は、細粒からなる層5全体を好気的条件に維持するための重要な層である。すなわち、この粗粒からなる層6には、微生物の浄化に必要な酸素を供給する送気管7および排気管8が接続されている。従って空気は・・・各薄層5へ平均に導入され、かつ・・・排ガスが平均に排出されることなるので、空気の片流れが是正され、・・・全体を好気的条件に維持することが可能となる。」(第2頁左下欄第12行乃至右下欄第3行)
(4)甲第4号証:特開昭54-133757号公報
「通気室層(4)は土中の微生物の作用を受けず腐蝕しない周知の部材にて中空板状(第1図、第3図)又は平板を架橋して形成した一定の通気空間形態(第4図)又は断面略波形状(第5図、第6図)又はこれらに類する種々の形態に構成し、且つその表面には土壌層(3)への給気手段であり同時に清浄水(イ’)、半清浄水の流通孔(4a)を無数形成すると共にこの通気室層(4)における対角位置の隅部には外気との連通手段である連通管(8)(8)を接続せしめる。
そして通気室層(4)は・・・外気の流通系路を構成し、常時外気を流通孔(4a)を通じて上下の土壌層(3)に給気して好気性状態を維持保障し得るように形成する。」(第2頁左上欄第14行乃至右上欄第8行)
(5)甲第5号証:実願昭54-160434号(実開昭56-80297号)のマイクロフィルム
(a)「本考案はビルなどの排水再利用装置に関するものである。」(第1頁)
(b)「2の貯留槽、3の処理装置および4の処理水槽を建物の地下等に設け、屋上には6の分水枡、9の集水槽、10の再利用水貯留槽とを設け、12の土壌を集積する。」(第2頁19行乃至第3頁第2行)
(6)甲第6号証:専門雑誌「用水と排水」Vol.29、No.12(1987)第1144〜1160頁、楠本正康ら「汚水の土壌処理に関する技術指針(5)」
(a)「9.2 生活排水
固液分離後の水洗便所の排水、前処理(沈殿分離)を行なった雑排水、単独し尿浄化槽放流水などを土壌処理している実例は、全国に多数存在している。これらのほとんどは、一戸の家庭や建築物に個別につくられている。
また、散水方法はトレンチ方式が採用されている。」(第1151頁右欄下から4行乃至第1152頁左欄第2行)
(b)「(1)し尿(水洗便所排水)の処理
し尿浄化槽の単独処理として使用されており、・・・土壌処理槽で2次処理を行ない、消毒後放流するものである。その一例をつぎに示す。処理工程は、つぎのとおりである。・・・土壌処理槽は、粒径3cm程度の砕石層15cm、その上部にパーライト層15cm、さらにその上部に土壌を15cm被覆した構造になっている。排水はパイプによって砕石層に流入し、パーライト層、土壌層に拡散する。」(第1152頁右欄)
(7)甲第7号証:特開平4-171089号公報
(a)「本発明は、水洗便所の汚水処理に用いる改良便槽に関し、特に家庭用便所・・・などの便所の汚水処理に適した改良便槽に関するものである。」(第1頁右欄第5行乃至第9行)
(b)「第1図及び第2図において、1は水洗便所、2は汚水供給パイプ、3は第腐敗室3aと第2腐敗室3bとからなる腐敗室、4は濾過室、5はポンプ、6はポンプ室である。7は土壌処理槽であり、土9中に上部が開放された空間を形成する不透水性部材8、該空間内に充填された通気性土壌10、該空間の底部に敷設した集水管11、・・・盛土13で構成されている。」(第2頁右下欄第17行乃至第3頁左上欄第7行)
(8)甲第8号証:実願平3-23172号(実開平4-112128)のマイクロフィルム
(a)「【請求項1】車室1の適所に、隔壁2によって他と区画され、車体に設けられたドア3から出入りする手洗室4を設けた構造を有する移動事務所車に於て、前記手洗室4に大小兼用の便器5を据付け、該便器5に焼却式の便槽6を設けるとともに、該便槽6に一端が通じ、他端は車外排気用の開口8に通じたダクト7を設けたことを特徴とする移動事務所車。」(実用新案登録請求の範囲の項)
(9)甲第9号証:実願平4-20374号(実開平5-72565)のマイクロフィルム
(a)「原動機及び必要な変速手段により駆動される走行装置を備え、前記走行装置の作動を制御するための運転者が乗り込む運転室を取り付けたシャーシからなる車両において、所要の幅と高さを有し、内部に焼却式便器を設置し、かつ外部から出入りするドアを設けたトイレット室を運転室の直後のシャーシに据え付け、荷台、部品庫或いはダンプ、クレーン等の装備品などその車両の用途に応じた専用機能部分を設置するためのスペースを前記トイレット室後方のシャーシに設けたことを特徴とするトイレット搭載型車両。」(実用新案登録請求の範囲の項)
