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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 H01L |
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管理番号 | 1077827 |
異議申立番号 | 異議2001-73309 |
総通号数 | 43 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2001-01-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2001-12-11 |
確定日 | 2003-03-20 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3174561号「基板表面から液体を除去する方法、当該方法を用いる半導体装置の製造方法、及び基板表面から液体を除去する装置」の請求項1ないし19に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3174561号の請求項1、2、4乃至7、10乃至12、14乃至17に係る特許を取り消す。 同請求項3、8、9、13、18、19に係る特許を維持する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第3174561号の請求項1乃至19に係る発明についての出願は、平成3年3月1日(パリ条約により優先権主張1990年3月1日、オランダ)に出願された特願平3-59323号の一部を特許法第44条第1項の規定により新たな特許出願としたもので、同13年3月30日にその発明について特許権の設定の登録がされ、その後、同13年12月11日に、特許異議申立人高橋友之輔より請求項1乃至19に係る特許について特許異議の申立てがされ、取消しの理由が通知され、その指定期間内である同14年9月19日に明細書の訂正の請求がされたものである。 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正事項 上記訂正の請求による訂正事項は、次のとおりである。 訂正事項a 設定登録時の願書に添付した明細書又は図面(以下「特許明細書等」という。)の特許請求の範囲の請求項1に記載された 「少なくとも一部液体で被覆された基板が遠心機内に設置され、該遠心機内で回転運動を受けることにより基板表面から液体を除去する方法であって、 前記液体が遠心分離により前記基板表面から除去されてしまう前に、少なくとも一部前記液体で被覆された前記基板を、前記液体と接触した場合当該液体の表面張力を小さくするような物質の蒸気と前記遠心機内で接触させることを特徴とする基板表面から液体を除去する方法。」を、 「少なくとも一部液体で被覆された基板が遠心機内に設置され、該遠心機内で回転運動を受けることにより基板表面から液体を除去する方法であって、 前記液体が遠心分離により前記基板表面から除去されてしまう前に、少なくとも一部前記液体で被覆された前記基板を、前記液体と接触した場合当該液体の表面張力を小さくするような物質の蒸気と前記回転運動中に前記遠心機内で接触させることを特徴とする基板表面から液体を除去する方法。」と訂正する。 訂正事項b 特許明細書等の特許請求の範囲の請求項11に記載された 「遠心機を有し、少なくとも一部液体で被覆された基板が該遠心機内に設置され、該遠心機内で回転運動を受けることにより基板表面から液体を除去する装置であって、 前記液体が遠心分離により前記基板表面から除去されてしまう前に、前記液体に接触した場合当該液体の表面張力を小さくするような物質の蒸気を、前記遠心機内に設置された少なくとも一部前記液体で被覆された前記基板上にもたらすガス導入部が設けられることを特徴とする装置。」を、 「遠心機を有し、少なくとも一部液体で被覆された基板が該遠心機内に設置され、該遠心機内で回転運動を受けることにより基板表面から液体を除去する装置であって、 前記液体が遠心分離により前記基板表面から除去されてしまう前に、前記液体に接触した場合当該液体の表面張力を小さくするような物質の蒸気を、前記遠心機内に設置された少なくとも一部前記液体で被覆された前記基板上に前記回転運動中にもたらすガス導入部が設けられることを特徴とする装置。」と訂正する。 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否 訂正事項aは、請求項1における「前記基板を、・・・蒸気と前記遠心機内で接触させる」を「前記基板を、・・・蒸気と前記回転運動中に前記遠心機内で接触させる」と、基板を蒸気に接触させる時期が「回転運動中に」であると限定しようとするものであるので、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当する。 また、訂正事項aの「前記基板を、・・・蒸気と前記回転運動中に前記遠心機内で接触させる」ことは、特許明細書等の段落【0026】に記載された「該蒸気は回転中も表面2上に導入される。」の事項より、特許明細書等に記載された事項の範囲内のものであり、また、訂正事項aの訂正によって発明の目的が変更されるものでもない。 訂正事項bは、請求項11における「蒸気を、・・・前記基板上にもたらすガス導入部が設けられる」を「蒸気を、・・・前記基板上に前記回転運動中にもたらすガス導入部が設けられる」と、ガス導入部が蒸気を前記基板上にもたらす時期が「回転運動中に」であると限定しようとするものであるので、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当する。 また、訂正事項bの「蒸気を、・・・前記基板上に前記回転運動中にもたらすガス導入部が設けられる」ことは、訂正事項aと同様に特許明細書等に記載された事項の範囲内のものであり、また、訂正事項bの訂正によって発明の目的が変更されるものでもない。 3 むすび 以上のとおりであるので、上記訂正は、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書及び第2項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 第3 特許異議の申立てについての判断 1 特許異議の申立ての理由の概要及び取消しの理由の概要 特許異議申立人高橋友之輔の申立ての理由の概要は、請求項1乃至19に係る発明は、本件特許出願前に日本国内において頒布された刊行物である特開昭63-10528号公報(特許異議申立人高橋友之輔が提出した甲第1号証。以下「引用例1」という。)及び特開昭62-142328号公報(同甲第2号証。以下「引用例2」という。)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1乃至19に係る特許は、特許法第29条の規定に違反してされたものであって、取り消されるべきものというものである。 また、当審で通知した取消しの理由の概要は、前記特許異議の申立ての理由と同様のものである。 2 本件発明 上記のとおり、上記訂正が認められたので、本件請求項1乃至19に係る発明(以下「本件発明1乃至19」という。)は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1乃至19に記載された次のとおりのものである。 