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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H01L
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  H01L
管理番号 1076448
異議申立番号 異議2002-70622  
総通号数 42 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1999-07-21 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-03-11 
確定日 2003-04-16 
異議申立件数
事件の表示 特許第3206566号「熱処理装置及び熱処理方法」の請求項1ないし10に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第3206566号の請求項1ないし10に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第3206566号の請求項1ないし10に係る発明についての出願は、平成2年2月6日(優先権主張平成1年2月14日)に出願した特願平2-26871号の一部を平成10年10月15日に新たな特許出願としたものであって、平成13年7月6日にその発明について特許権の設定登録がされ、その後平成14年3月11日に、その特許について、特許異議申立人藤野研治により特許異議の申立てがなされ、平成14年6月6日に取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成14年8月8日に訂正請求がなされ、平成14年11月12日に訂正拒絶理由通知がなされ、その指定期間内である平成15年1月21日に手続補正書が提出されたものである。

2.訂正の適否についての判断
2-1.訂正請求に対する補正の適否についての判断
2-1-1.訂正請求に対する補正の内容
特許権者は、平成15年1月21日付けの手続補正書によって、平成14年8月8日付けの訂正請求書の「(3)訂正の要旨」の欄の訂正事項a〜訂正事項fの記載を、以下(1)〜(6)のとおり補正するものである。
(1)訂正請求書の第2頁第17〜20行に記載された「板状の被加熱材の少なくとも表面に対向して前記被加熱材の形状に合わせて全面にわたり配置される複数の点状光源と、前記複数の点状光源を前記被加熱材の形状に合わせた略同心状の複数の制御ゾーンに区分けし、」を「板状の被加熱材の少なくとも一方の板面に対向して前記被加熱材の形状に合わせて全面にわたり配置される複数の点状光源と、前記複数の点状光源を前記被加熱材の形状に合わせた略同心状の複数の制御ゾーンに区分けし、」と補正する。
(2)訂正請求書の第2頁第24〜26行に記載された「板状の被加熱材の少なくとも表面に対向して前記被加熱材の形状に合わせて全面にわたり配置された複数の球状ランプと、前記複数の球状ランプを前記被加熱材の形状に合わせた略同心状の複数の制御ゾーンに区分けし、」を「板状の被加熱材の少なくとも一方の板面に対向して前記被加熱材の形状に合わせて全面にわたり配置された複数の球状ランプと、前記複数の球状ランプを前記被加熱材の形状に合わせた略同心状の複数の制御ゾーンに区分けし、」と補正する。
(3)訂正請求書の第2頁第31行〜第3頁第2行に記載された「板状の被加熱材の少なくとも表面に前記被加熱材の形状に合わせて全面にわたり複数の点状光源を対向して配置し、前記複数の点状光源を前記被加熱材の形状に合わせた略同心状の複数の制御ゾーンに区分けし、」を「板状の被加熱材の少なくとも一方の板面に前記被加熱材の形状に合わせて全面にわたり複数の点状光源を対向して配置し、前記複数の点状光源を前記被加熱材の形状に合わせた略同心状の複数の制御ゾーンに区分けし、」と補正する。
(4)訂正請求書の第3頁第7〜11行に記載された「板状の被加熱材の少なくとも表面に、光を反射する筒状反射部に包囲された球状ランプを前記被加熱材の形状に合わせて全面にわたり複数対向させて配置し、前記複数の球状ランプを前記被加熱材の形状に合わせた略同心状の複数の制御ゾーンに区分けし、」を「板状の被加熱材の少なくとも一方の板面に、光を反射する筒状反射部に包囲された球状ランプを前記被加熱材の形状に合わせて全面にわたり複数対向させて配置し、前記複数の球状ランプを前記被加熱材の形状に合わせた略同心状の複数の制御ゾーンに区分けし、」と補正する。
(5)訂正請求書の第3頁第15〜17行に記載された「板状の被加熱材の少なくとも表面に前記被加熱材の形状に合わせて全面にわたり複数の点状光源を対向して配置し、前記複数の点状光源を前記被加熱材の形状に合わせた略同心状の複数の制御ゾーンに区分けし、」を「板状の被加熱材の少なくとも一方の板面に前記被加熱材の形状に合わせて全面にわたり複数の点状光源を対向して配置し、前記複数の点状光源を前記被加熱材の形状に合わせて略同心状の複数の制御ゾーンに区分けし、」と補正する。
(6)訂正請求書の第3頁第21〜24行に記載された「板状の被加熱材の少なくとも表面に、光を反射する筒状反射部に包囲された球状ランプを被加熱材の形状に合わせて全面にわたり複数対向させて配置し、前記複数の球状ランプを被加熱材の形状に合わせた略同心状の複数の制御ゾーンに区分けし、」を「板状の被加熱材の少なくとも一方の板面に、光を反射する筒状反射部に包囲された球状ランプを前記被加熱材の形状に合わせて全面にわたり複数対向させて配置し、前記複数の球状ランプを前記被加熱材の形状に合わせて略同心状の複数の制御ゾーンに区分けし、」と補正する。

