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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H04N
管理番号 1076324
異議申立番号 異議2002-72130  
総通号数 42 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1998-10-09 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-08-27 
確定日 2003-03-01 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3266092号「電子カメラ」の請求項1、2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3266092号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。 
理由 [1]手続の経緯
本件特許3266092号の発明は、平成2年8月18日に出願された特願平2-217600号の一部を平成10年3月9日に新たに特許出願され、平成14年1月11日にその特許の設定登録がなされ、その後、富岡康之から特許異議の申立がなされ、取消理由が通知され、その指定期間内である平成15年1月27日に訂正請求がなされたものである。

[2]訂正の適否についての判断
[2-1]訂正の内容
特許権者が求めている訂正の内容は、以下のとおりの訂正事項である。
(1)特許請求の範囲の請求項1において、「前記本体部の背面側に設けられ、前記表示手段を回動可能に軸支する支持手段を備えるとともに前記表示手段を収納する収納部とを有し、前記表示手段は、前記支持手段によって前記表示面が前記背面側から視認可能な第1状態と該第1状態とは略正対する第2状態との間を回動可能に前記本体部に支持されることを特徴とする電子カメラ。」とあるのを、「前記本体部の背面周端近傍に該周端に沿った軸方向で設けられた回動軸を有し、前記表示手段を前記本体部に対して前記表示面が前記背面側から視認可能な第1状態と該第1状態を前記回動軸廻りに略180度回動した第2状態との間で軸支する支持手段と、前記本体部の背面側に設けられ、前記表示手段を前記本体部背面の前記周端よりも内側に収納する収納部とを有することを特徴とする電子カメラ。」と訂正する。
(2)特許請求の範囲の請求項2において、「前記支持手段は、前記収納部の周端部に配置され、前記表示手段は、前記収納部の周端部を軸として、前記収納部に収納された前記第1状態と前記表示面が前記前面側から視認可能である前記第2状態との間を回動可能に支持される」とあるのを、「前記支持手段は、前記収納部の周端部に配置され、前記表示手段は、前記回動軸廻りに前記収納部に収納された前記第1状態と前記表示面が前記前面側から視認可能である前記第2状態との間を回動可能に支持される」と訂正する。
(3)発明の詳細な説明の項の、「前記本体部の背面側に設けられ、前記表示手段を回動可能に軸支する支持手段を備えるとともに前記表示手段を収納する収納部とを有し、前記表示手段は、前記支持手段によって前記表示面が前記背面側から視認可能な第1状態と該第1状態とは略正対する第2状態との間を回動可能に前記本体部に支持される構成とした。」(特許公報2頁左欄27〜30行)とあるのを、「前記本体部の背面周端近傍に該周端に沿った軸方向で設けられた回動軸を有し、前記表示手段を前記本体部に対して前記表示面が前記背面側から視認可能な第1状態と該第1状態を前記回動軸廻りに略180度回動した第2状態との間で軸支する支持手段と、前記本体部の背面側に設けられ、前記表示手段を前記本体部背面の前記周端よりも内側に収納する収納部とを有する構成とした。」と訂正する。

[2-2]訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
