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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  C02F
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C02F
管理番号 1076338
異議申立番号 異議2001-72433  
総通号数 42 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1993-03-02 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-09-06 
確定日 2003-02-26 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3142608号「光化学反応処理方法」の請求項1、2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3142608号の訂正後の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第3142608号の請求項1、2に係る発明についての出願は、平成3年8月8日に特許出願され、平成12年12月22日にその特許の設定登録がなされたものである。
これに対して、伊藤路余より特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内の平成14年1月17日付けで訂正請求がなされ、その後特許権者に対し審尋がなされ、その指定期間内に回答書がなされ、その後再度平成14年11月1日付けで取消理由通知がなされ、その指定期間内の平成15年1月10日付けで訂正請求がなされたものである。
2.訂正の適否
2-1.訂正の内容
平成14年1月17日付け訂正請求書は取下げられていないが、新たに平成15年1月10日付け訂正請求書が提出されたことにより、平成14年1月17日付け訂正請求書は取下げられたものとみなし、新たな平成15年1月10日付け訂正請求書について審理する。
上記訂正請求の内容は、本件特許明細書を訂正請求書に添付された訂正明細書のとおり、すなわち次の訂正事項a〜lのとおりに訂正しようとするものである。
(1)訂正事項a
請求項1を削除し、請求項2を、「【請求項1】紫外線ランプの紫外線照射によって液体又は気体等の被照射体の有機物分解や有害物分解の光化学反応処理を行うについて、流入する液体又は気体等の被照射体の流量、不純物濃度等の種々の処理条件に応じて、紫外線照射を二段階以上に分け、最初の段階の紫外線ランプの出力を、照射開始時に10〜45%程度低減するように設定して紫外線の照射を行い、経時劣化によって紫外線ランプの出力が20〜50%程度に低減する時点を紫外線ランプの点灯時間によって予測し、その時点で次の段階の紫外線照射に入り、この段階における紫外線ランプの照射開始時の出力を、最初の段階の低減値と同様にして紫外線の照射を行い、以後は必要に応じて同様の条件で紫外線の照射を行い、多段階に紫外線照射量を調整して紫外線ランプの照射量を適度に抑制することによって、液体又は気体等の被照射体の発熱の防止、副生成物の派生を防止することを特徴とする紫外線照射による液体又は気体等の有機物分解や有害物分解の光化学反応処理方法。」と訂正する。
(2)訂正事項b
明細書中の段落【0001】の「ランプの照射、特に」(本件特許掲載公報第2頁第3欄第2〜3行)を削除し、「また、本発明は半導体チップ、医療容器、特殊金属等の被照射体を、ランプの照射よる光化学反応処理をする方法に関するものである。」(本件特許掲載公報第2頁第3欄第4〜7行)を削除する。
(3)訂正事項c
明細書中の段落【0002】の「光化学反応処理方法」(本件特許掲載公報第2頁第3欄第9行)を、「有機物分解や有害物分解の光化学反応処理方法」と訂正し、また「図1の斜線部分に示すように、無駄な電力を浪費していることになる。」を「図1の斜線部分に示すように、無駄な電力を浪費していると共に、過剰な光量を照射していることになる。」(本件特許掲載公報第2頁第3欄第18〜19行)と訂正する。併せて、「大電力型ランプ」(本件特許掲載公報第2頁第3欄第21〜22行)を、「大電力型紫外線ランプ」と訂正し、また「【図1】」(本件特許掲載公報第2頁第3欄第24行)を削除する。
(4)訂正事項d
明細書中の段落【0003】の「ランプ」(本件特許掲載公報第2頁第3欄第26、28、29〜30、30〜31、31、32、33行)を、「紫外線ランプ」と訂正し、また「光化学反応処理方法」(本件特許掲載公報第2頁第3欄第27行)を、「有機物分解や有害物分解の光化学反応処理方法」と訂正する。
(5)訂正事項e
明細書中の段落【0004】の「ランプ」(本件特許掲載公報第2頁第3欄第39、40〜41、42、43、46行)を、「紫外線ランプ」と訂正し、「被照射体」(本件特許掲載公報第2頁第3欄第41行)を、「液体又は気体等の被照射体」と訂正し、また「光化学反応処理方法」(本件特許掲載公報第2頁第3欄第40、41行)を、「有機物分解や有害物分解の光化学反応処理方法」と訂正し、また「この段階におけるランプの照射開始時の出力を、最初の段階の低減値と同様にして照射を行い、以後は必要に応じて同様の条件でランプの照射を行い、多段階にランプ照射量を調整することを特徴とするものであり、特に、本発明は、紫外線照射による被照射体の光化学反応処理方法に関するもので、前述したように、多段階に紫外線照射量を調整することを特徴とするものである。」を、「この段階における紫外線ランプの照射開始時の出力を、最初の段階の低減値と同様にして照射を行い、以後は必要に応じて同様の条件で紫外線ランプの照射を行い、多段階に紫外線ランプ照射量を調整して紫外線ランプの照射量を適度に抑制することによって、液体又は気体の発熱の防止、副生成物の派生を防止することを特徴とするものである。」と訂正する。