「【請求項1】 少なくとも一部液体で被覆された基板が遠心機内に設置され、該遠心機内で回転運動を受けることにより基板表面から液体を除去する方法であって、 前記液体が遠心分離により前記基板表面から除去されてしまう前に、少なくとも一部前記液体で被覆された前記基板を、前記液体と接触した場合当該液体の表面張力を小さくするような物質の蒸気と前記回転運動中に前記遠心機内で接触させることを特徴とする基板表面から液体を除去する方法。 【請求項2】 請求項1に記載の方法において、 前記蒸気を不飽和状態で前記基板と接触させることを特徴とする基板表面から液体を除去する方法。 【請求項3】 請求項2に記載の方法において、 前記蒸気を前記基板の温度よりも低い温度に冷却して、該蒸気を不飽和状態で前記基板と接触させることを特徴とする基板表面から液体を除去する方法。 【請求項4】 請求項1、2または3に記載の方法において、 前記基板が前記遠心機内で回転運動を受ける前に、前記物質の蒸気を前記基板と予め接触させることを特徴とする基板表面から液体を除去する方法。 【請求項5】 請求項4に記載の方法において、 前記基板が回転運動を受ける前に、1乃至15秒前記蒸気を前記基板と接触させることを特徴とする基板表面から液体を除去する方法。 【請求項6】 請求項1乃至5の何れか一項に記載の方法において、 有機溶媒が前記物質として使用されることを特徴とする基板表面から液体を除去する方法。 【請求項7】 請求項6に記載の方法において、 イソプロパノール、1・メトキシ・2・プロパノール、エチルグリコール及びジアセトンアルコールよりなる群より選択された有機溶媒が使用されることを特徴とする基板表面から液体を除去する方法。 【請求項8】 請求項1乃至7の何れか一項に記載の方法において、 前記蒸気をキャリアガスと混合し、この混合物を遠心機内に導入して、前記基板を前記蒸気と接触させることを特徴とする基板表面から液体を除去する方法。 【請求項9】 請求項8に記載の方法において、 前記蒸気と前記キャリアガスとの混合物を、前記基板表面近傍においてガス流が小さくなるように前記遠心機内に導入することを特徴とする基板表面から液体を除去する方法。 【請求項10】 半導体装置の製造方法であって、半導体装置が半導体基板上に形成され、該形成時、前記半導体基板は液体を含有する浴中で処理される方法において、 前記液体を含有する浴中における前記半導体基板の前記処理の後、請求項1乃至9の何れか一項に記載の方法が実施されることを特徴とする半導体装置の製造方法。 【請求項11】 遠心機を有し、少なくとも一部液体で被覆された基板が該遠心機内に設置され、該遠心機内で回転運動を受けることにより基板表面から液体を除去する装置であって、 前記液体が遠心分離により前記基板表面から除去されてしまう前に、前記液体に接触した場合当該液体の表面張力を小さくするような物質の蒸気を、前記遠心機内に設置された少なくとも一部前記液体で被覆された前記基板上に前記回転運動中にもたらすガス導入部が設けられることを特徴とする装置。 【請求項12】 請求項11に記載の装置において、 前記蒸気を不飽和状態で前記基板と接触させることを特徴とする基板表面から液体を除去する装置。 【請求項13】 請求項12に記載の装置において、 前記蒸気を前記基板の温度よりも低い温度に冷却して、該蒸気を不飽和状態で前記基板と接触させることを特徴とする基板表面から液体を除去する装置。 【請求項14】 請求項11、12または13に記載の装置において、前記基板が前記遠心機内で回転運動を受ける前に、前記物質の蒸気を前記基板と予め接触させることを特徴とする基板表面から液体を除去する装置。 【請求項15】 請求項14に記載の装置において、 前記基板が回転運動を受ける前に、1乃至15秒前記蒸気を前記基板と接触させることを特徴とする基板表面から液体を除去する装置。 【請求項16】 請求項11乃至15の何れか一項に記載の装置において、 有機溶媒が前記物質として使用されることを特徴とする基板表面から液体を除去する装置。 【請求項17】 請求項16に記載の装置において、 イソプロパノール、1・メトキシ・2・プロパノール、エチルグリコール及びジアセトンアルコールよりなる群より選択された有機溶媒が使用されることを特徴とする基板表面から液体を除去する装置。 【請求項18】 請求項11乃至17の何れか一項に記載の装置において、 前記蒸気をキャリアガスと混合し、この混合物を遠心機内に導入して、前記基板を前記蒸気と接触させることを特徴とする基板表面から液体を除去する装置。 【請求項19】 請求項18に記載の装置において、 前記蒸気と前記キャリアガスとの混合物を、前記基板表面近傍においてガス流が小さくなるように前記遠心機内に導入することを特徴とする基板表面から液体を除去する装置。」 3 引用例 (1)引用例1 ア 上記引用例1の第1頁左下欄第5-12行に、 「内部を減圧する手段を備えた容器の内部に、有機物の蒸気を存在させ、前記容器内で前記有機物の蒸気と被乾燥物を接触させた後、大気圧以下の圧力の下で前記被乾燥物表面の液体に物理的な力を作用せしめて乾燥する方法であって、前記有機物の蒸気として、前記有機物が常温で沸とうしない減圧下で蒸気化したものを用いることを特徴とする乾燥方法。」と記載され、 イ 第2頁左下欄第17行-第3頁左上欄第9行に、 「本発明において、Siウエハ表面の水滴の水切り、乾燥を行なうために、Siウエハを有機物の蒸気と接触させる。有機物の中で蒸気を発生しやすいものとして有機溶剤が適している、有機溶剤蒸気を発生させる手段として、減圧する手段を備えた容器(以下、減圧容器と記す)の内部に有機溶剤を入れ、減圧容器を密封した後減圧容器内の圧力を減じると有機溶剤の蒸気化が促進され減圧容器内に充満する。この様にして作成した蒸気は有機溶剤分子のみが蒸気になったもので有機溶剤中の微粒子を含まない清浄な蒸気であり、有機溶剤の蒸気によってSiウエハが汚染されることはない。また、本発明方法によって作った有機物の蒸気は、減圧容器内が減圧状態である限り、減圧容器やチューブのすき間から大気中に漏れて火災が起きたり、人体に悪影響を与えることはない。 ところが、圧力を下げすぎると有機溶剤が沸とうして、有機溶剤は微細粒子を含んだまミストとなって飛散する為にSiウエハが汚染される危険が大きいため、減圧は有機溶剤が沸とうする以上の圧力でなけれはならない。 有機溶剤の蒸気がSiウエハの乾燥に及ぼす効果としては、有機溶剤蒸気がSiウエハと接触すると、Siウエハ表面に有機物の膜を形成しSiウエハは疎水性となり水滴との接触角が大きくなることによって水滴が除去しやすくなる。 この状態でSiウエハが垂直に立っていると水滴に重力が作用して水滴はSiウエハ表面を落下してSiウエハから水滴は除去できるし、Siウエハに空気やN2ガス等を吹きつけたり、200〜500rpmのダストが発生し難い低速で回転する等の方法で水滴に機械的な力を加えると容易に水滴は除去できる。」と記載され、 ウ 第3頁左上欄第18行-左下欄第10行に、 「このような物質としては、メタノール,エタノール,n-プロパノール,イソプロパノール,グリコール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、酢酸等のカルボン酸,酢酸メチル,酢酸エチル等のエステル類、エチルアミン等のアミン類さらには、スルホン酸や界面活性剤等があるが本発明ではこれらの中のいづれの物質の単体あるいは混合物を用いても支障ないが、Siウエハへの吸着能が小さく処理液と置換しやすいメタノール,エタノール,エチルアミン,酢酸,酢酸メチル,酢酸エチル,アセトン,イソプロパノール,n-プロパノール,n-ブタノール等が適している。 ・・・ これらの有機溶剤は単独で使用してもよいし、複数の溶剤を混合して使用して最低共沸混合物を作る組合せにおいては支障はない。」と記載され、 エ 第4頁左上欄第9行-左下欄第16行に、 「以下、本実施例の具体的内容を記す。 