(10)甲第10号証:特開昭56-81288号公報
(a)「本発明は・・・通常の電動ポンプを用いて太陽電池を高効率で利用可能な、太陽電池をエネルギー源とするポンプ装置を提供することにある。」(第1頁右欄第16行乃至第20行)
(11)甲第11号証:特開昭62-23581号公報
(a)「本発明は、太陽電池を主電源とするポンプ装置に関する。」(第1頁左欄第15行乃至第16行)
4-3.当審の判断
(1)本件訂正発明1について
甲第1号証の上記(a)には、「自然土壌層の下方に浄化砂層を設け、その下方に外気の流通を許す空気流通空間を設けると共に、上記空間内に流下汚水と空気との接触を良好にするために充填材を配置し、上記浄化砂層中に被処理汚水を供給するようにして成ることを特徴とする汚水浄化装置。」と記載されているが、この汚水浄化装置における「空気流通空間」は、地表面上で外気と通じるように配置されたものであるから、本件訂正発明1の「通気層」の如く「土壌中」に埋設されたものではない。また、この「空気流通空間」の機能は、上記(b)の「この構造体8および充填材からなる帯域はその上方から流下する処理汚水がこの帯域を通過する間に、空気との接触をできるだけ良好なものとなるようにして、汚水中に残存する有機物の浄化分解を促進させるのに効果がある。」という記載によれば、流下する処理汚水と空気とをこの空間で接触させること、そして汚水中に残存する有機物の浄化分解を促進させることであるが、これに対し、本件訂正発明1の「通気層」の機能は、本件特許明細書の「一方、土壌は通気性、保水性が良好であるため、好気性菌の繁殖に適しており、さらにトレンチの下方に外気に通じる通気層を設け、面状に拡がりを持たせることができるようにしてあるため、吸排気が広い範囲で良好に行なわれ、好気性菌は土壌の深部までよく繁殖し、浄化作用が高められ、分解後のガスの排出も速やかに行われる。」(段落【0018】等の記載によれば、通気性の土壌に空気を供給して土壌中の好気性菌を繁殖させることであるから、両者は、その構造や機能の点で相違していることが明らかである。
してみると、甲第1号証には、本件訂正発明1の上記「通気層」について示唆されていないと云うべきである。また、甲第1号証の「空気流通空間」は、そもそも地表面上で外気と通じるように設けられることにより処理汚水と空気との接触がこの空間で確保されるものであるから、これを「土壌中」に埋設する動機付けが甲第1号証の記載に示唆されているとも云えない。
次に、甲第2号証について検討すると、甲第2号証には、土壌中にトレンチが埋設された「し尿処理装置」が記載されているが、この「し尿処理装置」における土壌中への空気の供給は、上記(c)や図1の記載によれば、トレンチの浸潤マット内に設けられた「少なくとも1本の給気管」によってなされており、本件訂正発明1の如く、トレンチの下方に設けられた通気層と連通する「給排気管」によってなされているものではない。また、甲第2号証に記載されたこの「し尿処理装置」の具体例では、通気性土壌層中に多孔質珪酸カルシウム水和物層6やキト酸木炭層8が形成されているが、これら層は、上記(f)の「浸潤マットより下方の土壌に設けた多孔質珪酸カルシウム水和物、キト酸、炭又はゼオライトを通過するため、汚水の浄化能がさらに向上する。」という記載によれば、もっぱら「汚水の浄化能の向上」のために設けられているものであり、土壌中の好気性菌へ大気中の酸素を供給するためのものではない。そして、甲第2号証の「し尿処理装置」では、既にトレンチの下方の通気性土壌に大気中の酸素を供給するためにトレンチの上方に「給気管」が設けられているから、これとは別個にトレンチの下方に給気管を設ける必要はなく、したがって本件訂正発明1の如き「給排気管」やこれと連通する「通気層」を設ける動機付けが甲第2号証の記載に示唆されているとも云えない。
この点に関し、特許異議申立人は、甲第2号証の「多孔質珪酸カルシウム水和物層6」は、本件訂正発明1の「土壌中に設けられた多孔質材より成る面状に拡がる通気層」に相当すると主張しているが、この層は、上述したとおり、土壌中に酸素を供給するために設けられたものではない。また、上記「多孔質珪酸カルシウム水和物層6」を実質的な「通気層」とみた場合でも、甲第2号証の「し尿処理装置」では、酸素を供給するための「給気管」が既にトレンチの上方に設けられているのであるから、トレンチの下方に給気管を別個に設ける必要はなく、したがって、この「多孔質珪酸カルシウム水和物層6」が通気層であるとしても、この層に別個に給気管を連通させる必要性も生じない。