(6)訂正事項f
明細書中の段落【0005】の「光化学反応処理方法」(本件特許掲載公報第2頁第4欄第7行)を、「有機物分解や有害物分解の光化学反応処理方法」と訂正し、また「被照射体中」(本件特許掲載公報第2頁第4欄第19〜20行)を、「液体又は気体等の被照射体中」と訂正し、また「細菌の殺菌」(本件特許掲載公報第2頁第4欄第10行)を削除し、また「被照射体」(本件特許掲載公報第2頁第4欄第19〜20行)を、「液体又は気体等の被照射体」と訂正し、また「【図2】」(本件特許掲載公報第2頁第4欄第7行)を削除する。
(7)訂正事項g
明細書中の段落【0006】の「被照射体」(本件特許掲載公報第2頁第4欄第35行)を、「液体又は気体等の被照射体」と訂正する。
(8)訂正事項h
明細書中の段落【0007】の「光化学反応処理」(本件特許掲載公報第2頁第4欄第49行、第3頁第5欄第11行)を、「有機物分解や有害物分解の光化学反応処理」と訂正し、また「被照射体」(本件特許掲載公報第3頁第5欄第11行)を「液体又は気体等の被照射体」と訂正し、また「【図3】」(本件特許掲載公報第2頁第4欄第41行)を削除する。
(9)訂正事項i
明細書中の段落【0008】の「以上、本発明の実施例を紫外線ランプの紫外線照射による光化学反応処理方法について説明したが、紫外線ランプ以外に、ナトリウムランプ、タリウムランプ、ハロゲンランプ、赤外線ランプ等のランプの照射によって、前述した場合と同様に多段階にランプの照射量を調整して被照射体の光化学反応処理方法を行うことができる。」(本件特許掲載公報第3頁第5欄第15〜21行)を、「以上、本発明の実施例について説明した。」と訂正し、また「なお、本発明の光化学反応処理方法によって、半導体、医薬品、原子力等で用いる超純水やクリーンガス等の不純物をほとんど含まない液体又は気体等の被照射体を得ることができる他、さらに、本発明の光化学反応処理方法によって、不純物の存在しない、殺菌された半導体チップやウエハー、医療容器、特殊金属等の被照射体を得ることができる。」(本件特許掲載公報第3頁第5欄第21〜27行)を、「なお、本発明の光化学反応処理方法によって、半導体、医薬品、原子力等で用いる超純水やクリーンガス等の不純物をほとんど含まない液体又は気体等の被照射体を得ることができる。」と訂正する。
(10)訂正事項j
明細書中の段落【0009】の「被照射体」(本件特許掲載公報第3頁第5欄第31行)を、「液体又は気体等の被照射体」と訂正し、また「ランプ」(本件特許掲載公報第3頁第5欄第30、31(2箇所)行、第6欄第1〜2、4、5、6、7、8、9、1011、12、15行)を、「紫外線ランプ」と訂正し、また「光化学反応処理」(本件特許掲載公報第3頁第5欄第30行)を、「有機物分解や有害物分解の光化学反応処理」と訂正する。
(11)訂正事項k
【図面の簡単な説明】を、「【図1】 従来の有機物分解や有害物分解処理に使用する低圧紫外線ランプの寿命と経時劣化を示す説明図である。【図2】本発明に係わる光化学反応処理を実施する周知の紫外線照射装置の断面図である。【図3】本発明の液体又は気体等の被照射体の有機物分解や有害物分解処理に使用する低圧紫外線ランプによる多段階に紫外線照射量を調整する状態を示す説明図である。」と訂正する。
(12)訂正事項l
発明の名称を「有機物分解や有害物分解の光化学反応処理方法」と訂正する。(このことは訂正事項に記載されていないが、訂正明細書の発明の名称が訂正されており、かつ訂正請求書第6頁(3)に『「光化学反応処理方法」を「有機物分解や有害物分解の光化学反応処理方法」に減縮』と記載されているので、上記のとおりとする。)
2-2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張変更の存否
(1)訂正事項aについて
上記訂正事項aは、大別すると、a-1.請求項1を削除し、請求項2を請求項1と訂正する、a-2.「被照射体」を「液体又は気体等の被照射体」と訂正する、a-3.「光化学反応処理」を「有機物分解や有害物分解の光化学反応処理」と訂正する、a-4.「紫外線ランプのライフに応じて」を「流入する液体又は気体等の被照射体の流量、不純物濃度等の種々の処理条件に応じて」と訂正する、a-5.「多段階に紫外線照射量を調整する」を「多段階に紫外線照射量を調整して紫外線ランプの照射量を適度に抑制することによって、液体又は気体等の被照射体の発熱の防止、副生成物の派生を防止する」と訂正する、a-6.「被照射体の光化学反応処理方法」を「液体又は気体等の有機物分解や有害物分解の光化学処理方法」と訂正するものである。
上記a-1.は請求項の削除であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当し、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、また実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