直径5インチのSiウエハ13面上にバイロジェニック法でSiO2膜を3000Åの厚さで形成した。SiO2膜上にフォトレジスト(厚さ1.2μm)を塗布した後、露光・現像を行いパターンを形成した。上記Siウエハを・・・ドライエッチングした後、Siウエハ13上のフォトレジストをO2プラズマレジストアッシャで十分に除去した。このようにして得たSiウエハ13を・・・水洗槽にす早く浸漬して・・・水洗した。・・・ 一方、図に示す減圧容器(内容積10l)11の中にイソプロパノール(500ml,20℃)14をガラス容器15に入れて置き、バルブ17,18及び19を閉めた。次に、前記水洗を完了したSiウエハ13をハンガー16に垂直に立てて置いた。Siウエハ13とハンガー16は接点で水溜りを防止するために接触面積をできる限り少なくなるように工夫してある。 その後減圧容器11を密封しロータリー真空ポンプ12を作動させて減圧容器11内の圧力を約10秒間で60Torrまで減圧し、さらに減圧をつづけかつイソプロパノール14の沸とうを防ぐために圧力が40Torrになるようにバルブ19を少し開けて空気をフィルター(最小除去粒子径0.002μm)20を通して減圧容器に導入しながら、5分間この状態を保って、Siウエハ13をイソプロパノール蒸気と接触させた。そして、バルブ17を閉じかつ、バルブ19を全開にして減圧容器11の内圧を大気圧に戻した後、扉(図示せず)を開けてSiウエハを取り出した。 この時のSiウエハ13表面を観察すると、当初水で濡れていたSiウエハ13は、減圧容器11をロータリ真空ポンプ12で減圧を開始後、数秒経過すると急激にSiウエハ13表面が疎水化して水膜が下方に落下し、Siウエハ13を取り出した時は完全に乾燥していた。」と記載され、 オ 第4頁右下欄下から第6行-第5頁左上欄第11行に、 「以下本発明の第2の実施例について説明する。 第1の実施例で用いた図の乾燥装置において、減圧容器11内部にガラス容器15に入ったイソプロパノール14を置き、第1の実施例と同様にして減圧し、40Torrに保持しイソプロパノール14を沸とうさせることなく蒸気化し、減圧容器11に充満させた後、バルブ17を閉にして減圧容器11の内圧を大気圧に戻した。 また、第1の実施例と同様にして作成したパターンを形成したSiウエハ13を上記減圧容器11内に1分間水平に置いて、イソプロパノールの蒸気と接触させた。 このSiウエハ13を減圧容器11から取り出した後、フッ素樹脂製Siウエハキャリヤに収納してからスピン乾燥機(フジアドバンス社製)に入れ300rpmで1分間乾燥すると、Siウエハ上に水滴はなく、乾燥していた。」と記載され、 カ 第5頁左下欄第6-18行に、 「以上のように本発明によれば、減圧下でのみ有機物を蒸気化することにより、減圧容器や配管のすき間から有機物蒸気が外に漏れず、かつ必要な時に必要な量だけ蒸気化できるため、火災・爆発や人体に悪影響を及ぼすことが非常に少ない。また、乾燥部付近は激しく運動する機器や機構の必要性がなく被乾燥物を汚染する危険性が少ない。 さらに、被乾燥物を有機物蒸気と接触させることによって被乾燥物表面は疎水化し、水滴に小さな外力が働くだけで水切れが良くなり乾燥しやすくなるとともに、水中の不純物も被乾燥物表面から無くなり、シミやダストとして残ることがない等々の効果を有する。」と記載されていると認める。 以上のとおりであるので、引用例1には、 少なくとも一部水で被覆されたウエハがスピン乾燥機内に設置され、該スピン乾燥機内で回転運動を受けることによりウエハ表面から水を除去する方法であって、 前記水が遠心分離により前記ウエハ表面から除去されてしまう前に、少なくとも一部前記水で被覆された前記ウエハを、有機溶剤であるイソプロパノールの蒸気と接触させるものであり、前記ウエハが前記スピン乾燥機内で回転運動を受ける前に、前記蒸気を前記ウエハと予め接触させるウエハ表面から水を除去する方法(以下「第1の方法の発明」という。)、 スピン乾燥機を有し、少なくとも一部水で被覆されたウエハが該スピン乾燥機内に設置され、該スピン乾燥機内で回転運動を受けることによりウエハ表面から水を除去する装置であって、 前記水が遠心分離により前記ウエハ表面から除去されてしまう前に、有機溶剤であるイソプロパノールの蒸気を、少なくとも一部前記水で被覆された前記ウエハ上にもたらすものであり、前記ウエハが前記スピン乾燥機内で回転運動を受ける前に、前記蒸気を前記ウエハと予め接触させる減圧容器を備えた装置(以下「第1の装置の発明」という。)、 少なくとも一部水で被覆されたウエハをイソプロパノールの蒸気と重力の作用中に接触させるウエハ表面から水を除去する方法(以下「第2の発明」という。)及び パターンがウエハ上に形成され、該形成時、前記ウエハは水洗槽中で水洗される方法において、 前記水洗槽中における前記ウエハの前記処理の後、少なくとも一部水で被覆されたウエハがスピン乾燥機内に設置され、該スピン乾燥機内で回転運動を受けることによりウエハ表面から水を除去する方法であって、 前記水が遠心分離により前記ウエハ表面から除去されてしまう前に、少なくとも一部前記水で被覆された前記ウエハを、イソプロパノールの蒸気と接触させるウエハ表面から水を除去する方法が実施されるウエハの製造方法(以下「第3の発明」という。)の4つの発明が記載されていると認める。 (2)引用例2 ア 引用例2の第1頁右下欄第13-17行に、 「上記問題点を解決するために、洗浄工程の最終洗浄液として表面張力が水の1/2以下の小さい有機溶剤を用いる。この溶剤の表面張力が小さいことを利用して、遠心力により残留物が全て飛散するように回転させる。」と記載され、 イ 第2頁左下欄第10-末行に、 「第1図において、回転台の周囲にあるシリコン基板設置台3にシリコン基板を入れ、回転体4の中央に組み込まれた有機溶剤噴出口1からエタノール2を設置台3に固定されたシリコン基板全面にふきかける。この処理によって前工程である基板洗浄により残存していた純水の水滴を完全にエタノールで置換し、同時に前回の乾燥処理でチャンバー内に残留した汚れを洗浄して乾燥状態での汚染を防止した。エタノールの置換がほぼ完了した後に、回転体4を1000(r.p.m)で高速回転させて乾燥を行った。」と記載され、 ウ 第1図に遠心乾燥装置の概略平面図、第2図に水滴に作用する各々の表面張力の関係を示すモデル断面図が示されていると認める。 4 対比・判断 (1)本件発明1について 本件発明1と上記第1の方法の発明とを対比すると、第1の方法の発明の「水」は、本件発明1の「液体」に相当しており、同様に、「ウエハ」は「基板」に、「スピン乾燥機」は「遠心機」にそれぞれ相当していることが明らかである。 また、本件発明1の「前記液体と接触した場合当該液体の表面張力を小さくするような物質の蒸気」とは、請求項7に記載された事項より、イソプロパノールの蒸気を含むものであるので、第1の方法の発明の「イソプロパノールの蒸気」も、「前記液体と接触した場合当該液体の表面張力を小さくするような物質の蒸気」と表現することができる。 そうすると、本件発明1と上記第1の方法の発明とは、次の「基板表面から液体を除去する方法」の点で一致している。 少なくとも一部液体で被覆された基板が遠心機内に設置され、該遠心機内で回転運動を受けることにより基板表面から液体を除去する方法であって、 前記液体が遠心分離により前記基板表面から除去されてしまう前に、少なくとも一部前記液体で被覆された前記基板を、前記液体と接触した場合当該液体の表面張力を小さくするような物質の蒸気と接触させる基板表面から液体を除去する方法。 しかし、本件発明1では、基板を蒸気と回転運動中に遠心機内で接触させるのに対し、第1の方法の発明では、そのようなものではない点(以下「相違点1」という。)で、両者は相違している。 そこで、相違点1について、以下検討する。 