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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 C08L |
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管理番号 | 1076372 |
異議申立番号 | 異議2002-70845 |
総通号数 | 42 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1996-09-24 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2002-04-02 |
確定日 | 2003-03-05 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3215285号「難燃性ポリエチレンテレフタレート系樹脂組成物」の請求項1ないし5に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3215285号の請求項1ないし5に係る特許を維持する。 |
理由 |
1.手続の経緯 本件特許第3215285号は、平成7年3月10日に特許出願された特願平7-79705号の出願に係り、平成13年7月27日に設定登録されたものであって、その後、特許異議申立人岩田直子により特許異議の申立てがなされ、平成14年6月4日付けで取消理由通知がなされ、平成14年8月13日に訂正の請求がなされ、平成14年10月11日付けで訂正拒絶理由通知がなされ、平成14年12月11日に意見書が提出された。その後、平成15年1月31日付けで再度の取消理由通知がなされ、平成15年2月10日に再度訂正の請求がなされるとともに、先の訂正の請求が取り下げられたものである。 2.訂正の適否について (1)訂正の内容 平成15年2月10日付けの本件訂正の請求における訂正の内容は、下記訂正事項a〜dに示すとおりである。 訂正事項a 特許請求の範囲の請求項1及び2の 「(A)ゲルマニウム系触媒を用いて重合された、」との記載を、 「(A)ゲルマニウム系触媒のみを用いて重合された、」と訂正する。 訂正事項b 特許請求の範囲の請求項1及び2の 「を配合してなる難燃性ポリエチレンテレフタレート系樹脂組成物。」との記載を、 「を配合してなる難燃性ポリエチレンテレフタレート系樹脂組成物であって、当該樹脂組成物から得られるASTM D-638における1号ダンベル試験片を121℃飽和加圧水蒸気下にて30時間処理した後、ASTM D-638による引張試験の最大強度の保持率が72%以上である難燃性ポリエチレンテレフタレート系樹脂組成物。」と訂正する。 訂正事項c 本件特許明細書の段落番号【0007】及び同段落番号【0010】中の 「(A)ゲルマニウム系触媒を用いて重合された、」との記載を、 「(A)ゲルマニウム系触媒のみを用いて重合された、」 と訂正する。 訂正事項d 本件特許明細書の段落番号【0009】及び同段落番号【0012】中の 「を配合してなる難燃性ポリエチレンテレフタレート系樹脂組成物を、」との記載を、 「を配合してなる難燃性ポリエチレンテレフタレート系樹脂組成物であって、当該樹脂組成物から得られるASTM D-638における1号ダンベル試験片を121℃飽和加圧水蒸気下にて30時間処理した後、ASTM D-638による引張試験の最大強度の保持率が72%以上である難燃性ポリエチレンテレフタレート系樹脂組成物を、」 と訂正する。 (2)訂正の適否の判断 上記訂正事項aは、訂正前の請求項1及び2に係る発明において「ゲルマニウム系触媒」以外の触媒の存在が許容されるか否かが明りょうでなかったものを明りょうにするものである。そして、訂正前の特許明細書の段落番号【0014】〜【0015】、同段落番号【0019】〜【0020】には、「ゲルマニウム系触媒」を用いること及びそれ以外の触媒を用いる場合に機械的強度、耐湿熱性が充分でないことが記載されているから、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてなされた訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。 上記訂正事項bは、難燃性ポリエチレンテレフタレート系樹脂組成物の保持率を72%以上に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とした訂正に該当するものであり、しかも、訂正前の特許明細書の段落番号【0050】〜【0065】には、保持率の試験方法及び実施例1〜16の保持率が記載されているから、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてなされた訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。 そして、上記訂正事項c〜dは、上記訂正事項a及びbの訂正に伴うものであり、特許請求の範囲と明細書の記載を整合させるための、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当するものであり、しかも、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてなされた訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。 (3)まとめ 以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 3.特許異議の申立てについての判断 (1)本件発明 本件特許第3215285号の訂正後の請求項1ないし5に係る発明は、上記訂正に係る訂正請求書に添付された訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。 「【請求項1】(A)ゲルマニウム系触媒のみを用いて重合された、エチレンテレフタレート繰り返し単位を少なくとも80%有するポリエチレンテレフタレート系樹脂100重量部に対し、 (B)分子内にエポキシ基を少なくとも2個有するエポキシ化合物0.05〜20重量部、 (C)下記一般式(I)【化1】 (式中、RはH又はCH3基、Xは臭素又は塩素原子、mは1〜5の整数、nは10以上の整数を表す。)で表される、ハロゲン化ポリスチレン及び/又はハロゲン化ポリ-α-メチルスチレン1〜50重量部、 (D)アンチモン化合物0.1〜20重量部、及び (E)強化充填剤0〜150重量部 を配合してなる難燃性ポリエチレンテレフタレート系樹脂組成物であって、当該樹脂組成物から得られるASTM D-638における1号ダンベル試験片を121℃飽和加圧水蒸気下にて30時間処理した後、ASTM D-638による引張試験の最大強度の保持率が72%以上である難燃性ポリエチレンテレフタレート系樹脂組成物。 【請求項2】(A)ゲルマニウム系触媒のみを用いて重合された、エチレンテレフタレート繰り返し単位を少なくとも80%有するポリエチレンテレフタレート系樹脂100重量部に対し、 (B)分子内にエポキシ基を少なくとも2個有するエポキシ化合物0.05〜20重量部、 (C)下記一般式(I)【化2】 (式中、RはH又はCH3基、Xは臭素又は塩素原子、mは1〜5の整数、nは10以上の整数を表す。)で表される、ハロゲン化ポリスチレン及び/又はハロゲン化ポリ-α-メチルスチレン1〜50重量部、 (D)アンチモン化合物0.1〜20重量部、 (E)強化充填剤0〜150重量部、及び (F)珪酸塩化合物及び珪酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の無機化合物0.1〜60重量部 を配合してなる難燃性ポリエチレンテレフタレート系樹脂組成物であって、当該樹脂組成物から得られるASTM D-638における1号ダンベル試験片を121℃飽和加圧水蒸気下にて30時間処理した後、ASTM D-638による引張試験の最大強度の保持率が72%以上である難燃性ポリエチレンテレフタレート系樹脂組成物。 【請求項3】分子内にエポキシ基を少なくとも2個有するエポキシ化合物が、ビスフェノールA型エポキシ化合物及びノボラック型エポキシ化合物から選ばれる少なくとも1種のエポキシ化合物である請求項1又は2記載の難燃性ポリエチレンテレフタレート系樹脂組成物。 【請求項4】無機化合物が、タルク、マイカ、カオリン及びワラストナイトからなる群から選ばれる少なくとも1種の珪酸塩化合物である請求項2又は3記載の難燃性ポリエチレンテレフタレート系樹脂組成物。 【請求項5】更に、ポリエステル-ポリエーテル共重合体を0.5〜50重量部配合してなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の難燃性ポリエチレンテレフタレート系樹脂組成物。」 (2)特許異議申立ての理由の概要 特許異議申立人岩田直子は、特許異議申立書において甲第1号証(特公平1-60056号公報)、甲第2号証(特開昭56-24419号公報)、甲第3号証(特公昭47-13860号公報)、甲第4号証(特開昭60-217258号公報)、甲第5号証(特開昭54-127998号公報)、甲第6号証(特開昭60-192758号公報)、甲第7号証(特開昭64-16862号公報)、甲第8号証(特開昭64-29455号公報)及び甲第9号証(特開昭64-29456号公報)を提示し、本件訂正前の請求項1ないし5に係る発明の特許は、甲第1〜9号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであり、取り消すべきである旨主張している。 (3)甲第1〜9号証の記載事項 甲第1号証(特公平1-60056号公報)には、「熱可塑性ポリエステル100重量部に対し、下記一般式(I)で表わされるハロゲン化ポリスチレンおよび/またはハロゲン化ポリ-α-メチルスチレン3〜40重量部、三酸化アンチモン1〜20重量部および下記一般式(II)〜(IV)で示されるエポキシ化合物およびエチレン・グリシジルメタクリレート共重合体から選択されるエポキシ化合物の一種または二種以上0.1〜10重量部を配合してなる難燃性ポリエステル組成物。 (ただし式中、Rは水素原子またはメチル基を を をR3は炭素数10以上の脂肪族基を、Xは臭素または塩素原子、pは1〜5の整数を、mは1〜10の整数を、nは40以上の整数を各々示す。)」(特許請求の範囲)の発明について記載され、「本発明組成物の熱変形温度向上、剛性向上のため、ガラス繊維、アスベスト、メタケイ酸カルシウム、チタン酸カリ、セラミックファイバーなどの繊維物質を加えることができ、これらの添加量は通常熱可塑性ポリエステル100重量部に対し、5〜70重量部の範囲である。さらにガラスビーズ、タルク、炭酸カルシウム、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウムなどの充填剤を同様に加えることもできる。 本発明組成物の結晶性、成形加工性改良のためにセリサイト、サイロイド、タルク、カオリン、マイカ、ベントナイト、アスベスト、クレーなどのケイ酸塩、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、ナトリウム、カリウム、リチウム、マンガン、亜鉛、チタン、けい素、ほう素などの金属のカルボン酸塩、炭酸塩、硫酸塩、エチレンと(メタ)アクリル酸またはそのエステルとの共重合体のアルカリ金属塩または部分亜鉛塩などの核剤を同様に加えることもできる。これらの核剤の添加量は熱可塑性ポリエステル100重量部に対し0.01〜5重量部である。」(4頁8欄22〜42行)と記載されている。 甲第2号証(特開昭56-24419号公報)には、「1.エチレンテレフタレート繰返し単位が少くとも80モル%以上、かつ極限粘度が0.4以上のポリエステルに対し、分子中に少くとも1個のエポキシ基とポリオキシアルキレン鎖を有するエポキシ化合物を0.1〜10重量%配合し、加熱反応させることを特徴とするポリエステル成形材料の製造方法。」(特許請求の範囲第1項)の発明について記載されており、そして、実施例1に「テレフタル酸ジメチル100部とエチレングリコール600部とを酢酸マンガン0.028部と二酸化ゲルマニウム0.024部を触媒として窒素気流下150〜230℃に加熱して140分間エステル交換反応を行い生成したメタノールを連続的に系外に留出させた。」(5頁右上欄下から8〜3行)と記載されている。 甲第3号証(特公昭47-13860号公報)には、「1 ポリエチレンテレフタレートを、成型に先立って、成型条件下で-OHおよび-COOHから選ばれた基の少くとも2分子当量と付加または縮合により反応できる多官能性化合物および任意的にガラス繊維と混合し、かつ多官能性化合物の濃度および溶融成型条件を少くとも0.7dl/gの固有粘度(25℃で重合体のO-クロロフェノール溶液で測定)を有する重合体を成型製品に与えるように選択することを特徴とする溶融成型によりポリエチレンテレフタレート供給原料から厚肉成型品を製造する方法。」(特許請求の範囲第1項)の発明について記載されており、その実施例48に「1.1dl/gの固有粘度を有し、そして触媒として無定形二酸化ゲルマニウムを用いてポリエチレンテレフタレートホモ重合体100部を実施例44に記載のようにして」(20頁40欄16〜19行)と記載されている。 甲第4号証(特開昭60-217258号公報)には、「(A)カルボン酸成分に対して0.005〜1モル%のゲルマニウム化合物を含んだ少なくとも0.4の固有粘度を有し、かつ構成単位の少なくとも80モル%がエチレンテレフタレート単位よりなるポリエステル樹脂100重量部 (B)強化または充填物質10〜140重量部 (C)炭素数7〜25のカルボン酸のナトリウム塩もしくはカリウム塩、又はカルボキシル基を含有する重合体のナトリウム塩もしくはカリウム塩0.05〜20重量部 (D)一般式 (ただし、R1、R2、R3は水素またはアルキル基を表わし、x、yは0または1〜3の整数でx+y=3を満足する数を表わす)で表わされる有機リン化合物0.01〜5重量部より構成される強化ポリエステル樹脂組成物。」(特許請求の範囲)の発明について記載されていてる。 甲第5号証(特開昭54-127998号公報)には、「1.第1工程でテレフタル酸のジアルキルエステルをエチレングリコールと、触媒としてマンガン(II)塩の形のマンガン35〜290ppmとコバルト(II)塩の形のコバルト6〜95ppmの存在下に170℃〜220℃の範囲内の温度で反応させて低分子初期縮合物とし、引続き結合形の燐45〜140ppmを加え、第2工程でこうして得られる初期縮合物を触媒の存在下に270℃〜290℃の範囲内の温度及び低圧下で縮合させて高分子ポリ(エチレンテレフタレート)とすることにより高分子ポリ(エチレンテレフタレート)の2工程製造法において、第2工程で触媒としてゲルマニウム(IV)塩の形のゲルマニウム115〜230ppmならびにチタン(IV)塩の形のチタン2〜<20ppm(ここで全ての触媒成分の量の記載はテレフ夕ル酸単位に対するものである)を反応混合物に加え、触媒成分の添加後第2工程を実施するためにまず温度を上昇させ、次に圧力を連続的に0.5ミリバール以下に低下させることを特徴とする、高分子ポリ(エチレンテレフタレート)の2工程製造法」(特許請求の範囲第1項)の発明が記載され、第3表には 「 」(7頁左上欄)と記載されている。 甲第6号証(特開昭60-192758号公報)には、「(1)熱可塑性ポリエステル樹脂、一般式 (式中、Rは炭素数5〜30のアルキル基、nは1〜4の数、mは1〜3の数を示す。)で表わされるペンタエリスリトールのエステルおよびハロゲンを含有しないエポキシ化合物からなるポリエステル樹脂組成物。」の発明が記載されており、「本発明者らはポリエステル樹脂の耐加水分解性の向上につき鋭意研究を重ねた結果、前記一般式〔1〕で表わされるエステルとハロゲンを含有しないエポキシ化合物を併用するときは、ポリエステル樹脂の耐加水分解性を大巾に改善できることを見出し本発明を完成した。」(1頁右下欄19行〜2頁左上欄4行)と記載されている。 甲第7号証(特開昭64-16862号公報)には、「(A)芳香族ポリエステル100重量部に対して (B)下記一般式(I)で示されるエポキシ化合物0.01〜10重量部 (ただし、式中Arは、炭素数6〜20の芳香族基または脂環基を、nは0または1〜20の整数を示す。) (C)ヒンダードフェノール系化合物および/または、硫黄含有エステル化合物の少なくとも1種0.01〜5重量部を含有せしめてなる芳香族ポリエステル組成物。」(特許請求の範囲)の発明が記載されており、「そこで本発明者らは、耐加水分解性および、成形流動性の両者を同時に満足する芳香族ポリエステル組成物を得るべく鋭意検討した結果、特定のエポキシ化合物と、ヒンダードフェノール系化合物および/または、硫黄含有エステル化合物を芳香族ポリエステルに併用添加した場合には、前記の目的が達成されるばかりでなく、驚くべきことに芳香族ポリエステルの耐候性も大幅に向上することを見いだし、本発明に到達した。」(2頁左上欄13行〜右上欄2行)と記載されている。 甲第8号証(特開昭64-29455号公報)には、「1(a)熱可塑性ポリエステル100重量部、 (b)ヒンダードフェノール系安定剤0.05〜1.5重量部、 (c)チオエーテル系安定剤0.05〜1.5重量部、 (d)ホスファイト系安定剤0.05〜1.5重量部、 (e)分子内にエポキシ基を少なくとも1個有するエポキシ化合物0.05〜2.0重量部および (f)ガラス繊維5〜200重量部からなり、(b)成分+(c)成分+(d)成分+(e)成分の総量が0.3〜3.0重量部である成形用樹脂組成物。」(特許請求の範囲第1項)の発明が記載されており、「本発明に用いる分子内にエポキシ基を少なくとも1個有するエポキシ化合物としては、たとえばビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応により合成されるエポキシ樹脂、ノボラック樹脂とエピクロルヒドリンとの反応により合成されるエポキシ樹脂・・・などがあげられるが、これらに限定されるものではない。」(5頁右下欄9行〜6頁右上欄2行)と記載されている。 甲第9号証(特開昭64-29456号公報)には、「1 (A)ポリエチレンテレフタレート系樹脂5〜95重量部ならびにポリエーテル化合物3〜50重量%とポリエチレンテレフタレート系樹脂および(または)エチレンテレフタレート系樹脂オリゴマー97〜50重量%とからなるブロック共重合体95〜5重量部からなる混合物100重量部 (B)分子内にエポキシ基を少なくとも1個有するエポキシ化合物0.05〜60重量部および (C)ガラス繊維5〜180重量部よりなる成形用の樹脂組成物。」(特許請求の範囲第1項)の発明について記載されて、「本発明は上記のごとき実情に鑑み、結晶化速度が速く、機械的強度、耐熱劣化性、耐湿性、加工性などのバランスに優れたポリエチレンテレフタレート系の成形用の樹脂組成物をうるためになされたもの」(2頁右下欄4〜8行)と記載されている。 (4)対比・判断 イ.