上記a-2.、a-3.はそれぞれ「被照射体」と「光化学反応処理」を限定する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。
上記a-4.は「光化学反応処理」の条件を流量等に限定する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。
上記a-5.は「照射量」の調整の程度を「液体又は気体等の被照射体の発熱の防止、副生成物の派生を防止する」程度に限定する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。
上記a-6.は「被照射体の光化学反応処理方法」を「液体又は気体等の有機物分解や有害物分解の光化学処理方法」に限定する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。
次に上記a-2.、a-3.は明細書にそれぞれ「液体又は気体等の被照射体」(本件特許掲載公報第2頁第3欄第1行)、「有機物の酸化分解、有害物質の分解等の処理」(本件特許掲載公報第2頁第4欄第10〜11行)と記載されているから、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、また実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
また、上記a-4.は明細書に「流入する被照射体の流量、不純物濃度等の種々の処理条件に応じて」(本件特許掲載公報第2頁第4欄第35〜36行)と記載されているから、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、また実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
また、上記a-5.は明細書に「ランプの照射量を適度に抑制することによって発熱の防止、副生成物の派生を防止する」(本件特許掲載公報第2頁第3欄第33〜35行)と記載されているから、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、また実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
また、上記a-6.は上記a-2.、a-3.について述べたことから、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、また実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(2)訂正事項b〜lについて
上記訂正事項b〜lは、上記訂正事項aの訂正に伴って特許請求の範囲の記載と明細書の記載とを整合させるためのものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当するものであり、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、また実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
2-3.まとめ
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
3.本件訂正発明
特許権者が請求した上記訂正は、上述したとおり、これを認容することができるから、訂正後の本件請求項1に係る発明は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された上記2-1.(1)に示すとおりのものである(以下、「本件訂正発明」という)。
4.平成14年11月1日付け取消理由について
4-1.取消理由の概要
平成14年11月1日付け取消理由の概要は、請求項1、2に係る発明は刊行物1、2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1、2に係る発明の特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり取り消されるべきものであるというものである。
4-2.刊行物の記載内容
(1)刊行物1:特開平1-236986号公報
(a)「流体が連続的に流れるオープンチャネル又は底部にのみ流体の流れるクローズドチャネルの上方空間より紫外線を照射し、該流体の深さを照射紫外線の特定波長の透過率もしくは透過量に応じてコントロールして連続的に処理することを特徴とする紫外線照射による流体の処理方法。」(請求項1)
(b)「・・・本紫外線ランプ1は254nm付近に強い線スペクトルを有しているので、その殺菌力は強力である。」(第2頁右下欄第15〜17行)
(c)「この実験例においては、処理水の一般細菌数は処理前が105個/cm3であったものが、処理後は103個/cm3に減少し、殺菌率は99.9%であった。」(第3頁右上欄第11〜13行)
(2)「TEXTILE RESEARCH JOURNAL」Vol.46 第342〜346頁(1976):申立人の甲第1号証
(a)「キセノン高圧アークランプの発光スペクトルは、地上の日光の紫外線可視領域の適正な近似をもたらす。」(要約欄第1〜2行、訳文、以下同じ)