上記3(1)のとおり、上記引用例1には第2の発明が記載されており、第2の発明の「水」、「ウエハ」及び「イソプロパノールの蒸気」は、第1の方法の発明と同様に、それぞれ、「液体」、「基板」及び「前記液体と接触した場合当該液体の表面張力を小さくするような物質の蒸気」と表現することができ、また、第2の発明の「重力」は、「外力」と表現することができるので、第2の方法の発明は、少なくとも一部液体で被覆された基板を、前記液体と接触した場合当該液体の表面張力を小さくするような物質の蒸気と外力の作用中に接触させる基板表面から液体を除去する方法、ということになる。 そして、第1の方法の発明は、回転運動を受けることにより基板表面から液体を除去するものであるが、この回転運動を受けるとは、遠心力という外力の作用を受けることに他ならないので、第2の方法の発明の外力の作用中に基板を蒸気に接触させる点を、第1の方法の発明に採用し、外力の作用中である回転運動中に基板を蒸気に接触させるようにすることに、格別の困難性はなく、また、回転運動は、遠心機内で行われるものであるから、基板を蒸気と遠心機内で接触させることも当然に行われることである。 したがって、本件発明1は、引用例1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (2)本件発明2について 本件発明2は、本件発明1に従属するものであるので、本件発明2と上記第1の方法の発明とを対比すると、上記(1)のとおり、上記相違点1で両者は相違すると共に、本件発明2では、「前記蒸気を不飽和状態で前記基板と接触させる」事項の限定が加えられているのに対し、第1の方法の発明では、そのようなものであるのか明らかでない点(以下「相違点2」という。)で、両者は相違している。 そこで、これらの相違点について検討すると、相違点1については、上記(1)で既に検討しているので、相違点2について、以下検討する。 基板と接触させる蒸気を、不飽和状態とするか飽和状態とするかは、適宜決定する事項であって、該蒸気を不飽和状態とすることは、設計的事項にすぎない。 したがって、本件発明2は、引用例1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (3)本件発明4について 本件発明4は、本件発明1、2または3に従属するものであるので、本件発明1に従属する本件発明4と上記第1の方法の発明とを対比すると、本件発明4で限定が加えられた「前記基板が前記遠心機内で回転運動を受ける前に、前記物質の蒸気を前記基板と予め接触させる」事項は、第1の方法の発明が備えている事項であるので、両者は、上記相違点1で相違していることになる。 ところで、相違点1については、上記(1)で既に検討している。 したがって、本件発明4は、引用例1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (4)本件発明5について 本件発明5は、本件発明4に従属するものであるので、本件発明5と上記第1の方法の発明とを対比すると、上記(3)のとおり、上記相違点1で両者は相違すると共に、本件発明5では、「前記基板が回転運動を受ける前に、1乃至15秒前記蒸気を前記基板と接触させる」事項の限定が加えられているのに対し、第1の方法の発明では、そのようなものであるのか明らかでない点(以下「相違点3」という。)で、両者は相違している。 そこで、これらの相違点について検討すると、相違点1については、上記(1)で既に検討しているので、相違点3について、以下検討する。 基板が回転運動を受ける前に、蒸気を基板と接触させる時間をどの程度とするかは、必要に応じて適宜決定する設計的事項であって、その時間を1乃至15秒とすることに格別の困難性はない。 したがって、本件発明5は、引用例1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (5)本件発明6について 本件発明6は、本件発明1乃至5の何れかの発明に従属するものであるので、本件発明1に従属する本件発明5と上記第1の方法の発明とを対比すると、第1の方法の発明の「有機溶剤」は、「有機溶媒」と表現することができるので、本件発明6で限定が加えられた「有機溶媒が前記物質として使用される」事項は、明らかに第1の方法の発明が備えている事項であるので、両者は、上記相違点1で相違していることになる。 ところで、相違点1については、上記(1)で既に検討している。 したがって、本件発明6は、引用例1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (6)本件発明7について 本件発明7と上記第1の方法の発明とを対比すると、本件発明7で限定が加えられた「イソプロパノールの有機溶媒を使用する」事項は、第1の方法の発明が備えている事項であるので、この事項に関して両者に相違はなく、また、本件発明7は、本件発明6に従属するものであるので、上記(5)のとおり、両者は、上記相違点1で相違していることになる。 ところで、相違点1については、上記(1)で既に検討している。 したがって、本件発明7は、引用例1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (7)本件発明10について 本件発明10は、本件発明1乃至9の何れかの発明に従属するものであるので、本件発明1に従属する本件発明10と上記第3の発明とを対比すると、第3の発明の「水」は、本件発明10の「液体」に相当しており、同様に、「ウエハ」は「基板」に、「水洗槽中で水洗される」は「液体を含有する浴中で処理される」に、「スピン乾燥機」は「遠心機」にそれぞれ相当していることが明らかである。 また、上記(1)のとおり、第3の発明の「イソプロパノールの蒸気」は、「前記液体と接触した場合当該液体の表面張力を小さくするような物質の蒸気」と表現することができる。 また、第3の発明の「パターンがウエハ上に形成され」は、「半導体装置が半導体基板上に形成され」と表現することができ、同様に、「ウエハの製造方法」は、「半導体装置の製造方法」と表現することができる。 そうすると、本件発明10と上記第3の発明とは、次の「半導体装置の製造方法」の点で一致している。 半導体装置の製造方法であって、半導体装置が半導体基板上に形成され、該形成時、前記半導体基板は液体を含有する浴中で処理される方法において、 前記液体を含有する浴中における前記半導体基板の前記処理の後、 少なくとも一部液体で被覆された基板が遠心機内に設置され、該遠心機内で回転運動を受けることにより基板表面から液体を除去する方法であって、 前記液体が遠心分離により前記基板表面から除去されてしまう前に、少なくとも一部前記液体で被覆された前記基板を、前記液体と接触した場合当該液体の表面張力を小さくするような物質の蒸気と接触させる基板表面から液体を除去する方法が実施される半導体装置の製造方法。 そして、両者は、上記相違点1で相違していることになるが、相違点1については、上記(1)で既に検討している。 したがって、本件発明10は、引用例1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (8)本件発明11について 本件発明11と上記第1の装置の発明とを対比すると、第1の装置の発明の「水」は、本件発明11の「液体」に相当しており、同様に、「ウエハ」は「基板」に、「スピン乾燥機」は「遠心機」にそれぞれ相当していることが明らかである。 また、本件発明11の「前記液体と接触した場合当該液体の表面張力を小さくするような物質の蒸気」とは、請求項16に記載された事項より、イソプロパノールの蒸気を含むものであるので、第1の装置の発明の「イソプロパノールの蒸気」も、「前記液体と接触した場合当該液体の表面張力を小さくするような物質の蒸気」と表現することができる。 