訂正後の本件請求項1に係る発明(以下、「本件発明1」という)に ついて 本件発明1は、(A)ゲルマニウム系触媒を用いて重合された所定のポリエチレンテレフタレートを選択し、(B)分子内にエポキシ基を少なくとも2個有するエポキシ化合物、(C)下記一般式(I)【化1】 (式中の定義は上記記載のとおり)で表される、ハロゲン化ポリスチレン及び/又はハロゲン化ポリ-α-メチルスチレン、(D)アンチモン化合物、及び(E)強化充填剤を配合し、耐湿熱性の指標である所定の試験による引張試験の最大強度の保持率が72%以上である難燃性ポリエチレンテレフタレート系樹脂組成物を得ることによって、機械的強度を低下させることなく耐湿熱性が大幅に改善され、成形体の外観にも優れた難燃性ポリエチレンテレフタレート系樹脂組成物を提供するものである。 一方、甲第1号証には、a)熱可塑性ポリエステル、b)ハロゲン化ポリスチレン及び/又はハロゲン化ポリ-α-メチルスチレン、c)三酸化アンチモン、d)分子内にエポキシ基を少なくとも2個有するエポキシ化合物、及び(e)充填剤を配合した難燃性ポリエステル組成物が記載されているが、熱可塑性ポリエステルを得る際にゲルマニウム系触媒を用いて重合すること、及び、得られた難燃性ポリエステル組成物が引張試験の最大強度の保持率が72%以上の耐湿熱性を有することは、記載されていないし、示唆すらされていない。 甲第2〜5号証には、確かに、ポリエチレンテレフタレートを得る際にゲルマニウム系触媒を用いて重合することが記載されている。 しかしながら、甲第2〜5号証には、ゲルマニウム系触媒のみを使用した場合に、当該触媒を用いて得られたポリエチレンテレフタレート系樹脂が高温高湿下において、機械的強度の低下を生じることなく充分な耐湿熱性を有することは、記載も示唆もされていない。 また、甲第6〜8号証は、ポリエチレンテレフタレート樹脂と分子内にエポキシ基を少なくとも2個有するエポキシ化合物を組み合わせると、耐加水分解性、成型流動性、耐湿性が向上するという、一般的な技術水準が示されているに過ぎず、ゲルマニウム系触媒のみを使用し、重合したポリエチレンテレフタレート樹脂を用いることや、難燃性ポリエチレンテレフタレート系樹脂組成物の引張試験の最大強度の保持率が72%以上である耐湿熱性を有することについては、示唆すらされていない。 甲第9号証についても、結晶化速度を速くし成形品の機械的強度、耐湿性、加工時の耐熱劣化性を改善するために、ポリエチレンテレフタレートに対し特定のポリエーテル-ポリエチレンテレフタレートブロック共重合体を混合することが記載されているに過ぎず、ゲルマニウム系触媒のみを使用し、重合したポリエチレンテレフタレート樹脂を用いることや、難燃性ポリエチレンテレフタレート系樹脂組成物の引張試験の最大強度の保持率が72%以上である耐湿熱性を有することについては、記載も示唆もされていない。 そうすると、甲第1〜9号証には、ゲルマニウム系触媒のみを用いて重合されたポリエチレンテレフタレート樹脂を使用し、得られた難燃性ポリエチレンテレフタレート系樹脂組成物が引張試験の最大強度の保持率が72%以上の耐湿熱性を有することが記載も示唆もされていない以上、甲第1〜9号証に記載された発明をどのように組み合わせたとしても、本件発明1の技術的事項を得ることは困難といわざるを得ない。 そして、本件発明1は、(A)〜(E)の各成分を配合し、引張試験の最大強度の保持率が72%以上の耐湿熱性を有することによって、機械的強度、耐湿熱性、難燃性、流動性および成形体の外観の優れた難燃性ポリエチレンテレフタレート系樹脂組成物を得ることができるという効果を奏するものと認められる。 したがって、本件発明1は、甲第1〜9号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではないので、本件発明1は特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものではない。 ロ.訂正後の本件請求項2に係る発明(以下、「本件発明2」という)に ついて 本件発明2は、上記本件発明1の(A)〜(E)の各成分に、更に(F)成分として、「珪酸塩化合物及び珪酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の無機化合物」を添加したものであるから、本件発明1に対して示した理由と同様な理由により、甲第1〜9号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではないので、本件発明2は特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものではない。 ハ.訂正後の本件請求項3に係る発明(以下、「本件発明3」という)に ついて 本件発明3は、本件発明1および2を引用し、かつ、(B)成分の「分子内にエポキシ基を少なくとも2個有するエポキシ化合物」を限定したものであるから、本件発明1に対して示した理由と同様な理由により、甲第1〜9号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではないので、本件発明3は特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものではない。 ニ.訂正後の本件請求項4に係る発明(以下、「本件発明4」という)に ついて 本件発明4は、本件発明2および3を引用し、かつ、(F)成分の「珪酸塩化合物及び珪酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の無機化合物」を限定したものであるから、本件発明1に対して示した理由と同様な理由により、甲第1〜9号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではないので、本件発明4は特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものではない。 ホ.訂正後の本件請求項5に係る発明(以下、「本件発明5」という)に ついて 本件発明5は、本件発明1〜4を引用し、かつ、さらに、ポリエステル-ポリエーテル共重合体を配合したものであるから、本件発明1に対して示した理由と同様な理由により、甲第1〜9号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではないので、本件発明5は特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものではない。 4.むすび 以上のとおりであるから、特許異議申立人の主張及び挙証によっては、訂正後の本件発明1ないし5の特許を取り消すことはできない。 また、他に訂正後の本件発明1ないし5の特許を取り消すべき理由を発見しない。 したがって、訂正後の本件発明1ないし5の特許は、拒絶査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認めない。 よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 難燃性ポリエチレンテレフタレート系樹脂組成物 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 (A)ゲルマニウム系触媒のみを用いて重合された、エチレンテレフタレート繰り返し単位を少なくとも80%有するポリエチレンテレフタレート系樹脂100重量部に対し、(B)分子内にエポキシ基を少なくとも2個有するエポキシ化合物0.05〜20重量部、(C)下記一般式(I) 【化1】 (式中、RはH又はCH3基、Xは臭素又は塩素原子、mは1〜5の整数、nは10以上の整数を表す。)で表される、ハロゲン化ポリスチレン及び/又はハロゲン化ポリ-α-メチルスチレン1〜50重量部、(D)アンチモン化合物0.1〜20重量部、及び(E)強化充填剤0〜150重量部を配合してなる難燃性ポリエチレンテレフタレート系樹脂組成物であって、当該樹脂組成物から得られるASTM D-638における1号ダンベル試験片を121℃飽和加圧水蒸気下にて30時間処理した後、ASTM D-638による引張試験の最大強度の保持率が72%以上である難然性ポリエチレンテレフタレート系樹脂組成物。 【請求項2】 (A)ゲルマニウム系触媒のみを用いて重合された、エチレンテレフタレート繰り返し単位を少なくとも80%有するポリエチレンテレフタレート系樹脂100重量部に対し、(B)分子内にエポキシ基を少なくとも2個有するエポキシ化合物0.05〜20重量部、(C)下記一般式(I) 【化2】 (式中、RはH又はCH3基、Xは臭素又は塩素原子、mは1〜5の整数、nは10以上の整数を表す。)で表される、ハロゲン化ポリスチレン及び/又はハロゲン化ポリ-α-メチルスチレン1〜50重量部、(D)アンチモン化合物0.1〜20重量部、(E)強化充填剤0〜150重量部、及び(F)珪酸塩化合物及び珪酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の無機化合物0.1〜60重量部を配合してなる難燃性ポリエチレンテレフタレート系樹脂組成物であって、当該樹脂組成物から得られるASTM D-638における1号ダンベル試験片を121℃飽和加圧水蒸気下にて30時間処理した後、ASTM D-638による引張試験の最大強度の保持率が72%以上である難燃性ポリエチレンテレフタレート系樹脂組成物。 【請求項3】 分子内にエポキシ基を少なくとも2個有するエポキシ化合物が、ビスフェノールA型エポキシ化合物及びノボラック型エポキシ化合物から選ばれる少なくとも1種のエポキシ化合物である請求項1又は2記載の難燃性ポリエチレンテレフタレート系樹脂組成物。 【請求項4】 無機化合物が、タルク、マイカ、カオリン及びワラストナイトからなる群から選ばれる少なくとも1種の珪酸塩化合物である請求項2又は3記載の難燃性ポリエチレンテレフタレート系樹脂組成物。 