(b)「すべての場合において、コーニング社のNo.7740のホウ珪酸塩の内部および外部フィルターを用いて、145±5°Fのブラックパネル温度および30±5%の相対湿度で、ランプを連続点灯させて、6000Wキセノンアークのアトラスウェザロメー夕を運転した。・・・307および340nmにおいてモニタして近紫外線光度の尺度をもたらし、420nmでのモニタは、ランプ/フィルターシステムから得られた可視光の光度表示に用いた。」(第343頁左欄第40〜55行)
(c)「ランプ光度を制御するための提示された新しい方法.これまでに調べた手順は、夏季の真昼の日光と光度の点で類似しているが、運転コストの高い、短期間に優れた安定出力をもたらしたり、またはより低いコストで強烈に減少する出力をもたらす。より低いワット数、したがってより低いランプ光度でウェザロメータを作動させて得られる、より良いランプ寿命のずっと一定光度の方法を以下に提示する。この手順は、光モニター有りまたは光モニター無しのときに使用することができ、ランプの破損が起こらないとした場合に、340nmで約30%だけ変動する出力をもたらしたり、あるいは2000時間よりも長い適正なランプ寿命をもたらすように設計してある。以前に提示したようにSCRコントローラでの出力調整を用いて、新しいランプおよびフィルターシステムを最小ワット数(3500〜3700W)で作動させて、340nmの光度が、図4の0.9μアンペア、および図5の1.0μアンペアの任意に選択した値に、減少するまで行った。該光度は、ワット数を周期的に増加させて、各々、前記2つの値で維持した。より高い値は容易に達成可能であるが、もっと頻繁なワット数の増加を必要とし、可能性のあるランプ寿命を減少させた。1.0μアンペアの340nm光度を適切な妥協的数値として選んだ。したがって、これは、北緯42°における夏季の真昼の日光の光度の62%までの、試料表面での87μW/cm2/nmまでのものに相当する。図4は400および800時間でのランプの内部フィルター交換をしないときの影響を示し、図5は該時間での内部フィルター交換の影響を示す。内部フィルターは事前老化していない。400および800時間で内部フィルターを交換するので、ランプ光度の仮のゲインだけはあるが、最小費用で得られるのでこのゲインはたぶん値打ちのあるものである。900時間よりも多くのランプ使用時間では、図5に示すように340nmにおいて1.0μアンペアの光度の読みを維持するために、ワット数を増大させなければならない。この方法を実施する際に使用した2つのランプが1130時間および1870時間後に破損したが、低ワット数で作動している場合には、この手順で2000時間よりも大きなランプの寿命を得ることができる。」(第345頁左欄第8行〜右欄第12行)
(d)第345頁図4には、縦軸が「ランプ光度(μA)」、横軸が「ランプ使用時間(hr)」の「340nmおよび307nmにおける6000Wキセノンランプ光度VSランプ使用時間」(方法4)のグラフが示されており、340nmのグラフは、最初3700Wであり、光度は1.08μAで始まり、0.78μAになると、4000Wに切換え、その際光度が0.91μAであり、さらに照射を続けて光度が0.86μAになったところで4300Wに切り替えるということが示されている。
4-3.当審の判断
刊行物1の上記(1)(a)〜(c)には、「処理水を紫外線ランプの照射によって殺菌する処理水の殺菌処理方法。」という発明(以下、「刊行物1発明」という)が記載されていると云える。
そこで本件訂正発明と刊行物1発明とを対比すると、訂正前の本件特許明細書の「殺菌された半導体チップ」(本件特許掲載公報第3頁第5欄第25〜26行)の記載からみて、刊行物1発明の「殺菌処理方法」は、本件訂正発明の「光化学反応処理方法」に相当するから、両者は「紫外線ランプの照射によって液体の光化学反応処理を行う紫外線ランプ照射による液体の光化学反応処理方法」という点で一致し、次の点で相違していると云える。
相違点:本件訂正発明では、流入する液体又は気体等の被照射体の流量、不純物濃度等の種々の処理条件に応じて、紫外線照射を二段階以上に分け、最初の段階の紫外線ランプの出力を、照射開始時に10〜45%程度低減するように設定して紫外線の照射を行い、経時劣化によって紫外線ランプの出力が20〜50%程度に低減する時点を紫外線ランプの点灯時間によって予測し、その時点で次の段階の紫外線照射に入り、この段階における紫外線ランプの照射開始時の出力を、最初の段階の低減値と同様にして紫外線の照射を行い、以後は必要に応じて同様の条件で紫外線の照射を行い、多段階に紫外線照射量を調整して紫外線ランプの照射量を適度に抑制することによって、液体又は気体等の被照射体の発熱の防止、副生成物の派生を防止しているのに対して、刊行物1発明ではその点が明らかでない点。
上記相違点を検討すると、刊行物2の上記(2)(d)には、紫外線照射において、光度が1.08μAで始まり、0.78μAになったところで、ランプのワット数を3700Wから4000Wに切換えることが記載されている。