また、第1の装置の発明の「蒸気を、少なくとも一部前記液体で被覆された前記基板上にもたらすものであり、前記基板が前記遠心機内で回転運動を受ける前に、前記蒸気を前記基板と予め接触させる減圧容器」は、蒸気を、少なくとも一部前記液体で被覆された前記基板上にもたらす手段であることに限り、本件発明11の「蒸気を、前記遠心機内に設置された少なくとも一部前記液体で被覆された前記基板上に前記回転運動中にもたらすガス導入部と一致している。 そうすると、本件発明11と上記第1の装置の発明とは、次の「装置」の点で一致している。 遠心機を有し、少なくとも一部液体で被覆された基板が該遠心機内に設置され、該遠心機内で回転運動を受けることにより基板表面から液体を除去する装置であって、 前記液体が遠心分離により前記基板表面から除去されてしまう前に、前記液体に接触した場合当該液体の表面張力を小さくするような物質の蒸気を、少なくとも一部前記液体で被覆された前記基板上にもたらす手段が設けられる装置。 しかし、蒸気を、少なくとも一部前記液体で被覆された前記基板上にもたらす手段が、本件発明11では、蒸気を、前記遠心機内に設置された少なくとも一部前記液体で被覆された前記基板上に前記回転運動中にもたらすガス導入部であるのに対し、第1の装置の発明では、そのようなものではない点(以下「相違点4」という。)で、両者は相違している。 そこで、相違点4について、以下検討する。 上記第2の発明は、上記(1)のとおりのものであり、また、第1の装置の発明は、回転運動を受けることにより基板表面から液体を除去するものであるが、この回転運動を受けるとは、遠心力という外力の作用を受けることに他ならないので、第2の発明の外力の作用中に基板を蒸気に接触させる点を、第1の装置の発明に採用し、外力の作用中である回転運動中に蒸気を基板上にもたらすようにすることに、格別の困難性はなく、また、回転運動は、遠心機内で行われるものであるから、回転運動中に蒸気を基板上にもたらす手段として、蒸気を、前記遠心機内に設置された前記基板上に前記回転運動中にもたらすガス導入部を採用することも当然に行われることである。 したがって、本件発明11は、引用例1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (9)本件発明12について 本件発明12は、本件発明11に従属するものであるので、本件発明12と上記第1の装置の発明とを対比すると、上記(8)のとおり、上記相違点4で両者は相違すると共に、上記(2)で述べたように上記相違点2で、両者は相違している。 ところで、相違点2については上記(2)で、相違点4については上記(8)で既に検討している。 (10)本件発明14について 本件発明14は、本件発明11、12または13に従属するものであるので、本件発明11に従属する本件発明14と上記第1の装置の発明とを対比すると、本件発明14で限定が加えられた「前記基板が前記遠心機内で回転運動を受ける前に、前記物質の蒸気を前記基板と予め接触させる」事項は、第1の装置の発明が備えている事項であるので、両者は、上記相違点4で相違していることになる。 ところで、相違点4については、上記(8)で既に検討している。 (11)本件発明15について 本件発明15は、本件発明14に従属するものであるので、本件発明15と上記第1の装置の発明とを対比すると、上記(10)のとおり、上記相違点4で両者は相違すると共に、上記(3)で述べたように上記相違点3で、両者は相違している。 ところで、相違点3については上記(3)で、相違点4については上記(8)で既に検討している。 したがって、本件発明14は、引用例1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (12)本件発明16について 本件発明16は、本件発明11乃至15の何れかの発明に従属するものであるので、本件発明11に従属する本件発明16と上記第1の装置の発明とを対比すると、第1の装置の発明の「有機溶剤」は、「有機溶媒」と表現することができるので、本件発明16で限定が加えられた「有機溶媒が前記物質として使用される」事項は、明らかに第1の装置の発明が備えている事項であるので、両者は、上記相違点4で相違していることになる。 ところで、相違点4については、上記(8)で既に検討している。 したがって、本件発明16は、引用例1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (13)本件発明17について 本件発明17と上記第1の装置の発明とを対比すると、本件発明17で限定が加えられた「イソプロパノールの有機溶媒を使用する」事項は、第1の装置の発明が備えている事項であるので、この事項に関して両者に相違はなく、また、本件発明17は、本件発明16に従属するものであるので、上記(12)のとおり、両者は、上記相違点4で相違していることになる。 ところで、相違点4については、上記(8)で既に検討している。 したがって、本件発明17は、引用例1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (14)本件発明3、8、9、13、18及び19について 本件発明3、8、13及び18と上記引用例1及び2に記載された発明とを対比すると、引用例1及び2には、上記3(1)及び(2)のとおりの事項が記載されているものの、本件発明3及び13で限定が加えられた「前記蒸気を前記基板の温度よりも低い温度に冷却して、該蒸気を不飽和状態で前記基板と接触させる」事項並びに本件発明8及び18で限定が加えられた「前記蒸気をキャリアガスと混合し、この混合物を遠心機内に導入して、前記基板を前記蒸気と接触させる」事項については、引用例1及び2に記載されておらず、かつ、示唆もされていない。 また、本件発明3、8、13及び18で限定が加えられた各事項について、特許異議申立人は、特許異議申立書において、「当業者において単なる設計事項の範囲内である。」と主張しているが、証拠は何ら示されておらず、また、上記各事項は、単なる設計事項の範囲内であるとは、言い難いものである。 したがって、本件発明3、8、13及び18は、引用例1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることができない。 また、上記のとおり本件発明8及び18は、引用例1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでない以上、本件発明8に従属する本件発明9及び本件発明18に従属する本件発明19についても、引用例1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることができない。 5 むすび 以上のとおりであるから、本件発明1、2、4乃至7、10乃至12、14乃至17に係る特許については、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、また、本件請求項3、8、9、13、18及び19に係る特許については、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては取り消すことができない。 