2-1-2.訂正請求に対する補正の適否
この訂正請求に対する上記補正(1)〜(6)は、特許請求の範囲中の記載及び対応する明細書中の記載である「板状の被加熱材の少なくとも表面」を全く意味の異なる「板状の被加熱材の少なくとも一方の板面」と変更するものである。これは、訂正事項の削除、及び請求書の要旨を変更しない範囲での軽微な瑕疵の補正のいずれにも該当しないから、この訂正請求に対する補正は訂正請求書の要旨を変更するものである。(「補正に関する運用変更のお知らせ」参照のこと)
したがって、この訂正請求に対する上記補正は、特許法第120条の4の第3項において準用する同法第131条第2項の規定に適合していない。
よって、本件訂正請求に対する当該補正は認められない。

2-2.訂正の内容
本件訂正請求に対する当該補正が認められないので、本件訂正の内容は、平成14年8月8日付けの訂正請求書の「(3)訂正の要旨」に記載された以下のとおりのものである。
(1)訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1中の「板状の被加熱材の少なくとも一方の面に対向して配置される複数の点状光源と、前記複数の点状光源を略同心状の複数の制御ゾーンに区分けし、」を「板状の被加熱材の少なくとも表面に対向して前記被加熱材の形状に合わせて全面にわたり配置される複数の点状光源と、前記複数の点状光源を前記被加熱材の形状に合わせた略同心状の複数の制御ゾーンに区分けし、」と訂正する。
(2)訂正事項b
特許請求の範囲の請求項5中の「板状の被加熱材に対向して配置された複数の球状ランプと、前記複数の球状ランプを略同心状の複数の制御ゾーンに区分けし、」を「板状の被加熱材の少なくとも表面に対向して前記被加熱材の形状に合わせて全面にわたり配置された複数の球状ランプと、前記複数の球状ランプを前記被加熱材の形状に合わせた略同心状の複数の制御ゾーンに区分けし、」と訂正する。
(3)訂正事項c
特許請求の範囲の請求項6中の「板状の被加熱材の少なくとも一方の面に複数の点状光源を対向して配置し、前記複数の点状光源を略同心状の複数の制御ゾーンに区分けし、」を「板状の被加熱材の少なくとも表面に前記被加熱材の形状に合わせて全面にわたり複数の点状光源を対向して配置し、前記複数の点状光源を前記被加熱材の形状に合わせた略同心状の複数の制御ゾーンに区分けし、」と訂正する。
(4)訂正事項d
特許請求の範囲の請求項10中の「板状の被加熱材の少なくとも一方の面に、光を反射する筒状反射部に包囲された球状ランプを複数対向させて配置し、前記複数の球状ランプを略同心状の複数の制御ゾーンに区分けし、」を「板状の被加熱材の少なくとも表面に、光を反射する筒状反射部に包囲された球状ランプを前記被加熱材の形状に合わせて全面にわたり複数対向させて配置し、前記複数の球状ランプを前記被加熱材の形状に合わせた略同心状の複数の制御ゾーンに区分けし、」と訂正する。
(5)訂正事項e
段落番号【0007】の「板状の被加熱材の少なくとも一方の面に複数の点状光源を対向して配置し、前記複数の点状光源を略略同心状の複数の制御ゾーンに区分けし、」を「板状の被加熱材の少なくとも表面に前記被加熱材の形状に合わせて全面にわたり複数の点状光源を対向して配置し、前記複数の点状光源を前記被加熱材の形状に合わせた略同心状の複数の制御ゾーンに区分けし、」と訂正する。
(6)訂正事項f
段落番号【0011】の「板状の被加熱材の少なくとも一方の面に、光を反射する筒状反射部に包囲された球状ランプを複数対向させて配置し、前記複数の球状ランプを略同心状の複数の制御ゾーンに区分けし、」を「板状の被加熱材の少なくとも表面に、光を反射する筒状反射部に包囲された球状ランプを被加熱材の形状に合わせて全面にわたり複数対向させて配置し、前記複数の球状ランプを被加熱材の形状に合わせた略同心状の複数の制御ゾーンに区分けし、」と訂正する。