【請求項5】 更に、ポリエステル-ポリエーテル共重合体を0.5〜50重量部配合してなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の難燃性ポリエチレンテレフタレート系樹脂組成物。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、難燃性ポリエチレンテレフタレート系樹脂組成物に関し、更に詳しくは、引張強度などの機械的強度、耐湿熱性、及び成形体の外観に優れると共に、更に、射出成形などで成形する際の離型性にも優れ、成形のハイサイクル化が可能な難燃性ポリエチレンテレフタレート系樹脂組成物に関する。 【0002】 【従来の技術】ポリエチレンテレフタレート系樹脂は、機械的特性、電気的特性などに優れるため、従来から繊維、フィルム、成形用材料などとして広く用いられている。さらに、ポリエチレンテレフタレート系樹脂にガラス繊維をはじめとする強化充填剤を配合することにより機械的強度、熱的特性が大幅に向上するため、こうして得られる強化組成物は、いわゆる機能部品用素材として好適である。近年、とりわけ電気あるいは電子部品分野で、火災に対する安全性の要求が高まり、樹脂の難燃化が行われ、各種難燃剤を添加した樹脂組成物が上市されている。ポリエステル系樹脂組成物の難燃化方法は、例えば特開昭50-92346、特開平4-198357あるいは特開平5-140427にはポリエチレンテレフタレート系樹脂にハロゲン化ポリスチレン樹脂を添加する方法、特開昭50-35257、特開昭62-15256にはハロゲン化ビスフェノールA型エポキシ樹脂を添加する方法、特開昭59-149954には高分子量ハロゲン化ビスフェノールA型フェノキシ樹脂を添加する方法などが提案されている。 【0003】また、ポリエチレンテレフタレート系樹脂は分子内にエステル結合を有するため、高温高湿度等の条件に長時間さらされるとエステル結合が加水分解を受けるため、機械的強度が徐々に低下してくる、すなわち耐湿熱性が低いという問題点がある。従って、耐湿熱性を必要とする用途への適用が制限されており改良が求められている。この問題に対し、カルボジイミド化合物を添加する方法が古くから知られており、難燃性付与と共に耐湿熱性を改善する方法としては、例えば、特開昭59-129253には高分子ハロゲン化ビスフェノールA型共重合フェノキシ樹脂と共にエポキシ化合物及び/又はカルボジイミド化合物を添加する方法が提案されている。 【0004】一方、このような難燃性樹脂分野においても、ポリエチレンテレフタレート系樹脂は結晶化速度が遅いため、射出成形用に用いる場合には、金型を高温に保ち、かつ冷却時間を長くする必要がある。近年、成形品の製造コストを更に低減することが望まれており、成形サイクルの短縮化による生産性向上が可能な樹脂が求められている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、難燃剤としてハロゲン化ビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いる場合には、射出成形する際に、該難燃剤が比較的低分子量であるため成形体表面にブリードしやすく外観が悪化するという問題がある。また、難燃剤として末端にエポキシ基を有する高分子量ハロゲン化ビスフェノールA型フェノキシ樹脂を用いた場合は、該難燃剤が高分子量であるがため樹脂の流動性の低下を招いたり、熱可塑性ポリエステルとの分散性が悪く、機械的強度の低下を招くといった問題がある。さらに、ハロゲン化ポリスチレンを添加する方法においては、ポリエステル自体の流動性や機械的強度を著しく低下させるという問題があり、この点を改良するために、特定のエポキシ化合物と三酸化アンチモンを添加させる方法(特公平1-60056)が提案されている。しかし、この方法においては機械的強度の低下が抑制されても、流動性に関しては改良効果は不十分であり、成形品表面に流れ模様が生じ易く、またハイサイクル化を行うために金型内での冷却時間を短くすると、金型からの離型性が不十分となり問題となっている。更に、耐湿熱性の要求に対しても満足な成果が得られていないのが実状である。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、以上のような問題点を解決するため鋭意検討を行った結果、ゲルマニウム系触媒を用いて重合されたポリエチレンテレフタレート系樹脂に難燃剤としてハロゲン化ポリスチレン及び/又はハロゲン化ポリ-α-メチルスチレン、難燃助剤としてアンチモン化合物を多官能エポキシ化合物と併用添加することにより、機械的強度を低下させることなく耐湿熱性が大幅に改良でき、成形体の外観にも優れることを見い出した。さらに、珪酸塩化合物及び珪酸からなる群から選ばれる無機化合物を用いることにより、射出成形などで成形する際、ハイサイクル化が可能な難燃性ポリエチレンテレフタレート系樹脂組成物が得られることを見い出し、本発明に至った。 【0007】即ち本発明の第1は、(A)ゲルマニウム系触媒のみを用いて重合された、エチレンテレフタレート繰り返し単位を少なくとも80%有するポリエチレンテレフタレート系樹脂100重量部に対し、(B)分子内にエポキシ基を少なくとも2個有するエポキシ化合物0.05〜20重量部、(C)下記一般式(I) 【0008】 【化3】 【0009】(式中、RはH又はCH3基、Xは臭素又は塩素原子、mは1〜5の整数、nは10以上の整数を表す。)で表される、ハロゲン化ポリスチレン及び/又はハロゲン化ポリ-α-メチルスチレン1〜50重量部、(D)アンチモン化合物0.1〜20重量部、及び(E)強化充填剤0〜150重量部を配合してなる難燃性ポリエチレンテレフタレート系樹脂組成物であって、当該樹脂組成物から得られるASTM D-638における1号ダンベル試験片を121℃飽和加圧水蒸気下にて30時間処理した後、ASTM D-638による引張試験の最大強度の保持率が72%以上である難燃性ポリエチレンテレフタレート系樹脂組成物を、 【0010】本発明の第2は、(A)ゲルマニウム系触媒のみを用いて重合された、エチレンテレフタレート繰り返し単位を少なくとも80%有するポリエチレンテレフタレート系樹脂100重量部に対し、(B)分子内にエポキシ基を少なくとも2個有するエポキシ化合物0.05〜20重量部、(C)下記一般式(I) 【0011】 【化4】 【0012】(式中、RはH又はCH3基、Xは臭素又は塩素原子、mは1〜5の整数、nは10以上の整数を表す。)で表される、ハロゲン化ポリスチレン及び/又はハロゲン化ポリ-α-メチルスチレン1〜50重量部、(D)アンチモン化合物0.1〜20重量部、(E)強化充填剤0〜150重量部、及び(F)珪酸塩化合物及び珪酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の無機化合物0.1〜60重量部を配合してなる難燃性ポリエチレンテレフタレート系樹脂組成物であって、当該樹脂組成物から得られるASTM D-638における1号ダンベル試験片を121℃飽和加圧水蒸気下にて30時間処理した後、ASTM D-638による引張試験の最大強度の保持率が72%以上である難燃性ポリエチレンテレフタレート系樹脂組成物を、それぞれ内容とするものである。 【0013】本発明に用いられる(A)ポリエチレンテレフタレート系樹脂は、ゲルマニウム系化合物を触媒として、酸成分としてテレフタル酸又はそのエステル形成能を有する誘導体を用い、グリコール成分としてエチレングリコール又はそのエステル形成能を有する誘導体を用いて得られるエチレンテレフタレート単位を主たる構成成分とするポリエステル樹脂である。 【0014】触媒として用いられるゲルマニウム系化合物としては、二酸化ゲルマニウム等のゲルマニウム酸化物、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウムテトライソプロポキシド等のゲルマニウムアルコキシド、水酸化ゲルマニウム及びそのアルカリ金属塩、ゲルマニウムグリコレート、塩化ゲルマニウム、酢酸ゲルマニウム等が挙げられ、これらは単独又は2種以上組み合わせて用いられる。かかるゲルマニウム系化合物の中では、二酸化ゲルマニウムが特に好ましい。 【0015】ゲルマニウム化合物の添加量は、得られる(A)ポリエチレンテレフタレート系樹脂に対して0.005〜0.1重量%が好ましく、より好ましくは、0.01〜0.05重量%である。0.005重量%未満では、ポリエチレンテレフタレート系樹脂の重合が進行しにくく、また0.1重量%を越えると、得られた樹脂に多くのゲルマニウム系触媒が残存するため好ましくない副反応が生じる場合がある。また、添加時期は重合反応開始前の任意の時点でよい。 【0016】また、このポリエチレンテレフタレート系樹脂には、難燃性や成形性、離型性、機械的特性等を損なわない範囲で、共重合可能な公知の成分が使用できる。該成分としては炭素数8〜22の2価以上の芳香族カルボン酸、炭素数4〜12の2価以上の脂肪族カルボン酸、更には炭素数8〜15の2価以上の脂環式カルボン酸などのカルボン酸類及びこれらのエステル形成性誘導体、炭素数3〜15の脂肪族化合物、炭素数6〜20の脂環式化合物、炭素数6〜40の芳香族化合物であって分子内に2個以上の水酸基を有する化合物類、及びこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。 