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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A47B
管理番号 1077820
異議申立番号 異議2001-70844  
総通号数 43 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1997-11-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-03-16 
確定日 2003-03-26 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3116111号「テーブル」の請求項1〜4に係る発明についての特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3116111号の請求項1〜3に係る発明についての特許を維持する。 
理由 〔1〕手続の経緯
本件特許第3116111号発明についての出願は、平成8年5月15日に特許出願され、平成12年10月6日にその発明について特許権の設定登録がなされ、その後、大浜賢三より、その特許について特許異議の申立てがなされ、当審において取消しの理由を通知したところ、その指定期間内の平成13年12月4日に訂正請求がなされ、再度、取消しの理由を通知したところ、その指定期間内の平成15年2月10日に訂正請求がなされた。
なお、平成13年12月4日になされた訂正請求は取り下げられた。

〔2〕訂正請求について
1 訂正請求の内容
本件訂正請求の趣旨は、特許第3116111号の明細書を訂正請求書に添付した訂正明細書のとおり訂正するとともに、図面を訂正することを求めるものであり、訂正事項は以下のとおりである。
訂正事項a
明細書の特許請求の範囲の請求項1の「天板の第1の縁部に」を、「矩形に近い平面形状をなす天板の第1の縁部に」と訂正する。
訂正事項b
明細書の特許請求の範囲の請求項1の「当接対象物に」を、「一端近傍部から他端近傍部までの直線部と、この直線部の両端より該直線部に直交する方向に向けて突出し、当接対象物に」と訂正する。
訂正事項c
明細書の特許請求の範囲の請求項2の「直線部と、」を、「一端近傍部から他端近傍部までの直線部と、」と訂正する。
訂正事項d
明細書の特許請求の範囲の請求項2の「当接対象物に」を、「この直線部の両端より該直線部に直交する方向に向けて突出し、当接対象物に」と訂正する。
訂正事項e
明細書の特許請求の範囲の請求項1及び2の「当接対象物に当接したときに」を、「当接対象物に突き合わせ当接したときに」と訂正する。
訂正事項f
明細書の特許請求の範囲の請求項1及び2の「該当接対象物との間に隙間」を、「該当接対象物と直線部との間に隙間」と訂正する。
訂正事項g
明細書の特許請求の範囲の請求項3を削除する。
訂正事項h
明細書の特許請求の範囲の請求項4の「位置に設けられている」を、「位置に設けられ、テーブル同士を付き合わせることによって隆起部同士が当接し、テーブル間に直線部と隆起部とによって囲まれる隙間が形成される」と訂正し、請求項4を新請求項3とする。
訂正事項i
明細書の発明の詳細な説明の段落【0005】の「天板の第1の縁部に、当接対象物に当接したときに該当接対象物との間に隙間を形成するための隆起部」を、「矩形に近い平面形状をなす天板の第1の縁部に、一端近傍部から他端近傍部までの直線部と、この直線部の両端より該直線部に直交する方向に向けて突出し、当接対象物に突き合わせ当接したときに該当接対象物と直線部との間に隙間を形成するための隆起部」と訂正する。
訂正事項j
明細書の発明の詳細な説明の段落【0005】の「天板の縁部に、直線部と、当接対象物に当接したときに該当接対象物との間に隙間を形成する隆起部」を、「天板の縁部に、一端近傍部から他端近傍部までの直線部と、この直線部の両端より該直線部に直交する方向に向けて突出し、当接対象物に突き合わせ当接したときに該当接対象物と直線部との間に隙間を形成するための隆起部」と訂正する。
訂正事項k
明細書の発明の詳細な説明の段落【0005】の「隆起部が少なくとも縁部の1箇所にあって天板同士を突き合わせた際に当該他の天板の隆起部以外の縁部に当接し得る位置に設けられている形態や、」との記載を削除する。
訂正事項l
明細書の発明の詳細な説明の段落【0007】の「隆起部が少なくとも縁部の2箇所に設けられているものにおいては、」を、「隆起部が少なくとも縁部の2箇所に設けられているので、」と訂正する。
訂正事項m