訂正事項(1)は、特許明細書の発明の実施の形態の項の記載の、第1ないし3図とその説明部分(特許公報2頁左欄47行〜右欄14行)及び第4ないし6図とその説明部分(特許公報2頁右欄28行〜41行)の記載に基いて、特許明細書の特許請求の範囲の、「支持手段」及び「収納部」を、「前記本体部の背面周端近傍に該周端に沿った軸方向で設けられた回動軸を有し、前記表示手段を前記本体部に対して前記表示面が前記背面側から視認可能な第1状態と該第1状態を前記回動軸廻りに略180度回動した第2状態との間で軸支する支持手段と、前記本体部の背面側に設けられ、前記表示手段を前記本体部背面の前記周端よりも内側に収納する収納部」と限定したものであるので、特許請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明を行うものである。
訂正事項(2)は、特許請求の範囲の請求項1の訂正にともない、整合をとるため、請求項2の記載の「前記表示手段は、前記収納部の周端部を軸として」を、「前記表示手段は、前記回動軸廻りに」と訂正するものであり、明りょうでない記載の釈明に該当する。
訂正事項(3)は、特許請求の範囲の請求項1の訂正にともない、対応する発明の詳細な説明の項の箇所を訂正するものであり、明りょうでない記載の釈明に該当する。
よって、上記訂正は、特許明細書の記載に基づいて、特許請求の範囲を更に限定し、特許請求の範囲の減縮または明りょうでない記載の釈明に該当するものであって、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

[2-3]
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び第3項で準用する特許法第126条第2項ないし第3項、及び特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

[3]特許異議の申立についての判断
[3-1]申立の理由の概要
申立人富岡康之は、証拠として、甲第1号証(特開昭62-35329号公報、以下「刊行物1」という。)及び甲第2号証(特開昭63-153964号公報、以下「刊行物2」という。)を提出し、その後上申書で参考資料(特開平1-106581号公報、以下「刊行物3」という)を提出し、特許請求の範囲の請求項1ないし2に係る発明についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるので、特許を取り消すべきものと主張している。

[3-2]本件発明
上記訂正請求により訂正された訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし2に係る発明は、その請求項1ないし2に記載されたとおりのものである。
「【請求項1】 少なくとも前面と背面とを有する本体部と、
前記本体部の前面側に設けられ、被写体を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された被写体像を表示する表示面を備える表示手段と、
前記本体部の背面周端近傍に該周端に沿った軸方向で設けられた回動軸を有し、前記表示手段を前記本体部に対して前記表示面が前記背面側から視認可能な第1状態と該第1状態を前記回動軸廻りに略180度回動した第2状態との間で軸支する支持手段と、
前記本体部の背面側に設けられ、前記表示手段を前記本体部背面の前記周端よりも内側に収納する収納部とを有することを特徴とする電子カメラ。
【請求項2】 前記支持手段は、前記収納部の周端部に配置され、
前記表示手段は、前記回動軸廻りに前記収納部に収納された前記第1状態と前記表示面が前記前面側から視認可能である前記第2状態との間を回動可能に支持されることを特徴とする請求項1に記載の電子カメラ。」
[3-3]刊行物記載の発明
(1) 本件請求項1ないし2に係る発明に対して、当審が通知した取消理由で引用した刊行物1には、「電子ファインダーを備えるフィルムカメラやビデオカメラ」に関し、
(1-1) 4’及び4”はそれぞれ電子ファインダーが通常撮影時の状態、セルフあるいはリモートコントロール撮影時の状態を示す旨(公報2頁左下欄6〜8行)及び
(1-2) 電子ファインダーを収納位置で係止させ、穴開き突起部で電子ファインダの突起部と回転可能に結合する旨(公報2頁左下欄12〜14行)が、記載されている。
(2) 同じく引用した刊行物2には、「撮像装置」に関し、
(2-1) 第4図のように液晶ディスプレイがカメラ本体部の最大面に設けられ、再生外光モード時には、液晶ディスプレイが装置本体の収納部から起き上がる旨(公報2頁左下欄18行〜右下欄9行)が記載されている。