【0017】具体的には、カルボン酸類としては、テレフタル酸以外に、例えばイソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビス(p-カルボキシフェニル)メタンアントラセンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、1,2-ビス(フェノキシ)エタン-4,4’-ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、マレイン酸、トリメシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、デカヒドロナフタレンジカルボン酸などのカルボン酸又はそのエステル形成能を有する誘導体が挙げられ、水酸基含有化合物類としては、エチレングリコールの他に、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、デカンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、2,2’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2’-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、ハイドロキノン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の化合物又はそのエステル形成能を有する誘導体が挙げられる。また、p-オキシ安息香酸、p-ヒドロキシエトキシ安息香酸のようなオキシ酸及びこれらのエステル形成性誘導体、ε-カプロラクトンのような環状エステル等も使用可能である。更に、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(エチレンオキサイド・プロピレンオキサイド)ブロック及び/又はランダム共重合体、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加重合体、ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加重合体、ビスフェノールAのテトラヒドロフラン付加重合体、ポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレングリコール単位を高分子鎖中に一部共重合させたものを用いることもできる。これらは単独又は2種以上組み合わせて用いられる。上記成分の共重合量としては概ね20重量%以下であり、好ましくは15重量%以下、更に好ましくは10重量%以下である。 【0018】該ポリエチレンテレフタレート系樹脂の固有粘度〔フェノール:1,1,2,2-テトラクロロエタン=1:1(重量比)混合溶媒を用い、25℃で測定した〕は0.35以上であり、好ましくは0.4〜1.20、更に好ましくは0.50〜0.95である。0.35未満では機械的強度が不充分であり、また1.20を越えると成形性の低下が見られるので好ましくない。該ポリエチレンテレフタレート系樹脂は単独、又は共重合成分及び/又は固有粘度の異なるものを2種以上混合して用いられる。 【0019】ポリエチレンテレフタレート系樹脂の製造方法は、用いる触媒以外は特に限定されず、公知の重合方法を用いることができる。例えば、まず、テレフタル酸とエチレングリコールとを無触媒又は触媒の存在下に直接エステル化させる方法、テレフタル酸ジメチルとエチレングリコールとを触媒の存在下にエステル交換させる方法などによって低重合度の重合体を合成し、次いでこの低重合度の重合体とゲルマニウム系化合物とを、例えば約250〜300℃程度の温度、例えば1Torr以下の真空下に保ち、溶融重縮合あるいは固相重縮合によって縮合重合を行い、ポリエチレンテレフタレート系樹脂を製造する方法を挙げることができる。 【0020】低重合度の重合体を縮合重合させる際に、ゲルマニウム系化合物以外の化合物、例えばアンチモン系触媒などを用いて重合されたポリエチレンテレフタレート系樹脂を用いた場合、詳細な理由は今のところ不明であるが、高温高湿度下に保持されたときの機械的強度などの低下が大きく耐湿熱性が充分でない。これは、ゲルマニウム系化合物以外の化合物を用いて得られたポリエチレンテレフタレート系樹脂は、加水分解反応を生じやすいことに因るものと推定される。 【0021】なお、ポリエチレンテレフタレート系樹脂を製造する際には、着色、熱劣化、酸化劣化などを抑制するなどの目的でフェノール系酸化防止剤、燐系化合物または酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤などの酸化防止剤、熱安定剤、着色防止剤、触媒失活剤などを反応前、反応途中あるいは反応終了後に添加してもよい。 【0022】本発明に用いられる(B)分子内にエポキシ基を少なくとも2個有するエポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールAとエピクロルヒドリン等との反応により合成されるビスフェノールA型エポキシ樹脂、同様の反応により合成されるビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック樹脂とエピクロルヒドリン等との反応により合成されるノボラック型エポキシ樹脂、多価の脂肪族、脂環式、芳香族アルコールとエピクロルヒドリンとの反応により合成されるグリシジルエーテル化合物、多価の脂肪族、脂環式、芳香族カルボン酸とエピクロルヒドリン等との反応により合成されるグリシジルエステル化合物、不飽和基を複数個有する脂肪族もしくは脂環式化合物を酢酸と過酢酸とでエポキシ化したエポキシ化合物、多価の脂肪族、脂環式、芳香族アミンとエピクロルヒドリンとの反応により合成されるグリシジルアミン化合物、含窒素ヘテロ環を複数個有する化合物とエピクロルヒドリン等との反応により合成されるエポキシ化合物、等が挙げられる。 【0023】これらの具体例としては、例えばエピコート828、エピコート1001、エピコート152(共に油化シェルエポキシ株式会社製の登録商標)、デナコールEM-125、デナコールEX-1101、デナコールEX-1102、デナコールEX-1103(共に長瀬化成工業株式会社製の登録商標)、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等のアルキレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリブタンジオールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル、ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、エリスリットポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ヒドロキノンジグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、ジグリシジルアニリン、テトラグリシジル4,4′-ジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、高級油脂のポリエポキシ化物等が挙げられる。これらは単独あるいは2種以上組み合わせて用いられる。 【0024】(B)エポキシ化合物の使用量は、(A)ポリエチレンテレフタレート系樹脂100重量部に対して、0.05〜20重量部、好ましくは0.1〜15重量部、さらに好ましくは0.15〜10重量部である。(B)エポキシ化合物が0.05重量部未満の場合には、得られた成形体の機械的強度、流動性、耐湿熱性等の改善効果が少なく、20重量部を越えると得られる組成物の流動性が低下し、成形加工性が大幅に劣り、機械的強度も劣る。 【0025】本発明に用いられる、(C)ハロゲン化ポリスチレン、ハロゲン化ポリ-α-メチルスチレンとしては、ポリジブロモスチレン、ポリトリブロモスチレン、ポリペンタブロモスチレン、ポリジクロロスチレン、ポリトリクロロスチレン、ポリペンタクロロスチレン、ポリトリブロモα-メチルスチレン等が挙げられる。ハロゲン化ポリスチレン又はハロゲン化ポリ-α-メチルスチレンは、ハロゲン化スチレン又はハロゲン化-α-メチルスチレンを重合するか、又はポリスチレン又はポリ-α-メチルスチレンをハロゲン化することにより製造される。該ハロゲン含有率は好ましくは20重量%以上、さらに好ましくは25重量%以上である。ハロゲン化率が20重量%未満の場合、難燃性が不十分であるので好ましくない。また、一般式(I)中、Xは臭素原子であることが難燃性の点から好ましい。また、nが9以下では機械的強度、成形体の外観に劣る。 【0026】ハロゲン化ポリスチレン及び/又はハロゲン化ポリ-α-メチルスチレンの使用量は、(A)ポリエチレンテレフタレート系樹脂100重量部に対し、1〜50重量部、好ましくは10〜30重量部である。1重量部未満では難燃性が充分でなく、50重量部を越えると機械的強度が劣ると共に、成形体外観が劣る。 【0027】本発明の組成物には(D)アンチモン化合物を添加することにより難燃効果が著しく高められると共に、エポキシ化合物と併用添加することにより熱安定性や成形体の外観が高められる。アンチモン化合物としては、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウム、燐酸アンチモンなどが挙げられる。 【0028】該アンチモン化合物は単独あるいは2種以上混合して用いられ、その使用量は、(A)ポリエチレンテレフタレート系樹脂100重量部に対して、0.1〜20重量部、好ましくは1〜15重量部である。0.1重量部未満では難燃性が不充分であり、20重量部を越えると該難燃性ポリエチレンテレフタレート系樹脂組成物の機械的強度が低下する。 【0029】本発明の難燃性ポリエチレンテレフタレート系樹脂組成物は、以上の成分のほかに、更に(E)強化充填剤を含めた組成物、すなわち強化難燃性ポリエチレンテレフタレート系組成物も包含するものであり、公知の強化充填剤がそのまま使用できる。