明細書の発明の詳細な説明の段落【0008】の「図13」を、「図12」と訂正する。
訂正事項n
明細書の発明の詳細な説明の段落【0015】の「また、隆起部が縁部の1箇所にのみ設けられていても、配線挿通用の隙間を形成することが可能となる。図13はその一例を示すもので、このテーブルCは、天板8の縁部81の1箇所にのみ隆起部81bが設けられていて、天板8の縁部81同士を突き合わせた際に各天板8の縁部81がそれぞれ対応する他の天板8の隆起部81b以外の直線部81aに当接するように設定されているものである。このようにしても、縁部81間に有効な隙間S6を形成することができる。」との記載を削除する。
訂正事項o
明細書の図面の簡単な説明の「【図13】本発明における一変形例を示す平面図。」との記載を削除する。
訂正事項p
明細書の符号の説明の「S1〜S6…隙間」を、「S1〜S5…隙間」と訂正する。
訂正事項q
図面の図13を削除する。

2 訂正の適否
訂正事項aは、特許請求の範囲の請求項1において、天板の形状を限定するものであり、訂正事項bは、同請求項1において、第1の縁部に直線部が存する点、直線部と隆起部との位置関係を限定するものであり、訂正事項cは、同請求項2において、縁部における直線部の位置を限定するものであり、訂正事項dは、同請求項2において、隆起部の位置や突出方向を限定するものであり、訂正事項eは、同請求項1及び2において、隆起部の当接対象物への当接を、突き合わせ当接すると限定するものであり、訂正事項fは、隙間が直線部と当接対象物との間に形成されると限定するものであり、訂正事項hは、隙間が形成される状態を限定するものであり、いずれも特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。そして、これらの訂正は、願書に添付した明細書の段落【0009】、同【0011】の記載及び同図8〜図12に基づくものであって、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、しかも、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
訂正事項gは、請求項を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、しかも、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
訂正事項i〜qは、特許請求の範囲の訂正に伴い明細書の発明の詳細な説明の記載内容の平仄を合わせるとともに、図面を削除するものであって、明りようでない記載の釈明を目的とするものであるあり、また、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、しかも、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、上記訂正事項a〜qの訂正は、特許法120条の4第2項ただし書、同条3項において準用する126条2項及び3項の規定に適合するので、本件訂正を認める。

〔3〕特許異議の申立てについて
1 異議申立ての理由の概要
異義申立人大浜賢三は、本件請求項1〜4に係る発明についての特許に対し、甲第1号証〜甲第4号証を提出して、本件請求項1〜4に係る発明についての特許は、特許法29条2項の規定に違反してなされたものであり、取り消されるべきである旨主張する。

2 本件発明
本件請求項1〜3に係る発明(以下、「本件発明1」〜「本件発明3」という。)は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1〜3に記載された以下の事項により特定されるものと認める。
「【請求項1】矩形に近い平面形状をなす天板の第1の縁部に、一端近傍部から他端近傍部までの直線部と、この直線部の両端より該直線部に直交する方向に向けて突出し、当接対象物に突き合わせ当接したときに該当接対象物と直線部との間に隙間を形成するための隆起部を設けたものであって、前記第1の縁部と逆側に位置する第2の縁部を持ち上げた状態でキャスタを利用して移動させ得るように構成するとともに、前記隆起部の下に脚を設けていることを特徴とするテーブル。
【請求項2】天板の縁部に、一端近傍部から他端近傍部までの直線部と、この直線部の両端より該直線部に直交する方向に向けて突出し、当接対象物に突き合わせ当接したときに該当接対象物と直線部との間に隙間を形成するための隆起部とを設けたものであり、キャスタを利用して移動させ得るように構成するとともに、前記隆起部の下に脚を設けていることを特徴とするテーブル。