以上のとおりであるから、本件訂正発明1の「前記トレンチの下方の前記土壌中に設けられた多孔質材より成る面状に拡がる通気層と、この通気層と外気を連通する給排気管」の点は、甲第1号証及び甲第2号証には記載されていないし、またこの構成を容易に導くことができるような動機付けが示唆されているとも云えない。
また、その余の甲第3号証乃至甲第11号証についても検討すると、甲第3号証及び甲第4号証には、給・排気管が設けられた通気層が記載されているだけであり、甲第1号証及び甲第2号証に記載の「汚水処理装置」との関係について何ら記載がない。
してみると、本件訂正発明1は、甲第1号証又は甲第2号証と甲第3号証及び甲第4号証に記載の発明から当業者が容易に想到することができたとすることはできない。
さらに、甲第5号証乃至甲第11号証についても検討すると、これら証拠は、水洗便所や太陽電池を用いたポンプ等に関するものであり、本件訂正発明1の「通気層」や「通気層と連通する給排気管」に関するものではないから、本件訂正発明1の通気層等の構成は、甲第5号証乃至甲第11号証の記載からでは当業者が容易に想到することができないことは明らかである。
したがって、本件訂正発明1は、甲第1号証乃至甲第11号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることができない。
(2)本件訂正発明2乃至4について
これら発明は、少なくとも請求項1を引用してなるものであるから、本件訂正発明1についての上記理由と同様、甲第1号証乃至甲第11号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることができない。
(3)補正による新規事項の追加について
補正事項の「面状に拡がりを持たせることができるようにしてある」については、当初の明細書又は図面のうち、特に図3によれば、出願時の請求項1乃至4に係る発明の「通気層」が土壌31の面積分に相当する広がりで上下の土壌31間に設けられていることは明らかであるから、新規事項ではないと云える。また「吸排気が広い範囲で」についても、当初の明細書の段落【0018】には、この「通気層」では、吸排気が行われると記載されており、給排気管によって面状に拡がる通気層に空気を供給すれば、「吸排気が広い範囲で」良好に行なわれることは明らかであるから、この補正事項も新規事項ではないと云える。
したがって、特許異議申立人の補正に関する上記主張も採用することができない。
5.むすび
以上のとおり、特許異議申立ての理由及び証拠方法によっては、本件訂正発明1乃至4についての特許を取り消すことはできない。
また、他に本件訂正発明1乃至4についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、上記のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
水洗便所の汚水処理装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 水洗便所と、この汚水を一次処理する浄化槽と、この浄化槽からの汚水を二次処理する土壌浄化装置より成り、この土壌浄化装置は、通気性、保水性が良好で好気性菌の繁殖に適した土壌中に埋設されたトレンチと、このトレンチ上に配置されかつ礫状材を充填した汚水供給用多孔管と、前記トレンチの下方の前記土壌中に設けられた多孔質材より成る面状に拡がる通気層と、この通気層と外気を連通する給排気管から成ることを特徴とする水洗便所の汚水処理装置。
【請求項2】 前記土壌浄化装置の通気層の下方に処理水の集水溝を設け、この集水溝の底部に集水用多孔管を配置し、この多孔管の一端を集水槽に接続し、集水槽内に貯留された処理水をポンプによって水洗便所の貯水タンクに揚水するようにした請求項1記載の水洗便所の汚水処理装置。
【請求項3】 前記水洗便所及び浄化槽をそれぞれハウジング内に収納し、このハウジングを移動可能とした請求項1記載の水洗便所の汚水処理装置。