例えば、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウム繊維、ガラスビーズ、ガラスフレーク、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどが挙げられる。該強化充填剤としては、ガラス繊維、カーボン繊維等の繊維状強化剤が好ましく、作業性の面から、集束剤にて処理されたチョップドストランドガラス繊維を用いるのが好ましい。また、樹脂と繊維状強化剤との密着性を高めるため、繊維状強化剤の表面をカップリング剤で処理したものが好ましく、バインダーを用いたものであってもよい。 【0030】前記カップリング剤としては、例えばγ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン化合物が、またバインダーとしては、例えばエポキシ樹脂、ウレタン樹脂等が好ましく用いられるが、これらに限定されるものではない。これらのカップリング剤、バインダーはそれぞれ単独又は2種以上組み合わせて用いられる。 【0031】該強化充填剤にガラス繊維を用いる場合、直径1〜20μm、長さ0.01〜50mm程度が好ましい。繊維長が短すぎると強化の効果が充分でなく、逆に、長すぎると押出加工性、成形加工性や成形品の表面性などが悪くなるので好ましくない。 【0032】該強化充填剤は1種又は2種以上混合して使用できる。かかる強化充填剤の使用量は(A)ポリエチレンテレフタレート系樹脂100重量部に対して150重量部までであり、好ましくは120重量部までである。更に好ましくは2〜100重量部である。強化充填剤の使用量が150重量部を越えると押出加工性、成形加工性が低下する。 【0033】更に本発明では(F)珪酸塩化合物及び珪酸からなる群から選ばれる1種以上の無機化合物を用いることにより、離型性を向上させることができ、成形ハイサイクル化の要求に対して充分満足できる組成物を得ることができる。該無機化合物の中で、珪酸塩化合物とは化学組成にしてSiO2単位を含む粉体状、粒状、針状、板状などの形状を持つ化合物であって、例えば、珪酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、タルク、マイカ、ワラストナイト、カオリン、珪藻土、ベントナイト、クレーなどが挙げられる。なかでもタルク、マイカ、カオリン、ワラストナイトが好ましい。 【0034】かかる無機化合物は1種あるいは2種以上混合して使用でき、その使用量は、(A)ポリエチレンテレフタレート系樹脂100重量部に対して、0.1〜60重量部、好ましくは1〜45重量部、さらに好ましくは2〜30重量部である。使用量が0.1重量部未満の場合、流動性、離型性に対して効果が小さくなり、60重量部を越えた場合、難燃性樹脂組成物の機械的強度が低下する。該無機化合物は上記ポリエチレンテレフタレート系樹脂を製造する際、反応前、反応途中あるいは反応終了後に添加してもよいし、本発明の組成物を製造する際に難燃剤、アンチモン化合物、エポキシ化合物と共に添加してもよい。 【0035】本発明の難燃性ポリエチレンテレフタレート系樹脂組成物には、結晶化促進剤を添加することにより、更に離型性を向上させると共に、成形体表面の光沢を向上させることができ、特に低温金型での離型性及び表面光沢を向上させることができる。該結晶化促進剤としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(エチレンオキサイド・プロピレンオキサイド)ブロック及び/又はランダム共重合体、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノール類のエチレンオキシド付加重合体、ビスフェノール類のプロピレンオキシド付加重合体、ビスフェノール類のテトラヒドロフラン付加重合体等のポリアルキレングリコールあるいはその末端エポキシ変性化合物、末端エステル変性化合物といったポリアルキレングリコール類、ポリ-ε-カプロラクトン等の脂肪族ポリエステル類、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート等のポリエステル系単位と、下記一般式(II)及び/又は一般式(III) 【0036】 【化5】 【0037】(式中、R1は炭素数2〜5のアルキル基を、kは5以上の整数で、k個のR1はそれぞれ異なってもよい) 【0038】 【化6】 【0039】(式中、R2は炭素数2〜5のアルキル基を、Xは2価の結合基又は直接結合を表し、p及びqはそれぞれ1以上の整数で且つp+qは3以上の整数を表し、p及びq個のR2はそれぞれ異なってもよい)で表される分子量400以上のポリエーテル単位とからなる、ポリエチレンテレフタレート系樹脂よりもガラス転移温度の低いポリエステル-ポリエーテル共重合体、ポリエチレンテレフタレート-ポリ-ε-カプロラクトン共重合体、ポリテトラメチレングリコール-ポリ-ε-カプロラクトン共重合体等の、ポリエチレンテレフタレート系樹脂よりもガラス転移温度の低いポリエステル-脂肪族ポリエステル共重合体、ネオペンチルグリコールジベンゾエート、ジオクチルフタレート、トリフェニルホスフェート、ブタン-1,3-ジオールアジペートオリゴマー、ブタン-1,4-ジオールアジペートオリゴマー、ヘキサン-1,6-ジオールアジベートオリゴマー、ジブチルセバケート、ジオクチルセバケートといった可塑剤等が挙げられ、これらは単独又は2種以上組み合わせて用いられる。結晶化促進剤として酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウムといった有機カルボン酸金属塩あるいは高分子化合物のカルボン酸金属塩を用いた場合は、耐湿熱性が低下するので好ましくない。 【0040】上記結晶化促進剤のなかで、機械的強度、耐熱性やブルーミング性等の点からポリエステル-ポリエーテル共重合体が好ましい。該共重合体のポリエステル単位としては、エチレンテレフタレート単位及び/又はテトラメチレンテレフタレート単位を主たる構成成分とするポリアルキレンテレフタレートが機械的強度、成形性や離型性などの点から好ましい。 【0041】また、ポリエーテル単位としては、一般式(II)及び/又は一般式(III)で表される単位であって、一般式(II)中のR1の具体例としては、例えばエチレン、プロピレン、イソプロピレン、テトラメチレン基等が挙げられ、一般式(III)中のR2の具体例としては、例えばエチレン、プロピレン、イソプロピレン、テトラメチレン等が挙げられ、更にXの具体例としては、例えば、-C(CH3)2-、-CH2-、-S-、-SO2-、-CO-等の2価の結合基、あるいは直接結合が挙げられる。更に、ポリエーテル単位においては、一般式(II)中のkは5以上の整数、一般式(III)中のp及びqは1以上の正数であってかつ、p+qは3以上である整数を表し、いずれも分子量が400以上の単位である。ポリエーテル単位の分子量としては、より好ましくは600〜6000、更に好ましくは800〜3000である。分子量が400未満では、難燃性樹脂組成物の離型性や成形体の表面光沢改善の効果が小さく、6000を越えると均質な共重合体が得られ難くなり、難燃性樹脂組成物に添加した場合、機械的強度の低下などを招くので好ましくない。 【0042】該ポリエーテル単位の具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリ(エチレンオキシド・プロピレンオキシド)共重合体、ポリ(エチレンオキシド・プロピレンオキシド・テトラヒドロフラン)共重合体、ビスフェノールAあるいはビスフェノールSなどのビスフェノール類のエチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフランなどのアルキレンオキシド付加重合体などの残基が挙げられる。これらは、単独あるいは2種以上混合して用いられるが、特に、一般式(III)で表されるポリエーテル単位を1種以上からなる場合、熱安定性及び得られる難燃性樹脂組成物を低温金型で成形した場合の離型性及び成形体の表面性などの点から好ましい。これらの中では、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加重合体、ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加重合体、ビスフェノールAのテトラヒドロフラン付加重合体、ビスフェノールAのエチレンオキシド・プロピレンオキシド付加重合体、ビスフェノールSのエチレンオキシド付加重合体、ビスフェノールSのプロピレンオキシド付加重合体、ビスフェノールSのテトラヒドロフラン付加重合体、ビスフェノールSのエチレンオキシド・プロピレンオキシド付加重合体などが好ましく用いられる 。 【0043】該共重合体におけるポリエーテル単位の共重合量は、得られた共重合体100重量%において、3〜60重量%、好ましくは20〜55重量%、更に好ましくは25〜50重量%である。3重量%未満では、低温金型で成形した際の離型性や表面光沢が不充分であり、60重量%を越えると成形体の機械的強度や耐湿熱性等が低下する傾向があるので好ましくない。 【0044】該共重合体の固有粘度は0.35以上であり、好ましくは0.40〜2.00、更に好ましくは0.50〜1.50である。固有粘度が0.35未満では得られる難燃性樹脂組成物の耐熱性の低下が見られ、2.00を越えると分散性が低下して、得られる難燃性樹脂組成物の機械的強度が低下するので好ましくない。 