2-3.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
当審において通知した訂正拒絶理由の概要は、以下の通りである。
『2.訂正についての拒絶の理由
2-1.訂正事項aについて
訂正事項aには、請求項1の記載に関して、「板状の被加熱材の少なくとも表面」とする訂正が含まれているが、訂正明細書の特許請求の範囲の記載からは、当該訂正に係る「表面」が「ひょう面」を意味するものとして用いられているのか(以下、「表(ひょう)面」という。)、「おもて面」を意味するものとして用いられているのか(以下、「表(おもて)面」という。)明らかでないので、以下(1)、(2)の場合に分けて検討する。

(1)特許明細書の記載に基づいて「表(ひょう)面」と解釈する場合
・・・
したがって、段落【0002】及び【0004】の記載に基づいて「表面」が「表(ひょう)面」を意味するものと解すれば、訂正事項aは、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正、誤記又は誤訳の訂正を目的とする訂正、明りようでない記載の釈明を目的とする訂正のいずれにも該当しない。また、訂正事項aは願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内でしたものではなく、実質上特許請求の範囲を変更するものである。

(2)特許異議意見書の記載に基づいて表(おもて)面と解釈する場合
・・・
したがって、特許異議意見書の記載に基づいて「表面」が「表(おもて)面」の意味であるものと解すれば、訂正事項aは、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正、誤記又は誤訳の訂正を目的とする訂正、明りようでない記載の釈明を目的とする訂正のいずれにも該当しない。また、訂正事項aは願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内でしたものではなく、実質上特許請求の範囲を変更するものである。

以上(1)及び(2)の検討から、「表面」が「表(ひょう)面」又は「表(おもて)面」のいずれを意味するものであったとしても、訂正事項aは、許請求の範囲の減縮を目的とする訂正、誤記又は誤訳の訂正を目的とする訂正、明りようでない記載の釈明を目的とする訂正のいずれにも該当せず、また、訂正事項aは願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内でしたものではなく、実質上特許請求の範囲を変更するものである。

2-2.訂正事項b〜dについて
訂正事項b〜dはいずれも、請求項の記載に関して、「板状の被加熱材の少なくとも表面」とする訂正を含むので、訂正事項aと同様の理由により、特許請求の範囲の減縮を目的とした訂正、誤記又は誤訳の訂正を目的とした訂正、明りようでない記載の釈明を目的とした訂正のいずれにも該当せず、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内でしたものではなく、また、実質上特許請求の範囲を変更するものである。

2-3.訂正事項e及びfについて
訂正事項e及びfは、訂正事項a〜dに対応して、請求項1、5、6、10に係る発明についての説明を訂正するものであって、「板状の被加熱材の少なくとも表面」とする訂正を含むので、訂正事項aと同様の理由により、訂正事項e及びfはいずれも、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内でしたものではない。また、特許請求の範囲の減縮を目的とした訂正、誤記又は誤訳の訂正を目的とした訂正、明りようでない記載の釈明を目的とした訂正のいずれにも該当しない。』

そして、本件訂正請求に対する当該補正は認められないので、上記の訂正拒絶理由は依然として解消されておらず、かつ、上記訂正拒絶理由を精査してみてもこれを変更する特段の理由もない。したがって、上記訂正事項a〜訂正事項fはいずれも、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書又は図面の訂正でもなく、誤記又は誤訳の訂正を目的とした明細書又は図面の訂正でもなく、明りようでない記載の釈明を目的とした明細書又は図面の訂正でもなく、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものである。

2-4.訂正の適否のむすび
以上のとおりであるから、当該訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書及び第2項の規定に適合するものではないので、当該訂正は認められない。

3. 特許異議申立て及びこれについての判断
3-1.特許異議申立人藤野研治による特許異議申立の理由の概要
特許異議申立人藤野研治は、証拠として本件出願前国内又は国外において頒布された
1)甲第1号証(欧州特許出願公開第0299245号明細書)、
2)甲第2号証(特開平2-320号公報)
を提出し、本件請求項1〜10に係る発明の特許は、その出願前に頒布された甲第1号証に記載された発明と同一であるか、或いは甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明を行うことができたものであるから、特許法第29条第1項第3号又は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、取り消されるべきものである旨主張している。