(3) 同じく引用した刊行物3には、「電子カメラ」に関し、
(3-1) 撮像部と表示部を有するカメラにおいて、撮像部と表示部とを相対的に可動に構成すると共に、撮像部と表示部との相対的位置関係を検出する手段の検出結果に応じて、表示部の表示画像を反転する旨(公報1頁左下欄5〜15行が、記載されている。

[3-4]対比・判断
[3-4-1]請求項1に係る発明
本件請求項1に係る発明と、刊行物1に記載された発明と対比すると、刊行物1の「電子ファインダー」は、本件請求項1に係る発明の「表示手段」に対応している。
本件請求項1に係る発明と刊行物1に記載された発明は、「少なくとも前面と背面とを有する本体部」と、「前記本体部の前面側に設けられ、被写体を撮像する撮像手段」と、「前記撮像手段により撮像された被写体像を表示する表示面を備える表示手段」と、「前記本体部に設けられた回動軸を有し、前記表示手段を前記本体部に対して前記表示面が前記背面側から視認可能な第1状態と該第1状態を回動した第2状態との間で軸支する支持手段」と、「前記表示手段を収納する収納部」とを有するカメラである、という点で共通している。
しかしながら、本件請求項1に係る発明は、「支持手段」が「前記本体部の背面周端近傍に該周端に沿った軸方向で設けられた回動軸を有し、前記表示手段を前記本体部に対して前記表示面が前記背面側から視認可能な第1状態と該第1状態を前記回動軸廻りに略180度回動した第2状態との間で軸支する」構成(以下「構成A」という。)、及び「収納部」が「前記本体部の背面側に設けられ、前記表示手段を前記本体部背面の前記周端よりも内側に収納する」構成(以下「構成B」という。)が、必須の構成要件であるのに対して、刊行物1には、表示部の表示面をセルフ撮影やリモート撮影の時に被写体から視認可能な状態になる構成が記載されているものの、複数の回動軸を用いて、カメラ上面の表示部を回動可能にするものであり、上記構成A、Bが記載されていないし、示唆もない。
刊行物2には、電子カメラの表示部を、カメラ背面側の収納部に設け、表示部が収納部に収納された状態と表示部が起き上がった状態との間で回動可能とするものが記載されているが、上記構成Aは記載されていない。
刊行物3には、電子カメラの表示部本体と撮像部本体とを、視認可能な状態との間で180度回転可能にするものが記載されているが、表示部が収納される収納部を有するものでなく、上記構成Aは記載されていない。
上記構成Aについて、いずれの刊行物にも記載されておらず、刊行物1〜3に記載されたものを組み合わせても具体的な構成Aを得ることはできない。そして、上記構成Aにより、自分が被写体となるような撮影の時に、電子カメラの前方からファインダーを視認して撮影でき、収納状態では電子カメラ本体に収まるので電子カメラの小型化に寄与するという明細書記載の顕著な効果を奏している。
よって、本件請求項1に係る発明は刊行物1〜3に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものではない。

[3-4-2]請求項2に係る発明
本件請求項2に係る発明は、請求項1を引用するものであるので、上記[3-4-1]と同様の理由により、刊行物1〜3に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものではない。

[4]むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立の理由及び証拠によっては、本件請求項1及び2に係る発明の特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1及び2に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
電子カメラ
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも前面と背面とを有する本体部と、
前記本体部の前面側に設けられ、被写体を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された被写体像を表示する表示面を備える表示手段と、
前記本体部の背面周端近傍に該周端に沿った軸方向で設けられた回動軸を有し、前記表示手段を前記本体部に対して前記表示面が前記背面側から視認可能な第1状態と該第1状態を前記回動軸廻りに略180度回動した第2状態との間で軸支する支持手段と、