【請求項3】当接対象物に同一構造を有する他のテーブルの天板の縁部を含み、隆起部が少なくとも縁部の2箇所にあって天板同士を突き合わせた際に当該他の天板の隆起部にそれぞれ当接し得る位置に設けられ、テーブル同士を付き合わせることによって隆起部同士が当接し、テーブル間に直線部と隆起部とによって囲まれる隙間が形成されることを特徴とする請求項1又は2記載のテーブル。」

3 刊行物に記載された事項
当審が通知した取消しの理由に引用した実公平5-23064号公報(異議申立人が提出した甲第3号証、以下、「刊行物1」という。)には、
a「適宜半径の膨出円弧状辺を主辺とし、この主辺と対向する側に、前記膨出円弧状辺と同径の凹陥円弧状辺及び膨出円弧状辺とを副辺とし、各副辺を前記主辺の長さの略1/2長ごと連続形成して、……を特徴とする組合せ使用に適したテーブル等の天板」(実用新案登録請求の範囲)
b「この2枚の天板1,1の突合せ接合においては凹陥円弧状をなす第二副辺1c同士の間に間隙2が形成されるので、この空間から照明用ポールを立設したりコード類などを引出すことが可能である。」(4欄3〜7行)
の記載がある。
以上の記載及び第2図によれば、刊行物1には、
「天板の凹陥円弧状辺からなる第二副辺に、他のテーブルの天板の縁部に突き合わせ当接したときに該テーブルの天板の縁部との間に隙間を形成するための隆起部を設けたテーブル」
の発明が記載されていると認められる。
同じく、取消しの理由に引用した実公平6-18494号公報(異議申立人が提出した甲第2号証、以下、「刊行物2」という。)には、
c「平面が湾曲した繭型形状の平板で、内側の湾曲凹部に続く両側の湾曲凸部の曲率が前記湾曲凹部と略同一の曲率に形成されたことを特徴とするテーブル等の天板。」(実用新案登録請求の範囲)、
d「第2図に示すように、2個のテーブルを互いに湾曲凸部12を向い合せて配置すれば、湾曲凹部11により空間部14が形成される。従って、この空間部14に床から電話やOA機器のディスプレイのコードを通してそれらを天板1上に載置したり、」(2頁1欄15〜19行)
の記載があり、第2図には、一方の縁部に湾曲凸部、湾曲凹部、湾曲凸部が順に連続して形成された繭型の同一形状の天板を持つ二つのテーブルの天板の縁部同士を突き合わせ、各湾曲凸部12,13を当接させて使用する状態が図示されている。
同じく、取消しの理由に引用した「イトーキ総合カタログ’95」、株式会社イトーキ、1994年12月1日初版発行、388頁(異議申立人が提出した甲第1号証、以下、「刊行物3」という。)には、「ピーナッツ型」と名付けられたテーブルの写真と、天板の平面図が掲載されている。該平面図には、湾曲凸部、湾曲凹部、湾曲凸部が順に形成された一方の縁部と、一方の縁部と逆側に位置する他方の湾曲した縁部を有する天板が図示され、該写真には、天板の一方の縁部の両方の湾曲凸部の下にキャスター付きの脚を設け、他方の縁部に2本の脚を設けたテーブルが写っている。さらに、同一頁の右下に、「脚部に移動のラクなキャスターを装着。」、「移動時には、アジャスター側を持ち上げると、キャスターで簡単に動かせます。」の記載があり、テーブルの天板の縁部を持ち上げ、キャスターで移動させる様子を写した写真が掲載されている。また、「ウェーブ型」と名付けられたテーブルの天板の平面図には、なだらかに湾曲した縁部の両端に隆起部が設けられた形状が示されている。
同じく、取消しの理由に引用した特表平5-505946号公報(異議申立人が提出した甲第4号証、以下、「刊行物4」という。)には、Fig.4及び5に、略台形で、上辺が直線部と両端の突部で構成されたテーブルの天板が図示され、
e「第4および5図によるテーブル形状、……のテーブルは、大型テーブルの一部とすることができる。このような大型テーブルの様々な別形が、第9〜15図に示されている。例えば、第9図による大型テーブルは、第5図による2つのテーブルおよび第8図による3つのテーブルからなる。」の記載がある。

4 対比・判断
4-1 本件発明1について
本件発明1と刊行物1記載の発明とを対比すると、刊行物1記載の発明の「第二副辺」、「他のテーブルの天板の縁部」及び「端部」は、それぞれ本件発明1の「第1の縁部」、「当接対象物」及び「隆起部」に相当するから、両者は、
「天板の第1の縁部に、当接対象物に突き合わせ当接したときに該当接対象物との間に隙間を形成するための隆起部を設けたテーブル」
である点で一致し、以下の点で相違する。
相違点1