3-2.取消理由通知の概要
当審で通知した取消理由の概要は、以下の通りである。
「1.本件発明
本件の請求項1〜10に係る発明は、それぞれ本件特許明細書の特許請求の範囲の請求項1〜10に記載されたとおりのものである。
2.刊行物に記載された発明
刊行物1(甲第1号証):欧州特許出願公開第0299245号明細書
(1989年1月18日公開)
刊行物1には、特許異議申立書の「(4-2)証拠の説明」の欄(第12頁第22行〜第14頁第13行)に記載された発明が記載されている(甲第2号証は甲第1号証の出願に対応する日本出願の公開公報であり、両者の記載内容は実質的に同一であるので、甲第2号証に関する引用は該引用に対応する甲第1号証の箇所を引用したものとして認定し、「甲第2号証」は「刊行物1」と読み替える。)。
3.対比、判断
特許異議申立書の「(4-3)本件特許請求項1に係る発明と甲第2号証の対比」の欄〜「(4-13)本件特許各請求項と甲第2号証(甲第1号証)との対比結果について」の欄(第14頁第14行〜第24頁第8行)に記載された理由により(甲第2号証は甲第1号証の出願に対応する日本出願の公開公報であり、両者の記載内容は実質的に同一であるので、甲第2号証に関する引用は該引用に対応する甲第1号証の箇所を引用したものとして認定し、「甲第2号証」は「刊行物1」と読み替える。)、本件請求項1、2、4、5、6、7、9、10に係る発明は、その出願前に頒布された上記刊行物1に記載された発明と同一であり、また、本件請求項3、4、5、8、9、10に係る発明はその出願前に頒布された上記刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、本件請求項1、2、4、5、6、7、9、10に係る発明は、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当し、特許を取り消されるべきものである。
また、本件請求項3、4、5、8、9、10に係る発明についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。」

3-3.本件請求項1ないし10に係る発明
上記2.で示したように上記訂正が認められないから、本件請求項1ないし10に係る発明(以下、それぞれ本件発明1ないし本件発明10と言う)は、特許明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】 板状の被加熱材の少なくとも一方の面に対向して配置される複数の点状光源と、前記複数の点状光源を略同心状の複数の制御ゾーンに区分けし、前記制御ゾーン毎に前記複数の点状光源の光照射量を設定する照射量設定手段とを備え、前記複数の点状光源の照射する光により前記被加熱材を加熱する熱処理装置であって、
前記複数の制御ゾーンのうちの少なくとも一つの制御ゾーンは、当該一つの制御ゾーンを構成する前記複数の点状光源のうちの隣接する夫々の点状光源の離間距離と前記点状光源の直径とを比較した場合に、前記隣接する夫々の点状光源の離間距離の方が小さくなるように、前記複数の点状光源が配置されてなるとともに、
前記被加熱材の周縁において前記被加熱材の中心に対して点対称となる複数箇所に対向する位置には、前記被加熱材の周縁に接する面であって当該被加熱材に垂直な面にて横切られるように配置される前記点状光源を有していることを特徴とする熱処理装置。
【請求項2】 前記一つの制御ゾーンは前記被加熱材の周縁部に対向する制御ゾーンを含むことを特徴とする請求項1記載の熱処理装置。
【請求項3】 前記点状光源はフィラメントを内包するガラス球を有し、当該ガラス球と前記隣接する点状光源のガラス球との離間距離と、前記ガラス球の直径とを比較した場合に、前記隣接する夫々のガラス球の離間距離の方が小さくなるように、前記複数のガラス球が配置されてなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱処理装置。
【請求項4】 前記点状光源はフィラメントを内包するガラス球と、該ガラス球を包囲するとともに前記フィラメントからの光を反射する筒状反射部とからなり、前記複数の制御ゾーンのうちの少なくとも一つの制御ゾーン内において、特定の点状光源の筒状反射部及び前記特定の点状光源に隣接する点状光源の筒状反射部の離間距離と、前記筒状反射部の内径とを比較した場合に、前記離間距離の方が小さくなるように、前記筒状反射部が配置されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱処理装置。