また、他に本件請求項3、8、9、13、18及び19に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 したがって、本件請求項1、2、4乃至7、10乃至12、14乃至17に係る特許については、拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認め、また、本件請求項3、8、9、13、18及び19に係る特許については、拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認めない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 基板表面から液体を除去する方法、当該方法を用いる半導体装置の製造方法、及び基板表面から液体を除去する装置 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 少なくとも一部液体で被覆された基板が遠心機内に設置され、該遠心機内で回転運動を受けることにより基板表面から液体を除去する方法であって、 前記液体が遠心分離により前記基板表面から除去されてしまう前に、少なくとも一部前記液体で被覆された前記基板を、前記液体と接触した場合当該液体の表面張力を小さくするような物質の蒸気と前記回転運動中に前記遠心機内で接触させることを特徴とする基板表面から液体を除去する方法。 【請求項2】 請求項1に記載の方法において、 前記蒸気を不飽和状態で前記基板と接触させることを特徴とする基板表面から液体を除去する方法。 【請求項3】 請求項2に記載の方法において、 前記蒸気を前記基板の温度よりも低い温度に冷却して、該蒸気を不飽和状態で前記基板と接触させることを特徴とする基板表面から液体を除去する方法。 【請求項4】 請求項1、2または3に記載の方法において、 前記基板が前記遠心機内で回転運動を受ける前に、前記物質の蒸気を前記基板と予め接触させることを特徴とする基板表面から液体を除去する方法。 【請求項5】 請求項4に記載の方法において、 前記基板が回転運動を受ける前に、1乃至15秒前記蒸気を前記基板と接触させることを特徴とする基板表面から液体を除去する方法。 【請求項6】 請求項1乃至5の何れか一項に記載の方法において、 有機溶媒が前記物質として使用されることを特徴とする基板表面から液体を除去する方法。 【請求項7】 請求項6に記載の方法において、 イソプロパノール、1・メトキシ・2・プロパノール、エチルグリコール及びジアセトンアルコールよりなる群より選択された有機溶媒が使用されることを特徴とする基板表面から液体を除去する方法。 【請求項8】 請求項1乃至7の何れか一項に記載の方法において、 前記蒸気をキャリアガスと混合し、この混合物を遠心機内に導入して、前記基板を前記蒸気と接触させることを特徴とする基板表面から液体を除去する方法。 【請求項9】 請求項8に記載の方法において、 前記蒸気と前記キャリアガスとの混合物を、前記基板表面近傍においてガス流が小さくなるように前記遠心機内に導入することを特徴とする基板表面から液体を除去する方法。 【請求項10】 半導体装置の製造方法であって、半導体装置が半導体基板上に形成され、該形成時、前記半導体基板は液体を含有する浴中で処理される方法において、 前記液体を含有する浴中における前記半導体基板の前記処理の後、請求項1乃至9の何れか一項に記載の方法が実施されることを特徴とする半導体装置の製造方法。 【請求項11】 遠心機を有し、少なくとも一部液体で被覆された基板が該遠心機内に設置され、該遠心機内で回転運動を受けることにより基板表面から液体を除去する装置であって、 前記液体が遠心分離により前記基板表面から除去されてしまう前に、前記液体に接触した場合当該液体の表面張力を小さくするような物質の蒸気を、前記遠心機内に設置された少なくとも一部前記液体で被覆された前記基板上に前記回転運動中にもたらすガス導入部が設けられることを特徴とする装置。 【請求項12】 請求項11に記載の装置において、 前記蒸気を不飽和状態で前記基板と接触させることを特徴とする基板表面から液体を除去する装置。 【請求項13】 請求項12に記載の装置において、 前記蒸気を前記基板の温度よりも低い温度に冷却して、該蒸気を不飽和状態で前記基板と接触させることを特徴とする基板表面から液体を除去する装置。 【請求項14】 請求項11、12または13に記載の装置において、 前記基板が前記遠心機内で回転運動を受ける前に、前記物質の蒸気を前記基板と予め接触させることを特徴とする基板表面から液体を除去する装置。 【請求項15】 請求項14に記載の装置において、 前記基板が回転運動を受ける前に、1乃至15秒前記蒸気を前記基板と接触させることを特徴とする基板表面から液体を除去する装置。 【請求項16】 請求項11乃至15の何れか一項に記載の装置において、 有機溶媒が前記物質として使用されることを特徴とする基板表面から液体を除去する装置。 【請求項17】 請求項16に記載の装置において、 イソプロパノール、1・メトキシ・2・プロパノール、エチルグリコール及びジアセトンアルコールよりなる群より選択された有機溶媒が使用されることを特徴とする基板表面から液体を除去する装置。 【請求項18】 請求項11乃至17の何れか一項に記載の装置において、 前記蒸気をキャリアガスと混合し、この混合物を遠心機内に導入して、前記基板を前記蒸気と接触させることを特徴とする基板表面から液体を除去する装置。 【請求項19】 請求項18に記載の装置において、 前記蒸気と前記キャリアガスとの混合物を、前記基板表面近傍においてガス流が小さくなるように前記遠心機内に導入することを特徴とする基板表面から液体を除去する装置。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は、少なくとも一部液体で被覆された基板が遠心機内に設置され、該遠心機内で回転運動を受けることにより基板表面から液体を除去する方法であって、前記基板は、前記基板表面から前記液体を遠心分離するような速度で回転される方法に関する。 【0002】 このような方法は、例えば、半導体集積回路(ICs)、液晶を有する表示スクリーン(L.C.Displays)、合成物質の基板(回路基板)上の電気回路並びに画像及び音声のレコード盤(VLP及びCD)の製造に用いることができる。これら全ての場合において、半導体材料、ガラスまたは合成物質の基板は、しばしば、例えば金属の被着のためのガルヴァニック浴(電気鍍金浴)、金属層中にまたは半導体材料中にパターンをエッチングするためのエッチング浴、露光フォトラッカ層を現像するための現像浴及び基板を洗浄するための水洗い浴等の液体中で何回となく処理される。次いで、この液体は、これら基板の表面から常に除去されるべきである。 【0003】 【従来の技術】 冒頭に記載のような方法は、特開昭60-113431号から既知であり、この方法においては、薄片状の半導体基板が、遠心機内のターンテーブル上に設置され、次いで、この基板表面と交差する軸について高速回転される。 【0004】 上述の既知の方法を用いる場合には、溶液中に溶融された汚染物質が基板の表面に残留し得ることが実際に見出されている。これらの汚染物質は、しばしば、金属的性質または有機的性質があり、基板処理の他の工程において非常に妨げとなり得る。この表面上に局部的に残留する有機汚染物質は、例えば、エッチング処理を局部的に非常に遅らせるか、または阻止さえするかもしれない。 【0005】 【発明の概要】 本発明の目的は、上述の問題を未然に防ぐ方法を提供することにある。 【0006】 この目的のために、本発明によれば、冒頭に記載のような方法において、前記液体が遠心分離により前記基板表面から除去されてしまう前に、少なくとも一部前記液体で被覆された前記基板を、前記液体に可溶性であり、前記液体に溶解した場合該液体の表面張力よりも小さい表面張力を持つ溶液をもたらすような物質の蒸気と前記遠心機内で接触させることを特徴とする。 【0007】 既知の方法と比較すると、本発明による方法は、かなり清浄な結果を生じる。