前記本体部の背面側に設けられ、前記表示手段を前記本体部背面の前記周端よりも内側に収納する収納部とを有することを特徴とする電子カメラ。
【請求項2】 前記支持手段は、前記収納部の周端部に配置され、
前記表示手段は、前記回動軸廻りに前記収納部に収納された前記第1状態と前記表示面が前記前面側から視認可能である前記第2状態との間を回動可能に支持されることを特徴とする請求項1に記載の電子カメラ。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は撮像素子によって得た動画あるいは静止画像信号を記録媒体に記録する電子カメラに関する。
【0002】
【従来の技術】従来の電子カメラのファインダは光学ファインダと電子ファインダとに大別される。動画像信号を磁気テープに記録するビデオテープレコードシステムのビデオカメラ用ファインダは、多くは小型のCRTによる電子ビューファインダが用いられている。小型のビデオカメラでは光学ファインダも用いられている。
【0003】
静止画像信号を磁気ディスクあるいは固体メモリに記録する電子スチルカメラでは通常光学ファインダが用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の電子カメラのファインダは、次のような問題点があった。光学ファインダにおいては、ファインダを視認する方向が固定されており、視認する方向を変更可能にするにはそのための光学系が必要であり、電子カメラが大型化し薄型化が困難である。
【0005】
一方、CRTを用いた電子ビューファインダにおいては、簡単な構成により視認する方向が変更可能であり、この点では光学ファインダに比べて優れているが、形状が薄型化できないので電子カメラを小型化するのが困難である。本発明は上記従来の問題点に鑑みてなされたもので、視認する方向が変更可能であり、かつ操作性に優れた薄型の電子カメラを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため本発明の電子カメラは、少なくとも前面と背面とを有する本体部と、前記本体部の前面側に設けられ、被写体を撮像する撮像手段と、前記撮像手段により撮像された被写体像を表示する表示面を備える表示手段と、前記本体部の背面周端近傍に該周端に沿った軸方向で設けられた回動軸を有し、前記表示手段を前記本体部に対して前記表示面が前記背面側から視認可能な第1状態と該第1状態を前記回動軸廻りに略180度回動した第2状態との間で軸支する支持手段と、前記本体部の背面側に設けられ、前記表示手段を前記本体部背面の前記周端よりも内側に収納する収納部とを有する構成とした。
【0007】
【発明の実施の形態】図1〜図3は本発明の第1実施の形態を示す斜視図であり、図4〜図6は本発明の第2実施の形態を示す斜視図であり、図7は本発明の第3実施の形態を示す斜視図である。図1〜図7において、電子カメラ本体1の前面には撮影レンズ2、上面1aにはレリ-ズボタン3がそれぞれ設けられている。側面1bには記録媒体の収納口4があり、記録媒体が収納される。記録媒体としては、磁気ディスクや固体メモリが用いられる。
【0008】
電子カメラ本体1の背面には、液晶表示装置等で構成されるファインダ5が設けられており、ファインダ5の表示面5aには、撮影時に被写体像が動画で表示される。図1〜図3に示す第1実施の形態では、表示装置5は電子カメラ本体1の上面1aに近い位置で、該上面1aに平行な回動軸によって電子カメラ本体1に回動自在に取付けられている。
【0009】
図1はファインダ5を電子カメラ本体1に収納した状態を表す。図2はファインダ5の表示面5aを少し上向きにした状態を表す。電子カメラ本体1の位置を低くして撮影する際、このようにファインダ5の表示面5aを上向きにすることにより、撮影者は容易に表示面5aを視認できる。ファインダ5を複数の回動角度で固定するような公知の構造(例えばクリックストップ機構)で電子カメラ本体1に取付ければ、図2の状態で電子カメラ本体1を載置した時に安定であり、転倒する恐れがない。
【0010】