【請求項5】 光を反射する筒状反射部に包囲され板状の被加熱材に対向して配置された複数の球状ランプと、前記複数の球状ランプを略同心状の複数の制御ゾーンに区分けし、前記制御ゾーン毎に前記複数の球状ランプの光照射量を設定する照射量設定手段とを備え、前記複数の球状ランプの照射する光により前記被加熱材を加熱する熱処理装置であって、
前記複数の制御ゾーンのうちの少なくとも一つの制御ゾーン内において、特定の球状ランプの筒状反射部及び前記特定の球状ランプに隣接する球状ランプの筒状反射部の離間距離と、前記筒状反射部の内径とを比較した場合に、前記離間距離の方が小さくなるように、前記筒状反射部が配置されるとともに、
前記被加熱材の周縁において前記被加熱材の中心に対して点対称となる複数箇所に対向する位置には、前記被加熱材の周縁に接する面であって当該被加熱材に垂直な面にてその内部が横切られるように配置される前記筒状反射部を有していることを特徴とする熱処理装置。
【請求項6】 板状の被加熱材の少なくとも一方の面に複数の点状光源を対向して配置し、前記複数の点状光源を略同心状の複数の制御ゾーンに区分けし、前記制御ゾーン毎に前記複数の点状光源の光照射量を設定することで前記被加熱材を加熱する熱処理方法であって、
前記複数の制御ゾーンのうちの少なくとも一つの制御ゾーンにおいて、当該一つの制御ゾーンを構成する前記複数の点状光源のうちの隣接する夫々の点状光源の離間距離と前記点状光源の直径とを比較した場合に、前記隣接する夫々の点状光源の離間距離の方が小さくなるように前記複数の点状光源を配置させるとともに、
前記被加熱材の周縁において前記被加熱材の中心に対して点対称となる複数箇所に対向する位置に、前記被加熱材の周縁に接する面であって当該被加熱材に垂直な面にて横切られるように、前記点状光源を配置させて、前記被加熱材を加熱することを特徴とする熱処理方法。
【請求項7】 前記一つの制御ゾーンは前記被加熱材の周縁部に対向する制御ゾーンを含むことを特徴とする請求項6記載の熱処理方法。
【請求項8】 前記点状光源はフィラメントを内包するガラス球を有し、当該ガラス球と前記隣接する点状光源のガラス球との離間距離と、前記ガラス球の直径とを比較した場合に、前記隣接する夫々のガラス球の離間距離の方が小さくなるように前記複数のガラス球を配置させることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の熱処理方法。
【請求項9】 前記点状光源をフィラメントを内包するガラス球と、該ガラス球を包囲するとともに前記フィラメントからの光を反射する筒状反射部とにより構成させ、前記複数の制御ゾーンのうちの少なくとも一つの制御ゾーン内において、特定の点状光源の筒状反射部及び前記特定の点状光源に隣接する点状光源の筒状反射部の離間距離と前記筒状反射部の内径とを比較した場合に、前記離間距離の方が小さくなるように前記筒状反射部を配置させることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の熱処理方法。
【請求項10】 板状の被加熱材の少なくとも一方の面に、光を反射する筒状反射部に包囲された球状ランプを複数対向させて配置し、前記複数の球状ランプを略同心状の複数の制御ゾーンに区分けし、前記制御ゾーン毎に前記複数の球状ランプの光照射量を設定することで前記被加熱材を加熱する熱処理方法であって、
前記複数の制御ゾーンのうちの少なくとも一つの制御ゾーン内において、特定の球状ランプの筒状反射部及び前記特定の球状ランプに隣接する球状ランプの筒状反射部の離間距離と前記筒状反射部の内径とを比較した場合に、前記離間距離の方が小さくなるように前記筒状反射部を配置させるとともに、
前記被加熱材の周縁において前記被加熱材の中心に対して点対称となる複数箇所に対向する位置に、前記被加熱材の周縁に接する面であって当該被加熱材に垂直な面にてその内部が横切られるように、前記筒状反射部を配置させて、前記被加熱材を加熱することを特徴とする熱処理方法。」