【請求項4】 前記汚水及び処理水の移送にポンプを用い、このポンプの電源として太陽電池を用いたことを特徴とする請求項1、2、3のいずれかに記載の水洗便所の汚水処理装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、水洗便所、特に屋外に設置される水洗便所の汚水処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
公園等に設置される公衆便所は、上水道と下水道が共に完備しておれば、水洗式にして清潔に保つことができるが、例えば河川敷のように、双方共に敷設されていない場合には設置が非常に困難である。
【0003】
また、上水道のみ敷設されていても、汚水をそのまま河川に放流することはできず、そのため例えば公知の浄化槽を利用するとしても、処理能力及び浄化能力が充分でなく、これも使用に耐えない。また、河川の増水で水没した場合、汚水の流出や再使用の困難性など問題が多い。
【0004】
上記のような環境を考慮すると、土壌内の微生物を利用して汚水処理を行なう土壌浄化方法を採用するのが最も適している。
【0005】
この種の方法及び装置として、例えば特公昭56-23672号公報、特公昭60-55198号公報、特公平1-44394号公報には、土壌中の地表面に近い位置に汚水供給用の多孔管を埋設し、この多孔管の周囲に毛管作用を有する充填材を充填し、汚水を充填材の周囲の土壌中に浸透させて、土壌内の微生物により汚水を浄化し、浄化された処理水は、土壌中に放散するか又は、前記多孔管の下方に設けた槽に回収している。
【0006】
【発明の課題】
しかしながら、浄化作用に有用な微生物のうち好気性菌は、地表面下10cm前後で最も多く棲息し、それより深くなると急激に減少することが知られている。そのため、好気性菌による浄化作用は、上記のような従来の技術では限度があり、例えばBODの減少度では充分な目的が達成されていない。
【0007】
また、回収された処理水の再利用も勿論望ましい。
【0008】
さらに、河川敷等ではポンプなどの動力源となる電気の使用も制限される問題がある。
【0009】
そこで、この発明の第1の課題は、汚水浄化能力に非常に優れた土壌浄化方法を利用した汚水処理装置を提供することである。
【0010】
この発明の第2の課題は、上記汚水処理装置による処理水を装置内で循環再利用することにある。
【0011】
この発明の第3の課題は、上記汚水処理装置の動力源として自然光を利用することである。
【0012】
【課題の解決手段】
上記第1の課題を解決するために、第1の発明は、水洗便所と、この汚水を一次処理する浄化槽と、この浄化槽からの汚水を二次処理する土壌浄化装置より成る水洗便所の汚水処理装置において、前記土壌浄化装置を、通気性、保水性が良好で好気性菌の繁殖に適した土壌中に埋設されたトレンチと、このトレンチ上に配設されかつ周囲に礫状材を充填した汚水供給用多孔管と、前記トレンチの下方の前記土壌中に設けられた多孔質材より成る面状に拡がる通気層と、この通気層と外気を連通する吸排気管によって構成したのである。
【0013】
第2の発明は、前記土壌浄化装置の通気層の下方に処理水集水溝を設け、この集水溝の底部に集水用多孔管を配置し、この多孔管の一端を集水槽に接続し、集水槽内に貯留された処理水をポンプによって水洗便所の貯水タンクに揚水するようにしたのである。
【0014】
第3の発明は、前記水洗便所及び浄化槽をそれぞれハウジング内に収納し、このハウジングを移動可能にしたのである。
【0015】
第4の発明は、汚水の供給に用いるポンプの電源として太陽電池を用いたのである。
【0016】
【作用】
水洗便所の汚水は浄化槽によって一次処理が行われ、これが土壌浄化装置の汚水供給用多孔管に送られる。
【0017】
この多孔管から周囲の土壌内に汚水が浸透して行く。
【0018】
一方、土壌は通気性、保水性が良好であるため、好気性菌の繁殖に適しており、さらにトレンチの下方に外気に通じる通気層を設け、面状に拡がりを持たせることができるようにしてあるため、吸排気が広い範囲で良好に行なわれ、好気性菌は土壌の深部までよく繁殖し、浄化作用が高められ、分解後のガスの排出も速やかに行われる。
【0019】
浄化された処理水は、集水溝内に次第に集まりこの処理水は集水用多孔管を通って集水槽に回収される。これをポンプによって水洗便所の貯水タンクに戻し、再利用する。
【0020】