図3はファインダ5を収納状態から約180°回動してその表示面5aを電子カメラ本体1の前面(撮影レンズ2の取り付けられた面)方向に向けた状態を表す。このとき、表示面5aを電子カメラ本体1の前面から見ると、表示画像が上下左右逆に見える。これを正しく表示可能とするため、液晶駆動回路を2つ設け、一方は通常表示用、他方は上下左右逆表示用とする。そして、ファインダ5の回動角が一定値を越えた時に、リミットスイッチ等で液晶駆動回路を上下左右逆表示用に切換えて、表示画像が上下左右逆表示されないようにすればよい。
【0011】
なお、上下左右逆表示用の液晶駆動回路は、上下のみを逆表示するようにしてもよい。このように、ファインダ5の表示面5aが電子カメラ本体1の前面から見ることができるので、いわゆるセルフタイマーによるシャッターレリーズ操作時に構図すなわち撮影画面における自身の位置を確認できるので便利である。
【0012】
図4〜図6に示す第2実施の形態では表示装置5は電子カメラ本体1の側面1bに近い位置の該側面1bに平行な回動軸6によって電子カメラ本体1に回動自在に取付けられている。図4はファインダ5を電子カメラ本体1に収納した状態を表す。図5はファインダ5の表示面5aを少し左向きにした状態を表す。
【0013】
ファインダ5を、複数の回動角度で固定するような公知の構造(例えばクリックストップ機構)で電子カメラ本体1に取付ければ、図5の状態で電子カメラを載置した時に安定であり、セルフタイマーによる撮影時に便利である。図6はファインダ5を収納状態から約180°回動してその表示面5aを電子カメラ本体1の前面(撮影レンズ2の取り付けられた面)方向に向けた状態を表す。このように、ファインダ5の表示面5aが電子カメラ本体1の前面から見ることができるので、いわゆるセルフタイマーによるシャッターレリーズ操作時に構図即ち撮影画面における自身の位置を確認できるので便利である。
【0014】
また、上記のように表示面5aを電子カメラ本体1の前面から見るときのために、液晶駆動回路を2つ設け、一方は通常表示用、他方は左右逆表示用し、ファインダ5の回動角が一定値を越えた時に、リミットスイッチ等で液晶駆動回路を左右逆表示用に切換えてもよい。図7に示す第3実施の形態では表示装置5は電子カメラ本体1の上面1aに近い位置で該上面1aに平行な回動軸によって電子カメラ本体1に回動自在に取付けられる。そしてファインダ5の側面5bが電子カメラ本体1の側面1bと同一面になっている。
【0015】
図7はファインダ5の表示面5aを少し上向きにした状態を表す。電子カメラ本体1の位置を低くして撮影する際、このようにファインダ5の表示面5aを上向きにすることにより、撮影者は容易に表示面5aを視認できる。ファインダ5を複数の回動角度で固定するような公知の構造(例えばクリックストップ機構)で電子カメラ本体1に取付ければ図7の状態で電子カメラを載置した時に安定であり、セルフタイマーによる撮影時に便利である。更に図7のようにファインダ5の表示面5aを少し上向きにした状態で電子カメラ本体1の一方の側面1bを下に載置すると縦位置で電子カメラを載置した時に安定であり、縦位置でのセルフタイマー撮影時に便利である。
【0016】
なお、すべての実施の形態において、電子カメラ本体1とファインダ5との取付けを取り外し可能の兆番とし、たとえば図6に示すように、電子カメラ本体1とはワイヤリング7で接続しておけば各種の使い方ができる。以上のように本発明の実施の形態によれば、矩形板状の表示装置の一辺の近くを回動軸として回動角を変えられるように構成したので、ファインダを視認する方向は容易に変更できる。
【0017】
また、セルフタイマーを用いて自動的にシャッターを押す場合、電子カメラ本体を自立させることができる。さらに、アイレベル、ウェストレベル等の撮影位置によるファインダの見にくさを解消することができる。また、ファインダを複数の回動角度で固定するような公知の構造(例えばクリックストップ機構)で電子カメラ本体1に取付ければ、電子カメラを自立させた時に安定であり、セルフタイマーによる撮影時に便利である。
【0018】
さらに、ファインダの回動角度を約180°とし、表示画面の上下左右あるいは上下のみもしくは左右のみを逆転させれば、自分が被写体となるような撮影の時(たとえば、いわゆるセルフタイマーを用いて自分自身を撮影するような場合)に、電子カメラの前方からファインダを視認して撮影できる。また、本発明によれば収納状態(回動角度が0°)では電子カメラ本体の背面に収まるので、電子カメラの小型化に寄与する。
【0019】