3-4.取消理由通知で引用した刊行物等に記載された発明
1)刊行物1:欧州特許出願公開第0299245号明細書(特許異議申立人藤野研治の提出した甲第1号証)
2)刊行物2:特開平2-320号公報(特許異議申立人藤野研治の提出した甲第2号証)
(なお、刊行物2は刊行物1の出願に対応する日本出願の公開公報であり、刊行物2の明細書は刊行物1の明細書を翻訳したものであって両者の記載内容は実質的に同一であるから、刊行物1の引用に際して、該引用の個所に対応する刊行物2の記載を参照する。)
刊行物1は、「処理装置及び方法」(発明の名称)に関するものであって、Fig37及びFig38と共に以下の点が記載されている。
「加熱モジュール2050が室2002の上方に位置する。透明プレート2052が、加熱モジュール2050及び室2002を分離している。加熱モジュール2050からの熱は、プレート2052を介し放射によってウエハ48へ導かれる。プレート2052が、第37図に示した閉位置において室の頂部を形成する。面54を下向きにしたウエハ48が、プレート2052のすぐ下に位置する。
加熱モジュール2050は、加熱要素からなる2つのリング2060と2062を備えている。リング2060がリング2062の外側に位置する。各リングは複数の加熱ランプ、例えばリング2060では24個で、リング2062では12個でそれぞれ構成されている。両リングは別々に制御可能である。反射器2070が、リング2060と2062からの熱をプレート2052を介して差し向ける。」(刊行物1の第46頁第90欄第37〜53行;刊行物2の第59頁右上欄第2〜19行)
「第38図は、加熱モジュール2050、リング2060の内の2つのランプ2100と2102、及びリング2062の内の2つのランプ2104と2106を備えた処理モジュール2000を示す。反射器2070も第38図に示してある。リング2060とリング2062の各ランプに接続されたそれぞれの電源が、コンピュータ制御システム206によって別々に制御される。これが、必要に応じた多種類の加熱形態を可能とする。」(刊行物1の第47頁第91欄第2〜10行;刊行物2の第59頁左下欄第5〜13行)
「垂直軸2120は、モジュール2000の中心部を通って延びている。・・・リング2100と2102は、軸2120を中心に同心円状に位置する。」(刊行物1の第47頁第91欄第17〜21行;刊行物2の第59頁右下欄第1〜6行)
「反射器2070は平らな先端2272を含む円錐台状の部分を有し、円錐状の表面2274が平らな先端2272から離れて上方に延びている。平らな先端2272の中心は軸2120と一致している。次に反射器2070の表面について論じるが、これら表面は第38図では断面で示してある。また別の円錐状表面2276が、表面2274より大きい角度で軸2120から離れるように更に上方に延びている。表面2276からは、水平な表面2278が軸2120と直角に円錐状の表面2280へと延びている。表面2280は、水平表面2278から、下方に且つ軸2120に対して外側へと水平表面2282まで延びている。水平表面2282は、表面2280から、軸2120に対し直角に外側へと更に別の円錐状表面2284まで延びている。表面2284は、表面2282から、下方に且つ軸2120に対し外側に向かって延びている。表面2284の最外部は、軸2102に沿って先端2272とほぼ同じ距離にある。表面2274と2276は、軸2102に沿って表面2282の位置とほぼ同じ距離で接している。先端2272及び各表面2274、2276、2278、2280、2282と2284が、反射器2070の上部を形成している。先端2272はプレート2052から離間している。」(刊行物1の第47頁第92欄第5〜31行;刊行物2の第60頁右上欄第6行〜左下欄第10行)
「反射器の上下両部は、各々連続状の表面を形成しているが、相互には接続されていない。表面2284は、表面2274とランプ2100、2102の加熱要素と、軸2120に沿ってほぼ同じ距離にある。表面2284は、ランプ2100と2102からの熱を表面2300とほぼ平行にウエハに向かって反射させる角度とし、より多くの熱集中がウエハの外周に近い領域に向かうようにする。ランプ2104、2106の加熱要素は、表面2276、2280と、軸2120に沿ってほぼ同じ距離にある。表面2276と2280は、ランプ2104と2106からの熱をウエハ48へと反射し、両ランプからの熱のより多くの集中がウエハの中心領域に向かうようにしている。表面2300は、上方且つ軸2120に向かう方向で表面2276へ熱を反射させる角度にできる。表面2302も熱を上方に差し向け、下向きに反射させる。表面2290は軸2120に向かって、且つ、ウエハのエッジ上に追加の熱を水平方向に差し向ける。全体として、反射器2070の各表面及び先端が、最大の熱量をウエハ48に与えるように、空間2110を介して熱を方向付け及び再方向付けする。ここに示した特定の反射器2070は、加熱モジュール2050用の反射器を実施するための一つの方法に過ぎない。」(刊行物1の第47頁第92欄第47行〜第48頁第93欄第14行;刊行物2の第60頁右下欄第5行〜第61頁左上欄第10行)
Fig38は、「モジュール2000の中心部を通って延びている(刊行物1の第47頁第91欄第17〜19行;刊行物2の第59頁右下欄第1〜2行)」垂直軸2120を通る面で切断された処理モジュール2000の断面が記載された詳細図であって、ウエハ48の周縁において該ウエハの中心に対して点対称となる複数個所(即ち、図中のウエハ48の右端と左端)の上方に、連続状の表面(2274、2276、2278、2280)からなる反射器(2070)が形成されている様子が記載されている。
以上、刊行物1に記載の発明を、Fig37及びFig38の記載を参照してまとめると、
「ウエハの少なくとも一方の面に対向して配置される複数の加熱ランプと、前記複数の加熱ランプを略同心状の複数のリングに区分けし、前記リング毎に前記複数の加熱ランプの光照射量を設定するコンピュータ制御システムとを備え、前記複数の加熱ランプの照射する光により前記ウエハを加熱する処理モジュールであって、
前記複数のリングのうちの少なくとも一つのリングは、前記複数の加熱ランプが配置されてなるとともに、
前記ウエハの周縁において前記ウエハの中心に対して点対称となる複数箇所に対向する位置には、前記ウエハの周縁に接する面であって当該ウエハに垂直な面にて横切られるように配置される連続状の表面からなる反射器を有していることを特徴とする処理モジュール。」が記載されている。