さらに、水洗便所及び浄化槽を移動可能のハウジングに収納しておくと、設置に便利であり、また河川の浄化等の際に避難させることができる。
【0021】
【実施例】
以下、この発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
【0022】
図1に示すように、この発明の汚水処理装置は、水洗便所10と、一次処理装置20と、土壌浄化装置30とより成る。
【0023】
前記水洗便所10は、通常の水洗式便器11であれば、どのようなものでも使用できるが、後述するように土壌浄化装置30の処理水を再利用する場合には、貯水タンク12及びこの貯水タンク12に給水管13で接続されたハイタンク14を設置する。勿論小水用便器を設置してもよい。
【0024】
前記便器11の汚水は、汚水管1から原水槽21に送られて一旦貯留され、この原水槽21からポンプ22によって浄化槽23に供給される。この浄化槽23は、ブロワ24によって空気を浄化槽23内に噴出させる公知の曝気式処理方式のもののほか嫌気路床式のものであってもよい。
【0025】
浄化槽23によって一次処理された汚水は、管2を介して汚水槽20aに貯留される。また浄化槽23内に沈殿した汚泥も引抜ポンプ25によって引抜かれ管3から汚水槽20aに送られ、原水槽21をオーバーフローした汚水も汚水槽20aに送られる。
【0026】
汚水槽20aに貯留された汚水は管5を介して土壌浄化装置30に供給される。図1、図2、図3に基づいてこの土壌浄化装置30を説明する。
【0027】
図示のように、通気性及び保水性の良好な所謂団粒構造の土壌31中には、不透水材例えば合成樹脂板から成るトレンチ32が埋設されており、このトレンチ32上には、砕石のような礫状材33を周囲に充填した多孔管34が配置されている。なお、前記礫状材33の散逸を防止するため、ネット35などで被覆しておくのが好ましい。また、前記トレンチ32の断面形状は図示のコ字状に限らず、半円状やV字状などいずれでもよい。さらに、礫状材33の下部に毛管作用を有するそれよりも粒度の小さい濾材33aを充填しておく。
【0028】
前記多孔管34は、前記管5からの汚水を供給するためのものである。従ってトレンチ32内では、管34に多数の小孔が設けられているが、トレンチ32に導入するまでは汚水が漏れることがないよう水密構造になっている。
【0029】
前記トレンチ32の下方の土壌31中には、軽石などの多孔質材を充填した通気層36が設けられ、面状に拡がりを持たせることができるようにしてある。この通気層36と外気とは、吸排気管37で連通されている。この通気層36間に細かい土砂等が混入して目づまりが生じるのを防止するため、適当な孔径を有する多孔性シート36aで上面を被覆しておくのが好ましい。また、吸排気管37の下端に多孔管37aを接続しておいてもよい。
【0030】
前記土壌31の下面には、集水溝38が設けられている。この集水溝38は、コンクリート等の不透水性構造物より成り、その中央部に集水管39が配置されている。この集水管39の周囲には多数の貫通孔39aが設けられている。また、集水溝38内には、比較的粒径の大きい砕石等の礫材38aが充填されているが、空洞でもよい。その場合は、集水溝38の上面を強靱な多孔板で被うのがよい。
【0031】
前記集水溝38は、土壌浄化装置30の基盤を兼ねるものであるが、その断面形状は、図示のV字状に限らず、半円状やコ字状など、種々選択可能である。
【0032】
また、集水溝38の両側面に不透水性の仕切壁40、40を設けておくのがよい。
【0033】
いま、一次処理された汚水を多孔管34から供給すると、一旦トレンチ32内に下降し、濾材33aの毛管作用によってトレンチ32の周囲の土壌31中に浸透する。この汚水は、土壌31によって濾過、吸着されるが、汚水中の有機物は微生物によって分解処理される。このとき、土壌31の表面近辺だけでなく、比較的深部に至っても、通気層36が広い範囲で存在するため、好気性菌がよく繁殖し分解処理が活発に行なわれる。分解後のガスも吸排気管37を通じて速かに排出される。
【0034】
汚水はさらに下層の土壌31内でも分解処理され、ほぼ完全に有機物が除去された処理水は集水溝38によって集水される。この処理水を集水管39から集水槽41に貯留し、ポンプ42によって汲上げ、管6を介して水洗便所10の貯水タンク12に送り、再利用する。貯水タンク12をオーバーフローした処理水は、管7を介して集水槽41に戻すようにしておくのがよい。