【0045】該結晶化促進剤の添加量は結晶化促進剤の種類及び分子量によっても異なるが、概ね、(A)ポリエチレンテレフタレート系樹脂100重量部に対して0.05〜50重量部であり、例えば、ポリアルキレングリコール類、脂肪族ポリエステル類、可塑剤などの低分子量の結晶化促進剤の場合は、0.05〜30重量部、上記ポリエステル-ポリエーテル共重合体あるいはポリエステル-脂肪族ポリエステル共重合体などの場合は0.5〜50重量部である。更に、ポリエステル-ポリエーテル共重合体の添加量において、好ましくは1〜40重量部、更に好ましくは2〜35重量部である。添加量が上記の下限量未満では、低温金型での離型性や表面光沢が不充分であり、また、上記の上限量を越えると、難燃性樹脂組成物の機械的強度、耐熱性や耐湿熱性等が低下するので好ましくない。 【0046】本発明の組成物には、本発明を損なわない範囲でさらに他の任意の熱可塑性あるいは熱硬化性の樹脂、例えばポリエチレンテレフタレート系樹脂以外の飽和あるいは不飽和のポリエステル系樹脂、液晶ポリエステル系樹脂、ポリエステルエステルエラストマー系樹脂、ポリエステルエーテルエラストマー系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ゴム質重合体強化スチレン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、等を単独あるいは2種以上あわせて添加してもよい。 【0047】また必要に応じて、通常良く知られた結晶核剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、離型剤、可塑剤、紫外線吸収剤、光安定剤、顔料、染料、帯電防止剤、分散剤、相溶化剤、抗菌剤等の添加剤を単独又は2種類以上併せて使用することができる。 【0048】本発明の難燃性ポリエチレンテレフタレート系樹脂組成物の製造方法は特に限定されるものではない。例えば上記に挙げられた成分を予め均一に混合した後、単軸あるいは多軸の押出機に供給し、250〜300℃で溶融混合され、続いて冷却してペレットとして製造される。 【0049】本発明の熱可塑性樹脂組成物の成形加工法は特に限定されるものではなく、熱可塑性樹脂について一般に用いられている成形法、すなわち射出成形、中空成形、押出成形、シート成形、ロール成形、プレス成形、積層成形、溶融キャスト法によるフィルム成形、紡糸等の成形方法が適用できる。 【0050】 【実施例】以下、本発明を実施例によって更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下では特に断りがない限り、「部」は重量部を、「%」は重量%を意味する。 【0051】評価方法 得られた樹脂組成物を熱風乾燥機を用いて140℃で4時間乾燥後、50t射出成形機を用い、シリンダー温度270℃、金型温度120℃にて成形を行い、厚み1/16インチ(幅12mm、長さ127mm)バー、ASTM1号ダンベル試験片を得て、以下の物性測定に供した。 【0052】<引張強度>ASTM D-638に従い、ダンベルの引張試験を行い、最大強度を求めた。 <耐湿熱性>試験片を121℃飽和加圧水蒸気下にて30時間処理した後、ASTM D-638による引張試験の最大強度を評価し、処理前の同サンプルに対する保持率(%)を求めた。 <難燃性>1/16インチバーを用いて、UL94に記載された垂直燃焼試験法に従い難燃性を評価した。 <成形体表面外観性の評価>バー及びダンベルの表面を目視にて観察し、次の基準にて判定評価した。 ○:良好 △:若干光沢悪いあるいはべたつきあり ×:光沢悪いあるいはべたつきあり <ハイサイクル成形性>1/4インチ(幅12mm、長さ127mm)バーの成形を行い、形崩れが無く、外観が良好となる成形体を得ることのできる最短の冷却時間(秒)で評価した。冷却時間が短いほど、ハイサイクル成形性に優れていることを示す。尚、成形は、シリンダー温度300℃、金型温度140℃とし、射出保圧時間を一定にし、冷却時間を変化させて行った。 <表面光沢>得られた樹脂組成物を140℃にて4時間以上乾燥した後、50t射出成形機にてシリンダー温度270℃、金型温度90℃にて平板(厚み2mm、縦横120mm)を成形し、表面の光沢を目視にて観察して、次の基準にて判定評価した。 ○:良好、△:若干光沢悪い、×:光沢悪い。 【0053】実施例1 (A-1)ポリエチレンテレフタレート系樹脂として二酸化ゲルマニウムを重合触媒として製造された固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレートを100部、(B-1)エポキシ化合物としてビスフェノールA型ジエポキシド(エピコート828:油化シェルエポキシ株式会社製商品名:エポキシ当量189)を2部、(C-1)ハロゲン化ポリスチレンとして臭素化ポリスチレン(パイロチェック68PB:日産フェロ有機化学株式会社製商品名:臭素含有率68%)を20部、(D-1)三酸化アンチモン(酸化アンチモンC:住友金属鉱山株式会社製商品名)を4部混合し、さらにチオエーテル系安定剤(アデカスタブAO-412S:旭電化株式会社製商品名)を0.3部加え、スーパーミキサーにて攪拌した後、ベント付き二軸押出機(TEX44:日本製鋼所株式会社製商品名)にて、バレル温度260℃に設定し、ホッパーから投入した。さらに、同押出機のサイドフィーダーから(E-1)強化充填剤としてガラス繊維(T-195H/PS:日本電気硝子株式会社製商品名)を52部投入して溶融押出することにより、樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の評価結果を表1に示す。 【0054】実施例2〜8 (A-2)ポリエチレンテレフタレート系樹脂として二酸化ゲルマニウムを重合触媒として製造された固有粘度0.85のポリエチレンテレフタレート、(B-2)エポキシ化合物としてノボラック型ポリエポキシド(エピコート157S70:油化シェルエポキシ株式会社製商品名:エポキシ当量210)、(D-2)アンチモン化合物としてアンチモン酸ナトリウム(サンエポックNA-1070L:日産化学株式会社製商品名)、(D-3)アンチモン化合物として五酸化アンチモン(サナフレームAM:讃岐化学株式会社製商品名)を用い、表1中に示す割合で混合した以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の評価結果を表1に示す。該樹脂組成物の評価結果を表1に示す。 【0055】比較例1 (A-3)ポリエチレンテレフタレート系樹脂として、三酸化アンチモンを重合触媒として製造された固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレートを用いた以外は全て実施例1と同様な方法にて樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の評価結果を表2に示す。 【0056】比較例2〜7 (A)〜(E)等にそれぞれ表2のものを用い、表2中に示す割合で混合した以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の評価結果を表2に示す。 【0057】 【表1】 【0058】 【表2】 【0059】実施例1〜8である表1と比較例1〜7である表2を比較して明らかであるように、本発明の組成物はいずれも機械的強度、耐湿熱性、難燃性のいずれにおいても優れており、更には成形体の外観も良好であることがわかる。 【0060】実施例9 (A-1)ポリエチレンテレフタレート系樹脂として二酸化ゲルマニウムを重合触媒として製造された固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレートを100部、(B-1)エポキシ化合物としてビスフェノールA型ジエポキシド(エピコート828:油化シェルエポキシ株式会社製商品名:エポキシ当量189)を2部、(C-1)ハロゲン化ポリスチレンとして臭素化ポリスチレン(パイロチェック68PB:日産フェロ有機化学株式会社製商品名:臭素含有率68%)を20部、(D-1)三酸化アンチモン(酸化アンチモンC:住友金属鉱山株式会社製商品名)を4部、(F-1)無機化合物としてタルク(ミクロエースK-1:日本タルク株式会社製商品名)を6部混合し、さらにチオエーテル系安定剤(アデカスタブAO-412S:旭電化株式会社製商品名)を0.3部加え、スーパーミキサーにて攪拌した後、ベント付き二軸押出機(TEX44:日本製鋼所株式会社製商品名)にて、バレル温度260℃に設定し、ホッパーから投入した。さらに、同押出機のサイドフィーダーから(E-1)強化充填剤としてガラス繊維(T-195H/PS:日本電気硝子株式会社製商品名)を50部投入して溶融押出することにより、樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の評価結果を表3に示す。 【0061】実施例10〜16 (F-2)マイカ(A-21S:山口雲母株式会社製商品名)、(F-3)カオリン(SATINTON No.5:ENGELHARD製商品名)、(F-4)ワラストナイト(NYAD325:NYCO製商品名)を用い、表3中に示す割合で混合した以外は実施例8と同様にして、樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の評価結果を表3に示す。尚、参考までに、実施例1の樹脂組成物についても同様の評価を行い、その結果も表3に示す。 【0062】比較例8〜12 (A)〜(F)等にそれぞれ表4のものを用い、表4中に示す割合で混合した以外は実施例8と同様にして、樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の評価結果を表4に示す。 