この場合、6000Wの時の光度が記載されていないので、最初の段階の紫外線ランプの出力をどの程度低減しているか定かでないが、仮に「W」と光度が比例するとして、定格6000Wの紫外線ランプを3700Wで照射する点を低減比に換算すると、39%低減することになる。このことは、本件訂正発明の「最初の段階のランプの出力を、照射開始時に10〜45%程度低減するように設定して照射を行い」に相当する。しかしながら、次の段階の4000Wの時の光度は、0.91μAから0.86μAになったのであるから、最初の段階の1.08μAから0.78μAになったのが次の段階では0.91μAから0.86μAになっているということである。してみると、刊行物2には、本件訂正発明の「次の段階の紫外線照射に入り、この段階における紫外線ランプの照射開始時の出力を、最初の段階の低減値と同様にして紫外線の照射を行い」の「同様にして」という点は記載も示唆もされていないと云える。
さらに、刊行物2の上記(2)(c)には、ランプ寿命を延ばすことは記載されているものの、本件訂正発明の「多段階に紫外線照射量を調整して紫外線ランプの照射量を適度に抑制することによって、液体又は気体等の被照射体の発熱の防止、副生成物の派生を防止する」という点については記載も示唆もされていない。
してみると、上記相違点は刊行物2から当業者が容易に想到し得るものであるとすることはできない。
そして、本件訂正発明は上記相違点により、「液体又は気体等の被照射体の発熱を防止して装置の故障を少なくすると同時に、液体又は気体等の被照射体の処理結果を改善することができる」等の明細書記載の効果を奏すると云える。
したがって、本件訂正発明は、刊行物1、2に記載された発明に基づいて当業者が容易に想到し得るものであるとすることはできない。
5.特許異議申立てについて
5-1.特許異議の申立ての理由の概要
申立人は、証拠方法として甲第1、2号証を提出して、請求項1に係る発明は甲第1号証に記載された発明であり、請求項1、2に係る発明の特許は甲第1、2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1に係る発明の特許は特許法第29条第1項第3号、第2項に違反してなされたものであり、請求項2に係る発明の特許は特許法第29条第2項に違反してなされたものであり取り消されるべきものであると主張している。
5-2.甲各号証の記載内容
(1)甲第1号証:「TEXTILE RESEARCH JOURNAL」Vol.46 第342〜346頁(1976)
上記4-2.(2)の刊行物2と同じ。
(2)甲第2号証:実願平2-53019号(実開平4-91794号)のマイクロフィルム
この文献は公開日が平成4年8月10日である。
5-3.当審の判断
上記4-3.で述べたように、甲第1号証には、本件訂正発明の「次の段階の紫外線照射に入り、この段階における紫外線ランプの照射開始時の出力を、最初の段階の低減値と同様にして紫外線の照射を行い」という点や、「多段階に紫外線照射量を調整して紫外線ランプの照射量を適度に抑制することによって、液体又は気体等の被照射体の発熱の防止、副生成物の派生を防止する」という点については記載も示唆もされていない。
また、甲第2号証は本件出願後に頒布された刊行物である。
したがって、本件訂正発明は、甲第1号証に記載された発明であるとすることはできないし、また、甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。
6.むすび
以上のとおり、特許異議申立ての理由及び証拠方法によっては、訂正後の本件請求項1に係る発明の特許を取り消すことはできない。
また、他に訂正後の本件請求項1に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、訂正後の本件請求項1に係る発明の特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認めない。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
有機物分解や有害物分解の光化学反応処理方法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線ランプの紫外線照射によって液体又は気体等の被照射体の有機物分解や有害物分解の光化学反応処理を行うについて、流入する液体又は気体等の被照射体の流量、不純物濃度等の種々の処理条件に応じて、紫外線照射を二段階以上に分け、最初の段階の紫外線ランプの出力を、照射開始時に10〜45%程度低減するように設定して紫外線の照射を行い、経時劣化によって紫外線ランプの出力が20〜50%程度に低減する時点を紫外線ランプの点灯時間によって予測し、その時点で次の段階の紫外線照射に入り、この段階における紫外線ランプの照射開始時の出力を、最初の段階の低減値と同様にして紫外線の照射を行い、以後は必要に応じて同様の条件で紫外線の照射を行い、多段階に紫外線照射量を調整して紫外線ランプの照射量を適度に抑制することによって、液体又は気体等の被照射体の発熱の防止、副生成物の派生を防止することを特徴とする紫外線照射による液体又は気体等の有機物分解や有害物分解の光化学反応処理方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
最近、例えば半導体、医薬品、原子力等の分野において、超純水やクリーンガス等の不純物をほとんど含まない液体又は気体等の被照射体が使用されているが、本発明は、このような被照射体を紫外線ランプの紫外線照射によって光化学反応処理する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ランプの照射による有機物分解や有害物分解の光化学反応処理方法に使用するランプには、寿命と経時劣化の問題があり、例えば低圧又は中高圧紫外線ランプにおいては、寿命は3000〜9000時間といわれ、その間における紫外線ランプの出力は、図1に示すように、徐々に経時劣化し、最終時点には約30〜50%劣化するといわれている。