比較テストは、混合蒸気が遠心機内に導入された場合、基板上に残留する物質の量が少なくとも10分の1まで減少され得ることを示した。 【0008】 前述の蒸気を含有するガス流を、液体の薄膜が張られた基板の表面上を通過させる実験において、前記液体薄膜は各部分に分離し、これら部分はさらに液滴に収縮する現象が示された。前記ガス流を停止すると、再び液体薄膜が形成される。マランゴニ効果(Marangoni effect)がこの場合ある部分生じ、前記液滴の形成が前記蒸気の供給により生じる前記液体の表面張力の局部的な差によると推定される。前記蒸気が供給された場合、前記液体は、より小さい、ゆえにより厚い液状部に収縮するため、前記遠心機内での処理中、前記液体は、前記表面によりあまり強く保持されないばかりか、よりゆっくりと蒸発するであろう。この処理中、本発明による工程により、より多量の液体が遠心分離により前記表面からそれゆえ除去され、より少量の液体しか蒸発により除去されないであろう。より少量の液体しか蒸発により前記表面から消失しないので、前記液体中に溶融された汚染物質もより少量しか表面に残留しないであろう。 【0009】 本発明によれば、前記蒸気を、好ましくは、不飽和状態で前記基板と接触させる。すなわち、前記遠心機内での処理中、蒸気が前記基板の表面で液化することを防止する。この液化した蒸気は、付加的な乾燥処理を用いて除去する必要があろう。しかしながら、蒸気は非常に清浄であるため、この場合、前記表面がさらに汚染されるようなことはないであろう。それゆえ、不飽和蒸気を使用することは、より清浄な表面を生じることにはならないであろうが、上述の付加的な乾燥処理を不要にする。 【0010】 前記蒸気を前記基板の温度よりも低い温度に冷却して、該蒸気を不飽和状態で前記基板と接触させることが簡単に可能である。 【0011】 好ましくは、本発明によれば、前記基板が前記遠心機内で回転運動を受ける前に、前記液体と混和性のある前記物質の蒸気を、前記基板と予め接触させる。この場合、液滴が、回転運動を開始する前予め前記基板の表面上に形成される。液体の液滴への収縮は、基板が回転している場合よりも、基板が静止している場合の方がはるかに容易に生じる。この様にして、前記基板表面は、回転運動中にのみ蒸気の供給が開始される場合よりもより清浄となる。 【0012】 既に述べたように、基板は、種々の異なる液体浴中で処理され得る。しかしながら、実際には、これらの浴はほとんどが水を含んでいる。これらの場合には、好ましくは、有機溶媒の蒸気が、前記遠心機内に導入される。多量のアルコール、グリコール、アルデヒト、エステル及びケトンの蒸気の供給が、清浄表面を導くことが見出されている。 【0013】 好ましくは、前記蒸気をキャリアガスと混合し、この混合物を遠心機内に導入して、前記基板を前記蒸気と接触させる。このように、簡単に、不飽和蒸気を遠心機内に導入することが出来る。 【0014】 【実施例】 本発明を、例として、図面及びいくつかの実施例を参照して、さらに詳細に説明する。 【0015】 図1は、本発明による方法を実施するための遠心機の断面の概略を示し、図2は、図1に示す遠心機に蒸気を供給する前の液体を有する基板表面を概略的に示し、図3は、図1に示す遠心機に蒸気を供給した後の液体を有する基板表面を概略的に示し、図4は、図1に示す遠心機を変形した蒸気供給が行われる遠心機の断面を概略的に示し、図5は、図4に示す遠心機に蒸気を供給した後の液体を有する基板表面を概略的に示す。 【0016】 表面2に液体3が張られた、この場合直径15cmのシリコンの薄片を持つ基板1が、遠心機4のターンテーブル5に設置されている。ターンテーブル5には、チャンバー6が設けられ、このチャンバー6は、表面2とダクト7を介して連通している。ターンテーブル5は、遠心機4内にベアリング9で回転可能な回転軸8上に配置されている。回転軸8には、ダクト10が設けられ、このダクト10は、チャンバー6と連通している。ダクト10を介して、チャンバー6を、基板1がダクト7を介して基板ホルダー5上に吸引されるように、擬似真空化することが可能である。遠心機4は、ゴムリング20と係合するカバー19で封鎖される。カバー19は、シリコン1の薄片から数ミリメートル離れた所に位置し、蒸気流出開口21を有する。 【0017】 基板1をターンテーブル5に吸引した後、該ターンテーブル5は動作を開始し、該基板1は、液体3が表面2から遠心分離されるほど速く回転される。前記液体は、ドレイン11を介してさらに除去される。 【0018】 この実施例においては、基板1が前記ターンテーブルの中央に設置されるが、いくつかの基板が同じ(この場合より大きな)ターンテーブル上に配置されるか、または、多数の基板がある一定の間隔で上下に互いに配置された場合においても、液体3は表面2から遠心分離される。遠心機4は、もちろん、シリコン薄片の他、例えば電気回路が設けられる、ガラス板及び合成物質の基板等の基板に用いられても良い。 【0019】 本発明によれば、基板1を、前記液体と混和性があり、この液体と混合した場合、該液体よりも低い表面張力を持つ混合物を生じるような物質の蒸気と遠心機4内で接触させる。このように、明らかに、より充分且つ急速な基板1の乾燥を達成することができる。 【0020】 図2に概略的に示すように、基板1の表面2上に液体薄膜30として初め存在していた液体3は、図3に概略的に示すように、より小さいが、より厚い液体部分31に分離される。このような液体部分31は、表面2との比較的小さな接触面32と、比較的小さな自由面33とを有する。この結果、遠心機4内での処理中、液体3は、表面2によりあまり強く保持されないばかりか、よりゆっくりと蒸発するであろう。この処理中、蒸気の供給により、より多量の液体が遠心分離により前記表面からそれゆえ除去され、より少量の液体しか蒸発により除去されないであろう。より少量の液体しか蒸発により前記表面から消失しないので、前記液体中に溶融された汚染物質もより少量しか前記表面上に残留しないであろう。 【0021】 好ましくは、本発明によれば、基板1が遠心機4内で回転運動を受ける前に、該基板1を予め蒸気と接触させる。液体3の液体部分31への収縮は、基板1が回転している場合よりも、静止している場合の方がはるかに容易に生じる。このように、より充分且つ急速な基板の乾燥を達成することができる。 【0022】 実際には、前記液体はしばしば水である。この場合、充分且つ急速な乾燥は、前記液体と混和性のある物質として有機溶媒が用いられる場合に達成される。好ましくは、図中の矢印12で図的に示されるキャリアガスを、パイプ13を介してこの溶媒15の容器14を通過させる。この結果、キャリアガス12は、溶媒15の蒸気と混合される。溶媒15の蒸気と混合したキャリアガス12は、パイプ18を介して前記遠心機の底部に導入される。これは、この混合物のガス流が、基板1の表面2の近傍で小さくなるように実行するものである。上記ガス混合物は、開口21を介して排出される。このように、簡単に、不飽和蒸気は前記基板上を通過する。 【0023】 本発明によれば、前記蒸気は、好ましくは、不飽和状態で基板1と接触される。この結果、蒸気が遠心機内での処理中に前記基板上で液化することが防止される。この液化した蒸気というのは、付加的な乾燥処理によりこの場合除去する必要があろう。 【0024】 簡単に、前記蒸気を基板1の温度よりも低い温度に冷却して不飽和状態で該蒸気を基板1と接触させることが可能である。これは、例えば、容器14内の溶媒15を、通常の方法で、このより低い温度に冷却することで達成されるかもしれない。もしくは、キャリアガス12が溶媒15を通過する際に、該溶媒15が強制的に蒸発し、ゆえに、実際には前記蒸気が前記基板上で液化することを防止するのに充分であるような温度降下を生じることが知られている。 