本件発明1は、前記第1の縁部と逆側に位置する第2の縁部を持ち上げた状態でキャスタを利用して移動させ得るように構成するとともに、前記隆起部の下に脚を設けているのに対し、刊行物1記載の発明は、どの位置に脚を設けているのか、また第1の縁部と逆側に位置する第2の縁部を持ち上げた状態でキャスタを利用して移動させ得るように構成されているのか否か不明である。
相違点2
本件発明1は、矩形に近い平面形状をなす天板の第1の縁部に、一端近傍部から他端近傍部までの直線部と、この直線部の両端より該直線部に直交する方向に向けて突出し、当接対象物に突き合わせ当接したときに該当接対象物と直線部との間に隙間を形成するための隆起部を設けたのに対し、刊行物1記載の発明は、天板の第1の縁部に、凹陥円弧状辺と、その両側の当接対象物に当接したときに当接対象物と凹陥円弧状辺との間に隙間を形成するための隆起部を設けている。

そこで、上記相違点について検討する。
相違点1について
刊行物3には、上記の記載事項によれば、湾曲凸部(本件発明1の「隆起部」に相当する。)、湾曲凹部、湾曲凸部(隆起部)が順に形成された一方の縁部(本件発明1の「第1の縁部」に相当する。)と、一方の縁部と逆側に位置する他方の湾曲した縁部を有する天板を備えたテーブルにおいて、湾曲凸部(隆起部)の下に脚を設け、他方の縁部を持ち上げた状態でキャスターを利用して移動させ得るようにすることが記載されている。そして、刊行物1記載の発明と刊行物3記載の発明は、共に、第1の縁部に隆起部を設けた天板を備えたテーブルに係るものであり、天板の形状が類似していることから、引用例1記載の発明に引用例2記載の発明を適用することに格別の困難性は認められず、相違点1における本件発明1の事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。
相違点2について
刊行物4には、縁部を直線部と、その両端の突部とで構成したテーブルの天板が図示されている(Fig.4及び5)が、これらのテーブルは、大型テーブルの一部として角部や湾曲部を形成するように用いられることが記載されており(上記記載e及びFig.9〜15参照。)、これらのテーブルの突部を何かに突き合わせ当接させ、突部と直線部とを利用して、当接された物と直線部との間に隙間を形成することは、記載されておらず、そのことを示唆する記載もない。
刊行物2には、一方の縁部に湾曲凸部(本件発明1の「隆起部」に相当する。)、湾曲凹部、湾曲凸部(隆起部)が順に連続して形成された繭型の天板を持つテーブル、が記載されているものの、天板の一方の縁部(本件発明1の「第1の縁部」に相当する。)は、湾曲しており、直線部を有していない。
また、刊行物3にも、「ピーナッツ型」及び「ウエーブ型」と名付けられたテーブルが示されているが、いずれも天板の一方の縁部(本件発明1の「第1の縁部」に相当する。)は、湾曲しており、直線部を有していない。
このように、いずれの刊行物にも、相違点2における本件発明1の事項のうち、少なくとも、「天板の第1の縁部に、一端近傍部から他端近傍部までの直線部と、この直線部の両端より該直線部に直交する方向に向けて突出し、当接対象物に突き合わせ当接したときに該当接対象物と直線部との間に隙間を形成するための隆起部を設けた」との事項については、記載されていないし、示唆もされていない。
そして、本件発明1は、この事項を有することにより、「個人用ワークにおいて、第1の縁部が略直線部によって形成され、その両端にのみ隆起部が形成されるので、従来のデスクと違和感なく使用することができ、しかも、隙間が前記縁部に亘るものとなり、配線に極めて好都合なものとなり……直線部が存在するので、ここにクランプ等を介して従来のデスク等と同様に幕板やタスクライト等を取り付けることができ……その取付け位置も、直線部が隆起部とは別に存在するので明確となり……当接対象物と突き合わせたときにその当接対象物と直線部との間には必ず隙間ができるので、前記直線部に取り付けたクランプ等を取り外すことなくテーブルを当接対象物に突き合わせることができ、レイアウト変更が迅速に行える……隆起部側を反使用端として認識しやすく、個人ワークにおいてそのように使用することで、パソコンや書類等を180度反転させることなく、隆起部側同士を付き合わせる所期のテーブルレイアウトに設定することができ……一方、グループワークにおいては、例えば同一形状のテーブルを突き合わせたときに形成される隙間が一定幅となり無用に対向する人を遠ざけることなく、交流性を阻害することはありません。」(平成15年2月10日付け意見書3頁18行〜4頁8行)という刊行物1〜4記載の発明からは期待できない効果を奏するものである。
したがって、本件発明1は、刊行物1〜4に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