従って紫外線照射装置を製造する際には、安全確保の点から、紫外線ランプの出力設計値を経時劣化が最大である30〜50%前後を基準として設計しているのが実情であり、図1の斜線部分に示すように、無駄な電力を浪費していると共に、過剰な光量を照射していることになる。
近年、紫外線照射装置が多方の分野に使用され、かつ紫外線照射の増加の要望に従い、紫外線ランプの設置本数の増加あるいは大電力型紫外線ランプの利用等により、この消費電力の増大が重要な問題になってきている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、紫外線ランプの照射による有機物分解や有害物分解の光化学反応処理方法を行うについて、使用する紫外線ランプの無駄な電力の浪費を防止して消費電力を節減し、さらに紫外線ランプの消耗による寿命の低下を防止して紫外線ランプのライフを延長することにある。
また本発明は、紫外線ランプの交換回数を減らすことによって、紫外線ランプのコストを削減するほか、紫外線ランプの交換に要する作業の省力化、費用の節減をはかることにある。
さらに本発明は、紫外線ランプの照射量を適度に抑制することによって発熱の防止、副生成物の派生を防止するとともに、多段階の照射を行うについて、照射量を経時的に均等化することによって被照射体の処理効率、処理結果を改善するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、紫外線ランプ照射による液体又は気体等の被照射体の有機物分解や有害物分解の光化学反応処理方法に関するもので、紫外線ランプの照射によって液体又は気体等の被照射体の有機物分解や有害物分解の光化学反応処理を行うについて、紫外線ランプのライフに応じて、照射を二段階以上に分け、最初の段階の紫外線ランプの出力を、照射開始時に10〜45%程度低減するように設定して照射を行い、経時劣化によって紫外線ランプの出力が20〜50%程度に低減する時点を紫外線ランプの点灯時間によって予測し、その時点で次の段階の照射に入り、この段階における紫外線ランプの照射開始時の出力を、最初の段階の低減値と同様にして照射を行い、以後は必要に応じて同様の条件で紫外線ランプの照射を行い、多段階に紫外線ランプ照射量を調整して紫外線ランプの照射量を適度に抑制することによって液体又は気体の発熱の防止、副生成物の派生を防止することを特徴とするものである。
【0005】
【実施例】
以下、本発明の実施態様の一例を、紫外線照射による有機物分解や有害物分解の光化学反応処理方法について説明すると、図2において1は、周知の紫外線照射装置のステンレス製の処理筒であって、この処理筒1内に紫外線ランプ2を配設し、紫外線照射によって液体又は気体等の被照射体中の有機物の酸化分解、有害物質の分解の処理を行う流路を形成するが、紫外線ランプ2は紫外線透過率が高く、かつ液体又は気体等の被照射体に溶出物が流出しない材質、たとえば石英ガラスよりなる透過筒3に収めることが通常である。
しかしこの透過筒3は必ずしも設けなくともよく、紫外線ランプ2を直接に液体又は気体に触れるように処理筒1内に取り付けてもよい。
また本発明は、外照式の紫外線照射装置、すなわち紫外線ランプ2を石英ガラスよりなる通液筒(図示せず)の外部に設け、通液筒内を通過する液体又は気体等の被照射体に紫外線を照射するように構成してもかまわない。
処理筒1の側面に取り付けた架台4には、公知の電流調整器5を付設し、これを紫外線ランプ2に電気的に接続し、紫外線ランプ2の照射開始時の紫外線出力を設定するものであるが、この電流調整器5としては、調光器を使用することが一般的であるが、これ以外に、接点の切り換えやコンデンサ、コイル、サイリスタ等を使用して電流値を変化させるものであれば、どのようなものでも利用することができる。
なお、紫外線ランプ2の照射開始時の紫外線出力は、前述の電流値を変化させる方法以外に、電圧、周波数、波形を変える方法で調整してもよい。
【0006】
なお電流調整器5による紫外線出力の設定は、予め装置の設計段階において、紫外線ランプ2のライフ、紫外線照射段階数、処理筒1に流入する液体又は気体等の被照射体の流量、不純物濃度等の種々の処理条件に応じて、紫外線ランプ2の照射開始時の紫外線出力を設定しておくもので、手動設定でもよいし、タイマー等を利用して自動設定にしてもよい。
【0007】
低圧紫外線ランプであって、寿命が9000時間の場合を例にすると、図3に示すように、紫外線照射を三段階、すなわち一段階の紫外線照射時間を約5000時間に分け、最初の段階の紫外線ランプの照射開始時の出力を、従来の場合のように100%(100W)の照射をせずに、例えば、あえて20%程度低減して80%程度になるように、電流調整器5によって予め設定した電流値(従来0.40Aであったのを0.32Aに低減させた値)に基づいて紫外線の照射を行うもので、有機物分解や有害物分解の光化学反応処理に影響が出ないところまで紫外線出力をカットして無駄(図3の斜線部分)を省くものである。