3-5.本件発明と刊行物記載の発明との対比・判断
3-5-1.本件発明1について
本件発明1と刊行物1に記載の発明とを対比すると、刊行物1に記載された「ウエハ」、「リング」はそれぞれ本件発明1の「(板状の)被加熱材」、「制御ゾーン」に相当する。
本件発明1の「点状光源」については、その定義はなされていないが、本件特許明細書の段落【0018】には「点状光源たる球状ハロゲンランプ」と、同段落【0019】には「本発明でいう「点状光源」は、ウエハ2側から見た時に略円形の射影を有する形状の光源であることが好ましい。」と記載されており、また、請求項1には「点状光源の直径」と記載されており、請求項1を引用する請求項3には「点状光源はフィラメントを内包するガラス球を有し」と、同じく請求項1を引用する請求項4には「点状光源はフィラメントを内包するガラス球と、該ガラス球を包囲するとともに前記フィラメントからの光を反射する筒状反射部とからなり」と記載されていることから見て、点状光源とはランプもしくはランプ及び反射部からなる光源であって、直径が定義できるような球形または円形の形状を有する光源であるものと認められる。そして、刊行物1に記載された加熱ランプは、Fig37及びFig38から見て、その形状はほぼ円筒状のものであり、その断面において直径が定義できるものである。したがって、刊行物1に記載された「加熱ランプ」は本件発明1の「点状光源」に相当する。(なお、刊行物1に記載された反射器については、光源の一部を構成するものではあるが、該反射器は連続状の表面から構成されており、複数の加熱ランプに共通に形成されているため、その形状が円形または球状であるとは言えず、直径も定義できない。したがって、反射器もしくは反射器に加熱ランプを含めたものが点状光源に相当するとは認められない。)
また、「リング2060とリング2062の各ランプに接続されたそれぞれの電源が、コンピュータ制御システム206によって別々に制御される。」(刊行物1の第47頁第91欄第6〜8行;刊行物2の第59頁左下欄第9〜12行)と記載されており、電源が制御されると該電源に接続されたランプの照射量が変わるのは自明であるから、刊行物1に記載の「コンピュータ制御システム206」は、本件発明1の「照射量設定手段」に相当する。
また、刊行物1に記載の「処理モジュール2000」は、複数の加熱ランプ及び反射器等を備えた加熱モジュール2050を含むのであるから、ウエハを加熱するための装置でもあるので、本件発明1の「熱処理装置」に相当する。
したがって、本件発明1と刊行物1に記載の発明とは、「板状の被加熱材の少なくとも一方の面に対向して配置される複数の点状光源と、前記複数の点状光源を略同心状の複数の制御ゾーンに区分けし、前記制御ゾーン毎に前記複数の点状光源の光照射量を設定する照射量設定手段とを備え、前記複数の点状光源の照射する光により前記被加熱材を加熱する熱処理装置であって、
前記複数の制御ゾーンのうちの少なくとも一つの制御ゾーンは、前記複数の点状光源が配置されてなることを特徴とする熱処理装置」の点で一致しているが、刊行物1には、本件発明1の必須の構成要件である「一つの制御ゾーンを構成する前記複数の点状光源のうちの隣接する夫々の点状光源の離間距離と前記点状光源の直径とを比較した場合に、前記隣接する夫々の点状光源の離間距離の方が小さくなるように、前記複数の点状光源が配置される」点(以下、構成要件1と言う)、及び「前記被加熱材の周縁において前記被加熱材の中心に対して点対称となる複数箇所に対向する位置には、前記被加熱材の周縁に接する面であって当該被加熱材に垂直な面にて横切られるように配置される前記点状光源を有している」点(以下、構成要件2と言う)については、記載も示唆もされていない点で相違している。
すなわち、刊行物1には、一つのリングが複数の加熱ランプで構成されることは記載されているが、一つのリング内で隣接する夫々の加熱ランプの離間距離が加熱ランプの直径よりも小さくなるように配置する点については、記載も示唆もされていない。また、刊行物1に記載の発明は、ウエハの周縁において前記ウエハの中心に対して点対称となる複数箇所に対向する位置に、前記ウエハの周縁に接する面であって当該ウエハに垂直な面にて横切られるように配置される反射器を有しているが、そのような位置に加熱ランプを配置することについては、記載も示唆もされていない。
また、上記構成要件1及び上記構成要件2の点については、当該技術分野の周知・慣用の技術とも認められない。
そして、本件発明1は、上記構成要件1及び上記構成要件2によって、本件特許明細書の段落【0012】、【0013】に記載の顕著な作用効果を奏するものである。
したがって、本件発明1は、刊行物1に記載された発明と同一ではなく、また、刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