4-2 本件発明2について
本件発明2と刊行物1記載の発明とを対比すると、両者は、
「天板の縁部に、当接対象物に突き合わせ当接したときに該当接対象物との間に隙間を形成するための隆起部を設けたテーブル」
である点で一致し、以下の点で相違する。
相違点3
本件発明2は、キャスタを利用して移動させ得るように構成するとともに、前記隆起部の下に脚を設けているのに対し、刊行物1記載の発明は、どの位置に脚を設けているのか、またキャスタを利用して移動させ得るように構成されているのか否か不明である。
相違点4
本件発明2は、天板の縁部に、一端近傍部から他端近傍部までの直線部と、この直線部の両端より該直線部に直交する方向に向けて突出し、当接対象物に突き合わせ当接したときに該当接対象物と直線部との間に隙間を形成するための隆起部とを設けたのに対し、刊行物1記載の発明は、天板の縁部に凹陥円弧状辺と、その両側の当接対象物に当接したときに当接対象物と凹陥円弧状辺との間に隙間を形成するための隆起部を設けている。

そこで、上記相違点について検討する。
相違点3について
刊行物3には、湾曲凸部(隆起部)、湾曲凹部、湾曲凸部(隆起部)が順に形成された縁部を有する天板を備えたテーブルにおいて、湾曲凸部(隆起部)の下に脚を設け、キャスターを利用して移動させ得るようにすることが記載されている。
そして、刊行物1記載の発明と刊行物3記載の発明は、共に、縁部に隆起部を設けた天板を備え、他のテーブルと当接させて使用するテーブルに係るものであるから、刊行物1記載の発明に刊行物3記載の事項を適用することに格別の困難性は認められず、相違点3における本件発明2の事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。

相違点4について
上記「相違点2について」で検討したのと同様に、相違点4における本件発明2の「天板の第1の縁部に、一端近傍部から他端近傍部までの直線部と、この直線部の両端より該直線部に直交する方向に向けて突出し、当接対象物に突き合わせ当接したときに該当接対象物と直線部との間に隙間を形成するための隆起部を設けた」との事項については、いずれの刊行物にも記載されていないし、示唆もされていない。
そして、本件発明2は、この事項を有することにより上記の効果を奏するものである。
したがって、本件発明2は、刊行物1〜4記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

4-3 本件発明3について
本件発明3は本件発明1又は2を引用してさらに限定したものであるから、本件発明1が、刊行物1〜4に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることができない以上、本件発明3も、刊行物1〜4に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

〔4〕むすび
以上のとおりであるから、異議申立人の主張する理由及び提出した証拠方法によっては、本件発明1〜3についての特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1〜3についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
テーブル
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】矩形に近い平面形状をなす天板の第1の縁部に、一端近傍部から他端近傍部までの直線部と、この直線部の両端より該直線部に直交する方向に向けて突出し、当接対象物に突き合わせ当接したときに該当接対象物と直線部との間に隙間を形成するための隆起部を設けたものであって、前記第1の縁部と逆側に位置する第2の縁部を持ち上げた状態でキャスタを利用して移動させ得るように構成するとともに、前記隆起部の下に脚を設けていることを特徴とするテーブル。
【請求項2】天板の縁部に、一端近傍部から他端近傍部までの直線部と、この直線部の両端より該直線部に直交する方向に向けて突出し、当接対象物に突き合わせ当接したときに該当接対象物と直線部との間に隙間を形成するための隆起部とを設けたものであり、キャスタを利用して移動させ得るように構成するとともに、前記隆起部の下に脚を設けていることを特徴とするテーブル。