そして、紫外線の照射の継続により紫外線ランプの出力は、徐々に経時劣化して第一段階の最終時点においては、紫外線ランプの出力が50%程度に低減するので、この時点で、次の第二段階の紫外線照射に入り、この段階における紫外線ランプの照射開始時の電流値を、図3に示すように、電流調整器5によって予め設定した最初の段階の照射開始時の電流値と同じ値に回復させて紫外線の照射を行うもので、前段階と同様に、紫外線出力をカットして無駄を多段に省くものである。
以後の第三段階の紫外線照射においても、同様の条件で紫外線の照射を行い、このように紫外線照射による液体又は気体等の被照射体の有機物分解や有害物分解の光化学反応処理を行うについて、多段階にわたって紫外線照射量を可能な限り低減し、かつ出来るだけ均等に調整するものである。
【0008】
以上、本発明の実施例について説明した。なお、本発明の光化学反応処理方法によって、半導体、医薬品、原子力等で用いる超純水やクリーンガス等の不純物をほとんど含まない液体又は気体を得ることができる。
【0009】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明においては、液体又は気体等の被照射体の紫外線ランプ照射による有機物分解や有害物分解の光化学反応処理を行うについて、紫外線ランプの照射を二段階以上に分け、各段階の紫外線ランプの照射開始時の出力を、10〜45%程度低減して紫外線ランプの照射を行うため、従来のように無駄な電力を浪費せず、消費電力を5〜30%節減可能であり、エネルギーコスト面で非常に有利であり、紫外線ランプの照射量を適度に抑制することによって紫外線ランプの消耗度が低くなり、紫外線ランプのライフを1.2〜5倍延長することができるメリットもある。
また本発明は、紫外線ランプの交換回数を減らすことによって、紫外線ランプのコストを20〜50%削減するほか、紫外線ランプの交換に要する作業の大幅に省力化することができ、かつ紫外線ランプの交換に要する費用を格段に削減できる。
さらに本発明は、紫外線ランプの照射量を適度に抑制することによって液体又は気体等の被照射体の発熱を防止して装置の故障を少なくすると同時に、副生成物の派生を防止して液体又は気体等の被照射体の処理結果を改善することができ、かつ多段階の紫外線ランプ照射量を経時的に均等化することによって液体又は気体等の被照射体の処理効率を向上させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
従来の有機物分解や有害物分解処理に使用する低圧紫外線ランプの寿命と経時劣化を示す説明図である。
【図2】
本発明に係わる光化学反応処理を実施する周知の紫外線照射装置の断面図である。
【図3】
本発明の液体又は気体等の被照射体の有機物分解や有害物分解処理に使用する低圧紫外線ランプによる多段階に紫外線照射量を調整する状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 処理筒
2 紫外線ランプ
3 透過筒
4 架台
5 電流調節器
 
訂正の要旨 訂正事項
1)【特許請求の範囲】に
「【請求項1】ランプの照射によって被照射体の光化学反応処理を行うについて、ランプのライフに応じて、照射を二段階以上に分け、最初の段階のランプの出力を、照射開始時に10〜45%程度低減するように設定して照射を行い、経時劣化によってランプの出力が20〜50%程度に低減する時点をランプの点灯時間によって予測し、その時点で次の段階の照射に入り、この段階におけるランプの照射開始時の出力を、最初の段階の低減値と同様にして照射を行い、以後は必要に応じて同様の条件でランプの照射を行い、多段階にランプ照射量を調整することを特徴とするランプ照射による被照射体の光化学反応処理方法
【請求項2】紫外線ランプの紫外線照射によって被照射体の光化学反応処理を行うについて、紫外線ランプのライフに応じて、紫外線照射を二段階以上に分け、最初の段階の紫外線ランプの出力を、照射開始時に10〜45%程度低減するように設定して紫外線の照射を行い、経時劣化によって紫外線ランプの出力が20〜50%程度に低減する時点を紫外線ランプの点灯時間によって予測し、その時点で次の段階の紫外線照射に入り、この段階における紫外線ランプの照射開始時の出力を、最初の段階の低減値と同様にして紫外線の照射を行い、以後は必要に応じて同様の条件で紫外線の照射を行い、多段階に紫外線照射量を調整することを特徴とする紫外線照射による被照射体の光化学反応処理方法」とあるのを
「【請求項1】紫外線ランプの紫外線照射によって液体又は気体等の被照射体の有機物分解や有害物分解の光化反応処理を行うについて、流入する液体又は気体等の被照射体の流量、不純物濃度等の種々の処理条件に応じて、紫外線照射を二段階以上に分け、最初の段階の紫外線ランプの出力を、照射開始時に10〜45%程度低減するように設定して紫外線の照射を行い、経時劣化によって紫外線ランプの出力が20〜50%程度に低減する時点を紫外線ランプの点灯時間によって予測し、その時点で次の段階の紫外線照射に入り、この段階における紫外線ランプの照射開始時の出力を、最初の段階の低減値と同様にして紫外線の照射を行い、以後は必要に応じて同様の条件で紫外線の照射を行い、多段階に紫外線照射量を調整して紫外線ランプの照射量を適度に抑制することによって、液体又は気体等の被照射体の発熱の防止、副生成物の派生を防止することを特徴とする紫外線照射による液体又は気体等の有機物分解や有害物分解の光化学処理方法。」に訂正する。