3-5-2.本件発明2〜4について
本件発明2〜4は、本件発明1を直接または間接に引用してさらにその構成要件を限定したものであるから、上記限定の内容について刊行物1に記載の発明と更なる対比・判断をするまでもなく、本件発明1と同様の理由により、刊行物1に記載の発明と同一ではなく、また、刊行物1記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

3-5-3.本件発明5について
上記「3-4.」の欄で刊行物1について引用したことに加えて、刊行物1のFig37、38には、加熱ランプが略円筒状であることが記載されているので、刊行物1には次の発明が記載されている。
「光を反射する連続状の表面からなる反射器に包囲されウエハに対向して配置された複数の略円筒状加熱ランプと、前記複数の略円筒状加熱ランプを略同心状の複数のリングに区分けし、前記リング毎に前記複数の略円筒状加熱ランプの光照射量を設定するコンピュータ制御システムとを備え、前記複数の略円筒状加熱ランプの照射する光により前記ウエハを加熱する処理モジュールであって、
前記複数のリングのうちの少なくとも一つのリング内において、前記連続状の表面からなる反射器が配置されるとともに、
前記ウエハの周縁において前記ウエハの中心に対して点対称となる複数箇所に対向する位置には、前記ウエハの周縁に接する面であって当該ウエハに垂直な面にてその内部が横切られるように配置される前記連続状の表面からなる反射器を有していることを特徴とする処理モジュール」
そこで、本件発明5と刊行物1に記載の発明を対比すると、刊行物1に記載された「反射器」、「ウエハ」、「加熱ランプ」「リング」、「コンピュータ制御システム」、「処理モジュール」はそれぞれ本件発明1の「反射部」、「(板状の)被加熱材」、「ランプ」「制御ゾーン」、「照射量設定手段」、「熱処理装置」に相当する。
したがって、本件発明5と刊行物1に記載の発明とは、
「光を反射する反射部に包囲され板状の被加熱材に対向して配置された複数のランプと、前記複数のランプを略同心状の複数の制御ゾーンに区分けし、前記制御ゾーン毎に前記複数のランプの光照射量を設定する照射量設定手段とを備え、前記複数の球状ランプの照射する光により前記被加熱材を加熱する熱処理装置であって、
前記複数の制御ゾーンのうちの少なくとも一つの制御ゾーン内において、前記反射部が配置されるとともに、
前記被加熱材の周縁において前記被加熱材の中心に対して点対称となる複数箇所に対向する位置には、前記被加熱材の周縁に接する面であって当該被加熱材に垂直な面にてその内部が横切られるように配置される前記反射部を有していることを特徴とする熱処理装置」の点で一致しているが、刊行物1には、本件発明5の必須の特許要件である、「筒状反射部」を備える点(以下、構成要件3と言う)、「球状ランプ」を備える点(以下、構成要件4と言う)、「特定の球状ランプの筒状反射部及び前記特定の球状ランプに隣接する球状ランプの筒状反射部の離間距離と、前記筒状反射部の内径とを比較した場合に、前記離間距離の方が小さくなるように、前記筒状反射部が配置される」点(以下、構成要件5と言う)については、記載も示唆もされていない点で相違している。
特に、加熱装置においてランプを包囲する反射部を「筒状反射部」とする点(構成要件3)については刊行物1に記載も示唆もされていないし、当該技術分野における周知・慣用の技術とも認められない。(例えば、特開昭59-36927号公報(参考文献1)、実願昭62-52510号(実開昭63-159292号)のマイクロフィルム(参考文献2)には断面が放物線状の反射部が、米国特許第3761678号明細書(参考文献3)には球状(spherical)の反射部が記載されているが、筒状、すなわち、円柱状の反射部は記載されていない。)
そして、本件発明5は、上記構成要件1〜3によって、本件特許明細書の段落【0016】、【0017】に記載の顕著な作用効果を奏するものである。
したがって、本件請求項5に係る発明は、刊行物1に記載された発明と同一ではなく、また、刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

3-5-4.本件発明6〜10について
本件発明6〜10は、それぞれ本件発明1〜5において、装置についての発明の各構成を方法的な記載とすることにより、発明のカテゴリーを装置から方法に書き替えたものである。また、発明のカテゴリーを方法とすることにより、発明の目的又は効果が格別なものとなるものとも認められない。
したがって、本件発明6〜10は、それぞれ本件発明1〜5と同様の理由によって、刊行物1に記載の発明と同一ではなく、また、刊行物1記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

3-6.むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び取消理由によっては本件請求項1〜10に係る発明についての特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1〜10に係る発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、本件請求項1〜10に係る発明についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認めない。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2003-03-31 
出願番号 特願平10-293994
審決分類 P 1 651・ 113- YB (H01L)
P 1 651・ 121- YB (H01L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 宮崎 園子  
特許庁審判長 内野 春喜
特許庁審判官 朽名 一夫
池渕 立
登録日 2001-07-06 
登録番号 特許第3206566号(P3206566)
権利者 株式会社日本自動車部品総合研究所
発明の名称 熱処理装置及び熱処理方法  
代理人 碓氷 裕彦  
代理人 加藤 大登  

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