【請求項3】当接対象物に同一構造を有する他のテーブルの天板の縁部を含み、隆起部が少なくとも縁部の2箇所にあって天板同士を突き合わせた際に当該他の天板の隆起部にそれぞれ当接し得る位置に設けられ、テーブル同士を付き合わせることによって隆起部同士が当接し、テーブル間に直線部と隆起部とによって囲まれる隙間が形成されることを特徴とする請求項1又は2記載のテーブル。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、簡単な構造によって配線の引き回しの便を有効に向上させたテーブルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近時におけるテーブルの利用形態として、通常は個別に使用されているものを必要に応じ集合させることによって随時大型の会議テーブルを構成するようにしている例が少なくない。このような利用形態によれば、会議テーブル用の特殊な大型天板を導入する必要がなく、平素からそのような大型天板がオフィスの一角を占有するような不都合も解消することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、この種の会議テーブルを構成する個々のテーブルの天板は、従来から単純な長方形状をなしており、天板を突き合わせた際に縁部同士が隙間なく密接に当接するようになっている。ところが、会議中にワープロやパソコン、或いはプロジェクタ等といった多種多様なOA機器を扱う機会が著しく増大した今日においては、従来のような対応のみでは、せっかく会議用に拡張した天板上に多くの配線類が乱雑に溢れ返ることになり、その上、それらの配線類は天板の縁部のうち着座者に最も近くて邪魔になり易い縁部を通過して天板上に引き出されるため、テーブル周辺の居住性や機能性が大巾に低下するという新たな不都合を生じている。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の問題点を解決するために、本発明は、天板の形状を若干工夫するだけで、天板同士を突き合わせた際に配線引き回しのための隙間を簡単に形成できるようにしている。
【0005】
【発明の実施の形態】すなわち、本発明のテーブルは、矩形に近い平面形状をなす天板の第1の縁部に、一端近傍部から他端近傍部までの直線部と、この直線部の両端より該直線部に直交する方向に向けて突出し、当接対象物に突き合わせ当接したときに該当接対象物と直線部との間に隙間を形成するための隆起部を設けたものであって、前記第1の縁部と逆側に位置する第2の縁部を持ち上げた状態でキャスタを利用して移動させ得るように構成するとともに、前記隆起部の下に脚を設けていることを特徴としている。テーブルの好適な実施の形態としては、天板の縁部に、一端近傍部から他端近傍部までの直線部と、この直線部の両端より該直線部に直交する方向に向けて突出し、当接対象物に突き合わせ当接したときに該当接対象物と直線部との間に隙間を形成するための隆起部とを設けたものであり、キャスタを利用して移動させ得るように構成するとともに、前記隆起部の下に脚を設けているものを挙げることができる。当接対象物に同一構造を有する他のテーブルの天板の縁部を含む場合には、隆起部が少なくとも縁部の2箇所にあって天板同士を突き合わせた際に当該他の天板の隆起部にそれぞれ当接し得る位置に設けられている形態が挙げられる。
【0006】このような構成により、通常は単独で使用されるテーブルを必要に応じ隆起部が設けられた縁部同士を突き合わせて配置することによって、天板面が拡張され、その縁部間に、隆起部が介在することによる隙間が形成されることになる。このため、この隙間を利用すれば、床から立ち上げた配線を着座者の邪魔にならない位置から天板上に引き出すことができる。
【0007】特に、隆起部同士が当接するように設定した場合には、個々のテーブルの隆起量をさほど大きく設定せずとも突き合わせた際に縁部間に大きな隙間を形成することができる。また、隆起部が少なくとも縁部の2箇所に設けられているので、当接対象物を壁面とした場合にも、該縁部と壁面との間に隆起部が介在することによる隙間が形成され、この隙間を配線引き回しのために有効利用することができる。
【0008】
【実施例】以下、本発明の実施例を、図1〜図12を参照して説明する。図1〜図4に示すテーブルAと、図5〜図7に示すテーブルBとは、互いに種類が異なるものであり、別途独立に使用できるのは勿論のこと、必要に応じて随時組をなして使用することもできるように構成されたものである。以下、順を追って説明する。