2)【0001】に「ランプの照射、特に」とあるのを削除し、「また、本発明は半導体チップ、医療容器、特殊金属等の被照射体を、ランプの照射よる光化学反応処理をする方法に関するものである。」とあるのを削除する。
3)【0002】に「光化学反応処理方法」とあるのを「有機物分解や有害物分解の光化学反応処理方法」と訂正し、「図1の斜線部分に示すように、無駄な電力を浪費していることになる。」とあるのを「図1の斜線部分に示すように、無駄な電力を浪費していると共に、過剰な光量を照射していることになる。」に訂正する。併せて、「大電力型ランプ」とあるのを「大電力型紫外線ランプ」と訂正し、「【図1】」とあるのを削除する。
4)【0003】に「ランプ」とあるのを「紫外線ランプ」と訂正し、「光化学反応処理方法」とあるのを「有機物分解や有害物分解の光化学反応処理方法」に訂正する。
5)【0004】に「ランプ」とあるのを「紫外線ランプ」と訂正し、「被照射体」とあるのを「液体又は気体等の被照射体」と訂正し、「光化学反応処理方法」とあるのを「有機物分解や有害物分解の光化学反応処理方法」に訂正し、「この段階におけるランプの照射開始時の出力を、最初の段階の低減値と同様にして照射を行い、以後は必要に応じて同様の条件でランプの照射を行い、多段階にランプ照射量を調整することを特徴とするものであり、特に、本発明は、紫外線照射による被照射体の光化学反応処理方法に関するもので、前述したように、多段階に紫外線照射量を調整することを特徴とするものである。」とあるのを「この段階における紫外線ランプの照射開始時の出力を、最初の段階の低減値と同様にして照射を行い、以後は必要に応じて同様の条件で紫外線ランプの照射を行い、多段階に紫外線ランプ照射量を調整して紫外線ランプの照射量を適度に抑制することによって、液体又は気体の発熱の防止、副生成物の派生を防止することを特徴とするものである。」と訂正する。
6)【0005】に「光化学反応処理方法」とあるのを「有機物分解や有害物分解の光化学反応処理方法」に訂正し、「被照射体中」とあるのを「液体又は気体等の被照射体中」と訂正し、「細菌の殺菌」とあるのを削除し、「被照射体」とあるのを「液体又は気体等の被照射体」と訂正し、「【図2】」とあるのを削除する。
7)【0006】に「被照射体」とあるのを「液体又は気体等の被照射体」と訂正する。
8)【0007】に「光化学反応処理」とあるのを「有機物分解や有害物分解の光化学反応処理」に訂正し、「被照射体」とあるのを「液体又は気体等の被照射体」と訂正し、「【図3】」とあるのを削除する。
9)【0008】に「以上、本発明の実施例を紫外線ランプの紫外線照射による光化学反応処理方法について説明したが、紫外線ランプ以外に、ナトリウムランプ、タリウムランプ、ハロゲンランプ、赤外線ランプ等のランプの照射によって、前述した場合と同様に多段階にランプの照射量を調整して被照射体の光化学反応処理方法を行うことができる。」とあるのを「以上、本発明の実施例について説明した。」に訂正し、「なお、本発明の光化学反応処理方法によって、半導体、医薬品、原子力等で用いる超純水やクリーンガス等の不純物をほとんど含まない液体又は気体等の被照射体を得ることができる他、さらに、本発明の光化学反応処理方法によって、不純物の存在しない、殺菌された半導体チップやウエハー、医療容器、特殊金属等の被照射体を得ることができる。」とあるのを「なお、本発明の光化学反応処理方法によって、半導体、医薬品、原子力等で用いる超純水やクリーンガス等の不純物をほとんど含まない液体又は気体等の被照射体を得ることができる。」と訂正する。
10)【0009】に「被照射体」とあるのを「液体又は気体等の被照射体」と訂正し、「ランプ」とあるのを「紫外線ランプ」と訂正し、「光化学反応処理」とあるのを「有機物分解や有害物分解の光化学反応処理」に訂正する。
11)【図面の簡単な説明】に
「【図1】
従来の光化学反応処理に使用する低圧紫外線ランプの寿命と経時劣化を示す説
明図である。
【図2】
本発明の光化学反応処理を実施する周知の紫外線照射装置の断面図である。
【図3】
本発明の光化学反応処理に使用する低圧紫外線ランプによる多段階に紫外線照
射量を調整する状態を示す説明図である。」とあるのを
「【図1】
従来の有機物分解や有害物分解処理に使用する低圧紫外線ランプの寿命と経時劣化を示す説明図である。
【図2】
本発明に係わる光化学反応処理を実施する周知の紫外線照射装置の断面図である。
【図3】本発明の液体又は気体等の被照射体の有機物分解や有害物分解処理に使用する低圧紫外線ランプによる多段階に紫外線照射量を調整する状態を示す説明図である。」と訂正する。
異議決定日 2003-01-29 
出願番号 特願平3-222364
審決分類 P 1 651・ 121- YA (C02F)
P 1 651・ 113- YA (C02F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 増田 亮子  
特許庁審判長 石井 良夫
特許庁審判官 野田 直人
西村 和美
登録日 2000-12-22 
登録番号 特許第3142608号(P3142608)
権利者 株式会社日本フォトサイエンス
発明の名称 有機物分解や有害物分解の光化学反応処理方法  
代理人 高橋 章  
代理人 高橋 章  

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