【0025】 図4は、前述の遠心機を変形した、蒸気供給及び排出が行われる遠心機の断面を概略的に示すものである。溶媒15の蒸気と混合したキャリアガス12は、一体成形された開口17を有するパイプ18を介して遠心機4の上部に導入される。このガス混合物は、ガスが基板1の表面2に沿って中心部から流れるようにして前記遠心機内に導入される。基板1の表面2上に液体薄膜30として初め存在していた前記液体(図2参照)は、図5に概略的に示すように、多数のより小さいが、より厚い液体部分35に分離される。これらの部分も、薄膜30よりも前記表面からより容易に遠心分離することができ、ゆえに、この場合もまた、この処理中の液体3の蒸発の制限を達成する。 【0026】 直径約10cmの多数のシリコン薄片を、順次、弗酸(HF)、水酸化アンモニウム・過酸化水素(NH4OH‐H2O2)及び塩酸・過酸化水素(HCL‐H2O2)の通常の溶媒中で洗浄し、さらに付加的にUVオゾン洗浄装置中で洗浄する。このシリコン薄片を、遠心機4のターンテーブル5上に固定し、次いで、0.1モル(0.1M)塩化マグネシウム(MgCl2)に希釈された2mlの塩(水)溶液で湿潤する。この場合、前記薄片は、約113μmの厚さの液体薄膜で完全に被覆される。前記薄片を回転する前に約1乃至15秒、図1に示す遠心機内に蒸気を導入する。この蒸気は、本実施例の場合には窒素ガスであるキャリアガスが、有機溶媒で満たされた容器14を順次通過して得られ、また、該蒸気は回転中も表面2上に導入される。次の表は多数の実験結果を示すものである。 【0027】 【表1】 【0028】 上記残留物質は、前記遠心機内での乾燥の後、前記シリコン薄片上に残留する物質、主として塩化マグネシウム(MgCl2)量である。この実験中、前記基板の温度は約22°Cで、前記蒸気の温度は約20°Cであった。実験番号1においては、前記液体が、前記基板と接触させる蒸気と混合するキャリアガスを用いずに該基板から除去されている。この場合、液体の全量が、、約1分後に除去された。実験番号2においては、キャリアガス(窒素)のみを、前記基板と接触させている。見出された残留物質の量は、これにより、変化していない。しかしながら、液体の全量を除去するために要した時間はより短くなった。その他の実験においては、各々、有機溶媒の蒸気を、このキャリアガスと混合し、前記基板と接触させている。これには、前記ターンテーブルの4種類の異なる回転速度、すなわち、1秒間に5、8、17及び50回転の回転速度で影響を与えている。表1から明らかなように、最も低い回転速度(5回転/1秒)で最良の結果が得られる。おそらく、これは、この低速度においては、前述の液体薄膜の各部への収縮が、前記回転運動により実際に妨害されない事実によるものであろう。より高い回転速度においては、事実、大きな遠心力により影響を受け、この結果、これらの部分は、再び液体薄膜に塗り伸ばされ、あまり容易に除去することは出来ないであろう。最良の結果は、5回転/秒でジアセトンアルコール及び1・メトキシ2・プロパノールの蒸気で得られる。この場合、残留物質量は、前記基板を前記蒸気と接触させることなしに17回転/秒で前記液体を除去する場合と比較して、少なくとも20分の1の少なさである。上述の全ての実験において、前記基板は、該基板が回転される前に約1秒前記蒸気と接触させている。この時間は、より長く選択されても良い。しかしながら、この時間が約15秒よりも長くなると、この水性薄膜の相当量が蒸発により予め除去されるかもしれなく、この結果、より多量の汚染物質が前記表面に残留する。これは、それほど清浄な結果を導かない。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明による方法を実施するための遠心機の断面の概略を示す。 【図2】 図1に示す遠心機に蒸気を供給する前の液体を有する基板表面を概略的に示す。 【図3】 図1に示す遠心機に蒸気を供給した後の液体を有する基板表面を概略的に示す。 【図4】 図1に示す遠心機を変形した蒸気供給が行われる遠心機の断面を概略的に示す。 【図5】 図4に示す遠心機に前記蒸気を供給した後の液体を有する基板表面を概略的に示す。 【符号の説明】 1…基板 2…表面 3…液体 4…遠心機 5…ターンテーブル 6…チャンバー 7、10…ダクト 8…回転軸 9…ベアリング 11…ドレイン 12…キャリアガス 13、18…パイプ 14…容器 15…溶媒 19…カバー 20…ゴムリング 21…開口 30…液体薄膜 31、35…液体部分 32…接触表面 33…自由表面 |
訂正の要旨 |
a)訂正事項1 以下では、特許査定時の特許請求の範囲の請求項を旧請求項と呼び、本訂正請求書の請求項を新請求項と呼ぶ。 旧請求項1の「少なくとも一部液体で被覆された基板が遠心機内に設置され、該遠心機内で回転運動を受けることにより基板表面から液体を除去する方法であって、 前記液体が遠心分離により前記基板表面から除去されてしまう前に、少なくとも一部前記液体で被覆された前記基板を、前記液体と接触した場合当該液体の表面張力を小さくするような物質の蒸気と前記遠心機内で接触させることを特徴とする基板表面から液体を除去する方法。」とあるのを、特許請求の範囲の減縮を目的として、『少なくとも一部液体で被覆された基板が遠心機内に設置され、該遠心機内で回転運動を受けることにより基板表面から液体を除去する方法であって、 前記液体が遠心分離により前記基板表面から除去されてしまう前に、少なくとも一部前記液体で被覆された前記基板を、前記液体と接触した場合当該液体の表面張力を小さくするような物質の蒸気と前記回転運動中に前記遠心機内で接触させることを特徴とする基板表面から液体を除去する方法。』と訂正する。なお、下線部は訂正個所である(以下も同様である)。 b)訂正事項2 旧請求項11の「遠心機を有し、少なくとも一部液体で被覆された基板が該遠心機内に設置され、該遠心機内で回転運動を受けることにより基板表面から液体を除去する装置であって、 前記液体が遠心分離により前記基板表面から除去されてしまう前に、前記液体に接触した場合当該液体の表面張力を小さくするような物質の蒸気を、前記遠心機内に設置された少なくとも一部前記液体で被覆された前記基板上にもたらすガス導入部が設けられることを特徴とする装置。」とあるのを、特許請求の範囲の減縮を目的として、『遠心機を有し、少なくとも一部液体で被覆された基板が該遠心機内に設置され、該遠心機内で回転運動を受けることにより基板表面から液体を除去する装置であって、 前記液体が遠心分離により前記基板表面から除去されてしまう前に、前記液体に接触した場合当該液体の表面張力を小さくするような物質の蒸気を、前記遠心機内に設置された少なくとも一部前記液体で被覆された前記基板上に前記回転運動中にもたらすガス導入部が設けられることを特徴とする装置。』と訂正する。 |
異議決定日 | 2002-11-01 |
出願番号 | 特願2000-168611(P2000-168611) |
審決分類 |
P
1
651・
121-
ZD
(H01L)
|
最終処分 | 一部取消 |
前審関与審査官 | 中西 一友、岡 和久 |
特許庁審判長 |
小林 武 |
特許庁審判官 |
宮崎 侑久 加藤 友也 |
登録日 | 2001-03-30 |
登録番号 | 特許第3174561号(P3174561) |
権利者 | コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ |
発明の名称 | 基板表面から液体を除去する方法、当該方法を用いる半導体装置の製造方法、及び基板表面から液体を除去する装置 |
代理人 | 津軽 進 |
代理人 | 津軽 進 |