【0009】先ず、図1〜図4に示すテーブルAは、矩形に近い平面形状をなす天板1の各コーナー部を4本の脚21、22、23、24によって支持されている。天板1は、長手方向に沿って伸びる第1の縁部11及び第2の縁部12と、それらの縁部11、12間を連結する第3の縁部13及び第4の縁部14とによって略矩形状の平面形状が与えられたもので、具体的に説明すると、第1の縁部11は一端近傍部から他端近傍部までの直線部11aと、この直線部11aの両端より該直線部11aに直交する方向に向けて突出する半円形状の隆起部11bとから構成されている。第2の縁部12は、全体が一端から他端に亘って緩やかなカーブを描いて外方に膨出する形状をなしている。第3の縁部13及び第4の縁部14は、前記第1の縁部11の隆起部11bの外方端と前記第2の縁部12の側端とを結ぶ位置にあって直線形状をなしている。第1の縁部11の直線部11a、第3の縁部13及び第4の縁部14にはそれぞれ比較的柔軟な素材からなるバンパー部材11c、13a、14aが取着されており、それ以外の天板1の各部は合板を始めとする各種天板素材によって一体に作られている。この天板1を支持する4本の脚21、22、23、24のうち、2本の脚21、22は滑動防止部材25によって床面Fに安定的に接地し、他の2本の脚23、24はキャスタ26によって床面Fに滑動自在に接地していて、第2の縁部12を持ち上げた状態でキャスタ26を利用してテーブルAを移動させ得るようにしている。
【0010】一方、図5〜図7に示すテーブルBは、半楕円形状に近い平面形状をなす天板3の下面を前記テーブルAに付帯する脚21〜24と同一高さの4本の脚41、42、43、44によって支持されている。天板3は、前記天板1の第3の縁部13(又は第4の縁部14)の2倍の長さを有する底縁部31と、この底縁部31の端部間を連結する曲線状縁部32とによって略半楕円状の平面形状が与えられたもので、具体的に説明すると、底縁部31は一端近傍部から他端近傍部までの直線部31aと、この直線部31aの両端より該直線部31aに直交する方向に向けて突出する、前記テーブルAの隆起部11bと同一半円形状の隆起部31bとから構成されている。曲線状縁部32は、前記底縁部31を短軸とし、適宜の長さを長軸とする半楕円形状のものである。底縁部31の直線部31aには比較的柔軟な素材からなるバンパー部材31cが取着されており、それ以外の天板3の各部は合板を始めとする各種天板素材によって一体に作られている。そして、このテーブルBも、天板3を支持する4本の脚41〜44のうち2本の脚41、42が滑動防止部材45によって床面Fに安定的に接地し、他の2本の脚43、44がキャスタ46によって床面Fに滑動自在に接地していて、曲線状縁部32を持ち上げた状態でキャスタ46を利用してテーブルBを移動させ得るようにしている。
【0011】しかして、これらのテーブルA、Bは、通常、単独で使用するときは何れの縁部においても脚と干渉しない位置に椅子を配置することによって人が着座することができる。また、各々のテーブルA、Bを単独使用すると若干天板面積が不足気味となるような小規模の会議や打合せが行われる場合には、図8や図9に示すようにテーブルA、A同士、あるいはB、B同士をそれらの縁部11、31を介して突き合わせることによって適宜天板面を有効に拡張することができる。しかも、この場合には、縁部11(31)の隆起部11b同士(31b同士)が当接し、それらの直線部11a同士(31a同士)は直接的には当接しないため、テーブルA、A間(B、B間)には直線部11a(31a)と隆起部11b(31b)とによって囲まれる隙間S1(S2)が形成されることになる。このため、この隙間S1(S2)を利用すれば、床面Fから立ち上げた配線を着座者の邪魔にならない位置から天板1(3)上に引き出すことができる。
【0012】さらに、このようなテーブルA、A同士、B、B同士の突き合わせによっても十分な天板面積が得られない場合には、図8に示したようなテーブルA、Aの突き合わせ状態から更に、それらの縁部13、14に図10に示すようにテーブルBの縁部31を突き合わせて配置すれば、天板面積をより大きく拡張することができる。そして、この場合にも縁部13、31間(14、31間)に隆起部31bが介在することによる隙間S3が形成されるため、この隙間S3を配線挿通空間として有効に利用することができる。