【0035】
なお、土壌31の表層で植物43を成育させるとさらに良好な処理効果が得られる。
【0036】
図4に示すように、前記水洗便所10及び一次処理装置20を移動可能な構造にしておくのが望ましい。
【0037】
図示のように、水洗便所10の便器11、貯水タンク12、ハイタンク14等は、屋根付きのハウジング15内に収納されており、このハウジング15の下面には、車輪16が取り付けられている。
【0038】
同様に、一次処理装置20の原水槽21、浄化槽23、汚泥引抜ポンプ25等は、屋根付きのハウジング26内に収納されており、このハウジング26の下面には、車輪27が取り付けられている。そして便器11と原水槽21を接続する汚水管1は、ハウジング15とハウジング26の間でフランジ管1aによって接続及び分離可能になっている。
【0039】
また、前記ハウジング15とハウジング26の屋根に太陽電池18及び28をそれぞれ取り付け、これをバッテリ17に蓄電し、ポンプ22、25、42等の動力源とすることができる。
【0040】
【効果】
この発明によれば、以上のように、水洗便所の汚水を一次処理した後、土壌浄化装置によって微生物処理を行なうように、さらに土壌浄化装置の土壌内に外気と連通する通気層を設け、拡がりを持たせることができるようにし、土壌の通気性を良好としたので、好気性菌が土壌の広い範囲で深部までよく繁殖して浄化力が向上し、BODなどをほぼ完全に除去することができる。従って河川敷などに設置するのに好適である。
【0041】
また、処理水を循環再利用するようにしたので、上水道や下水道のない場所に設置することができ、資源の節約にも役立つ。
【0042】
さらに、水洗便所と浄化槽を移動可能としたので、設置する場所まで牽引することができるため、設置に便利であり、増水等があっても簡単に退避することができる。
【0043】
そのほか太陽電池を用いると、処理装置のポンプ等を駆動する電源を特に配設する必要がないなど、多くの利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】
この発明の汚水処理装置の一例を示す線図
【図2】
汚水処理装置のうち土壌浄化装置を示す横断面図
【図3】
同上の一部横断斜視図
【図4】
水洗便所と一次処理装置の破断正面図
【符号の説明】
1 汚水管
1a フランジ管
2、3、4、5、6、7 管
10 水洗便所
11 便器
12 貯水タンク
15 ハウジング
18 太陽電池
20 一次処理装置
21 原水槽
22 ポンプ
23 浄化槽
25 引抜ポンプ
26 ハウジング
28 太陽電池
30 土壌浄化装置
31 土壌
32 トレンチ
33 礫状材
33a 濾材
34 多孔管
35 ネット
36 通気層
36a 多孔性シート
37 吸排気管
38 集水溝
39 集水管
39a 貫通孔
40 仕切壁
41 集水槽
42 ポンプ
43 植物
 
訂正の要旨 訂正事項
本件訂正請求は、特許第3183775号に係る明細書を本件訂正請求書に添付の訂正明細書の通り、即ち、下記の訂正事項▲1▼乃至▲4▼に記載の通りの訂正を求めるものである。
▲1▼ 特許第3183775号明細書の特許請求の範囲において、請求項1の5行目に「の前記土壌中」を挿入する。
▲2▼ 同請求項1の5行目に「面状に拡がる」を挿入する。
▲3▼ 同段落0012の「課題の解決手段」の6行目に「の前記土壌中」を挿入する。
▲4▼ 同段落0012の「課題の解決手段」の6行目に「面状に拡がる」を挿入する。
異議決定日 2003-01-28 
出願番号 特願平6-89658
審決分類 P 1 651・ 121- YA (C02F)
P 1 651・ 55- YA (C02F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 中村 敬子  
特許庁審判長 沼沢 幸雄
特許庁審判官 野田 直人
西村 和美
登録日 2001-04-27 
登録番号 特許第3183775号(P3183775)
権利者 株式会社環境開発研究所
発明の名称 水洗便所の汚水処理装置  
代理人 鳥居 和久  
代理人 鳥居 和久  
代理人 鎌田 文二  
代理人 鎌田 文二  
代理人 東尾 正博  
代理人 東尾 正博  

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