以上のように本発明によれば、電子カメラが、撮像手段により撮像された被写体像を表示する表示面を備える表示手段と、本体部の背面側に設けられ、表示手段を回動可能に軸支する支持手段を備えるとともに表示手段を収納する収納部とを有し、かつ表示手段が、支持手段によって表示面が背面側から視認可能な第1状態と該第1状態とは略正対する第2状態との間を回動可能に本体部に支持される。そのため、表示手段収納時には外力による破損が少なく携帯性に優れる。さらに、表示手段の表示面を、撮像手段を被写体に向けた状態で視認可能な方向からそれに略正対する方向までの間の任意方向で視認可能な操作性の良い電子カメラを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施の形態を示す斜視図
【図2】本発明の第1実施の形態を示す斜視図
【図3】本発明の第1実施の形態を示す斜視図
【図4】本発明の第2実施の形態を示す斜視図
【図5】本発明の第2実施の形態を示す斜視図
【図6】本発明の第2実施の形態を示す斜視図
【図7】本発明の第3実施の形態を示す斜視図
【符号の説明】
1・・電子カメラ本体
1a・上面
1b・側面
5・・ファインダ
5a・表示面
 
訂正の要旨 訂正事項
a.特許第3266092号発明の明細書中特許請求の範囲の請求項1において、「 前記本体部の背面側に設けられ、前記表示手段を回動可能に軸支する支持手段を備えるとともに、前記表示手段を収納する収納部とを有し、
前記表示手段は、前記支持手段によって前記表示面が前記背面側から視認可能な第1状態と該第1状態とは略正対する第2状態との間を回動可能に前記本体部に支持されることを特徴とする電子カメラ。」とあるのを、特許請求の範囲の減縮および明りょうでない記載の釈明を目的として、
「 前記本体部の背面周端近傍に該周端に沿った軸方向で設けられた回動軸を有し、前記表示手段を前記本体部に対して前記表示面が前記背面側から視認可能な第1状態と該第1状態を前記回動軸廻りに略180度回動した第2状態との間で軸支する支持手段と、
前記本体部の背面側に設けられ、前記表示手段を前記本体部背面の前記周端よりも内側に収納する収納部とを有することを特徴とする電子カメラ。」と訂正する。
これに伴い、特許請求の範囲の請求項1の記載と請求項2の記載との整合をとるため、特許第3266092号発明の明細書中特許請求の範囲の請求項2において、「前記支持手段は、前記収納部の周端部に配置され、前記表示手段は、前記収納部の周端部を軸として、前記収納部に収納された前記第1状態と前記表示面が被写体から視認可能である前記第2状態との間を回動可能に支持される」を、「前記支持手段は、前記収納部の周端部に配置され、前記表示手段は、前記回動軸廻りに前記収納部に収納された前記第1状態と前記表示面が被写体から視認可能である前記第2状態との間を回動可能に支持される」と訂正する。
また、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合をとるため、特許第3266092号発明の明細書中第2頁左欄第27行から同30行「前記本体部の背面側に設けられ、前記表示手段を回動可能に軸支する支持手段を備えるとともに、前記表示手段を収納する収納部とを有し、前記表示手段は、前記支持手段によって前記表示面が前記背面側から視認可能な第1状態と該第1状態とは略正対する第2状態との間を回動可能に前記本体部に支持される構成とした。」を「前記本体部の背面周端近傍に該周端に沿った軸方向で設けられた回動軸を有し、前記表示手段を前記本体部に対して前記表示面が前記背面側から視認可能な第1状態と該第1状態を前記回動軸廻りに略180度回動した第2状態との間で軸支する支持手段と、前記本体部の背面側に設けられ、前記表示手段を前記本体部背面の前記周端よりも内側に収納する収納部とを有する構成とした。」と訂正する。
異議決定日 2003-02-13 
出願番号 特願平10-56851
審決分類 P 1 651・ 121- YA (H04N)
最終処分 維持  
前審関与審査官 田村 征一  
特許庁審判長 谷川 洋
特許庁審判官 橋本 恵一
小林 秀美
登録日 2002-01-11 
登録番号 特許第3266092号(P3266092)
権利者 株式会社ニコン
発明の名称 電子カメラ  
代理人 渡辺 隆男  
代理人 渡辺 隆男  

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