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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1077564
審判番号 不服2000-82  
総通号数 43 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1999-11-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-01-06 
確定日 2003-05-28 
事件の表示 平成10年特許願第129918号「半導体装置及び実装体」拒絶査定に対する審判事件[平成11年11月30日出願公開、特開平11-330072]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成10年5月13日の出願であって、その請求項に係る発明は、平成11年4月7日付け及び平成11年8月25日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1乃至17により特定される「・・・半導体装置。」乃至「・・・実装体。」にあるものと認められるところ、請求項1に記載の発明(以下、「本願第1発明」という)は下記のとおりである。
「端子電極と前記端子電極上に形成された突起電極とを有する半導体装置であって、前記半導体装置内に保護部材と素子とを有し、前記保護部材は、前記端子電極と同じ材料かそれより硬い材料であり、少なくとも1つの素子は前記端子電極の直下の領域にあり、かつ前記端子電極と前記素子との間に前記保護部材を少なくとも1つ以上有し、かつ前記端子電極と前記保護部材と前記素子とは互いに接触していないことを特徴とする半導体装置。」

2.引用文献
これに対して、原審において平成11年1月26日付けの拒絶の理由で引用され、本願出願前に頒布された刊行物である、特開平1-117344号公報(以下、「引用文献」という。)には、半導体装置が第1図〜第5図とともに開示されており、また、下記の事項が記載されている。
「(2) 半導体基板上に設けられた第1の絶縁膜と、該第1の絶縁膜上に設けられた、例えばアルミニウム膜等から成る第1の島状膜と該第1の絶縁膜上且つ該第1の島状膜上に延在して設けられた第2の絶縁膜と、該第2の絶縁膜上に設けられたアルミニウム電極と、該アルミニウム電極の上面周辺部より該第2の絶縁膜上に延在して設けられた第3の絶縁膜と、該アルミニウム電極上面中央部より該第3の絶縁膜上に延在して設けられた第2の金属膜層と、該第2の金属膜層上に設けられたバンプ電極層とを有することを特徴とする半導体装置。」(特許請求の範囲第2項)、
「〔発明が解決しようとする問題点〕
・・・・・・・・・・。
本発明は、この様な問題点を解決するもので、その目的とするところは、従来のパッド電極及びバンプ電極に於ける、アルミニウム電極下の絶縁膜の下に例えばアルミニウム金属等の材質的に軟らかい膜を設けることにより、実装時のストレスを吸収させ、絶縁膜等のクラック防止を提供することにある。」(第1頁右下欄第17行〜第2頁左上欄第10行)、
「〔実施例〕
以下、本発明について、実施例に基づき詳細に説明する。
第1図は、アルミニウム電極4下の、絶縁膜2及び絶縁膜1の間に、例えばアルミニウム膜やポリイミド膜等を島状に設けた、パッド電極構造の一実施例である。
第2図は、第1図に於ける内容を、バンプ電極構造に適用した実施例である。
第3図は、従来のバンプ電極構造を示す。
第4図は、従来のバンプ電極構造を示す。
第5図は、従来のバンプ電極構造に於ける実装状態を示す。
〔発明の効果〕
上述の如く、本発明によれば、アルミニウム電極下の絶縁膜の下に、実装時の熱及び圧力ストレスの吸収、緩和材料を設けることで、実装工程に於ける、アルミニウム電極下の絶縁膜等のクラック発生による品質トラブルの防止をもたらすものである。」(第2頁右上欄第14行〜同頁左下欄第13行)。

以上を、第2図を参照しながらまとめると、引用文献には、
「アルミニウム電極4と前記アルミニウム電極4上に形成されたバンプ電極とを有する半導体装置であって、前記半導体装置内に例えばアルミニウム膜等から成る島状膜5を有し、半導体基板は前記アルミニウム電極4の下の領域にあり、かつ前記アルミニウム電極4と前記半導体基板との間に前記島状膜を(少なくとも1つ以上)有し、かつ前記アルミニウム電極4と前記島状膜と前記半導体基板とは互いに接触していないことを特徴とする半導体装置。」が記載されているものと認められる。

3.対比、判断
引用文献記載の発明と本願第1発明とを対比する。
引用文献記載の発明における「アルミニウム電極4」、「バンプ電極」、及び「例えばアルミニウム膜等から成る第1の島状膜」は、それぞれ、本願第1発明の「端子電極」、「突起電極」、及び「保護部材」に相当する。
ところで、引用文献の「例えばアルミニウム膜等から成る第1の島状膜」という記載に基づいて島状膜5をアルミニウム膜とすれば、「前記保護部材は、前記端子電極と同じ材料」となっている。
また、引用文献においては素子に関して言及されてはいないけれども、引用文献に記載のような半導体装置においては、バイポーラトランジスタ、電界効果トランジスタ等の素子は半導体基板内のバンプ電極の下に作成されるのが一般的であるので、引用文献には、「素子はアルミニウム電極4の直下の領域にあり、かつアルミニウム電極4と素子との間に島状膜5が存在する」点が開示されていると云うことができる。

したがって、両者は、
「端子電極と前記端子電極上に形成された突起電極とを有する半導体装置であって、前記半導体装置内に保護部材と素子とを有し、前記保護部材は、前記端子電極と同じ材料であり、少なくとも1つの素子は前記端子電極の直下の領域にあり、かつ前記端子電極と前記素子との間に前記保護部材を少なくとも1つ以上有し、かつ前記端子電極と前記保護部材と前記素子とは互いに接触していないことを特徴とする半導体装置。」
の点で一致し、
本願第1発明では、保護部材と端子電極の材料について、「保護部材は、端子電極と同じ材料かそれより硬い材料であ」ると記載されているのに対し、引用文献記載の発明では、「保護部材は、端子電極と同じ材料」となる、双方ともアルミニウムを用いること、が開示されている点で一応相違しているものの、本願第1発明は「保護部材は、端子電極と同じ材料」の場合をも包含するものであるため、この点は実質上の相違点とは認められない。

よって、本願第1発明と引用文献に記載された発明との間には実質上の差異は存在しない。

4.結論
以上のとおりであるから、本願第1発明は、引用文献に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができず、原審で通知された拒絶理由によって拒絶をすべきものである。
したがって、本願の他の請求項に係る発明について判断するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2003-02-14 
結審通知日 2003-02-17 
審決日 2003-04-17 
出願番号 特願平10-129918
審決分類 P 1 8・ 113- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 土屋 知久  
特許庁審判長 朽名 一夫
特許庁審判官 内野 春喜
池渕 立
発明の名称 半導体装置及び実装体  
代理人 池内 寛幸  
代理人 佐藤 公博  

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