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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 D06M
管理番号 1077503
審判番号 不服2000-12823  
総通号数 43 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1996-03-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-08-14 
確定日 2003-05-19 
事件の表示 平成 5年特許願第511274号「羊毛の処理方法」拒絶査定に対する審判事件[平成 5年 7月 8日国際公開、WO93/13260、平成 8年 3月26日国内公表、特表平 8-502789]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 本件出願は、1992年12月23日(優先権主張、1991年12月23日 イギリス)を国際出願日とする出願であって、その「請求項1に係る発明」(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものと認める。

「一過硫酸、又はその塩、一種以上の精錬又は湿潤剤及び一種以上の繊維膨潤又は分散剤(但し、前記精錬又は湿潤剤及び繊維膨潤又は分散剤は精錬又は湿潤剤及び繊維膨潤又は分散剤の両方の機能を果たす単一組成物からなるか、又は別個の薬剤からなる)で同時に羊毛を処理することを特徴とする防縮性を与える羊毛の処理方法。」

これに対して、原審における拒絶の理由で引用された「特開昭49-50299号公報」(以下、「引用例」という。)には、以下の記載が認められる。

イ.「2特許請求の範囲
羊毛を、(1)モノ過硫酸の酸性アルカリ金属塩、酸性アンモニウム塩または酸性アミン塩と(2)エポキシド基対アミノ窒素原子に結合した水素原子対カルボン酸基の当量比が1:(0.1〜1):(1〜0.55)である、エポキシドと脂肪アミンとジカルボン酸とから成る反応生成物と(3)炭素原子12〜22個をもつ脂肪アミンとエチレンオキシド6〜30モルとからのそして少くとも2塩基性の酸素酸でさらにエステル化された付加物と所望によっては(4)感触を柔げる柔軟剤とを含む水性配合物で20〜100℃で処理しそして次に還元的に後処理することを特徴とする、羊毛のフエルト化防止方法。」(1頁左下欄3〜15行)

ロ.「成分(1)、(2)、(3)および場合によっては(4)の組合わせを織物の仕上げ、殊に羊毛または羊毛を含む繊維混合物例えば羊毛と合成ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリロニトリルまたはセルロース性繊維材料との混合物のフエルト化防止に使うことができる。すなわち、これら成分と所望ならば少量の他の添加物例えば湿潤および分散剤および塩とを加えた水性液で羊毛を含浸してから乾かす。なお、羊毛を予じめ湿らし、同じ浴中に先ずモノ過硫酸の酸性塩を加えてから成分(2)および(3)を加えそして羊毛を20〜100℃で2〜5好ましくは3〜5のpH値で処理するように行うのが適する。適する液比は1:10ないし1:70である。
次に、同じ浴の中で還元的に後処理し、こうして仕上げた材料を脱水しそして例えば40〜120℃で乾かすことができる。」(6頁右上欄10〜左下欄5行)

ハ.「次に実施例によって本発明をさらに具体的に説明する。・・・フエルト化防止効果の試験はJWS明細書72に従って次のように行った。すなわち、仕上げ処理した材料を水性液(液比1:15)の中で40℃そしてpH値7(リン酸塩で緩衝)で180分間処理する。最大許容縮み率は10%である。上記の試験は60℃までの標準プログラムにおいて約100回の機械洗たくに適合する。」(7頁左下欄12〜末行)

記載イによると、「羊毛を、(1)モノ過硫酸の酸性アルカリ金属塩、酸性アンモニウム塩又は酸性アミン塩と、(2)エポキシド基対アミノ窒素原子に結合した水素原子対カルボン酸基の当量比が1:(0.1〜1):(1〜0.55)である、エポキシドと脂肪アミンとジカルボン酸とから成る反応生成物と、(3)炭素原子12〜22個をもつ脂肪アミンとエチレンオキシド6〜30モルとからのそして少なくとも2塩基性の酸素酸で更にエステル化された付加物と、所望によっては(4)感触を柔げる柔軟剤とを含む水性配合物で20〜100℃で処理し、そして次に還元的に後処理する羊毛のフエルト化防止方法」がうかがえ、更に、この羊毛のフエルト化防止方法における水性配合物には、記載ロによれば、更に湿潤剤及び分散剤及び塩を加えることがうかがえ、また、この羊毛のフエルト化防止方法とは、記載ハによれば、防縮性を与える処理方法であることがうかがえるから、結局、引用例には、「羊毛を、(1)モノ過硫酸の酸性アルカリ金属塩、酸性アンモニウム塩又は酸性アミン塩と、(2)エポキシド基対アミノ窒素原子に結合した水素原子対カルボン酸基の当量比が1:(0.1〜1):(1〜0.55)である、エポキシドと脂肪アミンとジカルボン酸とから成る反応生成物と、(3)炭素原子12〜22個をもつ脂肪アミンとエチレンオキシド6〜30モルとからのそして少なくとも2塩基性の酸素酸で更にエステル化された付加物と、所望によっては(4)感触を柔げる柔軟剤とを含み、更にこれらに湿潤剤及び分散剤及び塩を加えた水性配合物で20〜100℃で処理し、そして次に還元的に後処理する、防縮性を与える羊毛の処理方法」(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
そして、引用発明における「モノ過硫酸の酸性アルカリ金属塩、酸性アンモニウム塩又は酸性アミン塩」は、本願発明における「一過硫酸、又はその塩」に対応し、また、上で述べたように、記載ロによれば上記水性配合物に湿潤剤及び分散剤及び塩を加えることがうかがえるのであって、記載ロにおいては、水性配合物に加えられる薬剤として、湿潤剤と分散剤とに用語を違えて、これら薬剤が記載されていることから、記載ロに接した当業者は、これら薬剤は別個の薬剤からなるものと普通に理解するものといえ、結局、引用発明における「湿潤剤及び分散剤」は、本願発明における「一種以上の精錬又は湿潤剤及び一種以上の繊維膨潤又は分散剤(但し、前記精錬又は湿潤剤及び繊維膨潤又は分散剤は精錬又は湿潤剤及び繊維膨潤又は分散剤の両方の機能を果たす単一組成物からなるか、又は別個の薬剤からなる)」に対応していると認められ、そして、本願発明は引用発明を包含するものとなっている。
してみると、本願発明は、引用例に記載された発明であるといえ、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2002-12-11 
結審通知日 2002-12-13 
審決日 2003-01-06 
出願番号 特願平5-511274
審決分類 P 1 8・ 113- Z (D06M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中島 庸子  
特許庁審判長 鈴木 由紀夫
特許庁審判官 須藤 康洋
高梨 操
発明の名称 羊毛の処理方法  
代理人 風早 信昭  
代理人 安達 智  
代理人 安達 光雄  

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