【0063】 【表3】 【0064】 【表4】 【0065】実施例9〜16である表3と比較例8〜12である表4を比較して明らかであるように、本発明の組成物はいずれも機械的強度、耐湿熱性、難燃性、ハイサイクル成形性のいずれにおいても優れており、更には成形体の外観も良好であることがわかる。 【0066】参考例1 二酸化ゲルマニウムを触媒として製造されたポリエチレンテレフタレートオリゴマー(平均エチレンテレフタレート単位数約5〜8)を3500g、平均分子量約1000のビスフェノールAのエチレンオキシド付加重合体を1500gを10リットル容積のオートクレーブ(日本耐圧ガラス製)に投入して、窒素気流下で攪拌しながら290℃まで昇温した後、1Torr以下まで減圧した。1Torr以下に達してから3時間攪拌した後、窒素で常圧までもどし重合を終了し、共重合体(1)を得た。得られた共重合体の固有粘度は0.7であった。 【0067】参考例2 ポリテトラメチレンテレフタレート(固有粘度0.9:鐘紡株式会社製)を3500g、平均分子量約1000のビスフェノールAのエチレンオキシド付加重合体を1500gを10リットル容積のオートクレーブ(日本耐圧ガラス製)に投入して、窒素気流下で攪拌しながら260℃まで昇温した後、1Torr以下まで減圧した。1Torr以下に達してから3時間攪拌した後、窒素で常圧までもどし重合を終了し、共重合体(2)を得た。得られた共重合体の固有粘度は0.8であった。 【0068】実施例17 (A-1)ポリエチレンテレフタレート系樹脂として二酸化ゲルマニウムを重合触媒として製造された固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレートを100部、(B-1)エポキシ化合物としてビスフェノールA型ジエポキシド(エピコート828:油化シェルエポキシ株式会社製商品名:エポキシ当量189)を2部、(C-1)ハロゲン化ポリスチレンとして臭素化ポリスチレン(パイロチェック68PB:日産フェロ有機化学株式会社製商品名:臭素含有率68%)を20部、(D-1)アンチモン化合物として三酸化アンチモン(酸化アンチモンC:住友金属鉱山株式会社製商品名)を4部、(E-1)強化充填剤としてガラス繊維(T-195H/PS:日本電気硝子株式会社製商品名)を50部、参考例1で得られた共重合体(1)を10部、チオエーテル系安定剤(アデカスタブAO-412S:旭電化株式会社製商品名)を0.3部からなる樹脂組成物を実施例1と同様な方法で得た。表面光沢の評価結果を表5に示す。 【0069】実施例18〜22 (A)〜(F)等にそれぞれ表5のものを用い、表5中に示す割合で混合した以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物を得た。表面光沢の評価結果を表5に示す。尚、参考までに実施例1、8の樹脂組成物についても同様に評価し、その結果も表5に示す。 【0070】 【表5】 【0071】表5より、共重合体(1)又は(2)を添加することにより、低温金型で成形した場合でも、表面光沢が良好であることがわかる。 【0072】 【発明の効果】本発明によれば、機械的強度、耐湿熱製、難燃性、流動性のいずれにおいても優れた組成物を得ることができ、また成形体の外観も良好である。さらに珪酸塩化合物の添加によりハイサイクル成形性に優れた難燃性ポリエステル系樹脂組成物を提供することが可能であり、工業的にも極めて有用である。 |
訂正の要旨 |
(a)請求項1〜5を特許請求の範囲の減縮を目的として、次の通りに訂正する。 「[請求項1] (A)ゲルマニウム系触媒のみを用いて重合された、エチレンテレフタレート繰り返し単位を少なくとも80%有するポリエチレンテレフタレート系樹脂100重量部に対し、(B)分子内にエポキシ基を少なくとも2個有するエポキシ化合物0.05〜20重量部、(C)下記一般式(I) [化1] (式中、RはH又はCH3基、Xは臭素又は塩素原子、mは1〜5の整数、nは10以上の整数を表す。)で表される、ハロ チレン1〜50重量部、(D)アンチモン化合物0.1〜20重量部、及び(E)強化充填剤0〜150重量部を配合してなる難燃性ポリエチレンテレフタレート系樹脂組成物であって、当該樹脂組成物から得られるASTM D-638における1号ダンベル試験片を121℃飽和加圧水蒸気下にて30時間処理した後、ASTM D-638による引張試験の最大強度の保持率が72%以上である難燃性ポリエチレンテレフタレート系樹脂組成物。 [請求項2] (A)ゲルマニウム系触媒のみを用いて重合された、エチレンテレフタレート繰り返し単位を少なくとも80%有するポリエチレンテレフタレート系樹脂100重量部に対し、(B)分子内にエポキシ基を少なくとも2個有するエポキシ化合物0.05〜20重量部、(C)下記一般式(I) [化2] (式中、RはH又はCH3基、Xは臭素又は塩素原子、mは1〜5の整数、nは10以上の整数を表す。)で表される、ハロ チレン1〜50重量部、(D)アンチモン化合物0.1〜20重量部、(E)強化充填剤0〜150重量部、及び(F)珪酸塩化合物及び珪酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の無機化合物0.1〜60重量部を配合してなる難燃性ポリエチレンテレフタレート系樹脂組成物であって、当該樹脂組成物から得られるASTM D-638における1号ダンベル試験片を121℃飽和加圧水蒸気下にて30時間処理した後、ASTMD-638による引張試験の最大強度の保持率が72%以上である難燃性ポリエチレンテレフタレート系樹脂組成物。 [請求項3] 分子内にエポキシ基を少なくとも2個有するエポキシ化合物が、ビスフェノールA型エポキシ化合物及びノボラック型エポキシ化合物から選ばれる少なくとも1種のエポキシ化合物である請求項1又は2記載の難燃性ポリエチレンテレフタレート系樹脂組成物。 [請求項4] 無機化合物が、タルク、マイカ、カオリン及びワラストナイトからなる群から選ばれる少なくとも1種の珪酸塩化合物である請求項2又は3記載の難燃性ポリエチレンテレフタレート系樹脂組成物。 [請求項5] 更に、ポリエステル-ポリエーテル共重合体を0.5〜50重量部配合してなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の難燃性ポリエチレンテレフタレート系樹脂組成物。」 (b)特許請求の範囲の訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明との整合を図るため、明瞭でない記載の釈明を目的として、特許公報第3頁右欄第7行〜同頁左欄第44行を、次の通りに訂正する。 「「0007]即ち本発明の第1は、(A)ゲルマニウム系触媒のみを用いて重合された、エチレンテレフタレート繰り返し単位を少なくとも80%有するポリエチレンテレフタレート系樹脂100重量部に対し、(B)分子内にエポキシ基を少なくとも2個有するエポキシ化合物0.05〜20重量部、(C)下記一般式(I) [0008] [化3] [0009](式中、RはH又はCH3基、Xは臭素又は塩素原子、mは1〜5の整数、nは10以上の整数を表す。)で表される、ハロゲン化ポリスチレン及び/又はハロゲン化ポリ- 0.1〜20重量部、及び(E)強化充填剤0〜150重量部を配合してなる難燃性ポリエチレンテレフタレート系樹脂組成物であって、当該樹脂組成物から得られるASTM D-638における1号ダンベル試験片を121℃飽和加圧水蒸気下にて30時間処理した後、ASTM D-638による引張試験の最大強度の保持率が72%以上である難燃性ポリエチレンテレフタレート系樹脂組成物を、 [0010]本発明の第2は、(A)ゲルマニウム系触媒のみを用いて重合された、エチレンテレフタレート繰り返し単位を少なくとも80%有するポリエチレンテレフタレート系樹脂100重量部に対し、(B)分子内にエポキシ基を少なくとも2個有するエポキシ化合物0.05〜20重量部、(C)下記一般式(I) [0011] [化4] [0012](式中、RはH又はCH3基、Xは臭素又は塩素原子、mは1〜5の整数、nは10以上の整数を表す。)で表される、ハロゲン化ポリスチレン及び/又はハロゲン化ポリ- 0.1〜20重量部、(E)強化充填剤0〜150重量部、及び(F)珪酸塩化合物及び珪酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の無機化合物0.1〜60重量部を配合してなる難燃性ポリエチレンテレフタレート系樹脂組成物であって、当該樹脂組成物から得られるASTM D-638における1号ダンベル試験片を121℃飽和加圧水蒸気下にて30時間処理した後、ASTM D-638による引張試験の最大強度の保持率が72%以上である難燃性ポリエチレンテレフタレート系樹脂組成物を、それぞれ内容とするものである。 」 |
異議決定日 | 2003-02-14 |
出願番号 | 特願平7-79705 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
YA
(C08L)
|
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 森川 聡 |
特許庁審判長 |
三浦 均 |
特許庁審判官 |
石井 あき子 佐々木 秀次 |
登録日 | 2001-07-27 |
登録番号 | 特許第3215285号(P3215285) |
権利者 | 鐘淵化学工業株式会社 |
発明の名称 | 難燃性ポリエチレンテレフタレート系樹脂組成物 |
代理人 | 渡辺 みのり |
代理人 | 野田 慎二 |
代理人 | 安富 康男 |
代理人 | 佐藤 明子 |
代理人 | 安富 康男 |
代理人 | 野田 慎二 |
代理人 | 玉井 敬憲 |
代理人 | 渡辺 みのり |
代理人 | 佐藤 明子 |
代理人 | 玉井 敬憲 |