【0013】ところで、以上におけるテーブルA、A間(B、B間)の隙間S1(S2)は、隆起部11b同士(31b同士)が直接当接することによって個々の隆起部11b(31b)の隆起量の2倍の大きさのものになる。このため、その隙間S1(S2)を利用すれば、図10に示すように配線具5やテーブル6を配置することも可能になる。配線具5は、床面Fからの配線をポール51内部に収納し上端にその配線との接続を可能にするコンセント52を装着したもので、ポール51は上下方向に突没してコンセント52を天板1、3よりも高い位置と低い位置とに選択的に切替えて配置できるように構成されているものである。また、テーブル6は、OHP7等を配置するに適した天板面積を有するもので、支柱62の背丈がテーブルA、Bの天板1、3よりも高く、天板61がそれらの天板1、3と干渉しない位置に配置されるものである。このように、隆起部11b同士(31b同士)が当接するように構成することによって、テーブルA、Bを極端に異形なものにすることなく、テーブルA、Bを突き合わせた際の使い勝手を有効に向上させることができる。
【0014】なお、以上説明したテーブルA、Bは、単独使用する場合にも前記隆起部11b、31bを利用して配線引き回しのための隙間を形成できるのは勿論である。すなわち、これらのテーブルA(B)はそれぞれ隆起部11b(31b)が縁部11(31)の2箇所に設けられているため、図11(図12)に示すように、これらの縁部11(31)を壁面Wに近付けると、隆起部11b(31b)が優先的に壁面Wに当接して、縁部11(31)、隆起部11b(31b)及び壁面Wによって囲まれる部位に配線引き回しのための隙間S4(S5)が有効に形成されることとなる。
【0015】
【0016】なお、本実施例に供するテーブルは、一般的な机などの概念を含むものであり、各部の具体的な構成は、上述した実施例のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0017】
【発明の効果】本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。すなわち、本発明のテーブルは、天板の縁部に、当接対象物に当接したときに該当接対象物との間に隙間を形成するための隆起部を設けたことを特徴としている。当接対象物に同一構造を有する他のテーブルの天板の縁部を含む場合には、テーブルの縁部同士を突き合わせて配置することにより天板面が拡張され、縁部間に隆起部により形成される隙間を利用して、床から立ち上げた配線を着座者の邪魔にならない位置から天板上に引き出すことが可能である。
【0018】このような構成のものならば、会議中、ワープロやパソコン或いはプロジェクタなどのOA機器をフルに活用しても、テーブル上に配線類が乱雑に溢れ返ることなく有効に天板上を利用することができ、テーブル周辺の居住性や機能性の向上が促進される。また、隆起部を少なくとも縁部の2箇所に設けるならば、当接対象物を壁面とした場合にも、該縁部と壁面との間に隆起部が介在することによる隙間が形成され、この隙間を配線引き回しのために有効利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るテーブルAを示す斜視図。
【図2】同平面図。
【図3】図2におけるIII-III線拡大端面図。
【図4】図2におけるIV-IV線拡大端面図。
【図5】同実施例に係るテーブルBを示す斜視図。
【図6】同平面図。
【図7】図6におけるVII-VII線端面図。
【図8】テーブルA同士を突き合わせた状態を示す斜視図。
【図9】テーブルB同士を突き合わせた状態を示す斜視図。
【図10】本発明における一使用状態を示す斜視図。
【図11】テーブルAの一使用状態を示す平面図。
【図12】テーブルBの一使用状態を示す平面図。
【符号の説明】
A…テーブル
1…天板
11…縁部(第1の縁部)
11b…隆起部
12…縁部(第2の縁部)
13…縁部(第3の縁部)
14…縁部(第4の縁部)
B…テーブル
3…天板
31…縁部(底縁部)
31b…隆起部
32…縁部(曲線状縁部)
C…テーブル
8…天板
81…縁部
81b…隆起部
S1〜S5…隙間
 
訂正の要旨 訂正の要旨
審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2003-03-07 
出願番号 特願平8-120671
審決分類 P 1 651・ 121- YA (A47B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 蓮井 雅之  
特許庁審判長 木原 裕
特許庁審判官 鈴木 公子
山口 由木
登録日 2000-10-06 
登録番号 特許第3116111号(P3116111)
権利者 コクヨ株式会社
発明の名称 テーブル  
代理人 井上 敬子  
代理人 赤澤 一博  
代理人 久留 徹  
代理人 赤澤 一博  
代理人 久留 徹  
代理人 井上 敬子  
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